JP2000043634A - 車両用の車椅子積降し装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】車椅子の積降し作業中に、車椅子と車室内のシ
ートや車室の側壁等との干渉を回避し得る車椅子積降し
装置を提供する。 【解決手段】車室フロアの開口部に近接した部位に配設
されて軸を中心に回転可能に起立する支柱１４の上端部
に組付けた平方向へ回動可能な支持アーム２１の先端に
て吊下ベルトを介して車椅子を吊下して積降しする車椅
子積降し装置であり、支持アーム２１を後端側アーム２
１ａとその先端部に水平方向へ回動可能に連結された先
端側アーム２１ｂとにより構成して、先端側アーム２１
ｂを後端側アーム２１ａに対して中折れさせることによ
り、車椅子と車室内のシートや車室の側壁等と干渉を回
避する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車両用の車椅子積
降し装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】車両用の車椅子積降し装置は、車椅子を
車室内に積込とともに車室内に積込まれている車椅子を
地上に降ろす手段として各種形式のものが提案されてい
る。その一形式として、車椅子を折り畳んだ状態で車室
内に積込むとともに車室内に積込まれている折り畳み状
態の車椅子を地上に降ろすための車両用の車椅子積降し
装置が、実開昭６４−３３４４１号公報に提案されてい
る。

【０００３】当該車椅子積降し装置は、車室内の左右両
側に配設されて起立する左右一対のパイプフレームと、
両パイプフレームに配設された支持装置と、支持装置に
配設された吊上げ装置からなり、支持装置は両パイプフ
レームに橋架した固定レールと、固定レールに移動可能
に組付けたスライドレールにて構成され、かつスライド
レールの先端に吊上げ装置が組付けられている。

【０００４】当該車椅子積降し装置においては、車椅子
を積込む際には車両ドアを開放して、スライドレールを
前進させて開放された乗降口から外部へ突出して吊上げ
装置を外部に位置させ、折り畳まれた状態の車椅子を吊
上げ装置にて吊上げて、この状態でスライドレールを後
退させることにより、吊上げ装置にて吊上げ状態にある
車椅子を車室内へ積込むようになっている。

【０００５】また、車室内に積込まれている折り畳まれ
た状態の車椅子を地上に降ろす際には、車両ドアを開放
して、車椅子を吊上げ装置にて吊上げた状態でスライド
レールを前進させて開放された乗降口から外部へ突出さ
せて車外に位置させ、車椅子を吊上げ装置から取外すこ
とにより地上に降ろすようになっている。

【０００６】このように、当該車椅子積降し装置は、車
椅子の積降しには極めて便利なものであるが、大型であ
るため車室内での専用スペースが大きくて、車室内の利
用できる空間を大きく制限し、また構造が複雑であると
ともに高価であるという問題がある。

【０００７】また、実開昭５６−１７５２３６号公報に
は、当該車椅子積降し装置に比較して構造が簡単で小型
に構成された身体障害者用の乗降装置が提案されてお
り、上記した問題に対処すべく、当該乗降装置を車椅子
積降し装置に転用することが考えられる。

【０００８】当該乗降装置は、車室フロアに立設した筒
状の軸受と、軸受に嵌合されて回転可能に起立する支柱
と、支柱の上端部に基端部を上下方向に回動可能に連結
した作動腕と、作動腕の先端部に設けた吊下具と、支柱
と作動腕間に架橋状に配設された油圧シリンダとにより
構成されている。

【０００９】当該乗降装置においては、油圧シリンダを
駆動してピストンロッドを進退させることにより、作動
腕を上方へ回動して吊下具にて受承した身体障害者を上
方へ移動させて乗車させ、かつ上方へ回動している作動
腕を下方へ回動して吊下具にて受承した身体障害者を降
車させるようになっている。従って、当該乗降装置にお
いて、吊下具に換えて車椅子を吊下するためのハンガー
を採用すれば、当該乗降装置を車椅子積降し装置に構成
することができる。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】このように、上記した
乗降装置を変更して構成される車椅子積降し装置におい
ては、上記した公知の車椅子積降し装置に比較して構造
が簡単でかつ小型であって、車室内での専用スペースの
低減を図ることができるが、車椅子の積込時には、作動
腕は水平に突出した状態で車椅子を吊下してこの吊下状
態で作動腕を水平方向へ回動させることになるため、車
幅が小さい車両においては、車椅子や作動腕の先端部が
車室内に配設したシートや車室の側壁等と干渉して、車
椅子を積込むことができないことがあり得る。また、車
椅子を積込むことができる場合においても、車椅子が車
室内のシートと接触してシートを汚損したり、損傷した
りすることがあり得る。従って、本発明の目的は、当該
車椅子積降し装置におけるこれらの問題を解消すること
にある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は車両用の車椅子
積降し装置に関するもので、当該車椅子積降し装置は、
車室フロアの開口部に近接した部位に配設されて軸を中
心として回転可能に起立する支柱と、同支柱の上端部に
組付けられて水平方向へ回動可能な支持アームと、同支
持アームの先端部に組付けられたベルト巻上げ機構を備
え、前記支持アームを、後端側アームと、同後端側アー
ムの先端部に水平方向へ回動可能に連結された先端側ア
ームとにより構成して、前記後端側アームの後端部にて
前記支柱の上端部に組付けるともに、前記先端側アーム
の先端部に前記ベルト巻上げ機構を組付けたことを特徴
とするものである。

【００１２】当該車椅子積降し装置においては、前記後
端側アームと先端側アーム間に緩衝機構を配設するこ
と、前記支柱を下端部にて倒伏可能に組付ける構成とす
ることができる。

【００１３】

【発明の作用・効果】本発明に係る車椅子積降し装置に
おいては、車椅子を吊下する支持アームを、後端側アー
ムと先端側アームとの連結部を中心に水平方向へ回動し
て所望の角度に折り曲げることができる。このため、車
椅子を積込む際には、吊下状態にある車椅子の車両の側
壁、車室内のシート等との位置関係をみながら支持アー
ムを適宜の角度折り曲げることにより、車椅子の側壁や
シート等に対する干渉、接触を回避することができて、
車椅子を何等支障なく積込むことができる。なお、車室
内に積込まれている車椅子を降ろす場合も同様に機能さ
せることができる。

【００１４】本発明に係る車椅子積降し装置において、
後端側アームと先端側アーム間の緩衝機構を配設するよ
うにすれば、支持アームにおける急激な折曲げを防止し
て、漸次折曲げられる円滑な折曲げ状態を達成すること
ができる。また、本発明に係る車椅子積降し装置におい
て、支柱を下端部にて倒伏可能に組付ける構成とすれ
ば、車椅子積降し装置をその非使用時には、支持アーム
を折曲げた状態で支柱を倒伏すれば、車椅子積降し装置
の占有空間を低減し得て車室内空間の有効利用を図るこ
とができる。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に基づいて説
明すると、図１〜図３には、本発明に係る車椅子積降し
装置の一例が示されている。当該車椅子積降し装置は、
支柱機構１０、支持アーム機構２０、および巻取り機構
３０にて構成されている。

【００１６】支柱機構１０は、基板１１、連結柱１２、
基柱１３、および外柱１４からなるもので、連結柱１２
は基板１１の中央部にて固着されて起立しており、基板
１１を介して車両の車室内フロアに取付けられる。

【００１７】基柱１３は、図１〜図４に示すように、内
柱部１３ａの下端部に連結部１３ｂを備えているもの
で、連結部１３ｂは所定幅の溝部１３ｃを有していて、
溝部１３ｃにて連結柱１２の板状突起部１２ａに嵌合さ
せた状態で２本のピン１３ｄ，１３ｅを介して板状突起
部１２ａに連結されている。これにより、基柱１３は連
結柱１２上に起立していて、上側ピン１３ｄは抜き差し
可能になっており、上側ピン１３ｄを引き抜けば、基柱
１３は下側ピン１３ｅを中心として下方へ回動して倒伏
可能である。

【００１８】外柱１４は筒状のもので、基柱１３の内柱
部１３ａに外嵌された状態で、ワッシャープレート１４
ａ、プレートベアリング１４ｂ、ワッシャープレート１
４ｃ、ブッシュベアリング１４ｄを介して基柱１３の連
結部１３ｂの上端部に受承され、かつ、上端にて基柱１
３の内柱部１３ａの上端に連結されている。この状態
で、外柱１４は、基柱１３に対してその軸を中心に回転
可能に支持されている。

【００１９】支持アーム機構２０は、支持アーム２１、
ガスダンパ２２、およびストッパ機構２３にて構成され
ている。

【００２０】支持アーム２１は、後端側アーム２１ａと
先端側アーム２１ｂからなるもので、これら両アーム２
１ａ，２１ｂは連結手段２１ｃを介して互いに連結され
ているとともに、両アーム２１ａ，２１ｂ間に配設した
ガスダンパ２２にて連結されている。かかる支持アーム
２１は、その後端側アーム２１ａの後端部にて、支柱機
構１０を構成する外柱１４の上端部に設けた取付ブラケ
ット１４ｅに連結されて上下方向へ回動可能となってお
り、ストッパ機構２３により下方への回動を規制されて
いるとともに、この状態において、先端側アーム２１ｂ
が後端側アーム２１ａの先端部にて、連結手段２１ｃを
中心に水平方向へ回動可能となっている。

【００２１】ストッパ機構２３は、ストッパアーム２３
ａと、掛止片２３ｂと、テンションスプリング２３ｃと
からなるもので、ストッパアーム２３ａはその上端部に
て後端側アーム２１ａの中間部に回動可能に支持されて
いて、ストッパアーム２３ａの上端部と後端側アーム２
１ａ間にテンションスプリング２３ｃが掛止めされてい
る。これにより、ストッパアーム２３ａは図１の矢印方
向へ付勢されていて、その下端部にて掛止片２３ｂに掛
止めされ、支持アーム２１の下方への回動を規制してい
る。

【００２２】巻取機構３０は、図５に示すように、モー
タ３１、クラッチ３２、ギヤ３３、一対の摩擦プレート
３４ａ，３４ｂ、プーリ３５、および図示しないラチェ
ットを備えた公知のもので、これらの全ての構成部材は
ケース３６内に収容されて、支持アーム２１を構成する
先端側アーム２１ｂの先端部に取付けられている。

【００２３】かかる巻取機構３０においては、例えばモ
ータ３１を右回転させると、クラッチ３２が回転して両
摩擦プレート３４ａ，３４ｂ、ギヤ３３、およびプーリ
３５が圧接されて一体化され、この状態でプーリ３５が
回転して吊下ベルト３７を巻き取る。かかる状態では、
モータ３１の回転駆動を停止してもギヤ３３が図示しな
いラチェットに噛合しているためプーリ３５の逆回転が
規制され、吊下ベルト３７が引出されることはない。

【００２４】また、モータ３１を左回転させると、クラ
ッチ３２が逆回転して両摩擦プレート３４ａ，３４ｂ、
ギヤ３３、およびプーリ３５の圧接状態が解除されてギ
ヤ３３とプーリ３５がフリー状態となり、この状態でプ
ーリ３５が逆回転して吊下ベルト３７が引出される。

【００２５】当該車椅子積降し装置は、図６に示すよう
に、ワンボックスカー４１の車室内フロアの後部に配設
されていて、車椅子４２の車室内への積込み、および積
込まれている車椅子の車外への降ろし作業に使用され
る。

【００２６】しかして、当該車椅子積降し装置を使用し
て車椅子４２を車室内へ積込むには、車椅子積降し装置
の支持アーム機構２０を構成する支持アーム２１を回動
して、図６の実線で示す位置ａ0から車室外の位置ａ1に
移動させる。この移動位置ａ1にて、巻取機構３０を構
成するモータ３１を回転駆動して、プーリ３５を逆回転
させて吊下ベルト３７を引出して降下させ、吊下ベルト
３７の下端部のフック３７ａを車外の位置ｂ1に位置す
る車椅子４２の支持ベルトに掛止する。

【００２７】この状態で、モータ３１を回転駆動してプ
ーリ３５を正回転させて吊下ベルト３７を巻取って上昇
させれば、車椅子４２は車室フロアより高い所定の位置
に上昇され、支持アーム２１を車室内側へ回動させて位
置ａ2を経て位置ａ3に移動させれば、車椅子４２は位置
ｂ2を経て位置ｂ3へ移動する。移動位置ｂ3は、車室内
における車椅子４２の収納位置であり、この移動位置ｂ
3にて、モータ３１を回転駆動して、プーリ３５を逆回
転させて吊下ベルト３７を引出して降下させ、吊下ベル
ト３７の下端部のフック３７ａを車椅子４２の支持ベル
トから取外せば、車椅子４２は車室内の所定位置に積込
まれる。

【００２８】なお、車椅子４２の積込み作業が終了した
際には、支持アーム２１は実線で示す位置ａ0に待機さ
せる。また、積込まれている車椅子４２を車外へ降ろす
には、上記した積込み作業とは逆の手順で行うことがで
きる。

【００２９】しかして、当該車椅子積降し装置において
は、車椅子４２を吊下する支持アーム２１を、後端側ア
ーム２１ａと先端側アーム２１ｂとの連結手段２１ｃを
中心にして水平方向へ所望の角度折り曲げることができ
る。このため、車椅子４２を積込む際には、吊下状態に
ある車椅子４２の車両側壁４３、車両シート４４等との
位置関係をみながら支持アーム２１を適宜の角度折り曲
げることにより、車椅子４２の車両側壁４３や車両シー
ト４４等に対する干渉、接触を回避することができて、
車椅子４２を何等支障なく積込むことができる。なお、
車室内に積込まれている車椅子４２を降ろす場合も同様
に機能させることができる。

【００３０】この場合、後端側アーム２１ａと先端側ア
ーム２１ｂ間にガスダンパ２２が配設されているため、
支持アーム２１の急激な折曲げ動作が防止されて、漸次
折曲げられる円滑な折曲げ動作をさせることができ、車
椅子４２の積降し作業を円滑に行うことができる。

【００３１】また、当該車椅子積降し装置においては、
ストッパ機構２３を構成するストッパアーム２３ａを掛
止片２３ｂから外せば、支持アーム２１を支柱機構１０
側へ折り畳むことができ、かつ、上側ピン１３ｄを引抜
けば基柱１３および外柱１４を下側ピン１３ｅを中心に
倒伏させることができる。このため、車椅子積降し装置
をその非使用時には、倒伏状態で所望の位置に格納して
車椅子積降し装置の占有空間を低減し、車室内空間の有
効利用を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一例に係る車椅子積降し装置の斜視図
である。

【図２】同車椅子積降し装置の側面図である。

【図３】同車椅子積降し装置の平面図である。

【図４】同車椅子積降し装置を構成する支柱機構の縦断
面図である。

【図５】同車椅子積降し装置を構成する巻取機構の一部
破断平面図である。

【図６】同車椅子積降し装置の配置状態を示す概略的平
面図である。

【符号の説明】

１０…支柱機構、１１…基板、１２…連結柱、１２ａ…
板状突起部、１３…基柱、１３ａ…内柱部、１３ｂ…連
結部、１３ｃ…溝部、１３ｄ，１３ｅ…ピン、１４…外
柱、１４ａ…ワッシャープレート、１４ｂ…プレートベ
アリング、１４ｃ…ワッシャープレート、１４ｄ…ブッ
シュベアリング、１４ｅ…取付ブラケット、２０…支持
アーム機構、２１…支持アーム、２１ａ…後端側アー
ム、２１ｂ…先端側アーム、２１ｃ…連結手段、２２…
ガスダンパ、２３…ストッパ機構、２３ａ…ストッパア
ーム、２３ｂ…掛止片、２３ｃ…テンションスプリン
グ、３０…巻取機構、３１…モータ、３２…クラッチ、
３３…ギヤ、３４ａ，３４ｂ…摩擦プレート、３５…プ
ーリ、３６…ケース、３７…吊下ベルト、３７ａ…フッ
ク、４１…ワンボックスカー、４２…車椅子、４３…車
両側壁、４４…車両用シート。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車室フロアの開口部に近接した部位に配設
   されて軸を中心として回転可能に起立する支柱と、同支
   柱の上端部に組付けられて水平方向へ回動可能な支持ア
   ームと、同支持アームの先端部に組付けられたベルト巻
   上げ機構を備え、前記支持アームを、後端側アームと、
   同後端側アームの先端部に水平方向へ回動可能に連結さ
   れた先端側アームとにより構成して、前記後端側アーム
   の後端部にて前記支柱の上端部に組付けるとともに、前
   記先端側アームの先端部に前記ベルト巻上げ機構を組付
   けたことを特徴とする車両用の車椅子積降し装置。
2. 【請求項２】請求項１に記載の車両用の車椅子積降し装
   置において、前記後端側アームと先端側アーム間に緩衝
   機構を配設したことを特徴とする車両用の車椅子積降し
   装置。
3. 【請求項３】請求項１または２に記載の車両用の車椅子
   積降し装置において、前記支柱を下端部にて倒伏可能に
   組付けたこと車両用の車椅子積降し装置。