JPH08188851A - 耐食性に優れたスチールコード用鋼 - Google Patents

耐食性に優れたスチールコード用鋼

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JPH08188851A
JPH08188851A JP7002938A JP293895A JPH08188851A JP H08188851 A JPH08188851 A JP H08188851A JP 7002938 A JP7002938 A JP 7002938A JP 293895 A JP293895 A JP 293895A JP H08188851 A JPH08188851 A JP H08188851A
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JP
Japan
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steel
group
corrosion resistance
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rare earth
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JP7002938A
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Shinji Sakashita
真司 阪下
Shigeaki Miyauchi
重明 宮内
Takenori Nakayama
武典 中山
Nobuhiko Ibaraki
信彦 茨木
Kenji Ochiai
憲二 落合
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
    • D07B1/00Constructional features of ropes or cables
    • D07B1/06Ropes or cables built-up from metal wires, e.g. of section wires around a hemp core
    • D07B1/0606Reinforcing cords for rubber or plastic articles
    • D07B1/066Reinforcing cords for rubber or plastic articles the wires being made from special alloy or special steel composition
    • DTEXTILES; PAPER
    • D07ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
    • D07B2205/00Rope or cable materials
    • D07B2205/30Inorganic materials
    • D07B2205/3021Metals
    • D07B2205/3025Steel
    • DTEXTILES; PAPER
    • D07ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
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    • D07B2401/00Aspects related to the problem to be solved or advantage
    • D07B2401/20Aspects related to the problem to be solved or advantage related to ropes or cables
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    • D07B2401/2025Environmental resistance avoiding corrosion

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  • Tires In General (AREA)
  • Tyre Moulding (AREA)
  • Ropes Or Cables (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動車用タイヤコードやベルトコード等のゴ
ム補強用線材、またはミニチュアロープ等の撚り線加工
製品を得るための素線として有用な耐食性に優れたスチ
ールコード用鋼を提供する。 【構成】 C:0.20〜1.2%,Si:0.01〜
0.8%,Mn:0.01〜1.0%,P:0.03%
を超え0.08%以下,残部:Feおよび不可避的不純
物を含有する耐食性に優れたスチールコード用鋼であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用タイヤコード
やベルトコード等のゴム補強用線材、またはミニチュア
ロープ等の撚り線加工製品を得るための素線として有用
な耐食性に優れたスチールコード用鋼に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、スチールコード用線材としてはJ
IS SWRS 72AやSWRS82A等の如き炭素鋼
が使用されており、ゴム補強用のスチールコードを製造
するに当たっては、通常以下の手順で製造されている。
即ち、所定の化学成分を含有する鋼を熱間圧延した後、
必要に応じて制御冷却することによって得られた線材を
一次伸線加工、パテンティング処理、二次伸線加工、再
度のパテンティング処理およびめっき処理等を順次施
し、最終的に湿式伸線加工を行って極細鋼線としてか
ら、該鋼線をタイヤの種類に応じて複数本撚り合わせる
ことによりスチールコードとしている。
【0003】上記スチールコードをタイヤ用補強材とし
て使用した場合、タイヤゴム中に含まれる水分もしくは
タイヤゴムの亀裂部から侵入する水分、またはその他の
環境物質によりスチールコードが腐食損傷を受け易いと
いう問題がある。
【0004】この様なスチールコードの腐食損傷を低減
することを目的として、種々の開発が行われている。例
えば特公平3−23674号公報には、超高強度におけ
る靭性保持および耐食性向上を目的として、耐食性向上
元素であるNiと、Cuおよび/またはVを添加したタ
イヤ用スチールコードが開示されている。また、特開平
3−193983号公報には、素線間にゴムを確実に侵
入させることを目的として、撚りピッチおよび平均形付
率等を特定することにより耐食性を向上させたゴム製品
補強用スチールコードが開示されている。
【0005】上記スチールコードを使用することにより
該スチールコードの腐食損傷はある程度低減されるが、
安全性確保の観点から言えば未だ十分とは言えず、更に
優れた耐食性・耐久性を有するスチールコードの開発が
求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
着目してなされたものであり、その目的は、自動車用タ
イヤコードやベルトコード等のゴム補強用線材、または
ミニチュアロープ等の撚り線加工製品を得るための素線
として有用な耐食性に優れたスチールコード用鋼を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明の耐食性に優れたスチールコード用鋼は、P:0.
03%を超え0.08%以下を含有することに要旨を有
するものであり、具体的には以下の〜の成分組成を
有するものである。 C:0.20〜1.2%,Si:0.01〜0.8
%,Mn:0.01〜1.0%,P:0.03%を超え
0.08%以下,残部:Feおよび不可避的不純物を含
有するスチールコード用鋼(C−Si−Mn−P含有
鋼,以下、本発明の第1鋼と呼ぶ) 上記第1鋼において、更にCu:0.05〜0.50
%を含有するスチールコード用鋼(C−Si−Mn−P
−Cu含有鋼,以下、本発明の第2鋼と呼ぶ) 上記第1鋼において、更に、少なくとも1種の希土類
元素を総量として0.001〜0.050%含有するス
チールコード用鋼(C−Si−Mn−P−希土類元素含
有鋼,以下、本発明の第3鋼と呼ぶ) 上記第2鋼において、更に、少なくとも1種の希土類
元素を総量として0.001〜0.050%含有するス
チールコード用鋼(C−Si−Mn−P−Cu−希土類
元素含有鋼,以下、本発明の第4鋼と呼ぶ) 上記第1〜第4鋼において、更に、Ca:0.001
〜0.020%,4A族元素:0.01〜0.20%,
5A族元素:0.01〜0.50%,6A族元素:0.
01〜0.50%および8族元素(Feを除く):0.
01〜0.50%よりなる群から選択される少なくとも
1種を含有するスチールコード用鋼(以下、本発明の第
5鋼と呼ぶ)
【0008】
【作用】本発明者らは、スチールコード用鋼における耐
食性の向上を目的として成分組成の改善に着目して鋭意
検討したところ、該スチールコード用鋼にPを添加する
と、緻密で安定な錆層が鋼線表面に形成される結果、腐
食が進行しなくなること、そして腐食溶解時にはインヒ
ビター作用を有するリン酸塩が形成されるので腐食反応
(カソード反応)を抑制できることを見出した。更にP
による耐食性向上作用は、Cuおよび/または希土類元
素を添加することにより一層増大すること;更にその作
用を向上させるには、これらの鋼に、更にCa,4A族
元素,5A族元素,6A族元素および/または8族元素
(Feを除く)を添加した組成とすることが有用である
ことを見出した。
【0009】本発明では、Pの含有量を0.03%を超
え0.08%以下とすることが必要である。Pは上述し
た様に鋼の耐食性を高める元素であるが、その作用を有
効に発揮させるには0.03%を超える添加が必要であ
る。好ましい下限値は0.04%である。しかし、Pを
過剰に添加すると鋼の延性・靭性が低下してしまい、伸
線加工時に断線が続発するのでその上限を0.08%と
した。好ましい上限値は0.07%である。
【0010】本発明のスチールコード用鋼は、この様に
耐食性作用を有効に発揮し得る様、P量を特定した点に
特徴を有するのであり、その他の化学成分については、
通常用いられるスチールコード用鋼の範囲内であって特
に規定されるものではないが、具体的な鋼組成として上
述した〜の各構成要件について述べる。なお、これ
らの鋼は全て上述したP量を含むので、以下の記載では
Pは省略している。
【0011】本発明の第1鋼について:本発明第1鋼
は、C,S,MnおよびPを基本成分とするものであ
る。 C:0.20〜1.2% Cは鋼の強度を高める元素として有用であり、その様な
作用を有効に発揮させるには0.20%以上の添加が必
要である。下限値として好ましいのは0.40%、より
好ましくは0.60%である。しかしながら、過剰に添
加すると伸線加工時または撚線加工時に断線が多発する
と共に耐食性を劣化させるので、その上限値を1.2%
とする。上限値として好ましいのは1.0%、より好ま
しくは0.95%、更により好ましくは0.90%であ
る。
【0012】Si:0.01〜0.8% Siは鋼の脱酸に有用であり、フェライト中に固溶して
強度を高める元素である。この様な作用を有効に発揮さ
せるには0.01%以上の添加が必要である。下限値と
して好ましいのは0.05%、より好ましくは0.10
%である。しかしながら、過剰に添加すると加工性を阻
害すると共に、耐食性にも悪影響を及ぼすので上限値を
0.8%とする。上限値として好ましいのは0.30
%、より好ましくは0.25%、更により好ましくは
0.20%である。
【0013】Mn:0.01〜1.0% MnもSiと同様、脱酸剤として有用であり、また鋼中
のSと結合してMnSを生成し、Sによる鋼線の脆化を
抑制する作用がある。この様な作用を有効に発揮させる
には0.01%以上の添加が必要である。下限値として
好ましいのは0.05%、より好ましくは0.10%で
ある。しかしながら、過剰に添加すると鋼の焼入性が増
大し、加工性が阻害されるので上限値を1.0%とす
る。上限値として好ましいのは0.5%、より好ましく
は0.4%、更により好ましくは0.3%である。
【0014】本発明の第2鋼について:本発明第2鋼
は、上記第1鋼に加えて、更にCuを含有するものであ
る。従って、C,Si,Mn,Pの含有量は上記第1鋼
に記載の通りである。
【0015】Cu:0.05〜0.50% CuはPと同様、緻密で安定な錆層を鋼線表面に形成さ
せるので耐食性向上元素として有用であり、その作用を
有効に発揮させるには0.05%以上の添加が必要であ
る。下限値として好ましいのは0.07%、より好まし
いのは0.10%である。一方、過剰に添加すると分塊
工程時や熱間圧延時における割れの原因となるので、そ
の上限を0.50%とする。上限値として好ましいのは
0.45%、より好ましいのは0.40%である。
【0016】本発明の第3鋼について:本発明第3鋼
は、第1鋼に加えて、更に少なくとも1種の希土類元素
を含有するものである。従って、C,Si,Mn,Pの
含有量は上記第1鋼に記載の通りである。
【0017】少なくとも1種の希土類元素:0.001
〜0.050% Sc、Y、およびランタノイドに属する元素(例えば、
La,Ce等)から構成される希土類元素は、腐食溶解
時に塩基性を示すので、腐食生成物の加水分解によって
生じるpHの低下を緩和すると共に、腐食促進物質であ
る塩素イオンの濃縮を抑制することができ、鋼の耐食性
を向上させるのに有用である。本発明において用いられ
る希土類元素は特に限定されず、例えばミッシュメタル
(Ceを主体として更に30%程度のFe,Ni,Co
等を添加したもの、あるいはCeの代わりにLaを使用
したLa−Mg系、La−Pb系、La−Sn系合金
等)等の使用も勿論可能である。これらは単独で使用し
ても良いし、あるいは2種以上併用することも可能であ
る。上述した作用を有効に発揮させるには、上記希土類
元素を総量として0.001%以上添加することが必要
である。下限値として好ましいのは0.005%、より
好ましいのは0.010%である。しかし、過剰に添加
すると介在物を形成してしまい、鋼の伸線加工性を阻害
する恐れがあるので、その上限を0.050%とする。
上限値として好ましいのは0.045%、より好ましい
のは0.040%である。このうち耐食性の観点から推
奨されるのは、La,Ceおよび/またはミッシュメタ
ルである。
【0018】本発明の第4鋼について:本発明第4鋼
は、上記第2鋼に加えて、上記第3鋼に用いた希土類元
素を少なくとも1種含有するものである。従って、C,
Si,Mn,P,Cuの含有量は第2鋼に記載の通りで
あり、希土類元素の含有量は第3鋼に記載の通りであ
る。
【0019】本発明の第5鋼について:本発明第5鋼
は、上記〜の各鋼に、更に以下の元素を含有するも
のである。 Ca:0.001〜0.020%, 4A族元素:0.
01〜0.20%,5A族元素:0.01〜0.50
%,6A族元素:0.01〜0.50%および8族元素
(Feを除く):0.01〜0.50%よりなる群から
選択される少なくとも1種 これらの元素も基本的に耐食性を向上させる作用を有
し、上記の各鋼と併用して用いることにより、その作用
を更に向上させることができる。これらの元素は単独で
用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0020】Ca:0.001〜0.020% Caも上記希土類元素と同様、溶解によって塩素イオン
の濃縮を抑制する結果、鋼の耐食性を向上させる元素で
ある。この様な作用を有効に発揮させるためには、0.
001%以上の添加が必要である。下限値として好まし
いのは0.005%である。しかし過剰に添加すると粗
大な介在物を形成し、伸線性および靭性が劣化するので
その上限を0.020%とする。上限値として好ましい
のは0.015%である。
【0021】4A族元素:0.01〜0.20% 4A族元素であるTi,ZrおよびHfは、結晶粒の微
細化による高強度化および生成錆の緻密化による耐食性
の向上に有用な元素であり、これらの元素を1種、また
は2種以上併用することが可能である。この様な作用を
有効に発揮させるには総量として0.01%以上の添加
が必要である。下限値として好ましいのは0.05%で
ある。しかし、過剰に添加すると炭化物(TiC)等が
析出して伸線加工性が阻害されるので、その上限を0.
20%とする。上限値として好ましいのは0.015%
である。このうち、耐食性の観点から最も推奨されるの
は、Ti:0.01〜0.20%(好ましくは0.05
〜0.15%)である。
【0022】5A族元素:0.01〜0.50% 5A族元素であるV,NbおよびTaは、上記4A族元
素と同様、鋼の結晶粒微細化による高強度化作用と共
に、生成錆の緻密化による耐食性の向上に有用な元素で
ある。また、Nbを用いた場合には、Crの炭化物が粒
界に析出するのを防ぐ作用も有する。これらの元素は単
独で用いてもよく、2種以上併用してもよいが、この様
な作用を有効に発揮させるには総量として0.01%以
上の添加が必要である。下限値として好ましいのは0.
05%、より好ましいのは0.10%である。しかし、
過剰に添加すると伸線加工性が劣化すると共に、Ta等
は非常に高価な元素であるので、その上限を0.50%
とする。上限値として好ましいのは0.45%、より好
ましいのは0.40%である。このうち、耐食性の観点
から最も推奨されるのは、Nb:0.01〜0.50%
(好ましくは0.05〜0.40%)、Ta:0.01
〜0.50%(好ましくは0.05〜0.40%)であ
る。
【0023】6A族元素:0.01〜0.50% 6A族元素としてはCr、MoおよびWが挙げられ、こ
れらは各々単独で使用してもよいし、あるいは2種以上
併用することも可能である。各元素の好ましい範囲は以
下の通りである。
【0024】Cr:0.05〜0.50% Crは酸化性環境下において鋼の耐食性を向上させる元
素である。また伸線加工時における加工硬化率を高める
作用も有するので、耐食性に有害なC量を低減して所定
の強度を得ることが可能である。この様な作用を有効に
発揮させるには0.05%以上の添加が必要である。下
限値として好ましいのは0.08%、より好ましいのは
0.10%である。しかし、Crは非酸化性環境下にお
いては逆に耐食性を劣化させると共に、Niと同様、熱
間圧延後の脱スケール性を劣化させるので、その上限を
0.50%とする。上限値として好ましいのは0.45
%、より好ましいのは0.40%である。
【0025】W:0.01〜0.50% Wは、腐食溶解時においてインヒビター作用のあるタン
グステン酸イオンを形成して耐孔食性を向上させる元素
である。この様な作用を有効に発揮させるには0.01
%以上の添加が必要である。下限値として好ましいのは
0.05%、より好ましいのは0.10%である。しか
し、過剰に添加すると熱間加工性が低下するのでその上
限を0.50%とする。上限値として好ましいのは0.
45%、より好ましいのは0.40%である。
【0026】Mo:0.01〜0.50% MoもWと同様、腐食溶解時にインヒビター作用のある
モリブデン酸イオンを形成して耐孔食性を向上させる元
素である。この様な作用を有効に発揮させるには0.0
1%以上の添加が必要である。下限値として好ましいの
は0.05%、より好ましいのは0.10%である。し
かし、過剰に添加してもその効果が飽和するだけで無駄
であるのでその上限を0.50%とする。上限値として
好ましいのは0.45%、より好ましいのは0.40%
である。これらの組み合わせ例として推奨されるのは、
Cr−Moであり、その好適数値範囲は上述した通りで
ある。
【0027】8族元素(Feを除く):0.01〜0.
50% 8族元素も耐食性向上元素として有用であり、本発明に
おいては8族に属する元素であれば特に限定されず、こ
れらの元素を1種、または2種以上併用して用いること
が可能である。そのなかでも、特にNiおよび/または
Coの使用が好ましい。
【0028】Ni:0.05〜0.50% Niはフェライト中に固溶して伸線加工性および靭性を
向上させると共に、陽極活性度を低下して耐食性を向上
させる元素である。この様な作用を有効に発揮させるに
は0.05%以上の添加が必要である。下限値として好
ましいのは0.10%、より好ましいのは0.15%で
ある。しかし、過剰に添加するとスケールが緻密にな
り、熱間圧延後の脱スケール性が低下してしまうのでそ
の上限を0.50%とする。上限値として好ましいのは
0.45%、より好ましいのは0.40%である。
【0029】Co:0.01〜0.50% Coは耐食性、伸線加工性および撚線加工性を向上させ
る元素である。この様な作用を有効に発揮させるには
0.01%以上の添加が必要である。下限値として好ま
しいのは0.05%、より好ましいのは0.10%であ
る。しかし、過剰に添加してもその作用が飽和すると共
に、コスト高になるだけであるので、その上限を0.5
0%とする。上限値として好ましいのは0.45%、よ
り好ましいのは0.40%である。また、NiおよびC
oを併用して用いる場合の好適な範囲は両元素とも、
0.10〜0.40%、より好適な範囲は0.15〜
0.30%である。
【0030】
【実施例】次に本発明の実施例を示すが、本発明はもと
より下記実施例によって制限を受けるものではなく、前
後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施
することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の
技術的範囲に含まれる。
【0031】まず、表1に示す様な化学組成(全て重量
%で表す,残部はFeおよび不可避的不純物)を有する
供試鋼を熱間圧延した後、得られた線材を一次伸線加
工、パテンティング処理、二次伸線加工、再度のパテン
ティング処理およびめっき処理等を順次施し、最終的に
湿式伸線加工を行うことにより、線径:0.20mmの
スチールコードを作製した。
【0032】
【表1】
【0033】この様にして得られたスチールコードを長
さ50mmにカットしてスチールフィラメントとした
後、図1に示す様なカーボンブラック等を添加したゴム
(80×50×10mm)中に埋め込んで加硫してか
ら、図示の如くクロスカットを施した。次に、上記の各
スチールコード入りゴムを、30℃に保温した5%のN
aCl水溶液中に2ヶ月間浸漬した後、腐食減量をそれ
ぞれ測定した。各供試鋼の耐食性は、供試鋼No.1の
腐食減量に対する比で表すことにより評価した。図2
は、この様にして得られた各供試鋼の腐食比を横軸をP
含有量とするグラフ上にプロットして示したものであ
る。なお図中の数字は、それぞれ本実施例で用いた供試
鋼No.を表す。
【0034】図2から明らかな様に、本発明の要件を満
足する鋼はいずれも比較鋼に比べ耐食性に優れているこ
とが分かった。この耐食性向上効果は、第1鋼の如くP
を添加する、第2鋼の如くPとCuを添加するか又は第
3鋼の如くPと希土類元素を添加する、第4鋼の如く
P、Cuおよび希土類元素を添加する、第5鋼の如く
P、Cu、希土類元素およびCa等を添加することが有
効であり、その効果は、この順序で高くなることが分か
った。また、同系列の鋼組成であっても、Pの添加量が
多くなれば耐食性も向上することが分かった。
【0035】これに対して本発明の要件を満足しない比
較鋼は、いずれも本発明鋼に比べて耐食性に劣ってい
た。このうち、No.4,5はP量が多すぎるために断線
が生じて伸線加工ができなかったので、耐食性を評価す
ることができなかった。
【0036】
【発明の効果】本発明のスチールコード用鋼は以上のよ
うに構成されており、化学成分を適切に制御することに
より、優れた耐食性を有するスチールコード用鋼が得ら
れた。本発明のスチールコード用鋼を使用すれば、タイ
ヤなどの補強材入りゴム製品の耐久寿命特性を向上させ
ることができると共に、この様なゴム製品を効率よく製
造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐食性試験に使用したサンプルの斜視図であ
る。
【図2】各供試鋼の腐食比とP含有量の関係を示すグラ
フである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 茨木 信彦 兵庫県神戸市灘区灘浜東町2番地 株式会 社神戸製鋼所神戸製鉄所内 (72)発明者 落合 憲二 兵庫県神戸市灘区灘浜東町2番地 株式会 社神戸製鋼所神戸製鉄所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 P:0.03%を超え0.08%以下
    (重量%,以下同じ)を含有することを特徴とする耐食
    性に優れたスチールコード用鋼。
  2. 【請求項2】 C:0.20〜1.2%,Si:0.0
    1〜0.8%,Mn:0.01〜1.0%,P:0.0
    3%を超え0.08%以下,残部:Feおよび不可避的
    不純物からなる請求項1に記載のスチールコード用鋼。
  3. 【請求項3】 更にCu:0.05〜0.50%を含有
    するものである請求項1または2に記載のスチールコー
    ド用鋼。
  4. 【請求項4】 更に、少なくとも1種の希土類元素を総
    量として0.001〜0.050%含有するものである
    請求項1〜3のいずれかに記載のスチールコード用鋼。
  5. 【請求項5】 更に、Ca:0.001〜0.020
    %,4A族元素:0.01〜0.20%,5A族元素:
    0.01〜0.50%,6A族元素:0.01〜0.5
    0%および8族元素(Feを除く):0.01〜0.5
    0%よりなる群から選択される少なくとも1種を含有す
    るものである請求項1〜4のいずれかに記載のスチール
    コード用鋼。
JP7002938A 1995-01-11 1995-01-11 耐食性に優れたスチールコード用鋼 Withdrawn JPH08188851A (ja)

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