JP2000032974A - 清酒濾過方法及びそれを達成するための濾過エレメント - Google Patents

清酒濾過方法及びそれを達成するための濾過エレメント

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JP2000032974A JP20070198A JP20070198A JP2000032974A JP 2000032974 A JP2000032974 A JP 2000032974A JP 20070198 A JP20070198 A JP 20070198A JP 20070198 A JP20070198 A JP 20070198A JP 2000032974 A JP2000032974 A JP 2000032974A
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Hirokazu Oka
博和 岡
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徹 山内
Masaji Kawamori
正司 河守
Nobuyuki Kamo
信幸 加茂
Hirokuni Saegusa
寛邦 三枝
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 清酒の濾過において、濾過装置を二系統準備
する必要がないように、また濾過後の後処理が簡単とな
るように、濾過エレメント及び濾過装置を高効率化し、
高性能化する。 【解決手段】 清酒製造に係るおり下げ工程により上澄
みとおりに分けられた清酒の濾過に使用する濾過装置の
タンク内に取付け部2を用いて垂下され、上端3から濾
液が得られる筒状の濾過エレメント1において、濾過前
の上澄みとおりとを濾過するための、下端4が塞がれた
筒状の焼結金属からなる濾材5の上に、ケイソウ土から
なる濾過助剤層6を設け、更にその濾材5と第二濾過助
剤層6の間に、濾材5と第二濾過助剤層6との剥離を助
けるセルロースからなる第一濾過助剤層7を設けた構成
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、清酒の濾過方法及
びそれを達成するための濾過エレメントに関し、特に、
清酒のおり下げ工程の後の上澄みとおりの濾過方法及び
それを達成するための濾過エレメントに関する。
【0002】
【従来の技術】清酒の製造方法は、一般的に原料である
玄米の精米工程と、得られた白米等から糠を洗い去り、
水に浸して吸水させる洗米浸漬工程と、吸水した白米を
蒸す蒸し工程と、蒸米、米麹及び水を使用してもろみを
形成する仕込工程と、得られたもろみを発酵させる発酵
工程と、熟成したもろみを圧搾して清酒と酒粕を分離す
る圧搾工程と、清酒の活性炭処理工程と、清酒を加熱殺
菌する第一の火入れ工程と、清酒を熟成させる貯蔵工程
と、熟成した清酒を上澄みとおりに分離し、おり下げを
行なうおり下げ工程と、おり下げの後の上澄みとおりを
濾過する濾過工程と、最後の加熱殺菌をする第二の火入
れ工程と、得られた清酒を瓶等に詰める充填工程とから
なる。
【0003】かかる清酒の製造は、従来伝統的手法に従
い蔵人と杜氏が所謂手作りにより行なうものとされてき
たが、近代科学の進歩により伝習的醸造法に科学的管理
法が導入され、冷凍設備、ボイラー、物流装置、発酵装
置、圧搾装置及び原料処理装置等の技術の進歩も相まっ
て、製造工程のある部分は十分機械化が可能となってい
る。
【0004】特に機械化への期待が大きくその進歩も著
しいのは、上記圧搾工程以後の各工程である。そして、
その中でも上記濾過工程での濾過方法及びそれに使用す
る濾過装置については、その進歩により大量の清酒の処
理を迅速且つ低コストに行なうこと、ひいては、高品質
の清酒を大量に生産することが可能となり、その期待は
非常に大きい。
【0005】従来の清酒製造において、清酒の濾過は、
先ず、通常所謂おり下げタンクに製造された清酒を導入
して満たし、1乃至10日間程度そのまま放置して所謂
おり下げを行い、清酒中に懸濁している不溶性蛋白質微
粒子を十分沈殿させ、清酒をおり下げタンク内で上澄み
と沈殿物からなる清酒特有のおりとに分離する。続い
て、上澄みとおりとを別々に、濾紙や濾布などの平面フ
ィルタエレメントを用いた、例えばフィルタプレス等の
濾過装置を用いて、濾過を行なっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】即ち従来は、上澄みは
上澄み用の平面フィルタエレメントを用いた濾過装置を
用いて濾過を行い、おりの濾過については更に別のおり
用の平面フィルタエレメントを用いた濾過装置を用いて
濾過を行なっていた。このように上澄み用とおり用に二
つの別個の濾過装置を設ける理由は、おりの難濾過性に
起因する。清酒におけるおりの占める割合は4%程度に
過ぎないが、上澄みに比べて極端に難濾過性を有するた
め、平面フィルタエレメントを用いた形式の濾過装置で
は、濾過の進行に伴ってエレメント濾過面に蓄積される
濾過物の増大で容易に濾過渋滞(濾過能力の低下)を起
こし易い。したがって、複数の貯蔵タンクに収容されて
いる清酒をおり下げ処理する場合、あるいは大量の清酒
を一度におり下げ処理する場合には濾過の容易な上澄み
とおりとを別個に濾過処理することにより全体としては
濾過時間がかかってしまうが、上澄み分で生産に支障が
出ないよう対応していた。
【0007】しかしながら、全てを終了するためには多
くの時間を要し、さらにおり濾過では上述のように濾過
能力の低下が起こり、濾過精度が低下する。これを補う
ため、さらに上澄み濾過装置で再度処理を繰り返したり
して濾過品質を補わなければならず、濾過処理時間が更
に長時間化してしまい、製造の高効率化の妨げとなって
いた。
【0008】また、設備としても二系列の濾過システム
を設置する必要が有り、作業の繁雑化、設備費用の増大
等製造コストを大幅に高める要因となっていた。そこで
本発明の課題は、清酒製造にかかる濾過工程において、
上記問題を解決し、新規な濾過方法を提供することであ
る。また、本発明の別の課題は、清酒の濾過において、
濾過装置を二系列準備する必要がないように、濾過方法
を高効率化、高性能化することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
おり下げ工程により上澄みとおりとに分けられた清酒の
濾過を行なう清酒濾過方法において、濾過前の上澄みと
おりとを濾過するための筒状の濾材の上に、第一濾過助
剤層を設け、更に該濾過助剤層の上に異なる濾過助剤に
よる第二濾過助剤層を設けて構成された清酒用濾過エレ
メントを用いて濾過を行なうことを特徴とする。
【0010】請求項2記載の発明は、おり下げ工程によ
り上澄みとおりとに分けられた清酒の濾過に用いられる
筒状の清酒用濾過エレメントにおいて、濾過前の上澄み
とおりとを濾過するための筒状の濾材の上に、第一濾過
助剤層を設け、更に該濾過助剤層の上に異なる濾過助剤
による第二濾過助剤層を設けて構成されたことを特徴と
する。
【0011】請求項3記載の発明は、請求項2記載の清
酒用濾過エレメントにおいて、前記第一濾過助剤層はセ
ルロースからなり、前記第二濾過助剤層はケイソウ土又
はパーライトからなることを特徴とする。請求項4記載
の発明は、請求項2又は請求項3の何れか記載の清酒用
濾過エレメントにおいて、前記第一濾過助剤層と前記第
二濾過助剤層の鉄分の含有量が、濾液である清酒の鉄分
含有量を0.1ppm以下にする量であることを特徴と
する。
【0012】請求項1記載の発明によれば、濾過に使用
する、表面に濾過助剤のプリコートされた筒状の濾過エ
レメントは、濾過の進行に伴うケークの形成に従い濾過
面積が増大するため、濾過エレメントでの濾過に従う濾
過能力の低下が比較的少なく、清酒のおり下げ工程の後
の高効率の濾過処理を可能とし、上澄みにつづいて、お
りについても同一の濾過エレメントを装着して濾過処理
を行なうことが可能となる。
【0013】よって、清酒の濾過において、上澄み用の
濾過装置と、おり用の濾過装置とを別個に設ける必要が
無くなり、濾過工程を二系列に分割する必要は無くな
る。また、濾材と第一濾過助剤層と第二濾過助剤層とを
設けることにより、該第一濾過助剤層が該濾材との間で
剥離し、結果的に第一及び第二の濾過助剤層が一体とな
って濾過助剤層の濾材からの剥離が容易となり、濾過の
後処理が簡単に行なえるようになる。
【0014】以上より、濾過処理の精度を低下させるこ
と無く、従来の清酒の濾過工程における設備を大幅に簡
素化し、また濾過処理にかかる作業を減らし、濾過処理
の低コスト化、ひいては清酒製造にかかる高効率化と低
コスト化を可能にする。請求項2記載の発明によれば、
表面に濾過助剤のプリコートされた筒状の濾過エレメン
トは、濾過の進行に伴うケークの形成に従い濾過面積が
増大するため、濾過エレメントでの濾過に伴う濾過能力
の低下が比較的少なく、清酒のおり下げ工程の後の高効
率の濾過処理を可能とし、上澄みにつづいて、おりにつ
いても同一の濾過エレメントを使用して濾過処理を行な
うことが可能となる。
【0015】よって、上澄み用の濾過装置と、おり用の
濾過装置とを別個に設ける必要が無くなり、濾過工程を
二系列に分割する必要は無くなる。また、濾材と第一濾
過助剤層と第二濾過助剤層とを設けることにより、該第
一濾過助剤層が該濾材との間で剥離し、結果的に第一及
び第二の濾過助剤層が一体となって濾過助剤層の濾材か
らの剥離が容易となり、濾過の後処理が簡単に行なえる
ようになる。
【0016】以上より、濾過処理の精度を低下させるこ
と無く、従来の清酒の濾過工程における設備を大幅に簡
素化し、また濾過処理にかかる作業を減らし、濾過処理
の低コスト化、ひいては清酒製造にかかる高効率化と低
コスト化を可能にする。請求項3記載の発明によれば、
ケイソウ土は構成する各粒の具備する形状が複雑であ
り、非圧縮性を示すため、表面にこれを濾過助剤として
プリコートされた筒状の濾過エレメントは、高い濾過能
力を示しうる。
【0017】パーライトもケイソウ土と同様の性質を有
する。よって、濾過エレメントでの濾過の進行に伴う濾
過能力の低下が少ないことと相まって、清酒のおり下げ
工程の後の非常に高効率の濾過処理を可能とし、上澄み
につづいて、おりについても同一のケイソウ土等のプリ
コートされた濾過エレメントを使用して濾過処理を行な
うことが可能となる。
【0018】また、難濾過性を有するおりを濾過する場
合、おりに濾過助剤であるケイソウ土又はパーライトを
添加し、混合する、いわゆるボディフィードの手法を合
わせて用いる。これは特におり下げ剤としてゼラチンを
多量に使用した場合、フィルタエレメント濾過面上の濾
過物中にゼラチンも含まれることになり濾過能力を阻害
することになる。ボディフィードを用いることにより清
酒中の濾過助剤が堆積する濾過物中に分散され、堆積濾
過物が多孔質となり、濾過能力の低下を解消するため、
濾過差圧の上昇を緩和させることで更に安定した濾過処
理を行なうことができる。
【0019】従って、上澄み用の濾過装置と、おり用の
濾過装置とを別個に設ける必要が無くなり、濾過工程を
二系列に分割する必要は無くなる。また、セルロースは
濾材の上に層を形成してもその濾材からの剥離が容易で
あり、濾材とケイソウ土からなる第二濾過助剤層との間
にセルロースからなる第一濾過助剤層を設けることによ
り、第一濾過助剤層と第二濾過助剤層とを一体に濾材か
ら剥離することができ、濾材からの濾過助剤層の剥離が
容易となり、濾過の後処理が簡単に行なえる。
【0020】以上より、濾過処理の精度を低下させるこ
と無く、従来の清酒の濾過工程における設備を大幅に簡
素化し、また濾過処理にかかる作業を減らし、濾過処理
の低コスト化、ひいては清酒製造にかかる高効率化と低
コスト化を可能にする。請求項4記載の発明によれば、
清酒において、特有の発色を生じることからその含有が
問題となる鉄分の含有量を、清酒製品として問題となら
ない0.1ppm以下に抑えることが可能となる。
【0021】よって、鉄分の溶出の少ない高信頼の濾過
処理が可能となり、高品質の清酒の提供が可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
例を説明する。 (実施例1)図1は、本発明にかかる第一実施例である
清酒用濾過エレメントの構造を示す断面図である。
【0023】本発明にかかる第一実施例である清酒用濾
過エレメント1は、清酒製造に係るおり下げ工程により
上澄みとおりに分けられた清酒の濾過に使用する濾過装
置のタンク内に取付け部2を用いて一本以上垂下され、
上端3から濾液が得られる筒状の濾過エレメントであ
る。そして、濾過前の上澄みとおりとを濾過するため
に、筒状の濾材5の上に、第一濾過助剤層7を設け、更
にその上に第二濾過助剤層6を設けた構成を有する。
【0024】濾過助剤としては、ケイソウ土、パーライ
ト、セルロース、絹繊維、炭素(活性炭)等が使用可能
であり、それぞれの特性と濾過対象となる清酒の特性と
を考慮して適宜選択し使用することが可能である。次
に、本発明の第一実施例である濾過エレメント1を構成
する濾材5についてであるが、濾過助剤層7で被覆され
る濾材5は多孔性の部材であり、具体的には、焼結金
属、セラミクス又は金属ワイヤを適当な支持体に巻き付
けることによって構成される所謂巻き線タイプの濾材等
が使用可能である。
【0025】かかる濾材上に濾過助剤層を設けて濾過エ
レメントを構成し、清酒製造にかかるおり下げ後の清酒
の濾過に使用することも当然可能であるが、欠点も有し
ている。つまり、比較的高価な濾材は同一の物を何回も
使用して清酒の濾過を行なうことが期待されるものであ
るが、濾材上に濾過助剤層6を設けた濾過エレメントは
清酒の濾過に使用した場合、清酒製造に特有のおりに由
来するケークが厚くその濾過助剤層の上に形成される。
【0026】従って、清酒濾過後は、このケークを濾過
エレメントから取り去らない限り、更に濾材を使用する
ことはできない。よって、このケークを濾過エレメント
から除去する必要が生じるが、その場合、比較的安価で
もあり、濾別されたおりの不溶成分と一体となってケー
クを形成して繰り返しの使用には不向きな濾過助剤層も
合わせて取り去ることが望ましい。
【0027】よって、濾過助剤層は比較的容易に濾材か
ら剥離されうるものであることが望まれるが、濾過助剤
として優れた特性を発揮するものは濾材上に層形成され
た後容易に剥離できるものばかりではない。特に最も有
用なケイソウ土を濾過助剤層に使用した場合は、ケイソ
ウ土が固い粒子のため、濾材からの完全な剥離が困難
で、濾過後に濾材を再度きれいな濾過処理可能な状態に
し、再利用するためには、念入りな洗浄作業が必要とさ
れる。
【0028】かかる欠点を解消するためには、ケイソウ
土等から成る濾過助剤層を濾材から剥離しやすくするこ
とが必要である。本発明のにかかる第一実施例である濾
過エレメント1はかかる点を考慮して、図1に示すよう
に、濾材5と濾過助剤層6の間に予め第一濾過助剤層7
を設けて構成されており、第一濾過助剤層7の存在によ
り濾材5からの濾過助剤層6、およびその表面に形成さ
れる濾過ケークの剥離は容易となる。
【0029】従って、第一濾過助剤層7を設けることに
より、清酒の濾過処理、特におりを濾過したあとのケー
クの除去が容易となる。第一濾過助剤層7は、濾材5か
らの剥離が容易で、その上に形成される第二濾過助剤層
6と一体となって濾過助剤5からの濾過助剤層6の剥離
を助け、濾過助剤層6での濾過を妨げることがなく、ま
た濾液である清酒を汚染しない物であり、更に、濾材5
の上に容易に形成できる物であればいかなる物でもよ
い。
【0030】かかる必要特性を考慮した場合、既に濾過
処理に使用する、特に清酒の濾過処理に使用する上での
信頼性を有し、使用の容易さも兼ね備えた濾過助剤の中
から適当な物を選択して第一濾過助剤層7に使用するこ
とが望ましい。そうすれば、当然に、第二濾過助剤層6
の剥離を助ける機能に加えて濾過助剤としての濾過性能
の向上機能も発揮する。
【0031】このとき係る特性の濾過助剤としてはセル
ロースからなる濾過助剤が使用可能であり、第一濾過助
剤層7としてセルロースからなる層を用いることが望ま
しい。セルロースからなる第一濾過助剤層7は、濾材5
と第二濾過助剤層6との間に形成され、清酒濾過処理後
のケーク除去の際に濾過助剤層6と一体となって自身が
濾材5から容易に剥離し、第二濾過助剤層6の濾材5か
らの剥離を助ける。
【0032】この時、当然濾過助剤としての濾過性能の
向上効果も同時に発揮する。この第一濾過助剤層7の厚
みは0.5mmから3mmが望ましく、特に2mm程度
が一般的である。また、おりを濾過する場合、おりに濾
過助剤としてケイソウ土等をボディフィードすることに
より、濾過差圧の上昇を緩和することも可能である。
【0033】以上のようなケイソウ土等の濾過助剤層を
最表面に有した濾過エレメントでは、濾過の進行に伴
い、濾過助剤層の上にケークが形成されて、徐々にその
径が増大していくことになり、その結果濾過面積が増大
するため、初期に有していた濾過能力の低下の程度が少
なく、高効率の濾過処理が可能となり、濾過精度が高
い。特に、浮遊粒子を多く含み、ケークを形成し易いお
りを濾過する場合、その特徴が顕著である。
【0034】従って、清酒製造におけるおり下げ工程後
の清酒の濾過処理において、上澄みの濾過によっても濾
過能力の低下は少ないのは言うまでもなく、引続き同一
の濾過エレメントを使用して、おりも濾過することがで
きる。また、清酒の濾過処理の後のケークの処理も、ケ
ークを容易に濾材から引き剥がすことが可能となり、容
易であり、濾材の洗浄作業が簡便になる。
【0035】尚、第一濾過助剤層と第二濾過助剤層につ
いては鉄分の含有量を考慮する必要がある。即ち、清酒
は最終製品において特有の発色を防ぐため、鉄分の含有
量を0.1ppm以下に抑える必要がある。従って、清
酒製造にかかる製造関連部材は製造物である清酒に対し
極力鉄分を付与しない、溶出をしない物でなければなら
ない。
【0036】かかる観点から、第一濾過助剤層と第二濾
過助剤層の鉄分の含有量は、濾液である清酒の鉄分含有
量を0.1ppm以下にする量であることが望ましい。
次に、本発明にかかる第一実施例である濾過エレメント
1の製造方法について説明する。先ず、濾材5を、濾過
装置内に垂下し、別に用意した濾過助剤溶解用タンクす
なわちプリコートタンクに予め水等の適当な溶媒を入
れ、セルロース等の第一濾過助剤層形成用の濾過助剤を
分散・懸濁させたものをポンプを用いて、濾過装置内に
送液する。
【0037】そして濾材5を使用して、清酒の濾過処理
と同じ濾過処理をこの第一濾過助剤層形成用の濾過助剤
の懸濁した溶媒について行なうことになる。得られた濾
液はまだ濾過助剤粒子が存在しており、この濾液を再び
プリコートタンクに戻すという循環経路を形成すること
で、濾材5の表面に第一濾過助剤層を形成させる。次
に、ケイソウ土等の第二濾過助剤層6を第一濾過助剤層
7の上に形成するが、先の濾過装置およびプリコートタ
ンクを循環運転したまま用い、予め水等の適当な溶媒に
ケイソウ土等の濾過助剤を分散・懸濁させたものをプリ
コートタンクに投入し、暫く濾過循環することにより、
濾材5上の第一濾過助剤層7の表面にケイソウ土等の第
二濾過助剤層6を形成する。
【0038】それぞれの濾過助剤層の形成の完了は循環
時間と浮遊粒子数の測定即ち清澄度で判断する。また、
流量は濾過エレメント上に均一に濾過助剤層が得られる
ように選定する。従って、濾過処理の直前に、濾材上に
第一濾過助剤層と第二濾過助剤層の形成を行い、続いて
清酒の濾過処理に使用することが可能である。
【0039】次に、本発明にかかる第一実施例である濾
過エレメント1の使用について、これを用いた清酒用濾
過装置の構成と共に説明する。図2は本発明にかかる第
一実施例である濾過エレメントを装着した清酒用濾過装
置の構造を説明する断面図である。第一実施例である濾
過エレメントを装着した清酒用濾過装置11は、上澄み
とおりに分けられた清酒が供給されるタンク12と、該
清酒を濾過するために該タンク12内に垂下され、上端
3から得られた濾液がタンク12外へ送出される筒状の
上記第一実施例である濾過エレメント1と、タンク12
内へ加圧気体を導入する加圧気体導入手段(図示されな
い)とを有して構成される。
【0040】そして、タンク12は隔壁13により上部
タンク12aと下部タンク12bとに区画されており、
濾過エレメント1は取付け部2により隔壁13から下部
タンク12b内に垂下されると共に、上端3が隔壁13
の設けられた開口部14を通して上部タンク12aに対
し開口している。そして、下部タンク12bの底部には
開閉自在な液入口15が設けられ、上部タンク12aの
最上部には開閉自在な液出口16が設けられている。ま
た、上部タンク12aと下部タンク12bのそれぞれに
開閉の可能な出入口17,18が具備されている。
【0041】なお、加圧気体導入手段は後に詳述する
が、ケーク排出時に液出口16に接続されて加圧気体濾
過エレメント1の濾過側(エレメント内部、二次側とも
いう)に供給される。更に、下部タンク12bの底部に
は、濾過処理により装置内部に形成されるケークを取り
出せるように、液入口15を含む底部分の一定面積部分
を開口可能とする開閉機構19が設けられている。
【0042】次に第一実施例である濾過エレメント1を
装着した清酒用濾過装置11の使用について具体的に説
明する。図3は第一実施例である濾過エレメントを装着
した清酒用濾過装置を使用して行なうおり下げ工程後の
清酒の濾過処理を説明する図である。図3を参照する
に、初めに、一本以上の濾過エレメントが焼結金属から
構成された濾材5のみからなり、その表面に第一濾過助
剤層も第二濾過助剤層も形成されていない以外は本発明
の実施例である清酒用濾過装置11と同じ構成を有する
濾過装置を準備する。
【0043】次に、図3(A)に示すように、別に濾
過助剤溶解タンクすなわちプリコートタンクを用意し、
溶媒として水を選択し、第一濾過助剤層7を形成するた
めの濾過助剤として濾液である清酒での鉄含有量を0.
1ppm以下に抑制することの可能な、低い鉄分含有量
を有するセルロースを使用して、これを分散・懸濁さ
せ、第一のプリコート液を調製し、これを液入口15か
ら下部タンク12bに供給して下部タンク12bを満た
し、液出口16から第一のプリコート液を透過・循環さ
せる。このとき第一のプリコート液中の第一濾過助剤層
7を形成するための濾過助剤であるセルロースは焼結金
属からなる濾材5の表面で捕捉され、濾材5上にセルロ
ースからなる第一濾過助剤層7を形成する。
【0044】次に、同様に溶媒として水を選択し、濾過
助剤として濾液である清酒での鉄含有量を0.1ppm
以下に抑制することの可能な、低い鉄分含有量を有する
ケイソウ土を分散・懸濁させ、第二のプリコート液を調
製し、これを液入口15から下部タンク12bに供給し
て下部タンク12bを満たし、上部タンク12aの液出
口16から第二のプリコート液を透過・循環させる。こ
のとき第二のプリコート液中の濾過助剤であるケイソウ
土は濾材5上のセルロースからなる第一濾過助剤層7の
表面で捕捉され、濾材5の第一濾過助剤層7上にケイソ
ウ土からなる第二濾過助剤層6を形成する。こうして本
発明にかかる第一実施例である濾過エレメント1が製造
され、それを使用した清酒用濾過装置11が完成する。
【0045】次に、図3(B)に示すように、おり下
げ工程により分離された清酒の上澄みを液入口15から
下部タンク12bに供給して下部タンク12bを満た
し、上部タンク12aの液出口16から透過する。こう
して上澄みは濾過される。次に、図3(C)に示すよう
に、おり下げ工程により分離された清酒のおりを液入
口15から下部タンク12bに供給して下部タンク12
bを満たし、上部タンク12aの液出口16から透過す
る。ケイソウ土からなる濾過助剤層6の表面にはケーク
21が堆積する。こうして、おりは濾過される。
【0046】次に、図3(D)に示すように、清酒用
濾過装置11の下部タンク12b内に残留したおりの濾
過を完了するため、水を液入口15から下部タンク12
bに供給し、下部タンク12b内のおりを押し(水
押)、図3(E)に示すように、タンク12内が水で
満たされたところで、おりの濾過(水押)を完了する。
次に、図3(F)に示すように、下部タンク12bの
出入口18から加圧気体導入手段(図示されない)を用
いて空気を供給し、ケーク21の脱水を行なう。
【0047】最後に、図3(G)に示すように、タン
ク内を大気圧状態にした後、タンク12の底部分にある
開閉機構19を開けて底部分の一定面積を開口し、続い
て、加圧気体導入手段(図示されない)を用いて空気を
液出口16から瞬間的に導入する。この空気の導入によ
り、セルロースからなる第一濾過助剤層7の存在により
隔離が容易となっているケイソウ土からなる第二濾過助
剤層6及びその上のケーク21は焼結金属かならる濾材
5から剥離され、タンク12外に排出される。
【0048】こうして、清酒製造におけるおり下げ後の
清酒の濾過は終了する。得られた濾液である清酒は、上
澄み濾過によるものも、おりの濾過によるものも、それ
ぞれ同様に十分に澄んでおり、不溶物の除去は従来の方
法に劣ること無く十分になされていた。また、清酒濾過
後の処理も非常に容易であり、清酒の濾過を繰り返し行
なうことが出来た。
【0049】尚、図4は、本発明にかかる第一実施例で
ある濾過エレメント1を用いた清酒用濾過装置の変形例
を示す図であり、清酒用濾過装置の変形例22は、濾過
エレメント1を複数本具備した構成を有する。このよう
に複数の濾過エレメント1を設けることにより、濾過の
効率を向上させることが可能である。
【0050】尚、複数の濾過エレメント1を装置22の
タンク23内に設ける場合は、各濾過エレメント1間の
間隔について考慮する必要がある。即ち、清酒製造にお
ける清酒の濾過においては、特有のおりを濾過する必要
があり、濾過エレメント1の表面に堆積するケークの厚
みは非常に厚くなる、従って、濾過効率の向上と形成さ
れるケークの厚みを考慮して、濾過エレメント1の本数
や間隔や配置を決める必要がある。
【0051】この場合、おりの生成量は通常の清酒1k
lあたり10〜40リットル程度が目安である。生成す
るケークはほとんどが活性炭である。濾過圧の上昇に伴
いケークに圧縮が生じるが、最大の活性炭添加量と活性
炭の充填密度による最大活性炭容量が濾過装置のスラッ
ジスペースを決定する指針となる。 (実施例2)図5は、本発明にかかる第二実施例である
清酒用濾過エレメントの構造を示す断面図である。
【0052】本発明にかかる第二実施例である清酒用濾
過エレメント31は、清酒製造に係るおり下げ工程によ
り上澄みとおりとに分けられた清酒の濾過に使用する濾
過装置のタンク内に垂下され、上端33から濾液が得ら
れる筒状の濾過エレメントである。そして、濾過前の上
澄みとおりとを濾過するための、下端34が塞がれた筒
状の濾材35の上に、第二濾過助剤層36を設けると共
にその濾材35と濾過助剤層36の間に第一濾過助剤層
37を設けた構成を有し、取付け部32によりタンク内
に垂下されると共に上端33が塞がれている。
【0053】そして更に、取付け部32を貫通して取付
け部32に垂下され、濾材35の内面と間隔をあけて濾
材35の内側に設けられたサイフォン管38を有する。
かかる構成は、濾材35上に第一濾過助剤層37を介し
て第二濾過助剤層36を有することにより、清酒の製造
にかかる清酒の濾過において、同一の濾過エレメントを
使用しており下げ後の上澄みとおりとを順次濾過するこ
とを可能にする。
【0054】また、濾材35内にサイフォン管38を有
することにより、おり下げ後の上澄み濾過に続くおりの
濾過において、以下で説明する濾過装置のタンク内に最
終的に残留するおりの濾過と濾液の回収を容易にするこ
とを可能にする。尚、清酒の濾過に使用する本発明にか
かる第二実施例である清酒用濾過エレメント31は、濾
材35内にサイフォン管38を有する以外は、濾材、第
一濾過助剤層及び第二濾過助剤層等、本発明にかかる第
一実施例である清酒用濾過エレメント1と同様の構成を
有している。
【0055】従って、その構成の詳細や効果及びその製
造方法に関する説明については、清酒用濾過エレメント
1と異なる特徴的な部分のみについて行ない、他の部分
については清酒用濾過エレメント1と同様として省略す
る。次に、本発明にかかる第二実施例である濾過エレメ
ント31の使用について、これを用いた清酒用濾過装置
の構成と共に説明する。
【0056】図6は本発明にかかる第二実施例である濾
過エレメントを装着した清酒用濾過装置の構造を説明す
る断面図である。第二実施例である濾過エレメントを装
着した清酒用濾過装置41は、上澄みとおりに分けられ
た清酒が供給されるタンク42と、該清酒を濾過するた
めにタンク42内に垂下され、上端33であるサイフォ
ン管38の上端部分から得られた濾液がタンク42外へ
送出される筒状の上記第二実施例である濾過エレメント
31と、タンク42内へ加圧気体を導入する加圧気体導
入手段(図示されない)とを有して構成される。
【0057】そして、タンク42は隔壁43により上部
タンク42aと下部タンク42bとに区画されており、
濾過エレメント31は取付け部32により隔壁43から
下部タンク42b内に垂下されると共に、上端33であ
るサイフォン管38の上端部分が隔壁43の設けられた
開口部44を通して上部タンク42aに対し開口してい
る。
【0058】そして、下部タンク42bの底部には開閉
自在な液入口45が設けられ、上部タンク42aの最上
部には開閉自在な液出口46が設けられている。また、
上部タンク42aと下部タンク42bのそれぞれに開閉
の可能な出入口47,48が具備されている。更に、下
部タンク42bの底部には、濾過処理により装置内部に
形成されるケークを取り出せるように、液入口45を含
む底部分の一定面積部分を開口可能とする開閉機構49
が設けられている。
【0059】次に第二実施例である濾過エレメント31
を装着した清酒用濾過装置41の使用について具体的に
説明する。図7は第一実施例である濾過エレメントを装
着した清酒用濾過装置を使用して行なうおり下げ工程後
の清酒の濾過処理を説明する図である。図7を参照する
に、初めに、濾過エレメントが焼結金属から構成された
濾材35のみからなり、その表面に第一濾過助剤層も第
二濾過助剤層も形成されていない以外は本発明の実施例
である清酒用濾過装置41と同じ構成を有する濾過装置
を準備する。
【0060】次に、図7(A)に示すように、別に用
意したプリコートタンクに溶媒として水を選択し、層3
7を形成するための濾過助剤として濾液である清酒での
鉄含有量を0.1ppm以下に抑制することの可能な、
低い鉄分含有量を有するセルロースを使用して、これを
分散・懸濁させ、第一のプリコート液を調製し、これを
液入口45から下部タンク42bに供給して下部タンク
42bを満たし、液出口46から第一のプリコート液を
透過・循環させる。このとき第一のプリコート液中の第
一濾過助剤層37を形成するための濾過助剤であるセル
ロースは焼結金属からなる濾材35の表面で捕捉され、
濾材35上にセルロースからなる第一濾過助剤層37を
形成する。
【0061】次に、同様に溶媒として水を選択し、濾過
助剤として濾液である清酒での鉄含有量を0.1ppm
以下に抑制することの可能な、低い鉄分含有量を有する
ケイソウ土を分散・懸濁させ、第二のプリコート液を調
製し、これを液入口45から下部タンク42bに供給し
て下部タンク42bを満たし、上部タンク42aの液出
口46から第二のプリコート液を透過・循環させる。こ
のとき第二のプリコート液中の濾過助剤であるケイソウ
土は濾材35上のセルロースからなる第一濾過助剤層3
7の表面で捕捉され、濾材35の第一濾過助剤層37上
にケイソウ土からなる第二濾過助剤層36を形成する。
こうして本発明にかかる第一実施例である濾過エレメン
ト31が製造され、それを使用した清酒用濾過装置41
が完成する。
【0062】次に、図7(B)に示すように、おり下
げ工程により分離された清酒の上澄みを液入口45から
下部タンク42bに供給して下部タンク42bを満た
し、上部タンク42aの液出口46から透過する。こう
して上澄みは濾過される。次に、図7(C)に示すよう
に、おり下げ工程により分離された清酒のおりを液入
口45から下部タンク42bに供給して下部タンク42
bを満たし、上部タンク42aの液出口46から透過す
る。ケイソウ土からなる第二濾過助剤層36の表面には
ケーク51が堆積する。こうして、おりは大部分が濾過
される。
【0063】次に、図7(D)に示すように、清酒用
濾過装置41の下部タンク42b内に残留したおりの濾
過を完了するため、水を液入口45から下部タンク42
bに供給し、濾過エレメント31の下端付近までを水で
満たして下部タンク42b内のおりを押し(水押)、続
いて図7(E)に示すように、下部タンク42bの出
入口48を開けて今度は上から水を供給し、同様に下部
タンク42b内のおりを押す(水押)。こうして水押さ
れた下部タンク42b内の残留のおりは濾過エレメント
31を通り、サイフォン管38を経由して上部タンク4
2aの液出口46から回収される。
【0064】図7(F)に示すように、タンク42内
が水で満たされたところで、おりの濾過(水押)を完了
する。尚、以上までの各工程において、濾過エレメント
31は上澄みやおりを濾過する濾材35の内側にサイフ
ォン管38が設けられているので、タンク42内の上澄
み及びおりは濾材35及び第一濾過助剤37及び第二濾
過助剤層36により濾過され、サイフォン管38の下端
部分から中空部を通って上端部分の開口部44に達し、
濾過エレメント31の外部に送出されることになる。こ
のため、下部タンク42b内の水位が下がり濾過エレメ
ント31が露出しても、タンク42内の水位がサイフォ
ン管38の下端に達するまでは濾過が可能となる。
【0065】従って、図7(E)に示す出入口48から
空気を供給して下部タンク42b内に残留するおりを押
し、その濾過を完了する事も可能である。また、図7
(G)に示すように、以下に続く空気を用いたケークの
脱水も可能となる。次に、図7(G)に示すように、
下部タンク42bの出入口48から加圧気体導入手段
(図示されない)を用いて空気を供給し、サイフォン管
38の下端部分から中空部を通って上部タンク42aの
液出口46と出入口47から水を排出し、ケーク51の
脱水を行なう。
【0066】次に、図7(H)に示すように、下部タ
ンク42bの出入口48から加圧気体導入手段(図示さ
れない)を用いて空気を供給しながら、下部タンク42
bの底部分にある液入口48を開き、下部タンク42b
の底に溜まった残液をタンク42外に排出し、ケーク5
1の乾燥を十分に行なう。最後に、図7(I)に示すよ
うに、タンク内を大気圧状態にした後、タンク42の
底部分にある開閉機構49を開けて底部分の一定面積を
開口し、続いて、加圧気体導入手段(図示されない)を
用いて空気を液出口46から瞬間的に導入する。この空
気の導入により、セルロースからなる第一濾過助剤層3
7の存在により隔離が容易となっているケイソウ土から
なる第二濾過助剤層36及びその上のケーク51は焼結
金属かならる濾材35から剥離され、タンク42外に排
出される。
【0067】こうして、清酒製造におけるおり下げ後の
清酒の濾過は終了する。得られた濾液である清酒は、上
澄み濾過によるものも、おりの濾過によるものも、それ
ぞれ同様に十分に澄んでおり、不溶物の除去は従来の方
法に劣ること無く十分になされていた。また、清酒濾過
後の処理も非常に容易であり、清酒の濾過を繰り返し行
なうことが出来た。
【0068】尚、図8は、本発明にかかる第二実施例で
ある濾過エレメント31を装着した清酒用濾過装置の変
形例を示す図であり、清酒用濾過装置の変形例52は、
濾過エレメント31を複数本装着した構成を有する。こ
のように複数の濾過エレメント31を設けることによ
り、濾過の効率を向上させることが可能である。
【0069】尚、複数の濾過エレメント31を装置52
のタンク53内に設ける場合は、各濾過エレメント31
間の間隔について考慮する必要がある。即ち、清酒製造
における清酒の濾過においては、特有のおりを濾過する
必要があり、濾過エレメント31の表面に堆積するケー
クの厚みは非常に厚くなる、従って、濾過効率の向上と
形成されるケークの厚みを考慮して、濾過エレメント3
1の本数や間隔や配置を決める必要がある。
【0070】この場合、おりの生成量は通常の清酒1k
lあたり10〜40リットル程度が目安である。生成す
るケークはほとんどが活性炭である。濾過圧の上昇に伴
いケークに圧縮が生じるが、最大の活性炭添加量と活性
炭の充填密度による最大活性炭容量が濾過装置のスラッ
ジスペースを決定する指針となる。なお、先に説明した
とおり、実施例1、2においてボディフィードの手法を
合わせて用いることにより、濾過能力を長時間持続する
ことができる。
【0071】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、清酒の濾
過において、上澄み用の濾過装置と、おり用の濾過装置
とを別個に設ける必要が無くなり、濾過工程を二系列に
分割する必要は無くなる。また、第一濾過助剤層と一体
となって第二濾過助剤層の濾材からの剥離が容易とな
り、濾過の後処理が簡単に行なえるようになる。
【0072】以上より、濾過処理の精度を低下させるこ
と無く、従来の清酒の濾過工程における設備を大幅に簡
素化し、また濾過処理にかかる作業を減らし、濾過処理
の低コスト化、ひいては清酒製造にかかる高効率化と低
コスト化を可能にする。請求項2記載の発明によれば、
上澄み用の濾過装置と、おり用の濾過装置とを別個に設
ける必要が無くなり、濾過工程を二系列に分割する必要
は無くなる。
【0073】また、第一濾過助剤層と一体となって第二
濾過助剤層の濾材からの剥離が容易となり、濾過の後処
理が簡単に行なえるようになる。以上より、濾過処理の
精度を低下させること無く、従来の清酒の濾過工程にお
ける設備を大幅に簡素化し、また濾過処理にかかる作業
を減らし、濾過処理の低コスト化、ひいては清酒製造に
かかる高効率化と低コスト化を可能にする。
【0074】請求項3記載の発明によれば、上澄み用の
濾過装置と、おり用の濾過装置とを別個に設ける必要が
無くなり、濾過工程を二系列に分割する必要は無くな
る。また、第一濾過助剤層と第二濾過助剤層とを一体に
濾材から剥離することができ、濾材からの濾過助剤層の
剥離が容易となり、濾過の後処理が簡単に行なえる。
【0075】以上より、濾過処理の精度を低下させるこ
と無く、従来の清酒の濾過工程における設備を大幅に簡
素化し、また濾過処理にかかる作業を減らし、濾過処理
の低コスト化、ひいては清酒製造にかかる高効率化と低
コスト化を可能にする。請求項4記載の発明によれば、
鉄分による汚染の無い高信頼の濾過処理が可能となり、
高品質の清酒の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる第一実施例である清酒用濾過エ
レメントの構造を示す断面図である。
【図2】本発明にかかる第一実施例である濾過エレメン
トを装着した清酒用濾過装置の構造を説明する断面図で
ある。
【図3】本発明にかかる第一実施例である濾過エレメン
トを装着した清酒用濾過装置を使用して行なうおり下げ
工程後の清酒の濾過処理を説明する図である。
【図4】本発明にかかる第一実施例である濾過エレメン
トを装着した清酒用濾過装置の変形例を示す図である。
【図5】本発明にかかる第二実施例である清酒用濾過エ
レメントの構造を示す断面図である。
【図6】本発明にかかる第二実施例である濾過エレメン
トを装着した清酒用濾過装置の構造を説明する断面図で
ある。
【図7】本発明にかかる第一実施例である濾過エレメン
トを装着した清酒用濾過装置を使用して行なうおり下げ
工程後の清酒の濾過処理を説明する図である。
【図8】本発明にかかる第二実施例である濾過エレメン
トを装着した清酒用濾過装置の変形例を示す図である。
【符号の説明】
1,31 清酒用濾過エレメント 2,32 取付け部 3,33 上端 4,34 下端 5,35 濾材 6,36 第二濾過助剤層 7,37 第一濾過助剤層 11,22,41,52 清酒用濾過装置 12,23,42,53 タンク 12a,42a 上部タンク 12b,42b 下部タンク 13,43 隔壁 14,44 開口部 15,45 液入口 16,46 液出口 17,18,47,48 出入口 19,49 開閉手段 21,51 ケーク 38 サイフォン管
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01D 29/24 E (72)発明者 井上 隆之 京都府京都市下京区四条通烏丸東入長刀鉾 町20番地 寳酒造株式会社本社事務所内 (72)発明者 岡 博和 京都府京都市伏見区下鳥羽葭田町1 寳酒 造株式会社伏見工場内 (72)発明者 山内 徹 京都府京都市下京区四条通烏丸東入長刀鉾 町20番地 寳酒造株式会社本社事務所内 (72)発明者 河守 正司 埼玉県川口市並木元町1−1 サッポロビ ール株式会社プラント事業部内 (72)発明者 加茂 信幸 埼玉県川口市並木元町1−1 サッポロビ ール株式会社プラント事業部内 (72)発明者 三枝 寛邦 埼玉県川口市並木元町1−1 サッポロビ ール株式会社プラント事業部内 Fターム(参考) 4B015 KP01 4D066 BA01 BB02 CA02 CA03 CA15 CB03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 おり下げ工程により上澄みとおりとに分
    けられた清酒の濾過を行なう清酒濾過方法において、 濾過前の上澄みとおりとを濾過するための筒状の濾材の
    上に、第一濾過助剤層を設け、更に該濾過助剤層の上に
    異なる濾過助剤による第二濾過助剤層を設けて構成され
    た清酒用濾過エレメントを用いて濾過を行なうことを特
    徴とする清酒濾過方法。
  2. 【請求項2】 おり下げ工程により上澄みとおりとに分
    けられた清酒の濾過に用いられる筒状の清酒用濾過エレ
    メントにおいて、 濾過前の上澄みとおりとを濾過するための筒状の濾材の
    上に、第一濾過助剤層を設け、更に該濾過助剤層の上に
    異なる濾過助剤による第二濾過助剤層を設けて構成され
    たことを特徴とする清酒用濾過エレメント。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の清酒用濾過エレメントに
    おいて、 前記第一濾過助剤層はセルロースからなり、前記第二濾
    過助剤層はケイソウ土又はパーライトからなることを特
    徴とする清酒用濾過エレメント。
  4. 【請求項4】 請求項2又は請求項3の何れか記載の清
    酒用濾過エレメントにおいて、 前記第一濾過助剤層と前記第二濾過助剤層の鉄分の含有
    量が、濾液である清酒の鉄分含有量を0.1ppm以下
    にする量であることを特徴とする清酒用濾過エレメン
    ト。
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