JP2000062447A - 車両用空調装置 - Google Patents

車両用空調装置

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JP2000062447A JP10239348A JP23934898A JP2000062447A JP 2000062447 A JP2000062447 A JP 2000062447A JP 10239348 A JP10239348 A JP 10239348A JP 23934898 A JP23934898 A JP 23934898A JP 2000062447 A JP2000062447 A JP 2000062447A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 下り坂や長時間の減速時に、防曇性能の低下
やヒータ性能の低下を招くことのない車両用空調装置を
提供すること。 【解決手段】 エアコンサイクルによる暖房運転を行な
っているときに、車両が予め設定された時間以上続けて
下り坂走行や減速走行の状態になったと判断された場合
に、外気導入量補正手段によって外気導入量を増やす。
また、エアコンサイクルによる暖房運転を行なっていな
いときに、車両が予め設定された時間以上続けて下り坂
走行や減速走行の状態になったと判断された場合に、エ
アコン運転自動開始手段によって自動的にエアコンサイ
クルによる暖房運転を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両用空調装置、よ
り具体的には、コンプレッサの駆動により冷媒を車室外
熱交換器及び車室内熱交換器に循環させる蒸気圧縮サイ
クルを備えた車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電気自動車のように暖房用熱源がない車
両やエンジン冷却水の熱量が不足してヒータ性能が足り
ない車両に適用して、エアコンサイクルによる暖房運転
を行なうことができる従来の車両用空調装置としては、
例えば実開昭61−101020号公報に開示されてい
るような空調装置が知られている。
【0003】この従来技術によるエアコンサイクルは、
コンプレッサ、切替弁、主凝縮器、膨張弁、蒸発器、暖
房用凝縮器で構成されており、暖房時は、コンプレッサ
→切替弁→暖房用凝縮器→膨張弁→蒸発器→コンプレッ
サの順に冷媒が流れる。
【0004】暖房時は主凝縮器に冷媒を流さないので、
外気温の影響を受けることなくコンプレッサを運転する
ことができ、車室内空調風は、つねに蒸発器で冷却さ
れ、暖房用凝縮器で加熱されて車室内に吹き出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の水冷式エンジン
車では、コンプレッサを運転することなく、エンジン冷
却水の熱だけで十分に車室内を暖房することができた。
ところが、近年のエンジンの燃費効率化により、エンジ
ン冷却水の熱だけでは十分に暖房できなくなり、エアコ
ンサイクルによる暖房運転が必要になってきた。
【0006】エアコンサイクルによる暖房運転を行なう
場合、除湿によるガラスの防曇性能とヒータ性能の両立
が望まれる。ところが、コンプレッサはエンジンで運転
されるため、暖房運転中に下り坂や長時間の減速状態に
なると防曇性能が低下するといった問題点があった。ま
た、エアコンサイクルによる暖房運転を行なっていない
ときに、下り坂や長時間の減速状態になると、エンジン
発熱量が低下してヒータ性能低下を招くといった問題点
もあった。
【0007】本発明は、このような従来の問題点に着目
してなされたもので、下り坂や長時間の減速時に、防曇
性能の低下やヒータ性能の低下を招くことのない車両用
空調装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の課題を解
決するために、請求項1に記載の第1の発明の車両用空
調装置は、エンジンで駆動されるコンプレッサと、冷房
運転と暖房運転で冷媒流れを切り換える冷媒流路切換手
段と、冷媒と外気とで熱交換する車室外熱交換器と、冷
媒を断熱膨張させる膨張手段と、冷媒と車室内に吹き出
す空調風とで熱交換し、暖房時に、蒸発器となる第1の
車室内熱交換器と凝縮器となる第2の車室内熱交換器で
構成される車室内熱交換器とから成るエアコンサイクル
と、少なくとも計時手段と車速検出手段とエンジン回転
数検出手段から、車両の走行状態を判断する走行状態判
断手段と、前記エアコンサイクルが暖房運転を行なって
いるときに、前記走行状態判断手段により、下り坂走
行、あるいは、長時間の減速走行が予め設定された時間
よりも長く続いた場合に、外気導入量を増やす外気導入
量補正手段とを備えることを特徴とする。
【0009】また、請求項2に記載の第2の発明の車両
用空調装置は、エンジンで駆動されるコンプレッサと、
冷房運転と暖房運転で冷媒流れを切り換える冷媒流路切
換手段と、冷媒と外気とで熱交換する車室外熱交換器
と、冷媒を断熱膨張させる膨張手段と、冷媒と車室内に
吹き出す空調風とで熱交換し、暖房時に、蒸発器となる
第1の車室内熱交換器と凝縮器となる第2の車室内熱交
換器で構成される車室内熱交換器とから成るエアコンサ
イクルと、少なくとも計時手段と車速検出手段とエンジ
ン回転数検出手段から、車両の走行状態を判断する走行
状態判断手段と、前記エアコンサイクルが暖房運転を行
なっていないときに、前記走行状態判断手段により、下
り坂走行、あるいは、長時間の減速走行が予め設定され
た時間よりも長く続いた場合に、自動的に前記エアコン
サイクルによる暖房運転を行なうエアコン運転自動開始
手段とを備えることを特徴とする。
【0010】以下、本発明の作用を説明する。第1の発
明では、エアコンサイクルによる暖房運転を行なってい
るときに、車両が予め設定された時間以上続けて下り坂
走行や減速走行の状態になったと判断された場合に、外
気導入量補正手段によって外気導入量を増やす。この結
果、ガラスの曇りが発生しやすい下り坂走行や長時間の
減速走行時に、車室内吹出空気が第1の車室内熱交換器
で冷却されるときの冷却温度をより低下させてガラスの
防曇性を高めることができる。
【0011】また、第2の発明では、エアコンサイクル
による暖房運転を行なっていないときに、車両が予め設
定された時間以上続けて下り坂走行や減速走行の状態に
なったと判断された場合に、エアコン運転自動開始手段
によって自動的にエアコンサイクルによる暖房運転を行
なう。この結果、エンジン発熱量が減少して車室内吹出
温が低下する下り坂走行や長時間の減速走行時に、エア
コン暖房を付加することでヒータ性能の低下を防止する
ことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明による車両用空調装
置の実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明による車両用空調装置の一実施の形態を
示す概略構成図である。
【0013】まず、構成を説明する。図1において、コ
ンプレッサ31は、エンジンルームに設けられ、コンプ
レッサクラッチがONならばエンジン201で駆動さ
れ、OFFならばエンジンと切り離されて停止する。
【0014】冷媒流路切換手段としての四方弁73に
は、コンプレッサ31の吐出側と車室外熱交換器38と
第2の車室内熱交換器33とコンプレッサ31の吸入側
が接続され、暖房設定時には、実線示のような流路切り
換え状態となり、コンプレッサ31の吐出側と第2の車
室内熱交換器33および車室外熱交換器38とコンプレ
ッサ31の吸入側がそれぞれ連通する一方、冷房設定時
には、点線示のような流路切り換え状態となり、コンプ
レッサ31の吐出側と車室外熱交換器38および第2の
車室内熱交換器33とコンプレッサ31の吸入側がそれ
ぞれ連通する。車室外熱交換器38は、車室外に設けら
れ、コンプレッサ31から吐出される冷媒の熱を外気に
放熱する車室外コンデンサになっている。
【0015】第1の車室内熱交換器35と第2の車室内
熱交換器33は、ダクト39内に配置される。第1の車
室内熱交換器35の一端はコンプレッサ31の冷媒吸入
に、他端は膨張手段としての膨張弁34に接続し、コン
プレッサ31が運転しているときには、常に吸熱器とな
ってブロワファン37によって送風された空気を冷却す
る。第2の車室内熱交換器33の一端は四方弁73に接
続し、他端は逆止弁71に接続する。四方弁73が暖房
側に設定されたときには、第2の車室内熱交換器33が
放熱器となる状態となって暖房運転が行なわれ、四方弁
73が冷房側に設定されたときには、第2の車室内熱交
換器33に冷媒が流れない状態となって冷房運転が行な
われる。逆止弁70は、四方弁73が暖房側に設定され
たときに、第2の車室内熱交換器33で凝縮された冷媒
が車室外熱交換器38に流入することを阻止する。10
0は、バイパス路である。
【0016】また、ダクト39には、第2の車室内熱交
換器33の下流にヒータコア202が設けられ、エンジ
ン冷却水が流入する。203は、エンジン冷却水配管で
ある。
【0017】ダクト39の第1の車室内熱交換器35よ
りも上流側には、車室内空気を導入する内気導入口40
と、走行風圧を受けて外気を導入する外気導入口41と
が設けられている。この内気導入口40と外気導入口4
1とが分岐する部分には、内気導入口40と外気導入口
41とを任意に比率で開閉するインテークドア42が設
けられている。インテークドア42の開度たるインテー
クドア開度Xintは、外気導入量が零でフル内気とな
る位置をXint=0%と設定し、フル外気導入となる
位置をXint=100%と設定する。内気導入口40
と外気導入口41との空気導入側(空気流の下流側)と
第1の車室内熱交換器35との間には、ブロワファン3
7が配置され、制御装置43で駆動されるブロワファン
モータ44で回転駆動されるようになっている。
【0018】第2の車室内熱交換器33の下流側には、
エアミックスドア46が設けられている。このエアミッ
クスドア46は、制御装置43で駆動される図外のエア
ミックスドアアクチュエータにより、下流のヒータコア
202を通過する空気と通過しない空気の割合を調節す
るように開閉する。エアミックスドア46は、ヒータコ
ア通過風量を可変することができ、ヒータ風量可変手段
となっている。エアミックスドア46の開度たるエアミ
ックスドア開度Xmixは、エアミックスドア46が一
点鎖線示の位置となってヒータコア202を通過する空
気が零となるときをXmix=0%(全閉、Full
COOL)と設定し、エアミックスドア46が二点鎖線
示の位置となってすべての空気がヒータコア202を通
過するときをXmix=100%(全開、Full H
OT)と設定する。
【0019】ダクト39のヒータコア202よりも下流
側には、上記冷風と温風との混合を良くすることによ
り、温度調節された空調風を作る部屋としてのエアミッ
クスチャンバ47が設けられている。エアミックスチャ
ンバ47には、図外の対象乗員の上半身に向けて空調風
を吹き出すベンチレータ吹出口51と、対象乗員の足元
に向けて空調風を吹き出すフット吹出口53と、図外の
フロントウィンドガラスに向けて空調風を吹き出すデフ
ロスタ吹出口52とが設けられている。エアミックスチ
ャンバ47内には、ベンチレータドア55とフットドア
57とデフロスタドア56とが設けられている。ベンチ
レータドア55は、制御装置43で駆動される図外のベ
ンチレータドアアクチュエータにより、ベンチレータ吹
出口51を開閉する。フットドア57は、制御装置43
で駆動される図外のフットドアアクチュエータにより、
フット吹出口53を開閉する。デフロスタドア56は、
制御装置43で駆動される図外のデフロスタドアアクチ
ュエータにより、デフロスタ吹出口52を開閉する。デ
フロスタドア56は、デフロスタ吹出風量を可変するこ
とができ、デフロスタ風量可変手段となっている。デフ
ロスタドア56の開度たるデフロスタドア開度Xdef
は、デフロスタ吹出口52が全閉となる位置をXdef
=0%と設定し、デフロスタ吹出口52が全開となる位
置をXdef=100%と設定する。
【0020】制御装置43は、第1の車室内熱交換器作
動温度センサ59と日射量センサ61と外気温センサ6
2と室温センサ63と室温設定器64と吹出口モードス
イッチ65とブロワファンスイッチ66とエンジン冷却
水温センサ204などの熱環境情報入力手段から得られ
る第1の車室内熱交換器35の作動温度Tevaと、車
両の日射量Qsunと、車室外の外気温度Tambと、
車室内の検出温度(車室内温度)Troomと、車室内
の設定温度Tptcと、水温Twなどの熱環境情報によ
り、エアミックスドア開度Xmixとインテークドア開
度Xintとデフロスタドア開度Xdefと風量Vev
aと目標吹出温度Tofなどの目標冷暖房条件を演算
し、車室内の冷暖房条件が上記演算された目標冷暖房条
件を維持するように、ブロワファンモータ44とインテ
ークドアアクチュエータとエアミックスドアアクチュエ
ータとベンチレータアクチュエータとフットドアアクチ
ュエータとデフロスタドアアクチュエータなどを駆動す
る。また、制御装置43は、コンプレッサクラッチをO
N/OFFしたり、車速やエンジン回転数から車両がど
のような走行状態にあるかを検出する。第1の車室内熱
交換器作動温度センサ59は、第1の車室内熱交換器3
5の作動温度検出手段の役割も果たしている。
【0021】なお、実際の車両では、車室外熱交換器3
8の後にラジエータが設けられ、ここにもエンジン冷却
水が流れて外気に放熱するようになっているが、図1に
は図示されていない。また、本実施の形態では、加熱手
段としてエンジン冷却水を利用したヒータコアを例にし
て説明するが、電気ヒータや燃焼式ヒータ等の加熱手段
を用いてもよい。
【0022】図7〜図12は、本実施の形態の暖房運転
時の制御フローを示している。ステップS101で、エ
アコン暖房運転を開始すると、ステップS102では、
センサ値およびアクチュエータ出力を検出する。ここ
で、Tptcは設定温度、Twは水温、Tevaは第1
の車室内熱交換器35の作動温度、Tambは外気温、
Ticは室温、Qsunは日射量、Vfanはブロワフ
ァン電圧、Xdefはデフロスタドア開度、Xintは
インテークドア開度、Xmixはエアミックスドア開度
である。
【0023】ステップS103では、ステップS102
で検出したセンサ値やアクチュエータ出力を用いて、目
標吹出温度Tofを演算する。ステップS104では、
四方弁73を暖房側に設定する。
【0024】クーラサイクルとヒータコア202で構成
される従来の水冷式エンジン車のエアコンシステムで
は、外気温0℃以下ではコンプレッサ31を運転するこ
とがなかった(運転できなかった)。本発明によるエア
コンサイクルは、暖房時に蒸発器となる第1の車室内熱
交換器35と凝縮器となる第2の車室内熱交換器33を
備え、これら第1の車室内熱交換器35と第2の車室内
熱交換器33とで除湿暖房運転できるように構成するこ
とで、外気温0℃以下でもコンプレッサ31の運転を可
能としている。ところが、このようなエアコンサイクル
においても、第1の車室内熱交換器35の吸気負荷が低
い状態でコンプレッサ31を運転すると、コンプレッサ
31への液バックが激しくなったりコンプレッサ吸入圧
力が異常に低下するといった現象が見られる。
【0025】そこで、ステップS105では、インテー
クドア開度を予め設定した最小開度Xint.minと
したときの第1の車室内熱交換器35の吸込空気温度T
suc.sを予測し、ステップS106とステップS1
07では、予測されたTsu.sの大きさを比較するこ
とで、コンプレッサ31を運転するか否かを判断する。
【0026】ステップS106において、Aは第1の車
室内熱交換器35の吸気負荷が低いのでコンプレッサ3
1を運転できない範囲、Bは第1の車室内熱交換器35
の吸気負荷が十分高いのでコンプレッサ31が運転可能
な範囲を示している。なお、ここでは、第1の車室内熱
交換器35の吸気空気温度のみで判断しているが、吸入
空気の湿度やブロワファン電圧を考慮して判断しても良
い。
【0027】ステップS107では、Tsuc.sがス
テップS106でAとBのどちらになったかを判断し、
Aの場合にはステップS123に進み、Bの場合にはス
テップS108に進む。
【0028】ステップS108では、“Tw−Tof”
の大きさを比較し、“Tw−Tof”が予め設定した温
度差ΔTよりも大きい場合は、水温が十分に高いので、
コンプレッサ31を運転して除湿暖房運転する必要がな
いと判断して、ステップS123に進む。逆に、“Tw
−Tof”≦ΔTの場合には、水温が目標温度まで上昇
していないので、ステップS109に進む。
【0029】ステップS109では、ガラスの防曇に関
する温度や室温に基づいて、コンプレッサ31をON/
OFFさせる温度(Teva1,Teva2)を設定す
る。例えば、ガラスの防曇に関する温度や室温が低い場
合にはTeva1やTeva2を低い温度に設定し、ガ
ラスの防曇に関する温度や室温が上昇するにしたがって
Teva1やTeva2を徐々に高い温度に設定する。
ここでは、温度を用いているが、第1の車室内熱交換器
35の作動圧力やコンプレッサ31の吸入圧力を用いて
も同様の作用を得ることができる。
【0030】ステップS110とステップS111で
は、第1の車室内熱交換器35の作動温度TevaがC
1とC2のどちらの状態にあるかを判断する。Teva
<Teva.1ならば、第1の車室内熱交換器35の作
動温度が低く、コンプレッサ31の吸入圧力が負圧に近
い状態まで低下し、コンプレッサ31にオイルが戻り難
くなっていると判断されるので、コンプレッサ31を停
止する必要がある。逆に、Teva>Teva.2なら
ば、第1の車室内熱交換器35で十分除湿されない空気
がガラス面に流れ、ガラスの防曇維持が困難になると判
断されるので、コンプレッサ31を運転する必要があ
る。ステップS111では、TevaがC1の状態にあ
る場合にはステップS123に進み、TevaがC2の
状態にある場合にはステップS112に進む。
【0031】ステップS112とステップS113で
は、水温TwがD1とD2のどちらの状態にあるかを判
断する。Tw<Tw.1ならば、水温が低く、エンジン
や車室内のウォームアップが不十分であると判断される
のでウォームアップを優先させる必要があり、逆に、T
w>Tw.2ならば、水温が所定の温度まで上昇してい
るのでコンプレッサ31の運転率を低下させてエンジン
201の燃費悪化防止を優先させる必要がある。ステッ
プS113では、TwがD1の状態にある場合にはステ
ップS116に進み、TwがD2の状態にある場合には
ステップS114に進む。
【0032】ステップS114とステップS115で
は、エンジン回転数がE1とE2のどちらの状態にある
かを判断する。エンジン回転数がNe.2よりも高いな
らば、コンプレッサ31を運転しなくても水温が上昇す
るので、コンプレッサ31をOFFできると判断し、逆
に、エンジン回転数がNe.1よりも低いならば、コン
プレッサ31を運転しないと水温が低下してヒータ性能
が悪化するので、コンプレッサ31をONする必要があ
ると判断する。ステップS115では、エンジン回転数
がE1の状態にある場合にはステップS116に進み、
エンジン回転数がE2の状態にある場合にはステップS
123に進む。
【0033】ステップS116では、コンプレッサ31
をONする。
【0034】ステップS117では、車速が予め設定し
た車速Vsetよりも高く、エンジン回転数Nengが
予め設定したエンジン回転数Nsetよりも低い状態
が、予め設定した時間よりも長く続いているか否かを判
断し、条件が満足されない場合にはステップS118に
進み、条件が満足される場合にはステップS119に進
む。
【0035】ステップS118では、通常のインテーク
制御を行い、インテークドア開度をXint.setに
設定する。
【0036】ステップS119では、インテークドア開
度を通常のインテーク制御時の開度Xint.setに
補正分αを加えた開度に設定する。これによって外気導
入量が増加し、第1の車室内熱交換器35における車室
内吹出空気の冷却温度が低下し、ガラスの防曇維持能力
を高めることができる。
【0037】ステップS120では、ステップS103
で演算したTofに基づいて吹出口を制御する。
【0038】ステップS121では、ステップS103
で演算したTofあるいは乗員によるブロア選定に基づ
いてブロワファン電圧を制御する。
【0039】ステップS122では、ステップS103
で演算したTofに基づいてエアミックスドア46の開
度を制御する。
【0040】一方、ステップS107やステップS10
8やステップS111やステップS115において、エ
アコンサイクルによる暖房運転を行なわないと判断され
た場合には、ステップS123に進む。ステップS12
3では、ステップS117と同様に、車速が予め設定し
た車速Vsetよりも高く、エンジン回転数Nengが
予め設定したエンジン回転数Nsetよりも低い状態
が、予め設定した時間よりも長く続いているか否かを判
断し、条件が満足されない場合にはステップS125に
進み、条件が満足される場合にはステップS124に進
む。
【0041】ステップS124では、エンジン発熱量の
減少によって吹出温低下が予想されるので、エアコンサ
イクルによる暖房運転を行なうためにコンプレッサ31
をONする。
【0042】ステップS125では、吹出温低下が問題
ないレベルと判断され、エアコンサイクルによる暖房運
転を行なう必要がないので、コンプレッサ31をOFF
する。
【0043】ステップS126では、外気温が予め設定
した温度Tsetよりも高いか否かを判断する。外気温
が低い場合には、ステップS127に進んで通常のイン
テーク制御時のインテークドア開度Xint.setに
設定するが、エアコンサイクルによる暖房運転を必要最
小限に抑えて燃費悪化を防止するために、外気温がある
程度高い場合には、ステップS128に進んでフル外気
導入に設定する。
【0044】ステップS129では、ステップS125
でコンプレッサOFFとなるので、インテークドアはフ
ル外気導入状態に設定する。
【0045】インテーク制御はインテークドア開度を設
定値に固定するだけでなく、図12に示すように、風量
や外気温や熱負荷等に応じて目標開度を定めるようにし
てもよい。ここでは、風量に応じて目標開度を設定する
場合を例にして説明する。
【0046】ステップS201では、Vfanに応じ
て、第1の車室内熱交換器35の吸込空気温度Tsuc
の目標開度を設定する。Vfanが低下すると放熱器で
ある第2の車室内熱交換器33の通過風速が低下し、コ
ンプレッサ吐出圧力が上昇する。コンプレッサ吐出圧力
が上昇すると、エンジンのコンプレッサ駆動負荷が増加
する。そこで、本実施の形態のように、Vfanに比例
してTsucの目標温度を設定すると、Vfanが低下
した場合にはTsucが低下し、第1の車室内熱交換器
35の吸熱量が減少する。そして、第2の車室内熱交換
器33の放熱量も減少するので、Vfanが低下しても
コンプレッサ吐出圧力の上昇を防ぐことができる。
【0047】ステップS202では、TambやTic
やXintから、実際のTsucを推定する。
【0048】ステップS203では、TsucとTsu
cの目標温度との温度差ΔTsucを算出する。
【0049】ステップS204では、ΔTsucの大き
さを比較し、ΔTsuc<−Sの場合にはステップS2
05に進み、ΔTsuc>Sの場合にはステップS20
7に進み、それ以外の場合にはステップS206に進
む。
【0050】ステップS205では外気導入量が減る方
向にΔXintだけインテークドア42を動かし、ステ
ップS207では外気導入量が増える方向にΔXint
だけインテークドア42を動かし、ステップS206で
はインテークドア42の開度を維持する。
【0051】図2から図6は、別のエアコンサイクル構
成を示している。図2に示すエアコンサイクルは、図1
に示すエアコンサイクルにおいて、第2の車室内熱交換
器33の一端(暖房時の出口側、冷房時の入口側)と逆
止弁70の下流を絞り弁74と二方弁75を介してバイ
パス路で接続している。冷房運転時に二方弁75を開閉
すると、二方弁開状態では第1の車室内熱交換器35と
第2の車室内熱交換器33の両方が蒸発器となり、二方
弁閉状態では第1の車室内熱交換器35のみが蒸発器と
なるので、車室内の冷房負荷に応じて車室内蒸発器の吸
熱能力を可変することができる。暖房運転時には、第1
の車室内熱交換器35が蒸発器、第2の車室内熱交換器
33が凝縮器となる。
【0052】図3に示すエアコンサイクルは、図1に示
すエアコンサイクルにおいて、第2の車室内熱交換器3
3の一端(暖房時の出口側)と、膨張弁34と第1の車
室内熱交換器35の間を絞り弁80を介してバイパス路
で接続している。冷房運転時には、第1の車室内熱交換
器35と第2の車室内熱交換器33の両方が蒸発器とな
り、暖房運転時には、第1の車室内熱交換器35が蒸発
器、第2の車室内熱交換器33が凝縮器となる。
【0053】図4に示すエアコンサイクルは、図1に示
すエアコンサイクルにおいて、第1の車室内熱交換器3
5と第2の車室内熱交換器33の配置を変えた場合で、
冷房運転時には、第1の車室内熱交換器35が蒸発器と
なり、暖房運転時には、第1の車室内熱交換器35が蒸
発器、第2の車室内熱交換器33が凝縮器となる。
【0054】図5に示すエアコンサイクルは、図1に示
すエアコンサイクルにおいて、1つの車室内熱交換器2
05を第1の冷媒パス77と第2の冷媒パス76で構成
した場合で、冷房運転時には、第1の冷媒パス77が蒸
発部となり、暖房運転時には、第1の冷媒パス77が蒸
発部、第2の冷媒パス76が凝縮部となる。
【0055】図6に示すエアコンサイクルは、図3に示
すエアコンサイクルにおいて、冷媒流路切換手段として
四方弁73の代わりに二方弁81〜83を用いた場合の
エアコンサイクル構成を示している。
【0056】暖房運転時は、二方弁81が開状態、二方
弁82が閉状態、二方弁83が必要に応じて開閉する。
コンプレッサ31から吐出された高温高圧冷媒ガスは、
二方弁81を経由して第2の車室内熱交換器33に流入
し、ここで、第1の車室内熱交換器35の出口空気に放
熱して凝縮した後、絞り弁80で減圧されて低温低圧冷
媒となって第1の車室内熱交換器35に流入し、ここで
室内空調風から吸熱して低温低圧ガスとなって、再びコ
ンプレッサ31に吸入される。
【0057】一方、冷房運転時は、二方弁81と二方弁
83が閉状態、二方弁82が開状態になる。コンプレッ
サ31から吐出された高温高圧冷媒ガスは、二方弁82
を経由して車室外熱交換器38に流入し、ここで外気に
放熱して凝縮した後、膨張弁34で減圧されて低温低圧
冷媒となって第1の車室内熱交換器35に流入し、ここ
で室内空調風から吸熱して低温低圧ガスとなって、再び
コンプレッサ31に吸入される。
【0058】このように、冷房運転時に第2の車室内熱
交換器33に冷媒が流れなくなる点が、図3に示すエア
コンサイクルと大きく異なる点である。
【0059】本実施の形態では、図1に示す車両用空調
装置を例にして説明したが、図2〜図6に示すエアコン
サイクル、あるいは、これらを組み合わせたエアコンサ
イクルにおいても、同様の効果が得られる。
【0060】また、本実施の形態では、フロントのみに
エアコンを備えた場合を例にして説明したが、フロント
とリアにエアコンを備えた場合にも、同様の効果を得る
ことができる。
【0061】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
車両用空調装置によれば、エアコンサイクルによる暖房
運転を行なっているときに、車両が予め設定された時間
以上続けて下り坂走行や減速走行の状態になったと判断
された場合に、外気導入量補正手段によって外気導入量
を増やす。この結果、ガラスの曇りが発生しやすい下り
坂走行や長時間の減速走行時に、車室内吹出空気が第1
の車室内熱交換器で冷却されるときの冷却温度をより低
下させてガラスの防曇性を高めることができる。走行実
験によれば、通常のインテークドア開度よりも10〜2
0%程度外気導入量を増やすことで、ガラスの防曇性を
高めることができ、これによる吹出温低下は、外気温−
20℃の環境で3〜5℃程度と、暖房感を損なうレベル
ではなかった。
【0062】また、エアコンサイクルによる暖房運転を
行なっていないときに、車両が予め設定された時間以上
続けて下り坂走行や減速走行の状態になったと判断され
た場合に、エアコン運転自動開始手段によって自動的に
エアコンサイクルによる暖房運転を行なう。この結果、
エンジン発熱量が減少して車室内吹出温が低下する下り
坂走行や長時間の減速走行時に、エアコン暖房を付加す
ることでヒータ性能の低下を防止することができる。外
気温にもよるが、フル外気導入に近い条件で暖房運転を
行なうことで、車室内吹出温は5〜10℃程度高くな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車両用空調装置の一実施の形態の
概略構成図である。
【図2】別の実施の形態のエアコンサイクルの概略構成
図である。
【図3】別の実施の形態のエアコンサイクルの概略構成
図である。
【図4】別の実施の形態のエアコンサイクルの概略構成
図である。
【図5】別の実施の形態のエアコンサイクルの概略構成
図である。
【図6】別の実施の形態のエアコンサイクルの概略構成
図である。
【図7】暖房運転時の制御フローである。
【図8】暖房運転時の制御フローである。
【図9】暖房運転時の制御フローである。
【図10】暖房運転時の制御フローである。
【図11】暖房運転時の制御フローである。
【図12】別のインテーク制御の制御フローである。
【符号の説明】
31 コンプレッサ 33 第2の車室内熱交換器 34 膨張弁 35 第1の車室内熱交換器 37 ブロワファン 38 車室外熱交換器 39 ダクト 40 内気導入口 41 外気導入口 42 インテークドア 43 制御装置 46 エアミックスドア 47 エアミックスチャンバ 51 ベンチレータ吹出口 52 デフロスタ吹出口 53 フット吹出口 55 ベンチレータドア 56 デフロスタドア 57 フットドア 59 第1の車室内熱交換器作動温度センサ 61 日射量センサ 62 外気温センサ 63 室温センサ 64 室温設定器 65 吹出口モードスイッチ 66 ブロワファンスイッチ 70,71 逆止弁 73 四方弁 74,80 絞り弁 75,81,82,83 二方弁 76 第2の冷媒パス 77 第1の冷媒パス 100 バイパス路 201 エンジン 202 ヒータコア 203 エンジン冷却水配管 204 エンジン冷却水温センサ 205 車室内熱交換器

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンで駆動されるコンプレッサと、 冷房運転と暖房運転で冷媒流れを切り換える冷媒流路切
    換手段と、 冷媒と外気とで熱交換する車室外熱交換器と、 冷媒を断熱膨張させる膨張手段と、 冷媒と車室内に吹き出す空調風とで熱交換し、暖房時
    に、蒸発器となる第1の車室内熱交換器と凝縮器となる
    第2の車室内熱交換器で構成される車室内熱交換器とか
    ら成るエアコンサイクルと、 少なくとも計時手段と車速検出手段とエンジン回転数検
    出手段から、車両の走行状態を判断する走行状態判断手
    段と、 前記エアコンサイクルが暖房運転を行なっているとき
    に、前記走行状態判断手段により、下り坂走行、あるい
    は、長時間の減速走行が予め設定された時間よりも長く
    続いた場合に、外気導入量を増やす外気導入量補正手段
    とを備えることを特徴とする車両用空調装置。
  2. 【請求項2】 エンジンで駆動されるコンプレッサと、 冷房運転と暖房運転で冷媒流れを切り換える冷媒流路切
    換手段と、 冷媒と外気とで熱交換する車室外熱交換器と、 冷媒を断熱膨張させる膨張手段と、 冷媒と車室内に吹き出す空調風とで熱交換し、暖房時
    に、蒸発器となる第1の車室内熱交換器と凝縮器となる
    第2の車室内熱交換器で構成される車室内熱交換器とか
    ら成るエアコンサイクルと、 少なくとも計時手段と車速検出手段とエンジン回転数検
    出手段から、車両の走行状態を判断する走行状態判断手
    段と、 前記エアコンサイクルが暖房運転を行なっていないとき
    に、前記走行状態判断手段により、下り坂走行、あるい
    は、長時間の減速走行が予め設定された時間よりも長く
    続いた場合に、自動的に前記エアコンサイクルによる暖
    房運転を行なうエアコン運転自動開始手段とを備えるこ
    とを特徴とする車両用空調装置。
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