JP2000044661A - 金属ラミネート用ポリエステル樹脂、およびこれを用いた金属ラミネート用ポリエステルフィルムとラミネート金属材料 - Google Patents

金属ラミネート用ポリエステル樹脂、およびこれを用いた金属ラミネート用ポリエステルフィルムとラミネート金属材料

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JP2000044661A JP21834498A JP21834498A JP2000044661A JP 2000044661 A JP2000044661 A JP 2000044661A JP 21834498 A JP21834498 A JP 21834498A JP 21834498 A JP21834498 A JP 21834498A JP 2000044661 A JP2000044661 A JP 2000044661A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 飲食料用途などにおいて要求される機械物
性、耐熱性、耐レトルト性を満足し、特に缶などに加工
する際などに、熱や曲げ応力が加わっても、金属ラミネ
ート用フィルムに白化や割れが発生しにくい金属ラミネ
ート用樹脂、金属ラミネート用フィルム、およびラミネ
ート金属材料を提供する。 【解決手段】 ブチレンテレフタレート単位が70〜9
7モルl%のポリエステル樹脂に、繰り返し単位の炭素
数が2以上のポリオキシアルキレングリコールが5〜4
0重量%共重合され、融点が170〜220℃の金属ラ
ミネート用ポリエステル樹脂と、これを用いた金属ラミ
ネート用ポリエステルフィルムとラミネート金属材料を
提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属ラミネート用ポ
リエステル樹脂、金属ラミネート用ポリエステルフィル
ム、およびラミネート金属材料に関し、特に飲食料用な
どの金属缶などに好適なものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属の表面に合成樹脂製フィルム
を積層したラミネート金属材料は、建材、家電などの分
野に多用されてきた。このような用途においては、金属
ラミネート用フィルムとして、ポリ塩化ビニル、ポリス
チレンなどからなる合成樹脂フィルムが主に用いられて
きた。ラミネート金属材料は、金属を有機溶剤系塗料に
よって塗装したものなどと比較して、有機溶剤や、乾燥
・焼き付け時の多量の熱エネルギーが必要とされないと
いった利点を有している。
【0003】さらに最近ではラミネート金属材料の用途
が広がり、外観の向上や、様々な使用環境への対応が要
求されている。このような様々の要求に応えるには、従
来のポリ塩化ビニルやポリスチレンからなる金属ラミネ
ート用フィルムでは不十分であった。例えば、飲食料用
の缶などに用いる場合には、板状のラミネート金属材料
(ラミネート金属板)を筒状に絞り加工して缶に成形す
るが、この際、加熱されたり、大きな曲げ応力が加わる
場合が多い。また、成形した缶に飲食料を詰めて密閉し
た後に、例えば100℃以上の飽和水蒸気中、30分程
度の特殊な条件で熱殺菌するなどのレトルト処理が必要
とされる。このような缶の成形やレトルト処理を行う
と、金属ラミネート用フィルムの材料によっては、割れ
を生じたり、透明性が低下したり、部分的に白く変化す
る、いわゆる白化が発生したりする場合がある。特にレ
トルト処理は高温、高湿条件下で行われるため、ラミネ
ート金属材料(金属ラミネート用フィルム)の特性の劣
化が問題となる場合が多い。
【0004】このため、ラミネート金属材料には、成形
加工時のみならず、レトルト処理によって性状や特性が
変化しないような機械物性、耐熱性、耐レトルト性が要
求される。このような要求に対して、ポリエステルフィ
ルムが検討され、特に二軸延伸によって強靱性を向上さ
せた二軸延伸ポリエステルフィルムが注目されている。
例えば、飲食料用に適した金属ラミネート用フィルムと
して、以下のような提案がなされている。特開平8−4
0437号公報、特開平8−156206号公報、特開
平8−198272号公報などには、イソフタル酸変性
ポリエチレンテレフタレートからなるポリエステルフィ
ルムを用いることにより、金属板と金属ラミネート用フ
ィルムとの熱圧着性を改善できることが開示されてい
る。また、特開平10−110046号公報、特開平1
0−87798号公報などには、ポリブチレンテレフタ
レート系ポリマーからなるポリエステルフィルムを用い
ることにより、金属ラミネート用フィルムで金属板をラ
ミネートする際の加工性が向上し、また、ラミネート金
属板の耐レトルト性を向上させることができることが開
示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た特開平8−40437号公報、特開平8−15620
6号公報、特開平8−198272号公報などに記載の
イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレートからなる
ポリエステルフィルムを用いた場合は、ラミネート金属
板を缶に加工する際などに、白化や、金属ラミネート用
フィルムの割れなどが発生しやすいという欠点があっ
た。また、特開平10−110046号公報、特開平1
0−87798号公報などに記載のポリブチレンテレフ
タレート系ポリマーからなるポリエステルフィルムを用
いた場合には、金属ラミネート用フィルムと金属板との
熱圧着性が悪いという問題があった。このため、金属ラ
ミネート用フィルムと金属板との間に低結晶性ポリマー
の圧着層を設けたり、ポリブチレンテレフタレート系ポ
リマー中に低結晶性ポリマーをブレンドして、熱圧着性
を補強する必要があり、製造工程の増加を招くという問
題があった。
【0006】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、飲食料用途などにおいて要求される機械物性、耐熱
性、耐レトルト性を満足し、特に缶などに加工する際な
どに、熱や曲げ応力が加わっても、金属ラミネート用フ
ィルムに白化や割れが発生しにくい金属ラミネート用樹
脂、金属ラミネート用フィルム、およびラミネート金属
材料を提供することを課題とする。さらには、金属材料
と金属ラミネート用フィルムとの熱圧着性が良好な金属
ラミネート用樹脂、金属ラミネート用フィルム、および
ラミネート金属材料を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明においては、ブチレンテレフタレート単位が
70〜97モル%のポリエステル樹脂に、繰り返し単位
の炭素数が2以上のポリオキシアルキレングリコールが
5〜40重量%共重合され、融点が170〜220℃で
あることを特徴とする金属ラミネート用ポリエステル樹
脂を提案する。そして、この金属ラミネート用ポリエス
テル樹脂からなることを特徴とする金属ラミネート用ポ
リエステルフィルムを提案する。この金属ラミネート用
ポリエステルフィルムにおいては、ヘイズが10%以
下、破断伸度が100%以上であると好ましい。また、
120℃の飽和水蒸気中で30分熱処理した後のヘイズ
の上昇量が5%以下で、前記熱処理した後の破断伸度が
20%以上であると好ましい。そして、このような金属
ラミネート用ポリエステルフィルを、金属材料の表面上
に積層することによって、機械物性、耐熱性、耐レトル
ト性などに優れたラミネート金属材料を提供することが
できる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、ポリブチレンテレフタ
レートをポリエーテルで変性したポリエステルエラスト
マー(ポリエステル樹脂)が、結晶性、柔軟性が良好で
あり、耐熱性・耐衝撃性に優れた樹脂であるとの知見か
らなされもので、特に、飲食料用途に用いられる金属ラ
ミネート用フィルムやラミネート金属材料において、好
ましい特性が得られる構成について検討し、完成したも
のである。本発明の金属ラミネート用ポリエステル樹脂
は、ポリブチレンテレフタレートを基本成分とするポリ
エステル樹脂を、ポリアルキレングリコール(ポリエー
テル)で変性したポリエステル樹脂成分を主成分とす
る。本発明においては、便宜上、ポリエステルを構成す
る原料モノマー(酸成分とグリコール成分)の重合体を
ポリエステル樹脂、これにポリアルキレングリコールが
共重合されたものをポリエステル樹脂成分、このポリエ
ステル樹脂成分を主成分として含むものを金属ラミネー
ト用ポリエステル樹脂(以下、樹脂と略記することがあ
る)とする。
【0009】本発明において、ポリエステル樹脂中の基
本成分であるブチレンテレフタレート単位は、70〜9
7モル%、より好ましくは75〜95モル%とされる。
このモル%は、ポリエステル樹脂の全酸成分と全グリコ
ール成分のモル数をそれぞれ100としたときのブチレ
ンテレフタレート単位のモル数の割合である。70モル
%未満の場合は、結晶性が不十分となり、耐レトルト性
が十分に得られず、レトルト処理によって白化が発生す
る場合がある。また、97モル%をこえると結晶化度が
高すぎて、十分な成形性が得られず、フィルム加工が困
難になる場合がある。
【0010】ポリブチレンテレフタレートは、ジメチル
フタレートあるいはテレフタル酸(酸成分)と、アルキ
レングリコール(グリコール成分)とを縮合重合して得
られるが、本発明においては、上述のブチレンテレフタ
レート単位の割合を満足する範囲で、他の酸成分やグリ
コール成分を加えて共重合させたポリエステル樹脂を用
いることができる。これらの他の酸性分やグリコール成
分は特に限定しないが、樹脂の特性を向上させる変性作
用を有するものが好ましい。
【0011】好ましい酸成分としては、例えばイソフタ
ル酸、アジピン酸、ナフタレンジカルボン酸などがあげ
られる。これらの中から1種あるいは2種以上を混合し
て用いることによって、結晶性を調節することができ
る。これら以外の酸成分としては、例えば、(無水)フ
タル酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、シュ
ウ酸、コハク酸などの従来公知のモノマーがあげられ
る。
【0012】好ましいグリコール成分としては、シクロ
ヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオ
キサイド付加物、エチレングリコール、ネオペンチルグ
リコールなどがあげられる。これらの中から1種あるい
は2種以上を混合して用いることによって、結晶性を調
節することができる。この他のグリコール成分として
は、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
などの従来公知のモノマーがあげられる。
【0013】 また、ポリアルキレングリコ
ール(ポリエーテル)は、前記ポリエステル樹脂を変性
し、耐衝撃性を付与するものである。ポリアルキレング
リコールは、繰り返し単位(モノマー)の炭素数が2以
上、実質的には2〜4のものが好ましい。
【0014】 具体的には、例えば、ポリエ
チレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコー
ルなどがあげられる。その平均分子量は、ポリエチレン
グリコールの場合は300〜20000、ポリオキシテ
トラメチレングリコールの場合は300〜4000のも
のが好ましい。平均分子量がこれらの範囲の下限値より
も小さい場合は、樹脂の融点が低下し、十分な耐熱性が
得られない場合がある。また、これらの範囲の上限値を
こえると透明性が損なわれることがある。
【0015】 ポリアルキレングリコールの
共重合量は、ポリエステル樹脂成分中、5〜40重量
%、好ましくは10〜35重量%とされる。5重量%未
満の場合は、耐衝撃性が十分に付与されず、逆に40重
量%をこえると、フィルムが濁り、透明性が低下する場
合がある。
【0016】 前記ポリエステル樹脂成分
は、例えばポリエステル樹脂の原料モノマーとポリアル
キレングリコールを仕込み、ポリエステル樹脂の重合
と、ポリエステル樹脂とポリアルキレングリコールとの
混合を同時に行うことによって、効率よく製造すること
ができる。
【0017】 重合方法は、特に限定するこ
とはなく、例えば公知の直接重合法やエステル交換法な
どによって製造することができる。重合時の温度、圧力
などの条件は、樹脂の組成、重合方法、樹脂の平均分子
量などによって適宜調整される。また、重合時に、重合
時間を短縮化するために、トリメチロールプロパン、ペ
ンタエリスリトール、トリメリット酸、ピロメリット酸
などの3価以上の多価アルコール、多塩基酸などの添加
剤を用いることもできる。これらの添加剤の配合量は、
樹脂の組成、重合方法などによって適宜調整される。
【0018】 また、本発明の金属ラミネー
ト用ポリエステル樹脂の融点は170〜220℃、より
好ましくは175〜215℃とされる。170℃未満の
場合は結晶性が低く、レトルト処理によって白化が発生
する場合がある。220℃をこえると結晶化度が高くな
りすぎて、ラミネート金属材料を缶などに成形する絞り
加工時などに、ヒビ、割れなどが発生することがある。
また、本発明の金属ラミネート用ポリエステル樹脂の固
有粘度は0.5〜1.5dl/gとされる。この範囲の
ものを用いることによって、フィルム加工の良好な成形
性が得られる。なお、前記固有粘度は、JIS Z80
03に従い、フェノール/テトラクロロエタン等重量混
合溶液を溶媒として、25℃で測定して得られる値であ
る。金属ラミネート用ポリエステル樹脂の融点や固有粘
度は、ポリエステル樹脂成分の組成(ポリエステル樹脂
中のブチレンテレフタレート単位の割合;ポリアルキレ
ングリコールの種類、平均分子量、配合量など)などに
よって調整される。
【0019】また、金属ラミネート用ポリエステル樹脂
には、ポリエステル樹脂成分の他にも、本発明の特性を
損なわない範囲内で各種の合成樹脂、添加剤などを配合
することができる。これらの配合量は特に限定しない
が、ポリエステル樹脂成分が少なくとも50重量%以上
含まれるようにすると、本発明の金属ラミネート用ポリ
エステル樹脂の特性を有効に発現させることができる。
具体的には、例えば、ポリアミド、ポリオレフィン、ポ
リメチルメタクリレート、ポリカーボネートなどの合成
樹脂;シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウムなど
の無機粒子;酸化チタン、カーボンブラックなどの顔
料;紫外線吸収剤;離型剤;安定剤;滑剤;加工助剤;
耐衝撃助剤などを例示することができる。これらは、金
属ラミネート用ポリエステル樹脂に直接配合してもよい
し、後述する金属ラミネート用フィルムの成形時に金属
ラミネート用ポリエステル樹脂に添加し、混合しながら
成形することもできる。
【0020】本発明の金属ラミネート用ポリエステル樹
脂を用いて、金属ラミネート用ポリエステルフィルム
(以下金属ラミネート用フィルムと略記する)、ラミネ
ート金属材料を得るには、金属ラミネート用ポリエステ
ル樹脂から金属ラミネート用フィルムを製造した後、こ
の金属ラミネート用フィルムを金属材料の表面に積層し
てラミネートすることもできるし、金属ラミネート用フ
ィルムの製造と金属材料のラミネートとを同時に行うこ
ともできる。金属ラミネート用フィルムによってラミネ
ートする金属材料(基材)は、特に限定しないが、飲食
料用の缶に加工する場合は、一般に、アルミ板、鋼板な
どの、厚さ0.1〜0.5mm程度の金属板が用いられ
る。
【0021】金属ラミネート用フィルムの製造方法とし
ては、溶剤流延法や、Tダイ法、インフレーション法な
どの溶融延伸法、カレンダー法などのいずれでもよい
が、経済性の点からTダイ法が好ましい。なお、成形時
の金属ラミネート用ポリエステル樹脂の加熱によって、
ポリエステル樹脂が加水分解して劣化するのを避けるた
め、金属ラミネート用ポリエステル樹脂中の水分ができ
るだけ少ない状態で処理すると好ましい。このため、成
形前に真空乾燥、除湿乾燥法などによって樹脂中の水分
を除去したり、ベント式押出機を用いて、溶融樹脂中の
水分を除きながら押し出す方法などを採用すると望まし
い。また、押出直後に急冷すると、透明性の良好な無配
向物が得られるため、好ましい。
【0022】また、金属ラミネート用ポリエステル樹脂
を金属ラミネート用フィルムに成形する場合は、溶融樹
脂を冷却ロール上に押し出して成形すると好ましい。ま
た、金属ラミネート用フィルムは、成形後に延伸して延
伸フィルムにすると、機械的物性を向上させることがで
き、好ましい。例えば金属ラミネート用ポリエステル樹
脂のTg(ガラス転移点)より3℃以上高い温度で、縦
方向、横方向の一方あるいは両方向に、1.0〜5.0
倍好ましくは1.5〜4.8倍のサイズになるように延
伸する。延伸には、同時二軸延伸、逐次二軸延伸、一軸
延伸などの方法が適用される。また、横方向の延伸と縦
方向の延伸の順序は問わない。延伸フィルムは、そのま
ま製品として使用できるが、延伸後に100〜200℃
の温度条件で、数秒から数十秒の熱処理を行うと、寸法
安定性が向上し、好ましい。
【0023】また、本発明の金属ラミネート用フィルム
は、ポリアルキレングリコール、さらには酸成分の変性
種、グリコール成分の変性種による変性の作用によっ
て、金属材料との熱圧着性が良好である。このため、直
接金属材料の表面に積層し、熱圧着してラミネートする
ことができる。あるいは、用途などによっては金属材料
と金属ラミネート用フィルムとの接触面のうち、どちら
か一方に低結晶性ポリマーなどの熱融着層を形成し、こ
の熱融着層を介して金属材料と金属ラミネート用フィル
ムとを一体化してもよい。
【0024】また、金属ラミネート用フィルムの製造と
ラミネートとを同時に行う場合には、例えば溶融樹脂を
直接金属材料上にフィルム状に押し出し、好ましくは急
冷して透明性の良好な無配向物である金属ラミネート用
フィルムを得るとともに、金属材料と一体化してラミネ
ート金属材料を得る。上述のように、本発明の金属ラミ
ネート用フィルムは金属材料との熱圧着性に優れている
ため、直接金属材料上に押し出してラミネートすること
ができる。
【0025】金属ラミネート用フィルムの厚さは、特に
限定されるものではなく、用途などによって適宜調節さ
れるが、実用的には1〜600μmの範囲のものが用い
られる。
【0026】また、本発明の金属ラミネート用フィルム
あるいはラミネート金属材料にあっては、さらに従来公
知の各種の加工処理を施して、所望の特性を付与するこ
とができる。加工処理の例としては紫外線、α線、β
線、γ線、あるいは電子線などの照射;コロナ処理、火
炎処理などの処理;塩化ビニリデン、ポリビニルアルコ
ール、ポリアミド、ポリオレフィンなどの合成樹脂の塗
布、ラミネート、あるいは金属の蒸着などがあげられ
る。
【0027】また、本発明の金属ラミネート用フィルム
においては、ヘイズ(くもり)の測定値が10%以下で
あると好ましい。フィルムヘイズが10%をこえると外
観が低下する場合がある。本発明において、ヘイズは、
東京電色(株)製 ヘイズメーター MODEL TC
−HIIIを用いて測定して得られる値である。また、
金属ラミネート用フィルムの破断伸度(伸び)は、10
0%以上であると好ましい。破断伸度が100%未満の
場合は、柔軟性が十分ではなく、ラミネート金属板を缶
などに成形する際に、特に高絞り比での成形時に大きな
曲げが加わると、ヒビや割れを生じる場合がある。本発
明において、破断伸度はJISK7127に準じて測定
して得られる値である。
【0028】また、金属ラミネート用フィルムは、12
0℃の飽和水蒸気中、30分間の条件でレトルト処理し
た後のヘイズの上昇量が、処理前の値に対して5%以下
であると好ましい。またレトルト処理後の破断伸度の測
定値が20%以上であると好ましい。ヘイズの上昇量が
5%をこえると、レトルト処理によって白化が発生して
外観が低下する可能性がある。また、破断伸度の測定値
が20%未満の場合は、レトルト処理後の金属ラミネー
ト用フィルムの柔軟性の低下により、ラミネート層に衝
撃などによって割れが生じる場合があり、これが金属材
料の腐食の原因になることがある。本発明の金属ラミネ
ート用フィルムにおいては、本発明の金属ラミネート用
ポリエステル樹脂からなるため、上述のヘイズ、破断伸
度と、レトルト処理後のヘイズ、破断伸度の好ましい値
を同時に満足することができる。これらの値は、金属ラ
ミネート用ポリエステル樹脂の組成や重合度、ラミネー
ト方法、ラミネート時やラミネート後の熱処理条件など
によって調整することができる。
【0029】このように、本発明の金属ラミネート用ポ
リエステル樹脂は、ポリエステル樹脂中のブチレンテレ
フタレート単位が70〜97モル%で、また、融点が1
70〜220℃であることから、適度な結晶性が得られ
る。さらに適度な配合量のポリオキシアルキレングリコ
ールによって変性されて、耐衝撃性が付与されている。
この結果、結晶性、柔軟性が良好で、耐熱性・耐衝撃性
に優れ、さらに飲食料用途における缶加工時やレトルト
処理後にも、機械的強度が低下したり、外観が低下する
などの不都合を生じにくい、優れた金属ラミネート用フ
ィルムとラミネート金属材料を提供することができる。
したがって、本発明の金属ラミネート用ポリエステル樹
脂を用いた金属ラミネート用フィルム、ラミネート金属
材料、あるいはラミネート金属材料を加工したラミネー
ト金属缶などは、レトルト処理などの高温、高湿条件の
処理を伴う飲食料用途などに好適である。
【0030】
【実施例】(実施例1〜11、比較例1〜4)表1に記
載した原料を、還流塔、撹拌装置を備えた反応容器に仕
込み、さらにこの原料に対して500ppmのテトラブ
チレンチタネートを添加した。ついで、反応温度140
〜240℃の条件で、副生するメタノールを留去しなが
ら、メタノール留出量が理論量の90%になるまで反応
させてエステル化物を得た。このエステル化物を250
℃で副生するグリコール成分を5torr以下の高真空
で留去させながら、250℃での溶融粘度が、極限粘度
0.7のPET(ポリエチレンテレフタレート)の28
5℃でのトルク値に相当するまで溶融重合して、金属ラ
ミネート用ポリエステル樹脂を得た。
【0031】この金属ラミネート用ポリエステル樹脂に
ついて、以下のようにして融点を測定した。 ・融点(Tm)の測定 金属ラミネート用ポリエステル樹脂を280℃で5分間
溶融した後、ドライアイスを用いて急激に冷却固化(メ
ルトクエンチ)を行って試料を作製した。この試料につ
いて、(株)島津製作所製、示差走査熱量計(DSC)
を用いて、昇温速度10℃/分・窒素気流下の条件で、
融解による吸熱変化のピーク値を測定し、融点(Tm)
とした。金属ラミネート用ポリエステル樹脂の組成と融
点の測定値を表2にあわせて示した。なお、表中ポリブ
チレンテレフタレートは基本成分として示し、他の酸性
分やグリコール成分は、変性種として示し、区別した。
【0032】これらの金属ラミネート用ポリエステル樹
脂を、水分率が100ppm以下になるまで真空乾燥し
た。ついで、Tダイを備えた押出機を用い、250℃の
樹脂温で、表面温度5℃の冷却ロール上に押し出し、厚
さ100μmの無配向フィルム(金属ラミネート用フィ
ルム)を得た。このフィルムについて、以下のようにし
て破断伸度、ヘイズ、耐レトルト性を評価した。評価結
果を表2にあわせて示した。
【0033】・ フィルム物性 (a)破断伸度 JIS K7127に準じて測定した。 (b)ヘイズ 東京電色(株)製 ヘイズメーター MODEL TC
−HIIIを用いて測定した。 (c)耐レトルト性 フィルムを、120℃の飽和水蒸気中で30分レトルト
処理した後、前記(a)、(b)と同様の方法で破断伸
度とヘイズを測定した。ヘイズについてはレトルト処理
前のヘイズの測定値に対する上昇量を求めた。
【0034】ついで、これらのフィルムを、フィルムを
構成する樹脂の融点以上に加熱したアルミ板に貼り合わ
せて熱圧着した後、5℃の冷水中で急冷してラミネート
金属板を得た。これらのラミネート金属板のラミネート
性、加工性、透明性、耐レトルト性について以下のよう
にして評価した。結果を表2にあわせて示した。
【0035】・ラミネート金属板の物性 (a)ラミネート性 ラミネート金属板を幅18mmの短冊状に切りだし、J
IS Z−15 52で規定された粘着テープを貼り付
けて試料とした。この試料について、島津製作所製オー
トグラフを用い、10mm/minで180°剥離試験
を行い、剥離強力を測定した。この剥離強度をラミネー
ト性の指標とし、以下の基準で評価した。 ○:剥離強力が300gf以上か、300gf以上でフ
ィルムが破断。 ×:剥離強力が300gf未満。
【0036】(b)加工性 ラミネート金属板を、寸法17cm×12cmの試験片
に切りだし、JISK−5400に準じてエリクセン試
験機を用い、5mmの深さまで押し出し、損傷の度合に
より、以下の基準で評価した。 ○:ヒビ、割れなどの損傷無し ×:ヒビ、割れなどの損傷有り
【0037】(c)透明性 ラミネート金属板の透明性を目視により観察し、以下の
基準で評価した。 ○:曇り、白化無し ×:曇り、白化あり
【0038】(d)耐レトルト性 ラミネート金属板を120℃飽和水蒸気中で30分間レ
トルト処理した後、以下の項目について評価した。 耐衝撃性 レトルト処理後のラミネート金属板を10cm×10c
mの角板に切りだし、 この上に50cmの高さから3
00gの球状のおもりを落下させた後の状態を 目視で
観察し、以下の基準で評価した。 ○:ヒビ、割れなどの損傷無し ×:ヒビ、割れなどがあり。 透明性 レトルト処理後のラミネート金属板の透明性を目視で観
察し、以下の基準で評価した。 ○:曇り、白化など無し ×:曇り、白化があり
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】表2の結果からわかるように、本発明に係
る実施例1〜11においては、ラミネート性、加工性、
透明性に優れ、かつ耐レトルト性にも優れたラミネート
金属材料が得られた。したがって、実施例1〜11のラ
ミネート金属材料は、飲食料用途などのように、曲げ加
工や高温、高湿条件の処理を伴う用途に適用しても、機
械的物性や外観の低下などが発生しにくいものであるこ
とが明らかになった。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の金属ラミ
ネート用ポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂中のブ
チレンテレフタレート単位が70〜97モル%で、また
融点が170〜220℃であることから、適度な結晶性
が得られる。さらに適度な共重合量のポリオキシアルキ
レングリコールによって変性されて、耐衝撃性が付与さ
れている。この結果、結晶性、柔軟性が良好で、耐熱性
・耐衝撃性に優れ、さらに飲食料用途における缶加工時
やレトルト処理後にも、機械的強度が低下したり、外観
が低下するなどの不都合を生じにくい、優れた金属ラミ
ネート用ポリエステルフィルムとラミネート金属材料を
提供することができる。したがって、本発明の金属ラミ
ネート用ポリエステル樹脂を用いた金属ラミネート用ポ
リエステルフィルム、ラミネート金属材料、あるいはラ
ミネート金属材料を加工したラミネート金属缶などは、
レトルト処理などの高温、高湿条件の処理を伴う飲食料
用途などに好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木原 英樹 愛知県豊橋市牛川通4丁目1の2 三菱レ イヨン株式会社豊橋事業所内 Fターム(参考) 4F071 AA43 AA84 AB06 AF11 AF21Y AF23 AF26 AF30Y AF45 AG27 AH05 BA01 BB06 BB07 BC01 4F100 AB01B AK42A AK54A AL01A BA01 BA02 DA01 GB16 GB23 JA04A JA11 JJ03 JJ10 JK01 JK08A JK10 JK13 JK17 JN02A YY00A 4J002 CF071 CF101 GF00 GG00 4J029 AA03 AB01 AC02 AD06 AE03 BA05 BF25 CC05A HA01 HB01 HB02 HB03A JE182 KB02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブチレンテレフタレート単位が70〜9
    7モル%のポリエステル樹脂に、繰り返し単位の炭素数
    が2以上のポリオキシアルキレングリコールが5〜40
    重量%共重合され、融点が170〜220℃であること
    を特徴とする金属ラミネート用ポリエステル樹脂。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の金属ラミネート用ポリエ
    ステル樹脂からなることを特徴とする金属ラミネート用
    ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 ヘイズが10%以下、破断伸度が100
    %以上であることを特徴とする請求項2記載の金属ラミ
    ネート用ポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 120℃の飽和水蒸気中で30分熱処理
    した後のヘイズの上昇量が5%以下で、前記熱処理した
    後の破断伸度が20%以上であることを特徴とする請求
    項2または3に記載の金属ラミネート用ポリエステルフ
    ィルム。
  5. 【請求項5】 請求項2〜4のいずれか一項に記載の金
    属ラミネート用ポリステルフィルムが積層されているこ
    とを特徴とするラミネート金属材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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