JP2000034310A - エマルションの製造方法 - Google Patents

エマルションの製造方法

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JP2000034310A
JP2000034310A JP10219650A JP21965098A JP2000034310A JP 2000034310 A JP2000034310 A JP 2000034310A JP 10219650 A JP10219650 A JP 10219650A JP 21965098 A JP21965098 A JP 21965098A JP 2000034310 A JP2000034310 A JP 2000034310A
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Japan
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meth
emulsion
acrylate
monomer
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JP10219650A
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English (en)
Inventor
Mitsutaka Hasegawa
三高 長谷川
Takuya Omura
卓也 大村
Takenao Yamamura
武尚 山村
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Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】得られる塗膜が過酷な条件でも長期間に渡って
耐汚染性に優れる水系のエマルションを製造可能な方法
の提供。 【解決手段】界面活性剤の存在下に、ラジカル重合性単
量体、油溶性重合開始剤及びポリオキシアルキレンセグ
メントとポリオルガノシロキサンセグメントを有するブ
ロックポリマーを水性媒体中に乳化分散させて得られる
水性乳化分散体を、加熱された水性媒体中に添加して、
ラジカル重合性単量体を重合させるエマルションの製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長期間に渡り耐汚
染性に優れる塗膜を形成することが可能な水性のエマル
ションの製造方法に関するものであり、エマルションを
利用する被覆材等の技術分野で賞用し得るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、アクリル系重合体をベースにした
アクリルエマルション系塗料は、屋外塗装用塗料として
も使用されている。しかしながら、当該塗料は、有機溶
剤系塗料と比較して、塗膜硬度が低いこと等を原因とし
て、自動車排ガス、砂塵及び鉄粉等に起因する汚染物質
が塗膜表面に堆積したり、雨筋状の汚れが付着したりす
ることで美観が損なわれるという問題、即ち耐汚染性の
問題が顕在化しており、耐汚染性に優れる材料が要求さ
れている。
【0003】有機溶剤系塗料における耐汚染性を改善す
る方法としては、アルキルシリケート又はその部分加水
分解物等を塗料中に配合することで、得られる塗膜表面
に親水性と水中撥油性を付与し、塗膜が雨水で濡れて次
いで汚染物質が雨水とともに流れ落ちる、いわゆるロー
リングアップ機構によって汚れを除去する方法が提案さ
れている(特開平6−248237号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、エマル
ション系塗料において、上記有機溶剤系塗料と同様の耐
汚染性改善策を行った場合、アルキルシリケート類の様
な加水分解性の物質は水中で安定に保持することが困難
なため、当該方法で塗膜の汚染性を改良することは不充
分なものであった。
【0005】他方、本発明者らは、アルコキシシリル基
を有する重合体からなる水性エマルションであって、保
存安定性に優れ、かつ耐水性及び耐溶剤性等の優れた物
性の塗膜を形成し得る硬化性エマルションとして、ポリ
オキシアルキレン単位及びラジカル重合性二重結合を有
するイオン性界面活性剤を使用して、ラジカル重合性ア
ルコキシシランと他のビニル単量体を共重合した水性エ
マルションを見出している(特開平8−217807
号)。しかしながら、当該エマルションは、保存安定性
に優れ、かつ優れた物性の被膜を形成することが可能で
あるものの、耐汚染性の点では不充分なものであった。
本発明者らは、当該エマルションの耐汚染性を改善する
エマルションとして、アルコキシシリル基を有する重合
体及びポリオキシアルキレンセグメントとポリオルガノ
シロキサンセグメントを含有するブロックポリマーから
なるエマルションを提案している(特願平9−3366
10号)。しかしながら、当該エマルションは、長期
間、屋外で風雨にさらされたり、過酷な条件下では、経
時的に耐汚染性が低下してしまうという問題があった。
【0006】本発明者らは、得られる塗膜が過酷な条件
でも長期間に渡って耐汚染性に優れる水系のエマルショ
ンを製造可能な方法について、鋭意検討を行ったのであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、種々の検
討の結果、ラジカル重合性単量体、油溶性重合開始剤及
び特定のブロックポリマーからなる水性乳化分散体を使
用し、これを加熱された水性媒体に添加して重合する方
法が、得られるエマルションの塗膜が耐汚染性に優れる
ことを見い出し本発明を完成した。以下、本発明を詳細
に説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】1.ラジカル重合性単量体 本発明の製造方法では、種々のラジカル重合性単量体が
使用可能であり、ビニル基又は(メタ)アクリロイル基
等のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物が挙げら
れ、具体的には、アルコキシシリル基を有するラジカル
重合性単量体;(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニ
ル及びプロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニル;スチ
レン及びα−メチルスチレン等のエチレン性不飽和基含
有芳香族化合物;(メタ)アクリル酸、イタコン酸及び
マレイン酸等のカルボキシル基含有エチレン性不飽和基
化合物等が挙げられ、これらの中でも(メタ)アクリル
酸エステルが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルと
しては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル
酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)ア
クリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチ
ルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル及び(メタ)
アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキ
ル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル及び(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)ア
クリル酸ヒドロキシルアルキル、(メタ)アクリル酸パ
ーフルオロアルキル、グリシジル(メタ)アクリレー
ト、並びに(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノ
エチル等が挙げられる。
【0009】本発明の製造方法において、好ましいラジ
カル重合性単量体としては、アルコキシシリル基を有す
るラジカル重合性単量体0.5〜50重量%及びそれと
共重合可能なラジカル重合性単量体99.5〜50重量
%からなる単量体混合物である。当該単量体混合物から
得られる共重合体(以下アクリルシリコン共重合体とい
う)は、当該共重合体のアルコキシシリル基又はシラノ
ール基とシラン化合物とが結合を形成するため、得られ
る塗膜の架橋性が向上するため、各種塗膜物性がより優
れたものとなる。以下、これらの成分について説明す
る。
【0010】1-1.アルコキシシリル基を有するラジカル
重合性単量体 本発明で好ましく使用されるアルコキシシリル基を有す
るラジカル重合性単量体〔以下単量体(a) という〕は、
下記式(1)で示される化合物である。
【0011】
【化1】
【0012】(式中、R1 は炭素数1〜10のアルキル
基、アリール基及びアラルキル基から選ばれる一価の炭
化水素基、R2 はラジカル重合性基、Xはアルコキシ基
又はハロゲン原子、aは0〜2までの整数である。Si
に結合するX及びR1 がそれぞれ二個以上の場合、それ
らは同一の基であっても異なる基であっても良い。)R
2 のラジカル重合性基としては、エチレン性不飽和基が
好ましく、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ビニ
ルエステル基及びビニルエーテル基等のラジカル重合性
の高い官能基がより好ましい。Xにおいて、アルコキシ
基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、
ブトキシ基、ペンタノキシ基及びヘキサノキシ基等が挙
げられ、ハロゲン原子としてはF、Cl、Br及びIが
挙げられる。反応性と安定性のバランスから、Xとして
は炭素数4以下のアルコキシ基が好ましい。
【0013】単量体(a) の具体例としては、ビニルトリ
メトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタ
クリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルト
リエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、γ
−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メ
タクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニル
トリプロポキシシラン、ビニルメチルジプロポキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルトリプロポキシシラン
及びγ−メタクリロキシプロピルメチルジプロポキシシ
ラン等が挙げられる。当該単量体は、二種以上を併用し
てもよい。
【0014】1-2.単量体(a) と共重合可能なラジカル重
合性単量体 上記単量体(a) と共重合可能なラジカル重合性単量体
〔以下単量体(b) という〕としては、(メタ)アクリル
酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレ
ン及びα−メチルスチレン等が挙げられる。(メタ)ア
クリル酸エステルの具体例としては、上記で挙げたもの
と同様のものが使用できる。単量体(a) と単量体(b) の
混合物を使用する場合において、得られるアクリルシリ
コン共重合体として、シラノール基を有するものを製造
する場合は、上記の他、(メタ)アクリル酸、イタコン
酸及びマレイン酸等のカルボキシル基を有する単量体も
使用することができる。一方、アクリルシリコン共重合
体として、アルコキシシリル基を有し、ほとんどシラノ
ール基を有しない共重合体を製造する場合は、アルコキ
シリル基の加水分解を促進させる当該カルボキシル基を
有する単量体を使用しないことが望ましい。これらの単
量体は単独で使用することもできるが、通常は塗膜物性
のバランスがとれるよう複数成分選定することが好まし
い。
【0015】単量体(b) としては、共重合性に優れ、得
られる共重合体の塗膜物性等に優れることから、炭素数
1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキ
ル、スチレン、炭素数2〜3のヒドロキシアルキル基を
有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル及びグリ
シジル(メタ)アクリレートが好ましい。又、アクリル
シリコン共重合体としてシラノール基を有するものを製
造する場合は、(メタ)アクリル酸も好ましい。耐候性
や強度、耐熱性等の塗膜物性を高レベルに保持するた
め、単量体成分の合計量100重量部に対し、(メタ)
アクリル酸エステルを少なくとも50重量部使用するこ
とが好ましい。
【0016】単量体(a) と単量体(b) の好ましい使用割
合は、単量体(a) 0.5〜50重量%及び単量体(b) 9
9.5〜50重量%であり、さらに好ましくは、単量体
(a)3〜20重量%及び単量体(b) 97〜80重量%で
ある。単量体(a) の割合が0.5に満たない場合は、単
量体(a) を構成成分とする効果が発揮されず、他方50
重量%を越えるとエマルションの安定性が低下しやす
い。
【0017】2.油溶性重合開始剤 本発明における油溶性重合開始剤は、油溶性のものであ
れば種々のものが使用可能であり、20℃の水に対する
溶解度が10重量%以下のものが好ましく、反応温度に
おいて単量体混合物中に溶解するものが好ましい。例え
ば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’
−アゾビス−2,4ジメチルバレロニトリル、1−アゾ
ビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル及びジメチル
−2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ系開始
剤、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシ
ド、ジクミルパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキ
シドジ−n−プロピルパーオキシジカルボネート及びt
−ブチルパーオキシピバレート等の有機過酸化物が好適
に用いられる。これら重合開始剤の量は、使用するラジ
カル重合性単量体の合計量に対して、0.1〜10重量
%が好ましく、より好ましくは0.2〜3重量%の範囲
に設定される。
【0018】3.ブロックポリマー 本発明で使用するブロックポリマーは、ポリオキシアル
キレンセグメントとポリオルガノシロキサンセグメント
を有するものであり、塗膜の耐汚染性を改良するために
機能する必須の成分である。
【0019】本発明におけるブロックポリマーの添加量
としては、単量体混合物100重量部に対し、0.1〜
30重量部が好ましい。0.11重量部未満では耐汚染
性の改良が不十分なことがあり、一方、30重量部を越
えると、塗膜の耐候性が低下する場合がある。
【0020】ブロックポリマーとしては、種々のものが
使用可能であり、好ましい例としては、ポリオキシアル
キレンセグメントとポリオルガノシロキサンセグメント
からなり、珪素含有量が35〜85重量%であるブロッ
クポリマー(以下、ブロックポリマーAという)及び主
鎖中にポリジメチルシロキサン単位と複数のアゾ基を有
するラジカル重合開始剤の存在下に、ポリオキシアルキ
レン基を有する(メタ)アクリル酸エステルを主成分と
する単量体をラジカル重合せしめたブロックポリマー
(以下、ブロックポリマーBという)等が挙げられる。
【0021】3-1.ブロックポリマーA ブロックポリマーAは、ポリオキシアルキレンセグメン
トとポリオルガノシロキサンセグメントからなり、珪素
含有量が35〜85重量%であるブロックポリマーであ
る。ブロックポリマーAのGPCによるポリスチレン換
算の数平均分子量としては、1,000〜30,000
が好ましい。又、ポリオルガノシロキサンセグメントの
数平均分子量は400〜10,000であることが好ま
しく、又ポリオキシアルキレンセグメントは数平均分子
量が200〜10,000であることが好ましい。ブロ
ックポリマーA中のポリオルガノシロキサンセグメント
の割合は、珪素含有量として35〜85重量%であるこ
ろが好ましい。35重量%未満では耐汚染性の改良が不
十分で、又塗膜の耐水性が低下する場合があり、一方、
85重量%を越えると耐汚染性の改良が不十分となるこ
とがある。
【0022】ブロックポリマーAとしては、種々のポリ
マーが使用可能であり、好ましくはポリオキシアルキレ
ンセグメントとポリオルガノシロキサンセグメントがア
ルキレン基の連結基を介して交互に繰り返し結合してい
るものであり、下記式(2)で表される骨格を有するポ
リマーがより好ましい。
【0023】
【化2】
【0024】式(2)において、R3 及びR4 は脂肪族
不飽和結合を含まない1価の炭化水素基を表し、1分子
中のR3 及びR4 は、それぞれ同一でも異なっていても
良い。Aは一端がケイ素原子に、他端が酸素原子に結合
する2価の有機基を表し、aは4以上の整数を表し、b
は4以上の整数を表し、cは2以上の整数を表し、nは
2、3又は4の整数を表す。
【0025】式(2)におけるR3 及びR4 としては、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブ
チル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル
基、ドデシル基、オクタデシル基及びエイコシル基等の
アルキル基;フェニル基及びナフチル基等のアリール
基;ベンジル基及びフェニルエチル基等のアラルキル
基;トリル基、キシリル基及びシクロヘキシル基等を挙
げることができる。
【0026】式(2)におけるAは一端がケイ素原子
に、他端が酸素原子に結合する2価の有機基、すなわ
ち、隣接ケイ素原子には炭素−ケイ素結合によって結合
し、そして隣接酸素原子を介してポリオキシアルキレン
セグメントに結合する2価の有機基である。Aの好適な
例は以下のものがある:−CH2 CH2 −、−CH2
2 CH2 −、−CH2 CH(CH3 )CH2 −、−C
2 CH2 CH2 CH2 −、−(CH2 2 CO−、−
(CH2 3 NHCO−、−(CH2 3 NHCONH
(C6 4 )NHCO−、−(CH2 3 OOCN(C
6 4 )NHCO−。
【0027】又、式(2)におけるポリオキシアルキレ
ンセグメント、即ち(Cn 2nO)b 単位としては、具
体的にはC2 4 O、C3 6 O及びC4 8 O等があ
り、異なる2種類の単位を有するものであっても良い。
好ましい例としては、C2 4 O単位とC3 6 O単位
がブロック共重合したものが挙げられる。
【0028】上記ブロックポリマーAは、ポリアルキレ
ンオキサイドの両末端にメタアリル基を有するジメタア
リルポリエーテルとジヒドロポリオルガノシロキサンと
の反応等により製造することができる。ポリオルガノシ
ロキサンブロックポリマーの具体例としては、日本ユニ
カ(株)製ABN SILWETシリーズ等が挙げられ
る。
【0029】3-2.ブロックポリマーB ブロックポリマーBは、主鎖中にポリジメチルシロキサ
ン単位と複数のアゾ基を有するラジカル重合開始剤の存
在下に、ポリオキシアルキレン基を有する(メタ)アク
リル酸エステル〔以下(メタ)アクリル酸ポリオキシア
ルキレンエステルという〕を主成分とする単量体をラジ
カル重合せしめたものである。当該ブロックポリマーと
しては、GPCで測定したポリスチレン換算の数平均分
子量が4万〜100万であるものが好ましく、より好ま
しくは5万〜20万である。
【0030】3-2-1.(メタ)アクリル酸ポリオキシアル
キレンエステル (メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレンエステルとし
ては、種々の化合物が使用可能であり、下記式(3)で
表される化合物等が挙げられる。
【0031】
【化3】 CH2 =CR5 CO(OR6 n OR7 ・・・(3) 式中、R5 は水素原子又はメチル基、R6 はアルキレン
基及びR7 は炭化水素残基を示し、nは1〜30の整数
を示す。
【0032】式(3)において、R6 のアルキレン基と
しては、エチレン基、プロピレン基及びブチレン基等が
挙げられ、R7 の炭化水素残基としては、メチル基、エ
チル基、プロピル基及びフェニル基等が挙げられる。好
適な(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレンエステル
としては、下記式(4)で表されるアルコキシポリエチ
レングリコールモノ(メタ)アクリレート、下記式
(5)で表されるフェノキシエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、下記式(6)で表されるアルコ
キシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト及び下記式(7)で表されるアルコキシポリテトラメ
チレングリコールモノ(メタ)アタクリレート等が挙げ
られる。
【0033】
【化4】 CH2 =CRCO(OCH2 CH2 n OR’ ・・・(4) (式中、Rは水素又はメチル基、R’は、メチル基、エ
チル基又はプロピル基、nは1〜30の整数である。)
【0034】
【化5】 CH2 =CRCO(OCH2 CH2 n OPh ・・・(5) (式中、Rは水素又はメチル基、nは1〜30の整数で
ある。)
【0035】
【化6】 CH2 =CRCO(OCH2 CH2 (CH3 ))n OR’ ・・・(6) (式中、Rは水素又はメチル基、R’は、メチル基、エ
チル基又はプロピル基、nは1〜30の整数である。)
【0036】
【化7】 CH2 =CRCO(OCH2 CH2 CH2 CH2 n OR’ ・・・(7) (式中、Rは水素又はメチル基、R’は、メチル基、エ
チル基又はプロピル基、nは1〜30の整数である。
【0037】これら単量体の割合は、全単量体中に50
重量%以上であることが好ましく、より好ましくは70
重量%以上である。これらは1種類又は2種類以上を併
用しても良い。
【0038】3-2-2.その他単量体 ブロックポリマーBとしては、得られるブロックポリマ
ーBの溶解性、安定性、分散性、相溶性及び共架橋性を
向上する目的で、上記必須成分の(メタ)アクリル酸ポ
リオキシアルキレンエステルに加え、これと共重合可能
なその他の単量体を使用することもできる。かかる単量
体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アク
リル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メ
タ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチ
ル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル
酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メ
タ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリ
ル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メ
タ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステア
リル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)ア
クリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸トリシクロ
デシニル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリ
ル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アク
リル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸クロ
ロエチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル及び
(メタ)アクリル酸ペンタフルオロプロピル等の(メ
タ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸ヒドロキ
シエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アク
リル酸の末端水酸基ポリエチレンオキサイドマクロモノ
マー及びN−メチロール化(メタ)アクリルアミド等の
水酸基を含有する不飽和単量体;(メタ)アクリル酸グ
リシジル及びアリルグリシジルエーテル等のエポキシ基
を含有する不飽和単量体;(メタ)アクリル酸、イタコ
ン酸、マレイン酸、フマル酸及びビニル酢酸等のカルボ
キシル基を含有する不飽和単量体;(メタ)アクリル酸
アミノエチル等のアミノ基を含有する不飽和単量体;γ
−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチル
ジエトキシシラン及びトリエトキシビニルシラン等のア
ルコキシシリル基を含有する不飽和単量体等が例示され
る。これらその他単量体の中でも、アクリルシリコン共
重合体との相溶性及び共架橋性に優れる点から、水酸基
又はアルコキシシリル基を含有する不飽和単量体が好ま
しい。
【0039】その他、これら以外にも必要に応じて、エ
チレン、プロピレン及びイソブチレン等のオレフィン
類、塩化ビニル及び塩化ビニリデン等のクロロエチレン
類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニ
ル、ピバリン酸ビニル、ヴェオバ−9(シェル化学
製)、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニ
ル及びラウリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル
類、(メタ)アクリルアミド類、並びにスチレン及びα
−メチルスチレン等のスチレン類等を共重合してもよ
い。その他の単量体の割合は、全単量体の50モル%以
下が好ましく、より好ましくは30モル%以下である。
【0040】3-2-3.ブロックポリマーBの製造方法 ブロックポリマーBは、主鎖中にポリジメチルシロキサ
ン単位と複数のアゾ基を有するラジカル重合開始剤の存
在下に、前記(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレン
エステル又はこれと共重合体可能なその他単量体との混
合物をラジカル重合させることにより得られるものであ
る。これにより、ポリオキシアルキレン骨格とポリジメ
チルシロキサン骨格を有するブロックポリマーを製造す
ることができる。当該重合開始剤としては、数平均分子
量が5千〜15万であるものが好ましく、より好ましく
は2万〜10万である。ポリシロキサン部分の数平均分
子量としては、3千〜1万5千であるものが好ましい。
当該重合開始剤としては、下記式(8)で表される、ポ
リメリックアゾ化合物が好ましい。
【0041】
【化8】
【0042】(式中、xは10〜500の整数、nは2
〜100の整数である。)
【0043】上記式(8)のポリメリックアゾ化合物
は、例えば和光純薬工業(株)より市販されており、ポ
リジメチルシロキサン部分の分子量が5千、1万のもの
が知られている。
【0044】本発明における重合開始剤の使用割合は、
(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレンエステル又は
これとその他の単量体の合計量100重量部に対して、
1〜10重量部が好ましい。
【0045】前記ラジカル重合は通常の方法が使用で
き、即ち、塊状重合、有機溶剤中での溶液重合及び水中
での乳化重合などが採用可能である。溶液重合における
溶媒としては、テトラヒドロフラン及びジオキサン等の
環状エーテル類;n−ヘキサン、シクロヘキサン、ミネ
ラルスピリット、工業用ガソリン4号揮発油、同3号揮
発油、灯油及びテレビン油等等の脂肪族炭化水素類;ト
ルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素化合物;酢酸エ
チル及び酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチル
エチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エタノ
ール、イソプロパノール、n−ブタノール及びn−ブチ
ルセロソルブ等のアルコール類等の有機溶媒が例示さら
れ、これらの1種または2種以上を用いることができ
る。これらの中でも、得られるブロックポリマーの溶解
性に優れるという理由で、環状エーテル類、エステル
類、ケトン類及びアルコール類が好ましい。有機溶剤の
使用量は、全単量体100重量部に対し20〜200重
量部であることが好ましい。乳化重合においては、高級
アルコール硫酸エステルナトリウム塩及びポリエチレン
グリコールエーテル等の乳化剤の存在下もしくは乳化剤
の不在化で、水性媒体中で重合することができる。乳化
剤を使用する場合、全単量体100部に対し0.01〜
50部が望ましい。重合終了後、ブロックポリマーを単
離精製し、有機溶剤に再溶解、又は水に懸濁して使用し
ても良い。重合条件としては、使用する単量体及び適用
する重合方法等により適宜設定すれば良く、好ましくは
重合温度20〜100℃、重合圧力1〜200kg/c
2 、重合時間3〜40時間である。
【0046】4.界面活性剤 界面活性剤としては、通常の乳化重合において汎用され
る、アニオン系、ノニオン系及びカチオン系等の各種界
面活性剤を用いることができるが、得られる組成物の塗
膜が、耐水性及び耐候性に優れるため、ラジカル重合性
基を有する界面活性剤を用いることが好ましい。
【0047】当該ラジカル重合性界面活性剤としては、
下記一般式(9)で表されるポリオキシアルキレン基と
イオン解離性基を含有するものが好ましい。
【0048】
【化9】Z−(AO)n −Y ・・・・(9)
【0049】(式中、Zは、ラジカル重合性単量体と共
重合可能なラジカル重合性二重結合を有する有機基、A
Oはオキシアルキレン基、nは2以上の整数、Yはイオ
ン解離性基を示す。) 前記一般式(9)における好ましいZは、芳香族炭化水
素基、アルキル置換芳香族炭化水素基、高級アルキル基
又は脂環式炭化水素基等の疎水性基とラジカル重合性二
重結合とが組み合わされた構造単位である。さらに、Z
におけるラジカル重合性二重結合としては、(メタ)ア
リル基、プロペニル基又はブテニル基等が好ましい。
【0050】界面活性剤の好ましいイオン性はアニオン
であり、従ってYとしては、基(AO)n とアニオン性
の基で結合可能であり、当該アニオン性の基にカチオン
がイオン結合した塩が好ましい。好ましいYの具体例と
しては、−SO3 Na、−SO3 NH4 、−COON
a、−COONH4 、−PO3 Na2 及び−PO3 (N
4 2 等が挙げられ、さらに好ましくは−SO3 Na
又は−SO3 NH4 である。基(AO)n におけるnは
2以上の整数である。nが1の場合は、単量体(a)中の
アルコキシシリル基が不安定になり分解しやすくなって
しまう。好ましいnとしては、300以下であり、より
好ましくは5〜50である。nが5未満であると、前記
単量体(a) 中のアルコキシシリル基の安定性が不足し易
くなる場合があり、一方nが300を越えると得られる
硬化性エマルションから形成される塗膜の物性が低下す
る傾向を示すことがある。又、基(AO)n における単
位A、すなわちアルキレン基としては、エチレン基又は
プロピレン基が好ましい。
【0051】上記界面活性剤の具体例としては、例えば
下記式(10)〜(12)で表される化合物等が挙げられ
る。式(10)及び(11)において、R8 及びR9 として
は、炭素数6〜18の直鎖状又は分岐状アルキル基が好
ましい。(12)において、R10は水素原子又はメチル基
であり、R11としては、炭素数8〜24のアルキル基が
好ましい。又、式(10)〜(12)において、A1 、A2
及びA3 は、アルキレン基を示し、又いずれの化合物に
おいてもnは2以上の整数である。又、式(10)〜(1
2)において、Y1 、Y2 及びY3 はイオン解離性基を
示し、その具体例としては、Yと同様のものを挙げるこ
とができる。
【0052】
【化10】
【0053】
【化11】
【0054】
【化12】
【0055】界面活性剤の好ましい使用量は、前記ラジ
カル重合性単量体100重量部当たり、0.5〜20重
量部であり、さらに好ましくは1〜5重量部である。
【0056】5.エマルションの製造方法 本発明のエマルションの製造方法は、界面活性剤の存在
下に、ラジカル重合性単量体、油溶性重合開始剤及びブ
ロックポリマーを水性媒体中に乳化分散させて得られる
水性乳化分散体を、加熱された水性媒体中に添加して、
ラジカル重合性単量体を重合させるものである。
【0057】使用する水性乳化分散体は種々の方法で製
造され、界面活性剤の存在下に、ラジカル重合性単量
体、油溶性重合開始剤及びブロックポリマーを、別々に
又は混合物として、水性媒体に添加して得ることができ
るが、ラジカル重合性単量体、油溶性重合開始剤及びブ
ロックポリマーを混合物(以下単量体等混合物という)
とし、これを界面活性剤の存在下に水性媒体中に乳化分
散させて得られる水性乳化分散体が、得られるエマルシ
ョンが塗膜の耐汚染性により優れるため好ましい。単量
体等混合物は、油溶性重合開始剤をラジカル重合性単量
体に溶解させ、当該溶液中にブロックポリマーを撹拌下
に添加混合する等の方法で得ることができる。各成分を
水性媒体中に乳化分散させる方法としては、通常の回転
式ホモミキサー等により、各成分と水性媒体とを撹拌混
合する方法、又は水性媒体中に各成分を添加する方法等
で十分に乳化分散させることができる。界面活性剤は各
成分又は単量体等混合物に混合しておいても、水性媒体
中に添加しておいても良い。ラジカル重合性単量体、油
溶性重合開始剤、ブロックポリマー及び界面活性剤から
なる乳化分散体は微粒子である必要があり、好ましい粒
径としては0.02〜2μmであり、より好ましくは
0.1〜1.0μmである。この様な粒子径の水性乳化
分散体とすることにより、重合後に得られる水性エマル
ションの粒子径を小さくすることができ、得られる各重
合体の組成が均一となり、塗膜が耐溶剤性及び耐水性に
優れるものとなる。この様な粒子径にするためには、回
転式ホモミキサーによる処理後に、高圧式乳化分散機
(ホモジナイザー)、タービン型ミキサー等高度の剪断
エネルギーを有する分散装置を用いて粒子径を微細化す
ることが望ましい。
【0058】ラジカル重合性単量体及びブロックポリマ
ーの合計量と水性媒体との好ましい比率は、ラジカル重
合性単量体及びブロックポリマーの合計量100重量部
当たり、水性媒体20〜150重量部である。
【0059】本発明では、単量体(a) としてアルコキシ
シリル基を有する単量体を使用した場合には、アルコキ
シシリル基の安定化のため、pH緩衝剤を配合すること
が好ましい。pH緩衝剤の配合は、単量体等の水性媒体
中への分散操作において、事前に水性媒体に溶解させて
おくことも、単量体等と一緒に水性媒体中に添加しても
良い。pH緩衝剤としては、水性媒体のpHを6〜10
に保持するのに適した緩衝剤が好ましく、有機酸、無機
酸、塩基及びそれらの塩類が挙げられ、具体的な化合物
としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸
アンモニウム、ほう酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、
硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、
モノ−、ジ−又はトリエタノールアミン、アニリン及び
ケイ酸ナトリウム等が挙げられる。中でも、安全性、低
価格等の面から、炭酸水素ナトリウムが最も好ましい。
緩衝剤は単独又は2種以上を併用することができる。使
用量は一般的には水性乳化分散体中の濃度が0.01〜
5重量%であるのが好ましい。
【0060】本発明においては、上記水性媒体が少量仕
込まれ、かつ、重合開始剤の分解温度以上に加熱された
攪拌下の反応器内に、上述の方法によって得られたラジ
カル重合性単量体を主成分とする水性乳化分散体を滴下
等の方法により添加する。反応器へ仕込んでおく水性媒
体の好ましい量は、反応器に滴下する水性乳化分散体1
00重量部当たり、10〜50重量部程度である。水性
分散体は滴下ロートから反応器内に徐々に滴下すること
が好ましく、又重合温度は、通常40〜100℃が好ま
しい。当該反応は、バッチ式でも、連続式でも行うこと
ができる。本発明においては、単量体溶液の乳化分散粒
子中に油溶性重合開始剤が含まれているため、各分散微
細粒子内で重合が起こる。このような疎水性粒子内で単
量体を重合させる重合法は、一般にはミクロ懸濁重合と
称されており、該重合法によれば、水溶性開始剤により
乳化剤を形成するミセル内で単量体を重合させる乳化重
合法と比較して、ブロックポリマーを各粒子内に良好に
閉じ込めることができる。よって該エマルションより得
られる塗膜はブロックポリマーが均一に分布し、かつ、
ブロックポリマーが塗膜表面に長期間にわたって安定に
存在する塗膜が形成される。
【0061】本発明のエマルションは、単量体(a) とし
てアルコキシシリル基を有する単量体を使用する場合に
は、アルコキシシリル基の加水分解によって生じるシラ
ノール基が主体となって起こる縮合反応により硬化する
が、必要に応じて硬化触媒を配合することもできる。硬
化触媒として、例えばイソプロピルトリイソステアロイ
ルチタネート及びイソプロピルトリ(ジオクチルピロホ
スフェート)チタネート等の有機チタネート化合物、ジ
オクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレート及びジブチル錫
マレート等の有機錫化合物、並びにパラトルエンスルフ
ォン酸等の有機酸触媒を挙げることができる。又、前記
硬化触媒とともに、本発明エマルションの使用に際し、
適当量の無機酸を加え、エマルションのpHを3〜5程
度の酸性域に調整すれば、一層架橋性が改善された被膜
を作製することが可能となる。
【0062】本発明のエマルションには、必要に応じて
顔料、消泡剤、増粘剤、防黴剤、防腐剤、抗菌剤、紫外
線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、スリップ剤、たれ
防止剤、色別れ防止剤、酸化防止剤及び熱安定剤等の通
常水性塗料で使用される添加剤を配合しても良い。又、
顔料を分散させる場合には、顔料分散剤を添加しても良
い。これらは前記ブロックポリマーを配合する前の硬化
性エマルションに予め配合しておくこともできる。
【0063】本発明のエマルションは被覆剤として好適
であり、適用できる基材としては、繊維、ガラス、スレ
ート、金属、木材、プラスチック及びコンクリート等が
挙げられる。又、その用途としては、建材用の塗料、耐
酸性雨用塗料、防汚性塗料及び無機建材用溌水剤の他
に、電気電子部品の防湿コーティング剤、磁気テープの
バックコート剤、繊維用の硬化仕上げ剤、溌水剤、シー
リング剤、接着剤、バインダー並びに粘着剤等が挙げら
れるが、耐汚染性の改善が著しいことから、屋外塗料用
途が最も好ましい。
【0064】本発明のエマルションの塗装は、水性塗料
で通常行われている方法に従えば良く、例えばスプレー
塗装、はけ塗り、ロール等によって塗装することができ
る。この場合、塗料の膜厚としては、目的に応じて選択
すれば良いが、下地保護性、乾燥性のバランスの点から
10〜50μm であることが好ましい。
【0065】
【作用】本発明のエマルションから得られる塗膜が長期
間にわたり耐汚染性に優れる理由は不明であるが、以下
のことが推察される。構成成分のブロックポリマーは、
そのポリオルガノシロキサンセグメントの界面張力の低
さにより、ブロックポリマーを塗膜表面に局在化させ、
該セグメント間に挟まれた親水性のポリオキシアルキレ
ンセグメントがうまく塗膜表面に配列し、その結果塗膜
表面を親水化できるため、雨水等により汚染物質が流れ
落とされ易くなると推定される。さらに、本発明におい
ては、ブロックポリマーをラジカル重合性単量体と混合
し、当該混合物を水性乳化分散体とした後、重合を行
い、これによりエマルション粒子内にブロックポリマー
が均一に分散したエマルションとなる。よって、乾燥塗
膜中ではブロックポリマーが均一に分散しており、ブロ
ックポリマーが雨で洗い流されることなく、長期間にわ
たって耐汚染性が持続するものと推定される。
【0066】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明する。尚、各例における「部」は、全て
重量部を意味する。又、実施例で使用された界面活性剤
の「アクアロンHS20」〔第一工業製薬(株)製〕は
下記式(13)で表されるラジカル重合性乳化剤であ
る。
【0067】
【化13】
【0068】○実施例1 (1) 水性乳化分散体の調製工程 表1に示すラジカル重合性単量体、及びブロックポリマ
ーAである日本ユニカー(株)製直鎖状ポリエーテル変
性シリコーンABN SILWET F1−009−1
1(珪素含有量40重量%、以下F1と示す)、油溶性
重合開始剤、pH緩衝剤、ラジカル重合性界面活性剤及
び水を、表1に示す配合量で混合し、ホモミキサーで乳
化分散処理を施して、水性乳化分散体を調製した。尚、
単量体混合物の粒径は、およそ0.2μmであった。
【0069】
【表1】
【0070】(2) 重合工程 撹拌機、温度計及び冷却器を備えたフラスコに水性媒体
として脱イオン水70部を仕込み、液温を85℃に昇温
したのち、攪拌下で上記の水性乳化分散体を3時間かけ
て滴下した。滴下終了後内液を90℃に昇温し、更に1
時間保持して重合を完了した。重合中に液分離及びブロ
ッキングは起こらず、重合は安定に行われた。得られた
エマルションにおいて、共重合体の平均粒径は0.22
μmであった。得られたエマルションの固形分100部
に対して、トリプロピレングリコール−n−ブチルエー
テル(以下TPNBと略す)を10部配合し、水性組成
物を製造した。
【0071】○評価 ・耐汚染性 0.6mm厚のアルミ板に、白色のフッ素系塗料〔フロ
ンコート900、川上塗料(株)製〕を塗装後、得られ
た水性組成物をバーコーターを使用して塗装し(乾燥膜
厚は約30μm )、常温で1週間乾燥した。得られた塗
膜を名古屋市南部工業地帯において、6ケ月間及び12
ケ月間、45゜の角度で暴露試験を行い、試験前後のL
値の変化であるΔLを測定した。ΔL値の絶対値が小さ
い程、耐汚染性が良好であることを示す。
【0072】・耐水性 0.6mm厚のアルミ板に、得られた水性組成物をバー
コーターを使用して塗装し(乾燥膜厚は約60μm )、
常温で1週間乾燥し試験体を製造した。得られた試験体
を、40℃の温水中に8時間浸漬し、この後の塗膜の変
化を観察した。尚、表2における○、△及び×は、以下
の意味を示す。 ○:変化なし、△:わずかに白化した、×:顕著に劣化
した
【0073】○実施例2 実施例1におけるF1を20部使用した以外は、すべて
実施例1と同一条件によりエマルションを製造した。得
られたエマルションを使用し、実施例1と同様にしてT
PNBを配合して組成物を製造し、実施例1と同様に評
価した。それらの結果を表2に示す。
【0074】○比較例1 F1を使用せずに、その他成分及び操作は、すべて実施
例1と同一条件によりエマルションを製造した。得られ
たエマルションを使用し、実施例1と同様にしてTPN
Bを配合して組成物を製造し、実施例1と同様に評価し
た。それらの結果を表2に示す。
【0075】○比較例2 F1をTPNBに重量部としてF1/TPNB=1/3
の割合で混合し、溶解せしめた。当該混合液と比較例1
で製造したエマルションとを、水性分散液中の樹脂固形
分100部に対して、混合液中のブロックポリマーが1
0部になるよう添加し、攪拌混合して水性組成物を得
た。得られた水性組成物を使用し、実施例1と同様に評
価した。それらの結果を表2に示す。
【0076】○比較例3 実施例1において油溶性重合開始剤を使用せずに水性乳
化分散液を製造した。即ち、重合開始剤であるロンガリ
ッド0.6部及びt−ブチルハイドロパーオキサイド
0.4部、並びに炭酸水素ナトリウムを添加した水性媒
体に、水性乳化分散液を滴下し、その他の条件は実施例
1と同様にして乳化重合を行った。得られたエマルショ
ンを使用し、実施例1と同様にしてTPNBを配合して
組成物を製造し、実施例1と同様に評価した。それらの
結果を表2に示す。
【0077】
【表2】
【0078】○実施例3 実施例1において、単量体の種類及び割合を以下に変更
する以外は実施例1と同様にしてエマルションを製造し
た。 ・γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン 10部 ・メチルメタクリレート 40部 ・n−ブチルメタクリレート 20部 ・n−ブチルアクリレート 20部 ・2−ヒドロキシエチルメタクリレート 10部 得られたエマルションを使用し、実施例1と同様にして
TPNBを配合して組成物を製造し、実施例1と同様に
評価した。それらの結果を表3に示す。
【0079】○実施例4 実施例3におけるF1を20部使用した以外は、すべて
実施例1と同一条件によりエマルションを製造した。得
られたエマルションを使用し、実施例1と同様にしてT
PNBを配合して組成物を製造し、実施例1と同様に評
価した。それらの結果を表3に示す。
【0080】○比較例4 F1を使用せずに、その他成分及び操作は、すべて実施
例3と同一条件によりエマルションを製造した。得られ
たエマルションを使用し、実施例1と同様にしてTPN
Bを配合して組成物を製造し、実施例1と同様に評価し
た。それらの結果を表3に示す。
【0081】○比較例5 F1をTPNBに重量部としてF1/TPNB=1/3
の割合で混合し、溶解せしめた。当該混合液と比較例4
で製造したエマルションとを、水性分散液中の樹脂固形
分100部に対して、混合液中のブロックポリマーが1
0部になるよう添加し、攪拌混合して水性組成物を得
た。得られた水性組成物を使用し、実施例1と同様に評
価した。それらの結果を表3に示す。
【0082】○比較例6 実施例3において油溶性重合開始剤を使用せずに水性乳
化分散液を製造した。即ち、重合開始剤であるロンガリ
ッド0.6部及びt−ブチルハイドロパーオキサイド
0.4部、並びに炭酸水素ナトリウムを添加した水性媒
体に、水性乳化分散液を滴下し、その他の条件は実施例
3と同様にして乳化重合を行った。得られたエマルショ
ンを使用し、実施例1と同様にしてTPNBを配合して
組成物を製造し、実施例1と同様に評価した。それらの
結果を表3に示す。
【0083】
【表3】
【0084】
【発明の効果】本発明により得られる水性のエマルショ
ンは、貯蔵安定性に優れ、得られる塗膜は長期間にわた
って耐汚染性に優れるものであり、特に原料単量体とし
て、アルコキシシリル基を有する単量体(a) からなる単
量体混合物を使用した場合は、さらに耐水性及び耐溶剤
性等の性能も優れたものとなり、屋外用での使用を始め
として、塗料、シーリング剤及びコーティング剤等の各
種用途に極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BB091 BC041 BF021 BG011 BG031 CH052 CP151 CP161 CP172 EG026 EV256 EW126 FD030 FD050 FD090 FD180 FD200 FD316 FD330 GH01 GJ00 GQ00 GS01 HA07 4J011 JA06 JA13 JB14 JB26 PA69 PA79 PA90 PA99 PC07 4J026 AA12 AA13 AA14 AA17 AA24 AA25 AA37 AA38 AA43 AA45 AA47 AA48 AA50 AA76 AB19 AB20 AB21 AB44 AC16 AC22 AC26 AC36 BA05 BA19 BA20 BA25 BA27 BA29 BA30 BA33 BA39 BA43 BB03 CA02 DA02 DA04 DA05 DA07 DA08 DA12 DB12 DB15 DB27 DB28 FA04 GA02 GA06 4J038 CG141 CH011 CL001 CQ002 DF012 DL152 GA15 KA04 KA09 MA08 MA10 NA05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】界面活性剤の存在下に、ラジカル重合性単
    量体、油溶性重合開始剤及びポリオキシアルキレンセグ
    メントとポリオルガノシロキサンセグメントを有するブ
    ロックポリマーを水性媒体中に乳化分散させて得られる
    水性乳化分散体を、加熱された水性媒体中に添加して、
    ラジカル重合性単量体を重合させることを特徴とするエ
    マルションの製造方法。
  2. 【請求項2】ブロックポリマーが、ポリオキシアルキレ
    ンセグメントとポリオルガノシロキサンセグメントを有
    し珪素含有量が35〜85重量%であることを特徴とす
    る請求項1記載のエマルションの製造方法。
  3. 【請求項3】ラジカル重合性単量体が、アルコキシシリ
    ル基を有するラジカル重合性単量体0.5〜50重量%
    及びそれと共重合可能なラジカル重合性単量体99.5
    〜50重量%からなることを特徴とする請求項1又は請
    求項2記載のエマルションの製造方法。
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