JP2000063643A - 金属ラミネート用ポリエステル樹脂組成物、およびこれを用いた金属ラミネート用ポリエステルフィルムとラミネート金属材料 - Google Patents

金属ラミネート用ポリエステル樹脂組成物、およびこれを用いた金属ラミネート用ポリエステルフィルムとラミネート金属材料

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JP2000063643A
JP2000063643A JP23471398A JP23471398A JP2000063643A JP 2000063643 A JP2000063643 A JP 2000063643A JP 23471398 A JP23471398 A JP 23471398A JP 23471398 A JP23471398 A JP 23471398A JP 2000063643 A JP2000063643 A JP 2000063643A
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polyester resin
metal
metal laminating
film
resin composition
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Hideki Kihara
英樹 木原
Jun Yoshida
純 吉田
Seisuke Tanaka
清介 田中
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた機械物性、耐熱性、耐候性を有する金
属ラミネート用ポリエステル樹脂組成物と、これを用い
た金属ラミネート用ポリエステルフィルムとラミネート
金属材料を提供する。 【解決手段】 ブチレンテレフタレート単位を70mo
l%以上含むポリエステル樹脂に、繰り返し単位の炭素
数が2以上のポリオキシアルキレングリコールが0.5
〜40wt%配合されたポリエステル樹脂成分を主成分
とする金属ラミネート用ポリエステル樹脂組成物であっ
て、紫外線吸収能が付与され、かつ、融点が170〜2
24℃であることを特徴とする金属ラミネート用ポリエ
ステル樹脂組成物を用いて金属ラミネート用ポリエステ
ルフィルムとラミネート金属材料を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属ラミネート用ポ
リエステル樹脂組成物、金属ラミネート用ポリエステル
フィルム、およびラミネート金属材料に関し、特に様々
な使用環境にも耐え得る特性を備えたものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属の表面の耐擦過性を高め、外
観を保護するため、金属の表面に合成樹脂製フィルムを
積層したラミネート金属材料は、建材、家電などの分野
に多用されてきた。このような用途においては、金属ラ
ミネート用フィルムとして、ポリ塩化ビニル、ポリスチ
レンなどからなる合成樹脂フィルムが主に用いられてき
た。ラミネート金属材料は、金属を有機溶剤系塗料によ
って塗装したものなどと比較して、有機溶剤や、乾燥・
焼き付け時の多量の熱エネルギーが必要とされないとい
った利点を有している。
【0003】しかしながら、近年、環境問題の観点か
ら、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンなどの使用は避けら
れる傾向にある。また、ラミネート金属材料の用途が広
がり、外観の向上や、様々な使用環境への対応が要求さ
れている。このような要求に応えるには、従来のポリ塩
化ビニルやポリスチレンからなる金属ラミネート用フィ
ルムでは不十分であった。
【0004】そこで、最近、物性、耐薬品性、外観など
に優れるポリエステルフィルムが注目され、検討されて
いる。例えば、特開平8−40437号公報、特開平8
−156206号公報、特開平8−198272号公報
などには、ポリエチレンテレフタレート、あるいはイソ
フタル酸変性ポリエチレンテレフタレートからなるポリ
エステルフィルムを用いた技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
特開平8−40437号公報、特開平8−156206
号公報、特開平8−198272号公報などに記載のポ
リエステルフィルムを用いた場合は、ラミネート金属材
料を加工する際などに曲げ応力などが加わると、金属ラ
ミネート用フィルムの一部が白く変化する、いわゆる白
化や、金属ラミネート用フィルムのヒビ割れなどが発生
しやすいという欠点があった。また、高温の使用環境下
において、金属ラミネート用フィルムの変形が発生した
り、金属材料から金属ラミネート用フィルムが剥離しや
すいという問題があった。また、ラミネート金属材板を
飲食料用の缶などに用いる場合には、成形した缶に飲食
料を詰めて密閉した後に、例えば100℃以上の飽和水
蒸気中、30分程度の特殊な条件で熱殺菌するレトルト
処理が必要とされる。このレトルト処理を行うと、金属
ラミネート用フィルムの透明性が低下したりする場合が
あった。さらに、建材などのように屋外で使用する場合
には、夏期には気温が35℃程度になったり、湿度が高
くなったりするため、機械的物性などが劣化したり、紫
外線によって金属ラミネート用フィルムの下の着色用の
塗料が変色したり、金属ラミネート用フィルム自体が変
色して外観が低下するなどの不都合があった。
【0006】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、優れた機械物性、耐熱性、耐候性を有し、外観に優
れた金属ラミネート用ポリエステル樹脂組成物と、これ
を用いた金属ラミネート用ポリエステルフィルムとラミ
ネート金属材料を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明においては、ブチレンテレフタレート単位を
70モル%以上含むポリエステル樹脂に、繰り返し単位
の炭素数が2以上のポリオキシアルキレングリコールが
0.5〜40重量%配合されたポリエステル樹脂成分を
主成分とする金属ラミネート用ポリエステル樹脂組成物
であって、紫外線吸収能が付与され、かつ、融点が17
0〜224℃であることを特徴とする金属ラミネート用
ポリエステル樹脂組成物を提案する。前記紫外線吸収能
は、前記ポリエステル樹脂のモノマーとして、紫外線吸
収能を有するものを配合するか、紫外線吸収剤の添加に
よって付与することができる。また、前記金属ラミネー
ト用ポリエステル樹脂組成物からなる金属ラミネート用
ポリエステルフィルムを提案する。この金属ラミネート
用ポリエステルフィルムは、フィルム厚20μmの場合
に、360nm以下の波長領域の紫外線の透過率が10
%以下であると好ましい。また、これらの金属ラミネー
ト用ポリステルフィルムが積層されてなるラミネート金
属材料を提案する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、ポリブチレンテレフタ
レートをポリエーテルで変性したポリエステルエラスト
マー(ポリエステル樹脂)が、結晶性、柔軟性が良好で
あり、耐熱性・耐衝撃性に優れた樹脂であるとの知見か
らなされもので、特に、加工性、耐熱性、耐候性に優れ
た金属ラミネート用フィルムやラミネート金属材料にお
いて、好ましい特性が得られる構成について検討し、完
成したものである。本発明の金属ラミネート用ポリエス
テル樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレートを基本
成分とするポリエステル樹脂を、ポリアルキレングリコ
ール(ポリエーテル)で変性し、かつ、紫外線吸収能を
付与したポリエステル樹脂成分を主成分とする。本発明
においては、便宜上、ポリエステルを構成する原料モノ
マー(酸成分とグリコール成分)の重合体をポリエステ
ル樹脂、これにポリアルキレングリコールが配合され、
さらに必要に応じて紫外線吸収剤が添加されたものをポ
リエステル樹脂成分、このポリエステル樹脂成分を主成
分として含むものを金属ラミネート用ポリエステル樹脂
組成物(以下、樹脂組成物と略記する)とする。
【0009】本発明において、ポリエステル樹脂中の基
本成分であるブチレンテレフタレート単位は70モル%
以上、より好ましくは75〜95モル%とされる。この
モル%は、ポリエステルの全酸成分と、全グリコール成
分のモル数をそれぞれ100%とするときのブチレンテ
レフタレート単位のモル数の割合である。70モル%未
満の場合は、結晶性が不十分となり、高温、高湿の処理
などによって白化や機械的物性などが発生する場合があ
る。
【0010】ポリブチレンテレフタレートは、ジメチル
フタレートあるいはテレフタル酸(酸成分)と、アルキ
レングリコール(グリコール成分)とを縮合重合して得
られるが、本発明においては、上述のブチレンテレフタ
レート単位の割合を満足する範囲で、他の酸成分やグリ
コール成分を加えて共重合させたポリエステル樹脂を用
いることができる。他の酸成分やグリコール成分は特に
限定しないが、樹脂組成物の特性を向上させる変性作用
を有するものが好ましい。
【0011】例えば、紫外線吸収能を有するモノマーを
配合して共重合させると、紫外線吸収能を有するポリエ
ステル樹脂が得られる。この結果、樹脂組成物に紫外線
吸収能を付与することができる。紫外線吸収能を有する
モノマーとしては、酸成分であるナフタレンジカルボン
酸などを例示することができる。紫外線吸収能を有する
モノマーの配合量は、後述するように、樹脂組成物を金
属ラミネート用ポリエステルフィルム(以下、金属ラミ
ネート用フィルムと略記する)に加工した際に、好まし
い紫外線透過率が得られるように調整される。例えば、
ナフタレンジカルボン酸を用いる場合には、ポリエステ
ル樹脂中の酸成分のうち、1モル%以上、好ましくは5
〜25モル%程度用いられる。
【0012】この他、好ましい酸成分としては、例えば
イソフタル酸、アジピン酸などがあげられる。これらの
中から1種あるいは2種以上を混合して用いることによ
って、結晶性の調節という作用が得られる。これら以外
の酸成分としては、例えば、(無水)フタル酸、セバシ
ン酸、アゼライン酸、グルタル酸、シュウ酸、コハク酸
などの従来公知のモノマーがあげられる。
【0013】好ましいグリコール成分としては、シクロ
ヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオ
キサイド付加物、エチレングリコール、ネオペンチルグ
リコールなどがあげられる。これらの中から1種あるい
は2種以上を混合して用いることによって、結晶性の調
節という作用が得られる。この他のグリコール成分とし
ては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール
などの従来公知のモノマーがあげられる。
【0014】 ポリアルキレングリコール
(ポリエーテル)は、前記ポリエステル樹脂を変性し、
耐衝撃性を付与するものである。ポリアルキレングリコ
ールは、繰り返し単位(モノマー)の炭素数が2以上、
実質的には2〜4のものが好ましい。具体的には、例え
ば、ポリエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレ
ングリコールなどがあげられる。その平均分子量は、ポ
リエチレングリコールの場合は300〜20000程
度、ポリオキシテトラメチレングリコールの場合は30
0〜4000程度のものが好ましい。平均分子量がこれ
らの範囲の下限値よりも小さい場合は、樹脂組成物の融
点が低下し、十分な耐熱性が得られない場合がある。ま
た、これらの範囲の上限値をこえると、ポリエステル樹
脂との相溶性が低下して透明性が損なわれることがあ
る。
【0015】 ポリアルキレングリコールの
配合量は、ポリエステル樹脂成分中、0.5〜40重量
%、好ましくは1〜35重量%とされる。0.5重量%
未満の場合は、耐衝撃性が十分に付与されず、ラミネー
ト金属材料の加工時に金属ラミネート用フィルムのビビ
割れや白化が発生することがあり、40重量%をこえる
と、ポリエステル樹脂と相溶しにくくなり、フィルムが
濁り、透明性が低下する場合があるため、十分な効果を
得ることができない。
【0016】また、ポリエステル樹脂成分中に紫外線吸
収剤を配合することによって、樹脂組成物に紫外線吸収
能を付与することができる。上述したように、紫外線吸
収能を有するモノマーを配合して共重合したポリエステ
ル樹脂を用いる場合には、必要な紫外線吸収能が得られ
れば、ポリエステル樹脂成分に、さらに紫外線吸収剤を
配合する必要はない。また、紫外線吸収能を有するモノ
マーを共重合させた場合においても、紫外線吸収剤を併
用して、樹脂組成物の紫外線吸収能を補強することもで
きる。
【0017】紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェ
ノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収
剤などが用いられる。前記ベンゾフェノン系紫外線吸収
剤としては、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなど
が好適である。前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロ
キシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリア
ゾールなどが好ましい。
【0018】紫外線吸収剤の配合量は、紫外線吸収能を
有するモノマーを配合する場合と同様に、後述するよう
に、金属ラミネート用フィルムに加工した際に、好まし
い紫外線透過率が得られるように調整される。紫外線吸
収剤の種類などによっても異なるが、例えば、紫外線吸
収剤の配合のみによって紫外線吸収能を付与する場合に
は、一般に、ポリエステル樹脂成分中に、0.1重量%
以上、好ましくは0.5〜10重量%配合される。
【0019】 本発明の樹脂組成物を製造す
るにおいては、例えばポリエステル樹脂の原料モノマー
とポリアルキレングリコールを仕込み、ポリエステル樹
脂の重合と、ポリエステル樹脂とポリアルキレングリコ
ールとの混合を同時に行い、ポリエステル樹脂とポリア
ルキレングリコールの混合物を効率よく得ることができ
る。あるいは、製造効率は低下するが、重合後にポリア
ルキレングリコールを配合することもできる。また、紫
外線吸収剤は、通常、ポリエステル樹脂の重合後に添加
する。紫外線吸収剤は、ポリエステル樹脂とポリアルキ
レングリコールの混合物に直接添加してもよいし、後述
する金属ラミネート用フィルムの成形時に添加し、ポリ
エステル樹脂成分(樹脂組成物)に混合しながら成形す
ることもできる。
【0020】 ポリエステル樹脂の重合方法
は、特に限定することはなく、例えば公知の直接重合法
やエステル交換法などによって製造することができる。
重合時の温度、圧力などの条件は、樹脂組成物の組成、
重合方法、樹脂組成物の平均分子量などによって適宜調
整される。また、重合時に、重合時間を短縮化するため
に、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、
トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価
アルコール、多塩基酸などの添加剤を用いることもでき
る。これらの添加剤の配合量は、樹脂組成物の組成、重
合方法などによって適宜調整される。
【0021】 また、樹脂組成物の融点は1
70〜224℃、より好ましくは175〜220℃とさ
れる。170℃未満の場合は結晶性が低く、使用環境に
よっては機械的強度の低下などが発生する場合がある。
224℃をこえると、結晶化度が高くなりすぎて、ラミ
ネート金属材料の加工時に、熱や曲げ応力が加わったと
きに、結晶化に起因する白化が発生することがある。ま
た、本発明の樹脂組成物の固有粘度は0.5〜1.5d
l/gとされる。この範囲のものを用いることによっ
て、フィルム加工の良好な成形性が得られる。なお、前
記固有粘度は、JIS Z8803に従い、フェノール
/テトラクロロエタン等重量混合溶液を溶媒として、2
5℃で測定して得られる値である。これらの融点や固有
粘度は、ポリエステル樹脂成分の組成(ポリエステル樹
脂中のブチレンテレフタレート単位の割合;ポリアルキ
レングリコールの種類、平均分子量、配合量など)など
によって調整される。
【0022】また、樹脂組成物には、ポリエステル樹脂
成分の他にも、本発明の特性を損なわない範囲内で各種
の合成樹脂、添加剤などを配合することができる。これ
らの配合量は特に限定しないが、樹脂組成物中のポリエ
ステル樹脂成分が少なくとも50重量%以上含まれるよ
うにすると、本発明の樹脂組成物の特性を有効に発現さ
せることができる。
【0023】本発明の樹脂組成物に配合することができ
る合成樹脂、添加剤としては、具体的には以下のような
ものを例示することができる。すなわち、ポリアミド、
ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリカー
ボネートなどの合成樹脂;シリカ、タルク、カオリン、
炭酸カルシウムなどの無機粒子;酸化チタン、カーボン
ブラックなどの顔料;酸化防止剤;難燃剤;離型剤;安
定剤;滑剤;加工助剤;耐衝撃助剤などである。これら
の合成樹脂、あるいは添加剤などは、樹脂組成物に直接
配合してもよいし、後述する金属ラミネート用フィルム
の成形時に樹脂組成物に添加し、混合しながら成形する
こともできる。
【0024】本発明の樹脂組成物を用いて、金属ラミネ
ート用フィルム、ラミネート金属材料を得るには、樹脂
組成物から金属ラミネート用フィルムを製造した後、こ
の金属ラミネート用フィルムを金属材料の表面に積層し
てラミネートすることもできるし、金属ラミネート用フ
ィルムの製造と金属材料のラミネートとを同時に行うこ
ともできる。金属ラミネート用フィルムによってラミネ
ートする金属材料(基材)は、特に限定しないが、例え
ば一般に、アルミ、鋼などからなる、板状などの金属成
形体が用いられる。
【0025】金属ラミネート用フィルムの製造方法とし
ては、溶剤流延法や、Tダイ法、インフレーション法な
どの溶融延伸法、カレンダー法などのいずれでもよい
が、経済性の点からTダイ法が好ましい。なお、成形時
の樹脂組成物の加熱によって、ポリエステル樹脂が加水
分解して劣化するのを避けるため、樹脂組成物中の水分
ができるだけ少ない状態で処理すると好ましい。このた
め、成形前に真空乾燥、除湿乾燥法などによって樹脂組
成物中の水分を除去したり、ベント式押出機を用いて、
溶融樹脂中の水分を除きながら押し出す方法などを採用
すると望ましい。また、押出直後に急冷すると、透明性
の良好な無配向物が得られるため、好ましい。
【0026】樹脂組成物を金属ラミネート用フィルムに
成形する場合は、溶融樹脂を冷却ロール上に押し出して
成形すると好ましい。また、金属ラミネート用フィルム
は、成形後に延伸して延伸フィルムにすると、機械物性
を向上させることができ、好ましい。例えば樹脂組成物
のTg(ガラス転移点)よりも3℃以上高い温度で、縦
方向、横方向、あるいは両方向に1.0〜5.0倍、好
ましくは1.5〜4.8倍のサイズになるように延伸す
る。延伸には同時二軸延伸、逐次二軸延伸、一軸延伸な
どの方法が適用される。また、横方向の延伸と縦方向の
延伸の順序は問わない。延伸フィルムはそのまま製品と
して使用できるが、延伸後に100〜200℃の温度条
件で、数秒から数十秒の熱処理を行うと、寸法安定性が
向上し、好ましい。
【0027】また、本発明の金属ラミネート用フィルム
は、直接金属材料の表面に積層し、熱圧着してラミネー
トすることができる。あるいは、用途などによっては金
属材料と金属ラミネート用フィルムとの接触面のうち、
どちらか一方に低結晶性ポリマーなどの熱融着層を形成
し、この熱融着層を介して金属材料と金属ラミネート用
フィルムとを一体化してもよい。また、金属ラミネート
用フィルムの製造とラミネートとを同時に行う場合に
は、例えば溶融樹脂を直接金属材料上にフィルム状に押
し出し、好ましくは急冷して透明性の良好な無配向物で
ある金属ラミネート用フィルムを得るとともに、金属材
料と一体化してラミネート金属材料を得る。
【0028】金属ラミネート用フィルムの厚さは、特に
限定されるものではなく、用途などによって適宜調節さ
れるが、実用的には1〜600μmの範囲のものが用い
られる。
【0029】また、本発明の金属ラミネート用フィルム
は、フィルム厚20μmの場合に、360nm以下の波
長領域の紫外線の透過率が10%以下とされている。1
0%をこえると、例えば金属材料の表面に塗布された着
色用の塗料上に金属ラミネート用フィルムが積層された
建材を屋外で使用した場合に、金属ラミネート用フィル
ムを紫外線が透過して、前記塗料が変色したり、金属ラ
ミネート用フィルム自体が変色するなどの不都合が発生
することがある。
【0030】また、本発明の金属ラミネート用フィルム
あるいはラミネート金属材料にあっては、さらに従来公
知の各種の加工処理を施して、所望の特性を付与するこ
とができる。加工処理の例としては紫外線、α線、β
線、γ線、あるいは電子線などの照射;コロナ処理、火
炎処理などの処理;塩化ビニリデン、ポリビニルアルコ
ール、ポリアミド、ポリオレフィンなどの合成樹脂の塗
布、ラミネート、あるいは金属の蒸着などがあげられ
る。
【0031】このように、本発明のポリエステル樹脂組
成物は、ポリエステル樹脂中のブチレンテレフタレート
単位が70モル%以上で、融点が170〜224℃であ
ることから、適度な結晶性が得られる。また、適度な配
合量のポリオキシアルキレングリコールによって変性さ
れて、耐衝撃性が付与されている。さらには、紫外線吸
収能を有するモノマーが共重合されてなるポリエステル
樹脂を用いたり、紫外線吸収剤を配合することによっ
て、紫外線吸収能が付与されている。このため、本発明
のポリエステル樹脂組成物から製造した金属ラミネート
用フィルム、およびラミネート金属材料は、機械物性、
耐熱性、耐候性に優れ、ラミネート金属材料の加工時に
曲げ応力が加わっても、金属ラミネート用フィルムに白
化やヒビ割れが発生しにくく、高温の使用環境において
も金属ラミネート用フィルムの変形や、金属材料からの
金属ラミネート用フィルムの剥離がおこりにくく、さら
には、紫外線にさらされても、変色などが発生しにくい
ものである。したがって、高温、屋外などの様々な使用
環境において使用することができる。例えば、屋外にて
長時間使用される建材などに好適である。
【0032】
【実施例】(実施例1〜14、比較例1〜5)表1に記
載した仕込組成の原料を、還流塔、撹拌装置を備えた反
応容器に仕込み、さらにこの原料に対して500ppm
のテトラブチレンチタネートを添加した。ついで、反応
温度140〜240℃の条件で、副生するメタノールを
留去しながら、メタノール留出量が理論量の90%にな
るまで反応させてエステル化物を得た。このエステル化
物を250℃で、副生するグリコール成分を5torr
以下の高真空で留去させながら、250℃での溶融粘度
が、極限粘度0.7(dl/g)のPET(ポリエチレ
ンテレフタレート)の285℃でのトルク値に相当する
まで溶融重合して、ポリエステル樹脂とポリアルキレン
グリコールの混合物を得た。
【0033】このポリエステル樹脂とポリアルキレング
リコールの混合物について、以下のようにして融点を測
定した。この融点の値は、樹脂組成物の融点とほぼ一致
する。 ・融点(Tm)の測定 ポリエステル樹脂とポリアルキレングリコールの混合物
を280℃で5分間溶融した後、ドライアイスを用いて
急激に冷却固化(メルトクエンチ)を行って試料を作製
した。この試料について、(株)島津製作所製、示差走
査熱量計(DSC)を用いて、昇温速度10℃/分・窒
素気流下の条件で、融解による吸熱変化のピーク値を測
定し、融点(Tm)とした。
【0034】このポリエステル樹脂とポリアルキレング
リコールの混合物を、水分率が100ppm以下になる
まで真空乾燥した。ついで、Tダイを備えた押出機を用
い、250℃の樹脂温で、紫外線吸収剤を添加して、混
合しながら、表面温度5℃の冷却ロール上に、溶融状態
の樹脂組成物を押し出し、厚さ20μmの無配向フィル
ム(金属ラミネート用フィルム)を得た。紫外線吸収剤
は、メチル3(3−2Hベンゾトリアゾール−2−イ
ル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
ピオネートとPEG300(PEG:ポリエチレングリ
コール)との反応生成物を用いた。表2に樹脂組成物の
組成として、紫外線吸収剤の配合量を示した。このフィ
ルムについて、(株)島津製作所製 UV−2400P
Cを用いて、フィルム厚20μmの場合の、360nm
以下の波長領域の紫外線透過率(UV透過率)を測定し
た。結果を表2に示した。
【0035】ついで、これらのフィルムを、フィルムを
構成する樹脂組成物の融点以上に加熱したアルミ板に貼
り合わせて熱圧着した後、5℃の冷水中で急冷してラミ
ネート金属板を得た。このラミネート金属材板につい
て、以下のようにしてその物性について評価した。
【0036】(a)耐レトルト性 ラミネート金属材板を、120℃の飽和水蒸気中で30
分レトルト処理した後、透明性について目視で観察し、
以下の基準で評価した。 ○:曇り、白化など無し。 ×:曇り、白化など有り。 結果を表2に示した。
【0037】(b)ラミネート性 ラミネート金属板を幅18mmの短冊状に切り出し、J
IS Z−15 52で規定された粘着テープを貼り付
けて試料とした。この試料について、(株)島津製作所
製オートグラフを用いて、10mm/minで180゜
剥離試験を行い、剥離強力を測定した。この剥離強度を
ラミネート性の指標とし、以下の基準で評価した。 ○:剥離強力が300gf以上か、300gf以上でフ
ィルムが破断。 ×:剥離強力が300gf未満。
【0038】(c)耐候性 ラミネート金属材料について、夏期一ヶ月間の屋外暴露
試験を行い、試験前と試験後の金属ラミネート用フィル
ムのb値をそれぞれ測定した。前記b値は、日本電色工
業(株)製 側色色差計 Z−1001DPを用いて測
定した値である。これらの測定値から、以下の式 Δb=(b1−b0)/b0×100 (式中、b0は試験前の金属ラミネート用フィルムのb
値、b1は試験後の金属ラミネート用フィルムのb値で
ある。)によってΔbを求め、このΔbについて、以下
の基準で金属ラミネート用フィルムの変色を評価した。 ◎(非常に良好) :Δb<50 ○(良好) :50≦Δb<100 ×(変色有り) :100≦Δb 結果を表2に示した。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】表2の結果からわかるように、本発明に係
る実施例1〜14においては、耐レトルト性、ラミネー
ト性、耐候性に優れたラミネート金属材料が得られた。
したがって、実施例1〜14のラミネート金属材料は、
レトルト処理を必要とする飲食料用途や、建材などのよ
うに屋外で使用するような用途において、外観の低下な
どが発生しにくいものであることが明らかになった。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の金属ラミ
ネート用ポリエステル樹脂組成物においては、ポリエス
テル樹脂中のブチレンテレフタレート単位が70モル%
以上で、融点が170〜224℃であることから、適度
な結晶性が得られる。また、適度な配合量のポリオキシ
アルキレングリコールによって変性されて、耐衝撃性が
付与されている。さらには、紫外線吸収能を有するモノ
マーが共重合されてなるポリエステル樹脂を用いたり、
紫外線吸収剤を配合することによって、紫外線吸収能が
付与されている。このため、本発明の金属ラミネート用
ポリエステル樹脂組成物から製造した金属ラミネート用
フィルム、およびラミネート金属材料は、機械的物性、
耐熱性、耐候性に優れ、ラミネート金属材料の加工時に
曲げ応力が加わっても、金属ラミネート用フィルムに白
化やヒビ割れが発生しにくく、高温の使用環境において
も金属ラミネート用フィルムの変形や、金属材料からの
金属ラミネート用フィルムの剥離がおこりにくく、さら
には、紫外線にさらされても、変色などが発生しにく
い。したがって、高温、屋外などの様々な使用環境にお
いて使用することができる。例えば、屋外にて長時間使
用される建材などに好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09J 167/02 C09J 167/02 171/02 171/02 //(C08L 67/02 71:02) (72)発明者 田中 清介 愛知県豊橋市牛川通4丁目1の2 三菱レ イヨン株式会社豊橋事業所内 Fターム(参考) 4F100 AB01B AB10B AK42A AL05A BA02 CA07A GB07 GB48 JA04A JD09A JD14A JJ03 JL09 YY00A 4J002 CF071 CF271 CH022 EE036 EJ016 EU176 FD056 GF00 GG02 GL00 4J040 ED041 ED161 EE022 HB15 HB19 HC25 KA29 LA07 LA08 MA02 MA10 NA08 NA12 NA19

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブチレンテレフタレート単位を70モル
    %以上含むポリエステル樹脂に、繰り返し単位の炭素数
    が2以上のポリオキシアルキレングリコールが0.5〜
    40重量%配合されたポリエステル樹脂成分を主成分と
    する金属ラミネート用ポリエステル樹脂組成物であっ
    て、 紫外線吸収能が付与され、かつ、融点が170〜224
    ℃であることを特徴とする金属ラミネート用ポリエステ
    ル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の金属ラミネート用ポリ
    エステル樹脂組成物からなることを特徴とする金属ラミ
    ネート用ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の金属ラミネート用ポリエ
    ステルフィルムにおいて、フィルム厚20μmの場合
    に、360nm以下の波長領域の紫外線の透過率が10
    %以下であることを特徴とする金属ラミネート用ポリエ
    ステルフィルム。
  4. 【請求項4】 請求項2または3に記載の金属ラミネー
    ト用ポリステルフィルムが積層されていることを特徴と
    するラミネート金属材料。
JP23471398A 1998-08-20 1998-08-20 金属ラミネート用ポリエステル樹脂組成物、およびこれを用いた金属ラミネート用ポリエステルフィルムとラミネート金属材料 Withdrawn JP2000063643A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108779378A (zh) * 2016-04-15 2018-11-09 尤尼吉可株式会社 粘接剂组合物

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