JPH11286038A - 熱可塑性樹脂の溶融押出法およびその成型品 - Google Patents

熱可塑性樹脂の溶融押出法およびその成型品

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JPH11286038A
JPH11286038A JP10089995A JP8999598A JPH11286038A JP H11286038 A JPH11286038 A JP H11286038A JP 10089995 A JP10089995 A JP 10089995A JP 8999598 A JP8999598 A JP 8999598A JP H11286038 A JPH11286038 A JP H11286038A
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thermoplastic resin
resin
weight
oligomer
raw material
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Kenji Tsunashima
研二 綱島
Takuya Kumagai
拓也 熊谷
Tsutomu Morimoto
努 森本
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Toray Industries Inc
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Publication date
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    • B29C48/00Extrusion moulding, i.e. expressing the moulding material through a die or nozzle which imparts the desired form; Apparatus therefor
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    • B29C48/78Thermal treatment of the extrusion moulding material or of preformed parts or layers, e.g. by heating or cooling
    • B29C48/80Thermal treatment of the extrusion moulding material or of preformed parts or layers, e.g. by heating or cooling at the plasticising zone, e.g. by heating cylinders
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱可塑性樹脂フィルム中のオリゴマー含有量の
小さな成型品を製造する方法、および実質的に原料中の
オリゴマー量よりも成型品中のオリゴマー含有量が少な
くなる製造方法を実現すること。 【解決手段】熱可塑性樹脂原料のオリゴマー量をWm
(重量%)、該樹脂を溶融押出し成形した後の成型品の
オリゴマー量をWf(重量%)としたとき、オリゴマー
の増分ΔWが次式を満足する熱可塑性樹脂の溶融押出法
であり、 ΔW=Wf−Wm<0.05 あるいは、より具体的には、熱可塑性樹脂原料を、タン
デム押出機に供給し、一段目の押出機で該樹脂の融点T
m以上に加熱し、均一に溶融させた後に、該樹脂の融点
Tm以下、降温結晶化温度Tmc以上の過冷却状態で3
分以上保持する熱可塑性樹脂の溶融押出法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂の溶
融押出法に関するものである。
【0002】さらに詳しくは、熱可塑性樹脂の溶融押出
法に関し、特にキャストされたフィルム中にオリゴマー
量が極めて少ないというフィルム等の成型品を提供する
ことのできる熱可塑性樹脂の溶融押出法に関するもので
ある。
【0003】
【従来技術】熱可塑性樹脂の溶融重合段階では、未反応
物であるモノマー、ダイマー、トリマーなどの低分子物
であるオリゴマーが、平衡反応により一定量存在する。
【0004】かかるオリゴマー量を減らすために、液層
重合後、さらに固相重合させてオリゴマーを減らすこと
などが行われている。
【0005】しかし、たとえ原料段階でオリゴマー量を
減少させても、溶融押出工程で再びその平衡反応により
オリゴマー量が増大し、その結果、得られた成型品のオ
リゴマー量は多いものになるのである。
【0006】そこで、一般に、溶融押出工程での平衡反
応を抑制するために、溶融前の原料を水中あるいは水蒸
気中で処理をして、熱可塑性樹脂中に存在する重合触媒
を失活させ、その結果、新たに生成するオリゴマーを少
なくしようとしたり、あるいは、この反応は溶融時間が
長い場合により多くのオリゴマーを生成することから溶
融時の滞留時間を短くしようとする方法等が採用されて
いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに特別の原料を用いたり、溶融押出時の滞留時間をで
きる限り短くしたとしても、得られる成型品のオリゴマ
ー量は用いた原料のオリゴマー量よりも多くならざるを
得ないのであり、そのような成型品は、オリゴマー量が
少なくなければ不都合な用途、たとえば、オイル含浸循
環型の電気絶縁材料用途などには循環を阻害するように
なるために使用できないものであった。
【0008】上述した点に鑑み、本発明は、溶融押出工
程で原料中に含まれていたオリゴマー量よりも実質的に
オリゴマー量が増大しないか、逆にオリゴマー量が減少
する溶融押出方法を提供せんとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
本発明は、熱可塑性樹脂原料のオリゴマー量をWm(重
量%)、該樹脂を溶融押出し成形した後の成型品のオリ
ゴマー量をWf(重量%)としたとき、オリゴマーの増
分ΔWが次式を満足することを特徴とする熱可塑性樹脂
の溶融押出法である。
【0010】ΔW = Wf−Wm<0.05 さらに、かかる本発明の方法において、好ましくは溶融
押出し成形した後の成型品のオリゴマー量Wf(重量
%)が、押出前の該熱可塑性樹脂原料のオリゴマー量W
m(重量%)よりも少ないこと、すなわち、該オリゴマ
ー増分ΔWがマイナスであることを特徴とする熱可塑性
樹脂の溶融押出法である。
【0011】また、上述した目的を達成する本発明の方
法は、具体的には、熱可塑性樹脂原料をタンデム押出機
に供給し、一段目の押出機で該樹脂の融点Tm以上に加
熱し、均一に溶融させた後に、該樹脂の融点Tm以下、
降温結晶化温度Tmc以上の過冷却状態で3分以上保持
させることを特徴とする熱可塑性樹脂の溶融押出法であ
る。
【0012】上述した本発明の熱可塑性樹脂の溶融押出
法において、さらに好ましくは、熱可塑性樹脂原料とし
て、重合触媒量を0.03重量%以上含有させて重合せ
しめたものを用いるのがよく、あるいは、また、熱可塑
性樹脂原料中に、残存重合触媒が0.01重量%以上含
有している原料を用いるのがよいものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明の好ましい実施の形
態を説明する。本発明において、熱可塑性樹脂とは、加
熱によって流動性を示す樹脂であり、ポリエステル、ポ
リアミド、ポリフェニレンスルフィド、ビニルポリマ
ー、およびそれらの混合体・変性体から選ばれた樹脂な
どが代表的なものである。
【0014】ポリエステル樹脂とは、分子主鎖中にエス
テル結合を有する高分子化合物であり、通常ジオールと
ジカルボン酸とからの重縮合反応により合成されること
が多いが、ヒドロキシ安息香酸で代表されるようなヒド
ロキシカルボン酸のように自己縮合するような化合物を
利用してもよい。このときの重合には、重合触媒を通常
は添加含有させるが、その重合触媒添加量としては0.
03重量%以上含有させて重合せしめたものを用いるの
がよい。しかし、通常、重合工程中に触媒金属は還元さ
れたり、飛散したり、リン化合物と結合したりして、重
合完了後には熱可塑性樹脂原料中に残存している有効な
重合触媒量は重合前に比べて大幅に減少するのが常であ
るが、重合後でも残存している触媒量としては0.01
重量%以上含有している原料を溶融押出用いるのがよ
い。むろん、この触媒量よりも少ないと、過冷却押出中
にオリゴマーの重合反応が進行せず、本発明の低オリゴ
マーの成型品にはならないためである。なお、代表的な
重合触媒としては、三酸化アンチモン、酸化ゲルマニウ
ム、酸化チタンなどがある。ジオール化合物の代表的な
ものとしては、HO(CH2 )nOHで表されるエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコ
ール、ヘキセングリコール、さらにジエチレンギリコー
ル、ポリエチレングリコール、エチレンオキサイド付加
物、プロピレンオキサイド付加物等で代表されるエーテ
ル含有ジオールなどであり、それらの単独または混合体
などである。ジカルボン酸化合物の代表的なものとして
は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレ
ンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、
スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ダイマー酸、
マレイン酸、フマル酸、及びそれらの混合体などであ
る。本発明の場合、特にポリエチレンテレフタレート
(PET)およびその共重合体、ポリブチレンナフタレ
ート(PBN)およびその共重合体、ポリブチレンテレ
フタレート(PBT)およびその共重合体、ポリエチレ
ンナフタレート(PEN)およびその共重合体、さらに
低いガラス転移温度Tgを有する樹脂であるポリエチレ
ンテレフタレート/アジペート(PET/A)、ポリエ
チレンテレフタレート/セバケート(PET/S)、ポ
レブチレンテレフタレート/イソフタレート(PBT/
I)、ポリエチレンテレフタレートーポリエチレングリ
コール共重合体(PET−PEG)、ポリヘキサメチレ
ンテレフタレート(PHT)、ポリプロピレングリコー
ル(PPG)およびそれらの混合体や共重合体などが好
ましい。これらの高分子化合物の繰返し単位は100以
上、好ましくは150以上あるのがよい。固有粘度とし
ては、オルトクロルフェノール(OCP)中での測定値
として0.6(dl/g)以上、好ましくは0.7(d
l/g)以上であるのがよい。
【0015】また、ポリアミド樹脂とは、主鎖中にアミ
ド結合を有する高分子化合物であり、代表的なものとし
ては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナ
イロン12、ナイロン11、ナイロン7、ポリメタ/パ
ラキシリレンアジパミド、ポリヘキサメチレンテレフタ
ラミド/イソフタラミド、およびそれらの共重合体、混
合体などから選ばれたポリアミド化合物である。もちろ
ん、これらにポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリ
エーテル化合物を共重合したポリアミドエーテルや、ポ
リエステルと共重合したポリエステルアミド化合物でも
よく、さらに本発明の場合、特に結晶化しにくい多元共
重合体や、側鎖に多くの置換基を有するか、または大き
な置換基を有する非晶ポリアミド樹脂などに特に優れた
効果を示す。
【0016】ポリフェニレンスルフィド(PPS)は、
架橋構造を実質的に有さない直鎖状のものが好ましい。
【0017】もちろん、これらの高分子化合物に各種の
添加剤、例えば、すべり材、安定剤、酸化防止剤、粘度
調整剤、帯電防止剤、着色剤、顔料、結晶核材、ボイド
生成材などを併用することができる。
【0018】通常の溶融押出法の場合、原料である熱可
塑性樹脂のオリゴマー量をWm(重量%)とし、該樹脂
を融点以上で溶融させて押出成形した後の成型品のオリ
ゴマー量をWf(重量%)とすると、通常溶融成形させ
る温度Teは、該樹脂の重合温度Tpよりも高温であるこ
とが多いために、この溶融押出によって成型品のオリゴ
マー量は増大し、その増ΔW=WfーWmは、0.05以
上となることが多い。
【0019】かといって、溶融する温度を低くすると、
異物除去のフィルター濾過工程で濾圧が高くなり、通過
ポリマー量が激減して生産性を低下させるばかりか、圧
力によって濾材の目開きが起こり濾過精度が低下し、異
物の流出で成型品の品質問題が発生するために押出温度
を低下させることはできなかった。
【0020】そこで、熱可塑性樹脂原料を、タンデム押
出機、すなわち2台以上の押出機の溶融体が互いに直列
に連結されているタンデム押出機に供給し、一段目の最
初の押出機で該樹脂の融点Tm以上、好ましくはTm+
20℃以上に、比較的短時間の間加熱して均一に溶融さ
せた後に、続いて該樹脂の融点Tm以下で、降温結晶化
温度Tmc以上の温度まで急激に冷却し、該樹脂がまだ
流動状態にある過冷却状態に保持し、その状態で3分以
上、好ましくは10分以上保持させることにより、オリ
ゴマーの増分ΔW=WfーWmが、0.05以下、好まし
くは0.03以下しか生成しないか、あるいは、さらに
好ましくは成型品のオリゴマー量が元の原料のオリゴマ
ー量よりも逆に少なくなる熱可塑性樹脂の溶融押出法が
実現できるものである。なお、過冷却状態とは、熱可塑
性樹脂の結晶融点Tm以上でいったん溶融・流動させた
後、その結晶融点Tm以下であり、かつ、その降温結晶
化温度Tmc以上の温度状態にある流動する状態を言
い、これは高分子に特徴的な状態であり、樹脂の融点以
下ではあるが、液相状態で流動状態を保っている状態を
言う。
【0021】このとき、用いられる好ましい熱可塑性原
料としては、重合触媒量を0.03重量%以上、好まし
くは0.06重量%以上含有させてから重合した原料を
用いること、あるいは、さらに好ましくは、得られた熱
可塑性樹脂原料中の残存重合触媒量が0.003重量%
以上、好ましくは0.01重量%以上含有されている原
料を用いることである。このように重合活性を有した原
料を用いることにより、溶融時の過冷却状態でオリゴマ
ーが重合して低オリゴマーな成型品となるのである。
【0022】かくして口金から押出された溶融体シート
に静電荷を印加させながら、冷却媒体に密着させる。
【0023】静電印加法とは、特公昭37−6142号
公報記載の方法で代表される溶融シートに対する冷却媒
体への密着力向上手段であり、溶融シートに静電印加す
る電圧は、8〜35KV程度であり、溶融シートまでの
最短距離は5〜50mm程度であり、電極形状は、ワイ
ヤ電極、ブレード電極、箔状電極、円弧状電極、針状電
極など任意のものを利用することができ、電極形状も任
意の複数の電極を用いることができる。また、溶融体に
静電荷を付与する電極を、移動冷却媒体で行う方法もあ
り、この場合の電極は一つでよく、また比較的装置が簡
便で、しかも操作性に優れているため、全幅以上の幅に
わたって静電荷を印加することができ、シート端部およ
び中央部ともに密着力を向上させることができ、より好
ましい方法である。なお、移動冷却媒体の表面粗さは
0.6μm以下、好ましくは0.2μm以下と平滑であ
ることが密着性向上やシートの平滑性等には肝要であ
る。
【0024】また、移動冷却媒体の表面温度は、熱可塑
性樹脂のガラス転移温度Tg−50℃以上、Tm以下、
好ましくはTg−25℃以上、Tg+60℃以下の温度
に保つことによりシート端部はもちろんのこと、シート
中央部も冷却媒体に対する密着性が格段に向上するため
に熱可塑性樹脂シートのキャスト方法としては好まし
い。さらに、結晶化速度の遅いPETやPENのような
樹脂では、該樹脂溶融体の接地直前の媒体の表面温度が
熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg以上融点Tm以下に
するととともに、かつ剥離直前の媒体の表面温度を熱可
塑性樹脂のガラス転移温度Tg未満にすることにより、
超高速で空気などの噛み込みのない均一なキャストが可
能になるのである。
【0025】次に、本発明における熱可塑性樹脂の溶融
押出法について述べる。
【0026】溶融押出に使用する熱可塑性樹脂として
は、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンスルフ
ィドなどの原料を準備するとよいが、該熱可塑性原料と
しては、重合触媒量を0.03重量%以上、好ましくは
0.06重量%以上と通常よりも多く含有させてから重
合を行い、それで得られた熱可塑性樹脂原料中の残存重
合触媒量が0.01重量%以上、好ましくは0.015
重量%以上含有している原料を用いることである。この
ように重合活性を有した原料を溶融押出に用いることに
より、過冷却状態にある溶融時に残存オリゴマーが重合
して低オリゴマーな成型品となるためである。なお、必
要に応じて、他の化合物の添加ブレンドした原料、例え
ば、液晶ポリマーや他のポリエステル樹脂、さらに酸化
珪素、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタ
ン、酸化アルミニウム、架橋ポリエステル、架橋ポリス
チレン、マイカ、タルク、カオリンなどの無機化合物、
エチレンビスステアリルアミド、イオン性高分子化合物
アイオノマー等の有機化合物等を添加した原料、いった
ん溶融させた原料、さらには本発明にかかるシート状成
型物(フィルム)の回収原料などを混合した原料などを
準備する。該原料を乾燥し脱水した後、一軸押出機、二
軸押出機、ベント押出機などの任意の押出機からなるタ
ンデム押出システムからなる溶融押出機に供給し、まず
最初の押出機で分子量、例えば固有粘度[η]を極力低
下させないように窒素気流下、あるいは真空下で未溶融
物が無い様に完全に溶融させる。もちろん、溶融温度は
該熱可塑性樹脂の融点Tm以上、好ましくはTm+20
℃以上であり、剪断速度は100secー1以上であるのが
普通である。このように、いったん、該樹脂の融点Tm
以上に溶融させた後に、二段目以降の押出機で該融点T
m以下、好ましくはTm−5℃以下、好ましくはTm−
15℃以下で、該降温結晶化温度Tmc以上、好ましく
はTmc+10℃以上の温度まで冷却し、いわゆる過冷
却状態にして押出を行なうのである。冷却方法は、通
常、循環され温度コントロールされた熱媒により行う
が、もちろん空気や水による冷却法や、さらにはペルチ
ェ効果を利用した電気冷却法や、蒸発潜熱による冷却法
でもよい。このように過冷却された流動体の異物を除去
する濾過フィルター工程に導入してから成型用口金にて
所望の形状に成形するのである。なお、異物を除去する
ためのフィルターとしては、例えば、焼結金属、多孔性
セラミック、サンド、金網等を用いる。
【0027】このようにして溶融された樹脂が過冷却状
態で3分以上、好ましくは10分以上と長時間滞留する
ために、熱分解・ゲル化などの熱変性を大幅に抑制させ
る効果があるばかりか、低分子量オリゴマーが再重合す
るために、オリゴマーの残存量も非常に少なくなる。P
ETの場合では、残存オリゴマー量としては0.35重
量%以下、好ましくは0.29重量%以下になるのであ
る。このように残存オリゴマー量が少ないために、口金
汚れ、ドラム汚れ、延伸ロール汚れ、延伸・熱処理テン
ター汚れ、渡りロール汚れなども極端に少なくなり、二
軸延伸性が向上したり、キャスト性が向上したりすると
いう効果もある。
【0028】かくして溶融された熱可塑性樹脂シートに
静電荷を印加させて、冷却媒体のドラムに密着させて急
冷してキャストする。なお、該溶融体の接地直前の媒体
の表面温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg以
上、融点Tm以下にするととともに、剥離直前の媒体の
表面温度を熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg未満にす
ることにより、安定した強力な密着力を有したキャスト
が可能になるのである。
【0029】かくして得られたキャストフィルムを、必
要に応じて延伸するが、具体的には、例えば、縦一軸延
伸、横一軸延伸、逐次二軸延伸、同時二軸延伸などの延
伸方法に従って延伸を行う。延伸温度は、特に限定され
ないが、該樹脂のガラス転移温度Tg以上であればよ
く、必要に応じて任意の温度を選択することができる。
一方向の延伸倍率は、2〜8倍、好ましくは3〜6倍程
度がよい。延伸後、必要に応じて熱固定をしてもよい。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、オリゴマーの増分ΔW
=WfーWmが、0.05以下、好ましくは0.03以下
しか生成しないか、あるいは、さらには成型品のオリゴ
マー量が元の原料のオリゴマー量よりも逆に少なくなる
熱可塑性樹脂の溶融押出法が提供される。
【0031】本発明によれば、得られる成型品中の残存
オリゴマー量が極端に少ないために、溶融押出時の口金
汚れ、ドラム汚れ、延伸ロール汚れ、延伸、熱処理テン
ター汚れ、渡りロール汚れなども少なくなり、キャスト
性、二軸延伸性などのプロセス特性が向上するばかり
か、得られるフィルムなどの成型品は、その中の残存オ
リゴマー量が極端に少ないため、オイル含浸循環型の電
気絶縁材料用途や、食品包装用途、さらには写真用途、
光学用途、磁気媒体用途、グラフィック用途などにも優
れた特性を発揮しつつ用いられ得るものである。
【0032】
【物性の測定法】次に、本発明で使用した物性値の測定
法について以下に説明する。
【0033】1.ポリエステルの固有粘度[η]:25
゜Cで、o−クロルフェノールを溶媒として次式より求
めた。
【0034】[η]= lm[ηsp/c] 比粘度ηspは、相対粘度ηr から1を引いたものであ
る。cは濃度である。単位はdl/gで表わす。
【0035】2.フィルムの厚みむら:アンリツ株式会
社製フィルムシックネステスタ「KG601A」および
電子マイクロメータ「K306C」を用い、フィルムの
縦方向に30mm幅、10m長にサンプリングしたフィ
ルムを連続的に厚みを測定する。フィルムの搬送速度は
3m/分とした。10m長での厚み最大値Tmax(μ
m)、最小値Tmin(μm)から、 R=Tmax−Tmin を求め、Rと10m長の平均厚みTave(μm)から厚
みむら(%)=R/Tave×100として求めた。
【0036】3.熱的特性(Tm、Tg、Tmc):パ
ーキンエルマー社製DSC−II型測定装置を用い、サン
プル重量10mg、窒素気流下で、昇温速度20℃/分
で昇温してゆき、ベースラインの偏起の開始する温度を
Tg、さらに昇温したところの発熱ピークをTccと
し、結晶融解に伴う吸熱ピーク温度を融点Tmとした。
【0037】Tm+20℃で1分間保持した後、冷却速
度20℃/分で溶融体を冷却し、結晶化に基づく発熱ピ
ーク温度をTmcとした。
【0038】4.延伸性 厚さ6μmの二軸延伸フィルムを3日間の連続製膜運転
を行い、縦延伸起因によるシート破れ、および延伸後の
シート端部の切放し(エッジカット)工程などで端部切
れ起因のトラブル状態から判定した。
【0039】判定基準は、下記表1のとおりである。
【0040】
【表1】
【0041】
【実施例】以下に、本発明をより理解しやすくするため
に実施例、比較例を示す。
【0042】実施例1 熱可塑性樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)(重合触媒として三酸化アンチモンを0.06重
量%添加して縮重合後、200℃で固相重合して重合完
了後の三酸化アンチモン残存触媒量0.036重量%、
固有粘度[η]=0.71、ガラス転移温度Tg70℃、
融点Tm265℃、降温結晶化温度Tmc235℃、オ
リゴマー含有量0.33重量%、添加剤として平均粒径
0.2μmの球形シリカを0.1重量%含有)を用い、
常法に従い、原料を脱水乾燥後、窒素気流化で250/
250mmのタンデム型溶融押出機に供給し、まず一段
目の押出機にて未溶融物がないように285℃、剪断速
度250secー1下で完全溶融(平均滞留時間2分)させ
た後、二段目の押出機に供給して、バレルを熱媒(ダウ
サム)で冷却しながら溶融体のポリマー温度を250℃
という過冷却状態にした。この溶融体中にある異物を除
去するために、20μm以上の異物をカットする焼結金
属濾過フィルターを平均滞留時間として11分間通過さ
せた後、2200mm幅のTダイ傾斜口金からLD間と
して15mm下にあるキャストドラム上にシート状に成
形し、静電荷を印加させながら33℃に保たれた250
0mm直径のドラム(ドラム表面は最大粗さRt=0.
1μmに鏡面化されたクロムメッキロール)である冷却
媒体上に30m/minの速度で密着、冷却した。な
お、このときに使用した印加電極は、0.1mmのタン
グステン・ワイヤー電極を用い、印加電圧は15kvで
ある。
【0043】かくして得られたキャストフィルムは、厚
みが2500μmであり、厚みむらとしては長手方向、
幅方向とも2%以下と小さく、平面性にも優れたクレー
ターなどの表面欠点のない、透明で完全な非晶質のもの
であり、キャスト性に優れたものであった。
【0044】続いて、該キャストフィルムをロール式の
長手方向多段延伸機で延伸温度105℃で4倍延伸し、
続いて該延伸フィルムの両端をクリップで把持しながら
テンタに導き、延伸温度110℃に加熱された熱風雰囲
気中で幅方向に4.1倍延伸後、238℃で定長熱固
定、および150℃で幅方向に3%のリラックス熱固定
し、エッジ端部をカットして、厚さ220μmの二軸配
向ポリエステルフィルムを、安定な状態で(延伸性○)
巻取り、製膜した。
【0045】かくして得られたフィルム中のオリゴマー
量は、0.28重量%と原料中のオリゴマー量よりも
0.05重量%も少ないという今までにはない低いオリ
ゴマー含有フィルムを得ることができた。また、フィル
ムの厚みむらは、長手方向で2%、幅方向で3%という
厚み均質性に優れたフィルムであり、しかも表面欠点が
ない平面性の優れたフィルムであった。
【0046】実施例2 実施例1で採用した原料製作工程で、固相重合しないま
まの原料に変更する以外は実施例1と全く同様にして厚
さ220μmの二軸配向フィルムを製膜した。すなわ
ち、原料としては、重合触媒として三酸化アンチモンを
0.06重量%添加して縮重合させ、三酸化アンチモン
残存触媒量0.04重量%、固有粘度[η]=0.62、
ガラス転移温度Tg69℃、融点Tm265℃、降温結
晶化温度Tmc236℃、オリゴマー含有量1.2重量
%、添加剤として平均粒径0.2μmの球形シリカを
0.1wt含有していた。
【0047】かくして得られたフィルムのオリゴマー量
は、固相重合していないにも関わらず、0.65重量%
と原料中のオリゴマー量よりも0.55重量%も少ない
という、今までにない低いオリゴマー含有量のフィルム
を得ることができた。また、フィルムの厚みむらは、長
手方向で3%、幅方向で4%という厚み均質性に優れた
フィルムであり、しかも表面欠点がない平面性の優れた
フィルムであった。
【0048】比較例1 実施例1で採用したタンデム押出機の代わりに、一軸の
通常の一台の押出機を用いて溶融押出を行った。したが
って、実施例1のように押出機から出たあとの流動状態
は過冷却状態ではなく、融点Tm以上の280℃で濾過
し、口金を通過させて厚さ220μmの二軸延伸フィル
ムを得た。
【0049】かくして得られたフィルム中のオリゴマー
量は、0.48重量%であり、原料中のオリゴマー量よ
りも0.15重量%も多くなり、せっかく原料段階で低
オリゴマーにしておいたものであったが、製品としては
高いオリゴマー含有フィルムしか得ることができなかっ
た。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂原料のオリゴマー量をWm
    (重量%)、該樹脂を溶融押出し成形した後の成型品の
    オリゴマー量をWf(重量%)としたとき、オリゴマー
    の増分ΔWが次式を満足することを特徴とする熱可塑性
    樹脂の溶融押出法。 ΔW = Wf−Wm<0.05
  2. 【請求項2】溶融押出し成形した後の成型品のオリゴマ
    ー量Wf(重量%)が、押出前の該熱可塑性樹脂原料の
    オリゴマー量Wm(重量%)よりも少ないことを特徴と
    する請求項1記載の熱可塑性樹脂の溶融押出法。
  3. 【請求項3】熱可塑性樹脂原料を、タンデム押出機に供
    給し、一段目の押出機で該樹脂の融点Tm以上に加熱
    し、均一に溶融させた後に、該樹脂の融点Tm以下、降
    温結晶化温度Tmc以上の過冷却状態で3分以上保持す
    ることを特徴とする熱可塑性樹脂の溶融押出法。
  4. 【請求項4】過冷却状態で3分以上保持されている間に
    異物を除去するフィルター工程を通過させることを特徴
    とする請求項3記載の熱可塑性樹脂の溶融押出法。
  5. 【請求項5】該熱可塑性樹脂原料として、重合触媒量を
    0.03重量%以上含有させて重合せしめたものを用い
    ることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の熱
    可塑性樹脂の溶融押出法。
  6. 【請求項6】該熱可塑性樹脂原料中に、残存重合触媒が
    0.01重量%以上含有している原料を用いることを特
    徴とする請求項1、2、3、4または5記載の熱可塑性
    樹脂の溶融押出法。
  7. 【請求項7】該熱可塑性樹脂が、ポリエステル樹脂であ
    ることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6
    記載の熱可塑性樹脂の溶融押出法。
  8. 【請求項8】該ポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレ
    フタレートであることを特徴とする請求項7記載の熱可
    塑性樹脂の溶融押出法。
  9. 【請求項9】請求項1〜8記載の熱可塑性樹脂の溶融押
    出法のうちいずれか一つを用いて、シート状物を溶融押
    出し、成型することを特徴とする熱可塑性樹脂シートの
    溶融押出法。
  10. 【請求項10】ポリエチレンテレフタレート樹脂が溶融
    押出されて成形された成型品であり、該成型品のオリゴ
    マー量が0.35重量%以下であることを特徴とする成
    型品。
  11. 【請求項11】該成型品が二軸延伸フィルムであること
    を特徴とする請求項10記載の成型品。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015074169A (ja) * 2013-10-09 2015-04-20 帝人デュポンフィルム株式会社 ポリエステル樹脂成形体の製造方法

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