JP2000034520A - 磁気特性に優れる方向性けい素鋼板の製造方法 - Google Patents
磁気特性に優れる方向性けい素鋼板の製造方法Info
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Abstract
途中工程での雰囲気の変動に起因する磁性劣化を効果的
に抑制することによって、磁気特性に優れる方向性けい
素鋼板を安定して製造できる方法を提案することを目的
とする。 【解決手段】 C:0.03〜0.12wt%、Si:2.0 〜4.5 wt
%、酸可溶Al:0.01〜0.05wt%、N:0.004 〜0.012 wt
%を含有する鋼スラブを、熱間圧延後、必要に応じて熱
延板焼鈍を施したのち、所定の冷間圧延を行い、その
後、脱炭焼鈍を施し、焼鈍分離剤を塗布してから二次再
結晶焼鈍及び純化焼鈍を施す一連の工程からなり、Al/
N比xを2.0 〜4.0 の範囲にし、最終冷間圧延の前に焼
鈍と急冷処理を行い、最終冷間圧延を圧下率が80〜95%
でかつ少なくとも3パスは圧延ロール出側直後の鋼板温
度が150 〜350 ℃の範囲となる条件下で行い、雰囲気酸
化性yは0.02+0.12x≦y≦ 0.10 +0.12xの条件式を
満足することを特徴とする。
Description
電気機器の鉄心等の用途に用いるのに適した方向性けい
素鋼板の製造方法に関するものであり、特に磁気特性に
優れるけい素鋼板を提供せんとするものである。
るいは回転機器等の鉄心材料として使用され、磁気特性
として磁束密度が高く、鉄損及び磁気歪が小さいことが
要求される。特に近年、省エネルギー及び省資源の観点
から磁気特性に優れた方向性けい素鋼板のニーズはます
ます高まっている。
には、{110}<001>方位、いわゆるゴス方位に
高度に集積した2次再結晶組織を得ることが肝要であ
る。
必要なインヒビター、例えばMnS,MnSe, AlN等を含む
方向性けい素鋼スラブを加熱して熱間圧延を行ったの
ち、必要に応じて焼鈍を行い、1回又は中間焼鈍を挟む
2回以上の冷間圧延によって最終板厚とし、次いで脱炭
焼鈍を行ったのち、鋼板にMgO を主成分とする焼鈍分離
剤を塗布してから最終仕上げ焼鈍を行うことによって製
造される。
は、特殊な場合を除いて、フォルステライト(Mg2SiO4)
を主体とする絶縁皮膜(以下、単に「フォルステライト
絶縁皮膜又はフォルステライト皮膜」という。)が形成
されているのが普通である。この皮膜は表面の電気的絶
縁だけでなく、その低熱膨張性に起因する引張応力を鋼
板に付与することにより、鉄損さらには磁気歪をも効果
的に改善する。
して磁気特性を向上させるために、フォルステライト皮
膜を有さない鋼板の製造方法に関する技術も開示されて
いる。これらは、例えば脱炭焼鈍後、鋼板にAl2O3 等を
主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから最終仕上げ焼鈍
を行って、フォルステライト皮膜を有さない鋼板を製造
した後、張力コーティングを施して製造される。
多種多様にわたっているが、AlNを主たるインヒビター
とする方向性けい素鋼板の製造においては、酸可溶Alと
Nの量が二次再結晶に大きく影響して、得られる製品の
磁気特性を左右することが知られている。
1号公報、同2−8328号公報、同2−209426
号公報、同2−209427号公報及び同2−2437
21号公報では、酸可溶Al量(%)を{(27/14)×N
(%)+0.0035}〜{(27/14)×N(%)+0.0100}
の範囲にすることが提案されている。
−209428号公報、同2−213419号公報及び
同2−243720号公報では、酸可溶Al量(%)を
{(27/14)×N(%)+0.0030}〜{(27/14) ×N
(%)+0.0150}の範囲にすることが提案されている。
合も酸可溶Alの量が提案された式の範囲よりも多いと、
二次再結晶が不完全になって細粒が発生して磁気特性が
劣化するとされており、また、酸可溶Alの量が提案され
た式の範囲よりも少ないと、二次再結晶は安定であるが
方向性が劣るため良好な鉄損が得られにくいとされてい
る。
は、酸可溶AlとNの量によって表されるAlR 値{AlR =
酸可溶Al(ppm) −14/27 ×N(ppm) }が多くなるに対応
して、最終冷延前の焼鈍における均熱時間を短く、
最終冷延前の焼鈍後における冷却水温を高く、冷間圧
延におけるパス間時効を弱く、脱炭焼鈍における昇温
速度を遅く、1次再結晶焼鈍における最高板温を低
く、高温仕上げ焼鈍における昇温速度を速く、高温
仕上げ焼鈍における昇温中雰囲気の中のH2 %を低く、
することの少なくとも1項を行う技術が開示されてい
る。
成分的中技術は近年かなり向上してきたとはいえ、現行
溶製技術ではある程度の実績のばらつきはやむを得な
い。また、たとえスラブ段階での分析値では酸可溶Al量
が限定した範囲内であっても、分析採取位置による酸可
溶AlとNの量の若干の変動、あるいは熱延板焼鈍・中間
焼鈍やその後の冷却条件などによる酸可溶Al量の若干の
変動、途中工程条件での変動等が生じる。
り、方位の劣る二次粒が成長して磁性劣化が生じる場合
があり、加えて、AlR 値に対する各条件(〜)の制
御範囲が明示されていないこともあり、磁性不良を充分
に抑制できない。
の影響で分解あるいは粗大化するため、炉内雰囲気の制
御、特に炉内のN2 分圧の制御が重要であることが知ら
れており、例えば、特開昭52−78615号公報に
は、窒素含有量20〜70%の窒素−水素雰囲気中にて700
〜1000℃で二次再結晶させ、次いで、水素雰囲気中にて
1000〜1200℃の温度で2時間以上加・均熱して脱窒処理
を行う方法についての開示が、特開昭55−47324
号公報には、昇温中850 〜950 ℃までのいずれかの温度
の焼鈍雰囲気のN2 分圧を20%以下とし、二次再結晶が
開始し完了するまでの温度領域ではN2 分圧を3%以上
とする技術についての開示が、特開昭59−18572
6号公報には、仕上げ焼鈍炉内の雰囲気ガスとしてH2
とArの混合ガスを用いる技術の開示が、特開昭64−
75627号公報には、段階的にN2 分圧を増加させる
技術についての開示が、特開平4ー187721号公報
には、段階的にN2 分圧を減少させる技術についての開
示が、そして、特公平7−122094号公報には、最
終冷延圧下率が50〜80%の場合にN2 分圧を50%未満と
する技術についての開示がある。
は、いずれも成分や工程条件の変動による磁性のばらつ
きを充分に抑制して良好な磁性を安定的に得ることはで
きなかった。
は、熱延板の酸可溶Al量に応じて仕上げ焼鈍昇温過程で
の800 ℃以上二次再結晶完了までのN2 とH2 の分圧を
制御する方法が開示されている。
の1成分である酸可溶Al量のみに着目しており、AlとN
の量の両者には着目していなかった。尚、特開平7−3
05116号公報と特開平8−279408号公報で
は、AlR 値{AlR =酸可溶Al(ppm) −14/27×N(ppm)
}に応じて仕上げ焼鈍中のN2 分圧を制御する技術が
開示されているが、これらは脱炭焼鈍後、鋼板に窒化処
理を行う場合に関して規定したものであった。
む方向性けい素鋼板においては、脱炭焼鈍時に形成され
るサブスケールの物性が仕上げ焼鈍中の脱窒挙動あるい
は焼鈍雰囲気からの浸窒挙動に大きく影響を及ぼし、従
って、磁気特性にも大きな影響を与えることが知られて
いる。
しては、例えば、特開昭59−185725号公報に開
示されているように、脱炭焼鈍後、鋼板の酸素含有量を
制御する方法、特公昭57−1575号公報に開示され
ているように、雰囲気の酸化度を脱炭焼鈍の前部領域で
は0.15以上とし、引き続く後部領域の酸化度を0.75以下
でかつ前部領域よりも低くする方法、特開平2−240
215号公報や特公昭54−24686号公報に開示さ
れているように、脱炭焼鈍後に非酸化性雰囲気中で850
〜1050℃の熱処理を行う方法、また、特公平3−571
67号公報に開示されているように、脱炭焼鈍後の冷却
を750℃以下の温度域では酸化度を0.008 以下として
冷却する方法、あるいは特開平6−336616号公報
に開示されているように、均熱過程における水素分圧に
対する水蒸気分圧の比を0.70未満に、かつ昇温過程にお
ける水素分圧に対する水蒸気分圧の比を均熱過程よりも
低い値にする方法、さらに特開平7−278668号公
報に開示されているように昇温速度と焼鈍雰囲気を規定
する方法等が知られている。
方法としては、例えば特開昭59−226115号公報
には、素材中にMoを0.003 〜0.100 %の範囲で含有させ
ると共に、脱炭焼鈍を、雰囲気温度:820 〜860 ℃でか
つ、P(H2O)/P( H2) で表される雰囲気酸化性:0.30〜0.
50の条件下に行って、鋼板表面に形成されるサブスケー
ル中のシリカ(SiO2)とファイヤライト(Fe2SiO4) の比Fe
2SiO4/SiO2を0.05〜0.45の範囲に調整する方法について
の開示があり、また、特公平7−42503号公報に
は、熱延板焼鈍時の雰囲気と、脱炭焼鈍時の雰囲気とを
規定した方法について開示されている。
一定の効果が認められるとはいえ、必ずしも素材の酸可
溶AlやNの量の変動や途中工程での変動に起因する磁性
劣化の抑制に対しては必ずしも充分なものではなかっ
た。
問題点を有利に解決するものであり、素材中に含有する
酸可溶AlとNの量の変動や途中工程での雰囲気の変動に
起因する磁性劣化を効果的に抑制することによって、従
来法で製造したけい素鋼板に比べて磁気特性に優れる方
向性けい素鋼板を安定して製造できる方法を提案するこ
とを目的とする。
ンヒビターとして利用する基本成分系の素材を用いて、
仕上げ焼鈍中のインヒビター変化に及ぼす各種工程条件
の影響を詳しく調査し、鋭意検討したところ、脱炭焼鈍
均熱時の雰囲気酸化性の影響が大きいことを新たに見出
した。以下にその検討結果を示す。
2 wt%,酸可溶Al:0.023 wt%,N:0.0080 wt %,S
e:0.018 wt%,Sb:0.025 wt%を含むけい素鋼スラブ
を、1430℃で30分間加熱後、熱間圧延を施して2.0 mm厚
の熱延板とした。ついで1100℃で2分間焼鈍後、40℃/
sの速さで急冷処理を行ってから、冷間圧延し最終冷延
板厚:0.23mmとした。このとき、最終冷間圧延は、3パ
スは圧延ロール出側直後の鋼板温度が150 〜350 ℃にな
るような圧延を行った。
清浄化したのち、H2−H2O −N2 雰囲気にて850 ℃の温
度で、片面当たりの酸素目付量が0.5 〜0.6 (g/m2)
になるように脱炭焼鈍を施した。
分離剤をスラリー状にして、それぞれの脱炭焼鈍板コイ
ルに塗布して乾燥させたのち、窒素雰囲気中で850 ℃で
20時間保持し、続いて、窒素:25%,水素:75%の雰囲
気中で15℃/hの昇温速度を保ちながら仕上げ焼鈍を行
った。
性、具体的には雰囲気酸化性(P(H2O)/ P(H2))を0.3
〜0.6 の範囲で変化させたときの、仕上げ焼鈍途中温
度(℃)と鋼中の酸可溶Al含有量(ppm) との関係を示し
たものである。
してインヒビターになっているので、鋼中の酸可溶Al含
有量はインヒビター強度を示す指標と考えてよい。ま
た、雰囲気酸化性(P( H2O)/ P(H2))は、露点とH2ガ
ス濃度によって調整した。
酸化性(P( H2O )/P( H2))の値が低い場合ほど、
インヒビター強度が速く劣化することがわかった。
( H2O )/P( H2))の値が低い場合ほどインヒビター
強度が速く劣化する理由について調べたところ、脱炭焼
鈍均熱時の雰囲気酸化性の違いによってサブスケール中
のSiO2層の構造が変化していることを新たに見出した。
るサブスケール中のSiO2層の構造の変化は、特開平7−
103938号公報、同8−218124号公報あるい
はCAMP−ISIJ8(1995),1591、CA
MP−ISIJ9(1996),448に開示されてい
る電気化学的なサブスケールの評価法によって把握する
ことができる。
−時間曲線の一例である。図2に示すように、通常の場
合、I〜IVの4つの領域に分けられが、発明者らの鋭
意検討を行ったところ、III の領域の幅は、サブスケー
ルを形成するSiO2中のO量と比例関係にあり、しかも、
脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性が異なると、その関係が異な
ってくることが新たにわかった。
化性を変化させたときの、III 領域の幅(s) に対してサ
ブスケールSiO2量中の酸素目付量(g/m2) を測定したと
きの一例を示してあるが、この図から分かるように、II
I 領域の幅とサブスケールSiO2量中のO量とは比例関係
にあることがわかった。尚、上記比例関係は、焼鈍時の
雰囲気酸化性が異なっても成り立つが、図3からもわか
るように、同一直線上には乗ってなく、完全な比例関係
は成立していない。
脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性により異なることを反映して
いるものと考えられる。
走査型電子顕微鏡(SEM) によって観察したものであり、
図4(a) は低雰囲気酸化性下でサブスケール層を形成し
た場合(P(H2O)/P(H2)=0.40 )、図4(b) は高雰囲
気酸化性下でサブスケール層を形成した場合(P(H2O)
/P(H2)=0.55 )のものであり、前記酸素目付量はとも
に0.6 (g/m2)である。
っても脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性が高くなるとラメラ
(あるいはフィルム)状のSiO2が多く存在するのが観察
され、従って、サブスケール中のSiO2層の構造が脱炭焼
鈍時の雰囲気酸化性により異なることが確認できた。
〜880 ℃の温度範囲で、脱炭焼鈍時の均熱温度がサブス
ケール構造に及ぼす影響についても調べたが、均熱温度
が影響するのは脱炭量や鋼板表層の酸化量に対してであ
って、サブスケール構造にはほとんど影響しなかった。
即ち、サブスケール構造の支配因子は均熱時の雰囲気酸
化性であった。
されているような雰囲気の酸化度を脱炭焼鈍の前部領域
では0.15以上とし、引き続く後部領域の酸化度を0.75以
下でかつ前部領域よりも低くする方法や特許第2579
717号公報に開示されているような雰囲気の酸化度を
脱炭焼鈍の前部領域では0.15〜0.75の範囲とし、引き続
く後部領域の酸化度を0.15以下にする方法の場合も、サ
ブスケール構造の支配因子は前部領域の雰囲気酸化性で
あって、後部領域の雰囲気酸化性はサブスケールのほん
の表層のみにしか影響しないことも判明した。
が変化すると、これに伴ってインヒビターの分解挙動が
異なってくることが新たにわかった。
「インヒビター劣化の律速過程は、鋼板界面におけるAl
の酸化過程が最大の因子であり、鋼板中の酸可溶Alは、
仕上げ焼鈍中でSiO2を主体とする酸化層から酸素をと
り、 Al2O3等となって酸化層中に析出する。故に、鋼板
中の酸可溶Al量は減少していく。」旨が記載されてい
る。
には鋼板表面に蛍光X線を照射することによるAl分析に
よってもわかる。
各表面の蛍光X線Al分析結果であるが、図1及び図5を
見ればわかるように、鋼板中の酸可溶Al量が速く減少し
ていく試料ほど、蛍光X線でのAl強度は速く大きくなっ
ていることがわかる。そこで以後の実験では、インヒビ
ター強度の変化を簡便的に鋼板表面の蛍光X線Al分析に
よって調べた。
(P(H2O)/P(H2)) の違いにより、仕上げ焼鈍時のイ
ンヒビター(AlN)の分解過程が大きく異なることがわか
った。
なされたものである。すなわち、例えば特開平2−77
524号公報では、前述したように酸可溶Al量(%)を
{(27/14) ×N( %)+0.0030}〜{(27/14) ×N(
%)+0.0150}の範囲にすることが提案されているが、
この範囲内であっても酸可溶Al量が多いと二次再結晶が
不完全になって細粒が発生しやすく、一方、酸可溶Al量
が少ないと二次再結晶は安定であるが方向性が劣るため
良好な鉄損が得られにくい場合があったが、この発明
は、脱炭焼鈍均熱時の雰囲気酸化性(P(H2O)/P
(H2)) の違いにより、仕上げ焼鈍時のインヒビター(Al
N) の分解過程が大きく異なるという新たな知見に基づ
き、酸可溶Al量とN量の比に応じて脱炭焼鈍均熱時の雰
囲気酸化性(P(H2O)/P(H2)) を制御すれば、安定的
に磁気特性の優れた製品が得られるばかりか、従来以上
に優れた磁気特性が得られる可能性があることに着目し
てなされたものである。
wt%、Si:2.0 〜4.5 wt%、酸可溶Al:0.01〜0.05wt
%、N:0.004 〜0.012 wt%を含有するけい素鋼スラブ
を、熱間圧延した後、必要に応じて熱延板焼鈍を施した
のち、1回又は中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を行
い、その後、脱炭・一次再結晶焼鈍を施し、ついで鋼板
表面に焼鈍分離剤を塗布してから二次再結晶焼鈍及び純
化焼鈍を施す一連の工程からなる方向性けい素鋼板の製
造方法において、鋼中の酸可溶Al含有量(wt%)とN含
有量(wt%)の比(=Al/N比)を2.0 〜4.0 の範囲に
すること、前記冷間圧延工程における最終の圧延の前に
焼鈍と急冷処理を行うこと、最終冷間圧延を、圧下率が
80〜95%でかつ少なくとも3パスは圧延ロール出側直後
の鋼板温度が150 〜350 ℃の範囲となる条件下で行うこ
と、上記Al/N比をxとし、脱炭焼鈍均熱時のP(H2O)
/P(H2)で表される雰囲気酸化性をyとした場合、これ
らx,yは次式(1) 0.02+0.12x≦y≦ 0.10 +0.12x -----------(1) の関係を満足することを特徴とする磁気特性に優れる方
向性けい素鋼板の製造方法である。
〜1050℃の範囲は窒素と水素を含有する混合雰囲気で行
うものとし、その際、窒素ガス分圧をzとした場合、窒
素ガス分圧zを前記Al/N比(x)との関連で、次式
(2) 20x−40≦z≦20x−30 ------------------ (2) の範囲に制限することがより好適である。
た実験結果について説明する。まず発明者らは、鋼中の
酸可溶Al含有量とN含有量の比 (=Al/Nと脱炭焼鈍均
熱時の雰囲気酸化性(P(H2O) /P(H2))が磁性に及ぼ
す影響を詳細に調査した。
用する成分系の素材(C:0.07wt%,Si:3.25wt%,M
n:0.07wt%,Se:0.018 wt%,Sb:0.025 wt%が共
通)を用い、 1)酸可溶Al量がN量に対して相対的に多く(Al/N値
が高い場合に相当)、例えば特開平2−77524号公
報で提案された酸可溶Al量(%)の上限式{(27/14)×
N(%)+0.0150}を超える成分組成をもつ素材(Al=
320 〔ppm 〕,N=80〔ppm 〕,Al/N=4.0 )と、 2)酸可溶Al量がN量に対して適当量あり、例えば特開
平2−77524号公報で提案された酸可溶Al量(%)
の下限式{(27/14) ×N(%)+0.0030}と上限式{(2
7/14) ×N(%)+0.0150}の範囲内にある成分組成を
もつ素材3種(a) Al=280 ppm ,N=80 ppm , Al/N=
3.5 、(b) Al=240 ppm , N=80 ppm ,Al/N=3.0 、
(c) Al=200 ppm ,N=80 ppm , Al/N=2.5 )と、 3)酸可溶Al量がN量に対して相対的に少なく(Al/N値
が低い場合に相当)、例えば特開平2−77524号公
報で提案された酸可溶Al量(%)の下限式{(27/14) ×
N(%)+0.0030}を下回る成分組成をもつ素材(Al=
160 ppm , N=80 ppm , Al/N=2.0)とからなる各けい
素鋼スラブを、1430℃で30分間加熱した後、熱間圧延を
施して2.0 mm厚の熱延板とした。
/sの冷却速度で急冷処理を行ってから、冷間圧延し最
終冷延板厚を0.23mmとした。このとき、3パスは圧延ロ
ール出側直後の鋼板温度が150 〜350 ℃になるような圧
延を行った。その後、これらの冷延板を脱脂して表面を
清浄化したのち、H2−H2O −N2雰囲気にて850 ℃の温度
で、片面当たりの酸素目付量が0.4 〜0.6 (g/m2)に
なるように脱炭焼鈍を施した。この脱炭焼鈍の際、均熱
雰囲気の酸化性を露点とH2 ガス濃度の調整によって、
雰囲気酸化性(P(H2O) /P(H2)): 0.20〜0.65の範囲
で変化させた。
分離剤をスラリー状にして、それぞれの脱炭焼鈍板コイ
ルに塗布して乾燥させたのち、窒素雰囲気中にて850 ℃
で20時間保持し、続いて、窒素:25%,水素:75%の雰
囲気中で15℃/hの速度で1150℃まで昇温する二次再結
晶焼鈍を施した後、1200℃の水素雰囲気中で5時間の純
化焼鈍を行った。
を評価した。素材のAl/N値:xと脱炭焼鈍時の雰囲気
酸化性(P( H2O)/P( H2) ):yが磁気特性に及ぼす
影響を図6に示す。図6の結果から、Al/N値に応じて
最も良好な磁性が得られる脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性
(P(H2O) /P(H2))が変わり、Al/N値が低いほど良
好な磁性が得られる脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性(P(H
2O) /P(H2))は低くなることがわかる。
れる素材のAl/N値と脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性(P(H
2O) /P(H2))値で整理したものを図7に示す。図7の
結果から、脱炭焼鈍均熱時の(P(H2O) /P(H2))で表
される雰囲気酸化性をyとし、前記Al/N比をxとすれ
ば、雰囲気酸化性yは、0.02+0.12x≦y≦ 0.10 +0.
12xの条件式を満足することで、良好な磁気特性が得ら
れることがわかる。
/P(H2))が0.40の時の仕上げ焼鈍中のインヒビター強
度の変化を鋼板表面の蛍光X線Al分析によって調べた結
果を図8に示す。図8から、素材のAl/N値が高いほ
ど、インヒビター強度が速く劣化することがわかり、こ
のことから、素材のAl/N値に応じて脱炭焼鈍・均熱時
の雰囲気酸化性を制御すれば、二次再結晶中でのインヒ
ビターの分解過程を、ちょうど方位の良い二次粒が発現
するように制御することができることがわかった。
下回ると、良好な磁性が得られる脱炭焼鈍時の雰囲気酸
化性(P(H2O) /P(H2))の上限は0.34未満になると思
われ、この場合、脱炭に要する時間が実操業を考えた場
合に実際的でないほど長くなると考えられ、一方、Al/
N値が4.0 を上回ると、良好な磁性が得られる脱炭焼鈍
時の雰囲気酸化性(P(H2O) /P(H2))の下限は0.50を
超えて、良好なフォルステライト質皮膜が得られにくく
なると考えられることから、この発明では、鋼中の酸可
溶AlとNの含有量の比(=Al/N比)を2.0 〜4.0 の範
囲に限定した。
ール出側直後の鋼板温度が150 〜350 ℃の範囲内になる
ように圧延するパス数の影響を調べる実験を行った。
用する成分系の素材(C:0.06wt%,Si:3.3wt%,M
n:0.07wt%,Se:0.02wt%,Sb:0.03wt%が共通)を
用い、 1)Al/N=3.72(Al=290 ppm ,N=78 ppm )、 2)Al/N=2.94(Al=250 ppm ,N=85 ppm )、 3)Al/N=2.37(Al=220 ppm ,N=93 ppm ) である成分組成をもつ3種類の素材を用意し、1430℃で
20分間加熱した後、熱間圧延し2.0 mm厚の熱延板とし
た。
の熱延板焼鈍を施して40℃/sの冷却速度で急冷処理を
行ってから酸洗した後、冷間圧延を施して0.23mm厚に仕
上げた。このとき、最終冷間圧延を、少なくとも3パス
は圧延ロール出側直後の鋼板温度が150 〜350 ℃となる
ような圧延と、1パス又は2パスのみ圧延ロール出側直
後の鋼板温度が150 〜350 ℃になるような圧延を施し
た。
るいは特開昭63−100127号公報で開示されてい
るような冷間圧延時のパス間で時効させる技術とは異な
り、鋼板がロールにかみこんで圧延された直後の温度が
所定温度に達するような圧延である。従って、パス間で
の温度は50℃未満の低い温度でもかまわない。
清浄化したのち、H2−H2O −N2 雰囲気にて850 ℃の温
度で、片面当たりの酸素目付量が0.5 〜0.7 (g/m2)
になるように脱炭焼鈍を施した。この脱炭焼鈍の際、雰
囲気酸化性(P(H2O) /P(H2))を、露点とH2 ガス濃
度の調整によって0.25〜0.60の範囲で変化させた。
分離剤をスラリー状にして、それぞれの脱炭焼鈍板コイ
ルに塗布して乾燥させたのち、窒素雰囲気中にて850 ℃
で10時間保持し、続いて、窒素:25%,水素:75%の雰
囲気中で10℃/hの速度で1150℃まで昇温する二次再結
晶焼鈍を施した後、1200℃の水素雰囲気中で5時間の純
化焼鈍を行い、このようにして得られた各条件の磁気特
性を評価した。
での圧延ロール出側直後の鋼板温度を150 〜350 ℃の範
囲になるように圧延するパス数とが磁性に及ぼす影響に
ついて調べた結果を図9に示す。
表される雰囲気酸化性yが、Al/N値:xによって定め
られる式;0.02+0.12x≦y≦0.1 +0.12xの条件であ
って、かつ最終冷間圧延時での圧延ロール出側直後の鋼
板温度が150 〜350 ℃の範囲である圧延が3パス以上行
われたときに非常に良好な磁性が得られることがわか
る。
0 ℃の範囲となるような圧延を3パス以上実施したとき
に良好な磁性が得られる理由としては、従来から報告さ
れている時効効果以外に圧延時の表面摩擦の影響もある
ものと考えられる。
を行うことで、摩擦の影響によって鋼板表層部での変形
挙動が150 ℃未満の冷間圧延や350 ℃を超える高温で行
われる場合の圧延とは異なり、二次再結晶の核となるG
oss核の生成に有利な方向に作用するものと考えられ
る。従って、そのような圧延を3パス以上行うことによ
り磁性が向上したものと考えられる。
表層に生じることは、戸田ら、日本金属学会講演概要、
112 p.87 (1993) で開示した「フェライト鋼の冷間圧
延変形挙動の解明」の中に示された図からも読み取れ
る。
ール出側直後の鋼板温度が150 〜350 ℃の範囲である圧
延が3回以上実施された場合に、脱炭焼鈍均熱時の(P
(H2O) /P(H2))で表される雰囲気酸化性yを、Al/N
値:xによって定められる式;0.02+0.12×≦y≦0.1
+0.12xの条件とした時に、二次再結晶焼鈍時の雰囲気
(N2 分圧)が磁性に及ぼす影響について調査した。
ターの場合、二次再結晶焼鈍時のN2 分圧が磁性に及ぼ
す影響は大きいことが知られており、例えば特許第27
16916号公報では、「仕上げ焼鈍中の鋼中酸可溶Al
量は、窒素分圧の高い方が減少は少なく、高温までイン
ヒビターは強い」と述べられている。しかしながら、こ
れまでは脱炭焼鈍均熱時の雰囲気酸化性(P(H2O) /P
(H2))が低い場合ほど、インヒビター強度が速く劣化す
るということはわかっていなかった。
立脚した場合、従来水準を凌駕する特性がさらに安定的
に得られる可能性があると考え、以下の実験を行った。
用する成分系の素材(C:0.07wt%,Si:3.4wt%,M
n:0.07wt%,Se:0.02wt%,Sb:0.03wt%が共通)を
用い、 1)Al/N=3.89(Al=270 ppm , N=72 ppm )、 2)Al/N=3.33(Al=270 ppm ,N=81 ppm )、 3)Al/N=3.01(Al=250 ppm , N=83 ppm )、 4)Al/N=2.58(Al=230 ppm ,N=89 ppm )、 5)Al/N=2.07(Al=180 ppm ,N=87 ppm ) である成分組成をもつ5種類の素材を用意し、1430℃で
20分間加熱した後に熱間圧延し2.0 mm厚の熱延板とし
た。
の熱延板焼鈍を施した後、40℃/sの冷却速度で急冷処
理を行ってから酸洗し、その後、冷間圧延を施して0.23
mm厚に仕上げた。このとき、少なくとも3パスは圧延ロ
ール出側直後の鋼板温度が150 〜350 ℃となるような圧
延を実施した。
清浄化したのち、30℃/sの昇温速度で昇温しH2−H2O
−N2雰囲気にて820 ℃の温度で、片面当たりの酸素目付
量が0.4 〜0.7 (g/m2)になるように脱炭焼鈍を施し
た。この脱炭焼鈍の際、均熱雰囲気の酸化性を露点とH
2 ガス濃度の調整によって変化させ、雰囲気酸化性y
を、素材1)は0.51,素材2)は0.47,素材3)は0.4
2, 素材4)は0.36, 素材5) は0.33とした。
分離剤をスラリー状にして、それぞれの脱炭焼鈍板コイ
ルに塗布して乾燥させたのち、窒素雰囲気中にて900 ℃
までの昇温に続いて、窒素分圧を0〜60%に変化させ、
残部は水素とした雰囲気中で15℃/hの速度で1150℃ま
で昇温する二次再結晶焼鈍を施した後、水素雰囲気中に
て1200℃で5時間の純化焼鈍を行い、このようにして得
られた各供試材について磁気特性を評価した。
の窒素分圧(残部は水素)に対する磁束密度の測定した
値をプロットしたものを図10に示す。図10の結果から、
最も良好な磁性が得られる二次再結晶焼鈍時の窒素分圧
はAl/N値に応じて変化し、Al/N値が低いほど最高値
の磁性が得られる窒素分圧は低くなることがわかる。
〔T〕が得られる素材Al/N値と二次再結晶焼鈍時の窒
素分圧で整理した結果を図11に示す。図11の結果から、
脱炭焼鈍均熱時の雰囲気酸化性yを、Al/N値:xによ
って定められる式;0.02+0.12x≦y≦0.10+0.12xの
条件にして、かつ、二次再結晶焼鈍中の雰囲気ガスの窒
素分圧:z(%)を、Al/N値:xによって定められる
式;20x−40≦z≦20x−30の条件とし、残部は水素と
することで、従来法で製造したけい素鋼板よりもさらに
磁気特性に優れたけい素鋼板が安定して得られているこ
とがわかる。
御は、二次再結晶開始前から完了後まで行えばよいの
で、900 〜1050℃の範囲に限定した。
前記範囲に限定した理由について説明する。この発明の
対象とするけい素鋼板用スラブでは、C:0.03〜0.12wt
%、Si:2.0 〜4.5 wt%、酸可溶Al:0.01〜0.05wt%、
N:0.004 〜0.012 wt%を含有させることが必要であ
る。
%、S及びSeのうちから選んだ少なくとも一種:0.010
〜0.040 wt%、Mo:0.01〜0.10wt%、Sb:0.01〜0.20wt
%、Cu:0.01〜0.20wt%、Sn:0.02〜0.30wt%、Ge:0.
02〜0.30wt%、Ni:0.01〜0.50wt%、P:0.002 〜0.30
0 wt%、Nb:0.003 〜0.100 wt%、V:0.003 〜0.100
wt%、B:0.0005〜0.0300wt%及びBi:0.001 〜0.200
wt%の範囲で各成分を含有させることもできる。
善を行うために重要な成分である。C含有量は、0.03wt
%に満たないと良好な一次再結晶組織が得られず、0.12
wt%を超えると脱炭が難しくなって脱炭不良となり磁気
特性が劣化するので0.03〜0.12wt%に限定した。
で重要な成分である。Si含有量は、2.0 wt%に満たない
と最終仕上げ焼鈍中にα−γ変態によって結晶方位が損
なわれ、4.5 wt%を超えると冷延性に問題が生じるた
め、2.0 〜4.5 wt%に限定した。
に必要不可欠な成分である。良好に二次再結晶させるに
は、酸可溶Al含有量を0.01〜0.05wt%、N含有量を0.00
4 〜0.012 wt%の範囲にすることが必要である。即ち、
酸可溶Al及びNの含有量が上記範囲を超えるとAlN の粗
大化を招いて抑制力を失う傾向があり、また、上記範囲
未満ではAlN インヒビターの量が不足するからである。
用スラブでは、C:0.03〜0.12wt%、Si:2.0 〜4.5 wt
%、酸可溶Al:0.01〜0.05wt%、N:0.004 〜0.012 wt
%を含有させることが必要である。
るもので、Mn量が0.02%未満、又はSとSeの単独若しく
は合計量が0.010 wt%未満であると、インヒビター機能
が十分に得られなくなり、一方、Mn量が0.20wt%を超
え、又はSとSeの単独若しくは合計量が0.040 %を超え
ると、スラブ加熱に必要な温度が高くなりすぎて実用的
ではないので、Mn含有量は0.02〜0.20wt%の範囲、S又
はSeは単独あるいは合計量として0.010 〜0.04%の範囲
とすることが好ましい。
u,Sn, Ge, Ni, P,Nb, V,B,Biなどを単独又は複
合して添加することが可能である。
が悪くなり、0.01wt%に満たないと十分な効果が得られ
ないので、0.01〜0.20wt%の範囲にするのが好ましい。
が悪化する傾向があり、0.01wt%に満たないと十分な効
果が得られないので、0.01〜0.20wt%の範囲にするのが
好ましい。
超えると、良好な一次再結晶組織が得られず、0.02wt%
未満では十分な効果が得られないので、これらの含有量
はともに0.02〜0.30wt%の範囲にすることが好ましい。
度が低下する傾向があり、0.01wt%未満では十分な効果
が得られないので、0.01〜0.50wt%の範囲にするのが好
ましい。
好な一次再結晶組織が得られず、0.002 wt%未満では十
分な効果が得られないので、0.002 〜0.300wt %の範囲
にするのが好ましい。
を超えると、脱炭性が悪くなる傾向があり、0.003 wt%
に満たないと十分な効果が得られないので、これらの含
有量はともに0.003 〜0.100wt %の範囲にするのが好ま
しい。
好な一次再結晶組織が得られず、0.0005wt%に満たない
と、十分な効果が得られないので、0.0005〜0.0300wt%
の範囲にするのが好ましい。
好な一次再結晶組織が得られず、0.001 wt%に満たない
と、十分な効果が得られないので、0.001 〜0.200 wt%
の範囲にするのが好ましい。
分である。Moの含有量は、0.10wt%を超えると脱炭性が
悪くなる傾向があり、0.01wt%に満たないと十分な効果
が得られないので、0.01〜0.10wt%の範囲にするのが好
ましい。
べる。従来より用いられている製鋼法で上記成分組成に
調整した溶鋼を連続鋳造法あるいは造塊法で鋳造し、必
要に応じて分塊工程を挟んでスラブを製造し、1100〜14
50℃の温度範囲でスラブ加熱を行い、その後熱間圧延を
行う。次いで、必要に応じて熱延板焼鈍を行ったのち、
1回ないしは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により
最柊板厚の冷延板とする。
析出状態を制御するため急冷処理を行うことが必要であ
る。
発揮させるために、最終冷延での圧下率は80〜95%の強
冷延であることが必要である。
スは圧延ロール出側直後の鋼板温度が150 〜350 ℃とな
る条件下で行うことが必要である。
御した脱炭焼鈍を行う。即ち、 0.02+0.12x≦y≦0.10+0.12x ------(1) ここで、x:Al/N比、y:雰囲気酸化性 を満足する条件下で脱炭焼鈍均熱処理を行うのである。
は、通常の10〜30℃/sの範囲に限るものではなく、5
〜60℃/sより広範囲で行うことができる。また、鋼板
表層の酸素目付量は片面当たり0.3 〜1.0 (g/m2)で
あるサブスケールを形成するのが好ましい。
は、フォルステライト形成源としてのSiO2量が不足する
ためにフォルステライト皮膜が充分に生成せず、逆に1.
0 〔g/m2〕を超えるとフォルステライト皮膜が過厚に
なって部分的に剥落しやすくなって皮膜特性を劣化させ
る傾向があるためである。
するのが好ましい。これより均熱温度が低くても高くて
も、脱炭に要する時間が実操業を考えた場合に実際的で
ないほど長くなるからである。
離剤をスラリー状にして塗布した後乾燥してから、2次
再結晶焼鈍を施す。かかる2次再結晶焼鈍工程中、特に
900〜1050℃の温度範囲について、 20x−40≦z≦20x−30 ------(2) ここで、x:Al/N比、z:窒素ガス分圧 の範囲を満足する条件下で行うのが有利なことは前述し
たとおりである。
℃/hの範囲で行えばよい。ここに、焼鈍分離剤の主成
分としてMgO を用いる場合は、その水和量(20℃×6分
間にて水和後、1000℃×1時間の強熱による減量)が1
〜5%の範囲のものを用いるのがよい。
ルステライト皮膜の生成が不充分となり、5%を超える
とコイル層間への持ち込み水分量が多くなりすぎ鋼板の
追加酸化量が多くなるため、良好なフォルステライト皮
膜が得られなくなるおそれがあるからである。また、Mg
O の30℃でのクエン酸活性度(CAA 40 %値)は、30秒か
ら150 秒のものを用いるのがよい。CAA 40値が30秒未満
では反応性が強すぎ、またCAA 40値が150 秒を超えると
反応性が弱すぎていずれも良好なフォルステライト被膜
が得られなくなる恐れがあるからである。
布量は鋼板片面当たり4〜10g/m2の範囲で塗布するの
が好ましい。
ォルステライトの生成が不充分となり、10g/m2を超え
るとフォルステライト皮膜が過剰に生成して厚くなるた
め占積率の低下をきたすからである。なお、磁気特性あ
るいは皮膜特性の向上を目的として、焼鈍分離剤中に従
来公知のTiO2, SnO2や Fe2O3等の酸化物や、Mg2SO4,SnS
O4 等の硫化物、あるいはSr(OH)2 ・8H2O・SrSO4 など
のSr化合物の1種又は2種以上をそれぞれ単独又は複合
して添加してもよい。
を主成分とする焼鈍分離剤を用いて、仕上げ焼鈍後にフ
ォルステライト皮膜を有しない鋼板も製造できる。
フォルステライト皮膜を生成させない条件でも良好に二
次再結晶させ、磁気特性の優れた鋼板を得ることができ
る。
げ焼鈍)を行った後、りん酸塩系の絶縁コーティング好
ましくは張力を有する絶縁コーティングを施して製品と
する。また、最終冷延後、最経仕上げ焼鈍後あるいは絶
縁コーティング後に既知の磁区細分化処理を行うことも
でき、これは、さらなる鉄損の低減に有効である。
%,Mn:0.069wt %,酸可溶Al:0.025wt %,N:0.00
90 wt%,Se:0.019 wt%, Cu:0.10wt%、Sb:0.044
wt%を含み、Al/N比xは2.78 であるけい素鋼スラブ
を、1430℃で30分間加熱した後、熱間圧延を施して、2.
5 mm厚の熱延板とした。次いで、1000℃・1分間の熱延
板焼鈍後、冷間圧延にて板厚1.8 mmとし、1100℃・1分
間の中間焼鈍とその後の急冷処理(30℃/s)を行った
のち、2回目の冷間圧延( 圧下率87.2%)により最終板
厚0.23mmに仕上げた。この際、少なくとも3パスは圧延
ロール出側直後の鋼板温度が150 〜350 ℃となるように
圧延を実施した。その後、これらの冷延板に、H2−H2O
−N2雰囲気にて820 ℃で脱炭焼鈍を施した。このとき、
表1に示すように、酸化性雰囲気yを0.33〜0.45の範囲
で変化させるとともに、均熱時間・昇温速度・最終冷延
後(脱炭焼鈍前)の電解脱脂条件(有無を含めて)等を
適宜変更して、酸素目付量(片面当たり)が0.4 〜0.6
〔g/m2〕になるようにした。次いで、MgOを主成分と
する焼鈍分離剤をスラリーとして脱炭焼鈍板コイルにそ
れぞれ塗布し乾燥させたのち、窒素雰囲気中にて850 ℃
で10時間保持し、続いて、窒素分圧を10〜30%にし残部
は水素とした雰囲気中で10℃/hの速度で1150℃まで昇
温する二次再結晶焼鈍を施したのち、1200℃の水素雰囲
気中で5時間の純化焼鈍を行った。しかるのち、りん酸
マグネシウムとコロイダルシリカを主成分とするコーテ
ィングを施した。
(磁束密度B8,鉄損W17/50)を調査した。その結果を表
1に併記する。
造した本発明例は、いずれも良好な磁気特性を示してい
る。
%,Mn:0.074 wt%,酸可溶Al:0.027 wt%,N:0.00
79 wt %,Se:0.021wt %,Cu:0.10wt%、Sb:0.024
wt%を含み、Al/N比xは3.42 であるけい素鋼スラブ
を、1430℃で30分間加熱後、熱間圧延を施して、2.2 mm
厚の熱延板とした。ついで1125℃・1分間の熱延板焼鈍
後、30℃/sの速さで急冷処理を行ってから冷間圧延(
圧下率87.7%)により最終板厚0.27mmに仕上げた。その
際、少なくとも3パスは圧延ロール出側直後の鋼板温度
が150 〜350 ℃となるように圧延を実施した。その後、
これらの冷延板に、H2−H2O−N2雰囲気にて850 ℃で脱
炭焼鈍を施した。その際、酸化性雰囲気yを0.40〜0.52
の範囲で変化させるとともに、均熱時間・昇温速度・最
終冷延後(脱炭焼鈍前)の電解脱脂条件(有無を含め
て)等を適宜変更して、酸素目付量(片面当たり)が0.
5 〜0.8 〔g/m2〕になるようにした。
ラリーとして脱炭焼鈍板コイルにそれぞれ塗布し乾燥さ
せたのち、窒素雰囲気中にて850 ℃までの昇温に続い
て、窒素分圧を25〜40%にし残部は水素とした雰囲気中
で15℃/hの速度で1050℃まで昇温する二次再結晶焼鈍
を施したのち、1200℃の水素雰囲気中で5時間の純化焼
鈍を行った。しかるのち、りん酸マグネシウムとコロイ
ダルシリカを主成分とするコーティングを施した。
磁気特性(磁束密度B8,鉄鎖W17/50)を調査した。その
結果を表2に示す。
造した本発明例は、いずれも良好な磁気特性を示してい
る。
%,Mn:0.070 wt%,酸可溶Al:0.025 wt%, N:0.00
83 wt %,Se:0.017 wt%,Cu:0.12wt%、Sb:0.024
wt% を含み、Al/N比xは3.10であるけい素鋼スラブ
を、1430℃で30分間加熱後、熱間圧延を施して、2.4 mm
厚の熱延板とした。ついで1125℃・1分間の熱延板焼鈍
後、25℃/sの速さで急冷処理を行ってから冷間圧延(
圧下率85.8%) により最終板厚0.34mmに仕上げた。その
際、少なくとも3パスは圧延ロール出側直後の鋼板温度
が150 〜350 ℃となるように圧延を実施した。その後、
これらの冷延板に、H2−H2O−N2雰囲気にて830 ℃で脱
炭焼鈍を施した。このとき、酸化性雰囲気yを0.35〜0.
48の範囲で変化させるとともに、均熱時間・昇温速度・
最終冷延後(脱炭焼鈍前)の電解脱脂条件(有無を含め
て)等を適宜変更して、酸素目付量(片面当たり)が0.
6 〜0.9 g/m2]になるようにした。次いで、MgO を主
成分とする焼鈍分離剤をスラリーとして脱炭焼鈍板コイ
ルにそれぞれ塗布し乾燥させたのち、窒素雰囲気中にて
850 ℃で20時間保持し、続いて、窒素分圧を15〜35%に
し残部は水素とした雰囲気中で15℃/hの速度で1150℃
まで昇温する二次再結晶焼鈍を施したのち、1200℃の水
素雰囲気中で5時間の純化焼鈍を行った。
ダルシリカを主成分とするコーティングを施した。かく
して得られた各製品コイルについて、磁気特性(磁束密
度B8, 鉄鎖W17/50)を調査した。その結果を表3に示
す。
造した本発明例は、いずれも良好な磁気特性を示してい
る。
らなる5種類のけい素鋼スラブA〜Eを用意した。これ
らのけい素鋼スラブを1430℃で30分間加熱後、熱間圧延
を施して、2.0mm厚の熱延板とした。次いで、1125℃で
1分間の熱延板焼鈍を施した後、25℃/sの速さで急冷
処理を行ってから冷間圧延により最終板厚0.23mmに仕上
げた。その際、少なくとも3パスは圧延ロール出側直後
の鋼板温度が150 〜350 ℃となるように圧延を実施し
た。その後、これらの冷延板に、H2−H2O −N2雰囲気に
て840℃で脱炭焼鈍を施した。このとき、酸化性雰囲気
yを0.27〜0.53の範囲で変化させるとともに、均熱時間
・昇温速度・最終冷延後(脱炭焼鈍前)の電解脱脂条件
(有無を含めて)等を適宜変更して、酸素目付量(片面
当たり)が0.4 〜1.0 g/m2]になるようにした。次い
で、MgO を主成分とする焼鈍分離剤をスラリーとして脱
炭焼鈍板コイルにそれぞれ塗布し乾燥させたのち、窒素
雰囲気中にて850℃で20時間保持し、続いて、窒素分圧
を 3〜45%にし残部は水素とした雰囲気中で15℃/hの
速度で1150℃まで昇温する二次再結晶焼鈍を施したの
ち、1200℃の水素雰囲気中で5時間の純化焼鈍を行っ
た。しかるのち、りん酸マグネシウムとコロイダルシリ
カを主成分とするコーティングを施した。
磁気特性(磁束密度B8, 鉄鎖W17/50 )を調査した。こ
の結果を素材別に表5〜9に示す。
で製造した本発明例はいずれも良好な磁気特性を示して
いる。
ヒビターを有する方向性けい素鋼板の製造に際し、素材
中の酸可溶Al量とN量の比xに応じて、脱炭焼鈍時の雰
囲気酸化性yを制御することにより、優れた磁気特性を
得ることができる。また、脱炭焼鈍時の雰囲気酸化性y
に加えて、二次再結晶焼鈍時のN2 分圧を制御すること
により、より一層優れた磁気特性を有する方向性けい素
鋼板を安定して製造することができる。
二次再結晶焼鈍中のインヒビター強度の変化に及ぽす影
響を示す図である。
時間曲線の一例を示す模式図である。
と、図2の電圧−時間曲線の領域III の幅との関係を示
す図である。
の図面代用断面SEM写真であり、(a) は低雰囲気酸化
性下で形成した場合、(b) は高雰囲気酸化性下で形成し
た場合のものである。
二次再結晶焼鈍中のインヒビター強度の変化に及ぼす影
響を示す図である。
雰囲気酸化性yの変化が、磁気特性(磁束密度B8)に及
ぼす影響を示した図である。
気酸化性yの変化が、磁気特性(磁束密度B8)に及ぼす
影響を示した図である。
ンヒビター強度の変化に及ぼす影響を示す図である。
直後の鋼板温度と脱炭焼鈍・均熱時の雰囲気酸化性yの
変化が、磁気特性(磁束密度B8)に及ぼす影響を示した
図であり、(a) はx=3.72の場合、(b) はx=2.94の場
合、(c) はx=2.37の場合である。
(磁束密度B8)に及ぼす影響を示した図である。
のN2 分圧zが、磁気特性(磁束密度B8)に及ぼす影響
を示した図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 C:0.03〜0.12wt%、Si:2.0 〜4.5 wt
%、酸可溶Al:0.01〜0.05wt%、N:0.004 〜0.012 wt
%を含有するけい素鋼スラブを、熱間圧延した後、必要
に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回又は中間焼鈍を
挟む2回以上の冷間圧延を行い、その後、脱炭・一次再
結晶焼鈍を施し、ついで鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布し
てから二次再結晶焼鈍及び純化焼鈍を施す一連の工程か
らなる方向性けい素鋼板の製造方法において、 鋼中の酸可溶Al含有量(wt%)とN含有量(wt%)の比
(=Al/N比)を2.0〜4.0 の範囲にすること、 前記冷間圧延工程における最終圧延の前に焼鈍と急冷処
理を行うこと、 最終冷間圧延を、圧下率が80〜95%でかつ少なくとも3
パスは圧延ロール出側直後の鋼板温度が150 〜350 ℃の
範囲となる条件下で行うこと、 上記Al/N比をxとし、脱炭焼鈍均熱時のP(H2O) /P
(H2)で表される雰囲気酸化性をyとした場合、これら
x,yは次式(1) 0.02+0.12x≦y≦ 0.10 +0.12x -----------(1) の関係を満足することを特徴とする磁気特性に優れる方
向性けい素鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 二次再結晶焼鈍中、少なくとも900 〜10
50℃の範囲は窒素と水素を含有する混合雰囲気で行うも
のとし、その際、窒素ガス分圧をzとした場合、窒素ガ
ス分圧(z)を、前記Al/N比(x)との関連で次式
(2) 20x−40≦z≦20x−30 ------------------ (2) の範囲に制限することを特徴とする請求項1記載の磁気
特性に優れる方向性けい素鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21346598A JP3952601B2 (ja) | 1998-07-14 | 1998-07-14 | 磁気特性に優れる方向性けい素鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP21346598A JP3952601B2 (ja) | 1998-07-14 | 1998-07-14 | 磁気特性に優れる方向性けい素鋼板の製造方法 |
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CN114226662A (zh) * | 2021-12-13 | 2022-03-25 | 清华大学 | 一种退火制备低热膨胀因瓦合金的方法 |
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1998
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KR101366299B1 (ko) | 2012-07-20 | 2014-02-25 | 주식회사 포스코 | 강의 제조 방법 |
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