JP4760242B2 - タペットローラの製造方法 - Google Patents

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Description

この発明に係るタペットローラの製造方法は、エンジンの動弁機構に組み込むカムフォロア装置を構成するタペットローラを造る為に利用する。
エンジンのクランクシャフトと同期して回転するカムシャフトに固定のカムの動きをバルブに伝達する為の動弁機構に於いて、運転時に於ける摩擦を滑り摩擦から転がり摩擦に変える事によって当該部分の摩擦損失を低く抑え、燃費性能の向上を図る為に、例えば特許文献1〜3に記載されている様な、カムフォロア装置が広く用いられている。図4〜5は、この様なカムフォロア装置の1例を示している。カムフォロアの本体であるロッカーアーム1は、その長さ方向(図4の左右方向)中間部に形成した軸孔2に挿通したロッカー軸3により、内燃機関の機関本体(図示せず)に回転自在に支持される。又、上記ロッカーアーム1の基端部(図4の左端部)にアジャストボルト4を、この基端部に形成したねじ孔に螺合させると共にロックナット5を緊締する事により固定している。そして、上記アジャストボルト4の先端面(図4の下端面)に、機関本体(図示せず)に往復移動可能に支持された吸気弁又は排気弁である機関弁6の基端面(図4の上端面)を当接させている。この機関弁6は、弁ばね7によって常に閉弁方向(上記アジャストボルト4との当接方向)に付勢されている。従って上記ロッカーアーム1は、図4で時計方向の弾性が付与されている。
一方、上記ロッカーアーム1の先端部(図4の右端部)には、本発明の対象となるタペットローラ8を、ローラ支持軸9を介して回転自在に支持している。この為に、上記ロッカーアーム1の先端部に互いに間隔をあけて平行に設けた、1対の支持壁10、10同士の間に、上記ローラ支持軸9を掛け渡している。そして、このローラ支持軸9の中間部で上記両支持壁10、10の内側面同士の間に位置する部分の周囲に上記タペットローラ8を、複数のニードル11、11を介して、回転自在に支持している。この様にして、上記ロッカーアーム1の先端部に回転自在に支持した、上記タペットローラ8の外周面を、上記弁ばね7の弾力に基づいて、カム12の外周面に当接させている。このカム12は、クランク軸(図示せず)に連動して回転するカム軸13に一体に形成され、上記機関本体に回転自在に支持されている。この構成により、このカム軸13の回転を、上記ロッカー軸3を中心とする上記ロッカーアーム1の往復揺動運動に変換し、更にこのロッカーアーム1により上記機関弁6を、上記弁ばね7の弾力に抗し、或いはこの弾力に基づいて、軸方向に往復移動させる。そして、上記機関本体のシリンダ頂部に設けた吸気口或いは排気口の開閉動作を行なう。
上述の様なカムフォロア装置を構成する、上記タペットローラ8を造るのに従来は、軸受鋼等の金属製の素材に、熱間鍛造等の塑性加工や、旋削、研削等の削り加工を施して、所定の形状及び寸法に加工していた。この様にして上記タペットローラ8を造ると、このタペットローラ8の製造コストが嵩む事が避けられない。これに対して、特許文献4には、円柱状の素材に冷間加工を施す事でリング状部品とする発明が記載されている。この様な特許文献4に記載された発明により上記タペットローラ8を造れば、このタペットローラ8の製造コストを抑えられるものと考えられる。但し、上記特許文献4に記載された発明の場合には、冷間加工の際に軸方向寸法の規制を行なわない為、得られたリング状部品の軸方向長さの精度、延ては体積の精度を確保できない。この為、塑性加工だけで(コスト上昇の要因となる旋削等の削り加工を行なう事なく)十分な形状精度及び寸法精度を有するタペットローラ8を造る事は難しい。
特開2001−280106号公報 特開2004−100499号公報 実開昭60−88016号公報 特開2000−94080号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、十分な形状精度及び寸法精度を有するタペットローラを低コストで造れる製造方法を実現すべく発明したものである。
本発明のタペットローラの製造方法は、先ず、軸受鋼、炭素鋼等、熱処理により必要とする硬度を確保できる金属製で、円柱状のビレットを軸方向に圧縮して得た、円形(厚肉円板状)の第一中間素材の中心部を、軸方向に圧縮する。
そして、この中心部の軸方向寸法を縮めると共に外径寄り部分を軸方向に向け円筒状に変形させる押出加工により、有底円筒状の第二中間素材とする。この押出加工としては、上記外径寄り部分を押圧方向に関して後方に変形させる後方押出加工を採用する同時に、上記第二中間素材の外周面と底部側である軸方向一端面との連続部に、断面形状が四分の一円弧状である第一外径側曲面部を形成する。その後、上記第二中間素材の底部を打ち抜く事により、造るべきタペットローラの容積よりも大きな容積を有する、円筒状の第三中間素材とする。
次いで、この第三中間素材の外周面を金型により外径が拡大しない様に拘束すると共に、内周面の少なくとも一部を(内径を縮小可能にすべく)拘束しない状態で、上記第三中間素材を軸方向に圧縮する。そして、軸方向寸法が上記タペットローラの軸方向寸法と一致し、このタペットローラの容積を上回る余肉部分を上記内周面を径方向に膨らませる方向に逃がした、第四中間素材とする。この第四中間素材を加工すると同時に、この第四中間素材の外周面と軸方向他端面との連続部に断面形状が四分の一円弧状である第二外径側曲面部を、同じく内周面と軸方向両端面との連続部に断面形状が四分の一円弧状である第一、第二両内径側曲面部を、それぞれ形成する。
その後、この第四中間素材の外周面を拘束した状態で、この第四中間素材の内径側に上記タペットローラの内径と一致する外径を有する扱き治具を押し込む事により、上記余肉部分を内周面の軸方向一部から径方向内方に突出する内向フランジ状部分に集めて、第五中間素材とする。
その後、この内向フランジ状部分を除去して、内径、外径、軸方向長さを規制値とした、円筒状のタペットローラとする。
上述の様に構成する本発明のタペットローラの製造方法によれば、内径、外径、軸方向寸法を適正値に規制し、且つ、内周面の中心軸と外周面の中心軸とを厳密に一致させたタペットローラを、材料の歩留を良好にし、しかも容易に、且つ、能率良く造れる。例えば、アンコイラから引き出した長尺な線材を切断してビレットを得る様にすれば、パーツフォーマーを使用して、この線材から上記タペットローラを、連続一貫加工する事ができる。この結果、このタペットローラ、更にはこのタペットローラを組み込んだカムフォロア装置の製造コストを、実用上十分な性能を確保しつつ、低減できる。
又、本発明の製造方法により造られる上記タペットローラには、軸方向両端面の内外両周縁部に、断面四分の一円弧状の曲面部(隅R部)が存在する。この為、これら軸方向両端面の内外両周縁部に応力の集中に基づく亀裂等の損傷の発生を防止できる。この様な曲面部の加工を独立した工程で行なうと、上記タペットローラの製造コストを低減する効果が薄れるが、本発明の場合には、上記各曲面部を、第一中間素材を第二中間素材とする工程、及び、第三中間素材を第四中間素材とする工程で、他の加工と同時に行なうので、上記タペットローラの製造コストを低減する効果を十分に得られる。
本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、第一中間素材の外径を、造るべきタペットローラの外径よりも大きくする。そして、この第一中間素材を第二中間素材とする押出加工時に、内径を適正寸法としたダイスの内周面でこの第一中間素材の外周を扱く事により、この押出加工により得られる第二中間素材の外径を、上記タペットローラの外径に一致する上記適正寸法とする。更に、その後に行なう加工を、各段階での素材を、それぞれの内径をこの適正寸法とした、別のダイスの内径側に保持した状態で行なう。
この様に、早い段階で(上記第二中間素材を得る段階で)、中間素材の外径を完成後のタペットローラの外径に一致させ、その後は各中間素材の外径を変化させない様にすれば、これら各中間素材に対する加工量を低く抑えられる。この結果、加工コストの低減を図れるだけでなく、加工に伴って素材の内部に生じる歪みを低く抑えられて、得られたタペットローラの耐久性を中心とする性能の向上を図れる。
図1〜3は、本発明の実施例1を示している。本実施例では、冷間加工により、図1の(H)及び図4〜5に示す様な、円筒状のタペットローラ8を造る。この為に本実施例では、先ず、アンコイラから引き出した長尺な線材(図示せず)を所定長さに切断して、図1の(A)に示す様なビレット(円柱状素材)14を得る。このビレット14は、ドラムに巻回した長尺な上記線材をアンコイラから引き出しつつ、得るべきタペットローラ8の容積よりも少し大きな容積となるだけの長さ寸法(上記所定長さ)に切断する事により得る。
この様にして得たビレット14は、軸方向両端面を、中心軸に対し直交する平坦面として、予備中間素材15とする。即ち、上記ビレット14の軸方向両端面の形状は、図1の(A)に誇張して示す様に、歪んでいる場合が多いので、このビレット14を矯正用金型の間で挟持する等して、上記軸方向両端面を、上記中心軸に対し直交する平坦面に加工する。本実施例の場合には、これら軸方向両端面を平坦面に加工すると同時に、軸方向一端部に、軸方向端面に向かうに従って外径が小さくなる方向に傾斜したテーパ部16を形成する。尚、この様な予備中間素材15を加工する工程は、上記線材を切断して上記ビレット14とする工程、或いはその後このビレット14に施す加工によっては、省略する事もできる。即ち、上記線材を切断する工程を、例えばレーザカッタ等、切断面の性状を良好にできる加工方法により行なうのであれば、上記予備中間素材15を加工する工程は不要である。或いは、上記ビレット14の軸方向両端面に対応する部分は、何れ、ピアス加工により除去する部分である。従って、この軸方向両端面の性状が不良である事自体は、完成後のタペットローラ8の品質に悪影響を及ぼす事はない。従って、上記ピアス加工を行なう迄の間、上記軸方向両端面の性状が不良である事が、上記ビレット14や中間素材の姿勢安定化等の為に悪影響を及ぼさないのであれば、やはり、上記予備中間素材15を加工する工程は不要である。
本実施例の場合には、上記予備中間素材15の加工に続いて、この予備中間素材15を軸方向に圧縮する据え込み加工により、図1の(C)に示す様な第一中間素材17とする。この場合に、上記予備中間素材15を、第一の受型に設けた、得るべき上記タペットローラ8の外径aよりも少し(△a分)だけ大きな内径を有する有底で円形の第一の受孔内に、この第一の受孔の中心軸と上記予備中間素材15の中心軸とを一致させた状態でセットする。本実施例の場合、この予備中間素材15の軸方向一端部に上記テーパ部16を形成しているが、この予備中間素材15を上記第一の受孔内にセットする場合に、このテーパ部16をこの第一の受孔の開口側(一般的には上側)に位置させる。従って、上記予備中間素材15の軸方向に関して、上記テーパ部16と反対側に存在する円筒部が上記第一の受孔内に位置して、上記予備中間素材15の中心軸とこの第一の受孔の中心軸とを精度良く一致させ易い。そして、この予備中間素材15を、この第一の受孔の底面と、この第一の受孔内に押し込んだ押型の先端面との間で軸方向に圧縮し、得るべき上記タペットローラ8の外径aよりも少し大きな外径「a+△a」を有する、上記第一中間素材17とする。従って、図1の(C)の下面中央部に存在する平坦面は、同(B)の上端面に対応する面である。
次いで、上記第一中間素材17の中心部を軸方向に圧縮すると共に、この圧縮により押し出された肉を周囲部分に逃がす後方押出加工により、図1の(D)に示す様な、上記第一中間素材17よりも大きな軸方向寸法を有する、有底円筒状の第二中間素材18を得る。この様な後方押し出し加工は、図2に示す様な後方押し出し加工装置により行なう。この後方押し出し加工装置は、円筒状のダイスユニット19の内周面と、このダイスユニット19の内側に下方から挿入したカウンターパンチ20の上端面と、同じく上方から挿入したパンチ21の下端面との間で、上記第一中間素材17の中心部を軸方向に圧縮する様に構成している。
上記ダイスユニット19は、主円筒部22と副円環部23とを、この副円環部23を下側にして、互いに同心に、上下に重ね合わせた状態で、円筒状のホルダ24内に保持して成る。このうちの主円筒部22は、上記第一中間素材17の外径「a+△a」よりも少しだけ小さく、造るべき上記タペットローラ8の外径aと一致する内径を有する。又、上記副円環部23は、上記主円筒部22の内径aよりも少し小さく、上記カウンターパンチ20を隙間なく挿通できる様に、このカウンターパンチ20の外径と同じか、この外径よりも僅かに大きな内径を有する。又、上記副円環部23の上端内周縁部には、断面形状が四分の一円弧状である、凹曲面部25を形成している。
一方、上記パンチ21のうちで、上記後方押し出し加工の進行に伴って上記第一中間素材17(第二中間素材18)の中心部に押し込まれる先端部は、造るべき上記タペットローラ8の内径cとほぼ一致する外径を有する。又、上記パンチ21の周囲には、円筒状の押圧スリーブ26を、このパンチ21に対する昇降を可能にして、外嵌している。この押圧スリーブ26の外径は、上記主円筒部22の内径以下として、この押圧スリーブ26の下端部をこの主円筒部22の上端部に挿入できる様にしている。この様な押圧スリーブ26は、その上半部を押圧ロッド44の下端部に結合したホルダ27に保持固定して、この押圧ロッド44により、下方に押圧可能としている。又、上記パンチ21はその上端部を、プレス加工機のラム28に結合固定して、このラム28の下降と共に、大きな力で下方に押圧される様にしている。上記押圧ロッド44は、このラム28とは独立した昇降を可能としている。
上述の様な後方押し出し加工装置により、上記第一中間素材17を上記第二中間素材18に加工する作業は、次の様にして行なう。先ず、図2の(A)に示す様に上記カウンターパンチ20を、このカウンターパンチ20の上端面が前記ダイスユニット19を構成する主円筒部22の上端開口部よりも少しだけ下側に位置する状態に迄上昇させた状態で、上記第一中間素材17を、上記主円筒部22の上端開口部に載置する。この第一中間素材17の外径「a+△a」は、この主円筒部22の内径よりも少し大きいので、そのままではこの主円筒部22の内側にまで全体が入り込む事はない。そこで、上記押圧ロッド44を下方に押圧する事により上記押圧スリーブ26を下降させ、この押圧スリーブ26の下端面により、上記第一中間素材17全体を上記主円筒部22内に押し込む。この状態で、この第一中間素材17の底面が上記カウンターパンチ20の上端面に当接して、この第一中間素材17の中心軸と上記主円筒部22の中心軸とが一致する。
この様にして、上記第一中間素材17を上記後方押し出し加工装置にセットしたならば、図2の(B)に示す様に、上記カウンターパンチ20を、その上端面と前記凹曲面部25の下端縁とが一致する(上端面が凹曲面部25の接線方向に連続する)迄下降させつつ、上記ラム28を強く押し下げる。そして、このラム28により前記パンチ21の下端面を、上記第一中間素材17の上面中央部を強く押圧し、結果としてこの第一中間素材17を、上記カウンターパンチ20の上端面と上記パンチ21の下端面との間で、軸方向に強く押圧する。尚、上記押圧スリーブ26の下降は、前記ホルダ27の下面と前記ダイスユニット19の上端面とが当接した状態で停止する。
上記パンチ21の下端部の外径は、得るべき前記タペットローラ8の内径cとほぼ同じ(厳密に同じである必要はない)である。又、上記パンチ21を上記主円筒部22の内径側に挿入する際、上記押圧スリーブ26がこのパンチ21を案内する事により、これらパンチ21と主円筒部22との中心軸同士を一致させる。この様にして行なう、上記後方押出加工の結果、上記第一中間素材17の中心部の軸方向に関する厚さが縮まると共に、余肉部が外径寄り部分に逃げて、この外径寄り部分の軸方向寸法が大きくなり、図1の(D)に示す様な、上記第二中間素材18を得られる。この第二中間素材18は、得るべき上記タペットローラ8の外径aと同じ外径と、このタペットローラ8の内径cとほぼ同じ内径と、このタペットローラ8の軸方向長さbよりも大きな軸方向長さ「b+△b」とを有する。
次いで、この様にして得た、上記第二中間素材18に、この第二中間素材18の底部を打ち抜くピアス加工を施す。この際、この第二中間素材18の外周面及び底部外径寄り部分を、受型により抑えた状態で、この第二中間素材18の内側にパンチを押し込む。そして、この第二中間素材18の底部を、このパンチの先端面と上記受型との間で剪断して、図1の(E)に示す様な、円筒状の第三中間素材30を得る。尚、上述の図2に示した後方押し出し加工装置の場合には、前記副円環部23の上面内周縁部に前記凹曲面部25を設けている為、上記第二中間素材18を加工した状態で、この第二中間素材18の下端面外周縁部に、断面形状が四分の一円弧状の第一外径側曲面部29{図1の(D)参照}が形成される。
上記第三中間素材30を得たならば、次いで、この第三中間素材30の軸方向寸法を、完成後のタペットローラ8の軸方向寸法bに迄正確に縮める、内径余肉出し加工を行なう。この内径余肉出し加工は、図3に示す様に、受型31に形成した凹孔32の内周面により上記第三中間素材30の外周面を抑え、この第三中間素材30の外径が拡がるのを防止しつつ、上記凹孔32の底面とパンチ33の先端面との間でこの第三中間素材30を軸方向両側から強く押圧する事により行なう。上記凹孔32の内径は、得るべき上記タペットローラ8の外径aと同じ寸法である。又、互いに対向する、上記凹孔32の底面と上記パンチ33の先端面との中央部には、それぞれ円すい台状の凸部34a、34bが形成されている。これら両凸部34a、34bの先端面は、上記内径余肉出し加工が終了するまで、当接する事はない。又、この内径余肉出し加工を終了する際に於ける、上記凹孔32の底面及び上記パンチ33の先端面の外径寄りに存在する平坦面35a、35b同士の間隔D35は、得るべき上記タペットローラ8の軸方向寸法bに一致する様に、厳密に規制している。又、上記両平坦面35a、35bの内径R35は、得るべき上記タペットローラ8の内径cと一致若しくは僅かに小さく(R35≦c)している。
上述の様にして行なう内径余肉出し加工の際、上記第三中間素材30の軸方向寸法が縮まる事に伴って生じる余肉に基づき、内周面が凸曲面状に膨出する。そして、図1の(F)に示す様な第四中間素材36を得られる。尚、本実施例の場合には、この第四中間素材36の内周面の一端寄り部分{図1の(F)の下端寄り部分}に、円筒面部37及び第二内径側曲面部39を形成している。この第二内径側曲面部39を形成する為に、上記凹孔32の底面中央部に形成した凸部34aの基部に、外径が変化しないストレート部を設け、上記円筒面部37を拘束している。又、第二外径側曲面部38を形成する為に、図1の(E)から(F)に示した状態で、中間素材の軸方向位置を反転させている。尚、本実施例の場合には、上記凹孔32の底面に存在する平坦面35aの内外両周縁部、及び、上記パンチ33の先端面に設けた平坦面35bの内周縁部に湾曲面を、それぞれ全周に亙り形成している。これら各湾曲面はそれぞれ、完成後のタペットローラ8の内外両周面と軸方向他端面{図1の(H)の下端面}とを連続させる第二外径側曲面部38及び第二内径側曲面部39と、内周面と軸方向一端面とを連続させる第一内径側曲面部40を加工する為に設けている。加工後の上記第四中間素材36は、前記受型31に設けた複数本の取り出しピン(図示せず)の突き上げにより、上記凹孔32から取り出す。
上述の様にして得られた第四中間素材36に、次いで、内径扱き加工を施す。この内径扱き加工では、この第四中間素材36の外周面をダイにより抑え付けて外径が拡がらない様にした状態で、この第四中間素材36の中心孔43に扱き治具(金型)を押し込む。この扱き治具の外径は、得るべき上記タペットローラ8の内径cと一致している。又、この扱き治具の中心軸と上記ダイの中心軸とは、厳密に一致させている。上記内径扱き加工では、この様な扱き治具により上記第四中間素材36の内径寄り部分を、軸方向一端から他端に{図1の(F)の上から下に}向けて扱く事により、この第四中間素材36のうちで、得るべき上記タペットローラ8の容積を上回る余肉部分(主として内径側に膨出した部分)を、内周面の他端部分に寄せ集める。この時、軸方向寸法が変化しない様に、上記第四中間素材36の上端面にクッション圧を付加しても良い。この様な内径扱き加工の結果、図1の(G)に示す様な、内周面を外周面と同心の円筒面とし、この内周面の軸方向他端寄り{図1の(G)の下寄り}部分に内向フランジ状の余肉部41を備えた、第五中間素材42を得る。尚、上記内径扱き加工と同時に、上記第二外径側曲面部38及び第二内径側曲面部39の再加工作業(加工の進行に伴って崩れた形状の矯正)を行なっても良い。
この様な第五中間素材42を得たならば、最後に、上記余肉部41をピアス加工により除去する。このピアス加工では、上記第五中間素材42の中心孔43aの内径R43(=上記タペットローラ8の内径c)と一致する外径を有するパンチをこの中心孔43a内に挿入する。そして、このパンチの先端面と受型との間で、上記余肉部41の基端部(外周縁部)を剪断する。この様にして行なうピアス加工により、円筒状の上記タペットローラ8が得られる。尚、上記ピアス加工と同時に、上記第二外径側曲面部38の再加工作業(加工の進行に伴って崩れた形状の矯正)を行なっても良い。
この様なタペットローラ8は、必要とする熱処理やバレル加工等の表面加工を施してから、前述の図4〜5に示した様なカムフォロア装置に組み込む。
本発明の実施例の加工工程を順番に示す断面図。 第一中間素材を第二中間素材とする、後方押し出し加工の実施状態を、加工開始前と加工終了時の状態とで示す断面図。 第三中間素材を第四中間素材とする、余肉出し加工の実施状況を示す断面図。 本発明の対象となるタペットローラを組み込んだカムフォロア装置の1例を示す側面図。 図4の拡大A−A断面図。
1 ロッカーアーム
2 軸孔
3 ロッカー軸
4 アジャストボルト
5 ロックナット
6 機関弁
7 弁ばね
8 タペットローラ
9 ローラ支持軸
10 支持壁
11 ニードル
12 カム
13 カム軸
14 ビレット
15 予備中間素材
16 テーパ部
17 第一中間素材
18 第二中間素材
19 ダイスユニット
20 カウンターパンチ
21 パンチ
22 主円筒部
23 副円環部
24 ホルダ
25 凹曲面部
26 押圧スリーブ
27 ホルダ
28 ラム
29 第一外径側曲面部
30 第三中間素材
31 受型
32 凹孔
33 パンチ
34a、34b 凸部
35a、35b 平坦面
36 第四中間素材
37 円筒面部
38 第二外径側曲面部
39 第二内径側曲面部
40 第一内径側曲面部
41 余肉部
42 第五中間素材
43、43a 中心孔
44 押圧ロッド

Claims (2)

  1. 金属製で円柱状のビレットを軸方向に圧縮して得た、円形の第一中間素材の中心部を軸方向に圧縮し、この中心部の軸方向寸法を縮める後方押出加工により、有底円筒状の第二中間素材とすると同時に、この第二中間素材の外周面と底部側である軸方向一端面との連続部に、断面形状が四分の一円弧状である第一外径側曲面部を形成した後、この第二中間素材の底部を打ち抜く事により、造るべきタペットローラの容積よりも大きな容積を有する円筒状の第三中間素材とし、この第三中間素材の外周面を金型により外径が拡大しない様に拘束すると共に、内周面の少なくとも一部を拘束しない状態で上記第三中間素材を軸方向に圧縮する事により、軸方向寸法が上記タペットローラの軸方向寸法と一致し、このタペットローラの容積を上回る余肉部分を上記内周面を径方向に膨らませる方向に逃がした第四中間素材とすると同時に、この第四中間素材の外周面と軸方向他端面との連続部に断面形状が四分の一円弧状である第二外径側曲面部を、同じく内周面と軸方向両端面との連続部に断面形状が四分の一円弧状である第一、第二両内径側曲面部を、それぞれ形成した後、上記第四中間素材の外周面を拘束した状態でこの第四中間素材の内径側に上記タペットローラの内径と一致する外径を有する扱き治具を押し込む事により、上記余肉部分を内周面の軸方向一部から径方向内方に突出する内向フランジ状部分に集めて第五中間素材とした後、この内向フランジ状部分を除去して、内径、外径、軸方向長さを規制値とした円筒状のタペットローラとする、タペットローラの製造方法。
  2. 第一中間素材の外径を、造るべきタペットローラの外径よりも大きくし、この第一中間素材を第二中間素材とする押出加工時に、内径を適正寸法としたダイスの内周面でこの第一中間素材の外周を扱く事により、この押出加工により得られる第二中間素材の外径を、上記タペットローラの外径に一致する上記適正寸法とし、その後に行なう加工を、各段階での素材を、それぞれの内径をこの適正寸法とした別のダイスの内径側に保持した状態で行なう、請求項1に記載したタペットローラの製造方法。
JP2005259159A 2005-09-07 2005-09-07 タペットローラの製造方法 Active JP4760242B2 (ja)

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