JP2000063999A

JP2000063999A - 磁気シールド用偏平状Ｆｅ基合金粉末

Info

Publication number: JP2000063999A
Application number: JP10232740A
Authority: JP
Inventors: Ginya Ishiguro; 銀矢石黒; Yasuaki Yoshioka; 康明吉岡; Kazumi Izumitani; 和美泉谷; Koichiro Morimoto; 耕一郎森本
Original assignee: Dai Nippon Printing Co Ltd; Mitsubishi Materials Corp; Nippon Telegraph and Telephone Corp
Current assignee: Dai Nippon Printing Co Ltd; Mitsubishi Materials Corp; Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date: 1998-08-19
Filing date: 1998-08-19
Publication date: 2000-02-29

Abstract

(57)【要約】【課題】各種の磁気記録装置や電子機器などを磁場や
電磁波の悪影響から保護するための磁気シールド層や磁
気シールドシートなどの形成に用いられる偏平状Ｆｅ基
合金粉末を提供する。【解決手段】原子％で窒素：５〜２５％、Ｓｉおよび
Ａｌの内の１種または２種を合計で１〜１２％、さらに
必要に応じてＣｒ：０．１〜３％を含有し、残りがＦｅ
と不可避不純物からなる組成を有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、各種の磁気記録
装置や電子機器などを磁場や電磁波の悪影響から保護す
るための磁気シールド層や磁気シールドシートなどの形
成に用いられる偏平状Ｆｅ基合金粉末に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、磁気シールド用偏平状Ｆｅ基合金
粉末として、原子％で（以下、％は原子％を示す）、Ｓ
ｉおよびＡｌの内の１種または２種を合計で１５〜３０
％を含有し、さらに必要に応じてＣｒ：２〜６％を含有
し、残りがＦｅと不可避不純物からなる組成を有し、か
つＸ線回折で体心立方型結晶構造を示すものが知られて
いる。また、上記従来の磁気シールド用偏平状Ｆｅ基合
金粉末は、その他多くのものが、実用に際して、平均厚
さ（以下、「ｄ」で示す）：０．０２〜０．６μｍ、粒
度部分布計によって求められた粒径の小さい方から重量
を累計して５０％になったときの粒径（以下、「Ｄ₅₀」
で示す）：３〜６０μｍ、アスペクト比（Ｄ₅₀／ｄ）：
２０〜５００、の粒度に調整されて使用されることも良
く知られるところである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】一方、近年の磁気記録
装置や電子機器の多機能化および小型化、さらに高出力
化はめざましく、これに伴ない、磁気シールド性能の一
段の向上、並びに磁気シールド層および磁気シールドシ
ートなどの薄肉化が要求される傾向にあり、このため、
より高い飽和磁化およびより低い保磁力を示す磁気シー
ルド用粉末の開発が望まれている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上述のような観点から、上記従来の磁気シールド用偏平
状Ｆｅ基合金粉末よりも一層高い飽和磁化および一層低
い保磁力を示す磁気シールド用粉末を得るべく研究を行
なった結果、（ａ）前記従来の磁気シールド用偏平状Ｆ
ｅ基合金粉末において、ＳｉおよびＡｌの内の１種また
は２種の合計含有量を減らし、窒素を５〜２５％を含有
せしめると、飽和磁化が一層向上すると同時に保磁力が
低下し、磁気シールド用粉末として優れた磁気シールド
性能を示す、（ｂ）前記従来の磁気シールド用偏平状Ｆ
ｅ基合金粉末において、ＳｉおよびＡｌの内の１種また
は２種の合計含有量およびＣｒの含有量を減らし、窒素
を５〜２５％を含有せしめると、飽和磁化が一層向上す
ると同時に保磁力が低下し、磁気シールド用粉末として
優れた磁気シールド性能を示す、（ｃ）粒度は従来の磁
気シールド用偏平状Ｆｅ基合金粉末と同じｄ：０．０２
〜０．６μｍ、Ｄ₅₀：３〜６０μｍ、Ｄ₅₀／ｄ：２０〜
５００の範囲に調整すればよい、という研究結果が得ら
れたのである。

【０００５】この発明は、上記の研究結果にもとづいて
なされたものであって、（１）窒素：５〜２５％、Ｓｉ
およびＡｌの内の１種または２種を合計で１〜１２％を
含有し、残りがＦｅと不可避不純物からなる組成を有す
る磁気シールド用偏平状Ｆｅ基合金粉末、（２）窒素：
５〜２５％、ＳｉおよびＡｌの内の１種または２種を合
計で１〜１２％、Ｃｒ：０．１〜３％を含有し、残りが
Ｆｅと不可避不純物からなる組成を有する磁気シールド
用偏平状Ｆｅ基合金粉末、（３）平均厚さｄ：０．０２
〜０．６μｍ、粒度部分布計によって求められた粒径の
小さい方から重量を累計して５０％になったときの粒径
Ｄ₅₀：３〜６０μｍ、アスペクト比（Ｄ₅₀／ｄ）：２０
〜５００、に調整された粒度を有する前記（１）または
（２）記載の組成を有する磁気シールド用偏平状Ｆｅ基
合金粉末、に特徴を有するものである。

【０００６】この発明の磁気シールド用偏平状Ｆｅ基合
金粉末を製造するには、ＳｉおよびＡｌの内の１種また
は２種を合計で１〜１２％を含有し、残りがＦｅと不可
避不純物からなる組成を有する水アトマイズ粉末、また
はＳｉおよびＡｌの内の１種または２種を合計で１〜１
２％、Ｃｒ：０．１〜３％を含有し、残りがＦｅと不可
避不純物からなる組成を有する水アトマイズ粉末を、窒
素を含む雰囲気中で窒化処理し、さらにこれをアトライ
タで偏平化した後、Ａｒ雰囲気中、３５０〜７５０℃の
温度に所定時間保持して焼鈍し、引続いて分級を行なっ
て、ｄ：０．０２〜０．６μｍ、Ｄ₅₀：３〜６０μｍ、Ｄ₅₀／ｄ：２０〜５００、に粒度調整することにより製造することができる。

【０００７】つぎに、この発明の偏平状Ｆｅ基合金粉末
の組成を上記の通りに限定した理由を説明する。（ａ）窒素窒素には、偏平化時に飽和磁化を大きく低下させずに硬
度を上げ、歪感受性を低下させる作用を有するところか
ら、偏平化時に保磁力を増大させない作用があるが、そ
の含有量が５％未満では所望の低い保磁力が得られない
ため、すぐれた磁気シールド性能を確保することができ
ない。一方その含有量が２５％を越えると飽和磁化が急
激に低下する。従って、この発明の偏平状Ｆｅ基合金粉
末に含まれる窒素は５〜２５％（望ましくは１０〜２２
％、さらに望ましくは１５〜２０％）となるように定め
た。

【０００８】（ｂ）ＳｉおよびＡｌこれら成分には、共に保磁力を減少させる作用がある
が、その含有量が１％未満では所望の低い保磁力が得ら
れないため、すぐれた磁気シールド性能を確保すること
ができなず、一方、その含有量が１２％を越えると飽和
磁化が急激に低下する。従って、この発明の偏平状Ｆｅ
基合金粉末に含まれるＳｉおよびＡｌの内の１種または
２種を合計で１〜１２％（望ましくは３〜１０％、さら
に望ましくは４〜８％）となるように定めた。

【０００９】（ｃ）ＣｒＣｒは、耐食性を向上させるとともに飽和磁化を低下さ
せず、さらに偏平化時に保磁力を増大させない作用があ
るので必要に応じて添加するが、その含有量が０．１％
未満では所望の低い保磁力が得られず、一方、その含有
量が３％を越えると飽和磁化が低下するので高い飽和磁
化を得ることができなくなると共に保磁力を増大させる
ので好ましくない。従って、この発明の偏平状Ｆｅ基合
金粉末に含まれるＣｒは０．１〜３％（望ましくは０．
２〜２％未満、さらに望ましくは０．５〜１％）となる
ように定めた。

【００１０】（ｄ）粒度この発明の偏平状Ｆｅ基合金粉末は、従来と同じｄ：
０．０２〜０．６μｍ、Ｄ₅₀：３〜６０μｍ、Ｄ₅₀／
ｄ：２０〜５００の範囲に調整すればよいが、ｄ：０．
０５〜０．３μｍ、Ｄ₅₀：５〜２０μｍ、Ｄ₅₀／ｄ：５
０〜３００の範囲に調整することが一層好ましい。

【００１１】

【発明の実施の形態】つぎに、この発明の偏平状Ｆｅ基
合金粉末を実施例により具体的に説明する。実施例１原料として、Ｆｅ−Ｓｉ合金、Ｆｅ−Ａｌ合金および電
解鉄を用意し、これら原料を高周波誘導炉にてそれぞれ
表１〜２に示される成分組成をもったＦｅ基合金溶湯を
調製し、このＦｅ基合金溶湯を水アトマイズ法により粉
末化し、分級して４０μｍ以下の粒径を有する粉末と
し、得られたアトマイズ粉末を、アンモニア：水素＝
２：１の割合で混合した混合気流中、温度：５００℃に
１〜６時間の範囲内の所定の時間保持することにより窒
化処理し、ついでこれをアトライタで偏平化した後、Ａ
ｒ雰囲気中、４００℃でに２時間保持の焼鈍を施し、さ
らに分級を行なって表１〜２に示される粒度に調整する
ことにより本発明偏平状Ｆｅ基合金粉末（以下、本発明
粉末という）１〜１４、合金成分としてこの発明の範囲
から外れて含有する比較偏平状Ｆｅ基合金粉末（以下、
比較粉末という）１〜４および窒素を含有しない従来偏
平状Ｆｅ基合金粉末（以下、従来粉末という）１をそれ
ぞれ製造し、この結果得られた本発明粉末１〜１４、比
較粉末１〜４および従来粉末１の保磁力と飽和磁化を測
定し、この測定結果を表１〜２に示した。

【００１２】

【表１】

【００１３】

【表２】

【００１４】表１〜２に示される結果から、窒素：５〜
２５％含有する本発明粉末１〜１４は、従来粉末１に比
べて飽和磁化が大きく、保磁力が小さいことが分かる。
しかし、この発明の範囲から外れた成分組成の比較粉末
１〜４は、飽和磁化および保磁力の内の少なくともいず
れか一方が好ましくない値を示すことが分かる。

【００１５】実施例２原料として、Ｆｅ−Ｓｉ合金、Ｆｅ−Ａｌ合金、Ｆｅ−
Ｃｒ合金および電解鉄を用意し、これら原料を高周波誘
導炉にてそれぞれ表３〜４に示される成分組成をもった
Ｆｅ基合金溶湯を調製し、このＦｅ基合金溶湯を水アト
マイズ法により粉末化し、分級して４０μｍ以下の粒径
を有する粉末とし、得られたアトマイズ粉末を、アンモ
ニア：水素＝２：１の割合で混合した混合気流中、温
度：５００℃に１〜６時間の範囲内の所定の時間保持す
ることにより窒化処理し、ついでこれをアトライタで偏
平化した後、Ａｒ雰囲気中、４００℃でに２時間保持の
焼鈍を施し、さらに分級を行なって表３〜４に示される
粒度に調整することにより本発明粉末１５〜２８、比較
粉末５〜８および従来粉末２をそれぞれ製造し、この結
果得られた本発明粉末１５〜２８、比較粉末５〜８およ
び従来粉末２の保磁力と飽和磁化を測定し、この測定結
果を表３〜４に示した。

【００１６】

【表３】

【００１７】

【表４】

【００１８】表３〜４に示される結果から、窒素：５〜
２５％含有する本発明粉末１５〜２８は、従来粉末２に
比べて飽和磁化が大きく、保磁力が小さいことが分か
る。しかし、この発明の範囲から外れた成分組成の比較
粉末５〜８は、飽和磁化および保磁力の内の少なくとも
いずれか一方が好ましくない値を示すことが分かる。

【００１９】

【発明の効果】上述のように、窒素：５〜２５％を含有
するこの発明の偏平状Ｆｅ基合金粉末は、保磁力が低
く、高い飽和磁化を示すので、これを磁気シールドに用
いた場合、優れた磁気シールド性能を発揮するものであ
り、磁気シールド性能の一層の向上に寄与するばかりで
なく、磁気シールド層や磁気シールドシートなどの薄肉
化を可能にするなど工業上有用な特性を有する。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩテーマコート゛(参考）Ｈ０１Ｆ 1/20 Ｈ０１Ｆ 1/00 ＣＨ０５Ｋ 9/00 1/20 (72)発明者石黒銀矢東京都新宿区西新宿三丁目19番２号日本電信電話株式会社内 (72)発明者吉岡康明東京都新宿区市谷加賀町一丁目１番１号大日本印刷株式会社内 (72)発明者泉谷和美東京都新宿区市谷加賀町一丁目１番１号大日本印刷株式会社内 (72)発明者森本耕一郎埼玉県大宮市北袋町１−297 三菱マテリアル株式会社総合研究所内Ｆターム(参考） 4K018 BA14 BB01 BB04 BC03 BC08 BC09 BC15 BD05 5E040 AA11 AA19 CA13 HB17 NN01 NN06 5E041 AA11 AA19 CA06 NN01 NN06 5E321 BB53 GG07

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】原子％で、窒素：５〜２５％、Ｓｉおよ
びＡｌの内の１種または２種を合計で１〜１２％を含有
し、残りがＦｅと不可避不純物からなる組成を有するこ
とを特徴とする磁気シールド用偏平状Ｆｅ基合金粉末。
【請求項２】原子％で、窒素：５〜２５％、Ｓｉおよ
びＡｌの内の１種または２種を合計で１〜１２％、Ｃ
ｒ：０．１〜３％を含有し、残りがＦｅと不可避不純物
からなる組成を有することを特徴とする磁気シールド用
偏平状Ｆｅ基合金粉末。
【請求項３】平均厚さｄ：０．０２〜０．６μｍ、粒度部分布計によって求められた粒径の小さい方から重
量を累計して５０％になったときの粒径Ｄ₅₀：３〜６０
μｍ、アスペクト比（Ｄ₅₀／ｄ）：２０〜５００、に調整され
た粒度を有することを特徴とする請求項１または２記載
の組成を有する磁気シールド用偏平状Ｆｅ基合金粉末。