JP2000071046A - 段付及び鍔付環状部材の製造方法 - Google Patents
段付及び鍔付環状部材の製造方法Info
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Abstract
面と小径側端面あるいは鍔部のいずれにも割れを発生さ
せず、また高寸法精度で且つ高強度な大径部と小径部と
を有する部材の製造方法を得ることにある。 【解決手段】 円柱状素材に冷間鍛造加工を行って段付
環状部材を形成するに際し、予め据込み加工で小径部端
面に相当する部位のせん断時に発生する荒れた切断面を
平滑に矯正しておき、次いで小径部を押出し加工するこ
とによって、押出し加工が大きな断面減少率であっても
素材せん断時の切断面荒れに起因する端面割れを防止す
る。一方、据込み加工時の素材の直径を段付環状部材の
大径部外径とほぼ等しくし、また大径部もしくは鍔部の
素材からの据込み加工率の上限を規制しておき、この部
分の割れ発生を防止する。
Description
鍔付環状部材の製造方法、更に詳しくは、線材もしくは
棒材をせん断して得られる円柱状素材から連続多段加工
によって大径部と小径部とを有する段付及び鍔付環状部
材を製造する方法に関する。
開昭52−119463号公報,特開昭56−1138
27号公報には、鍛造によって一個の円柱状素材から2
個の環状部材を製造するに際して歩留りの向上を図った
技術や、類似技術として特開昭54−51967号公報
が開示されている。
号公報及び特開昭56−113827号公報に開示され
たものにあっては、図7及び図8に示すように、1個の
円柱状素材を円筒形状(図7d)もしくはカップ形状
(図8c)に粗形成し、次いで段付円筒形状(図7e,
図8e)に成形して外輪部と内輪部を製造し、最後に外
輪と内輪とに切断して製品(図7f,図8g)を得る方
法である。なお、上記鍛造工程で外輪と内輪と切り離さ
ない場合には、前記段付円筒形状(図7e,図8e)の
ような部品も多く製造されている。
に説明すると、製品に必要な大きさに切断された素材1
に(b)で据込み加工を行って偏平状素材2を成形し、
次いで(c)でカップ状素材3を形成する。ここでこの
カップ状素材3の外径は後述する外輪6Aの外径とな
り、凹穴3aの内径は内輪6Bの内径となるように夫々
成形される。そして(d)で前記カップ状素材3の底部
3Aを打抜いて円筒状素材4を形成し、(e)で段付環
状部材5に成形される。この段付環状部材5の上方向に
押出された大径部分5Aが外輪6Aに相当する部分で、
接続部5Cを介して繋がる下方向へ押出された小径部分
5Bが内輪6Bに相当する部分である。次に(f)で前
記外輪6Aと内輪6Bとの接続部5Cを切り離して2個
の環状部材(外輪6A,内輪6B)を得ている。
程を説明すると、製品に必要な大きさに切断された素材
7に(b)で据込み加工を行って偏平状素材8を成形
し、次いで(c)でカップ状素材9を形成する。次の
(d)は部材の各部の寸法をほぼ決定する重要な工程で
あり、ここで形成された段付カップ状素材10の大径部
10Aの外径および内径は夫々後述する外輪13Aの外
径と内径となり、小径部10Bの外径と内径はそれぞれ
内輪13Bの外径と内径となるように成形される。
(e)は小径部10B側の底部11Cを打抜く工程であ
る。さらに(f)で外輪部12Aと内輪部12Bを切り
離し、(g)で外輪部12Aの内方フランジ部13Cを
切り離して外輪13Aと内輪13Bの2個の環状部材を
得ている。
の高い多段式ホーマを用いて連続的に多段圧造成形する
方法が一般的に行われているが、ここで加工される円柱
状素材は、切断速度が速いこと、歩留りロスが無いなど
の利点から、線材もしくは棒材をホーマの鍛造速度に合
わせてせん断することにより得ている。しかし、図7
(a)及び図8(a)に示すように、線材もしくは棒材
をせん断して得られる円柱状素材1,7は、その外周面
は線材もしくは棒材の引抜きままの平滑な面であるが、
その両端面1A,7Aはそれぞれせん断時に素材が強制
的に破断させられているため、擦り傷や微細クラック等
で非常に荒れた面になっている。
面に擦り傷や微細クラック等を有する円柱状素材、特に
延性の低い軸受鋼もしくは延性の低い鋼種を素材からな
る線材もしくは棒材をせん断して得られる円柱状素材
1,7を冷間鍛造するに際し、これを従来の方法で据込
み加工(図7b,図8b)を行うと、該円柱状素材
(1,7)の端面部(1A,7A)は大きく径が拡大
し、円周方向の大きな引張変形が発生して表面欠陥を起
点とした端面割れが発生する。また押出し加工時に大径
部や小径部の押出し側端面部に割れが発生しやすく、健
全な大径部と小径部とを有する段付環状部材や鍔付環状
部材の製造が不可能であった。
は、表面にきずや微細クラック等が存在していて、素材
の延性が低くなればなるほどより割れが発生し易くな
る。冷間鍛造の分野では、材料の延性を評価する尺度と
して、円柱状試験片を端面を拘束した据込み加工を行
い、外周面に割れが発生する据込み加工率を限界据込み
率として用いている。
は80%以上であるのに対し、軸受鋼の限界据込み率は
約70%程度と延性が低く、合金工具鋼や高速度工具鋼
になると延性はさらに低くなる。また上記限界据込み率
は、外周表面に有害なきずやクラックのない平滑な場合
であり、外周表面にきずや微細クラックが存在すると限
界据込み率は低下し、より割れ易くなる。
に割れが発生する場合であるが、一方、線材もしくは棒
材をせん断して得られる円柱状素材のように、端面にき
ずもしくは割れ等の表面欠陥が存在する円柱状素材にあ
っては、これを表面が平滑な工具で据込み加工を行うと
円柱状素材の端面部は大きく径が拡大し、円周方向の大
きな引張変形が発生して、表面欠陥を起点とした端面割
れが発生して健全な部材が得られない。
り詳細に説明すると、図7(b)あるいは図8(b)の
据込み加工時において、偏平状素材2,8の端面にせん
断時の表面欠陥に起因した割れが発生し、また図7
(e)の成型時に段付環状部材5の大径部5Aや小径部
5Bの押出し側端面部、あるいは図8(c)の押出し時
にカップ状素材9の上部端面部、もしくは図8(d)の
押出し時に段付カップ状素材10の大径部10Aの押出
し側の端面部に割れが発生し、健全な部材が得られな
い、といった問題があった。
工での上述のような段付環状部材を製造するに際し、多
段鍛造工程の途中、すなわち材料内では鍛造加工による
ひずみが工程を経るに従って逐次増加していくが、材料
内のひずみが破壊を起こすまで増加する手前の鍛造加工
でひずみ取り焼きなましを行って、一旦それまでの鍛造
による材料内の加工ひずみを消失させた後、再度鍛造加
工を行い材料の延性の低下に伴う割れ発生を防止するこ
とも実施されている。
で焼きなしを実施する必要があるため、生産性の低下や
中間製品の運搬等の余分な手間がかかること、さらには
焼きなましと次工程の潤滑処理などの余分な工程がコス
トアップにつながる問題があった。
を同時に製造するために1個の円筒状もしくはカップ状
素材から段付円筒状もしくは段付カップ状素材(例え
ば、図7e,図8d)を成形する際、前記特開昭54−
51967号公報の図1に示すような後方押出し方式で
鍛造を行っているため、同図7の(ニ)の外輪体3’や
(ホ)の内輪体3”もしくは(ハ)3のような環状部材
の内径と外径の同心度を高精度に出来ない問題があっ
た。
ように、ダイス14の中に押出しパンチ15が入ってき
て、素材Mは押出しパンチ15の押し込む方向と反対側
に押し出されるが、この際、環状部材の外径寸法はダイ
ス14の内径によって規制され、また内径寸法は押出し
パンチ15の成形部の外径によって規制されるため、環
状部材の内径と外径との同心度は押出しパンチ15とダ
イス14との心合わせ精度に直接影響される。
15が相対的に移動するため、ダイスと押出しパンチと
の心合わせ精度が高く出来ないことや、押出しパンチ1
5を保持する機械摺動部のがたつきや成形中の負荷によ
る機械のたわみがダイスと押出しパンチとの心ずれを大
きくする。したがって、少なくとも小径部の内径と外径
との同心度が高精度な段付環状部材、もしくは鍔部や円
筒部の内径と外径の同心度が高精度な鍔付環状部材を鍛
造によって得ることは、従来の製造技術では困難であっ
た。このことは、2個の環状部材を製造した場合でも、
後方押出し方式では外輪と内輪のそれぞれについて、内
径と外径との同心度が精度良く得られない問題が残るこ
とは同様である。
ように、ダイス14の中に押出しパンチ15がセットさ
れ、ダイス14と押出しパンチ15が相対的に移動せ
ず、またそれらを保持する機械の剛性に影響されないた
め、ダイス14と押出しパンチ15との同心精度はダイ
ス,押出しパンチ並びに両者の間に挿入されるノックア
ウトリング16の加工精度のみで決定される。そのた
め、これら工具類を高精度に仕上げれば環状部材の内径
と外径の同心度を高精度にすることが可能である。した
がって、段付環状部材の小径部もしくは鍔付環状部材の
円筒部の加工に、上記前方押出し加工を行えば、少なく
とも小径部の内径と外径との同心度が高精度な段付き環
状部材、もしくは鍔部や円筒部の内径と外径の同心度が
高精度な鍔付環状部材を鍛造によって得ることが可能に
なる。
有する段付環状部材の小径部や、鍔付環状部材の円筒部
の前方押出し加工は、一般に断面減少率(押出し加工前
の素材の断面積と押出し加工により減少した分の断面積
との比)の非常に大きな押出し加工となる。さらには、
内径と外径との同心度を高精度にするための、大径部と
小径部とを有する段付環状部材の小径部や、鍔付環状部
材の円筒部の前方押出し加工は、断面減少率の非常に大
きな押出し加工となること、更には、この小径部や円筒
部の押出し側の端面は擦りきずや微細クラック等の存在
するせん断面であるため、端面割れが発生しやすく、延
性の低い軸受鋼等の難加工材の加工に関してはこの端面
割れの発生のために製造が不可能であった。
記大径部と小径部とを有する段付環状部材もしくは鍔付
き環状部材は、鍛造で製造されるものは寸法精度が悪く
鍛造後の次工程で切削加工を行うことが不可欠であるた
め、内径側と外径側の切削加工を省略しそのまま研削加
工を行うことが困難であった。一方、切削加工で製造さ
れるものは素材歩留りが極端に悪く材料コストが高いの
みならず、大径部と小径部との接続部もしくは、図11
に示すように、鍔部17Aと円筒部17Bの接続部17
Cにおいてファイバーフロー17Dが切断されており、
これら接続部17Cにおいて強度が低下するという問題
があった。
ため、据込み加工前に素材の端面について切削加工等を
行って表面欠陥を除去することも考えられるが、この方
法では、切削加工等の余分な工程が必要でコストアップ
になるのみならず、せん断加工による素材取りの高能率
性や歩留りロスが無い利点が阻害されてしまう。
9739号公報には、このせん断により発生した端面側
の表面欠陥を中心側のスクラップとなる部分に留めるよ
うに工夫し、外周部側の製品には残らないようにした技
術が開発されているが、本発明は、前記特開平6ー33
9739号公報の発明とは異なる方法により、上記のよ
うな従来の問題点を解決するために成されたもので、線
材もしくは棒材をせん断して得られる円柱状素材から連
続多段加工によって大径部と小径部とを有する段付環状
部材もしくは鍔付き環状部材を製造する場合において、
高強度で延性の低い素材に対しても大径側端面と小径側
端面あるいは鍔部のいずれにも割れを発生させず、また
高寸法精度で且つ高強度な大径部と小径部とを有する段
付環状部材又は鍔付き環状部材を得ることを目的とした
ものである。
は、円柱状素材に冷間鍛造加工を行って段付環状部材を
形成するに際し、あらかじめ据込み加工で小径部端面に
相当する部位のせん断時に発生する荒れた切断面を平滑
に矯正しておき、次いで小径部を押出し加工することに
よって、押出し加工が大きな断面減少率であっても素材
せん断時の切断面荒れに起因する端面割れを防止する。
一方、据込み加工時の直径を段付環状部材の大径部外径
とほぼ等しくし、また大径部もしくは鍔部の素材からの
据込み加工率の上限を規制しておき、この部分の割れ発
生を防止する。これにより、本部品は冷間で鍛造加工す
るため寸法精度が良く、また大径部と小径部との接続部
もしくは鍔部と円筒部の接続部においてファイバーフロ
ーが切られることなく繋がっており強度が高いものとな
る。
す実施例により詳細に説明すると、図1は段付環状部材
の鍛造工程を示したもので、鍛造される素材は延性の低
い軸受鋼もしくはさらに延性の低い鋼種を対象にしてお
り、図中20は製品に必要な大きさに切断された素材で
ある。(b)でこの素材20に据込み加工を行って扁平
状素材21に成形し、次いで(c)で前後方押出しを行
って、上部22Aに凹穴22a及び下部に凸部22Bを
それぞれ有するカップ状素材22に粗成形する。
前記凸部22Bに前方押出しを行って段付カップ状素材
23の小径部23B側を成形する。この段付カップ状素
材23の前記小径部23B側は、ダイスの中に押出しパ
ンチがセットされる前記図10に示す前方押出し方式で
加工を行うため、ダイスと押出しパンチとの同心精度は
良く、小径部23Bの外径と凹穴23bの内径の同心度
を高精度にすることが可能である。次いで、(e)の工
程で(d)で形成された段付カップ状素材23の内径側
のスクラップ24Cを打抜いて、大径部24Aと小径部
24Bと有する段付環状部材24を形成する。
ので、図中25は製品に必要な大きさに切断された円柱
状素材である。(b)でこの円柱状素材25に据込み加
工を行って扁平状素材26に成形し、次いで(c)で前
方押出しを行って上部に鍔部27Aを下部に凸部27B
を有する鍔付円柱状素材27に粗成形する。(d)は前
記鍔付円柱状素材27の凸部27Bに前方押出しを行っ
て円筒部28Bを成形した鍔付円筒状素材28を得る工
程である。
れた鍔付円筒状素材28の前記円筒部28Bの内径側の
スクラップ29Cを打抜いて、鍔部29A並びに円筒部
29Bを有する鍔付環状部材29を形成する。これら一
連の成形加工はダイスの中に押出しパンチがセットされ
る前方押出し方式で加工を行うため、ダイスと押出しパ
ンチとの同心精度は良く、円筒部29Bの外径と内径な
らびに鍔部29Aの外径の同心度を高精度にすることが
可能である。
細に説明すると、図1の(b)で素材20に据込み加工
を行って偏平状素材21を成形するが、このとき、前記
素材20からの据込み率は55%以下にするとゝもに、
素材21の外周面をダイスの内径面で拘束する。そし
て、図3に示すように、据込み後の前記偏平状素材21
の直径Rは前記段付環状部材24における大径部24A
の外径とほぼ等しく成形するとゝもに、その端面の一つ
以上(図示では下端面のみ)について、中央寄りの小径
部21A側で厚く、しかもこの小径部21Aの直径rが
前記段付環状部材24における小径部24Bの内径より
も小さく、且つ水平面に対する角度θが5度以上の円錐
台形状となるように成形する。
ップ状素材22に粗成形するが、ここでこのカップ状素
材22の上部22Aの外径は前記段付環状部材24にお
ける大径部24Aの外径に、また上部22Aに形成した
前記凹穴22aの内径は大径部24Aに形成した凹穴2
4aの内径となり、更に前記凸部22Bの外径は前記小
径部24Bの外径となるようにそれぞれ成形する。
凸部22Bに前方押出しを行って小径部23B側を成形
する工程であるが、ここで形成された段付カップ状素材
23の小径部23Bにおける凹穴23bの内径は前記段
付環状部材24における小径部24Bの凹穴24bの内
径となる。この小径部23B側はダイスの中に押出しパ
ンチがセットされる前方押出し方式で加工を行うため、
ダイスと押出しパンチとの同心精度は良く、内径と外径
の同心度を高精度にすることが可能である。次いで、
(e)で(d)で形成された段付カップ状素材23の小
径部23Bにおける凹穴23b部のスクラップ24Cを
打抜いて、大径部24Aと小径部24Bとを有する段付
環状部材24を形成する。
て、円柱状素材20から偏平状素材21を成形する際の
据込み率を55%以下とするが、その必要性は、前述の
ように、線材もしくは棒材よりせん断で得られた円柱状
素材の端面には擦りきずや微細クラック等の表面欠陥が
存在しており、これに据込み加工を行うと据込み率が大
きくなるほど素材20の端面部は大きく径が拡大し、円
周方向の大きな引張変形が起こって、表面欠陥を起点と
した端面割れが発生し易くなるからである。
22Aに凹穴22aおよび下部に凸部22Bを有するカ
ップ状素材22に粗成形する工程であるが、上部22A
の前記凹穴22aの成形に関しては一般に断面減少率の
大きな押出し加工となるが、本発明では、(b)の据込
み加工時において、扁平状素材21の直径Rを段付環状
部材24における大径部24Aの外径とほぼ等しい扁平
形状に成形しているため、素材21の外周面側は押出し
に際してダイスの内径面に接している。したがって、素
材21における端面部の径は拡大せず、上部22Aの端
面部における表面では円周方向の引張変形が起こらない
ため端面割れの発生することがない。
状素材22の前記凸部22Bに前方押出しを行って小径
部23B側を成形する工程であるが、ここで形成される
小径部23Bの加工率は、(b)の据込み加工後の扁平
形状物21から(c)工程及び(d)工程のそれぞれの
前方押出し加工で逐次成形されるため、トータル断面減
少率としては非常に大きなものとなる。
は、カップ状素材22の前記凸部22Bの外径は段付環
状部材24の前記小径部24Bの外径となるように成形
しており、(d)工程の押出しに際して、凸部22Bの
外周面側はダイスに接していて小径部23Bの外径が拡
大せず、該小径部23Bの端面部の表面で円周方向の引
張変形が起こらないようにしていることは(c)工程の
凹穴22aの場合と同様であるが、上述のように、トー
タル断面減少率は凹穴22aの場合よりも更に非常に大
きくなっていることから、この押出し側端面部に微細な
表面欠陥が少しでも存在していると、押出し初期の引張
応力によりこの端面部に割れが発生してしまう。
ける割れの発生に対し、(b)工程の据込み加工時に、
据込み後の偏平状素材21がその端面の一つ以上につい
て、図3に示すように、中央寄りの小径部21A側で厚
く、この小径部21Aの直径rが段付環状部材24にお
ける小径部24Bの凹穴24bの内径よりも小さく、か
つ水平面に対する角度が5度以上の円錐台形状となるよ
うに成形し、せん断時に発生する擦りきずや微細クラッ
ク等の表面欠陥が、(d)工程の押出しに際して端面割
れを引き起こさない程度まで低減させることにより解決
した。
据込み加工は、素材のせん断時に発生する切断素材のだ
れや欠肉等の形状のゆがみおよび切断面の傾斜や段差等
を矯正する目的で行われているが、せん断時に発生する
擦りきずや微細クラック等の表面欠陥を消滅させるには
十分ではない。
鍛造によって消滅させる技術が第48回塑性加工連合講
演会で報告されている。これは、延性の高いステンレス
鋼等の円柱状素材の端面にV形状のパンチを押し込んで
表面欠陥の存在する端面部を大きく塑性変形させ、素材
端面の材料流動を大きくして欠陥を消滅させるものであ
る。しかし、この方法では、素材を大きく据込む必要が
あり、またパンチの先端がV形状のため、据込み率が大
きくなるほど素材端面部は大きく径が拡大し、円周方向
の大きな引張変形が発生して、軸受鋼のような延性の低
い材料では表面欠陥が消滅する前に逆に表面欠陥を起点
とした端面割れが発生し易くなる問題があった。
に、ダイス40の底面40Aは、内径面40B側から中
心のけり出しピン40C側に向け次第に深い円錐台形状
となっているから、据込みパンチ41による鍛造時にお
いて、素材端面の角隅部20Aはダイス40に対しあま
り移動しない。したがって、素材20の前記ダイス底面
40A側の端面は外側へ広がることはなく、割れが発生
するような円周方向の引張変形は起こらない。一方、ダ
イス底面40Aが上記形状をしていることによって、据
込みの進行に伴って素材20の端面20Bは外周側から
順次ダイス底面40Aと接触して行き、素材端面20B
のダイス底面40Aと接触している部分で高い圧縮応力
が発生し、また素材表面とダイス底面との間で微小な相
対すべりが発生する。
によって、素材端面20Bの表面近傍で塑性流動が起こ
り、せん断時に発生した表面欠陥は消滅するか軽減され
る。さらに、本発明では、据込み加工の後期にはダイス
の内周面40Bによって素材20の外周面部が拘束され
るので、圧縮の静水圧応力がさらに高まることによる効
果も加わる。このように、本発明によれば、素材端面の
表面欠陥は(d)工程の押出しに際して端面割れを引き
起こさない程度まで低減させることが出来る。また、上
記理由から、据込みによって得られる底部が円錐台形状
の偏平状素材21の小径部21A側の直径rは、段付環
状部材24の小径部24Bの凹穴24bの内径よりも小
さくすることが必要である。
べて、据込みパンチ41側の素材端面は据込み加工途中
の素材端面における圧縮応力は小さく、かつ端面の拡大
変形は大きくなるので、せん断時に発生した表面欠陥は
その形態を維持したまま引き延ばされる傾向がダイス底
面40A側の素材端面に比べて強い。そのため、据込み
パンチ41側の素材端面ではせん断時に発生した表面欠
陥の軽減程度はダイス底面40A側の素材端面より小さ
くなるが、据込み率を55%以下とすることにより据込
み時の割れの発生はない。
成形時においても、(d)工程の下部凸部22Bに前方
押出しを行って小径部23B側を成形する加工ほど断面
減少率は大きくなく、据込み加工で偏平状素材21の直
径Rを段付環状部材24の大径部24Aの外径とほぼ等
しい扁平形状に成形しているため、素材22Aの外周面
側は押出しに際してダイスに接している。したがって、
素材22Aの端面部の径が拡大せず、この端面部の表面
では円周方向の引張変形が起こらないため、端面割れが
発生することはない。
より詳細に説明するに、製品に必要な大きさに切断され
た素材25に(b)で据込み加工を行って、図3に示す
ような、直径Rが鍔付環状部材29の鍔部29Aの外径
とほぼ等しい偏平状素材26を成形する。このとき、切
断素材25からの据込み率は55%以下にするとゝも
に、素材26の外周面をダイスの内径面で拘束し、また
据込み後の偏平状素材26が、端面の一つ以上につい
て、中央寄りの小径部26A側で厚くこの小径部26A
の直径rが鍔付環状部材29の円筒部29Bの内径より
も小さく、且つ水平面に対する角度θが5度以上の円錐
台形状となるように成形する。
に凸部27Bを有する鍔付円柱状素材27に粗成形す
る。ここで、鍔付円柱状素材27の鍔部27Aの外径は
鍔付環状部材29の鍔部29Aの外径、また下部凸部2
7Bの外径は円筒部29Bの外径となるようにそれぞれ
形成する。
部27Bに前方押出しを行って円筒部28B側を成形す
る工程である。形成された円筒部28Bの凹穴28bの
内径は鍔付環状部材29の円筒部29Bの凹穴29bの
内径となる。次いで、(e)工程で(d)で形成された
素材28の内径側のスクラップ29Cを打ち抜いて円筒
部29Bならびに鍔部29Aを有する鍔付環状部材29
を形成する。これら一連の成形加工は、ダイスの中に押
出しパンチがセットされる前方押出し方式で加工を行う
ため、ダイスと押出しパンチとの同心精度は良く、円筒
部29Bならびに鍔部29Aの内径と外径の同心度を高
精度にすることが可能である。
って得た素材25からの据込み率を55%以下とする必
要性は、前述の段付環状部材24の場合と同様である。
また(d)は(c)で形成された鍔付円柱状素材27の
下部凸部27Bに前方押出しを行って円筒部28B側を
成形する工程であるが、ここで成形される円筒部28B
の加工率は前記段付環状部材24の小径部24Bと同様
に、トータル断面減少率としては非常に大きなものとな
る。
27の下部凸部27Bの外径を前記鍔付環状部材29の
円筒部29Bの外径とほぼ等しくなるように成形してお
り、(d)工程の押出しに際して、凸部27Bの外周面
はダイスの内周面に接しており円筒部28Bの外径が拡
大せず、円筒部28Bの端面部の表面で円周方向の引張
変形が起こらないようにしていることは段付環状部材の
場合と同様であるが、さらに、トータル断面減少率が非
常に大きくなっていることによる押出し側端面部の割れ
発生防止として以下のような手段を採用している。
据込み後の素材形状が、端面の一つ以上について、図3
に示すように、中央寄りの小径部26A側で厚く、この
小径部26Aの直径rが鍔付環状部材29の円筒部29
Bの内径よりも小さく、且つ水平面に対する角度θが5
度以上の円錐台形状となるように成形し、せん断時に発
生する擦りきずや微細クラック等の表面欠陥が(d)工
程の押出しに際して端面割れを引き起こさない程度まで
低減させる。
(b)工程の一回の据込み工程で、素材20,25に据
込み加工を行って直径が段付環状部材24の大径部24
Aもしくは鍔付環状部材29の鍔部29Aの外径とほぼ
等しい扁平形状に成形し、且つ素材20,25からの据
込み率は55%以下にするとゝもに、素材の外周面をダ
イス内径面で拘束し、また据込み後の形状が、端面の一
つ以上について、中央寄りの小径部21A,26A側で
厚く、この小径部21A,26Aの直径rが段付環状部
材24の小径部24Bもしくは鍔付環状部材29の円筒
部29Bの内径よりも小さく、且つ水平面に対する角度
θが5度以上の円錐台形状となるように成形する例を示
した。
込み工程を2回以上に分けて、端面の一つ以上につい
て、中央寄りの小径側で厚くこの小径部の直径が段付環
状部材の小径部もしくは鍔付環状部材の円筒部の内径よ
りも小さく、かつ水平面に対する角度が5度以上の円錐
台形状となるように成形する加工と、直径が段付環状部
材の大径部もしくは鍔付環状部材の鍔部の外径とほぼ等
しい扁平形状に形成する加工とを別々に実施しても良
い。この場合も、せん断した素材からのトータル据込み
率は55%以下にする。
例を、図5により説明するに、図中30は製品に必要な
大きさに切断された素材である。(b)で素材30に据
込み加工を行って、直径が後述する鍔付環状部材34の
鍔部34Aの外径とほぼ等しい扁平状素材31に成形す
る。このとき、素材30からの据込み率は55%以下に
するとともに素材31の外周面をダイスの内周面で拘束
し、また据込み後の扁平状素材31の形状が端面の一つ
以上について、前記の図3に示すものと同じように、中
央寄りの小径部31A側で厚く、この小径部31Aの直
径が鍔付環状部材34の円筒部34Bの内径よりも小さ
く、且つ水平面に対する角度θが5度以上の円錐台形状
となるように成形する。
に凹穴32aを有するカップ状素材32に粗成形する。
ここで、カップ状素材32の外径は鍔付環状部材34の
鍔部34Aの外径、また凹穴32aの内径は円筒部34
Bの内径となるようにそれぞれ成形する。次いで、
(d)工程で(c)で形成されたカップ状素材32の内
径側のスクラップ33Cを打抜いて円筒部材33を形成
する。(e)は上記円筒部材33に前方押出しを行って
鍔付環状部材34の鍔部34Aならびに円筒部34Bを
それぞれ成形する工程である。これら一連の成形加工
は、ダイスの中に押出しパンチがセットされる前方押出
し方式で加工を行うため、ダイスと押出しパンチとの同
心精度は良く、円筒部34Bならびに鍔部34Aの内径
と外径の同心度を高精度にすることが可能である。
の据込み率を55%以下とする必要性は、前述の段付環
状部材24の場合と同様である。また、(e)は(d)
で形成された円筒部材33に前方押出しを行って鍔部3
4Aならびに円筒部34Bを成形する工程であるが、こ
こで形成される円筒部34Bの加工率は、前記段付環状
部材24の小径部24Bと同様にトータル断面減少率と
しては非常に大きなものとなる。
発生の防止として、(b)工程の据込み加工時に、据込
み後の素材形状が、端面の一つ以上について、図3に示
すように、中央寄りの小径部31A側で厚く、この小径
部31Aの直径rが鍔付環状部材34の円筒部34Bの
内径よりも小さく、かつ水平面に対する角度θが5度以
上の円錐台形状となるように成形し、せん断時に発生す
る擦りきずや微細クラック等の表面欠陥が、(e)工程
の押出しに際して端面割れを引き起こさない程度まで低
減させる。また冷間鍛造で製造されているため切削加工
品と異なって、大径部と小径部との接続部もしくは、図
6に示すような鍔部34Aと円筒部34Bの接続部にお
いて、図6に示すようにファイバーフロー34Dの切断
が回避されており、これら接続部において強度が高く、
従来の切削品より高強度化もしくは必要強度が同じなら
軽量化が図れる。
用素材を切出し、外径22.2mm,内径17.8mm
の大径部と、外径12.8mm,内径7.9mmの小径
部を有する段付環状部材を、従来の製造方法と本発明の
製造方法でそれぞれ作製した。従来の製造方法で作製し
た場合、段付環状部材の大径部の端面もしくは小径部の
端面に大きな割れが発生し、あるいは据込み時に発生し
た端面内の割れが段付環状部材の表面に残留して健全な
製品が得られなかったが、本発明の製造方法で作製した
段付環状部材には有害な表面きずや割れは認められず、
健全な製品が安定して得られた。
工程の一例を示すと、(b)の据込み工程で、直径が1
8.4mmの円柱状切断素材20を直径22mmに据込
み加工したが、両端面および外周面に割れの発生は認め
られなかった。このときの据込み率は約30%であっ
た。また、同じく(b)の工程で据込み率54%で据込
み加工した場合も、両端面及び外周面に割れの発生は認
められなかったが、据込み率を60%と大きくした場合
には、据込み後の偏平状素材21の据込みパンチ側の端
面に部分的に割れが発生し、割れのない健全な据込み素
材は安定して得られなかった。
て次に(c)工程で前後方押出しを行った。このときの
各部の断面減少率は上部の凹穴22a側は66%で下部
凸部22B側では67%であったが、いずれの端面側に
も割れの発生は認められなかった。この(c)工程の前
後方押出しに際して、本発明の鍛造方法とは異なって直
径が20mmの据込み成形された素材を用いた場合は、
上部の凹穴22a側の端面に大きな割れが発生した。
状素材22の下部凸部22Bに前方押出しを行って小径
部23B側を成形する工程であり、この小径部23Bの
加工率は(b)の据込み加工後の偏平状素材21からの
トータル断面減少率が80%と非常に大きくなってい
る。しかし、(b)の据込み工程で偏平状素材21の底
部を本発明のように加工することにより、この小径部の
端面に割れを発生させずに押出し成形することができ
た。
底部を水平面に対する角度θが5度以上の円錐台形状と
なるように成形しないと、せん断時に発生する素材端面
の表面欠陥を押出しに際して端面割れを引き起こさない
程度まで低減させることができない。一方、据込み加工
後の素材の底部に、従来のように段付環状部材の小径部
の内径より大きなフラット面を有するようにした場合に
は、この小径部側の端面に大きな割れもしくは微細な割
れが多数発生した。
の割れを防ぐためだけであれば、小径部の加工率を低減
する目的で小径部の直径に近い径を有する線材あるいは
棒材を使用することが考えられるが、この場合は大径部
側の加工率が大きくなる。直径12.7mmの素材を用
いて、小径部の径はそのままで、大径部の直径が各20
mm,22mmのそれぞれの2段円柱形状に据込んだ場
合、いずれも大径部の端面側に割れが発生した。
2)の線材からせん断で鍛造用素材を切出し、鍔付環状
部材を従来の製造方法と本発明の製造方法で夫々作製し
た。従来の製造方法で作製した場合、鍔付環状部材の鍔
部の上面もしくは円筒部の端面に大きな割れが発生し、
あるいは据込み時に発生した端面内の割れが鍔付環状部
材の表面に残留し、健全な製品が得られなかったが、本
発明の製造方法で作製した鍔付環状部材には有害な表面
きずや割れは認められず、健全な製品が安定して得られ
た。
部と円筒部それぞれの外径と内径の中心軸のずれは最小
で0.06mm程度が限界であったが、本発明の製造方
法で作製した鍔部と円筒部それぞれの外径と内径の中心
軸のずれは、安定して0.02mm以下のものが得られ
た。
延性の低い軸受鋼もしくはさらに延性の低い鋼種に対し
ても、鍛造工程の途中で焼きなまし工程や潤滑工程等を
追加して実施することなく、生産性の高い多段式ホーマ
を用いて連続的に冷間多段圧造成形することができると
ゝもに、表面欠陥のない健全な大径部と小径部とを有す
る段付環状部材あるいは鍔付環状部材を低コストで量産
的に製造することが可能である。また、本発明によれ
ば、小径部もしくは鍔部および円筒部のいずれもが内外
径の同心精度が格段に良く、内径側と外径側の切削加工
を省略しそのまま研削加工を行うことが可能な、上記大
径部と小径部とを有する段付環状部材もしくは鍔付環状
部材を鍛造で製造することが出来る。更に、冷間鍛造で
製造されているため、切削加工品と異なって、大径部と
小径部との接続部もしくは鍔部と円筒部の接続部におい
てファイバーフローの切断が回避されるため、これら接
続部において強度が高く、従来の切削品より高強度化も
しくは必要強度が同じなら軽量化が図れる、といった諸
効果がある。
す説明図である。
す説明図である。
面図である。
ある。
を示す説明図である。
る。
示す説明図である。
程を示す説明図である。
フローを示す説明図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 線材もしくは棒材をせん断して得られる
円柱状素材から連続多段加工によって大径部と小径部と
を有する段付環状部材を成形する冷間鍛造法において、
予め前記円柱状素材を段付環状部材の前記大径部の外径
とほぼ等しい直径に据込み率55%以下で据込み加工す
るとゝもに、据込み後の素材形状が、その端面の一つ以
上について、中央部寄りの小径部側で厚くしかもこの小
径部の直径が段付環状部材の前記小径部の内径よりも小
さく、且つ水平面に対する角度が5度以上の円錐台形状
となるように成形することを特徴とする段付環状部材の
製造方法。 - 【請求項2】 線材もしくは棒材をせん断して得られる
円柱状素材から連続多段加工によって大径部と小径部と
を有する段付環状部材を成形する冷間鍛造法において、
予め前記円柱状素材を段付環状部材の前記大径部の外径
とほぼ等しい直径に据込み率55%以下で据込み加工す
るとゝもに、据込み後の素材形状が、その端面の一つ以
上について、中央部寄りの小径部側で厚くしかもこの小
径部の直径が段付環状部材の前記小径部の内径よりも小
さく、且つ水平面に対する角度が5度以上の円錐台形状
となるように成形し、次いで、一端は外径が段付環状部
材の前記大径部の外径で且つ該大径部の内径を有する凹
穴、および他端は外径が段付環状部材の前記小径部の外
径となる凸部を有する粗形状に成形した後、前記凸部に
前方押出しを行って形成される凹穴の内径が段付環状部
材の前記小径部の内径となるように成形し、次いで、内
径側の余肉部を打抜くことを特徴とする段付環状部材の
製造方法。 - 【請求項3】 線材もしくは棒材をせん断して得られる
円柱状素材から連続多段加工によって鍔付環状部材を成
形する冷間鍛造法において、予め前記円柱状素材を前記
鍔付環状部材の鍔部の外径とほぼ等しい直径に据込み率
を55%以下で据込み加工するとゝもに、据込み後の素
材形状が、その端面の一つ以上について、中央部寄りの
小径部側で厚くしかもこの小径部の直径が前記鍔付環状
部材の円筒部の内径よりも小さく、且つ水平面に対する
角度が5度以上の円錐台形状となるように成形すること
を特徴とする鍔付環状部材の製造方法。 - 【請求項4】 線材もしくは棒材をせん断して得られる
円柱状素材から連続多段加工によって鍔付環状部材を成
形する冷間鍛造法において、予め前記円柱状素材を前記
鍔付環状部材の鍔部の外径とほぼ等しい直径に据込み率
を55%以下で据込み加工するとゝもに、据込み後の素
材形状が、その端面の一つ以上について、中央部寄りの
小径部側で厚くしかもこの小径部の直径が前記鍔付環状
部材の円筒部の内径よりも小さく、且つ水平面に対する
角度が5度以上の円錐台形状となるように成形し、次い
で、一端は外径が鍔付環状部材の前記鍔部の外径、およ
び他端は外径が鍔付環状部材の前記円筒部の外径となる
凸部を有する粗形状に成形した後、該凸部に前方押出し
を行って形成される凹穴の内径が鍔付環状部材の前記円
筒部の内径となるように成形し、次いで、内径側の余肉
部を打抜くことを特徴とする鍔付環状部材の製造方法。 - 【請求項5】 線材もしくは棒材をせん断して得られる
円柱状素材から連続多段加工によって鍔付環状部材を成
形する冷間鍛造法において、予め前記円柱状素材を前記
鍔付環状部材の鍔部の外径とほぼ等しい直径に据込み率
55%以下で据込み加工するとゝもに、据込み後の素材
形状が、その端面の一つ以上について、中央部寄りの小
径部側で厚くしかもこの小径部の直径が前記鍔付環状部
材の円筒部の内径よりも小さく、且つ水平面に対する角
度が5度以上の円錐台形状となるように成形し、次い
で、外径は鍔付環状部材の前記鍔部の外径で、一端に鍔
付環状部材の前記円筒部の内径となる凹穴を有する粗形
状に成形した後、内径側の余肉部を打抜いて円筒状部材
を形成し、次いで、該円筒状部材に前方押出しを行って
形成される小径部の外径が鍔付環状部材の前記円筒部の
外径となるように成形することを特徴とする鍔付環状部
材の製造方法。
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