JP2006189139A - クラッチユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】 簡便な手段により、出力軸の急激な空転を防止すると共に、操作レバーの作動トルクを小さくし得るクラッチユニットを提供する。
【解決手段】 トルクが入力される保持器14と、トルクが出力される出力軸22と、回転が拘束された外輪21と、その外輪21と出力軸22間のすきまに配設され、両部材間での係合・離脱により保持器14からの入力トルクの伝達と出力軸22からの逆入力トルクの遮断を制御するローラ24とを備え、前記出力軸22との接触によりその出力軸22に制動力を付与する摩擦リング28を静止側との間に配設し、前記摩擦リング28の出力軸22との接触・非接触を切り替える切替手段として押え部材29およびピン36を設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】 トルクが入力される保持器14と、トルクが出力される出力軸22と、回転が拘束された外輪21と、その外輪21と出力軸22間のすきまに配設され、両部材間での係合・離脱により保持器14からの入力トルクの伝達と出力軸22からの逆入力トルクの遮断を制御するローラ24とを備え、前記出力軸22との接触によりその出力軸22に制動力を付与する摩擦リング28を静止側との間に配設し、前記摩擦リング28の出力軸22との接触・非接触を切り替える切替手段として押え部材29およびピン36を設ける。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば、自動車の座席シートを調整するシートリフタ部などに組み込まれ、入力側からの回転トルクのみを出力側へ伝達する一方、出力側からの逆入力トルクを遮断して入力側へ伝達しない逆入力遮断機能を具備したクラッチユニットに関する。
一般に、ローラやボール等の係合子を用いるクラッチユニットにおいては、入力側部材と出力側部材との間にクラッチ部が配設されるが、このクラッチ部は、前述の入力側部材と出力側部材間に形成される楔すきまにローラやボール等の係合子を係合・離脱させることによって、入力トルクの伝達・遮断を制御する構成になっている。このクラッチユニットには、入力側からの回転トルクを出力側へ伝達する一方、出力側からの逆入力トルクを遮断して入力側へ伝達しない逆入力遮断機能を具備したものがある(例えば、特許文献1参照)。
図16はその特許文献1に開示されたクラッチユニットを例示する。このクラッチユニットは、ロック型と称されるタイプの逆入力遮断クラッチ部を具備する。このクラッチ部1は、入力側回転部材としての保持器2と、出力側回転部材としての出力軸3と、静止側部材としての外輪4と、外輪4の内径面と出力軸3の外径面との間に配設され、両者間での係合・離脱により保持器2からの入力トルクの伝達と出力軸3からの逆入力トルクの遮断を制御する一対の係合子としてのローラ5と、図17に示すように一対のローラ5間に介挿され、それらローラ5同士に離反力を付勢する弾性部材としての断面N字形の板ばね6とで主要部が構成されている。
図17に示すように前述の出力軸3の外径面には、外輪4の内径面4aとの間に正逆両回転方向に対称な楔すきまを形成した多角形のカム面3aが円周方向等間隔に形成されている。この出力軸3のカム面3aと外輪4の内径面4aの間に配置された保持器2には、その軸方向に開放した凹状のポケット8が円周方向等間隔に形成され、その開放側に端部部材である固定側板7が配置されている。これら各ポケット8に一対のローラ5が収容配置されると共にそのローラ5同士に離反力を付勢する板ばね6がローラ5間に介挿されている。一方、出力軸3には、複数のピン孔3bが円周所定間隔に形成され、これらピン孔3bに保持器2のピン2bがすきまmを介して挿入されて回り止め構造でもって連結されている。
このような構成からなるクラッチ部1では、入力トルクが保持器2に作用していない状態(図17参照)で、出力軸3からの逆入力トルクが作用すると、その出力軸3と外輪4の間に介在したローラ5が、そのローラ5同士に離反力を付勢する板ばね6により出力軸3と外輪4の間で係合してロックされる。これによって前述の逆入力トルクは、入力側回転部材である保持器2に伝達されずに遮断される。
一方、入力トルクが保持器2に入力されると、保持器2は回転しようとする。この時、図18に示すように出力軸3のカム面3aと外輪4の内径面4aとの間で楔係合している一対のローラ5のうち、回転方向後方に位置する一方(図中左側)のローラ5を保持器2が板ばね6の弾性力に抗して回転方向前方へ押圧する。これにより、そのローラ5が楔すきまから離脱し、ローラ5による出力軸3と外輪4の間でのロック状態が解除される。
さらに、保持器2が回転し、図19に示すように保持器2のピン2bが出力軸3のピン孔3bに接触することにより、その保持器2がピン2bを介して出力軸3と連結されて保持器2からの入力トルクは出力軸3に伝達され、出力軸3は保持器2と共に回転を始める。
前述したクラッチユニットは、例えば、レバー操作により座面を上下動させる自動車用座席シートのシートリフタ部である座面調整機構部に組み込まれて使用される。このシートリフタ部では、クラッチユニットの入力側部材が操作レバーに連結され、その出力側部材が座面を上下動させる回転部材に連結されており、その操作レバーを操作することにより、座面調整が可能となっている。
特開2002−178807号公報
ところで、前述したクラッチユニットのクラッチ部1では、保持器2が回転方向後方に位置する一方のローラ5を板ばね6の弾性力に抗して回転方向前方へ押圧するロック解除状態(図18参照)から、保持器2のピン2bが出力軸3のピン孔3bに接触して出力軸3が回転開始する出力軸回転状態(図19参照)へ移行する間も、保持器2のピン2bと出力軸3のピン孔3b間にすきまm’が存在する(図18参照)。
この時、保持器2の回転方向(図中時計方向)と逆方向(図中反時計方向)に回転力が出力軸3に加わると、前述したように保持器2のピン2bと出力軸3のピン孔3b間にすきまm’が存在することから、出力軸3が保持器2に対してその回転力方向(反時計方向)に空転してしまう。
この状態は、クラッチユニットを自動車用座席シートのシートリフタ部に組み込んだ状況では、搭乗者が座席シートに乗ったまま、その座面を上げようと操作レバー(入力側の保持器2)を作動させた際に、わずかな量ではあるが、一瞬だけ座面(出力軸3)が急激に下がり、搭乗者に不快感を与えることになる。
この出力軸3の空転を抑止するため、図20に示すように固定側板7に摩擦部材である摩擦リング9を取り付け、かつ、出力軸3の内径面3cに圧入した構造を採用している。この摩擦リング9の外径面9cが出力軸3の内径面3cと接触する摩擦抵抗により、出力軸3の急激な空転を未然に防止するようにしている。なお、操作レバーの作動中は、摩擦リング9の外径面9cと出力軸3の内径面3cが常に滑り運動状態にある。
近年、自動車用座席シートのシートリフタ部に組み込まれるクラッチユニットへの要求機能が厳しくなってきており、操作レバーの作動性重視(低トルク要求)と座面からの重荷重に対してスムーズに座席シートの座面を上下動させることが求められてきている。この要求に対して、前述した摩擦リング9を取り付けた構造では、以下の点で対応が難しくなってきている。
つまり、操作レバーの作動トルクを下げる目的で、摩擦リング9の外径面9cと出力軸3の内径面3cとの摩擦係数を小さくしてしまうと、座席シートの座面からの重荷重による出力軸3の空転(座面の急激な下がり)が発生し易くなる。逆に、出力軸3の急激な空転を防止する目的で、摩擦リング9の外径面9cと出力軸3の内径面3cとの摩擦係数を大きくしてしまうと、操作レバーの作動トルクが高くなるという問題があった。
そこで、本発明は前述の問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、簡便な手段により、出力軸の急激な空転を防止すると共に、操作レバーの作動トルクを小さくし得るクラッチユニットを提供することにある。
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、トルクが入力される入力側部材と、トルクが出力される出力側部材と、回転が拘束された静止側部材と、その静止側部材と出力側部材間のすきまに配設され、両部材間での係合・離脱により入力側部材からの入力トルクの伝達と出力側部材からの逆入力トルクの遮断を制御する係合子とを備え、前記出力側部材との接触によりその出力側部材に制動力を付与する摩擦部材を静止側との間に配設し、前記摩擦部材の出力側部材との接触・非接触を切り替える切替手段を設けたことを特徴とする。
本発明に係るクラッチユニットでは、摩擦部材を出力側部材に接触させることによりその出力側部材に制動力を付与し、出力側部材の空転を抑止するが、この摩擦部材の出力側部材との接触・非接触を切り替える切替手段を設けたことから、出力側部材に制動力を付与するタイミングを制御できる。その結果、静止側部材と出力側部材間で係合子が離脱した状態で、かつ、出力側部材の空転を抑止しなければならない時、切替手段により摩擦部材を出力側部材に接触させることによりその出力側部材に制動力を付与して出力側部材の空転を抑止できる。
前述の構成における摩擦部材としては、スリットが形成された弾性変形可能な傘形状の摩擦リング、あるいはスリットが形成された弾性変形可能な帯板形状の摩擦リングを使用することが望ましい。このような形態を有する摩擦リングを使用すれば、その摩擦リングの弾性変形でもって出力側部材との接触・非接触を確保することができる。
また、前述の構成における切替手段としては、入力側部材の回転と連動して回転するピンと、そのピンが当接するカム面が形成され、前記摩擦部材を弾性変形させるための押圧力をその摩擦部材に作用させる押え部材とで構成することが望ましい。このような構成からなる切替手段を使用すれば、入力側部材の回転と連動するピンを押え部材のカム面に当接させることにより、摩擦部材の出力側部材との接触・非接触を切り替えるタイミングを容易に制御することができる。
本発明に係るクラッチユニットは、自動車用シートリフタ部に組み込まれて使用される。その場合、入力側部材が操作レバーに結合され、出力側部材が自動車用シートリフタ部の回転部材に連結された構造となる。このクラッチユニットを自動車用シートリフタ部に組み込んだ場合、出力側部材の急激な空転によるシート座面の瞬間的な降下を防止できると共に、操作レバーの作動トルクを小さくすることができ、シートリフタ部で安定した動作を確保できると共にレバー操作性の向上が図れる。
本発明によれば、出力側部材との接触によりその出力側部材に制動力を付与する摩擦部材を静止側との間に配設し、前記摩擦部材の出力側部材との接触・非接触を切り替える切替手段を設けたことにより、その切替手段でもって摩擦部材により出力側部材に制動力を付与するタイミングを制御できる。
その結果、静止側部材と出力側部材間で係合子が離脱した状態で、かつ、出力側部材の空転を抑止しなければならない時、切替手段により摩擦部材を出力側部材に接触させることによりその出力側部材に制動力を付与して出力側部材の空転を抑止できる。
このようにして、クラッチユニットにおいて安定した動作を確保することができると共に、静止側部材と出力側部材間で係合子が離脱した状態で、かつ、出力側部材の空転を抑止しなければならない時以外では、摩擦部材が出力側部材に非接触状態であることから、作動トルクの低減化が図れる。
図1〜図3は本発明の実施形態におけるクラッチユニットの全体構成を示す。この実施形態のクラッチユニットは、入力側に設けられた第一クラッチ部11(図2参照)と、出力側に設けられた逆入力遮断機能の第二クラッチ部12(図3参照)とを具備する。
第一クラッチ部11は、図1および図2に示すように入力側部材としての外輪13と、出力側部材としての内輪14と、係合子としての例えば複数のローラ15と、ローラ15を保持する保持器16と、二種類の弾性部材17,18とを有する。
外輪13の内周には、複数のカム面13aが円周方向等間隔に形成されている。内輪14は、その外径に外輪13のカム面13aとの間に楔すきま20を形成する外周面14aを備えている。保持器16は、ローラ15を収容する複数のポケット19を有する。弾性部材17,18は、何れも帯板材を丸めて形成した有端リング状の板ばねであり、一方の弾性部材17は他方の弾性部材18の外径側に配置されている。
なお、外径側に位置する弾性部材17は、外輪13と静止側部材である第二クラッチ部12の外輪21の間に配設され、外輪13から入力トルクが作用する回転時、弾性力が蓄積され、その入力トルクがなくなると、弾性復元力により外輪13が中立状態に復帰する。また、内径側に位置する弾性部材18は、保持器16と外輪21の間に配設され、外輪13からの入力トルクの作用時、保持器16の回転により弾性力が蓄積され、その入力トルクがなくなると、弾性復元力により保持器16が中立状態に復帰する。
一方、ロック型と称されるタイプで逆入力遮断機能を有する第二クラッチ部12は、図1および図3に示すように第一クラッチ部11の内輪14が入力側回転部材として機能する保持器(以下、第二クラッチ部12では、保持器14とする)と、出力側回転部材としての出力軸22と、静止側部材としての外輪21と、外輪21と出力軸22間のすきまに配設され、両者間での係合・離脱により保持器14からの入力トルクの伝達と出力軸22からの逆入力トルクの遮断を制御する一対の係合子としてのローラ24と、一対のローラ24間に介挿され、それらローラ24同士に離反力を付勢する弾性部材としての断面N字形の板ばね25とで主要部が構成されている。
図3に示すように前述の出力軸22の外径面には、外輪21の内周面21aとの間に正逆両回転方向に対称な楔すきま26を形成した多角形のカム面22aが円周方向等間隔に形成されている。この出力軸22と外輪21の間に配置された保持器14には、その軸方向に開放した凹状のポケット23が円周方向等間隔に形成され、その開放側に端部部材である固定側板27が配置されている。これら各ポケット23に一対のローラ24が収容配置されると共にそのローラ24同士に離反力を付勢する板ばね25がローラ24間に介挿されている。
一方、出力軸22には、複数のピン孔22bが円周所定間隔に形成され、これらピン孔22bに保持器14のピン14bがすきまmを介して挿入されて回り止め構造でもって連結されている。さらに、外輪21には、第一クラッチ部11の弾性部材17,18と係合する係止部(図示せず)がそれぞれ形成されている。
前述の第一クラッチ部11では、外輪13に入力トルクが作用すると、ローラ15が楔すきま20に係合し、そのローラ15を介して内輪14にトルクが伝達されて内輪14が回動する。この時、外輪13および保持器16の回動に伴って両弾性部材17,18に弾性力が蓄積される。その入力トルクがなくなると、弾性部材17,18の弾性力により外輪13および保持器16が中立状態に復帰する一方で、内輪14は、与えられた回動位置をそのまま維持する。従って、この外輪13の回動繰り返しにより、内輪14に回動量が重畳的に蓄積される。
一方、第二クラッチ部12では、入力トルクが保持器14に作用していない状態で、出力軸22から逆入力トルクが入力されると、その出力軸22と外輪21の間に介在したローラ24が、そのローラ24同士に離反力を付勢する板ばね25により出力軸22と外輪21間の楔すきま26と係合してロックされる(背景技術における図17の状態に相当する)。従って、出力軸22からの逆入力トルクは、第二クラッチ部12によってロックされて第一クラッチ部11への逆入力トルクの還流が遮断される。
一方、外輪13からの入力トルクが第一クラッチ部11を介して保持器14に入力され、保持器14は回転しようとする。この時、出力軸22のカム面22aと外輪21の内径面21aとの間で楔係合している一対のローラ24のうち、回転方向後方に位置する一方のローラ24を保持器14が板ばね25の弾性力に抗して回転方向前方へ押圧する。これにより、そのローラ24が楔すきま26から離脱し、ローラ24による出力軸22と外輪21の間でのロック状態が解除される(背景技術における図18の状態に相当する)。
さらに、保持器14が回転し、保持器14のピン14bが出力軸22のピン孔22bに接触することにより、その保持器14のピン14bを介して出力軸22と連結されて保持器14からの入力トルクが出力軸22に伝達され、出力軸22が保持器14と共に回転を始める(背景技術における図19の状態に相当する)。なお、保持器14からの入力トルクがなくなると、板ばね25の弾性復元力によって中立状態に復帰する。
ここで、保持器14が回転方向後方に位置する一方のローラ24を板ばね25の弾性力に抗して回転方向前方へ押圧するロック解除状態(背景技術における図18の状態に相当する)から、保持器14のピン14bが出力軸22のピン孔22bに接触して出力軸22が回転開始する出力軸回転状態(背景技術における図19の状態に相当する)へ移行する間も、保持器14のピン14bと出力軸22のピン孔22b間にすきま(図18におけるm’)が存在する。
この時、保持器14の回転方向(図中時計方向)と逆方向(図中反時計方向)に回転力が出力軸22に加わると、前述したように保持器14のピン14bと出力軸22のピン孔22b間にすきま(図18におけるm’)が存在することから、出力軸22が保持器14に対してその回転力方向(反時計方向)に空転してしまうことになる。
そこで、この出力軸22の空転を未然に防止するため、第二クラッチ部12では、固定側板27の内側に、出力軸22に制動力を付与する摩擦部材である摩擦リング28とその摩擦リング28の径寸法をその弾性変形により変化させるための押え部材29を配設する。この摩擦リング28の外径面28cが出力軸22の内径面22cと接触する摩擦抵抗により、出力軸22の急激な空転を未然に防止する。
ここで、出力軸22の急激な空転を防止する目的で、摩擦リング28の外径面28cと出力軸22の内径面22cとの摩擦係数を大きくしてしまうと、操作レバーの作動トルクが高くなり、逆に、操作レバーの作動トルクを下げる目的で、摩擦リング28の外径面28cと出力軸22の内径面22cとの摩擦係数を小さくしてしまうと、座席シートの座面からの重荷重による出力軸22の空転(座面の急激な下がり)が発生し易くなる。
このことから、出力軸22の急激な空転を防止すると共に操作レバーの作動トルクを小さくするため、操作レバーの作動に連動して押え部材29を軸方向に移動させることにより、その押え部材29による押圧力の作用・非作用でもって摩擦リング28の径寸法をその弾性変形により変化させ、摩擦リング28の外径面28cと出力軸22の内径面22cとの接触・非接触を切り替える。
図4(a)(b)は出力軸22に制動力を付与する摩擦リング28の一例で、図5はその摩擦リング28に押え部材29により押圧力を作用させた状態、図6は押え部材29による押圧力を摩擦リング28から作用させていない状態をそれぞれ示す。また、図7(a)(b)は摩擦リング28’の他例で、図8はその摩擦リング28’に押え部材29により押圧力を作用させた状態、図9は押え部材29による押圧力を摩擦リング28’から作用させていない状態をそれぞれ示す。
これら摩擦リング28,28’は、鋼、樹脂またはゴム等からなり、ある程度弾性率の高い材質を使用し、その外径面28c,28c’の摩擦係数を高くする。図4(a)(b)に示す摩擦リング28は円錐台形状を有し、図7(a)(b)に示す摩擦リング28’は環状帯板形状を有する。これら摩擦リング28,28’は、一部に径方向に沿うスリット28a,28a’を設けることにより、その弾性変形でもって径寸法の変化が容易な構造となっている。
それぞれの摩擦リング28,28’は、図5および図8に示すように押え部材29による押圧でもって弾性変形し、図6および図9に示すように押え部材29による押圧を解除すると、その弾性変形が緩和される。弾性変形中の摩擦リング28,28’の外径寸法をD1とし、緩和後の外径寸法をD2とすると、φD1>φD2となる。
図10(a)(b)は摩擦リング28,28’の径寸法を変化させるための押圧部材29の一例を示す。この押圧部材29は、一方の幅面に、この押圧部材29を押圧するピン36(後述)の軌道に合う円周位置にカム面30が形成されている。このカム面30は、山面30aと谷面30bを180°対向位置に設けると共にその山面30aと谷面30b間に両者を繋ぐ傾斜面30cを設けた形態をなしている。
なお、この押圧部材29の一方の幅面には、二つの凸部31が径方向に形成され、その凸部31を固定側板27の係合孔32と回転方向に係合させることにより、摩擦リング28,28’の固定側板27に対する相対回転を防止すると共に、押圧部材29自身の相対回転も防止する。
図11(a)(b)は前述の押圧部材29を軸方向に移動させるための手段を示す。その手段としては、外輪13に連結された可動側板33から軸方向に沿ってアーム部34を延設し、そのアーム部34の先端から径方向に伸びる支柱35の先端にピン36を軸方向に突設した構造を具備する。なお、前述の押え部材29とピン36でもって、摩擦リング28,28’の出力軸22との接触・非接触を切り替える切替手段を構成している。
このピン36は前述の押圧部材29のカム面30に摩擦リング28の弾性力でもって当接した状態となっている。可動側板33に取り付けられた操作レバーを作動することにより、ピン36が回転軸を中心にして円周方向に同期回転する。なお、固定側板27には、ピン36の回転軌道に干渉しないようにそのピン36が固定側板27を貫通する溝孔37が設けられている。
次に、前述した摩擦リング28、押圧部材29およびピン36の作動状態を図12および図13に基づいて説明する。なお、図示と動作説明は、図4(a)(b)の摩擦リング28を使用した場合である。
まず、操作レバーを作動させていない状態、つまり、入力トルクが保持器14に作用していない状態では、出力軸22と外輪21の間に介在したローラ24が、そのローラ24同士に離反力を付勢する板ばね25により出力軸22と外輪21間の楔すきま26と係合してロックされた状態となっている(背景技術における図17の状態に相当する)。また、操作レバーの作動開始直後の状態、つまり、入力トルクにより保持器14が回転し始め、ローラ24が楔すきま26から離脱して出力軸22のロック状態が解除される(背景技術における図18の状態に相当する)。
これら操作レバーを作動させていない状態、または操作レバーの作動開始直後の状態では、図12に示すようにピン36が押圧部材29のカム面30の山面30aに当接することから、その押圧部材29が軸方向に移動して摩擦リング28を押圧する。この押圧部材29による押圧でもって摩擦リング28が弾性変形してその外径が大きくなることにより、摩擦リング28の外径面28cと出力軸22の内径面22cとが所定の摩擦抵抗でもって接触する。この摩擦リング28が出力軸22と接触することにより、出力軸22の空転を抑止する。
さらに、操作レバーを作動させた状態(背景技術における図19の状態に相当する)、つまり、保持器14がさらに回転し、出力軸22が保持器14と共に回転を始めると、図13に示すように操作レバーの作動に伴うピン36の回転によりそのピン36が押圧部材29のカム面30の谷面30bに当接することから、押圧部材29がピン36によって軸方向に押圧されない。この押圧部材29による押圧がないことで摩擦リング28が弾性変形から緩和され、その摩擦リング28の外径が小さくなることから、摩擦リング28の外径面28cと出力軸22の内径面22cが非接触状態となる。その結果、操作レバーの作動トルクを低くすることができる。
以上で詳述した構造を具備するクラッチユニットは、例えば自動車用シートリフタ部に組み込まれて使用される。図14は自動車の乗員室に装備される座席シート40を示す。座席シート40は着座シート40aと背もたれシート40bとで構成され、着座シート40aの高さHを調整するシートリフタ部41などを備えている。着座シート40aの高さHの調整はシートリフタ部41の操作レバー41aによって行う。
図15(a)はシートリフタ部41の一構造例を概念的に示す。シートスライドアジャスタ41bのスライド可動部材41b1にリンク部材41c,41dの一端がそれぞれ回動自在に枢着される。リンク部材41c,41dの他端はそれぞれ着座シート40aに回動自在に枢着される。リンク部材41cの他端はリンク部材41eを介してセクターギヤ41fに回動自在に枢着される。セクターギヤ41fは着座シート40aに回動自在に枢着され、支点41f1回りに揺動可能である。リンク部材41dの他端は着座シート40aに回動自在に枢着される。実施形態のクラッチユニットXは、着座シート40aの適宜の部位に固定され、可動側板33を介して入力側部材である外輪13に例えば樹脂製の操作レバー41aが結合され、出力側部材である出力軸22にセクターギヤ41fと噛合するピニオンギヤ41gが連結される。
例えば、図15(b)において、操作レバー41aを反時計方向(上側)に揺動操作すると、その方向の入力トルクがクラッチユニットXを介してピニオンギヤ41gに伝達され、ピニオンギヤ41gが反時計方向に回動する。そして、ピニオンギヤ41gと噛合するセクターギヤ41fが時計方向に揺動して、リンク部材41cの他端をリンク部材41eを介して引っ張る。その結果、リンク部材41cとリンク部材41dが共に起立して、着座シート40aの座面が高くなる。
このようにして、着座シート40aの高さHを調整した後、操作レバー41aを開放すると、操作レバー41aが弾性部材17,18の弾性力によって時計方向に回動して元の位置(中立状態)に戻る。なお、操作レバー41aを時計方向(下側)に揺動操作した場合は、上記とは逆の動作によって、着座シート40aの座面が低くなる。また、高さ調整後に操作レバー41aを開放すると、操作レバー41aが反時計方向に回動して元の位置(中立状態)に戻る。
14 入力側部材(保持器)
21 静止側部材(外輪)
22 出力側部材(内輪)
24 係合子(ローラ)
25 弾性部材(板ばね)
28 摩擦部材(摩擦リング)
29 切替手段(押圧部材)
30 カム面
36 切替手段(ピン)
21 静止側部材(外輪)
22 出力側部材(内輪)
24 係合子(ローラ)
25 弾性部材(板ばね)
28 摩擦部材(摩擦リング)
29 切替手段(押圧部材)
30 カム面
36 切替手段(ピン)
Claims (6)
- トルクが入力される入力側部材と、トルクが出力される出力側部材と、回転が拘束された静止側部材と、その静止側部材と出力側部材間のすきまに配設され、両部材間での係合・離脱により入力側部材からの入力トルクの伝達と出力側部材からの逆入力トルクの遮断を制御する係合子とを備え、前記出力側部材との接触によりその出力側部材に制動力を付与する摩擦部材を静止側との間に配設し、前記摩擦部材の出力側部材との接触・非接触を切り替える切替手段を設けたことを特徴とするクラッチユニット。
- 前記摩擦部材は、スリットが形成された弾性変形可能な傘形状の摩擦リングとした請求項1に記載のクラッチユニット。
- 前記摩擦部材は、スリットが形成された弾性変形可能な帯板形状の摩擦リングとした請求項1に記載のクラッチユニット。
- 前記切替手段は、入力側部材の回転と連動して回転するピンと、そのピンが当接するカム面が形成され、前記摩擦部材を弾性変形させるための押圧力をその摩擦部材に作用させる押え部材とで構成した請求項1〜3のいずれか一項に記載のクラッチユニット。
- 自動車用シートリフタ部に組み込まれている請求項1〜4のいずれか一項に記載のクラッチユニット。
- 前記入力側部材が操作レバーに結合され、前記出力側部材が自動車用シートリフタ部の回転部材に連結されている請求項5に記載のクラッチユニット。
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2005
- 2005-01-07 JP JP2005002962A patent/JP2006189139A/ja not_active Withdrawn
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