JP2000044359A - 酸化に対する向上した耐性を有するタイプの炭素/炭素の複合材料 - Google Patents

酸化に対する向上した耐性を有するタイプの炭素/炭素の複合材料

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JP2000044359A
JP2000044359A JP11127325A JP12732599A JP2000044359A JP 2000044359 A JP2000044359 A JP 2000044359A JP 11127325 A JP11127325 A JP 11127325A JP 12732599 A JP12732599 A JP 12732599A JP 2000044359 A JP2000044359 A JP 2000044359A
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fiber
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Sandrine Labruquere
サンドリーヌ・ラブルケル
Rene Pailler
ルネ・パイエ
Jacques Thebault
ジャック・テボール
Stephane Goujard
ステファーヌ・グウジャール
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Societe Nationale dEtude et de Construction de Moteurs dAviation SNECMA
SNECMA SAS
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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    • F16D69/023Composite materials containing carbon and carbon fibres or fibres made of carbonizable material
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭素/炭素タイプの複合材料の酸化に対する
耐性を向上する。 【解決手段】 炭素/炭素タイプの複合材料の酸化に対
する耐性を向上するために、相間層が、複合材料の繊維
補強材の炭素繊維と炭素マトリックスとの間に形成さ
れ、当該相間層は1原子%〜20原子%のケイ素、少な
くとも30原子%のホウ素、残部が炭素および/または
リンで構成されており、相間層の厚さは1μmよりも小
さく、10nmよりも小さくない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素/炭素(C/
C)タイプの複合材料、即ち、少なくとも繊維の近傍で
は炭素で構成されるマトリックス内に埋め込まれた、炭
素繊維から成る繊維補強材または炭素でコートされた繊
維を含む複合材料の耐酸化性を向上させることに関す
る。
【0002】本発明の適用分野は、より詳細には、使用
温度が約1000℃を超えず、繊維およびマトリックス
の両方が表面で曝されるC/Cタイプの複合材料の酸化
に対する耐性を向上させることであるが、これに限定さ
れるものではない。このことは、例えば使用されて磨耗
または機械加工した後に、あるいは例えばC/Cタイプ
の複合材料のブレーキディスクの摩擦表面において生じ
るように、表面の抗酸化保護における意図的な隙間のた
めに、酸化に対する表面の保護が消失することによって
も起こり得る。
【0003】
【従来の技術】C/Cタイプの複合材料は、その熱構造
的(または耐熱構造的)な特性、即ち、当該材料を構造
要素を構成するのに適したものとする機械的特性、およ
びその機械的特性を高温まで保持する能力の点において
優れている。それにもかかわらず、その材料が使用中、
侵略的な雰囲気に置かれると、それらは補強繊維または
マトリックスを攻撃する腐食によって劣化しやすくな
る。
【0004】実際問題として、特に深刻な問題をもたら
す腐食の一種は、酸素の作用または酸素と水の組み合わ
された作用である。当該作用は、C/Cタイプの材料を
高温にて空気、湿気、雨等の存在下に配置させたときに
生じる。従って、C/Cタイプの材料には保護を与える
ことが通常行われている。
【0005】炭素を含む複合材料に対する耐酸化保護に
関する技術は非常に豊富に存在する。
【0006】公知の方法は、特に、材料に生じるクラッ
クを塞ぐ、充填する、またはシールするように治癒的性
質を有する外側および/または内側の保護を形成するこ
とに頼っている。一般に、そのような保護は、ホウ珪酸
ガラス、または酸化ホウ素(B23)をベースとする、
またはシリカ(SiO2)をベースとするガラスを形成
するホウ素の化合物および/またはケイ素の化合物を含
む。保護的組成物は、治癒機能を発揮するように材料の
使用温度で粘性挙動を有するガラスを与えるように選択
される。
【0007】US−A−5 246 736号の文献を参照する
ことができる。当該文献は技術の状況にかなり詳しく言
及しており、保護すべき複合材料の表面またはそのマト
リックス内部において、三成分のSi−B−C系により
構成される連続的な相の形成を説明している。
【0008】それらの公知の方法は、複合材料のクラッ
キング(またはひび割れ)にもかかわらず、材料の繊維
またはマトリックスの炭素を周囲の媒体からシールして
絶縁する作用をする保護の形成に頼っている。これは、
材料のマトリックスまたは繊維の炭素が偶然にまたは意
図的に材料の表面で曝されたときには、もはや適用され
ない。
【0009】C/C複合材料のブレーキディスクのよう
な摩擦要素に関しては、特に、US5 686 144号の文献
に記載されているように、耐酸化保護コーティングが摩
擦面ではなく、非摩擦面に選択的に形成され得る。摩擦
面におけるそのような保護コーティングは材料の摩擦特
性を損ない、また、いずれにせよ摩擦に起因する磨耗の
ために非常に早く除去される。
【0010】現時点の利用、特に航空機のブレーキとし
ての利用において、C/C複合材料の摩擦要素は、酸化
による磨耗に有利な条件:高い使用温度、および湿気の
ような一層悪化させる要因の存在、ならびに滑走路を防
氷するために使用される物質のような酸化触媒に曝され
る。
【0011】発明の簡単な要約従って、本発明の目的
は、偶発的にせよ意図的にせよ、繊維補強材の繊維およ
びマトリックスの炭素が酸化雰囲気に曝されたときに特
に、C/Cタイプの複合材料の酸化耐性を向上させるこ
とである。
【0012】この目的は、繊維補強材の繊維とマトリッ
クスとの間に相間層が存在することによって達成され
る。当該相間層は、1原子%〜20原子%のケイ素、少
なくとも30原子%のホウ素、および炭素および/また
はリンである残部によって構成される。ケイ素は全部ま
たは一部をゲルマニウムで置き換えてもよい。
【0013】本発明者らは、C/Cタイプの複合材料の
繊維およびマトリックスの炭素が酸化条件に曝されると
きに、酸化が繊維補強材とマトリクッスとの界面で優先
的に起こることを見出した。このことは、繊維とマトリ
ックスとの間の結合の減損をもたらし、それは酸化に起
因する質量の損失が小さいときでも複合材料の性質を著
しく劣化させる。表面付近の複合材料がその複合材料と
しての性質を失う原因となる結合の減損はまた、摩擦が
生じたときに過大な磨耗を生じさせる。
【0014】従って、C/C複合材料から成る航空機の
ブレーキディスクについては、酸化は、着地後、材料が
熱い状態を保っている間に生じ、それにより、その表面
において材料の構造が劣化し、この劣化した部分は、次
にブレーキが使用されるときには、摩擦力に対して非常
に小さな抵抗を示す。その結果、C/C複合材料のディ
スクは、着地時にディスクが非常に高いレベルの応力に
付されたとしても、着地する間よりも、着地した後に常
温でタキシング(taxiing)する間により多くの摩損を
蒙ることが認められた。
【0015】以下に示すように、ケイ素、ホウ素、およ
び適宜炭素および/またはリンを含む相間層を形成する
ことは、相間層がホウ素に富んでいる場合には、繊維−
マトリックスの界面でのあらゆる攻撃に相間層が有効に
抵抗することを可能にする。相間層の組成は、好ましく
は、酸化物B23、SiO2(および/またはGeO2
および適宜P25の形成に由来する体積の増加が、使用
温度にて酸化により消費される炭素の体積を実質的に補
うことができるように選択される。リンの存在は、低温
での酸化に対する保護を与えることを促進し、従って炭
素の酸化が開始する範囲にまで相間層の有効性を広げ
る。一般に、相間層は5原子%〜10原子%のケイ素お
よび/またはゲルマニウム、50原子%〜70原子%の
ホウ素、および10原子%〜30原子%の炭素および/
またはリンによって構成される。
【0016】相間層は薄い層を構成し、マトリックスの
相を構成しない。従って、その厚さは1μmよりも小さ
く、好ましくは300nmを超えない。また、好ましく
は、その厚さは10nmよりも小さくない。ホウ素を含ま
ない耐熱性層、例えば炭化ケイ素、炭化ジルコニウム、
または炭化ハフニウムのような耐熱性の炭化物を繊維補
強材の繊維と相間層との間に挿入してもよい。耐熱性層
は、ホウ素が繊維の炭素、または繊維補強材の繊維をコ
ートしている炭素に分散することを防止する作用をす
る。それは、そのことが補強材の機械的性質に影響を及
ぼす作用を有するためである。
【0017】本発明は、C/C複合材料を保護する通常
の方法が、外側のコーティングが形成されることを必要
とし、または少なくともマトリックス内に保護バリヤー
が組み込まれることを必要とするのに対し、所定の範囲
(1000℃までの使用温度)において、C/C複合材
料が繊維とマトリックスとの間の薄い相間層によって酸
化に対する保護を与えられている点に特徴を有する。
【0018】本発明の適用分野は、繊維補強材における
繊維およびマトリクッスの炭素が周囲の媒体に意図的に
又は通常の磨耗に引き続いて曝される場合に限られず、
そのような曝露が偶発的である場合をも包含する。その
ような状況下で、マトリックスに組み込まれる内側の保
護および/または外側の保護により、酸化に対する更な
る保護をマトリックスに与えることが可能である。その
ような保護は、前述した従来技術で用いられるような、
ホウ素および/またはケイ素の化合物によって形成され
る治癒的性質を有する層、またはEP−A−0 619 801
号およびEP−A−0 789 677号の文献に記載されてい
るようなリン酸塩をベースとする層によって提供するこ
とができる。
【0019】本発明の別の目的は、C/Cタイプの複合
材料の耐酸化性を向上させる方法を提供することであ
る。
【0020】この目的は、1〜20原子%のケイ素、少
なくとも30原子%のホウ素、および炭素またはリンで
ある残部によって構成される相間層を繊維補強材の繊維
の炭素上に形成する方法によって達成される。ケイ素は
全体または一部分をゲルマニウムで置き換えてもよい。
相間層の組成は好ましくは、ケイ素、ホウ素、および場
合によりリン元素(または成分)の酸化に起因して生じ
る体積の増加が、酸化によって消費された炭素の体積を
埋め合わせるように選択される。相間層は相間層を構成
する元素(または成分)の前駆体を含む反応性ガスを用
いて化学気相浸透(Chemical Vapor Infiltration;C
VI)によって形成することができる。
【0021】本発明の別の実施態様において、相間層
は、ケイ素およびホウ素を単に添加することによりガス
状の前駆体から形成され得る。ケイ素およびホウ素は分
散し、三成分のケイ素−ホウ素−炭素(Si−B−C)
の系で構成される相間層を形成する。この炭素は補強繊
維に由来するものである。例えば、前駆体は、ケイ素の
塩化物(SiCl4)、ホウ素の塩化物(BCl3)であ
ってよく、これらは水素ガス(H2)の存在下でケイ素
およびホウ素を与える。ケイ素の全部または一部がゲル
マニウムで置き換えられる場合、使用される前駆体は例
えば塩化ゲルマニウム(GeCl4)であってよい。炭
素の全部または一部がリンで置き換えられる場合には、
リンのガス状前駆体は例えば臭化リン(PBr3)であ
ってよい。
【0022】本発明の更に別の態様において、相間層は
パック・セメンテーション(pack cementation;または
固体浸炭)、特に、セメンテーションにより活性化され
たPおよび/または三成分の相間層Si−B−Cを生成
する作用をする熱化学的な処理によって形成することが
できる。
【0023】相間層は、繊維補強材が製造された後、マ
トリックスを形成する前に形成してよい。バリエーショ
ンにおいては、C/Cタイプの複合材料を作製し、それ
から炭素をグラファイト化(または黒鉛化)するため
に、これを1200℃〜3000℃の範囲内にある温度
にて熱処理に付し、それにより炭素マトリックスと繊維
補強材の繊維との間の解離をもたらし、続いてマトリッ
クスと繊維補強材の繊維との界面で、化学気相浸透また
は上述した他の方法の1つにより相間層を形成する。
【0024】方法の実施および得られる材料の態様を、
非制限的な表示によって以下に詳述する。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の適用分野は、C/Cタイ
プの複合材料の分野である。C/C複合材料という用語
は、本明細書において、炭素繊維または炭素でコートさ
れた繊維から成る繊維補強材を有し、炭素から成るマト
リックスまたは補強繊維の近傍で少なくとも一部が炭素
から成るマトリックスで緻密化された複合材料を意味す
るために使用される。炭素でコートされた繊維補強材
は、例えば、蒸着または化学気相浸透によって形成され
る「パイロカーボン」または熱分解炭素のような炭素の
層でコートされたセラミック補強繊維、例えば炭化ケイ
素繊維(SiC)で構成することができる。部分的に炭
素で形成されるマトリックスは、例えば、繊維補強材の
繊維の近傍で炭素相を少なくとも1つ、および炭素以外
の材料の相を少なくとも1つ含む複数の相を有するマト
リックスであってよい。炭素以外の材料の相は、例え
ば、SiC、炭化ホウ素(B4C)、または上述したU
S−A−5 246 736号の文献に記載されているような三
成分のSi−C−B系のセラミック相であり、SiC相
は化学気相浸透、または溶融状態で浸透されるケイ素を
用いるケイ化物化(siliciding;または浸ケイ)によっ
て得ることができる。
【0026】向上した耐酸化性を有するC/Cタイプの
複合材料のピース(または小片)を製造する本発明の方
法を実施する際の第1の工程1(図1のA)は、繊維補
強材を作製することである。
【0027】繊維補強材は、1次元(1D)タイプ、2
次元(2D)タイプ、または3次元(3D)タイプであ
ってよい。2D補強材にあっては、繊維は、場合により
複数の重ねられた層である糸もしくはひものシートまた
は織布で構成された2次元の系を形成する。3D補強材
にあっては、繊維は3次元の系を形成し、それは例え
ば、3次元的な織成により、または布、フェルト、糸も
しくはひものシートの2次元的なプライを積層し一体化
することにより、あるいは実際にはヘリカル(または螺
旋)状の布もしくは変形可能な平坦なブレード(または
ひも)を巻いて重なった巻き(turn;またはターン)を
形成し、この重なった巻きを一体に結合することにより
形成される。重なった巻きまたはプライはニードリング
により、または糸を埋め込む(もしくは糸で縫う)こと
により一体に結合できる。繊維補強材は、形状が製造し
ようとする複合材料のパーツの形状に対応する繊維予備
成形体の形態で使用することができる。
【0028】好ましくは、しかし必要に応じて、第2の
工程2は、本発明に従って続いて形成される相間層に含
まれるホウ素に対する保護バリヤーを形成する耐熱性コ
ーティングを、繊維補強材の繊維に付与することであ
る。保護コーティングは、例えば、ケイ素、ジルコニウ
ム、またはハフニウムの炭化物である。それは薄い層の
形態、例えば10nm〜300nmの範囲内にある厚さを有
する層の形態であり、それは化学気相浸透、セメンテー
ション、またはガス状の一酸化ケイ素(SiO)を浸透
させることによる反応的な方法によって形成される。
【0029】その後で、Si−B−Cタイプの相間層
が、必要に応じて耐熱性の保護コーティングを有する繊
維補強材の繊維上に形成される(工程3)。相間層は、
1原子%〜20原子%のケイ素、少なくとも30原子%
のホウ素によって構成され、残部は炭素で構成される。
相間層は、薄い層の形態であり、例えば10nmよりも小
さくなく、1μmよりも小さい厚さを有する。それは化
学気相浸透(CVI)、反応プロセス、またはセメンテ
ーションによって形成される。少なくとも炭素の一部は
リンで置き換えることができる。酸化の際、リンは酸化
物P25を生成するが、これは炭素に接触酸化に対する
保護を与える物質として作用することが知られている。
更に、少なくともケイ素の一部をゲルマニウムで置き換
えることができる。酸化の際、ゲルマニウムは酸化物G
eO2を生成するが、これはシリカSiO2と同じように
ガラス質の構造を形成する。
【0030】その後に、繊維補強材は、複合材料のマト
リックスで、液相プロセスもしくは気相プロセスにより
緻密化され、マトリックスは、少なくとも最初の段階で
繊維補強材に隣接して炭素で形成され、場合によりセラ
ミック相を用いて完了してよい(工程4)。液相プロセ
スの緻密化は、液状のマトリックス前駆体、例えば樹脂
を繊維補強材に含浸し、続いて熱処理を施して行う。熱
処理により、前駆体が変換され、マトリックスを構成す
る材料が得られる。数回の連続的な含浸および熱処理サ
イクルを実施してよい。気相プロセスによる緻密化は化
学気相浸透により行われる。液相プロセスまたは気相プ
ロセスにより、熱分解炭素またはセラミックでマトリッ
クス相を形成する方法はそれらを組み合わせた方法と同
様に公知である。
【0031】図2は、化学気相浸透装置を示す図であ
る。これは、繊維補強材の繊維に炭化ケイ素SiCの耐
熱性保護コーティングを形成し、続いて、Si−C−B
タイプの相間層を形成し、そして、少なくとも1つの炭
素相ならびに場合によりC、Siおよび/またはBを含
む一もしくは複数のセラミック相を有するマトリックス
を形成するために、工程2、3、および4を実施するの
に適している。
【0032】この装置は、既に引用したUS−A−5 24
6 736号の文献に記載された装置に類似している。
【0033】装置は、閉鎖容器(エンクロージャー)12
に配置され、反応チャンバー14を画定するグラファイト
製サセプター10を有し、反応チャンバー14中で繊維補強
材のピースがターンテーブル16上に配置される。サセプ
ターはその周囲に配置された誘導コイル18によって加熱
される。
【0034】反応チャンバー14には所定の析出物を与え
るガスがパイプ20を介して供給され、パイプ20は閉鎖容
器12を通り抜けて、チャンバーの上側部分を閉鎖するカ
バー14aを経由してチャンバー14で終わる。
【0035】残留ガスは、一もしくは複数のダクト22に
よって反応チャンバーから抜かれる。ダクト22はチャン
バーの底14bに通じており、閉鎖容器の外側で、ポンプ2
6に通じるパイプ24に接続されている。
【0036】閉鎖容器12の内側のサセプター10の周囲の
空間(または体積)は、窒素N2のような不活性ガスで
洗われ(または満たされ)、反応チャンバーの周囲で緩
衝物を形成する。
【0037】ガスのソース(または供給源)32、34、3
6、38は反応チャンバーに導入されるガスの成分を供給
する。各供給源は、ダクトを介してパイプ20に接続され
ている。ダクトは、それぞれ符号42、44、46、48で表さ
れる自動的に制御されるストップバルブおよび符号52、
54、56、58で表される質量流量計を含む。質量流量計は
ガスの組成の相対的な比を調整する。
【0038】元素(または成分)Si、BおよびCを析
出させるために、ガスは元素Si、BおよびCの前駆体
の混合物で構成され、このガスには水素H2のような還
元成分が添加される。
【0039】元素CおよびSiは、それぞれ炭化水素お
よびシランまたはクロロシランに属する前駆体によって
もたらされる。それらはまた、例えばメチルトリクロロ
シラン(MTS)のような有機ケイ酸エステルである前
駆体を分解することによって合わせて得ることもでき
る。
【0040】元素Bは、ボラン、または塩化ホウ素(B
Cl3)のようなハロゲン化物によってもたらされる。
【0041】ガスのソース32、34および36は、従って、
それぞれ、H2、MTS、およびBCl3のソースであ
る。
【0042】ガスのソース38は、炭化水素、例えばメタ
ンのソースであり、炭素元素がもたらされることを可能
にする。
【0043】相間層の炭素が少なくとも一部においてリ
ンで置き換えられる場合、リンの前駆体(例えば、臭化
物PBr3)であるガスの追加のソースが用いられる。
そのような場合、ホウ素について選択される前駆体ガス
は、好ましくは臭化物BBr 3である。
【0044】相間層のケイ素が少なくとも一部において
ゲルマニウムで置き換えられる場合、ガスの追加のソー
スがゲルマニウムの前駆体として用いられる。ゲルマニ
ウムの前駆体は例えば塩化物GeCl4である。
【0045】SiC耐熱性保護コーティングは、MTS
およびH2の混合物で構成されるガスをチャンバー14に
導入することによってまず形成され、析出は所定の厚さ
に達するまで続けられる。
【0046】その後、Si−B−C相間層が、MTS、
BCl3、およびH2の混合物をチャンバーに導入するこ
とによって形成される。ガスにおけるMTSおよびBC
3の相対的な割合は、相間層において得るべきSiお
よびBの相対的な割合の関数として選択される。
【0047】従って、例えば、Siの原子%が20パー
セントを超えず、Bの原子%が30%よりも小さくない
相間層を形成するためには、チャンバーにおける温度が
1000℃に相当する場合において、MTSの体積流量
とBCl3の体積流量との間の比は1.5よりも小さく
なければならない。
【0048】SiCの析出からSi−B−Cの析出への
切り替えは、MTSおよびH2で予め構成されたガス混
合物に前駆体BCl3を導入し、質量流量を調節するだ
けで十分であるから、非常に容易であることが理解され
よう。ガス混合物のこの切り替えは徐々に行ってよく、
それによりSiCとSi−B−C析出物との間で連続的
な転移を得ることが可能になる。あるいは、切り替えは
瞬間的なものであってもよい。
【0049】SiCコーティングおよびSi−B−C相
間層は、800℃〜1150℃の範囲内にある温度で、
0.1kPa〜100kPaの範囲内にある圧力下で析出す
る。
【0050】上述したように化学気相浸透以外の方法
を、Si−B−C相間層を形成するために用いてよい。
【0051】従って、反応性手法と浸透とを組み合わせ
た方法、またはCVR(I)(化学気相反応(浸透))
タイプの方法を使用でき、それは、ケイ素およびホウ素
元素をガス状の前駆体から生じさせることに存する。ケ
イ素およびホウ素元素は炭素繊維の表面から限られた深
さにわたって分散し、そしてSi−B−Cタイプの相間
層を形成する。当該相間層において炭素は繊維から得ら
れたものである。使用される前駆体は、例えば、塩化物
SiCl4およびBCl3である。浸透は、水素ガス(H
2)の存在下で、約900℃〜1150℃の範囲内にあ
る温度にて、約1kPa〜15kPaの範囲内にある全圧の
下で実施される。MTSのソースをSiCl4のソース
に替えて、図2に示す類の装置を使用することができ
る。
【0052】もう1つの可能な方法は、パック・セメン
テーションによりSi−B−C相間層を形成する熱化学
的処理である。当該方法は、例えば、本出願人が国際特
許出願PCT/FR97/01890号にて説明したタ
イプの方法である。その方法において、処理は、700
℃〜1300℃の範囲内にある温度で、0.1kPa〜3
0kPaの範囲内にある圧力の水素、希ガス、またはそれ
らの混合物下で、ドナー・セメント(またはセメンテー
ションの材料)および固体の賦活化合物の存在下におい
て実施される。ドナー・セメントは、アルミニウム、カ
ルシウム、クロム、イットリウムおよびマグネシウムか
ら選択される元素M、ならびに必要に応じて鉄、ニッケ
ル、クロム、モリブデンおよびタングステンから選択さ
れるモデレーター元素M’と合金を形成しているケイ素
およびホウ素で構成された粉体の混合物である。固体の
賦活化合物は選択した元素Mのハロゲン化物(塩化物ま
たはフッ化物、好ましくはフッ化物)である。例えば、
55重量%のケイ素、25重量%のホウ素、および20
重量%のマグネシウムから成るドナー・セメントを選択
し、フッ化マグネシウムMgF2を賦活化合物とするこ
とができる。
【0053】所定の厚さを有するSi−B−C相間層が
得られた後、炭素前駆体をソース38からチャンバー14に
導入することによって炭素マトリックスまたは少なくと
もマトリックスの最初の炭素含有相を形成する。メタン
である前駆体を用いる場合、化学気相浸透は700℃〜
2100℃の範囲内にある温度で、0.5kPa〜100
kPaの範囲内にある圧力下で実施される。熱分解炭素以
外の相、特にSiC、またはB4C、またはSi−B−
C相を、チャンバー14に導入されるガス混合物の組成に
従ってマトリックスに組み込むことも可能である。
【0054】上記において、Si−B−Cタイプの相間
層は複合材料のマトリックスを形成する前に形成され
る。そうではなく、図1Bに模式的に示すように、他の
方法で処理を行うことも可能である。
【0055】繊維補強材を形成する工程1および耐熱性
保護コーティングを形成する任意の工程2の後に、繊維
補強材を、炭素マトリックス、または補強繊維に隣接す
る少なくとも1つの炭素相を有するマトリックスで緻密
化する(工程5)。このようにして得られる複合材料
は、マトリックスの炭素および場合により繊維の炭素を
もグラファイト化する目的で高温の熱処理に付される
(工程6)。この処理は、約1200℃〜3000℃の
範囲内にある温度で実施され、一般に約2200℃で実
施される。これは、繊維補強材の繊維と炭素マトリック
スとの間の解離を生じさせる。
【0056】それから、例えば化学気相浸透によって繊
維補強材の繊維とマトリックスとの間の界面にSi−B
−Cタイプの相間層の析出物を形成することができる
(工程7)。この化学気相浸透は、図2に示す装置によ
り実施できる。これは同じ配列:炭素繊維−(任意の耐
熱性保護コーティング)−Si−B−Cタイプの相間層
−および炭素マトリックスをもたらす。上述したように
反応性手法またはパック・セメンテーションを用いたプ
ロセスによりSi−B−Cの相間層を形成することもま
た可能である。
【0057】図3Aは、緻密化の後、相間層Iでコート
された繊維Fが完全にマトリックスによって覆われてい
る様子を模式的に示す。既に述べたように、本発明は、
機械加工または磨耗後に繊維の炭素が周囲の媒体に曝さ
れる場合に特に適用できる。そのような状況の下では、
図3Bに示すように、繊維Fおよびそれに形成された相
間層Iは、機械加工または磨耗によって形成された表面
Sと面一になる。
【0058】酸化に対する向上した耐性を有するC−C
タイプの複合材料を形成する実施例を以下において説明
する。
【0059】すべての実施例において、最初の繊維補強
材は炭素製の布のプライで構成された3Dタイプの補強
材であり、炭素製の布は予め酸化されたポリアクリロニ
トリルの前駆体をベースとするものであり、プライは重
ねられ、ニードリングによって一体的に結合している。
例えばUS−A−4 790 052の文献で説明されているよ
うに、プライは前駆体の段階にある間に積層されて一体
的にニードリングされる。前駆体は繊維補強材が形成さ
れた後に熱処理によって変換される。
【0060】更に、実施例のすべてにおいて、複合材料
のマトリックスは、化学気相浸透によって全体が熱分解
炭素で形成されている。
【0061】
【実施例】実施例1A 約10原子%のSi、約40原子%のBおよび約50原
子%のCで構成された相間層を繊維の基体に形成した。
【0062】相間層はMTS、BCl3、およびH2で構
成されているガス混合物をMTSおよびBCl3を体積
流量の比が1となるように用いて化学気相浸透により形
成した。H2の体積流量は他のガスの体積流量の5倍と
した。浸透チャンバーにおける温度および全圧はそれぞ
れ920℃および5kPaであった。化学気相浸透は相間
層が300nmの厚さに達するまで5時間(h)続けられ
た。
【0063】相間層を形成した繊維補強材は、続いて、
熱分解炭素のマトリックスで緻密化した。
【0064】実施例1B 相間層の厚さを30nmに制限したことを除いては実施例
1Aと同様にして処理を実施した。浸透の時間は30分
であった。
【0065】実施例2 約1.5原子%のSi、約70原子%のホウ素、約1
8.5原子%の炭素、および約10原子%のリンで構成
された相間層を繊維の基体に形成した。
【0066】相間層は、MTS、BBr3、PBr3、お
よびH2の混合物によって構成されたガスを用い、(各
成分の)体積流量がそれぞれ40cm3/分、110cm3
分、15cm3/分、および200cm3/分となるようにし
て化学気相浸透によって形成した。浸透チャンバー内の
温度は920℃であり、全圧は5kPaであった。浸透
は、相間層が約700nmの厚さになるまで、1時間続け
た。
【0067】実施例3A 実施例1Aと同様にして処理を実施したが、温度は95
0℃とし、また約9原子%のSi、50原子%のB、お
よび41原子%のCから成る相間層を、MTSとBCl
3の体積流量の比が0.5となるようにガスを用いて形
成した。2.5時間の浸透の後、相間層の厚さは250
nmとなった。
【0068】実施例3B 実施例3Aと同様にして処理を実施したが、浸透の時間
を1時間に減じることにより、相間層の厚さを100nm
にした。
【0069】実施例3C 実施例3Aと同様にして処理を実施したが、浸透の時間
を20分に減じることにより、相間層の厚さを30nmに
した。
【0070】実施例4 実施例1Aと同様にして処理を実施したが、形成された
相間層は、MTSとBCl3の体積流量の比が1となる
ようにガスを使用し、18原子%のSi、37原子%の
Bおよび45原子%の炭素で構成した。浸透チャンバー
内の温度および圧力は、約950℃および5kPaであっ
た。
【0071】実施例5(比較例) 実施例1Aと同様にして処理を実施したが、形成された
相間層は、MTSとBCl3の体積流量の比が2となる
ようにガスを使用し、30原子%のSi、30原子%の
Bおよび40原子%のCで構成した。浸透チャンバー内
の温度および圧力は、約950℃および5kPaであっ
た。
【0072】実施例6(比較例) 実施例1Aと同様の繊維補強材を、相間層を形成せずに
熱分解炭素のマトリックスで緻密化した。
【0073】実施例7A(比較例) 実施例1Aと同様の繊維補強材に、55原子%のSiお
よび45原子%の炭素から成る相間層を形成した。
【0074】相間層はMTSおよびH2の混合物から成
るガスを用いて、化学気相浸透により形成した。浸透チ
ャンバーにおける温度および圧力はそれぞれ950℃お
よび3kPaであった。浸透は、250nmの厚さを有する
SiC相間層が得られるまで続けた。
【0075】SiC相間層を有する繊維補強材は、続い
て熱分解炭素のマトリックスで緻密化された。
【0076】実施例7B(比較例) 実施例7Aと同様にして処理を実施したが、相間層の厚
さを100nmにした。
【0077】実施例8A(比較例) 実施例1Aと同様の繊維補強材に、35原子%のBおよ
び65原子%のCから成る相間層を形成した。
【0078】相間層はBCl3およびプロパンC38
混合物から成るガスを用いて、化学気相浸透により形成
した。浸透チャンバーにおける温度および圧力はそれぞ
れ950℃および1kPaであった。浸透は、250nmの
厚さを有する相間層が得られるまで続けた。
【0079】相間層を有する繊維補強材は、続いて、熱
分解炭素のマトリックスで緻密化した。
【0080】実施例8B(比較例) 実施例8Aと同様にして処理を実施したが、相間層の厚
さを100nmとした。
【0081】実施例9 実施例1Aと同様の繊維補強材を、相間層を予め形成す
ることなく、熱分解炭素のマトリックスで緻密化した。
【0082】得られたC/C材料を、2800℃の温度
で2時間、熱処理に付し、それにより炭素をグラファイ
ト化した。
【0083】高温熱処理の後、C/C材料はSi−B−
C系を得るために、実施例3Aと同じ条件下で、浸透の
時間を2時間に制限して化学気相浸透に付した。実施例
3Aの組成と同じ組成を有する相間層の析出物が、熱処
理に起因する解離により形成された炭素繊維と炭素マト
リックスとの間の隙間に形成された。Si−B−C析出
物はまた、炭素マトリックスのポア(小孔)内および表
面に形成された。
【0084】実施例10 実施例9と同様にして処理を実施したが、Si−B−C
系の化学気相浸透の時間を4時間に延長した。
【0085】実施例11(比較例) 実施例9と同様にして処理を実施したが、高温熱処理の
後にSi−B−C系の化学気相浸透を実施しなかった。
【0086】試験 外側が保護されている状況を避けるために表面を機械加
工した後、前記実施例で得られた材料のサンプルについ
て酸化試験を行った。試験の結果を以下に示す。サンプ
ルは対応する実施例の番号によって特定される。
【0087】試験1(乾燥空気中における600℃での
酸化) サンプル3A、5、7、8、9、10、および11を乾
燥空気中で6時間または8時間、600℃の温度に曝
し、相対的な質量変化(すなわち、最初の質量に対する
絶対的な質量変化の比)を測定した。以下の結果が得ら
れた:
【0088】
【表1】
【0089】図4および図5は、酸化後のサンプル3A
および7Aの外観を示す電子顕微鏡写真である。図5で
は繊維−マトリックスの解離が明らかに見られ、一方、
図4は解離を全く示していない。
【0090】試験2(乾燥空気中における600℃での
16時間の酸化) サンプル1A、1B、6および8Aを乾燥空気中で16
時間、600℃に曝した。
【0091】図6〜図9の写真は、酸化後のサンプルの
外観を示している。観察は、20倍の倍率で光学顕微鏡
を用いて行った(但し、図8の細部は40倍の倍率で観
察したものである)。
【0092】図8および図9において繊維−マトリック
スの解離が明らかに見られる(繊維の周囲の黒い輪
郭)。また、程度はより小さいが図7においても(解離
が)見られる。しかし、図6においては解離は全く見ら
れない。
【0093】試験3(酸化後の引張試験) サンプル3A、3Bおよび3Cを600℃にて16時間
乾燥空気に曝し、それから引張破壊試験に付した。次の
もの:ヤング率(伸び弾性率)、破壊応力、および破壊
変形を測定した。以下の結果が得られた:
【0094】
【表2】
【0095】図10および図11は、サンプル3Bおよ
び3Cの破断面の外観を示す写真である。図11におい
て、繊維が露出した様子が見られ、酸化後において、繊
維とマトリックスとの間の結合が相対的に弱いことを示
している。対照的に、これは図10では見られず、従っ
て、かなり小さい破壊変形によっても確認されるよう
に、繊維−マトリックスの強い結合を示している。
【0096】試験4(乾燥空気中における800℃での
酸化) サンプル1A、3A、3B、5、6、7B、および8B
を乾燥空気下で800℃に曝し、繊維およびマトリック
スの半径方向の酸化の速度を定期的にサンプルを走査型
電子顕微鏡で観察して測定した。半径方向の酸化の速度
は繊維に対して垂直な方向において酸化により除去され
たゾーンの幅の時間の関数としての変化に相当する。以
下に示す結果が得られた:
【0097】
【表3】
【0098】試験5(湿った空気下における600℃で
の酸化) サンプル3Aおよび6を、600℃にて、3体積%のH
2Oを含む湿った空気のフローに曝した。フローの流量
は500リットル/時間(l/h)であった。
【0099】図12における曲線は、相対的な質量損失
の時間の関数としての変化を示す。8時間後、それは、
サンプルAについては3.9%であり、サンプル6につ
いては25.4%であった。
【0100】試験結果の考察 試験1(図6、7、および9)、2、4、および5(図
12)は、相間層のないものと比較して、C(炭素)繊
維とC(炭素)マトリックスとの間でSi−B−C相間
層の存在により与えられる、耐酸化性の明らかな向上を
示し、先の高温処理とともにまたは後に、これは乾燥空
気中における600℃での酸化、または乾燥空気中での
800℃での酸化、または湿った空気における600℃
での酸化条件下でも当て嵌まる。
【0101】試験4は、Si−B−Cの相間層における
Siの原子%を制限する必要があることを示している。
Siの存在は、図9において観察できるように、解離を
避けるためにやはり必要である。試験1(図4、5)お
よび4はまた、Si−C相間層と比較して、Bの存在に
よってもたらされるより良い有効性を示している。相間
層は、1原子%〜20原子%のケイ素、少なくとも30
原子%のホウ素を、残部の炭素とともに含む必要があ
る。
【0102】試験2(図7)および試験3は、相間層が
かなり薄い(30nm)場合、相間層を含まないものと比
べて性能はより良いものの、性能が低下することを示し
ている。試験3は、相間層の厚さがかなり厚い場合(2
50nm)に同様の結果が得られることを示し、そして、
厚さは、繊維に近いマトリックス材料の炭素の性質を維
持し、繊維と炭素質の相との間に挿入されたSi−B−
Cマトリックス相を有することを避けるために、少なく
とも限定する必要がある(相間層が有意の力を伝達する
ことができる繊維間の結合をもたらすことなく補強繊維
上に被覆物(または鞘)を形成し、一方でマトリックス
相の目的は複合材料に付される力を繊維補強材に伝達す
ることである)。従って、相間層の厚さは好ましくは少
なくとも10nmであり、1μmよりも小さい。
【0103】それらは科学的根拠を与えることはできな
いが、本発明者らは、相間層がない場合又は他の相間層
と比較して本発明のSi−B−C相間層が有効であるこ
とは以下のように説明し得ると考える:
【0104】相間層が炭素繊維と炭素マトリックス相と
の界面にない場合、周囲の媒体からの酸素(O2)によ
る酸化は、図13で模式的に示すように界面で優先的に
開始し、繊維に沿って進行する。これは、繊維とマトリ
ックスとの間の結合の減損をもたらし、従って、材料の
強度において有意の減少を結果として生じさせる。結合
の減損は図8において明らかに認識される。
【0105】しかしながら、本発明の相間層は繊維と炭
素マトリックスとの間に挿入される場合(図14)、繊
維とマトリックスとの間の結合の減損は認められない。
かなり低い温度から周囲の媒体の酸素と反応して酸化物
23(これはかなり低い温度(約450℃)で液化す
る)を与える有意の量のホウ素の存在が、ケイ素の早い
時期での酸化に好都合であり、それによりシリカSiO
2が形成されると考えられる。このことは、酸化物B2
3を包囲するシリカの「フォーム」を形成し、その解離
を制限し、従って、周囲の媒体からの酸素の浸透を阻止
する「プラグ(または栓)」を形成することにより、B
23が保持されることを可能にする。
【0106】炭素繊維と炭素マトリックスとの間に形成
される相間層がケイ素を含まず、ホウ素および炭素のみ
を含む場合、酸化物B23および二酸化炭素CO2が形
成され、界面に隙間を残す。更に、水分の存在下におい
て、および相対的に低い温度にて、B23は水蒸気と反
応し、得られるものは(HBO2)は非常に揮発性であ
る。繊維−マトリックス界面での隙間は図10において
認識される。
【0107】更に比較すると、炭素繊維と炭素マトリッ
クスとの間に形成された相間層がホウ素を含まず、ケイ
素と炭素のみを含む場合、1000℃以下の温度ではS
iCの有意の酸化はない。その後、酸化は優先的に繊維
と相間層との間およびマトリックスと相間層との間の界
面で起こり、それにより結合の減損に至る。この結合の
減損は図5において見られ、結合の減損は600℃から
複合材料からの質量の有意の損失を生じさせる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1のAおよびBは、本発明の2つの実施態
様によって酸化から保護されるC/Cタイプの複合材料
を製造する連続的な工程を示す。
【図2】 図2は、図1のAの方法に従って複合材料を
製造する際に使用するのに適した化学気相浸透の装置の
概要を示す。
【図3】 図3のAおよびBは、複合材料の繊維とマト
リックスとの間の相間層が機械加工または磨耗の後にど
のように露出するかを示す概要である。
【図4】 図4は、200nmの厚さのSi−B−C相間
層を有するC/C複合材料を600℃にて6時間、乾燥
空気中にて酸化させた後の当該材料の外観を示す、電子
顕微鏡によって得た写真である。
【図5】 図5は、Si−Cタイプの相間層を有するC
/C複合材料を600℃にて6時間、乾燥空気中にて酸
化させた後の当該材料の外観を示す、電子顕微鏡によっ
て得た写真である。
【図6】 図6は、厚さ100nmのSi−B−C相間層
を有するC/C複合材料を600℃にて16時間、乾燥
空気中にて酸化させた後の当該材料の外観を示す、光学
顕微鏡によって得た写真である。
【図7】 図7は、厚さ30nmのSi−B−C相間層を
有するC/C複合材料を600℃にて16時間、乾燥空
気中にて酸化させた後の当該材料の外観を示す、光学顕
微鏡によって得た写真である。
【図8】 図8は、相間層のないC/C複合材料を60
0℃にて16時間、乾燥空気中にて酸化させた後の当該
材料の外観を示す、光学顕微鏡によって得た写真であ
る。
【図9】 図9は、B−Cタイプの相間層を有するC/
C複合材料を600℃にて16時間、乾燥空気中にて酸
化させた後の当該材料の外観を示す、光学顕微鏡によっ
て得た写真である。
【図10】 図10は、厚さ100nmのSi−B−C相
間層を有するC/C複合材料を600℃にて16時間、
乾燥空気中にて酸化させた後の当該材料の引張破断面の
外観を示す、光学顕微鏡によって得た写真である。
【図11】 図11は、厚さ30nmのSi−B−C相間
層を有するC/C複合材料を600℃にて16時間、乾
燥空気中にて酸化させた後の当該材料の引張破断面の外
観を示す、光学顕微鏡によって得た写真である。
【図12】 図12は、600℃にて湿った空気に曝さ
れた、厚さ100nmのSi−B−C相間層を有するC/
C複合材料および相間層のないC/C複合材料の相対的
な質量損失が、時間とともに変化することを示すグラフ
である。
【図13】 図13は、C/C複合材料の繊維−マトリ
ックスの界面における選択的な酸化を示すダイアグラム
である。
【図14】 図14は、本発明の相間層を有するC/C
タイプの複合材料の酸化反応を示すダイアグラムであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 サンドリーヌ・ラブルケル フランス86000ポアティエ、アヴニュ・ジ ャック・クール83番、レジダンス・ファ ク・エ・スポール (72)発明者 ルネ・パイエ フランス33610セタ、アレ・ドゥ・ラ・ラ ンド29番 (72)発明者 ジャック・テボール フランス33200ボルドー、リュ・エチェニ ーク100番 (72)発明者 ステファーヌ・グウジャール フランス33700メリニャック、アレ・ポー ル・ドゥメ11番

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素繊維または炭素でコートされた繊維
    の繊維補強材および少なくとも繊維の近傍において炭素
    で構成されたマトリックスを含む複合材料であって、 繊維補強材の繊維とマトリックスとの間に相間層が存在
    し、当該相間層は、1原子%〜20原子%のケイ素、少
    なくとも30原子%のホウ素、残部が炭素および/また
    はリンで構成されていることを特徴とする材料。
  2. 【請求項2】 ケイ素が少なくとも一部においてゲルマ
    ニウムで置き換えられている請求項1に記載の材料。
  3. 【請求項3】 相間層の厚さが1μmよりも小さいこと
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の材料。
  4. 【請求項4】 相間層の厚さが10nmよりも小さくない
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の
    材料。
  5. 【請求項5】 繊維と相間層との間に、ホウ素を含まな
    い耐熱性層を含むことを特徴とする請求項1〜4のいず
    れか1項に記載の材料。
  6. 【請求項6】 マトリックスが、繊維の近傍において少
    なくとも1つの炭素相、および少なくとも1つのセラミ
    ック相を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか
    1項に記載の材料。
  7. 【請求項7】 炭素繊維または炭素でコートされた繊維
    から繊維補強材を形成すること、および少なくとも繊維
    の近傍において炭素で構成されたマトリックスにより繊
    維補強材を緻密化することを含む複合材料の製造方法で
    あって、 1原子%〜20原子%のケイ素、少なくとも30原子%
    のホウ素、残部が炭素および/またはリンで構成されて
    いる相間層が、相間層を構成する元素の前駆体を含む反
    応性ガスから、化学気相浸透により繊維補強材の繊維の
    炭素上に形成されることを特徴とする方法。
  8. 【請求項8】 少なくとも1部のケイ素がゲルマニウム
    で置き換えられることを特徴とする請求項7に記載の方
    法。
  9. 【請求項9】 マトリックスによる緻密化の前に相間層
    が形成されることを特徴とする請求項7または請求項8
    に記載の方法。
  10. 【請求項10】 炭素マトリックスで緻密化した後に1
    200℃〜3000℃の範囲内にある温度で実施する熱
    処理工程を含み、熱処理工程の後に、熱処理に起因する
    解離により形成された繊維とマトリックスとの間の隙間
    に相間層を形成することを特徴とする請求項7または請
    求項8に記載の方法。
  11. 【請求項11】 繊維補強材が形成された後、相間層が
    形成される前に、ホウ素を含まない耐熱性層を形成する
    工程を含むことを特徴とする請求項7〜10のいずれか
    1項に記載の方法。
  12. 【請求項12】 耐熱性層が炭化ケイ素からなり、炭素
    およびケイ素元素の前駆体を含む反応性ガスから化学気
    相浸透によって形成され、相間層は、反応性ガスの組成
    を変化させることにより、耐熱性層の形成から連続的に
    形成されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
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