JP2000063990A - 腐食疲労特性に優れた高強度極細鋼線および撚り線 - Google Patents

腐食疲労特性に優れた高強度極細鋼線および撚り線

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JP2000063990A
JP2000063990A JP10232792A JP23279298A JP2000063990A JP 2000063990 A JP2000063990 A JP 2000063990A JP 10232792 A JP10232792 A JP 10232792A JP 23279298 A JP23279298 A JP 23279298A JP 2000063990 A JP2000063990 A JP 2000063990A
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steel wire
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steel
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Masaji Sasaki
正司 佐々木
Hitoshi Tashiro
均 田代
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Nippon Steel Corp
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    • D07ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
    • D07B1/00Constructional features of ropes or cables
    • D07B1/06Ropes or cables built-up from metal wires, e.g. of section wires around a hemp core
    • D07B1/0606Reinforcing cords for rubber or plastic articles
    • D07B1/066Reinforcing cords for rubber or plastic articles the wires being made from special alloy or special steel composition

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  • Tires In General (AREA)
  • Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)
  • Ropes Or Cables (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は高強度極細鋼線および撚り線の腐食
疲労特性を向上させるための極細鋼線および撚り線を提
供する。 【解決手段】 C:0.6〜1.5%、Si:0.1〜
1.0%、Mn:0.1〜1.0%、Al:0.005
%以下、必要によりCr,希土類元素,Cu,Ni,C
o,Bのうち少なくとも1種を含有する線径0.40m
m以下、3600MPa以上の引張強さを有する高強度
極細鋼線および撚り線の腐食疲労特性を改善するため
に、表面に厚さ0.01〜0.5μmの金属あるいは有
機被膜を施し、Cl- ,NO3 - ,SO4 2- ,PO4 3-
のうち1種以上のイオンを含む水溶液との接触角を30
度以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、タイヤ、ホー
ス、コンベアベルトなどのゴム製品補強用極細鋼線およ
び撚り線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ゴムと極細鋼線の複合物は、自動車用タ
イヤ、高圧ゴムホース、コンベアベルトなどに適用され
ているが、これらの製品は応力付加状態で繰り返し使用
されるので、ゴム以上に補強用極細鋼線、撚り線には高
疲労特性が要求される。使用環境によってはゴムへの水
分浸透あるいはゴムの亀裂からの水分の浸入などにより
腐食環境にさらされる場合があり、さらには軽量化ニー
ズによりこれまで以上に極細鋼線および撚り線にかかる
負荷は増大するので腐食疲労寿命の改善は益々高まって
いる。また、伸線加工により強加工される極細鋼線は伸
線加工歪の増加により引張強さは増加するものの、図1
に示すように引張強さに対する腐食疲労特性は上昇しな
い。より高級なゴム補強用極細鋼線および撚り線を実現
するには引張強さに見合った腐食疲労特性を有すること
が必要である。
【0003】従来、鋼線の腐食疲労特性を向上させる技
術としては、特開平1−292190号公報の高炭素鋼
にNi,Cu,Vを添加し延靱性および腐食疲労特性を
改善した例がある。ただし、強度が3600MPa以下
のレベルであり、本発明が目的とするレベルとは適用強
度範囲が大きく異なる。特開平4−131323号公報
では0.2〜0.5%C鋼にV,Ni,Cr,Mo,N
b,Ti,Zr等の元素を添加し、冷速制御冷却により
微細フェライト・パーライト組織とし、さらに減面率1
0〜40%の伸線を行うことにより腐食疲労特性を改善
した。しかし、C量、伸線加工歪が小さいために強度が
1000MPa以下と低く、本発明の微細鋼線レベルに
は適用できない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、引張強さ3
600MPa以上の高強度極細鋼線において引張強さに
見合った腐食疲労特性を達成させるものであり、合金元
素添加、熱処理方法、伸線加工方法などで3600MP
a級止まりであった従来技術を改善しようとするもので
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の技術的課
題を解決するために、重量%で、C:0.6〜1.5
%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.1〜1.0
%、Al:0.005%以下、残部鉄および不可避的不
純物からなり、線径0.40mm以下で、表面が厚さ
0.01〜0.5μmの金属あるいは有機被膜から構成
され、Cl- ,NO3 - ,SO4 2- ,PO4 3- のうち1
種以上のイオンを含む水溶液との接触角が30度以上で
あり、さらに引張強さが3600MPa以上であること
を特徴とする腐食疲労特性に優れた高強度極細鋼線及び
撚り線を提供する。また該極細鋼線又は撚り線はより高
強度、耐腐食疲労性を高めるために、重量%で、Cr:
0.05〜0.5%、希土類元素総量:0.001〜
0.010%、Cu:0.01〜0.50%、Ni:
0.01〜0.50%、Co:0.01〜0.50%、
B:0.001〜0.01%のうち、少なくとも1種を
含有する成分であっても良い。つまり本発明は3600
MPa以上の高強度極細鋼線に金属あるいは有機被膜を
形成することにより、鋼を腐食させるイオンを含む水溶
液との疎水性を高め、水の浸入を防ぐことにより鋼を腐
食環境から保護することを実現したものである。具体的
には鋼表面に厚さ0.01〜0.5μmの金属あるいは
有機被膜を形成し、腐食性イオンを含む水溶液との接触
角を30度以上とすることにより疎水性を高め、C
- ,NO3 - ,SO4 2- ,PO4 3- のうち一種以上の
イオンを含む水溶液中で104 回疲労強度が引張強さの
20%以上となる優れた腐食疲労特性を実現した。
【0006】従来3600MPaまでは引張強さを高め
ても合金元素添加等によって腐食疲労特性の低下を抑制
できたが、3600MPaを超えるとその効果が無くな
ってくるので、図1に示すように急激に腐食疲労特性が
低下していた。大気疲労では3600MPaを超えても
大きく低下しないので腐食環境から鋼を保護することが
腐食疲労改善の最大の手段であることを見いだした。そ
こで、本発明では表面に被膜を形成して腐食イオンを含
有した溶液との接触角を規定した。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0008】まず本発明の極細鋼線の化学成分は重量%
で、C:0.6〜1.5%、Si:0.1〜1.0%、
Mn:0.1〜1.0%、Al:0.005%以下、残
部鉄および不可避的不純物からなるもの、あるいは、上
記化学成分にCr:0.05〜0.5%、希土類元素総
量:0.001〜0.010%、Cu:0.01〜0.
50%、Ni:0.01〜0.50%、Co:0.01
〜0.50%、B:0.001〜0.01%のうち、少
なくとも1種を含有するものである。以下に各成分の限
定理由について述べる。
【0009】C:Cはパテンティング処理後の引張強さ
の増加および伸線加工硬化率を高める効果があり、より
少ない伸線加工歪で極細鋼線の引張強さを高めることが
できる。この結果、疲労特性に優れた高強度の引張強さ
が得られる。0.6%未満では合金元素を添加してもパ
テンティング処理後の引張強さと伸線加工硬化率を高く
できず、極細鋼線の引張強さ3600MPa以上は達成
できなくなる。また、1.5%を超えるとパテンティン
グ処理時に初析セメンタイトがオーステナイト粒界に析
出し、伸線加工性を劣化するために表面欠陥を作りかつ
伸線あるいは撚り線断線が多発すること、電気めっき前
処理時にスマットが発生しやすくなるので0.6〜1.
5%の範囲に限定した。
【0010】Si:Siはパーライト中のフェライトを
強化し強度の増加と鋼の脱酸のために有効であるが、
0.1%未満では効果が期待できず、1.0%を超える
と伸線加工性に有害であり、かつ腐食疲労の起点となる
SiO2 系介在物が発生しやすいこと、メカニカルデス
ケール性が劣化することから、0.1〜1.0%に範囲
を限定した。
【0011】Mn:Mnは脱酸、脱硫のために必要であ
るばかりでなく、鋼の焼入れ性を向上させパテンティン
グ処理後の引張強さを高めること、延性劣化を助長する
SをMnSとして固定する有効な元素であるが、0.1
%未満では上記の効果が得られず、1.0%を超えると
偏析を引き起こしパテンティング時にベイナイト、マル
テンサイトの過冷組織が発生し伸線性を害するので、
0.1〜1.0%に範囲を限定した。
【0012】Al:Alは0.005%を超えると鋼中
の介在物の中で最も硬質なAl2 3 系介在物が生成し
やすくなり伸線加工性あるいは撚り加工の際の断線原因
となるため0.005%以下に限定した。
【0013】本発明は上記の元素に加えて、更にCr:
0.05〜0.5%、希土類元素総量:0.001〜
0.010%、Cu:0.01〜0.50%、Ni:
0.01〜0.50%、Co:0.01〜0.50%、
B:0.001〜0.01%のうち、少なくとも1種を
含有することができる。これらの元素は高強度化、伸線
加工性向上、耐腐食性に有効であり、組み合わせること
により相乗効果が期待できる。
【0014】Cr:Crはパーライトのラメラー間隔を
微細化しパテンティング処理後の引張強さを高めるとと
もに伸線加工硬化率を向上させ、さらに酸化性環境下で
鋼の耐食性を向上させる有効な元素であり、高強度化、
耐腐食性を指向するためには有効な元素である。0.0
5%未満では上記効果は無く、0.50%を超えるとパ
テンティング処理時のパーライト変態終了時間が長くな
るために生産性が低下するので、0.05〜0.50%
の範囲に限定した。
【0015】希土類元素:Ce,Laなどの希土類元素
は溶解時にアルカリ性を示し、pHの低下を防止する。
そのため腐食環境においては有効な腐食抑制剤の作用を
する。これらは1種でも良いが2種以上含有することが
望ましい。希土類元素総量が0.001%未満では上記
の効果は期待できず、0.010%を超えるとコストが
高いばかりでなく、介在物になり伸線加工性に悪影響を
及ぼすので、0.001〜0.010%に範囲を限定し
た。
【0016】Cu:Cuは鋼表面に層を形成して耐食性
を向上させる効果を示すので、耐腐食性に有効に作用す
る。0.01%未満では上記効果は発揮できず、0.5
0%を超えると熱間圧延時に割れの原因になるので、
0.01〜0.50%に範囲を限定した。
【0017】Ni:Niはパテンティング処理時に変態
生成するパーライトを伸線加工性の良好なものにし、耐
食性を向上させるが、0.01%未満では上記効果はな
く、0.50%を超えると添加量に見合うだけの効果が
無いので、0.01〜0.50%に範囲を限定した。
【0018】Co:CoはNiと同様にパテンティング
処理時に変態生成するパーライトを伸線加工性の良好な
ものにし、耐食性を向上させる他、パーライト変態速度
を速めてパテンティング処理の生産性を高める効果があ
るが、0.01%未満では上記効果はなく、0.50%
を超えると添加量に見合うだけの効果が無いので、0.
01〜0.50%に範囲を限定した。
【0019】B:Bは焼入れ性を高める他、結晶粒界の
欠陥に入り込むことにより粒界を強化し、引張強さを向
上させる有効な元素であるが、0.001%未満ではそ
の効果はなく、0.01%を超えると鋼を脆くするので
0.001〜0.01%に範囲を限定した。
【0020】本発明は上記化学成分からなり、線径0.
40mm以下で、表面が厚さ0.01〜0.5μmの金
属あるいは有機被膜から構成され、Cl- ,NO3 -
SO4 2- ,PO4 3- のうち1種以上のイオンを含む水溶
液との接触角が30度以上であり、さらに引張強さが3
600MPa以上、Cl- ,NO3 - ,SO4 2- ,PO
4 3- のうち1種以上のイオンを含む水溶液中での104
回疲労強度が引張強さの20%以上であることを特徴と
する腐食疲労特性に優れた高強度極細鋼線および撚り線
を提供する。特許請求の範囲の限定理由、具体的には線
径、被膜厚さ及び種類、腐食イオン、接触角、引張強
さ、疲労強度について以下に述べる。
【0021】線径:線径を0.40mm以下に限定した
のは、伸線加工歪を高めて引張強さを高くでき、回転曲
げ疲労試験時の曲げ剛性を小さくできるために高疲労寿
命が得られやすくなるためである。
【0022】厚さ0.01〜0.5μmの金属あるいは
有機被膜:腐食疲労を高める手段として鋼の耐食性を高
めることは有効であるが、環境から浸入する腐食性イオ
ンから鋼を保護するためには被膜処理が最も効果的であ
る。そのために金属あるいは有機被膜処理を行う。これ
らの厚さが0.01μm未満では被膜効果は期待でき
ず、0.5μmを超えると、曲げ歪応力が作用した場合
被膜にかかる応力が増し、亀裂あるいは剥離が起こりや
すくなるので、厚さは0.01〜0.5μmに限定し
た。被膜は金属と密着し鋼を外界環境から完全に保護す
る必要があり、金属では例えばめっき、有機被膜では例
えば多分子吸着膜を形成しやすいもの、被膜自体に撥水
作用があるものが良い。金属めっきの例として、Ni,
Sn,Cu,Zn,ブラス,Cr,Pt,Auなど、有
機被膜の例として多分子吸着膜を形成しやすいカルボン
酸塩化合物、スルホン酸塩化合物、アルケニルこはく酸
誘導体、油系塗布剤、疎水性被膜の例としてテフロン、
ナイロン、ビニール系被覆があり、これらの組み合わせ
でも良い。
【0023】Cl- ,NO3 - ,SO4 2- ,PO4 3-
うち1種以上のイオンを含む水溶液との接触角が30度
以上:Cl- ,NO3 - ,SO4 2- ,PO4 3- は雨水に
含まれる主要陰イオンであり、タイヤ中に浸入して鋼を
腐食させるイオンである。これらのイオンを含む溶液と
鋼線表面が濡れやすいと鋼線は腐食しやすくなるので、
濡れにくい疎水性表面に改質することにより腐食を防止
できる。そこで接触角を指標に用い、耐腐食性、腐食疲
労特性との関係を調べたところ、図2に示すように30
度以上で両者とも著しく改善されることがわかった。耐
腐食性と腐食疲労特性は共に接触角との正の相関関係に
あり、耐腐食性の改善は腐食疲労特性の改善に結びつ
く。これは接触角が大きくなることにより疎水効果が増
し濡れにくくなるために耐食性が増し、腐食部での応力
集中が生じないことと、大気疲労環境に近づくために、
腐食疲労特性の改善に反映される。本発明では耐腐食性
が良好な領域である接触角30度以上とした。
【0024】引張強さが3600MPa以上:3600
MPaの強度は鋼材料では相当高いレベルにあり、腐食
感受性も高くなりやすく、図1に示すように引張強さに
伴った腐食疲労特性を確保するには困難な強度領域であ
る。図1に示すように3600MPa未満では引張強さ
に伴った腐食疲労特性が確保できるので、本発明では3
600MPa以上に範囲を限定した。
【0025】前述のとおり、Cl- ,NO3 - ,SO4
2- ,PO4 3- は鋼の腐食イオンであり、いずれか1種
以上の含有で腐食させる効果を持っている。腐食疲労試
験を行う際、この溶液中で行うのが最も腐食疲労試験方
法として簡便でかつ、実際環境に近いので上記溶液を用
いて発明の効果を評価する。また、腐食疲労強度は10
4 回での応力を持って判断するとばらつきが少なくかつ
他条件との差が比較しやすい。すなわち、本発明によ
り、Cl- ,NO3 - ,SO4 2- ,PO4 3- のうち1種
以上のイオンを含む水溶液中での104 回疲労強度が引
張強さの20%以上という優れた腐食疲労特性を得るこ
とができる。
【0026】
【実施例】[実施例1]以下に実施例1を示す。
【0027】まず、表1に示す化学成分に本発明を適用
し、化学成分の影響を調べた。A〜Vの5.5mm熱間
圧延線材を脱スケール、燐酸亜鉛被膜処理、乾式伸線、
パテンティング処理し、その工程を2回繰り返した後、
プラスめっきを行い、湿式伸線により0.20mmに仕
上げた。その際、0.20mmの最終ダイス直後で表面
にカルボン酸塩防錆剤を塗布し表面の疎水性を高めた。
0.20mmのめっき厚さが0.2μm前後になるよう
にした。腐食疲労評価はCl- ,SO4 2- それぞれ0.
005M含有する25℃水溶液中でハンター腐食疲労試
験により行った。接触角測定は、溶液から鋼線を引き上
げるときの濡れ長さL、溶液の表面張力σ、引き上げ力
Fとして、cosθ=F/(L・σ)の式から求めた。
【0028】表1に化学成分、諸特性と結果を、本発明
と比較例を合わせて示す。
【0029】
【表1】
【0030】比較例AはCが0.6%未満のためにパテ
ンティング処理後の引張強さと伸線加工硬化率を高くで
きないために3600MPa以上の引張強さを達成でき
ず、比較例BはCが1.5%を超えるために初析セメン
トが発生し伸線加工性を劣化し表面欠陥が発生して腐食
疲労特性が劣化した。比較例CはSiが0.1%未満の
ためにフェライト強化されず伸線加工硬化率を高くでき
ないために3600MPa以上の引張強さを達成できな
かった。比較例DはSiが1.0%を超えるためにSi
2 介在物が多数発生し疲労破壊起点となって腐食疲労
特性を劣化させた。比較例EはMnが0.1%未満のた
めに焼入れ性が低下しパテンティング後の引張強さを上
げれないために3600MPa以上の引張強さが達成で
きなかった。比較例FはAlが0.005%を超えるた
めAl2 3 系介在物が多数発生し疲労破壊起点となっ
て腐食疲労特性を劣化させた。比較例Gは希土類元素が
0.01%を超えるために介在物が多数発生し疲労破壊
起点となって腐食疲労特性を劣化させた。比較例HはC
uが0.5%を超えるために熱間圧延時の割れが原因と
なる表面疵が残存し、腐食疲労起点になったために腐食
疲労特性が劣化した。比較例IはBが0.01%を超え
るために鋼が脆化し腐食疲労特性を劣化させた。これに
対し、本発明の実施例はいずれも腐食疲労特性の良好な
結果を示し、本発明の化学成分が腐食疲労特性に優れる
ことがわかる。
【0031】[実施例2]以下に実施例2を示す。
【0032】本発明の化学成分を適用し線径、被膜、引
張強さ、水溶液イオンの影響について調査した。サンプ
ルは表1の合金成分添加のないJ鋼と合金成分添加のU
鋼を用いた。5.5mm熱間圧延線材を脱スケール、燐
酸亜鉛被膜処理、乾式伸線、パテンティング処理し、そ
の工程を2回繰り返した後、金属めっきまたは燐酸亜鉛
被膜後、湿式伸線により0.10〜0.45mmに仕上
げ、必要により最終ダイス直後で有機被膜処理を行っ
た。腐食疲労評価は所定のイオンを含有する25℃水溶
液中でハンター腐食疲労試験により行った。接触角測定
は、実施例1同様に求めた。
【0033】表2に結果を、本発明と比較例を合わせて
示す。
【0034】
【表2】
【0035】比較例1,3,5,7はJ鋼、比較例2,
4,6,8はU鋼を使用した場合である。比較例1,2
は線径が0.40mmを超えており、引張強さが360
0MPaを超える高い強度まで伸線加工できず、延性を
保てなかったために腐食疲労特性が低下した。比較例
3,4は金属および有機被膜厚さが0.01μm未満の
ために被膜効果が出ず、比較例5,6は逆に厚すぎるた
めに疲労試験中に被膜に亀裂が入り、腐食イオンが浸入
しやすくなったために腐食疲労特性が低下した。比較例
7,8は被膜が全くないために比較例3,4同様、接触
角が小さく親水性が高いために腐食イオンが浸入しやす
くなり腐食疲労特性が低下した。これに対し、本発明は
合金成分の有無に関わらず、被膜が適切な厚さに制御さ
れていれば金属のみ、有機被膜のみ、金属+有機被膜い
ずれでも良く、引張強さ3600MPaを超える高強度
レベルにおいても良好な腐食疲労特性を示すことがわか
る。 [実施例3]以下に実施例3を示す。
【0036】本発明を適用した場合の撚り線での改善効
果を調査した。サンプルは実施例2で作製した本発明
4,8,14を用いた。
【0037】
【表3】
【0038】表3に結果を示すが、被膜が金属のみ、有
機被膜のみ、金属+有機被膜にかかわらず単線同様、良
好な腐食疲労特性を示すことがわかる。
【0039】
【発明の効果】本発明は以上のように実施できるので、
既述の技術的課題を解決する顕著な効果がある。換言す
ると、本発明により3600MPa以上の引張強さを有
する高強度極細鋼線および撚り線の腐食疲労特性を向上
させることが可能となり工業的メリットは大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】0.20mm単線の従来データである腐食疲労
特性、大気疲労特性と本発明の関係を示す。
【図2】接触角と腐食疲労特性、耐食性指数の関係を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D07B 1/06 D07B 1/06 A Fターム(参考) 3B153 AA02 BB15 CC52 FF12 FF16 FF48 GG01 GG05 GG07 4K062 AA01 AA05 BA08 BB21 BC08 BC11 CA10 EA05 FA13 FA16 GA06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.6〜1.5%、S
    i:0.1〜1.0%、Mn:0.1〜1.0%、A
    l:0.005%以下、残部鉄および不可避的不純物か
    らなり、線径0.40mm以下で表面が厚さ0.01〜
    0.5μmの金属あるいは有機被膜から構成され、Cl
    - ,NO3 - ,SO4 2- ,PO4 3- のうち1種以上のイ
    オンを含む水溶液との接触角が30度以上であり、さら
    に引張強さが3600MPa以上であることを特徴とす
    る腐食疲労特性に優れた高強度極細鋼線。
  2. 【請求項2】 重量%で、Cr:0.05〜0.5%、
    希土類元素総量:0.001〜0.010%、Cu:
    0.01〜0.50%、Ni:0.01〜0.50%、
    Co:0.01〜0.50%、B:0.001〜0.0
    1%のうち、少なくとも1種を含有する請求項1記載の
    高強度極細鋼線。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の高強度極細鋼線
    よりなる撚り線。
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Cited By (6)

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