JP3794885B2 - 二方向テーパクラッチおよびリクライニングシート - Google Patents

二方向テーパクラッチおよびリクライニングシート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車輌用のリクライニングシート等に用いられる二方向テーパクラッチおよびそのテーパクラッチを用いたリクライニングシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シートクッションの後部にシートバックを起伏自在に連結し、その連結部にシートバックを起立方向に付勢する渦巻きばねと、シートバックを起伏させた調整位置でロックするロック機構を設けた自動車用のマニュアル式のリクライニングシートにおいては、ロック機構として、普通、シートバックに取付けられたセクタギヤに操作レバーの端部に設けた爪を係合および係合解除させるようにしたラチェット機構から成るものが用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ロック機構がラチェット機構から成るリクライニングシートにおいては、セクタギヤの歯に爪を係合させるため、シートバックの傾き角度は段階的になり、シートバックを任意の角度でロックすることができず、疲労の少ない適切な姿勢をとることができないという不都合がある。
【0004】
また、シートバックを角度調整する際に、爪がセクタギヤに対して不完全に噛み合い解除される場合があり、このとき、爪がセクタギヤの歯に段階的に当接するため、異音が発生するという不都合がある。
【0005】
上記の不都合を解消するため、シートバックを任意の角度に傾き調整することができるようにした二方向クラッチを本件出願人は既に提案している(特願平9−354944号明細書)。
【0006】
上記二方向クラッチにおいては、シートクッションに取付けられる内輪の外周面にV溝から成るカム面を設け、シートバックに取付けられる外輪の内周面に円筒面を形成し、この円筒面とカム面との間に円筒ころを組込み、その円筒ころがカム面の中央に位置する中立状態において外輪の回転を自由とし、前記円筒ころがカム面の一方の傾斜面と円筒面のそれぞれに係合する状態において外輪をロックするようにしている。
【0007】
ところで、上記二方向クラッチにおいては、外輪のロック状態において、円筒ころとカム面の他方の斜面との間に微小な間隙が形成されるため、例えば車輌の振動によって外輪に加わる負荷の方向が切り換った場合に、外輪は上記の間隙内でがたつくことになり、異音を発生させるおそれがあった。
【0008】
上記の異音の発生を防止するため、V溝から成るカム面上において円筒ころをスキューさせることにより、その円筒ころを内輪のカム面の相反する方向に傾斜する二つの斜面と外輪の円筒面のそれぞれに係合させて外輪をロックするようにした二方向クラッチを本件出願人はさらに提案している(特願平10−232816号明細書)。
【0009】
ところで、改良された二方向クラッチにおいては、外輪に一定のトルクが加わると、円筒ころのスキューは無くなり、その円筒ころは外輪の円筒面および内輪のカム面にそれぞれ線接触するため、剛性が大きくなるが、円筒ころのスタンバイ状態において、その円筒ころは外輪の円筒面および内輪のカム面における二つの斜面に点接触しているだけであるため、低トルク伝達時の剛性が小さく、改良すべき点が残されている。
【0010】
この発明の課題は、ロック状態において遊び角がなく、トルク負荷に対して大きな剛性をもつ二方向テーパクラッチおよびリクライニングシートを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明に係る二方向テーパクラッチにおいては、外輪と内輪とを相対的に回転自在に支持し、その両輪間に組込まれた保持器の複数のポケットのそれぞれに円すいころを収容し、前記外輪の内周面と内輪の外周面のいずれか一方に前記円すいころの一部が嵌合するカム溝を形成し、そのカム溝が円周方向の中央で深く、両端に至るに従って次第に浅くなると共に、他方の周面との間で円すいころの小端面側の端部が狭小のくさび形空間を形成する底面形状とされ、前記円すいころが小端面を前側として軸方向に移動する方向に前記保持器を軸方向に押圧する弾性手段と、その弾性手段の弾性に抗して保持器を軸方向に移動させる操作手段とを設け、前記保持器に円すいころの大端面を押圧するばね部材を取付けた構成を採用したのである。
【0012】
ここで、カム溝の底面は、円すいころと一箇所において線接触する円弧面から成るものであってもよく、あるいは円すいころと二箇所において線接触するよう相反する方向に傾斜する二つの傾斜面から成るものであってもよい。
【0013】
また、上記カム溝が形成される周面は円筒面であってもよく、円錐面であってもよい。円筒面にカム溝を形成する場合、カム溝は、開口部における溝幅が円すいころの小端面側の一端から他端に向け次第に広くなり、かつ、溝幅の中央における溝深さが、円すいころの小端面側の一端から他端に向けて次第に深くなるような形状とする。
【0014】
この発明に係る二方向テーパクラッチの保持器を軸方向に押圧する弾性手段として、波形ばねを採用することができる。この波形ばねの採用に際しては、保持器の一端に内輪の一端面と軸方向で対向する内向きフランジを形成し、この内向きフランジと内輪の一端面間に波形ばねを組込んで、内向きフランジを軸方向に押圧する。
【0015】
上記の構成から成る二方向テーパクラッチにおいて、操作手段を操作して保持器を円すいころが大端面を前側として軸方向に移動する方向に押圧すると、円すいころは、カム溝とこれと対向する周面とで形成されるくさび空間の広幅部に向けて移動して、カム溝の底面およびそのカム溝と対向する周面に対する係合が解除される。このため、外輪と内輪とを相対的に回転させることができる。
【0016】
また、操作手段の操作によって保持器の押圧を解除すると、弾性手段によって保持器が戻され、円すいころがカム溝の底面とそのカム溝に対向する周面に線接触するスタンバイ状態とされる。このため、外輪と内輪とが相対的に回転しようとすると、円すいころがカム溝の底面とこれに対向する周面とに噛み込み、外輪と内輪は相対的な回転が阻止されるロック状態とされる。
【0017】
二方向クラッチのスタンバイ状態において、複数の円すいころのそれぞれは、ばね部材によって大端面が押圧されているため、部品の加工精度が悪い場合、あるいは長期使用による精度の劣化が生じた場合でも円すいころのそれぞれはカム溝の底面と周面とに接触するスタンバイ状態に保持される。
【0018】
このため、スタンバイ時の信頼性が高く、設計どおりのトルク容量を得ることができると共に、トルク負荷に対して剛性の大きい二方向テーパクラッチを得ることができる。
【0019】
ここで、保持器を軸方向に移動させる操作手段として、内輪の軸心上にレバー操作によって回動される支持軸を設け、その支持軸の外周に設けられたフランジに一側面の内周部が対向し、他側面の外周部が保持器の端面に対向する押圧板を前記支持軸の軸方向に移動自在に支持し、その押圧板を内輪に対して回り止めし、前記フランジにはその回転時に押圧板の一側面に形成された突出部を押圧するカム突起を設けた構成から成るものを採用することができる。
【0020】
また、円すいころの大端面を押圧するばね部材は、くし形保持器のポケット開放側の端面に衝合される環状板の外周縁に、保持器の隣接するポケット間の柱部外周面に形成された突出部と係合する複数の外側フック片と、円すいころ押圧用のばね片とを設け、環状板の内周縁に柱部の内周面に形成された窪みと係合する複数の内側フック片と、前記ばね片の過大変位を防止するストッパ片とを設けたリングばねから成るものであってもよい。あるいは、保持器の軸方向両端部に設けられた一対の環状部のうち、円すいころ大端面側の環状部の外周面に巻付けられる帯状板の一側に環状部の端面に沿って延びて先端部が環状部の内面に係合するL形の複数の係合片を周方向に間隔をおいて設け、前記帯状板の他側に保持器のポケット内に挿入されて円すいころの大端面を押圧するばね片を設けたリングばねから成るものであってもよい。さらに、保持器に形成されたポケットの円すいころ大端面側の端壁部に嵌合されるコの字形係合枠の一端に円すいころ押圧用のばね片を形成した単体ばねから成るものであってもよい。
【0021】
この発明に係るリクライニングシートにおいては、シートクッションに対してシートバックを起伏自在に連結したリクライニングシートにおいて、前記シートバックの起伏中心軸上に前述の二方向テーパクラッチを設け、そのテーパクラッチにおける外輪と内輪のいずれか一方をシートクッションに取付け、他方をシートバックに取付けた構成を採用している。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1乃至図9は、この発明に係る二方向テーパクラッチ1を示し、図10は、その二方向テーパクラッチ1を用いたリクライニングシート50を示す。
【0024】
リクライニングシート50はシートクッション51と、そのシートクッション51の後端部から起立するシートバック52とを有する。シートクッション51の両側後部にはブラケット53が設けられ、そのブラケット53に支持軸54が支持されている。
【0025】
シートバック52は、上記支持軸54を中心として起伏自在に支持され、ばね部材55によって起立する方向に付勢されている。56は、シートバック52の両側下部に設けられたブラケットを示す。
【0026】
図1乃至図3に示すように、二方向テーパクラッチ1は、外輪2と、内輪3と、その両輪2、3間に組込まれた保持器4とを有し、前記外輪2の一端には内向きフランジ5が形成され、その内向きフランジ5は内輪3の一端部外周に設けられた小径の軸受面6に嵌合されて回転自在に支持されている。
【0027】
また、外輪2の他端には外向きフランジ7が形成され、その外向きフランジ7がシートバック52に設けられた前記ブラケット56に固定されている。
【0028】
内輪3は前記支持軸44と同軸上に配置され、その一端に設けられた端壁3aがシートクッション51のブラケット53に衝合され、複数のリベット8によって前記ブラケット53に固定されている。
【0029】
前記外輪2の内周は円筒面9とされ、一方、内輪3の外周は、一端が小径となる円錐面10とされている。円錐面10には複数のカム溝11が周方向に間隔をおいて設けられている。
【0030】
図3および図4に示すように、カム溝11の底面は相対する方向に傾斜する二つの傾斜面11a、11aで形成されて円周方向の中央部で深く、両端に至るに従って次第に浅くなっている。また、カム溝11は周方向中央での深さが内輪3の軸方向全長にわたって同一深さとされ、外輪2の円筒面9との間で外輪2の開口側の端部が狭小となるくさび形空間を形成している。
【0031】
なお、カム溝11の底面は円弧面であってもよい。また、内輪3の外周を円筒面とし、その円筒面に周方向の中央で深く、両端に至るに従って浅くなり、かつ外輪2の円筒面9との間で外輪2の開口端側が狭小となるくさび形空間を形成するカム溝を設けるようにしてもよい。
【0032】
図6および図8に示すように、保持器4は環状部12の一端に内向きフランジ13を設け、環状部12の他端周方向に複数の柱部14を等間隔に形成して隣接する柱部14間にポケット15を設けたくし形とされている。
【0033】
上記保持器4は、ポケット開放側の端部を先にして外輪2の開口部側から外輪2と内輪3間に組込まれ、その組込み状態において、内向きフランジ13は内輪3の端面と軸方向で対向し、また、ポケット15は内輪3のカム溝11と対向している。
【0034】
保持器4に形成されたポケット15のそれぞれには円すいころ16が、その小端面を内輪3の他端側に位置するようにして収納されている。
【0035】
円すいころ16は円錐角が10°以下とされ、その円すいころ16の周面とポケット15の側面間にころ直径の1/50以下のポケットすきまが形成されている。
【0036】
上記円すいころ16は、保持器4の一端、すなわち、ポケット開放側の端面に取付けたばね部材17によって大端面が押圧されている。
【0037】
図6および図7に示すように、ばね部材17は、保持器4のポケット開放側の端面に衝合される環状板18の一側面に保持器4の柱部14端面に形成された位置決め凹部19と係合する突起20を設けている。
【0038】
また、環状板18の外周に、保持器4の柱部14の外周端部に形成された突出部21と係合可能な複数の外側フック片22と、円すいころ16の大端面を押圧する複数のばね片23とを交互に形成し、環状板18の内周には前記柱部14の内周に設けられた窪み24と係合する複数の内側フック片25と、ストッパ片23bとを形成している。ここで、ストッパ片23bは同位相、同数であり、前記ばね片23がころ16に過大な力で押圧された場合に、そのばね23が過大に変位して座屈するのを防止する。
【0039】
上記のように、円すいころ16の大端面を押圧するばね部材17を、環状板18の外周に外側フック片22およびばね片23を設け、環状板18の内周に内側フック片25とストッパ片23bを形成したリングばねとすると、保持器4のポケット開放側端からの押し込みによって、その保持器4のポケット開放側端部にばね部材17を取付けることができるため、取付けが容易である。また、その取付け状態では、位置決め凹部19に突起20が係合し、外側フック片22が柱部14の突出部21に係合し、さらに、内側フック片25が窪み24に係合するため、きわめて安定した取付け状態を得ることができる。
【0040】
図2に示すように、保持器4に形成された内向きフランジ13と内輪3の端面間には、弾性手段としての波形ばね26が組込まれている。波形ばね26は円すいころ16が小端面を前側として移動する方向に保持器4を押圧しており、その押圧によって、円すいころ16は外輪2の円筒面9およびカム溝11の底面の双方に接触している。
【0041】
保持器4は、図2に示す操作機構30を操作することによって、円すいころ16が大端面を前側として移動する方向に動かされるようになっている。
【0042】
操作機構30は、シートクッション51のブラケット53に回転自在に支持された前記支持軸54の一端部に回転操作用のレバー31を取付け、上記支持軸54に環状の押圧板32の内周に形成された円筒部32aをスライド自在に嵌合して、押圧板32の一側面外周部を保持器4のフランジ13に当接し、この押圧板32を内輪3に対して回り止めし、前記支持軸54には押圧板32の他側面内周部に対向するフランジ33を設け、このフランジ33の押圧板32と対向する面に複数のカム突起34を形成し、前記支持軸54の回転時に、カム突起34で押圧板32の他側面に設けられた突出部35を押圧して、押圧板32を軸方向に移動させるようにしている。
【0043】
ここで、内輪3に対する押圧板32の回り止めに際し、押圧板32に切り起しの回り止め片36を設け、この回り止め片36を内輪3の開口側端部の内周に形成された切欠部37に嵌合している。
【0044】
また、フランジ33に形成されたカム突起34には図9に示すように、その表面に傾斜面34aと平坦面34bとを形成しており、一方、押圧板32に形成された突出部35の表面には傾斜面35aと平坦面35bとを設け、カム突起34の傾斜面34aが突出部35の傾斜面35aを押圧する作用により押圧板32を軸方向に移動させるようにしており、カム突起34の平坦面34bが突出部35の平坦面35bに接触する作用によって押圧板32を押し込み状態に保持するようにしている。
【0045】
図1および図2に示すように、内輪3に対して回り止めされた押圧板32と保持器4の相互間には、保持器4に形成されたポケット15の幅中心を内輪3の外周に設けられたカム溝11の幅中心に一致させる位相合わせ機構40が設けられている。
【0046】
位相合わせ機構40は、押圧板32の外周部に複数の切欠部41を形成し、保持器4には切欠部41のそれぞれに嵌合される位相合わせ爪42を設けている。
【0047】
ここで、切欠部41および位相合わせ爪42の周方向両端には傾斜面41a、42aが形成されており、外輪2の回転によって保持器4にトルク負荷が付与されて保持器4が押圧板32に対して位相ずれが生じると、傾斜面41a、42aの相互に円周方向のずれが生じて保持器4が外径方向に変形し、その保持器4の変形によって上記の位相ずれを吸収するようになっている。
【0048】
実施の形態で示すリクライニングシートおよび二方向テーパクラッチは上記の構造から成り、図10は二方向テーパクラッチ1のレバー31が係合位置にある状態を示し、支持軸54のフランジ33に形成されたカム突起34と押圧板32に設けられた突出部35は円周方向に位置がずれ、保持器4は波形ばね26により軸方向に押圧されて、カム溝11の底面および外輪2の円筒面9に線接触するスタンバイ状態とされている。
【0049】
ここで、シートバック52は図10に示すばね部材55によって起立する方向に付勢されているため、円すいころ16は円筒面9およびカム溝11の底面に噛み込み、その噛み込みによってシートバック52はロックされ、起立する方向に揺動するのが防止されている。
【0050】
上記のような状態において、図10に示すレバー31を引き上げると、支持軸54が回転し、その支持軸54のフランジ33に設けられたカム突起34が押圧板32に形成された突出部35を押圧する。
【0051】
このため、押圧板32は波形ばね26の弾性に抗して軸方向に移動し、保持器4はその押圧板32で押されて円すいころ16が大端面を前側として移動する方向に移動する。
【0052】
上記保持器4の移動によって、円すいころ16は外輪2の円筒面9およびカム溝11の底面に対する係合が解除され、シートバック52は起立する方向および倒れる方向の2方向に揺動し得る状態とされる。
【0053】
このため、シートバック52に上半身の体重をあずけると、シートバック52が後方に倒れ、また、シートバック52から上半身を離すと、ばね部材55の弾性力によってシートバック52が起立する方向に揺動し、シートバック52の傾きを任意に調整することができる。
【0054】
シートバック52の傾き調整後において、レバー31の引き上げを解除し、図示省略したばね部材の弾性力によってレバー31を係合解除位置に戻すと、支持軸54が回転し、その支持軸54のフランジ33に設けられたカム突起34は押圧板32に設けられた突出部35に対して周方向に位置がずれるため、突出部35の押圧は解除される。
【0055】
このため、押圧板32および保持器4のそれぞれは波形ばね26の押圧により円すいころ16が小端面を前側として移動する方向に移動し、その移動によって、円すいころ16は外輪2の円筒面9およびカム溝11の底面に接触するスタンバイ状態に戻される。
【0056】
このとき、複数の円すいころ16のそれぞれは、ばね部材17に設けられたばね片23により大端面が押圧されているため、全ての円すいころ16は外輪2の円筒面9およびカム溝11の底面に接触するスタンバイ状態とされる。
【0057】
このため、シートバック52に上半身の体重をあずけることにより、円すいころ16のそれぞれが外輪2の円筒面9および内輪3のカム溝11の底面に噛み込み、シートバック52は角度調整位置においてロックされる。
【0058】
このように、シートバック52を任意の傾き調整位置でロックすることができるため、疲労の少ない適切な姿勢を確保することができ、ハンドルの操作性や安全性の向上を図ることができる。
【0059】
また、シートバック52のロック状態において、複数の円すいころ16のそれぞれがばね部材17のばね片23で押圧されて外輪2の円筒面9とカム溝11の底面に係合する状態に保持されるため、回転方向の遊びがなく、車輌の振動によってシートバック52から外輪2に付与される負荷の方向が切り換っても、シートバック52はがたつくことがない。
【0060】
このため、異音の発生のない安定性および安全性に優れたリクライニングシートを得ることができると共に、トルク負荷に対して剛性の大きいリクライニングシートを得ることができる。
【0061】
ここで、円すいころ16の円錐角が大きい場合、円すいころ16に大きいラジアル荷重が負荷されると、円すいころ16はその分力で軸方向に押されて、円筒面9およびカム溝11の底面に対する係合が解除されるおそれがあるが、上記円すいころ16の円錐角は10°以下であるため、そのような問題が発生することはない。
【0062】
図2乃至図6に示す例においては、保持器4をくし形とし、そのくし形保持器4のポケット開放側の端部にばね部材17を取付けて、そのばね部材17に設けられたばね片23で円すいころ16の大端面を押圧するようにしたが、保持器4およびばね部材17はこれに限定されるものではない。
【0063】
例えば、図12および図13に示すような保持器4であってもよい。図12および図13に示す保持器4においては、軸方向の両端部に設けられた一対の環状部12a、12b間の周方向に複数の柱部14を等間隔に設け、隣接する柱部14間に円すいころ16を収納するポケット15を形成している。
【0064】
なお、図11に示す二方向クラッチ1においては、支持軸54に設けたフランジ33にレバー31を設けて、そのレバー31の操作によって支持軸54を回転させるようにしている。
【0065】
図14および図15は、上記保持器4に使用されるばね部材17の各例を示す。図14に示すばね部材17は、保持器4のポケット15に収納された円すいころ16の大端面側の環状部12b外周に巻付けられる帯状板60の一側に環状部12bの内周面に係合可能なL形の複数の係合片61を設け、帯状板60の他側には、保持器4のポケット15内に挿入されて円すいころ16の大端面を押圧する複数のばね片62と、柱部14の外周面に衝合される複数の衝合片63とを等間隔に設けている。
【0066】
上記ばね部材17は図12および図13に示すように、帯状板60を環状部12bの外周に巻付け、環状部12bの内周面に対する係合片61の係合と、柱部14の外周面に衝合される衝合片63の衝合により取付けの安定化を図り、ポケット15のそれぞれ内部に挿入されるばね片62によって各円すいころ16の大端面を押圧するようにしている。
【0067】
図15に示されるばね部材17は、保持器4に形成されたポケット15の円すいころ大端面側の端壁部に嵌合されるコの字形係合枠64の一端に円すいころ16の大端面を押圧するばね片65を形成した単体ばねから成っている。
【0068】
上記ばね部材17は複数のポケット15のそれぞれ端壁部に係合枠64を嵌合し、ポケット15内に挿入されたばね片65で円すいころ16の大端面を押圧する。
【0069】
図14および図15に示すいずれのばね部材17を用いた場合でも、そのばね部材17に設けたばね片62、65で円すいころ16の大端面を押圧することができるため、保持器4が波形ばね26の押圧によって軸方向に移動したとき、全ての円すいころ16を外輪2の円筒面9およびカム溝11の底面に接触するスタンバイ状態とすることができる。
【0070】
このため、二方向テーパクラッチの遊びを完全になくし、設計どおりのトルク容量を得ることができる。
【0071】
【発明の効果】
以上のように、この発明においては、弾性手段の押圧によって保持器が軸方向に移動すると、円すいころがカム溝の底面と、そのカム溝とでくさび形空間を形成する周面のそれぞれに接触するスタンバイ状態とされる。このとき、複数の円すいころはばね部材によって大端面が押圧されているため、円すいころの全てがスタンバイ状態とされ、遊びのない、トルク負荷に対して大きな剛性をもつ二方向テーパクラッチを得ることができる。
【0072】
また、この発明に係るリクライニングシートにおいては、シートバックを任意に角度調整することができ、がたつきのない安定したロック状態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る二方向テーパクラッチの一部切欠正面図
【図2】図1のII−II線に沿った断面図
【図3】図1に示す二方向テーパクラッチのクラッチ係合部を示す断面図
【図4】図3のIV−IV線に沿った断面図
【図5】図2に示すクラッチのばね部材の取付け部を示す断面図
【図6】図2に示すクラッチの保持器の一部を展開して示す一部切欠展開図
【図7】図2に示すクラッチのばね部材の一部を示す斜視図
【図8】図2に示すクラッチの保持器の一部を示す斜視図
【図9】図2に示すクラッチの支持軸と押圧板とを示す分解斜視図
【図10】この発明に係るリクライニングシートの側面図
【図11】この発明に係る二方向テーパクラッチの他の例を示す縦断側面図
【図12】二方向テーパクラッチでの他の方式によるばね部材の取付け部を示す断面図
【図13】図12に示す保持器の平面図
【図14】図12に示す二方向テーパクラッチのばね部材の一部を示す斜視図
【図15】二方向テーパクラッチに使用されるばね部材の他の例を示す斜視図
【符号の説明】
1 二方向テーパクラッチ
2 外輪
3 内輪
4 保持器
5 内向きフランジ
9 円筒面
10 円錐面
11 カム溝
12a、12b 環状部
14 柱部
15 ポケット
16 円すいころ
17 ばね部材
21 突出部
22 外側フック片
23 ばね片
24 窪み
25 内側フック片
26 波形ばね(弾性手段)
30 操作機構(操作手段)
31 レバー
32 押圧板
33 フランジ
34 カム突起
35 突出部
51 シートクッション
52 シートバック
54 支持軸
60 帯状板
61 係合片
62 ばね片
64 係合枠
65 ばね片

Claims (7)

  1. 外輪と内輪とを相対的に回転自在に支持し、その両輪間に組込まれた保持器の複数のポケットのそれぞれに円すいころを収容し、前記外輪の内周面と内輪の外周面のいずれか一方に前記円すいころの一部が嵌合するカム溝を形成し、そのカム溝が円周方向の中央で深く、両端に至るに従って次第に浅くなると共に、他方の周面との間で円すいころの小端面側の端部が狭小のくさび形空間を形成する底面形状とされ、前記円すいころが小端面を前側として軸方向に移動する方向に前記保持器を軸方向に押圧する弾性手段と、その弾性手段の弾性に抗して保持器を軸方向に移動させる操作手段とを設け、前記保持器に円すいころの大端面を押圧するばね部材を取付けた二方向テーパクラッチ。
  2. 前記保持器を軸方向に押圧する弾性手段が、保持器の一端に設けられた内向きフランジと内輪の一端面間に組込まれた波形ばねから成る請求項1に記載の二方向テーパクラッチ。
  3. 前記保持器を軸方向に移動させる操作手段が、内輪の軸心上にレバー操作によって回動される支持軸を設け、その支持軸の外周に設けられたフランジに一側面の内周部が対向し、他側面の外周部が保持器の端面に対向する押圧板を前記支持軸の軸方向に移動自在に支持し、その押圧板を内輪に対して回り止めし、前記フランジにはその回転時に押圧板の一側面に形成された突出部を押圧するカム突起を設けた構成から成る請求項1又は2に記載の二方向テーパクラッチ。
  4. 前記ばね部材が、くし形保持器のポケット開放側の端面に衝合される環状板の外周縁に、保持器の隣接するポケット間の柱部外周面に形成された突出部と係合する複数の外側フック片と、円すいころ押圧用のばね片とを設け、環状板の内周縁に柱部の内周面に形成された窪みと係合する複数の内側フック片と、前記ばね片の過大変位を防止するストッパ片とを設けたリングばねから成る請求項1乃至3のいずれかに記載の二方向テーパクラッチ。
  5. 前記ばね部材が、保持器の軸方向両端部に設けられた一対の環状部のうち、円すいころ大端面側の環状部の外周面に巻付けられる帯状板の一側に環状部の端面に沿って延びて先端部が環状部の内面に係合するL形の複数の係合片を周方向に間隔をおいて設け、前記帯状板の他側に保持器のポケット内に挿入されて円すいころの大端面を押圧する複数のばね片を設けたリングばねから成る請求項1乃至3のいずれかに記載の二方向テーパクラッチ。
  6. 前記ばね部材が、保持器に形成されたポケットの円すいころ大端面側の端壁部に嵌合されるコの字形係合枠の一端に円すいころ押圧用のばね片を形成した単体ばねから成る請求項1乃至3のいずれかに記載の二方向テーパクラッチ。
  7. シートクッションに対してシートバックを起伏自在に連結したリクライニングシートにおいて、前記シートバックの起伏中心軸上に請求項1乃至6のいずれかに記載の二方向テーパクラッチを設け、そのテーパクラッチにおける外輪と内輪のいずれか一方をシートクッションに取付け、他方をシートバックに取付けたことを特徴とするリクライニングシート。
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