WO2016159246A1 - 鍛造クランク軸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

開示される製造方法は、型鍛造により、クランク軸の形状に成形されたバリ付きの荒鍛造材(30)を得る荒打ち工程と、荒鍛造材(30)を一対の第1金型(10)を用いて型鍛造することによってバリ付きの仕上げ鍛造材を得る仕上げ打ち工程とを含む。荒鍛造材(30)の複数の粗クランクアーム部(A')の全部または一部が、粗ピン部(P')近傍の2つの側部(Aa'、Ab')の少なくとも一方の外周から突出する第1余肉部(Aaa)を有する。仕上げ打ち工程での型鍛造の過程で、第1金型(10)により、第1余肉部(Aaa)を変形させて粗ジャーナル部(J')側に張り出させる。

Description

鍛造クランク軸の製造方法
 本発明は、鍛造によりクランク軸を製造する方法に関し、特に熱間鍛造によりクランク軸を製造する方法に関する。
 自動車、自動二輪車、農業機械または船舶等のレシプロエンジンには、ピストンの往復運動を回転運動に変換して動力を取り出すために、クランク軸が不可欠である。クランク軸は、型鍛造または鋳造によって製造できる。高強度と高剛性がクランク軸に要求される場合、型鍛造によって製造された鍛造クランク軸が多用される。
 一般に、鍛造クランク軸の製造では、ビレットを原材料とする。そのビレットでは、横断面が丸形または角形であり、断面積が全長にわたって一定である。また、鍛造クランク軸の製造工程は、予備成形工程、型鍛造工程およびバリ抜き工程を含む。必要に応じ、バリ抜き工程の後工程として、整形工程が追加される。通常、予備成形工程は、ロール成形と曲げ打ちの各工程を含み、型鍛造工程は、荒打ちと仕上げ打ちの各工程を含む。
 図1A~図1Fは、従来の一般的な鍛造クランク軸の製造工程を説明するための模式図である。図1Fに例示するクランク軸1は、4気筒エンジンに搭載され、4気筒-8枚カウンターウエイトのクランク軸である。そのクランク軸1は、5つのジャーナル部J1~J5、4つのピン部P1~P4、フロント部Fr、フランジ部Fl、および、8枚のクランクアーム部(以下、単に「アーム部」ともいう)A1~A8から構成される。アーム部A1~A8はそれぞれ、ジャーナル部J1~J5とピン部P1~P4をつなぐ。また、8枚の全部のアーム部A1~A8は、カウンターウエイト部(以下、単に「ウエイト部」ともいう)W1~W8を一体で有する。
 以下では、ジャーナル部J1~J5、ピン部P1~P4、アーム部A1~A8およびウエイト部W1~W8のそれぞれを総称するとき、その符号は、ジャーナル部で「J」、ピン部で「P」、アーム部で「A」、ウエイト部で「W」とも記す。
 図1A~図1Fに示す製造方法では、以下のようにして鍛造クランク軸1が製造される。先ず、図1Aに示すような所定の長さのビレット2を加熱炉(例えば誘導加熱炉またはガス雰囲気加熱炉)によって加熱した後、ロール成形を行う。ロール成形工程では、例えば孔型ロールを用いてビレット2を圧延して絞る。これにより、ビレット2の体積を長手方向に配分し、中間素材であるロール荒地3を得る(図1B参照)。次に、曲げ打ち工程では、ロール荒地3を長手方向と直角な方向から部分的に圧下する。これにより、ロール荒地3の体積を配分し、更なる中間素材である曲げ荒地4を得る(図1C参照)。
 続いて、荒打ち工程では、曲げ荒地4を上下に一対の金型を用いて圧下することにより、荒鍛造材5を得る(図1D参照)。得られる荒鍛造材5は、クランク軸(最終製品)のおおよその形状を有する。さらに、仕上げ打ち工程では、荒鍛造材5を上下に一対の金型を用いて圧下することにより、仕上げ鍛造材6を得る(図1E参照)。得られる仕上げ鍛造材6は、最終製品のクランク軸とほぼ合致する形状を有する。
 これら荒打ちおよび仕上げ打ちのとき、余材が、互いに対向する金型の型割面の間から流出し、バリとなる。このため、荒鍛造材5および仕上げ鍛造材6では、バリBがクランク軸の形状の周囲に大きく付いている。
 バリ抜き工程では、例えば、バリ付きの仕上げ鍛造材6を一対の金型によって保持した状態で、刃物型によってバリBを打ち抜く。これにより、仕上げ鍛造材6からバリBを除去する。このようにしてバリ無し鍛造材が得られ、そのバリ無し鍛造材は、図1Fに示す鍛造クランク軸1とほぼ同じ形状である。
 整形工程では、バリ無し鍛造材の要所を上下から金型で僅かに圧下し、バリ無し鍛造材を最終製品の寸法形状に矯正する。ここで、バリ無し鍛造材の要所は、例えば、ジャーナル部J、ピン部P、フロント部Frおよびフランジ部Flなどといった軸部、さらにはアーム部Aおよびウエイト部Wである。こうして、鍛造クランク軸1が製造される。
 図1A~図1Fに示す製造工程は、図1Fに示す4気筒-8枚カウンターウエイトのクランク軸に限らず、様々なクランク軸に適用できる。例えば、4気筒-4枚カウンターウエイトのクランク軸にも適用できる。
 4気筒-4枚カウンターウエイトのクランク軸の場合、8枚のアーム部Aのうち、一部のアーム部にウエイト部Wを一体で有する。例えば先頭の第1アーム部A1、最後尾の第8アーム部A8、および中央の2枚のアーム部(第4アーム部A4、第5アーム部A5)にウエイト部Wを有する。また、残りのアーム部、具体的には、第2、第3、第6および第7のアーム部A2、A3、A6およびA7は、ウエイト部を有さない。以下では、ウエイト部を有さないアーム部を、「ウエイト無しアーム部」ともいう。ウエイト無しアーム部の形状は、小判状(長円状)となる。
 その他に、3気筒エンジン、直列6気筒エンジン、V型6気筒エンジン、8気筒エンジン等に搭載されるクランク軸であっても、製造工程は同様である。なお、ピン部の配置角度の調整が必要な場合は、バリ抜き工程の後に、捩り工程が追加される。
 近年、特に自動車用のレシプロエンジンには、燃費の向上のために軽量化が求められる。このため、レシプロエンジンに搭載されるクランク軸にも、軽量化の要求が著しくなっている。鍛造クランク軸の軽量化を図る技術は、特開2012-7726号公報(特許文献1)および特開2010-230027号公報(特許文献2)に開示される。
 特許文献1および2には、ジャーナル部側の表面に穴部が成形されたアーム部が記載され、このアーム部を有するクランク軸の製造方法も記載される。アーム部の穴部は、ジャーナル部の軸心とピン部の軸心とを結ぶ直線(以下、「アーム部中心線」ともいう)上に成形され、ピン部に向けて大きく深く窪む。このようなアーム部によれば、穴部の体積分が軽量化される。アーム部の軽量化は、アーム部と対をなすウエイト部の質量軽減につながり、ひいては鍛造クランク軸全体の軽量化につながる。また、穴部が成形されたアーム部は、アーム部中心線を間に挟むピン部近傍の両側部で厚みが厚く維持されていることから、剛性(ねじり剛性および曲げ剛性)も確保される。
 このように、アーム部の両側部の厚みを厚く維持しながら、アーム部のジャーナル部側の表面に凹みを持たせれば、軽量化と剛性確保を同時に図ることができる。
 ただし、そのような独特な形状のアーム部を有する鍛造クランク軸は、従来の製造方法によって製造することが困難である。型鍛造工程において、アーム部表面に凹みを成形しようとすれば、凹み部位の金型の型抜き勾配が逆勾配になるからである。この場合、成形された鍛造材が金型から抜けなくなる事態が生じる。
 そのような事態に対処するため、特許文献1および2に記載された製造方法では、型鍛造工程において、アーム部表面に凹みを成形することなくアーム部を小さく成形する。また、バリ抜き工程の後に、アーム部の表面にパンチを押し込み、そのパンチの痕跡によって凹みを成形する。
 なお、図1Fに示すクランク軸では、アーム部Aおよびそれと一体のウエイト部Wの形状が、全てのアーム部Aで同じである。実際には、必要に応じ、アーム部Aごとに、アーム部Aおよびそれと一体のウエイト部Wの形状を異ならせる場合がある。この技術は、特開2007-71227号公報(特許文献3)および特開2014-40856号公報(特許文献4)に開示される。
 特許文献3には、一端にフライホイールが装着される4気筒-8枚カウンターウエイトのクランク軸が記載される。そのクランク軸では、アーム部の厚さおよび重心、並びに、ウエイト部の質量が、全部のアーム部で同じでなく、アーム部ごとに異なる。これにより、アーム部ごとに必要最小限の剛性を確保でき、必要な剛性が低いアーム部で肉厚を薄くでき、その結果、軽量化を達成できるとしている。
 特許文献4には、一端にフライホイールが装着される多気筒エンジン用のクランク軸が記載される。そのクランク軸では、アーム部の曲げ剛性およびねじり剛性がフライホイールに近いほど高い。また、アーム部の曲げ剛性およびねじり剛性がアーム部ごとに異なることが好ましいとしている。これにより、曲げ振動およびねじり振動のいずれも軽減しつつ、軽量化を図ることができるとしている。
 このようにアーム部ごとに、アーム部およびそれと一体のウエイト部の形状が異なる場合、その形状に応じ、アーム部内で剛性が必要な部位が変化する。具体的には、アーム部のピン部近傍で剛性を確保することが重要となる場合がある。あるいは、アーム部のジャーナル部近傍で剛性を確保することが重要となる場合もある。
特開2012-7726号公報 特開2010-230027号公報 特開2007-71227号公報 特開2014-40856号公報
 確かに、前記特許文献1および2に記載された製造方法によれば、アーム部の両側部の厚みを厚く維持しつつ、アーム部のジャーナル部側の表面に凹みを成形することが可能となる。これにより、軽量化と剛性確保を同時に図った鍛造クランク軸を製造できる。
 しかし、それらの製造方法では、アーム部表面に凹みを成形するために、アーム部表面にパンチを強く押し込んでアーム部全体を変形させることから、パンチの押し込みに多大な力を要する。このため、パンチに多大な力を付与するための格別な設備と金型が必要であり、パンチの耐久性に関しても配慮が必要となる。
 本発明の目的は、軽量化と剛性確保を同時に図った鍛造クランク軸を簡便に得ることができる鍛造クランク軸の製造方法を提供することにある。
 本発明の一実施形態による製造方法は、回転中心となるジャーナル部と、そのジャーナル部に対して偏心したピン部と、前記ジャーナル部と前記ピン部をつなぐ複数のクランクアーム部と、を備える鍛造クランク軸の製造方法である。前記鍛造クランク軸の前記複数のクランクアーム部のうちの全部または一部はカウンターウエイト部を一体で有する。前記製造方法は、型鍛造により、クランク軸の形状に成形されたバリ付きの荒鍛造材を得る荒打ち工程と、前記荒鍛造材を一対の第1金型を用いて型鍛造することによってバリ付きの仕上げ鍛造材を得る仕上げ打ち工程とを含む。前記荒鍛造材は、前記鍛造クランク軸の前記ジャーナル部、前記ピン部、前記複数のクランクアーム部、および前記カウンターウエイト部のそれぞれに対応する、粗ジャーナル部、粗ピン部、複数の粗クランクアーム部、および粗カウンターウエイト部を備える。前記複数の粗クランクアーム部の全部または一部が、前記粗ピン部近傍の2つの側部の少なくとも一方の外周から突出する第1余肉部を有する。前記仕上げ打ち工程での型鍛造の過程で、前記第1金型により、前記第1余肉部を変形させて前記粗ジャーナル部側に張り出させる。
 本発明の鍛造クランク軸の製造方法は、荒打ち工程で、粗アーム部の粗ピン部近傍の側部の外周から突出する余肉部を成形する。また、仕上げ打ち工程で、金型により、余肉部を変形させて粗ジャーナル部側に張り出させる。これにより、アーム部のピン部近傍の側部の厚みを厚くしつつ、アーム部のジャーナル部側の表面に凹みを設けることが可能となる。このため、得られる鍛造クランク軸において、軽量化と剛性確保を同時に図ることができる。また、仕上げ打ち工程の型鍛造で余肉部を変形させるので、既存の設備を利用して簡便に行える。
図1Aは、従来の一般的な鍛造クランク軸の製造工程におけるビレットを示す模式図である。 図1Bは、従来の一般的な鍛造クランク軸の製造工程におけるロール荒地を示す模式図である。 図1Cは、従来の一般的な鍛造クランク軸の製造工程における曲げ荒地を示す模式図である。 図1Dは、従来の一般的な鍛造クランク軸の製造工程における荒鍛造材を示す模式図である。 図1Eは、従来の一般的な鍛造クランク軸の製造工程における仕上げ鍛造材を示す模式図である。 図1Fは、従来の一般的な鍛造クランク軸の製造工程におけるクランク軸を示す模式図である。 図2Aは、本発明の第1構成例におけるクランク軸のアーム部のジャーナル部側を模式的に示す斜視図である。 図2Bは、図2Aのアーム部のジャーナル部側表面を示す模式図である。 図2Cは、図2Aのアーム部の側面を示す模式図である。 図2Dは、図2BのIID-IID断面図である。 図3Aは、本発明の第1構成例における荒鍛造材の粗アーム部の粗ジャーナル部側表面を示す模式図である。 図3Bは、図3Aの粗アーム部の側面を示す模式図である。 図3Cは、図3AのIIIC-IIIC断面図である。 図4Aは、本発明の第2構成例におけるクランク軸のアーム部のピン部側を模式的に示す斜視図である。 図4Bは、図4Aのアーム部のピン部側表面を示す模式図である。 図4Cは、図4Aのアーム部の側面を示す模式図である。 図4Dは、図4BのIVD-IVD断面図である。 図5Aは、本発明の第2構成例における荒鍛造材の粗アーム部の粗ピン部側表面を示す模式図である。 図5Bは、図5Aの粗アーム部の側面を示す図である。 図5Cは、図5AのVC-VC断面図である。 図6Aは、本発明の第3構成例におけるクランク軸のアーム部のピン部側表面を示す模式図である。 図6Bは、図6AのVIB-VIB断面図である。 図7Aは、本発明の第3構成例における荒鍛造材の粗アーム部の粗ピン部側表面を示す模式図である。 図7Bは、図7AのVIIB-VIIB断面図である。 図8Aは、本発明による仕上げ打ちの処理フロー例における荒鍛造材の配置時を示す断面図である。 図8Bは、本発明による仕上げ打ちの処理フロー例における圧下終了時を示す断面図である。 図9Aは、本発明による仕上げ打ち工程の一例の一工程を示す図である。 図9Bは、図9Aに示した一工程の側面図である。 図9Cは、図9Aに示した一工程の断面図である。 図10Aは、本発明による仕上げ打ち工程の他の一例の一工程を示す図である。 図10Bは、図10Aに示した一工程の側面図である。 図10Cは、図10Aに示した一工程の断面図である。
 以下、本発明の実施形態について説明する。以下の説明では、本発明の実施形態について例を挙げて説明するが、本発明は以下で説明する例に限定されない。
 (鍛造クランク軸の製造方法)
 本発明の製造方法は、鍛造クランク軸の製造方法である。その鍛造クランク軸は、回転中心となるジャーナル部と、そのジャーナル部に対して偏心したピン部と、ジャーナル部とピン部をつなぐ複数のクランクアーム部と、を備える。鍛造クランク軸の複数のクランクアーム部のうちの全部または一部はカウンターウエイト部を一体で有する。
 本発明の製造方法は、荒打ち工程と仕上げ打ち工程とをこの順序で含む。荒打ち工程では、型鍛造により、クランク軸の形状が成形されたバリ付きの荒鍛造材を得る。荒鍛造材は、鍛造クランク軸とほぼ同様の形状を有する。荒鍛造材は、鍛造クランク軸のジャーナル部、ピン部、複数のクランクアーム部、およびカウンターウエイト部のそれぞれに対応する、粗ジャーナル部、粗ピン部、複数の粗クランクアーム部、および粗カウンターウエイト部を備える。さらに、この荒鍛造材は、バリおよび後述する第1余肉部を含む。
 仕上げ打ち工程では、荒鍛造材を一対の第1金型(第1上型および第1下型)を用いて型鍛造することによってバリ付きの仕上げ鍛造材を得る。前記複数の粗クランクアーム部の全部または一部は、粗ピン部近傍の2つの側部の少なくとも一方の外周から突出する第1余肉部を有する。すなわち、前記複数の粗クランクアーム部の全部または一部は、少なくとも1つの第1余肉部を有する。仕上げ打ち工程での型鍛造の過程で、第1金型により、第1余肉部を変形させて粗ジャーナル部側に張り出させる。
 複数の粗クランクアーム部の全てが第1余肉部を有してもよい。また、粗カウンターウエイト部を一体で有する粗クランクアーム部の全部または一部が第1余肉部を有してもよい。また、粗カウンターウエイト部を一体で有する粗クランクアーム部のみが第1余肉部を有してもよい。また、粗カウンターウエイト部を有さない粗クランクアーム部の全部または一部が第1余肉部を有してもよい。また、粗カウンターウエイト部を有さない粗クランクアーム部のみが第1余肉部を有してもよい。
 前記第1余肉部が、前記粗ピン部近傍の前記2つの側部のそれぞれから突出してもよい。前記粗クランクアーム部は、前記粗ピン部近傍の前記2つの側部の外周から突出する2つの第1余肉部を有してもよい。この構成によれば、ピン部近傍の両側部の剛性を確保できる。2つの第1余肉部の間には、後述する領域As(凹みを有する領域)となる部分が存在する。凹みとなる部分の表面形状は、後述するように、幅方向の中央が膨らむような凸状であってもよい。
 前記仕上げ打ち工程において、第2金型が、前記粗クランクアーム部の前記粗ジャーナル部側の表面のうち前記第1余肉部と前記バリとの間の表面に当接している状態で、前記第1金型によって前記第1余肉部を変形させて前記粗ジャーナル部側に張り出させてもよい。この構成によれば、後述する凹みの部分の表面形状(第1余肉部が張り出す側の表面形状)が変形することを抑制できる。なお、前記粗ピン部近傍の前記2つの側部のいずれか一方のみに第1余肉部を設ける場合には、前記バリを境として第1余肉部を設ける側にのみ第2金型を当接させてもよい。前記粗ピン部近傍の前記2つの側部の両方から前記第1余肉部が突出している場合、第2金型として一対の第2金型を用いてもよい。また、前記粗ピン部近傍の前記2つの側部の両方から前記第1余肉部が突出している場合、先端が二又に分かれた第2金型を用いてもよい。一対の第2金型は、バリを挟んで対向するように配置された状態で粗クランクアーム部の表面に当接する。例えば、前記仕上げ打ち工程において、一対の第2金型が、前記バリを挟んで対向し、且つ、前記粗クランクアーム部の前記粗ジャーナル部側の表面のうち前記第1余肉部と前記バリとの間の表面に当接している状態で、前記第1金型によって前記第1余肉部を変形させて前記粗ジャーナル部側に張り出させてもよい。また、先端が二又に分かれた第2金型を用いる場合、二又に分かれた先端が、バリを挟んだ状態で粗クランクアーム部の表面に当接する。そして、先端が二又に分かれた第2金型が、前記粗クランクアーム部の前記粗ジャーナル部側の表面のうち前記第1余肉部と前記バリとの間の表面に当接している状態で、前記第1金型によって前記第1余肉部を変形させて前記粗ジャーナル部側に張り出させてもよい。
 前記仕上げ打ち工程において、支持部材が前記バリの下面を支持している状態で、前記第1金型によって前記第1余肉部を変形させて前記粗ジャーナル部側に張り出させてもよい。第1余肉部は第1金型によって変形されるため、仕上げ打ち工程の初期段階では、第1金型の形状と第1余肉部の形状とは一致していない。そのため、変形前の第1余肉部が存在する荒鍛造材を第1金型の下型のみで支持すると、荒鍛造材の姿勢が安定しない。この問題は、第1余肉部を粗クランクアーム部の一部のみに形成する場合に特に顕著になる。支持部材を用いることによって、荒鍛造材の姿勢が安定した状態で仕上げ打ち工程を行うことができる。具体的には、荒鍛造材のバリが水平に沿って配置された状態で仕上げ打ち工程を行うことができる。さらに、支持部材を用いて、上型と下型との間の中央に荒鍛造材を保持してもよい。
 前記支持部材は、前記第1金型の動作に伴って、前記バリの前記下面を支持している状態を維持しながら移動してもよい。第1金型の動作に伴ってバリが下方または上方に移動する場合がある。そのような場合には、バリの移動に伴って支持部材が移動(下降または上昇)することが好ましい。
 通常、複数の支持部材によって、バリの下面の複数箇所が支持される。仕上げ打ち工程において、2つ以上(例えば3つ以上や4つ以上)の支持部材を用いてもよい。4つ以上の支持部材を用いることによって、荒鍛造材の姿勢を特に安定させることができる。支持部材は、荒鍛造材のうち質量の偏りが大きい部分(例えば粗カウンターウエイト部の近傍)を支持することが好ましい。複数の支持部材の高さは、仕上げ打ち工程開始時の荒鍛造材の姿勢が安定するように、個々の支持部材ごとに異なっていてもよい。例えば、3気筒用や6気筒用のクランク軸の場合には、バリが同一平面上に形成されない場合がある。この場合は、個々の支持部材の高さを、求められる支持位置に応じた高さとすればよい。
 支持部材は、上記の所定の動作をするように移動・保持される。支持部材を移動・保持する機構に特に限定はなく、公知の機構を用いてもよい。例えば、油圧シリンダ、弾性体(バネなど)などの少なくとも1つを用いて支持部材を移動・保持してもよい。支持部材は、ノックアウトピンに用いられる公知の機構で移動・保持してもよい。また、ノックアウトピンを支持部材として用いてもよい。
 前記仕上げ打ち工程での前記第1余肉部の変形を、押し潰し加工または折り曲げ加工によって行ってもよい。
 前記複数の粗クランクアーム部の全部または一部が、前記粗ジャーナル部近傍の2つの側部の少なくとも一方の外周から突出する第2余肉部を有してもよい。すなわち、前記複数の粗クランクアーム部の全部または一部は、少なくとも1つの第2余肉部を有してもよい。この場合、前記仕上げ打ち工程での型鍛造の過程で、前記第1金型により、前記第2余肉部を変形させて前記粗ピン部側に張り出させる。複数の粗クランクアーム部の全てが第2余肉部を有してもよい。また、粗カウンターウエイト部を有する粗クランクアーム部の全部または一部が第2余肉部を有してもよい。また、粗カウンターウエイト部を有する粗クランクアーム部のみが第2余肉部を有してもよい。また、粗カウンターウエイト部を有さない粗クランクアーム部の全部または一部が第2余肉部を有してもよい。また、粗カウンターウエイト部を有さない粗クランクアーム部のみが第2余肉部を有してもよい。
 前記仕上げ打ち工程において、第3金型が、前記粗クランクアーム部の前記粗ピン部側の表面のうち前記第2余肉部と前記バリとの間の表面に当接している状態で、前記第1金型によって前記第2余肉部を変形させて前記粗ピン部側に張り出させてもよい。この構成によれば、仕上げ打ち工程において、荒鍛造材の位置を安定させることができる。さらに、この構成によれば、後述する凹みの部分の表面形状(第2余肉部が張り出す側の表面形状)が変形することを抑制できる。なお、粗ジャーナル部近傍の前記2つの側部のいずれか一方のみに第2余肉部を設ける場合には、前記バリを境として第2余肉部を設ける側にのみ第3金型を当接させてもよい。前記粗ジャーナル部近傍の前記2つの側部の両方から前記第2余肉部が突出している場合、第3金型として一対の第3金型を用いてもよい。また、前記粗ジャーナル部近傍の前記2つの側部の両方から前記第2余肉部が突出している場合、先端が二又に分かれた第3金型を用いてもよい。一対の第3金型は、バリを挟んで対向するように配置された状態で粗クランクアーム部の表面に当接する。例えば、前記仕上げ打ち工程において、一対の第3金型が、前記バリを挟んで対向し、且つ、前記粗クランクアーム部の前記粗ピン部側の表面のうち前記第2余肉部と前記バリとの間の表面に当接している状態で、前記第1金型によって前記第2余肉部を変形させて前記粗ピン部側に張り出させてもよい。また、先端が二又に分かれた第3金型を用いる場合、二又に分かれた先端が、バリを挟んだ状態で粗クランクアーム部の表面に当接する。そして、先端が二又に分かれた第3金型が、前記粗クランクアーム部の前記粗ピン部側の表面のうち前記第2余肉部と前記バリとの間の表面に当接している状態で、前記第1金型によって前記第2余肉部を変形させて前記粗ピン部側に張り出させてもよい。
 前記第2余肉部が、前記粗ジャーナル部近傍の前記2つの側部のそれぞれから突出してもよい。前記粗クランクアーム部は、前記粗ジャーナル部近傍の前記2つの側部の外周から突出する2つの第2余肉部を有してもよい。この構成によれば、ジャーナル部近傍の両側部の剛性を確保できる。2つの第2余肉部の間には、後述する領域At(凹みを有する領域)となる部分が存在する。凹みとなる部分の表面形状は、後述するように、幅方向の中央が膨らむような凸状であってもよい。
 前記第2余肉部を有する前記粗クランクアーム部が、前記粗カウンターウエイト部を有する前記粗クランクアーム部であってもよい。
 前記第2余肉部を有する前記粗クランクアーム部が、前記粗カウンターウエイト部を有さない前記粗クランクアーム部であってもよい。この場合、前記粗カウンターウエイト部を有さない前記粗クランクアーム部が、前記粗ジャーナル部近傍の2つの前記側部のそれぞれの外周から突出する前記第2余肉部を有してもよい。
 前記仕上げ打ち工程での前記第2余肉部の変形を、押し潰し加工または折り曲げ加工によって行ってもよい。
 第2金型、第3金型、および支持部材は、いずれか1つを単独で用いることも可能であるし、任意の組み合わせで用いることも可能である。例えば、第2金型のみを用いてもよいし、第3金型のみを用いてもよいし、支持部材のみを用いてもよい。あるいは、第2金型と支持部材との組み合わせ、第3金型と支持部材との組み合わせ、第2金型と第3金型との組み合わせ、第2金型と第3金型と支持部材との組み合わせで用いてもよい。
 第2金型は、バリを挟んで荒鍛造材に当接するように、水平方向(第1金型の移動方向と垂直な方向)に移動する。第3金型についても同様である。さらに、仕上げ打ち工程で荒鍛造材が上下方向に移動する場合には、第2金型および第3金型は、仕上げ打ち工程での荒鍛造材の移動に伴って移動する。具体的には、仕上げ打ち工程において荒鍛造材が下方に移動する場合には、第2金型および第3金型もそれに伴って下降する。第2および第3金型を移動・保持する機構に限定はなく、公知の機構を適用してもよい。第2金型および第3金型はそれぞれ、水平移動機構と、その水平移動機構を垂直方向(上下方向)に移動させる機構とを備えてもよい。それらの機構には、例えば複動式のプレス装置で用いられる機構を適用してもよい。
 1つの観点では、本発明は、鍛造クランク軸の製造方法の一例を提供する。この一例の製造方法は、回転中心となるジャーナル部と、そのジャーナル部に対して偏心したピン部と、前記ジャーナル部と前記ピン部をつなぐクランクアーム部と、を備える鍛造クランク軸の製造方法である。前記鍛造クランク軸は、前記クランクアーム部のうちの全部または一部にカウンターウエイト部を一体で有する。この一例の製造方法は、型鍛造により、クランク軸の形状が成形されたバリ付きの荒鍛造材を得る荒打ち工程と、前記荒鍛造材を素材とし、一対の金型を用いる型鍛造によってバリ付きの仕上げ鍛造材を得る仕上げ打ち工程とを含む。この一例の荒打ち工程では、前記荒鍛造材のクランクアーム部(粗クランクアーム部)のピン部(粗ピン部)近傍の両側部それぞれの外周に当該外周から突出する第1余肉部をさらに成形する。この一例では、前記仕上げ打ち工程での型鍛造の過程で、前記金型によって前記第1余肉部を変形させ、前記クランクアーム部(粗クランクアーム部)の前記ピン部(粗ピン部)近傍の両側部の厚みを増加させる。
 上記の説明では、荒鍛造材が第1余肉部を必ず含む場合について説明した。しかし、荒鍛造材が第1余肉部を含まず第2余肉部のみを含む場合でも、本発明の製造方法を適用できる。この場合、上述したように、仕上げ打ち工程での型鍛造の過程で、第1金型によって第2余肉部を変形させて粗ピン部側に張り出させる。
 以下に、本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法について、図面を参照しながら説明する。以下の説明では、図1A~図1Fに関して説明した事項については、重複する説明を省略する場合がある。
1.クランク軸の形状
 本実施形態が対象とする鍛造クランク軸は、回転中心となるジャーナル部と、そのジャーナル部に対して偏心したピン部と、ジャーナル部とピン部をつなぐアーム部と、を備える。アーム部のうちの全部または一部は、ウエイト部を一体で有する。
 1つの観点では、本実施形態で製造される鍛造クランク軸の一例は、エンジンの気筒数に対応する数のユニット(「スロー」とも称される)を含む。1つのユニットは、1つのピン部と、ピン部を挟むように配置された2つのアーム部とを含む。1つのユニットの両端には、2つのジャーナル部が配置される。隣接する2つのユニットは、ジャーナル部によって接続されている。V型6気筒の場合は、2つのピン部の間にアーム部が1つある構造を1つの小ユニットとし、この小ユニットを挟むように2つのアーム部が配置されて大ユニットとなる。さらに、この大ユニットを挟むようにジャーナル部が配置される。
 本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、例えば、4気筒-8枚カウンターウエイトのクランク軸および4気筒-4枚カウンターウエイトのクランク軸に適用できる。その他に、3気筒エンジン、直列6気筒エンジン、V型6気筒エンジン、8気筒エンジン等に搭載されるクランク軸にも適用できる。
 より具体的には、本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、図2A~図2Dに示す第1構成例の鍛造クランク軸、図4A~図4Dに示す第2構成例の鍛造クランク軸、並びに、図6Aおよび図6Bに示す第3構成例の鍛造クランク軸に適用できる。
 第1~第3構成例の鍛造クランク軸では、いずれも、ウエイト部の有無に依拠することなく、全部のアーム部のジャーナル部側の表面に凹みが設けられる。なお、後述するように、一部のアーム部のジャーナル部側の表面に、凹みを設けてもよい。第2構成例では、さらに、ウエイト部を一体で有するアーム部のピン部側の表面に凹みが設けられる。第3構成例は、ウエイト無しアーム部を有する。その第3構成例では、上述のジャーナル部側の表面の凹みに加え、ウエイト無しアーム部のピン部側の表面に凹みが設けられる。
 本実施形態のクランク軸の製造方法は、アーム部に凹みを設けるため、荒鍛造材を得る荒打ち工程と、その荒鍛造材から仕上げ鍛造材を得る仕上げ打ち工程とを含む。また、荒鍛造材のアーム部は、第1余肉部を有し、仕上げ打ち工程でその第1余肉部をジャーナル部側に張り出させる。以下に、鍛造クランク軸(最終製品)および荒鍛造材におけるアーム部の形状をそれぞれ説明する。
 図2A~図2Dは、本発明の第1構成例におけるクランク軸のアーム部を示す模式図である。図2Aは斜視図、図2Bはジャーナル部側表面を示す図、図2Cは側面を示す図である。図2Dは、図2Bの線IID-IIDにおける断面図である。図2A~図2Dに示すクランク軸は、最終製品であり、例えば、仕上げ鍛造材にバリ抜きを施すことによって得られる。また、図2A~図2Dでは、クランク軸のアーム部(ウエイト部を含む)の1つを代表的に抽出して示しており、残りのクランク軸のアーム部を省略する。なお、図2Cは、図2Bの破線矢印で示す方向から見た図である。
 第1構成例のアーム部Aでは、図2A~図2Dに示すように、ジャーナル部J側の表面のうち、ピン部P近傍の両側部(2つの側部)AaおよびAbの内側の領域Asに凹みを有する。また、ピン部P近傍の両側部AaおよびAbがジャーナル部J側に張り出し、それらの両側部(Aa、Ab)の厚みは、凹みの厚みと比べ、厚肉である。ここで、側部とは、アーム部Aの幅方向(ピン部の偏心方向と垂直な方向)の側面およびその周辺部分を意味し、換言すると、アーム部Aの幅方向の端部を意味する。領域Asは、アーム部Aの表面のうち、ピン部Pとは反対側の表面、すなわちジャーナル部J側表面に位置する。
 このような第1構成例のアーム部Aでは、ピン部P近傍の両側部AaおよびAbの厚みが、凹みを有さないアーム部のように、厚く維持される。また、そのアーム部Aには、結果的にジャーナル部J側の表面に凹みが設けられる。このため、第1構成例の鍛造クランク軸は、アーム部Aの凹みによって軽量化を図ることができる。加えて、アーム部Aの両側部AaおよびAbの厚み維持によって剛性の確保を図ることができる。換言すると、アーム部Aのピン部P近傍の両側部AaおよびAbの厚みが、凹みの厚みと比べ、厚肉であることにより、剛性の確保を図ることができる。
 両側部AaおよびAbの内側領域Asの断面形状(凹みの底面形状)は、図2Dに示すように、幅方向の中央が膨らむような凸状であることが好ましい。換言すると、内側領域Asの厚みは、幅方向の中央から遠ざかるに従って漸次減少することが好ましい。凹みの底面形状は幅方向の中央が膨らむような凸状であるため、曲げ剛性をより向上できる。幅方向の中央およびその周辺の断面形状を、例えば、円弧状、半楕円状または放物線状とすれば、上述の断面形状を実現できる。
 図3A~図3Cは、本発明の第1構成例における荒鍛造材の粗アーム部を示す模式図である。図3Aは粗ジャーナル部側の表面を示す図である。図3Bは側面を示す図である。図3Cは、図3Aの線IIIC-IIICにおける断面図である。図3A~図3Cでは、荒鍛造材に成形されたクランク軸の形状のうち、粗アーム部(粗ウエイト部W’を含む)の1つを抽出して示す。なお、図3Bは、図3Aの破線矢印で示す方向から見た図である。
 仕上げ打ち工程前(荒打ち工程後)の粗アーム部A’は、図3A~図3Cに示すように、粗ジャーナル部J’側の表面のうち、粗ピン部P’近傍の両側部Aa’およびAb’の内側領域As’が、仕上げ打ち工程後の凹みの底面形状と合致する表面形状を有する。その表面形状は粗ピン部P’近傍の両側部Aa’およびAb’の領域まで滑らかに広がる。これにより、両側部Aa’およびAb’の厚みは、仕上げ打ち工程後の厚みよりも薄い。
 さらに、粗アーム部A’は、粗ピン部P’近傍の両側部Aa’およびAb’のそれぞれの外周に第1余肉部AaaおよびAbaを有する。第1余肉部AaaおよびAbaはそれぞれ、粗ピン部P’近傍の両側部Aa’およびAb’の外周から突出する。この第1余肉部AaaおよびAbaは、板状であり、粗ピン部P’近傍の両側部Aa’およびAb’の外周に沿って設けられる。第1余肉部AaaおよびAbaの厚みは、その根元の両側部Aa’およびAb’の厚みと比べ、同程度であるかまたは薄い。
 図4A~図4Dは、本発明の第2構成例におけるクランク軸のアーム部を示す模式図である。図4Aは斜視図、図4Bはピン部側表面を示す図、図4Cは側面を示す図である。図4Dは、図4Bの線IVD-IVDにおける断面図である。図4A~図4Dには、クランク軸のアーム部(ウエイト部を含む)の1つを抽出して示す。なお、図4Cは、図4Bの破線矢印で示す方向から見た図である。
 第2構成例のアーム部Aでは、上記の第1構成例と同様に、ピン部P近傍の両側部の厚みが厚く維持されるとともに、ジャーナル部J側の表面に凹みを有する。加えて、第2構成例では、ウエイト部を一体で有するアーム部Aは、図4A~図4Dに示すように、ピン部P側の表面のうち、ジャーナル部J近傍の両側部(2つの側部)AcおよびAdの内側の領域Atに、凹みを有する。また、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdがピン部P側に張り出し、それらの両側部AcおよびAdの厚みは、凹みの厚みと比べ、厚肉である。領域Atは、アーム部Aの表面のうち、ジャーナル部Jとは反対側の表面、すなわちピン部P側表面に位置する。
 このような第2構成例のアーム部Aでは、ピン部P近傍の両側部の厚みが厚くされるとともに、ジャーナル部J側の表面に凹みが設けられる。さらに、ウエイト部を一体で有するアーム部Aでは、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの厚みが、凹みを有さないアーム部のように、厚く維持される。また、アーム部Aには、結果的にピン部P側の表面に凹みが設けられる。
 このため、第2構成例による鍛造クランク軸は、アーム部Aのジャーナル部J側の凹みおよびピン部P側の凹みによって軽量化をさらに図ることができる。加えて、ピン部P近傍の両側部AaおよびAb並びにジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの厚みが維持されることにより、剛性の確保を図ることができる。換言すると、ピン部P近傍の両側部AaおよびAb並びにジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの厚みが、凹みの厚みと比べ、厚肉であることにより、剛性の確保を図ることができる。
 ウエイト部を一体で有するアーム部Aでは、両側部AcおよびAdの内側領域Atの断面形状(凹みの底面形状)が、図4Dに示すように、幅方向の中央が膨らむような凸状であることが好ましい。換言すると、内側領域Atの厚みは、幅方向の中央から遠ざかるに従って漸次減少することが好ましい。凹みの底面形状は幅方向の中央が膨らむような凸状であるため、曲げ剛性をより向上できる。幅方向の中央およびその周辺の断面形状を、例えば、円弧状、半楕円状または放物線状とすれば、上述の断面形状を実現できる。
 図5A~5Cは、本発明の第2構成例における荒鍛造材の粗アーム部を示す模式図である。図5Aは粗ピン部側表面を示す図、図5Bは側面を示す図である。図5Cは、図5Aの線VC-VCにおける断面図である。図5A~図5Cでは、クランク軸の粗アーム部(粗ウエイト部を含む)の1つを抽出して示す。なお、図5Bは、図5Aの破線矢印で示す方向から見た図である。
 第2構成例において、仕上げ打ち工程前(荒打ち工程後)の粗アーム部A’は、上記の第1構成例と同様に、粗ジャーナル部J’側の表面のうち、粗ピン部P’近傍の両側部Aa’およびAb’の内側領域As’に、仕上げ打ち工程後の凹みの底面形状と合致する表面形状を持つ。また、粗アーム部A’は、上記の第1構成例のように、粗ピン部P’近傍の両側部Aa’およびAb’のそれぞれの外周に第1余肉部AaaおよびAbaを有する。第1余肉部AaaおよびAbaはそれぞれ、粗ピン部P’近傍の両側部Aa’およびAb’の外周から突出する。
 加えて、粗ウエイト部W’を一体で有する粗アーム部A’は、粗ピン部P’側の表面のうち、粗ジャーナル部J’近傍の両側部Ac’およびAd’の内側領域At’に、仕上げ打ち工程後の凹みの底面形状と合致する表面形状を持つ。その表面形状は粗ジャーナル部J’近傍の両側部Ac’およびAd’の領域まで滑らかに広がる。これにより、粗ジャーナル部J’近傍の両側部Ac’およびAd’の厚みは、仕上げ打ち工程後の厚みよりも薄い。
 また、粗ウエイト部W’を一体で有する粗アーム部A’は、粗ジャーナル部J’近傍の両側部Ac’およびAd’のそれぞれの外周に、第2余肉部AcaおよびAdaを有する。その第2余肉部AcaおよびAdaはそれぞれ、粗ジャーナル部J’近傍の両側部Ac’およびAd’の外周から突出する。図5A~図5Cに示す第2余肉部AcaおよびAdaは、板状であり、粗ジャーナル部J’近傍の両側部Ac’およびAd’の外周に沿って設けられる。第2余肉部AcaおよびAdaの厚みは、その根元の両側部Ac’およびAd’の厚みと比べ、同程度であるかまたは薄い。
 図6Aおよび図6Bは、本発明の第3構成例におけるクランク軸のアーム部を示す模式図である。図6Aはピン部側の表面を示す図である。図6Bは、図6Aの線VIB-VIBにおける断面図である。図6Aおよび図6Bに示すクランク軸は、最終製品であり、例えば、仕上げ鍛造材にバリ抜きを施すことによって得られる。
 第3構成例のクランク軸は、複数のアーム部を備え、そのうちの一部のアーム部がウエイト部を一体で有する。図6Aおよび図6Bには、ウエイト部を有さないアーム部、すなわち、ウエイト無しアーム部の1つを抽出して示す。
 第3構成例のアーム部Aでは、図示を省略するが、ウエイト部の有無に依拠することなく、上記の第1構成例と同様に、ピン部P近傍の両側部の厚みが厚くされるとともに、ジャーナル部J側の表面に凹みを有する。加えて、第3構成例のウエイト無しアーム部Aは、図6Aおよび図6Bに示すように、ピン部P側の表面のうち、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの内側領域Atに、凹みを有する。また、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdがピン部P側に張り出し、それらの両側部AcおよびAdの厚みは、凹みの厚みと比べ、厚肉である。
 このような第3構成例のアーム部Aでは、ピン部P近傍の両側部AaおよびAbの厚みが厚く維持されるとともに、ジャーナル部J側の表面に凹みが設けられる。ウエイト無しアーム部Aでは、さらに、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの厚みが、凹みを有さないアーム部のように、厚く維持される。また、ウエイト無しアーム部Aでは、結果的にピン部P側の表面に凹みが設けられる。
 このため、第3構成例による鍛造クランク軸は、アーム部Aのジャーナル部J側の凹みおよびピン部P側の凹みによって軽量化をさらに図ることができる。加えて、ピン部P近傍の両側部AaおよびAb並びにジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの厚みを維持することによって剛性の確保を図ることができる。換言すると、ピン部P近傍の両側部AaおよびAb並びにジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの厚みが、凹みの厚みと比べ、厚肉であることにより、剛性の確保を図ることができる。
 ウエイト無しアーム部Aでは、両側部AcおよびAdの内側領域Atの形状(凹みの底面形状)が、図6Bに示すように、幅方向の中央が膨らむような凸状であることが好ましい。換言すると、内側領域Atの厚みは、幅方向の中央から遠ざかるに従って漸次減少することが好ましい。凹みの底面形状は幅方向の中央が膨らむような凸状であるため、曲げ剛性をより向上できる。幅方向の中央およびその周辺の断面形状を、例えば、円弧状、半楕円状または放物線状とすれば、上述の断面形状を実現できる。
 図7Aおよび図7Bは、本発明の第3構成例における荒鍛造材の粗アーム部を示す模式図である。図7Aは粗ピン部側表面を示す図である。図7Bは、図7Aの線VIIB-VIIBにおける断面図である。図7Aおよび図7Bでは、荒鍛造材に成形されたクランク軸の形状のうち、ウエイト無し粗アーム部の1つを抽出して示す。
 仕上げ打ち工程前(荒打ち工程後)の粗アーム部A’は、図示を省略するが、粗ウエイト部の有無に依拠することなく、上記の第1構成例と同様に、粗ジャーナル部J’側の表面のうち、粗ピン部P’近傍の両側部の内側領域に、仕上げ打ち後の凹みの底面形状と合致する表面形状を持つ。また、その粗アーム部A’は、粗ピン部P’近傍の両側部のそれぞれの外周に、上記の第1構成例と同様に、第1余肉部AaaおよびAbaを有する。第1余肉部AaaおよびAbaはそれぞれ、粗ピン部P’近傍の両側部の外周から突出する。
 第3構成例では、仕上げ打ち工程前のウエイト無し粗アーム部A’が、図7Aおよび図7Bに示すように、粗ピン部P’側の表面のうち、粗ジャーナル部J’近傍の両側部Ac’およびAd’の内側領域At’に、仕上げ打ち工程後の凹みの底面形状と合致する表面形状を持つ。その表面形状は粗ジャーナル部J’近傍の両側部Ac’およびAd’の領域まで滑らかに広がる。これにより、粗ジャーナル部J’近傍の両側部Ac’およびAd’の厚みは、仕上げ打ち工程後の厚みよりも薄い。
 また、ウエイト無し粗アーム部A’は、粗ジャーナル部J’近傍の両側部Ac’およびAd’のそれぞれの外周に、第2余肉部AcaおよびAdaを有する。その第2余肉部AcaおよびAdaはそれぞれ、粗ジャーナル部J’近傍の両側部Ac’およびAd’の外周から突出する。この第2余肉部AcaおよびAdaは、板状であり、粗ジャーナル部J’近傍の両側部Ac’およびAd’の外周に沿って設けられる。第2余肉部AcaおよびAdaの厚みは、その根元の両側部Ac’およびAd’の厚みと比べ、同程度であるかまたは薄い。
2.鍛造クランク軸の製造工程
 本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、荒打ち工程と、仕上げ打ち工程とを含む。荒打ち工程の前工程として、例えば、従来の製造工程と同様に、予備成形工程を追加できる。また、仕上げ打ち工程の後工程として、例えば、従来の製造工程と同様に、バリ抜き工程を追加できる。必要に応じ、バリ抜き工程の後工程として、整形工程を追加できる。なお、ピン部の配置角度の調整が必要な場合は、バリ抜き工程の後に、捩り工程が追加される。これらの工程は、いずれも、熱間で一連に行われる。本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法のうち、本発明の特徴部分を除く部分には、従来の製造方法を適用してもよい。例えば、本発明の特徴部分を除く部分には、図1A~図1Fで説明した工程のうちの少なくとも1つの工程、またはそれを本発明に適合するように修正した工程を適用してもよい。
 予備成形工程は、例えばロール成形工程と曲げ打ち工程とで構成できる。ロール成形工程および曲げ打ち工程では、ビレット(原材料)の体積を配分し、曲げ荒地を成形する。
 荒打ち工程では、例えば、予備成形工程で得られた曲げ荒地を素材とし、型鍛造によってバリ付きの荒鍛造材を得る。得られる荒鍛造材には、前記図3A~図3Cに示すように、クランク軸のおおよその形状が成形され、その荒鍛造材は、粗ジャーナル部J’や粗ピン部P’、粗アーム部A’等を有する。加えて、荒鍛造材の粗アーム部A’は、ピン部近傍の側部Aa’およびAb’の外周から突出する第1余肉部AaaおよびAbaを有する。すなわち、荒打ち工程では、余肉部(第1余肉部、第2余肉部、または、第1余肉部および第2余肉部)を形成できる金型を用いて型鍛造が行われる。
 荒打ち工程の型抜き勾配は、逆勾配にならない。具体的には、粗アーム部A’の粗ジャーナル部J’側表面に設けられる凹みの底面(内側領域As’)に対応する部位、並びに、第1余肉部AaaおよびAbaに対応する部位のいずれでも、型抜き勾配は逆勾配にならない。換言すれば、上記形状を有する荒鍛造材は、型抜き勾配が逆勾配にならない金型を用いて形成できる。このため、型鍛造による荒打ちを支障なく行え、前記図3A~図3Cに示すような荒鍛造材を得ることができる。また、前記図5A~図5C並びに図7Aおよび図7Bに示すような荒鍛造材であっても、粗ピン部P’側の表面に設けられる凹みの底面(内側領域At’)に対応する部位、並びに、第2余肉部AcaおよびAdaに対応する部位のいずれでも逆勾配にならない。換言すれば、上記形状を有する荒鍛造材は、型抜き勾配が逆勾配にならない金型を用いて形成できる。このため、型鍛造による荒打ちを支障なく行える。
 仕上げ打ち工程では、荒鍛造材を素材とし、一対の金型を用いて型鍛造を行う。これにより、バリ付きの仕上げ鍛造材を得る。その仕上げ鍛造材は、最終製品のクランク軸とほぼ合致する形状に成形されている。加えて、仕上げ打ち工程では、金型によって第1余肉部を変形させて粗ジャーナル部側に張り出させる。これにより、粗アーム部の粗ピン部近傍の両側部の厚みを増加させる。仕上げ打ち工程の詳細は、後述する。
 バリ抜き工程では、例えば、バリ付きの仕上げ鍛造材を保持した状態で、バリを打ち抜く。これにより、仕上げ鍛造材からバリを除去することにより、バリ無し鍛造材を得る。整形工程では、バリ無し鍛造材の要所を上下から金型で僅かに圧下し、バリ無し鍛造材を最終製品の寸法形状に矯正してもよい。本発明の製造方法によれば、鍛造クランク軸が得られる。
3.仕上げ打ち工程の処理フロー例
 図8Aおよび図8Bは、本発明のクランク軸の製造方法による仕上げ打ちの処理フロー例を示す断面図である。図8Aは荒鍛造材の配置時を示し、図8Bは圧下終了時を示す。図8Aおよび図8Bは、前記図3AのIIIC-IIIC位置に相当する位置の断面図である。
 図8Aには、バリ付きの荒鍛造材30と、上下で一対の第1金型10とを示す。バリ付きの荒鍛造材30の形状は、前記図3A~図3Cに示す荒鍛造材30の形状と同様である。荒鍛造材30にはクランク軸の形状が成形されている。図8Aでは、1つの粗ピン部P’とその粗ピン部P’に接続された2つの粗アーム部A’を抽出して示す。
 一対の第1金型10は、上型(第1上型)11と下型(第1下型)12とからなる。上型11および下型12は、離間するように移動可能であるとともに近接するように移動可能である。このような第1金型10を用いる型鍛造では、上型11と下型12との間に荒鍛造材30を配置した状態で、上型11および下型12が近接するようにそれらを移動させる。これにより、上型11および下型12を荒鍛造材30に押し当て、荒鍛造材30を圧下する。
 上型11および下型12のそれぞれには、荒鍛造材30を成形するとともに突出する余肉部を変形させるため、型彫刻部が彫り込まれている。それらの型彫刻部には、最終製品のクランク軸とほぼ合致する形状が反映されている。ただし、クランク軸の形状のうちの一部は、型彫刻部に反映されない。
 具体的には、アーム部のジャーナル部側の表面に凹みを設ける場合(前記図2A~図2D参照)、型彫刻部には、アーム部のジャーナル部側の表面における凹みの形状が反映されない。また、アーム部のピン部側の表面に凹みを設ける場合(前記図4A~図4D並びに図6Aおよび図6B参照)、型彫刻部には、アーム部のピン部側の表面における凹みの形状が反映されない。これらの凹みの形状を型彫刻部に反映すると、型彫刻部の一部が逆勾配となるからである。
 このような第1金型10を用いる処理フロー例では、先ず、上型11と下型12とを離間させる。そして、図8Aに示すように、バリ付きの荒鍛造材30を上型11と下型12の間に配置する。
 続いて、上型11と下型12とを近接させる。より具体的には、上型11を下死点まで下降させる。これにより、図8Bに示すように、上型11および下型12を荒鍛造材30と当接させ、上型11と下型12とで荒鍛造材30を圧下する。第1金型10による圧下に伴い、荒鍛造材30が最終製品のクランク軸とほぼ合致する形状に成形される。具体的には、図8Bに示すように、仕上げ鍛造材31が得られる。図8Bに示す各部の形状は、最終製品である鍛造クランク軸の各部の形状に実質的に対応する。そのため、図8Bでは、仕上げ鍛造材31の符号を、最終製品である鍛造クランク軸の各部の符号と同じとしている。
 加えて、本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法では、型鍛造の過程(第1金型10による圧下過程)で、第1金型10によって第1余肉部AaaおよびAbaを変形させる。例えば、第1金型10によって第1余肉部AaaおよびAbaを押し潰す、または、第1金型10に沿って第1余肉部AaaおよびAbaを粗ジャーナル部側に折り曲げる。これらにより、第1余肉部AaaおよびAbaを第1金型10に沿う形状とし、粗ジャーナル部側に張り出させる。その結果、粗アーム部の粗ピン部近傍の側部Aa’およびAb’の厚みが増加する。このため、荒鍛造材30は、圧下に伴い、粗アーム部A’の粗ピン部P’近傍の両側部Aa’およびAb’で厚みが厚くなる。
 また、荒鍛造材30では、図8Aに示すように、粗アーム部A’の粗ジャーナル部側の表面のうち、粗ピン部P’近傍の両側部Aa’およびAb’の内側領域As’が、凹みの底面と合致する表面形状を有する。その内側領域As’の表面形状は、型鍛造の過程で維持される。一方で、粗ピン部P’近傍の両側部Aa’およびAb’は、型鍛造に伴って粗ジャーナル部側に張り出す。その結果、仕上げ打ち後の荒鍛造材(得られる仕上げ鍛造材)では、両側部の内側領域Asに凹みが設けられる。
 領域Asの凹みの中央部は、図8Bに示すように膨らんでいる。この中央部におけるバリBと他の部分との境界線は、仕上げ鍛造材31における両側部AaおよびAbの先端を結ぶ線よりも外側にあってもよい。この構成によれば、バリ抜きの工程が容易になる。
 続いて、上型11と下型12とを離間させる。より具体的には、上型11を上死点まで上昇させる。この状態で、圧下済みの荒鍛造材(仕上げ鍛造材)を取り出す。
 このような仕上げ打ち工程を含む本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法によれば、仕上げ鍛造材において、アーム部Aのピン部P近傍の側部AaおよびAbの厚みを厚くできる。また、アーム部Aのジャーナル部J側の表面に凹みを設けることが可能となる。本発明によれば、仕上げ打ち工程も、型抜き勾配が逆勾配とならない金型を用いて行うことが可能である。
 仕上げ打ち工程の後工程(例えばバリ抜き工程および整形工程)では、アーム部のジャーナル部側の表面における凹み形状を維持する。また、アーム部のピン部側の表面に凹みを設ける場合(前記図4A~図4D並びに図6Aおよび図6B参照)は、アーム部のピン部側の表面における凹み形状を維持する。例えば、バリ抜き工程で仕上げ鍛造材を保持する金型の型彫刻部において、仕上げ打ち工程の金型と同様に、凹み形状を反映しなければ、バリ抜き工程で凹み形状を維持できる。また、整形工程でバリ無し鍛造材を圧下する金型の型彫刻部において、仕上げ打ち工程の金型と同様に、凹み形状を反映しなければ、整形工程で凹み形状を維持できる。
 このため、本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、最終製品において、アーム部Aのピン部P近傍の側部AaおよびAbの厚みを厚くしながら、アーム部Aのジャーナル部J側の表面に凹みを設けることが可能となる。従って、軽量化と剛性確保を同時に図った鍛造クランク軸を製造することができる。
 また、本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、仕上げ打ち工程で、型鍛造に用いる金型によって第1余肉部AaaおよびAbaを変形させ、粗アーム部の粗ピン部近傍の側部の厚みを増加させる。このため、パンチ等の特別な工具は不要であり、既存の設備を利用して簡便に行える。また、従来の製造工程を変更する必要もない。
 本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、前記図4A~図4Dに示すような第2構成例の鍛造クランク軸を対象とすることもできる。この場合、荒鍛造材では、粗ウエイト部を一体で有する粗アーム部が、前記図5A~図5Cに示すような第2余肉部AcaおよびAdaを有する。その第2余肉部AcaおよびAdaは、粗ウエイト部を一体で有する粗アーム部A’の粗ジャーナル部J’近傍の側部の外周から突出する。
 加えて、仕上げ打ち工程の型鍛造の過程では、金型によって第1余肉部AaaおよびAbaを変形させるのみならず、粗ウエイト部を一体で有する粗アーム部A’の第2余肉部AcaおよびAdaも変形させて粗ピン部P’側に張り出させればよい。これにより、粗ウエイト部を一体で有する粗アーム部A’において、粗ジャーナル部J’近傍の側部Ac’およびAd’でも厚みを増加させる。その第2余肉部の変形は、例えば、押し潰し加工または折り曲げ加工によって行うことができる。その結果、前記図4A~図4Dに示すような、剛性を確保しつつ、より軽量化を図ったクランク軸を得ることができる。
 本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、前記図6Aおよび図6Bに示すような第3構成例の鍛造クランク軸を対象とすることもできる。その鍛造クランク軸は、アーム部Aのうちの一部のみがウエイト部を一体で有する。すなわち、残りのアーム部Aは、ウエイト部を有さないウエイト無しアーム部である。
 この場合、荒打ち工程では、ウエイト無し粗アーム部A’において、前記図7Aおよび図7Bに示すような第2余肉部AcaおよびAdaをさらに成形すればよい。その第2余肉部AcaおよびAdaは、ウエイト無し粗アーム部A’の粗ジャーナル部J’近傍の側部の外周から突出する。
 加えて、仕上げ打ち工程の型鍛造の過程では、金型によって第1余肉部AaaおよびAbaを変形させるのみならず、金型によってウエイト無し粗アーム部A’の第2余肉部AcaおよびAdaも変形させて粗ピン部P’側に張り出させればよい。これにより、ウエイト無し粗アーム部A’において、粗ジャーナル部J’近傍の側部Ac’およびAd’でも厚みを増加させる。その第2余肉部の変形は、例えば、押し潰し加工または折り曲げ加工によって行うことができる。その結果、前記図6Aおよび図6Bに示すような、剛性を確保しつつ、より軽量化を図ったクランク軸を得ることができる。
 本実施形態の仕上げ打ち工程において、第1金型とともに、上述した第2金型を用いてもよい。あるいは、仕上げ打ち工程において、第1金型とともに、上述した第2金型および支持部材を用いてもよい。
 第1金型とともに第2金型および支持部材を用いる仕上げ打ち工程の一例について、図9A、図9Bおよび図9Cを用いて説明する。以下では、図3A~図3Cに示した第1構成例の荒鍛造材に対して仕上げ打ち工程を行う一例について説明する。しかし、他の荒鍛造材(例えば第2構成例および第3構成例の荒鍛造材)についても、同様に、第2金型および支持部材を用いて仕上げ打ち工程を行うことができる。以下の説明では第2金型および支持部材の両方を用いる場合について説明するが、第2金型のみを用いてもよい。
 図9Aは、荒鍛造材の粗アーム部A’を粗ジャーナル部J’側から見た図である。図9Bは、図9Aの破線矢印で示す方向から見た図である。図9Cは、図9Aの線IXC-IXCにおける断面図である。なお、図8Aおよび図8Bで説明した事項については、重複する説明を省略する場合がある。
 この実施形態では、第2金型20を用いる。さらに、バリBの下面を支持する支持部材23を用いる。この実施形態では、複数の支持部材23を用いる一例について説明する。なお、以下の図では、荒鍛造材の一部のみを図示しているため、図示される支持部材23は1つのみとなっている。
 先ず、図9A~図9Cに示すように金型を配置する。具体的には、一対の第1金型10(上型11および下型12)の間に荒鍛造材30を配置する。このとき、複数の支持部材23によって、バリBの下面を支持する。複数の支持部材23は、バリBが水平になるように荒鍛造材30を支持する。さらに、一対の第2金型20(第2金型21および第2金型22)を、バリBを挟んで対向するように配置する。このとき、第2金型20を、第1余肉部AaaおよびAbaを有する粗クランクアーム部A’の表面のうちの粗ピン部P’とは反対側の表面に当接させる。より具体的には、粗クランクアーム部A’の表面であって粗ジャーナル部J’側の表面のうち、粗ピン部P’近傍の両側部(2つの側部)Aa’およびAb’の内側の領域As’に当接するように第2金型20が配置される。この構成によれば、仕上げ打ち工程における領域As’の変形を、第2金型20によって抑制できる。領域As’の変形を抑制するために、第2金型20の表面のうち領域As’と接触する面は、領域As’に対応する形状、すなわち、領域As’と密着する形状を有することが好ましい。なお、2つの側部の一方のみに第1余肉部が形成されている場合には、第1余肉部が形成されている側のみに第2金型を当接させてもよい。
 金型を配置する順序に特に限定はない。好ましい一例では、上型11と下型12との間にある荒鍛造材30を支持部材23によって支持してから、第2金型20を荒鍛造材30に当接させる。
 次に、図8Bで説明したように、上型11と下型12とを近接させ、上型11と下型12とで荒鍛造材30を圧下する。第1金型10による圧下に伴い、荒鍛造材30が最終製品である鍛造クランク軸とほぼ合致する形状に成形される。このとき、上述したように、第1余肉部AaaおよびAbaを変形させて粗ジャーナル部J’側に張り出させる。
 上型11を下降させて仕上げ打ち工程を行う場合、上型11が先ず荒鍛造材30と接触し、荒鍛造材30の下降に伴って下型12と荒鍛造材30とが接触する。さらに、上型11が下降するのに伴って、荒鍛造材30が変形される。この場合、第1金型10の動作(上型11の下降)に伴ってバリBが下降する。そのため、支持部材23は、バリBの下降に伴って、バリBの下面を支持している状態を維持しながら下降する。換言すれば、支持部材23は、第1金型10の動作に伴って位置が変動するバリBに追従して移動する。支持部材23を用いることによって、荒鍛造材30の姿勢が安定している状態で仕上げ打ち工程を行うことができる。
 以上のようにして仕上げ打ち工程が行われ、バリ付きの仕上げ鍛造材が得られる。仕上げ打ち工程後は、必要に応じて第2金型20および支持部材23を退避させ、仕上げ鍛造材が搬出される。
 荒鍛造材が第2余肉部を有する場合、仕上げ打ち工程において、第1金型とともに、上述した第3金型を用いてもよい。あるいは、仕上げ打ち工程において、第1金型とともに、第2金型および第3金型を用いてもよい。あるいは、仕上げ打ち工程において、第1金型とともに、第2金型、支持部材、および第3金型を用いてもよい。
 第1金型とともに支持部材および第3金型を用いる仕上げ打ち工程の一例について、図10A、図10Bおよび図10Cを用いて説明する。以下では、図5A~図5Cに示した第2構成例の荒鍛造材に対して仕上げ打ち工程を行う一例について説明する。しかし、他の荒鍛造材(例えば第3構成例の荒鍛造材)についても、同様に、支持部材および第3金型を用いて仕上げ打ち工程を行うことができる。以下の説明では支持部材および第3金型の両方を用いる場合について説明するが、第3金型のみを用いてもよい。なお、いずれの場合でも、さらに第2金型を用いることができる。
 図10Aは、荒鍛造材の粗アーム部A’の表面の粗ピン部P’側の表面を示す図である。図10Bは、図10Aの破線矢印で示す方向から見た図である。図10Cは、図10Aの線XC-XCにおける断面図である。なお、図8Aおよび図8Bで説明した事項については、重複する説明を省略する場合がある。
 この実施形態では、第3金型35を用いる。さらに、バリBの下面を支持する複数の支持部材23を用いる。なお、以下の図では、荒鍛造材の一部のみを図示しているため、図示される支持部材23は1つのみとなっている。
 先ず、図10A~図10Cに示すように金型を配置する。具体的には、一対の第1金型10(上型11および下型12)の間に荒鍛造材30を配置する。このとき、複数の支持部材23によって、バリBの下面を支持する。さらに、一対の第3金型35(第3金型36および第3金型37)を、バリBを挟んで対向するように配置する。このとき、第3金型35を、第2余肉部AcaおよびAdaを有する粗クランクアーム部A’の表面のうちの粗ジャーナル部J’とは反対側の表面に当接させる。より具体的には、粗クランクアーム部A’の表面であって粗ピン部P’側の表面のうち、粗ジャーナル部J’近傍の両側部(2つの側部)Ac’およびAd’の内側の領域At’に当接するように第3金型35が配置される。この構成によれば、仕上げ打ち工程における領域At’の変形を、第3金型35によって抑制できる。領域At’の変形を抑制するために、第3金型35の表面のうち領域At’と接触する面は、領域At’に対応する形状、すなわち、領域At’と密着する形状を有することが好ましい。なお、2つの側部の一方のみに第2余肉部が形成されている場合には、第2余肉部が形成されている側のみに第3金型を当接させてもよい。
 金型を配置する順序に特に限定はない。上型11と下型12との間に配置した荒鍛造材30を支持部材23によって支持してから第3金型35を荒鍛造材30に当接させてもよい。なお、第3金型35とともに第2金型20を用いる場合、第2金型20は、図9A~図9Cに示したように配置される。
 次に、図8Bで説明したように、上型11と下型12とを近接させ、上型11と下型12とで荒鍛造材30を圧下する。第1金型10による圧下に伴い、荒鍛造材30が最終製品である鍛造クランク軸とほぼ合致する形状に成形される。このとき、上述したように、第2余肉部AcaおよびAdaを変形させて粗ピン部P’側に張り出させる。なお、支持部材23は、上述したように移動する。
 以上のようにして仕上げ打ち工程が行われ、バリ付きの仕上げ鍛造材が得られる。上述したように、本発明の製造方法の仕上げ打ち工程では、第1金型10による1回の圧下によって荒鍛造材30の成形を行うことが可能であり、その成形の際に余肉部(第1余肉部、第2余肉部、または、第1余肉部および第2余肉部)の変形を行うことが可能である。仕上げ打ち工程後は、必要に応じて第3金型35および支持部材23を退避させ、仕上げ鍛造材が搬出される。
 第1金型10、第2金型20、支持部材23、および第3金型35は、互いの動作を阻害しない形状を有し、互いの動作を阻害しないように移動する。これらの金型は、上述した動作が可能なように移動される。これらの金型の移動は、公知の機構で行ってもよい。例えば、第2金型20、支持部材23、および第3金型35は、公知の複動式のプレス装置で用いられる機構によって移動させてもよい。
 第1~第3構成例のクランク軸は、ウエイト部の有無に依拠することなく、複数のアーム部の全部が、ピン部近傍のジャーナル部側の表面に凹みを有する。本実施形態のクランク軸の製造方法では、複数のアーム部の一部が、ピン部近傍のジャーナル部側の表面に凹みを有してもよい。換言すると、荒鍛造材の複数の粗アーム部の全部または一部が第1余肉部を有すればよい。第1余肉部を設ける粗アーム部は、例えば、アーム部に要求される曲げ剛性やねじり剛性、剛性が必要な部位に基づいて、適宜決定できる。
 前述の通り、ウエイト部を一体で有するアーム部(以下、「ウエイト付きアーム部」ともいう)は、ジャーナル部近傍のピン部側の表面に凹みを有することが好ましい。複数のウエイト付きアーム部を備えるクランク軸において、ウエイト付きアーム部のジャーナル部近傍のピン部側の表面に凹みを設ける場合、ウエイト付きアーム部の全部が、ピン部側の表面に凹みを有してもよい。あるいは、ウエイト付きアーム部の一部が、ピン部側の表面に凹みを有してもよい。換言すると、荒鍛造材では、ウエイト付き粗アーム部の全部または一部が第2余肉部を有してもよい。第2余肉部を設ける粗アーム部は、例えば、アーム部に要求される曲げ剛性やねじり剛性、剛性が必要な部位に基づいて、適宜決定できる。
 前述の通り、ウエイト無しアーム部は、ジャーナル部近傍のピン部側の表面に凹みを有することが好ましい。複数のウエイト無しアーム部を備えるクランク軸において、ウエイト無しアーム部のジャーナル部近傍のピン部側の表面に凹みを設ける場合、ウエイト無しアーム部の全部が、ピン部側の表面に凹みを有してもよい。あるいは、ウエイト無しアーム部の一部が、ピン部側の表面に凹みを有してもよい。換言すると、荒鍛造材のウエイト無し粗アーム部の全部または一部が第2余肉部を有してもよい。第2余肉部を設ける粗アーム部は、例えば、アーム部に要求される曲げ剛性やねじり剛性、剛性が必要な部位に基づいて、適宜決定できる。
 前述の第1~第3構成例のように、粗アーム部は、第1余肉部を粗ピン部近傍の両方の側部(両側部)に有してもよく、あるいは、第1余肉部を粗ピン部近傍の一方の側部に有してもよい。粗アーム部が第1余肉部を粗ピン部近傍の一方の側部に有する場合であっても、その第1余肉部を粗ジャーナル部側に張り出させることにより、仕上げ打ち後のアーム部の一方の側部で厚みを増加できる。このため、軽量化しつつ、剛性を確保できる。第1余肉部を設ける粗ピン部近傍の側部は、例えば、アーム部に要求される曲げ剛性やねじり剛性、剛性が必要な部位に基づいて、適宜決定できる。
 粗アーム部の側部の一方のみに第1余肉部が形成されている場合、粗クランクアーム部の粗ジャーナル部側表面の第1余肉部とバリとの間に第2金型が当接している状態で、第1金型によって第1余肉部を変形させて粗ジャーナル部側に張り出させることが好ましい。
 ウエイト付き粗アーム部が第2余肉部を有する場合、ウエイト付き粗アーム部は、前述の第2構成例のように、第2余肉部を粗ジャーナル部近傍の両方の側部に有してもよい。あるいは、ウエイト付き粗アーム部は、第2余肉部を粗ジャーナル部近傍の一方の側部に有してもよい。粗アーム部が第2余肉部を粗ジャーナル部近傍の一方の側部に有する場合であっても、その第2余肉部を粗ピン部側に張り出させることにより、仕上げ打ち後のアーム部の一方の側部で厚みを増加できる。このため、軽量化しつつ、剛性を確保できる。第2余肉部を設ける粗ジャーナル部近傍の側部は、例えば、アーム部に要求される曲げ剛性やねじり剛性、剛性が必要な部位に基づいて、適宜決定できる。粗アーム部の側部の一方のみに第2余肉部が形成されている場合、粗クランクアーム部の粗ピン部側表面の第2余肉部とバリとの間に第3金型が当接している状態で、第1金型によって第2余肉部を変形させて粗ピン部側に張り出させることが好ましい。
 ウエイト無し粗アーム部が第2余肉部を有する場合、ウエイト無し粗アーム部は、前述の第3構成例のように、第2余肉部を粗ジャーナル部近傍の両方の側部に有してもよい。あるいは、ウエイト無し粗アーム部は、第2余肉部を粗ジャーナル部近傍の一方の側部に有してもよい。粗アーム部が第2余肉部を粗ジャーナル部近傍の一方の側部に有する場合であっても、その第2余肉部を粗ピン部側に張り出させることにより、仕上げ打ち後のアーム部の一方の側部で厚みを増加できる。このため、軽量化しつつ、剛性を確保できる。第2余肉部を設ける粗ジャーナル部近傍の側部は、例えば、アーム部に要求される曲げ剛性やねじり剛性、剛性が必要な部位に基づいて、適宜決定できる。粗アーム部の側部の一方のみに第2余肉部が形成されている場合、粗クランクアーム部の粗ピン部側表面の第2余肉部とバリとの間に第3金型が当接している状態で、第1金型によって第2余肉部を変形させて粗ピン部側に張り出させることが好ましい。
 本発明は、鍛造クランク軸の製造に有効に利用でき、例えばレシプロエンジンに搭載される鍛造クランク軸の製造に有効に利用できる。
 1:鍛造クランク軸、 J、J1~J5:ジャーナル部、 P、P1~P4:ピン部、
 Fr:フロント部、 Fl:フランジ部、 A、A1~A8:クランクアーム部、
 W、W1~W8:カウンターウエイト部、
 J’:粗ジャーナル部、 P’:粗ピン部、 A’:粗クランクアーム部、
 W’:粗カウンターウエイト部
 Aa、Ab:アーム部のピン部近傍の側部、
 Aa’、Ab’:粗アーム部の粗ピン部近傍の側部、
 Aaa、Aba:第1余肉部、
 Ac、Ad:アーム部のジャーナル部近傍の側部、
 Ac’、Ad’:粗アーム部の粗ジャーナル部近傍の側部、
 Aca、Ada:第2余肉部、
 As:アーム部のジャーナル部側表面における両側部の内側領域、
 As’:粗アーム部の粗ジャーナル部側表面における両側部の内側領域、
 At:アーム部のピン部側表面における両側部の内側領域、
 At’:粗アーム部の粗ピン部側表面における両側部の内側領域、
 B:バリ、 10:第1金型、 11:上型、 12:下型、
 20、21、22:第2金型、 23:支持部材
 30:荒鍛造材、 31:仕上げ鍛造材、 35、36、37:第3金型

Claims (11)

  1.  回転中心となるジャーナル部と、そのジャーナル部に対して偏心したピン部と、前記ジャーナル部と前記ピン部をつなぐ複数のクランクアーム部と、を備える鍛造クランク軸の製造方法であって、
     前記鍛造クランク軸の前記複数のクランクアーム部のうちの全部または一部はカウンターウエイト部を一体で有し、
     前記製造方法は、
     型鍛造により、クランク軸の形状に成形されたバリ付きの荒鍛造材を得る荒打ち工程と、
     前記荒鍛造材を一対の第1金型を用いて型鍛造することによってバリ付きの仕上げ鍛造材を得る仕上げ打ち工程とを含み、
     前記荒鍛造材は、前記鍛造クランク軸の前記ジャーナル部、前記ピン部、前記複数のクランクアーム部、および前記カウンターウエイト部のそれぞれに対応する、粗ジャーナル部、粗ピン部、複数の粗クランクアーム部、および粗カウンターウエイト部を備え、
     前記複数の粗クランクアーム部の全部または一部が、前記粗ピン部近傍の2つの側部の少なくとも一方の外周から突出する第1余肉部を有し、
     前記仕上げ打ち工程での型鍛造の過程で、前記第1金型により、前記第1余肉部を変形させて前記粗ジャーナル部側に張り出させる、鍛造クランク軸の製造方法。
  2.  請求項1に記載の鍛造クランク軸の製造方法であって、
     前記第1余肉部が、前記粗ピン部近傍の前記2つの側部のそれぞれから突出する、鍛造クランク軸の製造方法。
  3.  請求項1または2に記載の鍛造クランク軸の製造方法であって、
     前記仕上げ打ち工程において、第2金型が、前記粗クランクアーム部の前記粗ジャーナル部側の表面のうち前記第1余肉部と前記バリとの間の表面に当接している状態で、前記第1金型によって前記第1余肉部を変形させて前記粗ジャーナル部側に張り出させる、鍛造クランク軸の製造方法。
  4.  請求項1~3のいずれか1項に記載の鍛造クランク軸の製造方法であって、
     前記仕上げ打ち工程において、支持部材が前記バリの下面を支持している状態で、前記第1金型によって前記第1余肉部を変形させて前記粗ジャーナル部側に張り出させ、
     前記支持部材は、前記第1金型の動作に伴って、前記バリの前記下面を支持している状態を維持しながら移動する、鍛造クランク軸の製造方法。
  5.  請求項1~4のいずれか1項に記載の鍛造クランク軸の製造方法であって、
     前記仕上げ打ち工程での前記第1余肉部の変形を、押し潰し加工または折り曲げ加工によって行う、鍛造クランク軸の製造方法。
  6.  請求項1~5のいずれか1項に記載の鍛造クランク軸の製造方法であって、
     前記複数の粗クランクアーム部の全部または一部が、前記粗ジャーナル部近傍の2つの側部の少なくとも一方の外周から突出する第2余肉部を有し、
     前記仕上げ打ち工程での型鍛造の過程で、前記第1金型により、前記第2余肉部を変形させて前記粗ピン部側に張り出させる、鍛造クランク軸の製造方法。
  7.  請求項6に記載の鍛造クランク軸の製造方法であって、
     前記仕上げ打ち工程において、第3金型が、前記粗クランクアーム部の前記粗ピン部側の表面のうち前記第2余肉部と前記バリとの間の表面に当接している状態で、前記第1金型によって前記第2余肉部を変形させて前記粗ピン部側に張り出させる、鍛造クランク軸の製造方法。
  8.  請求項6または7に記載の鍛造クランク軸の製造方法であって、
     前記第2余肉部が、前記粗ジャーナル部近傍の前記2つの側部のそれぞれから突出する、鍛造クランク軸の製造方法。
  9.  請求項6~8のいずれか1項に記載の鍛造クランク軸の製造方法であって、
     前記第2余肉部を有する前記粗クランクアーム部が、前記粗カウンターウエイト部を有する前記粗クランクアーム部である、鍛造クランク軸の製造方法。
  10.  請求項6~8のいずれか1項に記載の鍛造クランク軸の製造方法であって、
     前記第2余肉部を有する前記粗クランクアーム部が、前記粗カウンターウエイト部を有さない前記粗クランクアーム部である、鍛造クランク軸の製造方法。
  11.  請求項6~10のいずれか1項に記載の鍛造クランク軸の製造方法であって、
     前記仕上げ打ち工程での前記第2余肉部の変形を、押し潰し加工または折り曲げ加工によって行う、鍛造クランク軸の製造方法。
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