JP2000065086A - 2方向空転・ロック切替えクラッチ - Google Patents

2方向空転・ロック切替えクラッチ

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JP2000065086A
JP2000065086A JP10232815A JP23281598A JP2000065086A JP 2000065086 A JP2000065086 A JP 2000065086A JP 10232815 A JP10232815 A JP 10232815A JP 23281598 A JP23281598 A JP 23281598A JP 2000065086 A JP2000065086 A JP 2000065086A
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JP10232815A
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English (en)
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Masahiro Kurita
昌弘 栗田
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NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 正逆の両回転方向にロック状態を保ち、操作
によって、正逆の両方向に同時に回転可能になるという
新たな機能を持ちながら、ロック状態において、負荷の
方向が変わっても遊び角が生じないものとする。 【解決手段】 内輪1のV字状のカム面6と外輪2の円
周軌道面2aとの間に、これらの面に接触して回転をロ
ックする係合子3を介在させる。係合子3は保持器4に
保持される。保持器4は、係合子3がカム面6の中立位
置に来るように内輪1に対して外部操作で拘束可能であ
り、この拘束状態で、係合子3による回転ロックが解除
される。ロック解除状態における各係合子3とカム面6
との隙間につき、一部の係合子3A の隙間を残りの係合
子3の隙間よりも小さくする。この隙間の違いは、係合
子3の寸法を異ならせても、カム面6の形状を異ならせ
て得ても良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、各種の機器の機
械構造部分、例えば、自然状態では正転・逆転方向共に
自由に回転できないが、必要に応じて正転・逆転方向共
に同時に自由に回転が可能な機能を必要とする機械構造
部分に使用できる2方向空転・ロック切替えクラッチに
関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】例えば、
手押し車や車椅子の車輪、およびドアの車輪は、何らか
の方法で止めない限り、傾斜面においては水平方向の分
力や慣性力のために動くことが可能である。このため
に、用途によっては、外部から車輪にブレーキ機構を付
加して危険の防止を図っているのが現状である。また、
従来、自動車等のマニュアル式のリクライニングシート
において、その背もたれ傾き調整装置は、ラチェット機
構を利用したものが主流となっている。この他に、遊星
ギヤ式のものも一部で使用されている。しかし、ラチェ
ット式のものは、段階的にしか調整できず、操作性も悪
い。また、遊星ギヤ式のものは構成が複雑でコストが高
くなる。このため、上記のような各種用途にクラッチを
改良して用いることを試みたが、従来のワンウェイクラ
ッチおよびツーウェイクラッチは、いずれも要求される
機能を満たすことができない。
【0003】そこで、本出願人は、新たな機能のクラッ
チとして、互いに正逆に回転可能な第1の回転部材およ
び第2の回転部材と、常時は上記両回転部材間の正逆両
方向の回転をロックするロック手段と、所定の外力が加
わることで正逆両方向に回転可能状態に上記ロック手段
のロックを解除するロック解除手段とを備えた2方向空
転・ロック切替えクラッチを提案した(特願平9−35
4944号)。これによれば、正逆回転方向のロック保
持と空転保持の切替えは期待どうりにできが、ロック保
持状態において、負荷の方向が正逆方向に切り替わる場
合に、いわゆる「遊び角度」が生じて不都合が生じる場
合があった。例えば、上記提案例のクラッチを自動車の
リクライニングシートに使用した場合、クラッチに構造
的に若干の遊び角度があるため、人が着座しないシート
が、路面状況によっては前後に振動し、いわゆるガタ音
を発する場合があった。
【0004】この不都合につき、図11〜図13に示す
提案例と共に説明する。この提案例は、上記提案例の一
つの形態であり、本願の実施形態における2方向空転・
ロック切替えクラッチと対応する部分には同じ符号を付
してある。同図のクラッチは、内輪1の外径面に形成さ
れたV溝状のカム面6と、外輪2の円周軌道面との間
に、保持器4に保持されたころ状の係合子3を介在させ
たものである。内輪1は保持器係合溝7を有し、保持器
4に設けられた係合突部9に密に噛み合うことで、保持
器4の内輪1に対する位置固定が可能である。図7に示
すリクライニングシートに用いる場合、内輪1はシート
側のフレーム30に、外輪2は背もたれ側のフレーム3
1に固定される。
【0005】図13は、クラッチ機能の説明図である。
保持器4が内輪1に対して軸方向に押し付けられていな
い状態では、保持器4は内輪1に対して回転方向に若干
の移動が可能であり、外輪2が正方向(図の右回りとす
る)に回転すると、図13(A)のように、係合子3が
内輪1のV字状のカム面6における右側のカム面部分に
係合して外輪2の回転がロックされる。外輪2が逆方向
に回転した場合は、係合子3が内輪1のカム面6におけ
る左側のカム面部分に係合して外輪2の回転がロックさ
れる。このように、正逆両方向に同時に回転ロックされ
る。操作部材16の回転操作により保持器4を軸方向に
押し付けると、内輪1の保持器係合溝7に保持器4の係
合突部9に密に噛み合うことで、図12のように保持器
4はポケット8がカム面6の中立位置となるように、内
輪1に対して回転が拘束される。これにより、係合子3
とカム面6の間に隙間が生じ、外輪2の回転ロックが解
消されて外輪2は回転自在となる。
【0006】このように、外輪2の回転自在状態では、
係合子3とカム面6との間に隙間δが生じる。この結
果、内輪1と外輪2は、トルク負荷が加わったときに、
周方向の遊び量2×W1 (=2×δ/Tanα0 )があ
り、これによりクラッチ動作に遊び角が発生する。α0
は、カム面6の傾斜角度である。上記の隙間δは、係合
子3を回転自在とするために必要であり、この隙間δが
あるため、遊び角の発生が避けられなかった。
【0007】この発明の目的は、正転・逆転方向のいず
れの方向にもロック状態を保ち、外部からの操作によっ
て、正転・逆転方向のいずれの方向も同時に回転可能に
なるという新たな機能を持ちながら、ロック保持の状態
において、負荷の方向が変わっても遊び角が生じない2
方向空転・ロック切替えクラッチを提供することであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の2方向空転・
ロック切替えクラッチは、互いに正逆に回転可能な第1
の回転部材および第2の回転部材と、常時は上記両回転
部材間の正逆両方向の回転をロックするロック手段と、
所定の外力が加わることで正逆両方向に回転可能状態に
上記ロック手段のロックを解除するロック解除手段とを
備えた2方向空転・ロック切替えクラッチであって、上
記ロック手段を複数の係合子で構成し、上記ロック手段
のロック解除状態における上記各係合子と上記回転部材
との間の隙間につき、一部の係合子の隙間を残りの係合
子の隙間よりも小さくしたことを特徴とする。これら一
部の係合子の隙間は、零近傍としても良く、また負の隙
間としても良い。係合子には、例えば中空のころを用い
る。この構成によると、第1の回転部材と第2の回転部
材とは、常時はロック手段で互いの相対回転が不能なよ
うに回転がロックされており、すなわち回転が阻止され
ており、ロック解除手段に所定のロック解除用外力を加
えることで、上記ロック手段のロックが解除され、第1
の回転部材と第2の回転部材間の正逆両方向の回転が可
能となる。また、ロック解除状態における係合子と回転
部材との間の隙間は、一部の係合子の隙間が残りの係合
子の隙間よりも小さくされている。そのため、ロック解
除用外力が除かれてロック待機状態となっている間に、
両回転部材間に負荷トルクが作用すると、上記の隙間の
小さな一部の係合子で即座に回転ロック機能が作用し、
遊び角の発生が解消される。負荷トルクが大きくなる
と、残りの係合子もロック作用を発揮する。
【0009】上記構成において、上記ロック手段および
ロック解除手段は、例えば次の構成とできる。ロック手
段は、第1および第2の回転部材のうちの一方の回転部
材に、回転中心回りに設けた円周軌道面と、他方の回転
部材に設けられて上記円周軌道面と対向するカム面と、
これら円周軌道面とカム面との間に介在され、これら両
面に摩擦接触して上記回転部材の正逆両方向の回転をロ
ックする係合子とで構成される。上記カム面は上記係合
子をこのカム面の中立位置に保つことで上記摩擦接触が
解除されるものとする。ロック解除手段は、次の保持器
と案内手段とで構成される。保持器は、上記係合子を回
転部材の回転方向に位置規制状態に保持するものとす
る。上記案内手段は、所定の外力が加わることで、上記
係合子の位置が上記カム面の上記中立位置となるよう
に、上記保持器を上記回転部材に対して拘束状態にする
ものとする。また、上記係合子が中立位置にある状態に
おける上記各係合子と上記両回転部材との間の隙間は、
一部の係合子の隙間を残りの係合子の隙間よりも小さく
する。この構成の場合、常時は、一方の回転部材の円周
軌道面と、他方の回転部材のカム面とに係合子が摩擦接
触し、これら回転部材間の正逆両方向の回転をロックす
る。このとき、係合子はカム面の中立位置からいずれか
の方向に偏った位置にある。保持器に所定の外力を与え
ると、保持器は案内手段で案内されて若干移動し、その
保持している係合子を上記カム面の中立位置に位置させ
る。上記カム面は、係合子が中立位置に保たれることで
上記摩擦接触が解除され、これにより両回転部材の相対
回転が両方向に可能となる。このように、係合子がカム
面の中立位置に位置して回転自在となった状態におい
て、係合子と回転部材との間の隙間につき、一部の係合
子の隙間は残りの係合子の隙間よりも小さくされてい
る。そのため、ロック解除用外力が除かれてロック待機
状態となっている間に、両回転部材間に負荷トルクが作
用すると、上記の隙間の小さな一部の係合子で即座に回
転ロック機能が作用し、遊び角の発生が解消される。
【0010】この発明において、上記一部の係合子の寸
法を、残りの係合子の寸法よりも大きくしても良い。こ
れにより、回転部材の形状を変えずに、一部の係合子の
隙間を小さくすることができ、簡単な構成で、遊び角を
無くすことができる。
【0011】この発明において、上記各カム面を凹面と
し、一部の係合子に接触するカム面を、残りの係合子が
接触するカム面よりも凹み深さが浅いものとしても良
い。これにより、複数設けられる全ての係合子に同じ直
径のものを用いても、一部の係合子の隙間を小さくでき
る。そのため、組立時の係合子の配置不良の問題が生じ
ず、組立が簡単である。
【0012】この発明の上記各構成において、上記係合
子をころとし、上記一部の係合子を中空のころとしても
良い。また、上記一部の係合子をコイル状の撓みころと
しても良い。一部の係合子を大寸法とした場合、大きな
トルク負荷が加わったときに、上記一部の係合子の受け
る荷重は強大になるが、係合子が中空のころまたはコイ
ル状の撓みころとしているので、係合子が直径方向に変
形し易くなり、これにより過大な面圧が発生することが
防止される。
【0013】この発明の上記各構成において、上記カム
面がV字状断面形状の凹部である場合に、上記一部の係
合子に接触するカム面を、残りの係合子が接触するカム
面よりもV字形状の開き角度が小さいものとしても良
い。これにより、大きなトルク負荷が加わったときに、
上記一部の係合子が滑り易くなり、これら一部の係合子
に大荷重が集中して作用することが防止される。
【0014】この発明の上記各構成において、上記第1
および第2の回転部材は互いに内外に位置する部材であ
り、上記円周軌道面とカム面とはこれら回転部材の径方
向に対向する面であり、上記カム面は、回転部材円周方
向の中央部が深くかつ両側に次第に浅くなるように形成
されて、その中央部が中立位置となるものであっても良
い。
【0015】
【発明の実施の形態】この発明の一実施形態を図1ない
し図7と共に説明する。この2方向空転・ロック切替え
クラッチは、第1の回転部材である内輪1と、第2の回
転部材である外輪2と、係合子3と、保持器4と、板ば
ね等の弾性体5とで構成され、後述のロック手段12お
よびロック解除手段13が設けられている。この2方向
空転・ロック切替えクラッチは、いわば2ウェイクラッ
チの基本構造を応用したものである。
【0016】内輪1は、図2に示すように厚肉円筒状に
形成されており、その外径面にはクラッチとしてのロッ
ク機能を発揮するためのカム面6が円周方向の複数箇所
に設けられている。各カム面6は等間隔で設けられてい
る。これらカム面6は、円周方向の中央部が深くかつ両
側に次第に浅くなるように形成されたものであり、概ね
V字状の断面形状とされている。このカム面6の断面形
状は、直線状であっても、凹円弧などの曲面状であって
も良い。カム面6のV字状の開き角度α(図4)は、例
えば155°〜175°に設定される。カム面6は、内
輪1の軸方向の全長に設けられているが、軸方向の一部
に設けたものであっても良い。内輪1の片側の幅面に
は、保持器固定溝7が円周方向の複数箇所に設けられて
いる。保持器固定溝7は、溝幅の中心部が深くなる断面
形状のものであり、この例では概ねV字状の断面形状と
されている。なお、内輪1は、この例では円筒状とした
が、軸であっても良い。すなわち、軸に直接にカム面6
や保持器固定溝7が加工されていても良い。
【0017】図1に示すように、外輪2は、その内径面
部分をころからなる係合子3が転走可能なように、円筒
面状の円周軌道面2aとしてある。外輪2の円周軌道面
2aと、内輪1のカム面6と、係合子3とで、内輪1と
外輪2との正逆両方向の相対回転を阻止するロック手段
12が構成される。外輪2は、この例では厚肉円筒状の
部品としてあるが、外径面は円筒面に限らず、車輪形状
や、プーリ形状、あるいはその他の目的に応じた任意形
状であっても良い。
【0018】係合子3は、円筒ころ等のころからなる。
図4に示すように、複数設けられる係合子3のうちの一
部の係合子3A は、残りの係合子3よりも直径寸法が大
きいものとしてある。これにより、係合子3がカム面6
の中立位置にある状態(ロック解除状態)において、係
合子3とカム面6との間の隙間δ(係合子3と外輪2の
円周軌道面2aとは接しているものとする)につき、一
部の係合子3A の隙間δA が残りの係合子3の隙間δB
よりも小さくなるようにしてある。例えば、この一部の
係合子3A の隙間δA は、残りの係合子3の隙間δB
1/4以下とすることが好ましく、零近傍の隙間として
も良い。また、上記一部の係合子3A の隙間δA は負の
隙間としても良い。上記一部の係合子3A は、この例で
は中空状円筒ころ等の中空のころとしてある。
【0019】保持器4は、図3(A)に示すように円筒
状に形成され、円周方向の複数箇所に、係合子3を保持
するポケット8が内外径に貫通して形成され、かつ内輪
1の各保持器固定溝7と噛み合う係合突部9と、ばね固
定用ピン10とが各々周方向複数箇所に設けられてい
る。係合突部9は、保持器4の一端に形成された内鍔1
9の内面に形成され、三角形の山形とされている。ばね
固定用ピン10は、保持器4における係合突部9のある
幅面と反対側の幅面に設けられている。保持器4の係合
突部9と、内輪1の保持器固定溝7とで、案内手段14
(図1(B))が構成される。また、この案内手段14
と保持器4とで、ロック解除手段13が構成される。
【0020】図3(B)は、保持器4に弾性体5を取付
けた状態を示す。弾性体5は、リング状の側板5aと、
この側板から放射状に延びるアーム状の複数のばね片5
bとからなる板ばねで構成される。ばね片5bは、側板
5aから斜め外径側に延びて先端部分が軸方向と略平行
となるように折り曲げられており、その先端部分が外輪
2の内径面に押し付け状態に接触する。弾性体5は、保
持器4に設けられたばね固定用ピン10を側板5aの孔
に挿通し、加締ることで保持器4に固定されている。弾
性体5の固定は、加締による他に、溶着やねじ止め、あ
るいは鋲止め、または接着でも良い。弾性体5は、外輪
2の回転に対して保持器4が一定の摩擦力を保持して連
れ回る機能が得られれば良いのであるから、ばね部材の
他にゴム等の弾性体を用いても良い。
【0021】操作部材16は、円周方向の一部にレバー
部16aを有するリング状の部材であり、図1(B)に
示すように、内輪1を取付けた軸20の外径面に回転自
在に嵌合させられる。内輪1は、軸20の小径部と大径
部との間の段差面20aから若干離れてその小径部に嵌
合状態に固定してあり、また保持器固定溝7のある幅面
が上記段差面側に向けられている。操作部材16は、内
輪1と上記段差面との間に介在している。操作部材16
は、保持器4の幅面と対向する面の周方向複数箇所(図
示では4か所)に、操作部材16の回転に伴って軸方向
のロック解除用外力Fを保持器4に作用させる操作用カ
ム面17が設けてある。また、これら操作用カム面17
に各々接する複数の操作用カム面18が、保持器4の幅
面に形成してある。これら操作用カム面17,18は、
緩い勾配のV字状の山形としてある。隣合う操作用カム
面17間の部分は、平坦面部17aとされている。な
お、この緩い勾配のV字状山形は、操作用カム面17,
18のいずれか一方にのみあっただけで良く、他は部分
的な凸部でもよい。また、保持器4に、上記外力Fに対
する復帰用弾性体21が内蔵状態に取付けてある。この
復帰用弾性体21は板ばねからなり、保持器4の内径面
に形成された取付溝22に取付けられ、内輪1の幅面に
係合する。
【0022】図7は、上記実施形態の2方向空転・ロッ
ク切替えクラッチAを車両用のシート背もたれ傾き角度
調整装置として利用した例を示す。シート30の背もた
れ31は、背もたれ支持部材32に傾動自在に支持され
ており、この背もたれ21の傾動中心と中心位置が一致
するように、2方向空転・ロック切替えクラッチAが配
置される。このクラッチAは、その内輪1および外輪2
のいずれか一方が背もたれ支持部材32に固定され、他
方が背もたれ31に固定される。なお、背もたれ31に
は、起立側に付勢する復帰ばね33を設けておく。クラ
ッチAは、後述の各実施形態のものであっても良い。
【0023】上記構成の動作を説明する。レバー16a
が中立位置となっているとき、この例ではレバー16a
が水平近くに下がっているときは、保持器4の幅面の操
作用カム面18と操作部材16の操作用カム面17の非
突出部分とが対向しているので、保持器4は軸方向の外
力Fを受けず、自然状態となっている。この状態では、
クラッチAは回転ロック機能が生じている。すなわち、
保持器4は、内輪1に設けられた保持器固定溝7に係合
突部9で緩い噛み合い状態となっており、その隙間の範
囲で保持器4は内輪1に対して自由に回転位相が変わ
る。このため、外輪2が正逆いずれかの方向に僅かでも
回転すると、保持器4が外輪2に対して連れ回りを生じ
る。この保持器4の移動により係合子3は内輪1のカム
面6の中央から偏った浅い位置となり、内外輪1,2間
の回転をロックする。
【0024】この回転ロックを説明する。大径とした一
部の係合子3A を除く残りの係合子3が内輪1のカム面
6と干渉した状態は図5に示すようであり、係合子3が
カム面6および外輪2の接触点となる角度βは5〜25
°〔180°−(155°〜175°)〕となる。この
角度は、一般的なクラッチのストラト角として知られて
いる。図5(A)の状態になると、外輪2はそれ以上時
計方向に回転することが不可能となる。すなわち、ここ
で、クラッチとしての回転ロック機能が生じることにな
る。なお、保持器4の係合突部9は、この状態では、ま
だ内輪1の保持器固定溝7に干渉しないような寸法に設
定される。外輪2が反時計方向に回転をするときも、各
部品は上記と同じような動きをして、回転ロック機能が
生じる(図5(B))。
【0025】次に、レバー16aを所定角度(例えば操
作用カム面18のピッチの70%程度の角度)引き上げ
ると、操作部材16の操作用カム面17の突出部分が保
持器4の操作用カム面18に対面し、保持器4は操作部
材16で軸方向に押される。これにより、保持器4の係
合突部9が内輪1の保持器固定溝7に密に嵌合し、この
嵌合に伴う案内作用で、保持器4と内輪1の回転位相が
一致させられる。そのため、保持器4のポケット8に保
持された係合子3はカム面6の中央(中立位置)に位置
し、その位置が保持されることになり、係合子3の摩擦
接触が解消されて、回転ロック機能が失われる。
【0026】上記の大径とした一部の係合子3A では、
次のようにロック作用を生じる。これら係合子3A を配
置したカム面6では、保持器4と内輪1の回転位相が一
致した状態においても、カム面6との間の隙間δA が小
さいため、外輪2に回転負荷が作用すると、即座に外輪
2のロック機能が生じる。このロック機能は、隙間δ A
が小さいほど早く生じる。隙間δA を負の隙間とした場
合は、クラッチとしての回転ロックの解除状態において
も、これら一部の係合子3A による回転ロック機能は生
じた状態を維持することになる。例えば、隙間δA が零
であれば、図12の例の遊び量W1 に相当する遊び量W
A1(=δA /Tanα0 )は零となるから、遊び角は当
然に無くなる。なお、隙間δA は内輪1の半径方向の距
離であり、角度α0 はカム面6の内輪接線方向に対する
傾き角度である。クラッチ全体としては、トルク負荷が
小さいときは、大径とされた一部の係合子3A のみで回
転ロック機能が生じ、トルク負荷が大きくなると、全て
の係合子3,3A で回転ロック機能が生じることにな
る。そのため、トルク負荷の方向が正逆変わったときの
遊び角は発生せず、または僅かなものになる。上記一部
の係合子3A は他の係合子3よりも大径であるため、大
きなトルク負荷が加わったときに、この一部の係合子3
A の受ける荷重は強大になるが、この大径の係合子3A
は中空のころとしたため、係合子3A が直径方向に変形
し易くなり、これにより過大な面圧が発生することが防
止される。
【0027】図6は、この実施形態品と上記提案例品と
の負荷トルクに対する内外輪の相対角度(クラッチ遅れ
角度)の関係を示す。同図のように、この実施形態のク
ラッチは、負荷が極めて小さいときは、クラッチとして
の剛性は劣るが、遊び角が生じずに剛性が得られ、負荷
が大きくなると、提案例に対してやや小さい剛性とな
る。
【0028】このように、この2方向空転・ロック切替
えクラッチAは、保持器4に軸方向の外力Fを加えた
り、その外力Fを除くことによって、時計・反時計方向
のいずれの方向へも同時に空転可能な状態と、両方向に
同時に回転ロック機能を生じる状態とに切替えることが
できる。しかも、負荷トルクの方向が変わったときも遊
び角を生じない。このため、上記のシート背もたれ傾き
調整装置に適用した場合に、背もたれ31を任意の角度
で固定することができ、また振動に伴う負荷方向の変化
によるガタ音も発生せず、したがって従来品にない操作
感触と高級感を得ることができる。しかも、構成が簡単
で安価ものとできる。また、この2方向空転・ロック切
替えクラッチAは、上記のような両方向の同時切替え機
能を有することから、手押し車や、車椅子、ドア用の軸
受等に応用した場合に、手を放せば車輪やドアはその場
所に留まっている様な安全な機構が安価に実現でき、こ
の場合にも負荷方向の変化によるガタ音の発生が防止さ
れる。
【0029】なお、この2方向空転・ロック切替えクラ
ッチAを図7に示すシート背もたれ傾き調整装置に適用
した場合、操作部材16のレバー16aを持ち上げるこ
とで、回転ロックの解除状態となり、したがって、背も
たれ31は、いずれの方向にも自由に動くことができ
る。この場合に、背もたれ31を倒すときは、人の背中
の力により、背もたれ31が起き上がるときは、ばね部
材33の復元力による。背もたれ31の位置が決まった
後、レバー16aを元の下方位置に戻すと、回転ロック
機能が回復して、背もたれ31は固定される。
【0030】なお、上記実施形態の2方向空転・ロック
切替えクラッチにおいて、大径とした一部の係合子3A
は、図8に示すようにコイル状の撓みころとしても良
い。この撓みころからなる係合子3A は、角線の密着巻
きコイルばね状のものであり、幅仕上げと外径仕上げを
行うことで、中空のころと同様に直径方向の剛性が小さ
なものとなる。前記角線の代わりに丸線を用いても良
い。一部の係合子3A を大径とした場合、大きなトルク
負荷が加わったときに、上記一部の係合子3A の受ける
荷重は強大になるが、この大径の係合子3A をコイル状
の撓みころとすることにより、中空ころとした場合と同
様に、係合子3A が直径方向に変形し易くなり、これに
より過大な面圧が発生することが防止される。
【0031】また、図9に示すように、上記一部の係合
子3A に接触するカム面6A を、残りの係合子3が接触
するカム面6よりもV字形状の開き角度αが小さいもの
としても良い。例えば、残りの係合子3に対するカム面
6の開き角度αを155°〜175°とした場合、上記
一部の係合子3A に対するカム面6A の開き角度αは、
150°〜170°の範囲で、残りの係合子3のカム面
6よりも小さい開き角度とする(すなわち、クラッチと
してのストラト角を大きくする。)。これにより、大き
な負荷トルクが加わったときに、係合子3A が滑り易く
なり、つまりロックの確実性を小さくでき、大負荷が一
部の係合子3A に集中して作用することが防止される。
【0032】なお、前記各実施形態では一部の係合子3
A の外径寸法を大きくすることで、この一部の係合子3
A に対する隙間δA を小さくしたが、図10に示すよう
に、一部の係合子3A に接触するカム面6を、残りの係
合子3が接触するカム面6よりも凹み深さが浅いものと
することで、一部の係合子3A に対する隙間δA を小さ
くしても良い。
【0033】また、上記各実施形態では、カム面6に接
触する係合子3としてころを用いたが、ころの代わりに
ボールやその他の転動体を用い、またスプラグやその他
の非円形の断面形状の係合子を用いても良い。また、上
記各実施形態では、カム面6を内輪1に、円周軌道面2
aを外輪2に各々設けたが、これとは逆に内輪1に円周
軌道面を、外輪2にカム面を設けても良い。さらに、第
1の回転部材および第2の回転部材は、上記各実施形態
のように内輪1および外輪2とする代わりに、互いに軸
方向に対面する部材とし、カム面および円周軌道面を軸
方向に対面させても良い。
【0034】
【発明の効果】この発明の2方向空転・ロック切替えク
ラッチは、正転・逆転方向のいずれの方向にもロック状
態を保ち、外部からの操作によって、正転・逆転方向の
いずれの方向も同時に回転可能になるという新たな機能
を持ちながら、ロック保持の状態において、負荷の方向
が変わっても遊び角が生じないという効果を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)はこの発明の一実施形態にかかるクラッ
チの破断正面図、(B)は同図(A)のB−B線断面図
である。
【図2】同クラッチの内輪の斜視図である。
【図3】(A)は保持器と操作部材の関係を示す分解斜
視図、(B)は同保持器の弾性体組立状態の斜視図、
(C)は復帰用弾性体の斜視図である。
【図4】同クラッチの内外輪と係合子との関係を示す部
分拡大断面図である。
【図5】同クラッチの作用説明図である。
【図6】同実施形態と提案例とにつき、内外輪の相対角
度とトルク負荷との関係を比較して示すグラフである。
【図7】この発明の2方向空転・ロック切替えクラッチ
を応用したシート背もたれ傾き角度調整装置の側面図で
ある。
【図8】この発明の他の実施形態に用いられる係合子で
ある撓みころの側面図である。
【図9】この発明のさらに他の実施形態における内外輪
と係合子との関係を示す部分拡大断面図である。
【図10】この発明のさらに他の実施形態における内外
輪と係合子との関係を示す部分拡大断面図である。
【図11】(A)は提案例にかかるクラッチの破断正面
図、(B)は同図(A)のXI−XI線断面図である。
【図12】同提案例の寸法関係の説明図である。
【図13】同提案例の作用説明図である。
【符号の説明】
1…内輪(第1の回転部材) 12…ロック手段 2…外輪(第2の回転部材) 13…ロック解除手
段 3…係合子 14…案内手段 3A …一部の係合子 16…操作部材 4…保持器 17…操作用カム面 5…弾性体 18…操作用カム面 6…カム面 21…復帰用弾性体 7…保持器固定用溝 F…外力 9…係合突部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに正逆に回転可能な第1の回転部材
    および第2の回転部材と、常時は上記両回転部材間の正
    逆両方向の回転をロックするロック手段と、所定のロッ
    ク解除用外力が加わることで正逆両方向に回転可能状態
    に上記ロック手段のロックを解除するロック解除手段と
    を備えた2方向空転・ロック切替えクラッチであって、
    上記ロック手段を複数の係合子で構成し、上記ロック手
    段のロック解除状態における上記各係合子と上記回転部
    材との間の隙間につき、一部の係合子の隙間を残りの係
    合子の隙間よりも小さくしたことを特徴とする2方向空
    転・ロック切替えクラッチ。
  2. 【請求項2】 互いに正逆に回転可能な第1の回転部材
    および第2の回転部材を設け、これら第1および第2の
    回転部材のうちのいずれか一方の回転部材に、回転中心
    回りの円周軌道面を設け、他方の回転部材に上記円周軌
    道面と対面する複数のカム面を設け、上記円周軌道面と
    各カム面との間に、これら両面に摩擦接触して上記回転
    部材の正逆両方向の回転をロックする係合子を介在さ
    せ、上記カム面は上記係合子をこのカム面の中立位置に
    保つことで上記摩擦接触が解除されるものとし、上記係
    合子を回転部材の回転方向に位置規制状態に保持する保
    持器を設け、この保持器を、所定の外力が加わること
    で、上記係合子の位置が上記カム面の上記中立位置とな
    るように上記回転部材に対して拘束状態とする案内手段
    を設け、上記係合子が中立位置にある状態における上記
    各係合子と上記両回転部材との間の隙間につき、一部の
    係合子の隙間を残りの係合子の隙間よりも小さくしたこ
    とを特徴とする2方向空転・ロック切替えクラッチ。
  3. 【請求項3】 上記一部の係合子の寸法を、残りの係合
    子の寸法よりも大きくした請求項1または請求項2記載
    の2方向空転・ロック切替えクラッチ。
  4. 【請求項4】 上記各カム面が凹面であり、上記一部の
    係合子に接触するカム面を、残りの係合子が接触するカ
    ム面よりも凹み深さが浅いものとした請求項2または請
    求項3記載の2方向空転・ロック切替えクラッチ。
  5. 【請求項5】 上記係合子がころであり、かつ上記一部
    のころが中空のころである請求項1ないし請求項4のい
    ずれかに記載の2方向空転・ロック切替えクラッチ。
  6. 【請求項6】 上記一部の係合子をコイル状の撓みころ
    とした請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の2方
    向空転・ロック切替えクラッチ。
  7. 【請求項7】 上記カム面がV字状断面形状の凹部であ
    り、上記一部の係合子に接触するカム面を、残りの係合
    子が接触するカム面よりもV字形状の開き角度が小さい
    ものとした請求項2ないし請求項6のいずれかに記載の
    2方向空転・ロック切替えクラッチ。
  8. 【請求項8】 上記第1および第2の回転部材は互いに
    内外に位置する部材であり、上記円周軌道面とカム面と
    はこれら回転部材の径方向に対向する面であり、上記カ
    ム面は、回転部材円周方向の中央部が深くかつ両側に次
    第に浅くなるように形成されて、その中央部が中立位置
    となるものである請求項2ないし請求項7のいずれかに
    記載の2方向空転・ロック切替えクラッチ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107693237A (zh) * 2016-08-08 2018-02-16 广东凯洋医疗科技集团有限公司 一种轮椅用双齿组结构的驱动装置
CN109931342A (zh) * 2017-12-19 2019-06-25 胡斯可汽车控股有限公司 用于具有预定干涉的双向离合器的系统和方法

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