JP4515146B2 - クラッチユニット - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、自動車用シートリフタ部などに組み込まれ、入力側部材と出力側部材の間でトルクの伝達・遮断を行うクラッチユニットに関する。
一般に、ローラやボール等の係合子を用いるクラッチユニットにおいては、入力側部材と出力側部材との間にクラッチ部が配設されるが、このクラッチ部は、前述の入力側部材と出力側部材間に形成される楔隙間にローラやボール等の係合子を係合・離脱させることによって、入力トルクの伝達・遮断を制御する構成になっている。
すなわち、係合子が楔隙間に係合することにより、入力側部材と出力側部材とがその係合子を介して入力トルクが伝達される一方、係合子が楔隙間から離脱することにより、入力側部材と出力側部材とが相対空転可能となり、その入力側部材と出力側部材間で入力トルクが遮断される構成になっている。
このように係合子の係合・離脱により入力側部材と出力側部材の間でトルクの伝達・遮断を行うクラッチユニットとして、図11に示すように入力側部材としての外輪と、出力側部材としての内輪(図示せず)と、トルク伝達部としての係合子である例えばローラ(図示せず)と、そのローラを保持する保持器24と、二種類の弾性部材25A,25Bとを具備した構造のものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−166555号公報
前述した特許文献1に開示されたクラッチユニットでは、外輪(図11に示す外輪の係止部21a)を回転させると、その外輪の回転に伴って保持器24、ローラ、弾性部材25A,25Bおよび内輪が同期して回転する。二種類の弾性部材25A,25Bのうち、一方の弾性部材25Bは、他方の弾性部材25Aの内径側に配置されている(この時、静止側部材27は固定した状態にある)。
外径側に配置された弾性部材25Aは、図12(a)(b)に示すように外輪と静止側部材27間に設けられ、有端リング状の板ばねの両端を外径側に屈曲させた爪部25A1,25A2を有し、それぞれの爪部25A1,25A2を外輪の係止部21aと静止側部材27の係止部27aに係合させている。この弾性部材25Aは、外輪からの入力トルクで弾性力を蓄積し、入力トルクの開放により、蓄積された弾性力で外輪を中立状態に復帰させる機能を有する。
また、内径側に配置された弾性部材25Bは、保持器24と外輪間に配設され、有端リング状の板ばねの両端を内径側に屈曲させた爪部25B1,25B2を有し、それぞれの爪部25B1,25B2を保持器24の突壁部24bと静止側部材27の係止部27bに係合させている。この弾性部材25Bは、外輪からの入力トルクでその外輪と同期して回転する保持器24の回転により弾性力を蓄積し、その保持器24に作用する回転力が解除されると、蓄積された弾性力で保持器24を中立状態に復帰させる機能を有する。
ところで、外径側に配置された弾性部材25Aは、有端リング状の板ばねであり、入力トルクの作用時および開放時において、その爪部25A1,25A2を外輪の係止部21aと静止側部材27の係止部27aに係合させている。そのため、図13に示すように外輪が図中時計方向に回転する際に、外径側に配置された弾性部材25Aが拡径しようとする。この時、弾性部材25Aの爪部25A1が静止側部材27の係合部27aを乗り越えて外径側へ外れてしまう可能性があった。
入力トルクの開放時に外輪の回転力がなくなると、その弾性部材25Aの弾性力により外輪が中立状態に復帰するが、前述したように、万一、弾性部材25Aの爪部25A1が静止側部材27の係合部27aから外れてしまった場合には、弾性部材25Aにより外輪を中立状態に復帰させるためにその外輪に作用する弾性力が減少し、その結果、入力トルクの開放時に外輪を中立状態に速やかに復帰させることが困難となる(弾性部材25Bの弾性力だけでも中立状態に復帰するが、その弾性力だけでは復帰力が弱い)。
そこで、本発明は前述の改善点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、弾性部材の姿勢が変化しても、その弾性部材が入力側部材または静止側部材に係合した状態を確実に保持してその係合部から離脱することを未然に防止し得るクラッチユニットを提供することにある。
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、トルクが入力される入力側部材と、トルクが出力される出力側部材と、入力側部材からの入力トルクで出力側部材を回転させるトルク伝達部と、回転が拘束された静止側部材と、前記入力側部材と静止側部材の間に設けられ、入力側部材からの入力トルクで弾性力を蓄積し、入力トルクの開放により、蓄積された弾性力で入力側部材を中立状態に復帰させる有端リング状の板ばねからなる第一の弾性部材とを具備したクラッチユニットにおいて、前記第一の弾性部材は、入力側部材に係合する第一の爪部と、前記静止側部材に係合し、かつ、前記入力側部材からの入力トルクによる拡径時に前記静止側部材からの離脱を防止する第二の爪部とを前記板ばねの端部に形成したことを特徴とする。
この第一の弾性部材は、板ばねの端部を板幅方向に二分割し、一方を外径方向に屈曲させて第一の爪部とし、他方を内径方向に延出させて第二の爪部とした構造が可能である。この構造では、第一の弾性部材の第二の爪部を、第一の爪部と共に一体的に形成することが可能である。
また、この第一の弾性部材は、板ばねの端部を全幅に亘って外径方向に屈曲させて第一の爪部とし、前記板ばねの端部に第二の爪部を別体で内径方向に延出させた他の構造も可能である。この構造では、第一の弾性部材の第二の爪部を、第一の爪部と別体で形成することも可能である。
本発明に係るクラッチユニットでは、入力側部材に係合する第一の爪部と、前記静止側部材に係合し、かつ、その静止側部材からの離脱を防止する第二の爪部とを有する第一の弾性部材を有することにより、入力側部材からの入力トルクの作用時、第二の爪部によって第一の弾性部材が静止側部材から離脱することを未然に防止することができ、その第一の弾性部材が静止側部材に係合した状態を確実に保持できる。その結果、入力トルクの開放時に、第一の弾性部材が静止側部材に確実に係合しているため、第一の弾性部材の弾性力を減少させることなく、確実に入力側部材に作用させることができるので、その入力側部材を中立状態に速やかに復帰させることができる。なお、第一の弾性部材を有端リング状の板ばねで形成することにより、コンパクトな構造が実現容易となる。
また、本発明のクラッチユニットは、自動車用シートリフタ部に組み込まれた構造を採用することが望ましい。このように自動車用シートリフタ部に組み込まれた場合、レバー操作が初期の中立状態に確実に復帰することになる。
なお、本発明のクラッチユニットでは、前述のトルク伝達部としての係合子を保持する保持器と静止側部材の間に設けられ、入力側部材からの入力トルクで弾性力を蓄積し、入力トルクの開放により、蓄積された弾性力で保持器を中立状態に復帰させる第二の弾性部材を有する構造が可能であり、その場合、第二の弾性部材は、有端リング状の板ばねで形成され、前述の第一の弾性部材の内径側に配置される。
本発明によれば、入力側部材に係合する第一の爪部と、前記静止側部材に係合し、かつ、その静止側部材からの離脱を防止する第二の爪部とを有する第一の弾性部材を有することにより、入力側部材からの入力トルクの作用時、第二の爪部によって第一の弾性部材が静止側部材から離脱することを未然に防止することができ、その第一の弾性部材が静止側部材に係合した状態を確実に保持できるので、入力側部材を中立状態に迅速かつ確実に復帰させることができる。
図5(a)(b)は、本発明の実施形態におけるクラッチユニットの全体構成を示す概略図である。この実施形態のクラッチユニットは、図5(a)(b)に示すようにトルクが入力される入力側部材としての外輪1と、トルクが出力される出力側部材としての内輪2と、外輪1からの入力トルクで内輪2を回転させるトルク伝達部としての係合子、例えば複数のローラ3と、ローラ3を保持する保持器4と、二種類の弾性部材5A,5Bとを有する。
外輪1は、第一の薄肉部材1Aと第二の薄肉部材1Bとから構成される。第二の薄肉部材1Bの端部内周1Beは、第一の薄肉部材1Aの外周、より詳細には内径フランジ部1Acの外周に配置されており、両部材1A,1Bの端面1Ag,1Bgは半径方向で同一平面上にある。
第一の薄肉部材1Aは、内周に複数のカム面1Aaが円周方向等間隔に形成されたドラム部1Abと、ドラム部1Abの一端部より内径側に延出された内径フランジ部1Acと、ドラム部1Abの他端部より外径側に延出された外径フランジ部1Adとを備える。
各カム面1Aaは、円周方向中央部が深く、その中央部から円周方向両側に向って傾斜状に浅くなっている。内径フランジ部1Acは、保持器4を軸方向の一方に抜け止め規制すると共に、外輪1の内輪2に対する同軸性を保持する役割を果たすものである。
外径フランジ部1Adには、第二の薄肉部材1Bとの結合に供せられる複数(図例では6つ)の嵌合溝1Aeが形成されると共に、外径端より軸方向に沿ってドラム部1Abと反対側に延出された1または複数のストッパ爪1Afが形成されている。このストッパ爪1Afが、第一の薄肉部材1Aの一側方(図5(a)の右側方)にあって回転が拘束される静止側部材の図示しないストッパ部と回転方向に係合することにより、外輪1の回動が所定範囲に規制される。
第二の薄肉部材1Bには、外径端より軸方向に沿って第一の薄肉部材1A側に延出された複数(図例では6つ)の嵌合爪1Baが形成されており、これらの嵌合爪1Baが図5(a)(b)に示すように第一の薄肉部材1Aの嵌合溝1Aeに嵌合圧入または加締め固定されることにより、両薄肉部材1A,1Bの相対回転及び軸方向相対移動が規制されている。
そして、この状態の下で、嵌合爪1Baが、その外周に装着される操作部材としての操作レバー6の凹凸部と回転方向に係合することにより、操作レバー6の外輪1に対する相対回転が規制されるようになっている。従って、操作レバー6を回動操作することにより、第一の薄肉部材1Aと第二の薄肉部材1Bとが一体回転し、これにより操作レバー6からの入力トルクが外輪1に入力される。
図示例の内輪2は円筒状をなし、外周に外輪1(第一の薄肉部材1A)のカム面1Aaとの間に楔隙間を形成する円周面2aを備えている。
保持器4は円筒状をなし、ローラ3を収容する複数(例えば10個)の窓形のポケット4aと、円周方向に一つの突壁部4bを備える。この突壁部4bの円周方向両側には後述する第二の弾性部材5Bの係合部5B1,5B2が係合される(図1参照)。
弾性部材5A,5Bは、図1に示すように、何れも帯板材(例えばステンレス鋼等の金属製とする)を丸めて形成した有端リング状の板ばねで形成することができる。第二の弾性部材5Bは第一の弾性部材5Aの内径側に配置されている。
図1に示すように、外径側に位置する第一の弾性部材5Aの両端部には、外径側に屈曲させた第一の爪部5A11,5A21が形成される。この第一の爪部5A11,5A21は、入力トルクの作用時および開放時において、一方が外輪1と係合し、他方が静止側部材7と係合する。具体的には、図示のように外輪1に係止部1Afを形成すると共に、静止側部材7に係止部7aを形成し、さらに図示のように外輪1が中立状態にある時に係止部1Af,7aの円周方向の位相を一致させ、この係止部1Af,7aの円周方向両側に第一の爪部5A11,5A21を弾性的に当接させる。
これにより、外輪1が正逆何れの方向に回転した場合でも、一方の爪部が外輪1に、他方の爪部が静止側部材7にそれぞれ係合するので、外輪1の回転に伴って第一の爪部5A11,5A21間の円周方向の間隔を押し広げ、第一の弾性部材5Aに弾性力を蓄積することができる。外輪1に作用する回動力(入力トルク)が解除されると、第一の弾性部材5Aの弾性復元力により、外輪1が中立状態に復帰する。
さらに、この第一の弾性部材5Aは、前述した第一の爪部5A11,5A21と共に、静止側部材7に係合し、かつ、その静止側部材7からの離脱を防止する第二の爪部5A12,5A22とを有する。つまり、第一の弾性部材5Aは、図2(a)(b)に示すように板ばねの端部を板幅方向に二分割し、一方を外径方向に屈曲させて第一の爪部5A11,5A21とし、他方を内径方向に延出させて第二の爪部5A12,5A22としている。第一の爪部5A11,5A21は、外輪1の係止部1Afと静止側部材7の係止部7aにその円周方向外側から係合するのに対して、第二の爪部5A12,5A22は、静止側部材7の係止部7aにその径方向内側から係合する。
このように第一の爪部5A11,5A21に加えて第二の爪部5A12,5A22を有することから、外輪1からの入力トルクの作用時、第二の爪部5A12,5A22によって第一の弾性部材5Aが静止側部材7から外径側へ外れることを未然に防止することができ、その第一の弾性部材5Aが静止側部材7に係合した状態を確実に保持できる。
つまり、図3に示すように外輪1が図中時計方向に回転する際に、外径側に配置された第一の弾性部材5Aが拡径しようとする。この時、第一の爪部5A11が静止側部材7の係止部7aを乗り越えようとしても、第二の爪部5A12によって第一の爪部5A11が係止部7aを乗り越えることを阻止するため、第一の弾性部材5Aが外径側へ外れてしまうことはない。
その結果、入力トルクの開放時に、第一の弾性部材5Aが静止側部材7に確実に係合しているため、第一の弾性部材5Aの弾性力を減少させることなく、確実に外輪1に作用させることができるので、第二の弾性部材5Bの弾性力だけでなく、第一の弾性部材5Aの弾性力も確保できることから、外輪1を中立状態に速やかに復帰させることができる。
なお、第一の弾性部材5Aは、前述の場合、板ばねの端部を板幅方向に二分割することにより第二の爪部5A12,5A22を一体的に形成したが、板ばねの端部を全幅に亘って外径方向に屈曲させて第一の爪部とし、板ばねの端部に別体の帯板材を溶接などにより固着することで第二の爪部を内径方向に延出させた構造とすることも可能である。
内径側に位置する第二の弾性部材5Bの両端部には、内径側に屈曲させた爪部5B1,5B2が形成される。この爪部5B1,5B2は、第一の弾性部材5Aにおける第一の爪部5A11,5A21に対して円周方向の位相をずらせて(例えば90°程度の位相差を持たせて)配置している。両爪部5B1,5B2は、図4に示すようにそれぞれ保持器4の端部周縁を切り欠いた箇所に形成した突壁部4bに係合される。保持器4が中立状態にある時、両爪部5B1,5B2は、それぞれ突壁部4bの側面4b1,4b2と弾性的に係合し、かつ、静止側部材7に形成された係止部7bと弾性的に係合している。
この状態から、保持器4が正逆何れの方向に回転した場合でも、第二の弾性部材5Bの一方の爪部が保持器4の突壁部4bに、他方の爪部が静止側部材7の係止部7bにそれぞれ係合するため、保持器4の回転に伴って爪部5B1,5B2間の円周方向の間隔が押し広げられ、第二の弾性部材5Bに弾性力が蓄積される。保持器4に作用する回動力が解除されると、第二の弾性部材5の弾性復元力によって、保持器4が復帰力を受けて中立状態に復帰する。
第二の弾性部材5Bの爪部5B1,5B2が押し広げられた場合、爪部5B1,5B2の近傍では弾性部材5Bの変形量が大きくなるため、この変形部が外径側の第一の弾性部材5Aと干渉するおそれがある。これを回避するため、第二の弾性部材5Bのうち、爪部5B1,5B2の近傍には、例えば図示のように円弧に対して弦を描くような直線状とした逃げ部5B3を形成している。
以上の組付けにより、図6に示すように外輪1および保持器4が弾性部材5A,5Bを介して静止側部材7とそれぞれ連結される。この実施形態のクラッチユニットの動作を図6〜図8を参照しながら説明する。なお、図6〜図8において、第一および第二の弾性部材5A,5B、並びに静止側部材7は模式化され、概念的に示されている。
図6はクラッチユニットの中立状態を示す。この中立状態において、ローラ3はカム面1Aaの中央部に位置し、カム面1Aaと円周面2aとの間に形成される正逆両方向の楔隙間からそれぞれ離脱する。ローラ3の直径は、カム面1Aaの中央部と円周面2aとの間の半径方向距離よりも若干小さく設定されており、ローラ3とカム面1Aaの中央部および円周面2aとの間には半径方向隙間がある。
図7は外輪1に入力トルクを入力した時の状態を示す。例えば、同図において、外輪1に反時計方向の入力トルクが入力されると、外輪1の回動に伴い、カム面1Aaがローラ3に対して反時計方向に相対移動して、ローラ3が楔隙間に係合する(噛み込む)。保持器4は、第二の弾性部材5Bにより静止側部材7と共に静止しようとするので外輪1の相対移動が可能となる。
これにより、外輪1と内輪2がロックされるので、外輪1からの入力トルクがローラ3を介して内輪2に伝達され、外輪1、ローラ3、保持器4および内輪2が一体となって反時計方向に回動する。なお、この回動の最大量は、静止側部材7のストッパ部と外輪1のストッパ爪1Afとの当接によって規制される。そして、上述のように外輪1および保持器4の回動に伴って両弾性部材5A,5Bが撓み、その撓み量に応じた弾性力がそれぞれに蓄積される。
図8は外輪1からの入力トルクを開放した時の状態を示す。この場合、第一の弾性部材5Aに蓄積された弾性力によって外輪1に時計方向の弾性復元力が働き、外輪1が時計方向に回転して図6に示す中立状態に復帰する。同時に第二の弾性部材5Bに蓄積された弾性復元力によって、保持器4に時計方向の回動力が働き、ローラ3が保持器4に押されて保持器4と共に中立状態に復帰する。この際、ローラ3がカム面1Aaを押圧するため、外輪1は第一の弾性部材5Aの弾性復元力のみならず、第二の弾性部材5Bからの弾性復元力fによっても中立状態に復帰する。
なお、図6〜図8において、外輪1に時計方向の入力トルクが入力された場合も、前述と同様の動作を行う(動作の向きは逆)。また、内輪側から入力トルクを入力する構成とすることもでき、その場合、内輪の外周にカム面を設け、外輪の内周に円周面を設ければよい。
図9は自動車の乗員室に装備される座席シート10を示す。座席シート10は着座シート10aと背もたれシート10bとで構成され、着座シート10aの高さHを調整するシートリフタ部11などを備えている。着座シート10aの高さHの調整はシートリフタ部11の操作レバー11aによって行うが、前述の実施形態のクラッチユニットは、例えばシートリフタ部11に組込まれる。
図10(a)はシートリフタ部11の一構造例を概念的に示す。シートスライドアジャスタ11bのスライド可動部材11b1にリンク部材11c,11dの一端がそれぞれ回動自在に枢着される。リンク部材11c,11dの他端はそれぞれ着座シート10aに回動自在に枢着される。リンク部材11cの他端はリンク部材11eを介してセクターギヤ11fに回動自在に枢着される。セクターギヤ11fは着座シート10aに回動自在に枢着され、支点11f1回りに揺動可能である。リンク部材11dの他端は着座シート10aに回動自在に枢着される。実施形態のクラッチユニットXは、着座シート10aの適宜の部位に固定され、その外輪1に例えば樹脂製の操作レバー11aが結合され、内輪2にセクターギヤ11fと噛合するピニオンギヤ11gが連結される。
例えば、図10(b)において、操作レバー11aを反時計方向(上側)に揺動操作すると、その方向の入力トルクがクラッチユニットXを介してピニオンギヤ11gに伝達され、ピニオンギヤ11gが反時計方向に回動する。そして、ピニオンギヤ11gと噛合するセクターギヤ11fが時計方向に揺動して、リンク部材11cの他端をリンク部材11eを介して引っ張る。その結果、リンク部材11cとリンク部材11dが共に起立して、着座シート10aの座面が高くなる。
このようにして、着座シート10aの高さHを調整した後、操作レバー11aを開放すると、操作レバー11aが第一および第二の弾性部材5A,5Bの弾性復元力によって時計方向に回動して元の位置(中立状態)に戻る。なお、操作レバー11aを時計方向(下側)に揺動操作した場合は、上記とは逆の動作によって、着座シート10aの座面が低くなる。また、高さ調整後に操作レバー11aを開放すると、操作レバー11aが反時計方向に回動して元の位置(中立状態)に戻る。
本発明に係るクラッチユニットの実施形態で、第一の弾性部材と第二の弾性部材の装着状態を概略的に示す正面図である。 図1のクラッチユニットにおける第一の弾性部材で、(a)は平面図、(b)は正面図である。 図1の状態から外輪を時計方向に回転させた状態を示す正面図である。 図1のクラッチユニットにおける保持器を示す斜視図である。 (a)は図1のクラッチユニットの全体構成を示す上部断面を含む正面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。 図5のクラッチユニットの動作を概念的に説明する断面図である。 図5のクラッチユニットの動作を概念的に説明する断面図である。 図5のクラッチユニットの動作を概念的に説明する断面図である。 自動車の座席シートを示す概念図である。 (a)はシートリフタ部の一構造例を示す概念図、(b)はその要部拡大図である。 クラッチユニットの従来例で、第一の弾性部材と第二の弾性部材の装着状態を概略的に示す正面図である。 図11のクラッチユニットにおける第一の弾性部材で、(a)は平面図、(b)は正面図である。 図11の状態から外輪を時計方向に回転させた状態を示す正面図である。
符号の説明
1 入力側部材(外輪)
2 出力側部材(内輪)
3 トルク伝達部(ローラ)
4 保持器
5A 第一の弾性部材
5A11,5A21 第一の爪部
5A12,5A22 第二の爪部

Claims (4)

  1. トルクが入力される入力側部材と、トルクが出力される出力側部材と、入力側部材からの入力トルクで出力側部材を回転させるトルク伝達部と、回転が拘束された静止側部材と、前記入力側部材と静止側部材の間に設けられ、入力側部材からの入力トルクで弾性力を蓄積し、入力トルクの開放により、蓄積された弾性力で入力側部材を中立状態に復帰させる有端リング状の板ばねからなる第一の弾性部材とを具備したクラッチユニットにおいて、前記第一の弾性部材は、入力側部材に係合する第一の爪部と、前記静止側部材に係合し、かつ、前記入力側部材からの入力トルクによる拡径時に前記静止側部材からの離脱を防止する第二の爪部とを前記板ばねの端部に形成したことを特徴とするクラッチユニット。
  2. 前記第一の弾性部材は、前記板ばねの端部を板幅方向に二分割し、一方を外径方向に屈曲させて第一の爪部とし、他方を内径方向に延出させて第二の爪部とした請求項に記載のクラッチユニット。
  3. 前記第一の弾性部材は、前記板ばねの端部を全幅に亘って外径方向に屈曲させて第一の爪部とし、前記板ばねの端部に第二の爪部を別体で内径方向に延出させた請求項に記載のクラッチユニット。
  4. 自動車用シートリフタ部に組み込まれている請求項1〜のいずれか一項に記載のクラッチユニット。
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