JPH0323675B2 - - Google Patents

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JPH0323675B2
JPH0323675B2 JP63116566A JP11656688A JPH0323675B2 JP H0323675 B2 JPH0323675 B2 JP H0323675B2 JP 63116566 A JP63116566 A JP 63116566A JP 11656688 A JP11656688 A JP 11656688A JP H0323675 B2 JPH0323675 B2 JP H0323675B2
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Description

【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野 本発明は自動車のスチールラジアルタイヤの補
強材として使用されるタイヤ用スチールコードと
上記スチールコードを用いたタイヤに関するもの
である。 従来の技術 従来のスチールコードは、C:0.70〜0.75重量
%、Si:0.12〜0.32重量%、Mn:0.30〜0.60重量
%、P:0.025重量%以下、S:0.025重量%以
下、Cu:0.20重量%以下を含み、残部がFeおよ
び不可避的不純物からなり、線径が5.5mmφの硬
鋼線材をパテンテイング処理し、脱スケール、潤
滑被膜の塗布等の前処理を行つた後、伸線装置を
用いてダイス引き伸線加工し、さらに、これらの
処理、加工を繰返して中間サイズのワイヤを形成
する。次いで、上記ワイヤにパテンテイング強度
が強く、伸線加工に適した金属組織が得られる条
件で最終パテンテイング処理を施し、伸線前処理
として伸線加工性及びゴムとの接着性を向上させ
るブラスメツキを施した後伸線加工を行い、所要
の極細硬鋼線よりなるスチールコード用素線を形
成する、 上記素線をタイヤの種類に応じて複数本撚り合
せてスチールコードを構成した。 発明が解決しようとする課題 上記従来のスチールコードは腐食しやすい環境
下に置いた場合、疲労特性が低下するという問題
点があり、タイヤに用いた時自動車の走行中にゴ
ム中の水分やタイヤの切り庇より浸入した水分に
よりスチールコードに錆が発生し、スチールコー
ドの強力が大巾に低下したり、スチールコードと
タイヤのゴム材とが剥離するといういわゆるセパ
レーツ現象を発生するという問題点があつた。 課題を解決するための手段 本発明は上記問題点を除去するためになされた
ものであり、C:0.60〜0.90重量%、Si:0.15〜
0.35重量%、Mn:0.30〜0.90重量%、P:0.03重
量%以下、Al:0.006重量%以下を含有し、かつ
Cu:0.21〜0.5重量%、V:0.05〜0.5重量%の1
種又は2種を含有すると共に、残部がFeおよび
不可避的不純物からなる硬鋼線を複数本撚り合せ
て形成してなるクローズド撚り、オープン撚りの
タイヤ用スチールコードを提供するものである。 また、上記構成のスチールコードを用いて耐久
性の優れたタイヤを提供するものである。 なお、ここで各添加元素について説明する。 Cはスチールコードとしての強度と延性を支配
する基本成分であり、0.60重量%未満であると強
度が低下し、0.90重量%を超えると炭化物が析出
し延性が低下して加工性が悪くなる。 Siは通常脱酸剤として精錬過程で溶鋼中に添加
されるが、0.35重量%を超えると非金属介在物が
増加して鋼の清浄度の悪化をもたらし、靱性が低
下する。 Mnは鋼の組織を微細にし強度および靱性を確
保するもので0.30重量%未満であるとその効果が
得られず、0.90重量%を超えると焼入れにおいて
残留オーステナイトが増加し、靱性が低下して加
工性が悪くなる。 Pは鋼を脆化するものであるから0.03重量%以
下であるのが好ましい。 Alは強力な脱酸作用をし、鋼中のNを固定し
オーステナイト細粒化と効果があるが、介在物と
なりやすく0.06重量%未満が好ましい。 CuはHzより貴な金属であり水素発生型の腐食
は起こらず耐食効果を著しく向上するが、0.21重
量%未満であるとその効果が低下し、0.5重量%
を超えると靱性が低下する。 VはNまたはCと結合して炭化物が生成し析出
強化作用により高強力化に役立つものであり、特
に結晶粒界の腐食性に効果がある。しかし、0.05
重量%未満ではその効果は低下し、1.0重量%を
超えると炭化物が析出し靱性が低下し、加工性が
悪くなる。 実施例 1 C:0.84重量%、Si:0.20重量%、Mn:0.52重
量%、P:0.004重量%、S:0.001重量%以下、
Cu:0.26重量%、V:Tr、Al:0.004重量%を含
有する硬鋼線の線材5.5mmφを用いて、1次焼線
→酸洗→1次伸線→2次焼線→2次伸線→3次焼
線→メツキ→3次伸線を行い、0.23mmφのタイヤ
用のスチールコード用素線を形成した。 上記スチールコード用素線1を撚り合せて第1
図に示すような1×12×0.23+1スチールコード
2を構成した。 ところで本実施例のスチールコード用素線1に
良好な伸線加工性を付与するためのパテンテイン
グ条件はCuの添加量により若干の調整範囲はあ
るがCuの添加によりT.T.T.曲線のノーズを上昇
させ同時に長時間側に移動させる。つまり、T.
T.T.曲線を右上に平行移動させた形状とするこ
とが必要である。 そこで、良好な伸線加工およびラメラー間隔を
確保するパテンテイング条件を用いなければなら
ない。例えば従来の熱処理条件を用いればベイナ
イト、マルテンサイトといつた伸線加工に障害を
きたす組織がパーライト中に発生する恐れがあ
る。そのため、本発明では熱処理時に従来の線材
使用時より鉛パテンテイング処理温度を35℃高く
設定し、パーライト変態せしめた。 実施例 2 C:0.85重量%、Si:0.20重量%、Mn:0.50重
量%、P:0.006重量%、S:0.001重量%、Cu:
Tr、V:0.54重量%、Al:0.004重量%含有する
硬鋼線を用いて第2図に示すような1×5×0.23
のスチールコード3を構成する。 なお、スチールコード用素線1およびスチール
コード3は実施例1とほぼ同処理工程により形成
する。 実施例 3 C:0.82重量%、Si:0.19重量%、Mn:0.53重
量%、P:0.008重量%、S:0.002重量%、Cu:
0.19重量%、V:0.096重量%、Al:0.004を含有
する硬鋼線を用いて第3図に示すような1×4×
0.23のスチールコード4を構成する。 なお、スチールコード用素線1およびスチール
コード4は実施例1とほぼ同処理工程により形成
する。 実施例 4 実施例1に示される1×12×0.23+1の構成の
スチールコード2を第4図に示すようにタイヤの
ブレーカ層5に補強材として配置してタイヤ6を
構成する。 なお、上記スチールコード2はブレーカ層5に
配置したが、カーカス層7あるいはブレーカ層お
よびカーカス層7に配置することも可能である。 次に、本発明のスチールコードに用いた線材と
従来のスチールコードに用いた線材の化学成分の
一覧表を第1表に示す。
【表】 次に、上記のようにして得られた各実施例のス
チールコード用素線と比較例との比較試験結果を
以下に示す。 なお、比較例としてはC:0.85重量%、Si:
0.20重量%、Mn:0.51重量%、P:0.003重量%、
S:0.002重量%、Cr:Tr、V:Tr、Al:0.004
重量%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物
からなる線材で形成されたスチールコード用素線
を用いた。 第5図は応力σ=150Kg/mm2の場合の疲労テス
ト結果を示すグラフであり、タテ軸は比較例Dの
腐食前(放置時間0の場合)の値を100%とした
場合の腐食疲労値を百分率で示しており、数値が
大きい方が腐食疲労値が優れている。 テスト条件としては腐食条件が80℃×80%RH
で0時間、4時間、8時間、16時間放置後、ハン
ター式疲労試験機により疲労テストを行つた。 第5図からわかるように本実施例A、B、Cは
比較例Dに比べ腐食疲労値において優れ、しかも
放置時間による降下率が少く腐食による影響が少
ないものである。 第6図はPHに対する腐食減量テストの結果で
ある。溶液は適宜NaCl又はHClでPH調整された
0.5N−NaClである。各PHの溶液に20時間浸漬放
置後のサンプルの重量差を測定した。 第6図からわかるように本実施例A、B、Cは
比較例Dに比べ特に強酸に対して効果がある。 第7図は塩水中に疲労試験片を浸漬した状態で
ハンター疲労テストを実施した結果である。 応力はσ=90Kg/mm2であり、実施例A、B、C
は比較例Dに比べ耐腐食疲労性が優れている。 これは、本発明の実施例AではCuを0.26重量%
添加したことにより、Cuの耐食効果が現われ、
腐食条件において高い疲労値を得ることができた
ものである。又、実施例BではVを0.054重量%
添加したことにより、パテンテイング処理によつ
て結晶粒界にバナジウム炭化物が析出し、粒界腐
食に対して高い疲労値を得ることができたもので
ある。さらに、実施例CではCuを0.19重量%とV
を0.096重量%とを同時に添加したことにより、
Cuによる耐食効果とVによる粒界腐食に対する
効果とを同時に得ることができたものである。 なお、ここでCuはHzより貴な金属であり水素
発生型の腐食は起こらず耐食効果を著しく向上す
るが、0.21重量%未満であるとその効果が低下
し、0.5重量%を超えると靱性が低下する。 VはNまたはCと結合して炭化物が生成し、析
出強化作用により高強力化に役立つものであり、
特に結晶粒界の腐食性に効果がある。しかし、
0.05重量%未満ではその効果は低下し、1.0重量
%を超えると炭化物が析出して靱性が低下し、加
工性が悪くなる。 次に、Vを添加したときの効果を第8図に示
す。 第8図はスチールコードをテスト条件80℃80%
RHで16時間放置後、ハンター式疲労試験機によ
り疲労テストを行つた結果である。Vの添加量が
多くなれば疲労保持率はよくなる。しかし、Vの
添加量が多くなりすぎると結晶粒界に炭化物の析
出が多くなり、伸線性が悪くなるとともに、多量
のVの添加はコストアツプにつながる。 実験の結果、最良のVの添加量は0.05〜1.0重
量%であつた。 発明の効果 本発明のスチールコードはCu、Vの1種また
は2種を含有する硬鋼線より形成したものである
ため、耐食効果と耐疲労効果が著しく改善するも
のである。 特に自動車のタイヤのカーカス部やトレツド部
にスチールコードを使用すると、冬場路面に凍結
防止のためにまかれた岩塩により、タイヤ表面の
庇よりNaClを含んだ水が浸入し、スチールコー
ドまで達した場合、毛細管現象によりコード内部
をつたわつて、コード内部は直ぐに腐食される現
象が発生する。 本発明のスチールコードを使用したタイヤで
は、このような現象に対し、耐食効果が現われて
タイヤ寿命を大幅に延長するという優れた効果を
有するものであります。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第3図はそれぞれ本発明のスチールコ
ードの一実施例を示す断面図、第4図は本発明の
スチールコードを用いたタイヤの一実施例を示す
断面図、第5図は本発明の実施例と比較例の疲労
試験結果を示す比較グラフ、第6図は本発明の実
施例と比較例のPHに対する腐食減量テスト結果を
示す比較グラフ、第7図は本発明の実施例と比較
例のPHに対する疲労試験結果を示す比較グラフ、
第8図は本発明の実施例2のV添加量の影響を調
査したもので、疲労試験結果を示す比較グラフで
ある。 1……素線、2,3,4……スチールコード、
5……ブレーカ層、6……タイヤ、7……カーカ
ス層。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 C:0.60〜0.90重量%、Si:0.15〜0.35重量
    %、Mn:0.30〜0.90重量%、P:0.03重量%以
    下、Al:0.006重量%以下を含有し、かつCu:
    0.21〜0.5重量%、V:0.05〜1.0重量%の1種又
    は2種を含有すると共に、残部がFeおよび不可
    避的不純物からなる硬鋼線を複数本撚り合せて形
    成してなることを特徴とするタイヤ用スチールコ
    ード。 2 請求項第1項記載のスチールコードを少なく
    とも部分的に補強材として使用することを特徴と
    するタイヤ。
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