JP6060036B2 - 膜ろ過システムの洗浄方法 - Google Patents
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Description
なお、本発明において、「実質的に二次側領域内に存在するろ過水のみを使用してろ過膜を逆洗する」とは、逆洗水槽などの水槽に貯留しておいたろ過水を使用することなくろ過膜を逆洗することを意味し、例えば、加圧気体を容器内に流入させる際に配管中に残存していた水が容器内に不可避的に流入する場合には、二次側領域内に存在するろ過水と、加圧気体を容器内に流入させる際に配管などから容器内に不可避的に流入する水とを使用してろ過膜を洗浄することを指す。
ここで、図1に、本発明の膜ろ過システムの洗浄方法の一例を適用可能な膜ろ過システムの概略構成を示す。図1に示す膜ろ過システム100は、被処理水を貯留する被処理水槽10と、容器20の内部にろ過膜30を収容してなるろ過装置とを備えている。そして、この膜ろ過システム100では、被処理水槽10中の被処理水をろ過装置のろ過膜30でろ過してろ過水を得る。
なお、被処理水ライン11の、被処理水ポンプ12と容器20との間には、被処理水弁13が設けられている。また、被処理水ライン11の、被処理水弁13と容器20との間からは、逆洗排水ライン40が分岐して延びている。そして、逆洗排水ライン40には、逆洗排水弁41が設けられている。
なお、ろ過水ライン50には、ろ過水弁51が設けられており、エアーブロー用加圧空気ライン80には、エアーブロー用加圧空気弁81が設けられており、水張りライン82には、水張り弁83が設けられている。更に、ろ過水ライン50の、容器20とろ過水弁51との間からは、逆洗用加圧空気ライン60が分岐して延びており、逆洗用加圧空気ライン60には、逆洗用加圧空気弁61が設けられている。
因みに、逆洗用加圧空気ライン60およびエアーブロー用加圧空気ライン80には、図示しない加圧気体供給装置(例えば、コンプレッサやブロアなど)を用いて加圧空気を供給することができる。
なお、膜ろ過システムでは、容器としては、ろ過膜を液密に収容可能な任意の容器を用いることができる。また、膜ろ過システムでは、容器は、軸線が鉛直方向に対して傾斜するように設置してもよいし、軸線が鉛直方向に直交するように設置(横置き)してもよい。
なお、ろ過膜30は、図示例では、ろ過膜30の軸線が鉛直方向と平行になるように設置されている。即ち、膜ろ過システム100では、ろ過膜30およびろ過膜30を収容した容器20は、ろ過膜30の軸線が鉛直方向と平行になるように設置されている。因みに、本発明の洗浄方法を用いてろ過膜を洗浄する膜ろ過システムでは、ろ過膜は、軸線が鉛直方向に対して傾斜するように設置してもよいし、軸線が鉛直方向に直交するように設置してもよい。また、ろ過膜の形状は、円柱状以外の任意の形状であってもよい。
なお、容器20の上端側に位置する仕切り板25と、ろ過膜30とは、容器20の下端側に位置する仕切り板22と、ろ過膜30との接続と同様の方法を用いて接続することができる。
そして、この膜ろ過システム100では、被処理水をろ過してろ過水を得る場合には、図1に示すように、被処理水弁13およびろ過水弁51を開き、逆洗用加圧空気弁61、逆洗排水弁41、エアーブロー用加圧空気弁81および水張り弁83を閉じた状態で被処理水ポンプ12を運転する。そして、被処理水ライン11および第1共通流路24を介してろ過膜30の通水孔31内に流入した被処理水をろ過膜30の分離層(図示せず)でろ過する。なお、分離層でろ過されてろ過膜30の外周面32から流出したろ過水は、容器20内の二次側領域を流れ、ろ過水ライン50から流出する。
なお、上記では被処理水をデッドエンドろ過する場合について説明したが、この膜ろ過システム100では、被処理水をクロスフローろ過してもよい。
ここで、被処理水のろ過を継続すると、被処理水中の汚濁物質等がろ過膜に付着してろ過膜の目詰まりが生じ、ろ過性能が低下する。そこで、この膜ろ過システム100では、所定時間毎に、或いは、ろ過膜30の差圧が所定値以上まで上昇した際に、被処理水弁13、逆洗排水ライン40、逆洗排水弁41、ろ過水弁51、逆洗用加圧空気ライン60、逆洗用加圧空気弁61およびエアーブロー用加圧空気弁81を逆洗機構として使用して、ろ過膜30を逆洗する。なお、逆洗時の各弁やポンプの動作は、図示しない制御装置を用いて制御することができる。
具体的には、最初に、図3(a)に示すように、被処理水ポンプ12を停止し、被処理水弁13、逆洗排水弁41、ろ過水弁51、エアーブロー用加圧空気弁81および水張り弁83を閉じた状態で逆洗用加圧空気弁61を開き、加圧気体としての逆洗用加圧空気を用いて容器20の二次側領域内に存在するろ過水を加圧する。具体的には、逆洗用加圧空気ライン60に接続された加圧気体供給装置(図示せず)から例えば圧力300〜500kPa(ゲージ圧)の逆洗用加圧空気を供給し、容器20内を加圧する。
次に、図3(b),(c)に示すように、逆洗排水弁41を開き、二次側領域内の加圧したろ過水をろ過膜30の通水孔31(一次側領域)内へ流入させて、ろ過膜30を逆洗する。
具体的には、この膜ろ過システム100では、容器20の近傍に配置された逆洗用加圧空気ライン60を介した逆洗用加圧空気の供給を継続した状態で逆洗排水弁41を開くことにより、二次側領域内の加圧したろ過水をろ過膜30の通水孔31(一次側領域)内へ流入させてろ過膜30を逆洗する。なお、ろ過膜30を逆洗する際には、ろ過水弁51は閉じられているので、逆洗用加圧空気ライン60を介して供給される逆洗用加圧空気は、ろ過水ライン50と逆洗用加圧空気ライン60との接続部(加圧気体流入口)およびろ過水ライン50の一部を通って容器20内に流入する。そして、図3(b),(c)に示すように、一次側領域内へのろ過水の流出および逆洗用加圧空気の流入に伴い容器20内の水位は低下する。
ここで、「実質的に容器20の二次側領域内に存在するろ過水のみを使用してろ過膜30を逆洗する」とは、逆洗水槽を設けることなく、二次側領域内に存在する水と、逆洗用加圧空気を供給する際に不可避的に二次側領域内に流入するろ過水ライン50中のろ過水(容器20とろ過水弁51との間でろ過水ライン50内に残存しているろ過水)とを用いてろ過膜を逆洗することを指す。
そこで、この洗浄方法では、ろ過膜全体をより効果的に逆洗する観点から、加圧したろ過水を複数回に分けて通水孔31(一次側領域)に流入させることが好ましく、少なくとも一回目の流入量を、容器20とろ過水弁51との間でろ過水ライン50内に残存しているろ過水量以下とすることが更に好ましい。ろ過水を複数回に分けて通水孔31に流入させれば、一度目のろ過水の流入では剥離しなかった閉塞物質を二度目以降のろ過水の流入で剥離させることができるからである。また、一回目の流入量を容器20とろ過水弁51との間でろ過水ライン50内に残存しているろ過水量以下とすれば、一回目の通水時に二次側領域内のろ過水の水位が低下することがない。従って、ろ過膜30の外周面に対して均一に圧力をかけた状態でろ過水を2回以上通水させ、ろ過膜全体をより効果的に逆洗することができるからである。
因みに、加圧したろ過水は、例えば、制御装置を用いて逆洗排水弁41の開閉を制御することにより、或いは、逆洗排水弁41の開閉をタイマー制御することにより、複数回に分けて通水孔31に流入させることができる。また、逆洗工程において加圧したろ過水を複数回に分けて一次側領域に流入させる場合、前述した「逆洗工程にかかる時間」とは、逆洗工程においてろ過水を一次側領域に流入させている時間の合計とする。
更に、本発明の膜ろ過システムの洗浄方法では、膜ろ過システムの二次側領域内に薬品を添加するラインを設け、薬品を添加したろ過水を用いて逆洗工程を実施してもよい。
ここで、膜ろ過システム100Aは、容器20およびろ過膜30が、その軸線が水平方向と平行になるように設置されている点、並びに、エアーブロー用加圧空気ライン80およびエアーブロー用加圧空気弁81が設けられていない点を除き、先の膜ろ過システム100と同様の構成を有している。
そして、この膜ろ過システム100Aは、二次側領域内のろ過水を用いた逆洗が終了した後に通水孔31内をエアーブロー用加圧空気で洗浄する工程を実施しない以外は、先の一例の膜ろ過システム100と同様にして洗浄することができる。具体的には、図4(a)に示すように、被処理水ポンプ12を停止し、被処理水弁13、逆洗排水弁41、ろ過水弁51および水張り弁83を閉じた状態で逆洗用加圧空気弁61を開いて加圧工程を実施した後、図4(b)〜(c)に示すように、逆洗排水弁41を開いて逆洗工程を実施することができる。
なお、この膜ろ過システム100Aにおいて逆洗工程を実施する際に加圧したろ過水を複数回に分けて通水孔31(一次側領域)に流入させる場合には、少なくとも一回目の流入量を、容器20の上面と鉛直方向最も上側に位置するろ過膜30との間に位置するろ過水量以下とすれば、ろ過膜30の外周面に対して均一に圧力をかけた状態でろ過水を2回以上通水させることができる。従って、膜ろ過システム100Aでは、ろ過水を複数回に分けて一次側領域に流入させる際に、一回目の流入量を膜ろ過システム100の場合よりも多くすることができるので、ろ過膜30をより良好に洗浄することができる。
また、膜ろ過システム100Aにおいては、容器20の上面と容器20内の鉛直方向最も上側に位置するろ過膜30との間に、ろ過膜30の逆洗に使用するろ過水を貯留し得る空間を確保してもよい。容器20の上面と容器20内の鉛直方向最も上側に位置するろ過膜30との間に位置するろ過水のみを用いて逆洗を行えば(即ち、鉛直方向最も上側に位置するろ過膜30が逆洗工程の終了時にろ過水中に水没しているようにすれば)、各ろ過膜30間で通水されるろ過水(逆洗水)の量に差が生じるのを抑制することができる。その結果、容器20内の全てのろ過膜30を均一に洗浄することができる。なお、容器20の上面と容器20内の鉛直方向最も上側に位置するろ過膜30との間に逆洗に使用するろ過水を貯留し得る空間を確保した場合において、逆洗工程を実施する際に加圧したろ過水を複数回に分けて通水孔31(一次側領域)に流入させると、ろ過膜30をより均一に洗浄することができる。
ここで、逆洗水槽を設置し、逆洗用加圧空気を用いて逆洗水槽内の水を加圧して逆洗を行うと、ろ過膜を収容した容器を複数個設けた膜ろ過システムでは、配管内の圧力損失等に起因して全てのろ過膜を均一に洗浄することができず、容器間でろ過膜の洗浄度合いに差が生じることがある。しかし、図5(a),(b)に示す膜ろ過システム100B,100Cでは、実質的に各容器の二次側領域内のろ過水のみを使用して逆洗を行うので、各容器20内のろ過膜30を均一に逆洗することができる。
11 被処理水ライン
12 被処理水ポンプ
13 被処理水弁
20 容器
21 内部空間
22,23 仕切り板
24 第1共通流路
25,26 仕切り板
27 第2共通流路
28 パッキン
30 ろ過膜(セラミック膜)
31 通水孔
32 外周面
40 逆洗排水ライン
41 逆洗排水弁
50 ろ過水ライン
51 ろ過水弁
60 逆洗用加圧空気ライン
61 逆洗用加圧空気弁
80 エアーブロー用加圧空気ライン
81 エアーブロー用加圧空気弁
82 水張りライン
83 水張り弁
100,100A,100B,100C 膜ろ過システム
Claims (3)
- ろ過膜により内部空間が一次側領域と二次側領域とに区分された容器を有し、被処理水を前記ろ過膜でろ過してろ過水を得るろ過装置を備える膜ろ過システムの洗浄方法であって、
前記容器には、ろ過水弁を有するろ過水ラインが接続されており、且つ、前記容器と前記ろ過水ラインとの接続部は前記ろ過膜の外周面に対向し、
前記ろ過水ラインの、前記容器と前記ろ過水弁との間からは、逆洗用加圧気体ラインが分岐して延びており、
前記逆洗用加圧気体ラインを介して供給された加圧気体を用いて前記二次側領域に存在するろ過水を加圧する加圧工程と、
前記加圧工程の後、前記加圧されたろ過水を前記二次側領域から前記一次側領域へと流して前記ろ過膜を逆洗する逆洗工程と、
を含み、
前記逆洗工程では、実質的に前記二次側領域内に存在するろ過水のみを使用し、且つ、前記二次側領域に前記加圧気体を流入させて前記容器内の水位を低下させつつ逆洗を行う、膜ろ過システムの洗浄方法。 - 前記逆洗工程において、前記二次側領域から前記一次側領域への加圧されたろ過水の流入開始から、逆洗工程にかかる時間の1/10以下の時間内に前記加圧気体を前記二次側領域に流入させる、請求項1に記載の膜ろ過システムの洗浄方法。
- 前記膜ろ過システムが、前記容器を複数有し、且つ、複数の容器に共通のろ過水ラインを更に備え、
前記ろ過水ラインが、各容器の前記二次側領域に接続されており、且つ、加圧気体供給装置に接続された加圧気体流入口を有し、
前記加圧工程では、前記加圧気体流入口および前記ろ過水ラインを介して前記二次側領域に存在するろ過水を加圧し、
前記逆洗工程では、前記加圧気体流入口および前記ろ過水ラインを介して前記加圧気体を前記二次側領域に流入させる、請求項1または2に記載の膜ろ過システムの洗浄方法。
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