JP3422941B2 - リング状部品の製造方法 - Google Patents

リング状部品の製造方法

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JP3422941B2 JP26256598A JP26256598A JP3422941B2 JP 3422941 B2 JP3422941 B2 JP 3422941B2 JP 26256598 A JP26256598 A JP 26256598A JP 26256598 A JP26256598 A JP 26256598A JP 3422941 B2 JP3422941 B2 JP 3422941B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リング状部品の製
造方法、更に詳しくは、延性が低く変形抵抗の高い難加
工材を素材として、断面減少率の大きなリング状部品を
冷間鍛造によって製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】円柱状の素材からリング状部品を鍛造で
製造する場合、従来は図6に示すように、線材あるいは
棒材からせん断で作った同図(I)に示す円柱状の素材
Aに、(II)及び(III) で据込み加工を施し、これに
(IV)で押出し加工を施してカップ状に成形し、次に
(V)の打抜き加工で、前記押出し加工(IV)により成
形したこのカップ状部材Bの内径側のスクラップ部Cを
打抜いて、リング状部品Dを製造していた。
【0003】押出し工程において、その押出し時の成形
荷重は断面減少率と密接な関係があり、図7に示すよう
に、断面減少率が大きくなるにしたがって押出し荷重も
増加する。また鍛造される素材の強度が高い場合、図8
に示すように、断面減少率が大きいと押出しパンチに作
用する応力がパンチ材質の耐圧強度近く、もしくはそれ
以上になり、パンチの短寿命あるいは早期破損で押出し
不可能となる。そのため、従来の鍛造方法では製造でき
るリング状部品の断面減少率に限界があった。
【0004】また、材料に鍛造を行って部材を製造する
場合、その材料が持つ延性を越えるような高い加工率で
鍛造を行うと、製造された部材に割れが発生する。円柱
素材からリング状部品を鍛造で製造する場合において
は、上記の素材の延性と加工率との関係に起因する割れ
は、押出し工程において押出し側端面部に発生する。押
出し時の断面減少率が大きくなるとゝもに、押出し側端
面部に割れが発生し易くなり、また鍛造される素材の延
性が低いほど端面部に割れが発生し易くなる。そのた
め、従来の鍛造方法では、延性の低い材料に対しては製
造できるリング状部品の断面減少率、すなわち、製造で
きるリング状部品の円筒部の薄さに限界があった。
【0005】高硬度マルテンサイト系ステンレス鋼や金
型用鋼は、その素地内に炭化物を多量に有し、延性が極
めて低く変形抵抗の高い難加工材である。それゆえ、こ
れら難加工材を素材としたリング状部品は冷間鍛造では
殆ど製造されておらず、さらに断面減少率の大きなリン
グ状部品を従来の鍛造方法によって製造することは全く
不可能であった。
【0006】このことは、例えば特開平4−32982
4公報にも記載されており、マルテンサイト系ステンレ
ス鋼のSUS420J2について、通常の製造方法では
引張強さが高く冷間鍛造が実質不可能であるとして、成
分の最適化や新しい熱処理方法を提案している。一方、
特開平7−316744公報では、同じくマルテンサイ
ト系ステンレス鋼のSUS420J2類似鋼について、
冷間加工時の加工割れが発生しやすいという問題を解決
する手段を提案している。
【0007】しかしながら、文献(電気製鋼、第64
巻、第2号、77〜83ページ)に示すように、DIN
X90やSUS440Cのような高硬度マルテンサイト
系ステンレス鋼はSUS420J2に比べるとC(炭
素)やCr含有量が多い。したがって、高硬度マルテン
サイト系ステンレス鋼はさらに変形抵抗が高く延性が低
いので、冷間加工性の悪さはSUS420J2の比では
ない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の理由により、高
硬度マルテンサイト系ステンレス鋼や金型用鋼製のリン
グ状部品は、従来切削加工で製造されている。そのた
め、加工前の素材の大部分が切り屑スクラップとなり材
料歩留りが非常に悪く、一方、該素材は高価な合金成分
を多量に含有しており、素材費そのものが非常に高価で
ある。これらのことから、高硬度マルテンサイト系ステ
ンレス鋼や金型用鋼製のリング状部品は従来非常に高価
なものとなっていた。更には、切削加工では薄肉のリン
グ状部品であっても、切り屑スクラップが増すのみで必
要素材の低減にはつながらないといった諸問題があっ
た。
【0009】本発明は、上記のような従来の諸問題点を
解決するために成されたもので、高硬度マルテンサイト
系ステンレス鋼や金型用鋼など、素地内に炭化物を多量
に有していて延性が極めて低い高強度難加工材を素材と
しても、大きな断面減少率で且つ端面部に割れが発生し
ないリング状部品を冷間鍛造によって製造することがで
きる方法を提供することを目的としたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の目的を
達成するため、先ず円柱状の素材を、製品内径より小さ
い内径を持ったカップ状部材に押出す予備押出しを行
い、次いで、予備押出し工程で形成されたこのカップ状
部材の内径を製品内径と同じ径に成形するとゝもに、そ
の加工で発生する余肉部を前記カップ状部材の内径側の
スクラップ部に移動させることによって、予備押出し時
の成形荷重を製品内径に直接押出す場合よりも小さくし
てパンチなどの工具の短寿命あるいは早期破損を防止
し、且つ予備押出し工程での断面減少率を製品内径に直
接押し出す場合よりも小さくして端面割れを防止するこ
とにより、延性の低い高強度難加工材を素材としても断
面減少率の大きなリング状部品を鍛造によって得ようと
するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図1乃至図4に示
す実施例により詳細に説明すると、従来技術のところで
述べたように、延性の低い高強度難加工材を素材とした
リング状部品の冷間鍛造では、押出し工程で、押出し荷
重あるいは端面割れの面で加工できる断面減少率に限界
があった。
【0012】そこで本発明方法では、図1に示すよう
に、円柱状の素材1に製品内径より小さい内径の凹穴2
aを持った第1カップ状部材2に押出す予備押出し工程
(II)と、該予備押出し工程(II)で成形された前記第
1カップ状部材2の凹穴2a内に製品内径と同じ径を有
するパンチを押込んで製品内径部を成形する主押出し工
程 (III)、の2工程に分けた押出し加工を順次施し、予
備押出し加工時の成形荷重を従来の製品内径を直接押出
し成形する場合よりも低減した。
【0013】すなわち、前記予備押出し工程(II)で
は、製品内径(φa)より小さい内径(φb)の凹穴2
aを有する第1カップ状部材2に押出し成形することに
より、製品内径を直接押出し成形する場合よりも断面減
少率を小さくして、成形荷重を低減している。また、従
来技術において、製品内径を直接押出し成形した際に、
素材の押出し側端面部に割れが発生するような場合で
も、予備押出し工程(II)での断面減少率は製品内径を
直接押出し成形する場合よりも小さくなるので、第1カ
ップ状部材2の端面部2bに割れは発生しない。
【0014】つぎに、前記予備押出し工程(II)に続く
製品内径部を成形する主押出し工程(III) では、図2に
示すように、予備押出し工程(II)で成形された前記第
1カップ状部材2の凹穴2a内に製品内径(φa)と同
じ外径を有する押出しパンチPを押込んで、製品内径部
を成形した第2カップ状部材3を形成する。
【0015】このとき、前工程の前記予備押出し工程
(II)で形成した前記第1カップ状部材2の内径側に
は、既にその大部分が空隙となるような凹穴2aが成形
されているため、主押出し工程(III) では実質の断面減
少率が小さくなっており、成形荷重は従来工程と比べは
るかに小さい荷重となる。したがって、素材の強度が高
い場合でも大きな断面減少率のカップ状部材を成形する
ことができ、かつ押出しパンチPをはじめとするノック
アウトピンKやダイスR等の工具寿命も延長できる効果
がある。
【0016】次いで、この主押出し工程(III) では、前
工程の予備押出し工程(II)で成形された前記第1カッ
プ状部材2の製品内径(φa)より小さい内径(φb)
の凹穴2a内に製品内径(φa)と同じ外径の押出しパ
ンチPを押込むことにより、図2の左側に示すように、
前記凹穴2aの開口部に近い位置に先ず発生した余肉部
2dを押出しパンチPの先端面で押込んで第1カップ状
部材2の底部スクラップ部2cまで移動させ、第2カッ
プ状部材3を形成する。この第2カップ状部材3には、
図1(III) 及び図2の右側に夫々示すように、製品内径
(φa)と同じ内径の凹穴3aが成形されているとゝも
に、底部スクラップ部3cの上部にバリ状となった余肉
部3dが形成されている。
【0017】そのため、第2カップ状部材3の押出し側
端面部3bでは変形は起こらず、また端面部3bの表面
で割れを発生させるような引張応力も作用しない。した
がって、主押出し工程(III) を経て形成される第2カッ
プ状部材3の押出し側端面部3bに割れは発生しない。
このように、従来技術において、製品内径を直接押出し
成形する際に、素材の押出し側端面部に割れが発生する
ような場合でも、本発明によれば、同じ断面減少率、す
なわち同じ円筒部の肉厚を有する端面割れのないリング
状部品を製造することができる。
【0018】そしてまた、主押出し工程(III) で第2カ
ップ状部材3を形成した際、その底部スクラップ部3c
とその上部にバリ状となって形成された前記余肉部3d
との連接部3eは、図2の右側及び図3の左側に夫々示
すように、製品内径(φa)より内側に入った位置にあ
る。したがって、次の打抜き工程(IV)時において、図
3の右側に示すように、第2カップ状部材3の内径側の
前記底部スクラップ部3c及び余肉部3dからなる底部
スクラップ部4c及び余肉部4dを打抜きパンチP1に
よりダイスR1の切断面Sで切断する場合、前記連接部
4e(3e)は底部スクラップ部4c(3c)側にある
ため、打抜いて形成されたリング状部品4の内面には有
害なキズは残留しない。
【0019】なお、本発明において、前記主押出し工程
(III) で製品内径部を成形した際、第2カップ状部材3
の内径側の底部スクラップ部3cの上部に余肉部3dが
バリ状となって形成される結果、押出しパンチPの移動
に伴って前記余肉部3dは図2の右側に示すように、押
出しパンチPの先端面と底部スクラップ部3cとの間に
挟まれて成形荷重を増加させることになる。したがっ
て、製品内径部を形成する際の該パンチPの押込み加工
で発生する前記余肉部3dをなるべく少なくするか、余
肉部3dが多い場合は押出しパンチPの押込み量を幾分
少なくして、成形荷重を増加させないようにすることが
望ましい。
【0020】図4に示すものは本発明方法の他実施例
で、この製造方法は、前記図1(II)の予備押出し工程
で製品内径(φa)より小さい内径(φb)を持った第
1カップ状部材2に押出した後、次のような先端形状を
有する押出しパンチ5で再度押出し、製品内径部を成形
した第2カップ状部材13を形成する方法である。すな
わち、前記押出しパンチ5は、製品内径部を成形する径
を有する大径部5aと、先端に前記予備押出し工程で形
成した第1カップ状部材2の内径より小さい径の凸部を
有する小径部5bとをそれぞれ有し、それら及びそれら
と先端面,側面とをそれぞれ滑らかにつないだ先端形状
を有するものである。
【0021】この場合でも、押出し初期には、図4の左
側に示すように、押出しパンチ5の大径部5aの先端面
に位置する素材(余肉部)2dはそのまま、パンチ先端
面とともに第1カップ状部材2の内径側の底部スクラッ
プ部2c側へ向かって押圧される。したがって、第1カ
ップ状部材2の前記押出し側端面部2bでは変形は起こ
らず、又端面部2bの表面で割れを発生させるような引
張応力も作用しないので、この場合でも第1カップ状部
材2の押出し側端面には割れは発生しない。
【0022】押出しが進行し、素材(余肉部)2dが押
出しパンチ5の大径部5aと小径部5bとの段差部分に
充満した後は、図4の右側に示すように、第2カップ状
部材13の円筒部で押出し変形が起こって素材の押出し
側端面部13bが上方へ移動するが、この時にはすでに
押出し側端面部13bは押出しパンチ5の側面とダイス
Rの内面との間の隙間を移動するだけなのでこの部分で
変形は起こらず、また端面部13bの表面部で割れを発
生させるような引張応力も作用しない。したがって、こ
の場合でも第2カップ状部材13の押出し側端面部13
bには割れは発生しない。
【0023】なお、本実施例に示す方法では、第2カッ
プ状部材13の内径側の底部スクラップ部13cの上部
にバリ状となって形成される余肉部13dは前述の例よ
りはるかに少なくなるので、押出しパンチ5の先端面と
底部スクラップ部13cとに余肉部13dが挟まれるこ
とによって発生する成形荷重の増加を防止できる。
【0024】
【実施例】つぎに、本発明方法の実施例と比較例を述べ
ると、リング状部品の素材として高硬度マルテンサイト
系ステンレス鋼DINX90を用いた。なお、冷間鍛造
の分野では、材料の延性を評価する尺度として、円柱状
試験片を端面を拘束した据込み加工を行い、外周面に割
れが発生する据込み加工率を限界据込み率として用いて
いる。そして、一般の冷間鍛造用鋼ではこの限界据込み
率は80%以上であるのに対し、難加工材とされている
軸受鋼は70%程度で、さらにDINX90になると限
界据込み率は60%程度と延性が極端に低い。また、上
記限界据込み率は有害なきずやクラックのない平滑な外
周面表面での場合であり、表面にきずや微細クラックが
存在すると限界据込み率は低下し、より割れ易くなる。
【0025】DINX90の直径20mm線材から鍛造
用の素材を切り出し、外径21.5mm,内径16.7
mmのリング状部品を、前記図1に示す各工程からなる
本発明の製造方法と、図5に示す従来の鍛造工程でそれ
ぞれ作製した。
【0026】そこで、先ず、DINX90の直径20m
mの線材から切り出した鍛造用の素材を、図1に示す工
程からなる本発明の製造方法により、外径21.5m
m,内径16.7mmのリング状部品を製造する実施例
を以下に述べると、図1(I)の据込み工程で、端面矯
正と外周面矯正を行った(切削や線材,棒材を変形なく
切断して素材を得る場合はこの工程は必要ない)素材
を、(II)の予備押出し工程で、目的とする製品内径寸
法16.7mm(φa)より小さい内径14.4mm
(φb)の第1カップ状部材に押出し成形した。このと
きの押出し断面減少率は44.9%で、目的の製品内径
寸法に押出す場合より断面減少率が小さく、素材の延性
限界を越えなかったので、押出し側端面部に有害な表面
きずや割れ等は発生しなかった。
【0027】次いで、予備押出し工程(II)で形成され
た前記第1カップ状部材の凹穴内に製品内径と同じ径を
有するパンチを押込み、内径16.7mmの製品内径部
を成形した第2カップ状部材を形成した。このとき、前
記パンチの押込み加工で発生する内径側の余肉部は、図
1(III) の主押出し工程に示すように、内径側の底部ス
クラップ部に移動しており、本加工工程でも第2カップ
状部材の押出し側端面部に有害な表面きずや割れ等は発
生しなかった。
【0028】次いで、図1(IV)の打抜き工程で、(II
I) の主押出し工程で形成された第2カップ状部材の内
径側の底部スクラップ部を打抜き、リング状部品を形成
した。ここで、主押出し工程(III) の製品内径部を成形
する加工で、パンチの押込み加工で発生する余肉部は、
図3に示すように、素材内径側の底部スクラップ部上部
にバリ状となって形成されるが、素材内径側の底部スク
ラップ部と前記バリ状の余肉部との連接部は、予備押出
し工程(II)での内径が14.4mmであることから、
打ち抜き工程(IV)における切断面の直径16.7mm
に対しスクラップ部側に入っているため、形成されるリ
ング状部品の内周面には有害なキズは残留しなかった。
【0029】このように、本発明の製造方法によると、
図1(II)の予備押出し工程と同図(III) の製品内径部
を成形する主押出し工程の2回の押出し工程によって目
的とする製品寸法に仕上げるので、素材の延性が極端に
低く、かつ断面減少率が大きな(本例では60.3%)
本実施例の場合でも、有害な表面きずや割れの無い健全
なリング状部品が安定して成形できた。
【0030】一方、同じくDINX90の直径20mm
線材から鍛造用素材を切り出し、外径21.5mm,内
径16.7mmのリング部品を、図5に示す従来の鍛造
工程で作製した。図5において、(I)は据込み工程、
(II)は押出し工程、(III)は打抜き工程である。従来
のこの鍛造工程では、前記(I)の据込み工程で加工さ
れた前記素材A1を(II)の押出し工程で目的とする製
品内径寸法16.7mm(φb=φa)のカップ状部材
B1に一気に押出し成形する。
【0031】この場合、延性の高い冷間鍛造用鋼を押出
し加工する場合には、押出し時の押出し側端面部に割れ
が発生する恐れはなく、また鍛造工程も少なく簡単であ
るので、従来の鍛造工程の方が有利である。しかし、延
性の低いDINX90では、本実施例における断面減少
率60.3%の押出し加工により押出し側端面部B2に
大きな割れが発生し、冷間鍛造が不可能であった。した
がって、(III) の打抜き工程で得られたリング状部品D
1の端面部にも前記割れが残っていた。
【0032】また、押出し時の成形荷重も、本発明の鍛
造方法における図1(II)の予備押出し工程での成形荷
重に対し、約1.3倍と非常に大きくなった。なお、前
述の限界据込み率は個々の鋼種,素材に固有のものであ
る。本実施例におけるDINX90の場合は、予備押出
し工程で断面減少率44.9%の押出し加工が可能であ
ったが、予備押出し工程で押出し加工が可能な断面減少
率は鋼種,素材によって異なることは明白である。
【0033】
【発明の効果】本発明に係るリング状部品の製造方法
は、上記のように、円柱状の素材を、製品内径より小さ
い内径の凹穴を持ったカップ状部材に押出す予備押出し
工程と、該カップ状部材の前記凹穴内に製品内径と同じ
径のパンチを押込んで製品内径部を成形するとゝもに、
前記パンチの押込み加工で発生する余肉部を内径側の底
部スクラップ部に移動させる主押出し工程と、該主押出
し工程で形成されたカップ状部材の内径側の前記底部ス
クラップ部と余肉部を打抜いてリング状部品を形成する
打抜き工程を順次経る構成であるから、高硬度マルテン
サイト系ステンレス鋼や金型用鋼等、素地内に炭化物を
多量に有し延性が極めて低く、変形抵抗の高い難加工材
の素材から大きな断面減少率のリング状部品を冷間鍛造
により成形でき、切削加工で製造していた従来方法と比
較して、加工前の素材量が大幅に低減され、リング状部
品の製造コストを大幅に低減することができ、特に薄肉
のリング状部品になるほどその製造コストの低減が図ら
れる、といった諸効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る製造方法の製造工程を示す説明図
である。
【図2】主押出し工程を示す作用説明図である。
【図3】打抜き工程を示す作用説明図である。
【図4】主押出し工程の他実施例の作用説明図である。
【図5】実施例で行った従来の鍛造工程を示す作用説明
図である。
【図6】従来の鍛造工程を示す作用説明図である。
【図7】断面減少率と押込みパンチにかかる面圧の一例
を示すグラフである。
【図8】素材硬さと押出しパンチにかかる面圧の一例を
示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21D 53/16 B21K 21/06

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円柱状の素材を、製品内径より小さい内
    径の凹穴を持ったカップ状部材に押出す予備押出し工程
    と、該カップ状部材の前記凹穴内に製品内径と同じ径の
    パンチを押込んで製品内径部を成形するとゝもに、前記
    パンチの押込み加工で発生する余肉部を内径側の底部ス
    クラップ部に移動させる主押出し工程と、該主押出し工
    程で形成されたカップ状部材の内径側の前記底部スクラ
    ップ部と余肉部を打抜いてリング状部品を形成する打抜
    き工程を順次経ることを特徴とするリング状部品の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 円柱状の素材を、製品内径より小さい内
    径の凹穴を持ったカップ状部材に押出す予備押出し工程
    と、該カップ状部材の前記凹穴内に製品内径と同じ径の
    パンチを押込んで製品内径部を成形するとゝもに、前記
    パンチの押込み加工で発生する余肉部を内径側の底部ス
    クラップ部に移動させる主押出し工程と、該主押出し工
    程で形成されたカップ状部材の内径側の前記底部スクラ
    ップ部と余肉部を打抜いてリング状部品を形成する打抜
    き工程を順次経ることを特徴とする高硬度マルテンサイ
    ト系ステンレス鋼製のリング状部品の製造方法。
  3. 【請求項3】 円柱状の素材を、製品内径より小さい内
    径の凹穴を持ったカップ状部材に押出す予備押出し工程
    と、該カップ状部材の前記凹穴内に製品内径と同じ径の
    パンチを押込んで製品内径部を成形するとゝもに、前記
    パンチの押込み加工で発生する余肉部を内径側の底部ス
    クラップ部に移動させる主押出し工程と、該主押出し工
    程で形成されたカップ状部材の内径側の前記底部スクラ
    ップ部と余肉部を打抜いてリング状部品を形成する打抜
    き工程を順次経ることを特徴とする金型用鋼製のリング
    状部品の製造方法。
  4. 【請求項4】 円柱状の素材を、製品内径より小さい内
    径の凹穴を持ったカップ状部材に押出す予備押出し工程
    と、該カップ状部材の前記凹穴内に製品内径を成形する
    径を有する大径部分と、先端に前記予備押出し工程で成
    形したカップ状部材の内径より小さい径の凸部を有する
    小径部分とを有し、それら及びそれらと先端面,側面と
    を夫々滑らかにつないだ先端形状を有するパンチを押込
    んで製品内径部を成形するとゝもに、前記パンチの押込
    み加工で発生する余肉部を内径側の底部スクラップ部に
    移動させる主押出し工程と、該主押出し工程で形成され
    たカップ状部材の内径側の前記底部スクラップ部と余肉
    部を打抜いてリング状部品を形成する打抜き工程を順次
    経ることを特徴とするリング状部品の製造方法。
  5. 【請求項5】 円柱状の素材を、製品内径より小さい内
    径の凹穴を持ったカップ状部材に押出す予備押出し工程
    と、該カップ状部材の前記凹穴内に製品内径を成形する
    径を有する大径部分と、先端に前記予備押出し工程で成
    形したカップ状部材の内径より小さい径の凸部を有する
    小径部分とを有し、それら及びそれらと先端面,側面と
    を夫々滑らかにつないだ先端形状を有するパンチを押込
    んで製品内径部を成形するとゝもに、前記パンチの押込
    み加工で発生する余肉部を内径側の底部スクラップ部に
    移動させる主押出し工程と、該主押出し工程で形成され
    たカップ状部材の内径側の前記底部スクラップ部と余肉
    部を打抜いてリング状部品を形成する打抜き工程を順次
    経ることを特徴とする高硬度マルテンサイト系ステンレ
    ス鋼製のリング状部品の製造方法。
  6. 【請求項6】 円柱状の素材を、製品内径より小さい内
    径の凹穴を持ったカップ状部材に押出す予備押出し工程
    と、該カップ状部材の前記凹穴内に製品内径を成形する
    径を有する大径部分と、先端に前記予備押出し工程で成
    形したカップ状部材の内径より小さい径の凸部を有する
    小径部分とを有し、それら及びそれらと先端面,側面と
    を夫々滑らかにつないだ先端形状を有するパンチを押込
    んで製品内径部を成形するとゝもに、前記パンチの押込
    み加工で発生する余肉部を内径側の底部スクラップ部に
    移動させる主押出し工程と、該主押出し工程で形成され
    たカップ状部材の内径側の前記底部スクラップ部と余肉
    部を打抜いてリング状部品を形成する打抜き工程を順次
    経ることを特徴とする金型用鋼製のリング状部品の製造
    方法。
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