JP2010000515A - マグネシウム合金の鍛造加工方法 - Google Patents

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豪彦 松田
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俊一 中村
Kenji Nakanishi
賢二 中西
Manabu Maeda
学 前田
Shiro Tanaka
士郎 田中
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Abstract

【課題】従来、マグネシウム合金の鍛造加工の前処理として行ってきた強ひずみ加工を実施することなく、鍛造加工中において塑性変形に付随するせん断変形の様相を成形中に変動させず、静水圧応力を維持或いは増加させることにより、低温度であっても亀裂や破断の生じない鍛造加工を行なうことができる鍛造加工方法を提供する。
【解決手段】塑性変形前の状態で製品成形用くぼみ部4内のマグネシウム合金素材Mが変形部5を形成する製品成形用くぼみ部4の開口部6以外で拘束状態にされたことによって、加圧開始と同時に被加工材料内部の静水圧応力が増大しやすい環境下におかれ、製品成形用くぼみ部4の開口部6が屈曲部を持たない形状を有することによって塑性変形に付随するせん断変形の様相が成形中に変動しないようにすると共に、鍛造加工中における材料流動の摩擦拘束を促進することによってマグネシウム合金素材M内部の静水圧応力を増大するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、マグネシウム合金を300℃以下で低温鍛造加工する前処理として強ひずみ加工による結晶粒の微細化を実施することなく、マグネシウム合金の鍛造加工としては低温度である150℃で鍛造加工を行なうことができるマグネシウム合金の鍛造加工方法に関する。
近年、自動車、家電、OA機器等の各種製品について軽量化の要求が高まっている。また、製品の軽量化に伴って、その組み立てに使用されるボルト、ナット等の各種部品等にも軽量化が求められている。このような軽量化に適する素材としては、アルミニウム合金等が知られているが、近年においては、アルミニウム合金よりもさらに軽量であり、比強度にも優れているマグネシウム合金が、各種工業製品の軽量化と高性能化に有益な高強度軽金属素材として注目されている。
ところが、マグネシウム合金は、室温では塑性変形能が低く、脆性材料であるが、300〜400℃に加熱すると鍛造加工が可能となり、加圧するほど変形抵抗が低下するという加工軟化現象を示すなど、他の金属とは異なる特性を有する金属として知られている。ただし、他の延性材料と比較して、マグネシウム合金は転位すべり面の数が少ないため、複雑な塑性流動を伴う鍛造加工は困難である。
一方、金属は、一般的に結晶粒が微細になるほど強度が増し、低温での鍛造加工も可能になるという特性を有する。マグネシウム合金の場合、通常は300〜400℃の温度で鍛造加工が可能になるのに対して、結晶粒を2マイクロメートルまで微細化すれば、鍛造温度は200℃まで下がり、強度は2割程度向上するといわれている。
そこで、マグネシウム合金の結晶粒を微細化する方法として、従来から強ひずみ加工法の開発が進められている。この強ひずみ加工法としては、ECAP法、HPT法等がある。ECAP法は、金型中に折曲された同一内径の溝を形成し、この溝内を通して材料を押出すことにより、溝の折曲部で材料に大きなひずみを与えるために材料に大きなせん断変形を付与という方法である。また、HPT法は、金型内で材料を圧縮しながら捩じり変形を加えることによって材料に大きなひずみを与えるという方法である。
さらに、上記の強ひずみ加工法を利用した従来技術として、特許文献1に示す「マグネシウム合金製部材の製造方法」を参照すると、この方法は、マグネシウム合金の鍛造加工の前に、前処理として押出し成形を行なうことにより、マグネシウム合金の結晶粒を微細化することによって成形性を向上させ、低温度で所定の鍛造成形ができるようにしたものである。
ところが、従来の強ひずみ法や特許文献1の方法は、マグネシウム合金の鍛造加工を実施する際、鍛造加工の前処理として、マグネシウム合金の結晶粒を微細化するための強ひずみ加工を行っていたのであるが、この前処理に多大な手間とエネルギーを要し、コストが高騰するという不都合があった。
さらに、低温で鍛造加工するための別の方法として、非特許文献1に、カップ形状の深絞り成形に関し、パンチとブランクの摩擦を利用してカップ壁の均一変形を促すことにより、例えば、AZ31合金でも、15MPaの静水圧を負荷することにより、175℃でも限界深絞り値を3.6まで向上することができる、と記載されているように、わずか15MPaの静水圧応力が延性を向上するのに効果があることが公表されている。
ところが、従来は静水圧応力を高める方法として、液体や粉体を圧力媒体として用いていた。この方法では、超高圧になるため、シーリングの問題があり、これを解決するために、装置が複雑で巨大化せざるを得ないという不都合があった。
また、特許文献2に、背圧をかけて成形する鍛造加工方法が開示されているが、圧粉体の分離を阻止することを目的とした背圧であり、本発明のようなマグネシウム合金の低温での鍛造加工を目的とするものではない。
特開平5−305380号公報 特開平5−171212号公報 日本塑性加工学会誌第48巻、第556号、2007年5月発刊の「塑性と加工」における「5.加工プロセス」
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、従来、マグネシウム合金の鍛造加工の前処理として行ってきた強ひずみ加工を実施することなく、また、静水圧を発生させるために液体や粉体を用いることなく、鍛造加工中においてマグネシウム合金をマグネシウム合金としては低温度である150℃程度であっても亀裂や破断の生じない鍛造加工を行なうことができるマグネシウム合金の鍛造加工方法を提供することを目的とする。
上記の問題を解決するために、本発明における請求項1のマグネシウム合金の鍛造加工方法は、 パンチとダイスを備えた金型の内、ダイスの製品成形用くぼみ部に固体のマグネシウム合金製の被加工材料を収容して温間押出し加工することによりパンチあるいはダイス開口部と同じ断面形状の変形部を形成する鍛造加工において、塑性変形前の状態でダイスの製品成形用くぼみ部に収容した被加工材料をパンチあるいはダイス開口部以外で拘束状態にすることによって、加圧開始と同時に被加工材料内部の静水圧応力を増大せしめ、パンチあるいはダイス開口部が屈曲部を持たない形状を有することによって塑性変形に付随するせん断変形の様相が成形中に変動しないようにすると共に、鍛造加工中におけるパンチあるいはダイス開口部の材料流動の摩擦拘束を促進することによって被加工材料内部の静水圧応力を増大するようにしたことを特徴とする。
また、本発明の請求項2におけるマグネシウム合金の鍛造加工方法は、請求項1において、鍛造加工中の被加工材料内部の静水圧応力を増大する方法として、開口部を被加工材料が塑性流動するに従って狭くなるテーパ形状とすることにより、材料流動の摩擦拘束を促進するようにしたことを特徴とする。
また、本発明の請求項3におけるマグネシウム合金の鍛造加工方法は、請求項1において、鍛造加工中の被加工材料内部の静水圧応力を増大する方法として、製品仕様の範囲内で開口部を材料流動方向と直交する断面形状が相似となるように狭くすることにより、材料流動の摩擦拘束を促進するようにしたことを特徴とする。
また、本発明の請求項4におけるマグネシウム合金の鍛造加工方法は、請求項1において、鍛造加工中の被加工材料内部の静水圧応力を増大する方法として、開口部の全域にランド形状を形成することにより、材料流動の摩擦拘束を促進するようにしたことを特徴とする。
さらに、本発明の請求項5におけるマグネシウム合金の鍛造加工方法は、請求項1において、鍛造加工中の被加工材料内部の静水圧応力を増大する方法として、開口部の全域の材料流動の先端に工具により背圧をかけながら鍛造加工することを特徴とする。
本発明において、塑性変形前の状態でダイスの製品成形用くぼみ部に収容したマグネシウム合金製の被加工材料が、パンチあるいはダイス開口部以外で拘束状態にすることによって、ダイスの製品成形用くぼみ部に収容されたマグネシウム合金製の被加工材料が加工開始と同時に被加工材料内部の静水圧応力を増大せしめ、これによって150℃程度の加工温度で、亀裂や破断の生じない温間鍛造加工を行なうことが可能となる。
なお、このような本発明の鍛造加工によって、厚板形状の底板に対して加圧方向と同方向または逆方向あるいは垂直方向に押出し成形される一様断面を有する翼状、棒状の突出部(本発明の変形部に相当する)を有する製品、例えばヒートシンク、スクロール等の製品を得ることが可能となる。
また、パンチあるいはダイスの開口部が屈曲部を持たない形状を有することによって塑性変形に付随するせん断変形の様相が成形中に変動しないようにすることにより、上記の段落[0016]に記載の製品等をマグネシウム合金の鍛造としては低温である150℃の温間鍛造加工で割れや亀裂を生じることなく成形することが可能となる。
さらに、鍛造加工中の材料流動の摩擦拘束を促進することによってマグネシウム合金製の被加工材料内部の静水圧応力を増大することにより、マグネシウム合金の固体被加工材料に対する延性が増加し、割れや亀裂の生じない低温鍛造加工を効率的に促進することが可能となる。
さらにまた、上記のように本発明の鍛造加工においては、マグネシウム合金の鍛造としては低温である150℃での鍛造加工が可能となったため、環境に優しい潤滑剤が使用可能となり、従来の300〜400℃の鍛造加工に使用していた黒鉛系潤滑剤のように環境に悪い潤滑剤を使用する必要がなくなるという環境対策面での効果を奏することも可能となる。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1(a)、(b)は本発明によるマグネシウム合金の鍛造加工方法を示す概念図である。この図に基づいて本発明の概念を説明すると、図1(a)、(b)、(c)に示すように、パンチ2とダイス3を備えた金型1内のダイス3内に形成した製品成形用くぼみ部4に固体のマグネシウム合金素材M(以下、単に「素材M」と云う)を収容して押出し加工することによりパンチ2の加圧方向と同方向および逆方向に塑性変形してなる成形品の押出された変形部5aおよび変形部5bを形成するものである。このような成形品の例としては、後述するように、図8(a)、(b)に示す二重の円筒部10a、10bを有する二重円筒部品7を挙げることができ、これをヒートシンクに利用するほか、本発明は、渦巻状の羽根部を有するスクロール等のような成形品の製作にも適用可能である。
上記の構成において、本発明は、図1(b)に示すように、塑性変形前の状態で製品成形用くぼみ部4内の素材Mが変形部5a、5b(図1(c)参照)を形成するための製品成形用くぼみ部4の開口部6以外で拘束状態にされたことによって素材Mが加工開始と同時に被加工材料内部の静水圧応力が増大しやすい環境下におかれ、製品成形用くぼみ部4の開口部6が屈曲部を持たない形状を有することによって塑性変形に付随するせん断変形の様相が成形中に変動しないようにすると共に、鍛造加工中の素材M内部の静水圧応力を増大するようにしたものである。
そこで、上記の本発明による鍛造方法をより詳細に説明する。まず、図2(a)、(b)に示すように、パンチ2とダイス3を有する金型1内の製品成形用くぼみ部4に密閉状態に収容したマグネシウム合金素材Mに対してパンチ2で加圧力を加えると、素材Mの内部に静水圧応力成分と偏差応力成分からなる内部応力が生じる。ただし、図2(a)に示すように、金型1内の製品成形用くぼみ部4に開口部が全くない場合、素材Mの内部の応力状態は静水圧応力のみの圧縮応力場となる。
また、変形部5を有する成形品を塑性加工するには、変形部5を形成するための開口部6が必要となる。そこで、図2(b)に示すように、製品成形用くぼみ部4のパンチ2側に開口部6を設けると、パンチ2の加圧力に応じて、素材M内部に静水圧応力成分(平均垂直応力)と偏差応力成分が現われる。なお、図2(b)において、開口部6の近傍における素材M中に描いた一点鎖線が変形領域の境界11であり、この境界11の下部が静水圧応力成分のみの作用する領域であり、上部が偏差応力成分と静水圧応力成分が作用する領域となる。
さらに、パンチ2の降下に伴って、偏差応力成分が素材Mを塑性変形させる条件を満足すると、製品成形用くぼみ部4の開口部6に応じた形状の変形部5が押出し成形される。即ち、このような塑性変形において、偏差応力成分はマグネシウム合金素材Mの流動変形に寄与する応力成分であり、静水圧応力成分はマグネシウム合金素材Mを収縮すると共に、当該素材Mの延性を維持し又は延性を高めるように作用する。
さらに、図3に示すように、製品成形用くぼみ部4の開口部6が非常に多い場合、即ち自由表面が多い場合、圧縮の静水圧応力が極端に低下するため延性が低下する。
そこで、本発明は、塑性変形前の状態で製品成形用くぼみ部4内の固体素材Mが変形部5を形成するための製品成形用くぼみ部4の開口部6以外で拘束状態にされたことによって素材Mが加工開始と同時に被加工材料内部の静水圧応力が増大しやすい環境下に置くことにより、マグネシウム合金に限り、150℃の比較的低温の温間鍛造加工が可能となる。
また、本発明は、図1(a)、(b)、(c)に示すように製品成形用くぼみ部4の開口部6が屈曲部を持たない形状を有することによって、塑性変形に付随するせん断変形の様相が成形中に変動しないようにしてある。例えば、図4(a)、(b)に示すように、製品成形用くぼみ部4の開口部6の上部にパンチ2の加圧方向に対して垂直方向の屈曲部6aを有するような開口部6の形状とすると、この屈曲部に流動した変形部5aに、屈曲部で塑性変形に付随するせん断変形の様相が成形中に大きく変動することに起因する割れが生じるため、本発明は、開口部6内の材料流動方向が加工終了まで変化しないように、塑性変形に付随するせん断変形の様相が成形中に変動しない形状とする必要がある。
さらに、本発明において、鍛造加工中における材料流動の摩擦拘束を促進することによって製品成形用くぼみ部4内の静水圧応力を増大することにより、鍛造加工中の素材の延性が増加すると共に、割れが生じ難い成形品を得ることができる。すなわち、本発明においては、以下に示す方法によって、この鍛造加工中の素材M内部の静水圧応力を増大する方法を実現するようにしている。
先ず、図5に示すように、鍛造加工中の素材M内部の静水圧応力を増大する方法として、開口部6を素材Mが塑性変形流動するに従って狭くなるテーパ形状とすることにより、材料流動の摩擦拘束を促進することができる。このような方法において、開口部6のテーパ角αは、図8の加工品を150℃で鍛造加工する場合、必要とする圧縮の静水圧応力は、約223MPaであるので、これを目安に、当該静水圧応力を発生させることが可能な断面積をFEM等の数値計算により決定するとよい。
また、図6に示すように、鍛造加工中の素材M内部の静水圧応力を増大する方法として、製品仕様の範囲内で開口部6を材料流動方向と直交する断面形状が相似となるように狭くした(狭くした部位12)ことにより、材料流動の摩擦拘束を促進することができる。このような方法において、開口部6の断面積は、図8の加工品を150℃で鍛造加工する場合、必要とする圧縮の静水圧応力は、約223MPaであるので、これを目安に、当該静水圧応力を発生させることが可能な断面積をFEM等の数値計算により決定するとよい。
さらに、図7(b)に示すように、鍛造加工中の素材M内部の静水圧応力を増大する方法として、開口部6の全域にランド形状を形成することにより、材料流動の摩擦拘束を促進することができる。なお、図8(a)は従来のランドであり、開口部6に長さ2〜3mmのランド形状14を形成することによって摩擦拘束を低減するようにしてあるが、本発明では、従来のランド形状ではランド形状14の陰の部分で加工中に材料流動方向が変わるため適しない。
本発明方法による具体的実施例について説明する。この実施例では、比較的成形性がよいマグネシウム合金AZ31Bを用い、図8(a)、(b)に示す二重円筒部品7を成形する。なお、二重円筒部品7は、図8(a)、(b)に示すように、円柱状のフランジ部8と、フランジ部8の一方の端面に形成された円筒状の取付部9と、フランジ部8の他方の端面に形成された同心円を成す二重の円筒部10a、10bとから構成されている。
また、金型1を、図9(a)、(b)に示すパンチ2とダイス3によって形成し、パンチ2側に二重の円筒10a、10bを形成するための上側開口部6b、6cを構成し、ダイス3側に取付部9を形成するための下側開口部6dを形成することによって、後方押出し加工を行う金型1を構成している。
なお、上記のようにマグネシウム合金素材Mをパンチ2の移動方向とは反対方向に塑性流動させるようにした後方押出し加工を採用することによって、開口部6への素材流入変形領域にデッドメタルゾーンを発生させない成形法とすることができ、結晶が滑りやすくなり、ひけ等の欠陥を防止することが可能となる。
上記の条件で、図9(a)、(b)に示すように、マグネシウム合金素材(AZ31B)Mを金型1の製品成形用くぼみ部4内に拘束状態で収容し、潤滑剤としては鉱油を使用し、マグネシウム合金素材Mと金型を150℃にして、この状況下で、パンチ2により加圧速度2mm/secでマグネシウム合金素材Mを押圧し、マグネシウム合金素材Mを塑性流動させることによって二重円筒部品7を成形した。
このような加工方法によって、マグネシウム合金素材Mは製品成形用くぼみ部4内に拘束された状態にあるため、圧縮の静水圧応力によりマグネシウム合金素材Mに亀裂や破断等が発生することを抑制された状態で塑性流動が進み、マグネシウム合金素材Mが金型1の開口部6に流動することによって目的形状の成形品を形成することが可能となる。
このようなマグネシウムの鍛造加工方法においては、パンチ2を下向きに移動する構成とすることによって、マグネシウム合金素材Mが押圧された際、弾性変形の過程でマグネシウム合金素材Mが横方向に膨出しようとするが、剛体であるダイス3の内壁に押圧されることにより反力が生じ、これによってマグネシウム合金素材Mに圧縮の静水圧応力が生じる。ただし、上記のように、この圧縮の静水圧応力は完全静水圧ではなく、別途数値計算した結果、加工終了時で圧縮の静水圧応力=約223MPaである。
上記の方法において、図9(a)、(b)の金型1に形成された製品成形用くぼみ部4は、固体のマグネシウム合金素材Mを収容する空間のほかに、成形品の目的形状に応じて上下に製品を形成するための複数の開口部6(6b、6c、6d)を有するものとされている。これらの開口部6の空間は塑性流動の際に素材Mが流れ入る空間を構成するものであって、製品成形用くぼみ部4内に収容した固体のマグネシウム合金素材Mにパンチ2を押圧することにより、マグネシウム合金素材Mをマグネシウム合金の鍛造加工としては低温である150℃で鍛造加工するために最低限必要な静水圧応力を付与することが可能となる。
本発明のマグネシウム合金の鍛造加工方法は、従来、マグネシウム合金の鍛造加工の前処理として行ってきた強ひずみ加工を実施することなく、鍛造加工中において塑性変形に付随するせん断変形の様相を成形中に変動させず、静水圧応力を維持或いは増加させることにより、低温度であっても亀裂や破断の生じない鍛造加工を行なうことができるマグネシウム合金の鍛造加工方法として利用することが可能である。
(a)、(b)、(c)は、本発明によるマグネシウム合金の鍛造加工方法の原理を示す断面図であり、(a)は金型内にマグネシウム合金を収容する前の状態を示し、(b)は金型内の製品成形用くぼみ部にマグネシウム合金素材を拘束状態で収容した状況を示し、(c)はマグネシウム合金素材を塑性変形している状況を示す。 (a)、(b)は、本発明によるマグネシウム合金の鍛造加工方法において、製品成形用くぼみ部に開口部がない場合と、開口部がある場合の鍛造加工状況を示す断面図である。 本発明によるマグネシウム合金の鍛造加工方法において、マグネシウム合金素材に自由表面が多い場合の鍛造加工状況を示す断面図である。 (a)、(b)は、開口部に屈曲部を有するもので、本発明による金型の開口部の形状としては適さない開口部形状の例を示す断面図である。 本発明における鍛造加工中のマグネシウム合金素材内部の静水圧応力を増大する方法であって、開口部をテーパ形状とした状況を示す断面図である。 本発明における鍛造加工中のマグネシウム合金素材内部の静水圧応力を増大する方法であって、製品仕様の範囲内で開口部の断面積を狭くした状況を示す断面図である。 (a)は従来のランドを示す断面図であり、(b)は本発明において、鍛造加工中のマグネシウム合金素材内部の静水圧応力を増大する方法として、開口部の全域にランド形状を形成した状況を示す断面図である。 (a)は本発明によるマグネシウム合金の鍛造加工方法に係る二重円筒部品の斜視図であり、(b)は(a)のA−A線断面図である。 (a)、(b)は、図8の二重円筒部品を成形する加工方法を示す金型の断面図である。
符号の説明
1 金型
2 パンチ
3 ダイス
4 製品成形用くぼみ部
5 押出された変形部
5a 押出された変形部の屈曲部
6 開口部
6a 開口部の屈曲部
6b 二重円筒の外側円筒の開口部
6c 二重円筒の内側円筒の開口部
6d 二重円筒の取付部の開口部
7 二重円筒部品
8 フランジ部
9 取付部
10a、10b 二重の円筒部
11 変形領域の境界
12a 従来の断面形状
12b 狭くした断面形状
13 本実施例のランド形状
14 従来のランド形状
M マグネシウム合金素材

Claims (5)

  1. パンチとダイスを備えた金型の内、ダイスの製品成形用くぼみ部に固体のマグネシウム合金製の被加工材料を収容して温間押出し加工することによりパンチあるいはダイス開口部と同じ断面形状の変形部を形成する鍛造加工において、塑性変形前の状態でダイスの製品成形用くぼみ部に収容した被加工材料をパンチあるいはダイス開口部以外で拘束状態にすることによって、加圧開始と同時に被加工材料内部の静水圧応力を増大せしめ、パンチあるいはダイス開口部が屈曲部を持たない形状を有することによって塑性変形に付随するせん断変形の様相が成形中に変動しないようにすると共に、鍛造加工中におけるパンチあるいはダイス開口部の材料流動の摩擦拘束を促進することによって被加工材料内部の静水圧応力を増大するようにしたことを特徴とするマグネシウム合金の鍛造加工方法。
  2. 鍛造加工中の被加工材料内部の静水圧応力を増大する方法として、開口部を被加工材料が塑性流動するに従って狭くなるテーパ形状とすることにより、材料流動の摩擦拘束を促進するようにしたことを特徴とする請求項1記載のマグネシウム合金の鍛造加工方法。
  3. 鍛造加工中の被加工材料内部の静水圧応力を増大する方法として、製品仕様の範囲内で開口部を材料流動方向と直交する断面形状が相似となるように狭くすることにより、材料流動の摩擦拘束を促進するようにしたことを特徴とする請求項1記載のマグネシウム合金の鍛造加工方法。
  4. 鍛造加工中の被加工材料内部の静水圧応力を増大する方法として、開口部の全域にランド形状を形成することにより、材料流動の摩擦拘束を促進するようにしたことを特徴とする請求項1記載のマグネシウム合金の鍛造加工方法。
  5. 鍛造加工中の被加工材料内部の静水圧応力を増大する方法として、開口部の全域の材料流動の先端に工具により背圧をかけながら鍛造加工することを特徴とする請求項1記載のマグネシウム合金の鍛造加工方法。
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