JP2000027938A - 振子型免震構造及びその施工方法 - Google Patents

振子型免震構造及びその施工方法

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JP2000027938A
JP2000027938A JP10197279A JP19727998A JP2000027938A JP 2000027938 A JP2000027938 A JP 2000027938A JP 10197279 A JP10197279 A JP 10197279A JP 19727998 A JP19727998 A JP 19727998A JP 2000027938 A JP2000027938 A JP 2000027938A
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JP10197279A
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Takashi Kurosawa
隆志 黒澤
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、上側荷重受部の上部全面が上部構
造物に密着して固定出来ない場合であっても上側荷重受
部に上部構造物の荷重に応じた剪断力に耐え得る剛性と
強度が得られ、該上側荷重受部の保全を確保し得る振子
型免震構造及びその施工方法を提供することを可能にす
ることを目的としている。 【解決手段】 箱型に成形した金属板42の上部に荷重伝
達板43を取り付け、該荷重伝達板43と金属板42との内部
に無収縮性のグラウト材12を充填して一体化させて上側
荷重受部Bを形成し、荷重伝達板43を介してH形鋼15に
固定される。下部構造物1に固定したシューホルダ14の
曲面状の受面14b上にシュー13を滑動自在に支持して該
シュー13に上側荷重受部Bの金属板42の曲面状の受面42
aを滑動自在に当接させて構成したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物や美術品展
示ケース或いはコンピューター用免震床等に適用可能な
振子型免震構造及びその施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の振子型免震構造の一例として特公
平5-62179 号公報に開示された技術(第1公知例)は、
図34に示すように、地盤上に設けられた支持基礎50に接
続され、コンクリートで構成された皿ハウジング51によ
り曲面状の皿52を保持し、該皿52上を滑動して移動可能
な荷重伝達体となる関節スライダ53を滑動可能に保持す
るスライダハウジング54が支持コラム55に接続され、更
に支持コラム55が構造物接続板56に接続され、該構造物
接続板56がボルト57により支持構造物58に固定されてい
る。
【0003】また、第2公知例として図35に示す技術
は、板厚30mm以上の厚軟鋼板を機械加工して曲面61a
を削り出して形成した下沓61を地盤上に設けられた支持
基礎60上に載置してボルト止めにより固定し、該曲面61
a上を滑動して移動可能な荷重伝達体となる下部スライ
ディングプレート62を同じく荷重伝達体となる上部スラ
イディングプレート63に接着し、該上部スライディング
プレート63を滑動可能に保持する柱状部材64がフランジ
部材65に接続されて上沓を形成し、該フランジ部材65が
ボルト止めにより支持構造物66に固定されている。
【0004】また、実開平5-32505 号公報に開示された
技術(第3公知例)は、図36に示すように、下部装置71
上に円柱状体72を基体として球面部72aを形成した下沓
73の下辺の4隅に設けられたアンカーボルト挿通孔73a
に下部装置71に埋設されたアンカーボルト74が挿通さ
れ、該アンカーボルト74にナット75を締着して下沓73が
下部装置71上に固定される。また、上部装置76の下部に
円柱状体77を基体として球面部72aと同じ曲率半径を有
する球面部77aを形成した上沓78がその上辺に設けられ
たボルト挿通孔を介してボルト、ナットの締結手段によ
り上部装置76に固定され、下沓73の球面部72aと上沓78
の球面部77aとの間に荷重伝達体となる摺動子79が摺動
自在に当接されている。
【0005】しかしながら、前述の各公知例において、
図35に示した第2公知例の下沓61及び図36に示した第3
公知例の下沓73、上沓78は板厚30mm以上の厚ステンレ
ス鋼板或いは厚軟鋼板等を機械加工して曲面61a、球面
部72a,77aを削り出して形成するため加工作業に手間
がかかり加工コストが増大する上、原材料として鋼材の
厚板を使用するため高価であり材料コストが増大すると
いう問題があった。
【0006】また、下沓61,73、上沓78の重量が大きく
なり、例えば、1m角、30mm厚の厚軟鋼板では236
kg程度の重量があるため、起重機械により搬入しなけれ
ばならず、施工作業が困難であった。
【0007】上記問題を解決し得る技術として特開平10
-37519号公報に開示された技術(第4公知例)が提案さ
れており、その構成は、図37に示すように、上部装置に
取り付けられるゴム層81を有する上面板82の下にグラウ
ト材83、円錐型に成形された受皿鉄板84を有し、中心部
に補強材85を有する受皿86が荷重伝達体となるボール87
を介して下部装置にL型アンカーボルト88により固定さ
れたベースプレート89とボールベアリング押さえ90を有
する支承体91により支持されている。
【0008】上記構成ではボール87が当接する円錐型に
成形された受皿鉄板84の上部にグラウト材83が充填固化
されて上部受皿86を形成しており、これにより上述のよ
うな厚ステンレス鋼板或いは厚軟鋼板等を機械加工する
必要がなく、加工コスト及び材料コストを低減すると共
に各部材を軽量化して施工作業を容易に出来るものであ
る。
【0009】前述の各公知例では荷重伝達体となる関節
スライダ53,上部スライディングプレート63,摺動子7
9,ボール87の夫々の上部側で当接して上部構造物とな
る支持構造物58,フランジ部材65,上部構造76,上面板
82等にかかる荷重を夫々支持する上側荷重受部となるス
ライダハウジング54,柱状部材64,上沓78,グラウト材
83及び受皿鉄板84は夫々上部構造物に対してその上部全
面が密着して固定されるのが一般である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上側荷
重受部が例えば、H形鋼等の梁を介して上部構造物に固
定されるような場合、必ずしも該上側荷重受部の上部全
面がH形鋼の下フランジの下面に密着出来ない場合が想
定される。
【0011】この場合、H形鋼の下面から外れた位置に
ある上側荷重受部の部位に荷重伝達体が移動した場合、
上側荷重受部に上部構造物の荷重に応じた剪断力が作用
し、特に第4公知例のように板厚の薄い受皿鉄板84とこ
れに一体的に固化したグラウト固化層83により上側荷重
受部が形成された場合、上部構造物の荷重に応じた剪断
力に耐え得る剛性と強度が得られない虞がある。
【0012】本発明は前記課題を解決するものであり、
その目的とするところは、上側荷重受部の上部全面が上
部構造物に密着して固定出来ない場合であっても上側荷
重受部に上部構造物の荷重に応じた剪断力に耐え得る剛
性と強度が得られ、該上側荷重受部の保全を確保し得る
振子型免震構造及びその施工方法を提供せんとするもの
である。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本発明に係る振子型免震構造は、曲面状の受面を有
し、且つ上部構造物に固定される上側荷重受部と、曲面
状の受面を有し、且つ下部構造物に固定される下側荷重
受部と、前記上側荷重受部及び下側荷重受部の両受面間
に介在される荷重伝達体を有する振子型免震構造におい
て、前記上側荷重受部は、荷重伝達板を介して前記上部
構造物に固定されると共に、曲面状の受面を形成する金
属板と前記荷重伝達板の間に無収縮性のグラウト材を充
填固化することにより形成され、前記荷重伝達板は、前
記上側荷重受部と下側荷重受部の間に許容される水平方
向の相対移動範囲内ではその垂直投影位置から前記荷重
伝達体が外れない大きさとされることを特徴とする。
【0014】上記構成によれば、上側荷重受部が荷重伝
達板を介して上部構造物に固定され、該荷重伝達板は上
側荷重受部と下側荷重受部の間に許容される水平方向の
相対移動範囲内ではその垂直投影位置から荷重伝達体が
外れない大きさを有するので該荷重伝達板により上部構
造物の荷重に応じた剪断力に耐え得る剛性と強度が得ら
れ、上側荷重受部の上部全面が上部構造物に密着して固
定出来ない場合であっても該上側荷重受部の保全を確保
することが出来る。
【0015】また、前記下側荷重受部の受面が前記上側
荷重受部の受面より小さい曲率半径を有し、前記荷重伝
達体が前記上側荷重受部の受面と下側荷重受部の受面に
夫々整合する曲率半径の上面と下面を有し、前記荷重伝
達体が前記下側荷重受部と一体的に移動して前記上側荷
重受部の受面上を滑動可能とされる場合や、前記上側荷
重受部の受面と下側荷重受部の受面が同一曲率半径を有
し、該両受面間に介在される荷重伝達体が該両受面間を
実質的に回転することなく滑動可能とされる場合の振子
型免震構造に好適である。
【0016】また、前記下側荷重受部が、前記曲面状の
受面を形成する金属板と前記下側構造物の間に無収縮性
のグラウト材を充填固化することにより形成される場合
には下側荷重受部を軽量で取り扱い易い金属板と、該金
属板と下部構造物との間隙に無収縮性のグラウト材を充
填固化させることによって該金属板と一体化されたグラ
ウト固化層により形成したことで施工性が良い。
【0017】また、本発明に係る振子型免震構造の施工
方法は、前記上側荷重受部における曲面状の受面を形成
する金属板とその周辺部から上方に延長した側板により
形成される箱体を用意し、該箱体の上部に前記荷重伝達
板を連結し、その荷重伝達板を前記上側構造物に固定す
ると共に、前記箱体内に無収縮性のグラウト材を充填固
化することを特徴とする。
【0018】上記構成によれば、上部に荷重伝達板を連
結した箱体内に無収縮性のグラウト材を充填固化させた
ことで荷重伝達板と上側荷重受部が一体的に固定され、
該箱体がグラウト材を充填する際の型枠を兼ねるので施
工性に優れている。
【0019】また、前記荷重伝達板若しくは前記上側荷
重受部における曲面状の受面を形成する金属板にグラウ
ト材充填孔及びグラウト材確認孔が設けられ、該グラウ
ト材充填孔からグラウト材を充填し、その充填状態をグ
ラウト材確認孔により確認する場合には、荷重伝達板若
しくは上側荷重受部の金属板の上部側から箱体内に無収
縮性のグラウト材を流し込むことにより容易に充填する
ことが出来、更にはグラウト材確認孔からグラウト材が
溢れ出すことを目視確認することで箱体内及び荷重伝達
板との接触面に隙間なく確実にグラウト材を充填するこ
とが出来、荷重伝達板と金属板とグラウト固化層が強固
且つ確実に一体化された上側荷重受部を形成することが
出来る。
【0020】また、本発明に係る振子型免震構造の他の
施工方法は、前記施工方法において、1つの高さ調整支
持部材とそれを取り囲む複数の固定部材を前記下側構造
物に立設すると共に、前記下側荷重受部の曲面状の受面
を形成する金属板を用意し、該金属板の略中央部下面を
前記高さ調整支持部材に支持させてその高さレベルを調
整し、更にその水平レベルを調整した状態で前記複数の
固定部材により該金属板の周辺部を固定し、前記下部構
造物と前記金属板間の間隙に無収縮性のグラウト材を充
填固化させることによって下側荷重受部を形成すること
を特徴とする。
【0021】上記構成によれば、下部構造物に立設され
た1つの高さ調整支持部材に金属板の略中央部下面を支
持させた状態で該金属板の高さレベル及び水平レベルを
調整した後、該金属板の周辺部を1つの高さ調整支持部
材を取り囲み下部構造物に立設された複数の固定部材に
固定することで下側荷重受部を構成する金属板の高さレ
ベルや水平レベルの調整作業が容易に且つ確実に出来
る。特に金属板の高さレベル調整が高さ調整支持部材の
一箇所で出来るので作業性が良い。
【0022】また、金属板の略中央部下面を高さ調整支
持部材により支持することにより、該金属板の荷重を高
さ調整支持部材が受けるため、固定部材により固定され
る該金属板の周辺部の平坦部が撓むことがなく、金属板
の高さレベルや水平レベルに誤差が生じることがない。
【0023】更には、下部構造物と金属板間の間隙に充
填されたグラウト材が固化する前に金属板上に荷重伝達
体や上側荷重受部、更には上部構造物等を載置して作業
が出来るため、グラウト材の固化時間を待たなくても良
く、工期を短縮出来る。
【0024】また、下側荷重受部を軽量で取り扱い易い
金属板と、該金属板と下部構造物との間隙に無収縮性の
グラウト材を充填固化させることによって該金属板と一
体化されたグラウト固化層により形成したことで施工性
が良い。
【0025】また、前記下部構造物にグラウト材充填管
を予め埋設しておき、外部から該グラウト材充填管を通
して前記下部構造物と前記金属板の間隙に無収縮性のグ
ラウト材を充填する場合には、グラウト材充填管の充填
口を下部構造物と金属板の間隙の断面が狭くなる中央部
に設定しておくことで狭い中央部へのグラウト材の充填
が確実に出来る。
【0026】
【発明の実施の形態】図により本発明に係る振子型免震
構造及びその施工方法の一実施形態を具体的に説明す
る。図1は本発明に係る振子型免震構造の第1実施形態
の構成を示す断面説明図、図2は第1実施形態の上側荷
重受部の構成を示す平面図、図3〜図7は第1実施形態
の上側荷重受部の施工方法を示す断面説明図、図8は上
側荷重受部の他の構成を示す断面説明図、図9は本発明
に係る振子型免震構造の第2実施形態の構成を示す断面
説明図、図10は本発明に係る振子型免震構造の第3実施
形態の構成を示す断面説明図、図11は第3実施形態の上
側荷重受部の構成を示す平面図、図12は第3実施形態の
下側荷重受部の構成を示す平面図、図13〜図20は第3実
施形態の下側荷重受部の施工方法を示す断面説明図、図
21(a)〜(c)及び図22、図23は高さ調整支持部材の
他の構成を示す図、図24〜図28は第3実施形態の下部構
造物に埋設したグラウト材充填管を通して該下部構造物
と金属板との間隙にグラウト材を充填した場合の下側荷
重受部の施工方法を示す断面説明図、図29は本発明に係
る振子型免震構造の第4実施形態の構成を示す断面説明
図、図30は第4実施形態において荷重伝達体が上側及び
下側荷重受部の受面上を滑動した様子を示す断面説明
図、図31は第4実施形態の上側荷重受部の構成を示す平
面図、図32は第4実施形態の下側荷重受部の構成を示す
平面図、図33は本発明に係る振子型免震構造の第5実施
形態の構成を示す断面説明図である。
【0027】本発明に係る振子型免震構造及びその施工
方法は住宅やオフィス等の建築物や美術品展示ケース或
いはコンピューター用免震床等に適宜適用可能な振子型
免震構造及びその施工方法に関するものであり、以下の
説明では、住宅やオフィス等の建築物に適用した場合の
一例について説明する。
【0028】先ず、図1〜図8を用いて本発明に係る振
子型免震構造及びその施工方法の第1実施形態について
説明する。図において、1は地盤等にコンクリートを打
設して形成された下部構造物であり、下部構造物1の所
定位置にはアンカーボルト17の下部が該下部構造物1の
内部に埋設され、該アンカーボルト17の上部が露出する
ように立設されている。
【0029】14は下側荷重受部を構成する柱状部となる
シューホルダであり、該シューホルダ14本体の下端部外
周に鍔部14aが溶接して固着され、該鍔部14aの所定位
置にはアンカーボルト17が挿通し得る貫通孔14cが形成
されている。
【0030】そして、シューホルダ14の鍔部14aに設け
た貫通孔14cを下部構造物1に埋設して立設されたアン
カーボルト17に嵌挿して該シューホルダ14を下部構造物
1上に載置した後、該アンカーボルト17にワッシャー18
を挿通し、ナット19を螺合締着してシューホルダ14を下
部構造物1上に固定する。
【0031】シューホルダ14の上端部には荷重伝達体と
なるシュー13の滑動球面部13bに対応して平面的には円
形で下に凸の曲面状の受面14bが形成されている。この
曲面状の受面14bの曲率半径は後述する上側荷重受部B
の金属板42の曲面状の受面42aの曲率半径よりも小さい
値で設定されている。
【0032】シュー13の上面及び下面に形成された滑動
球面部13a,13bは上側荷重受部Bの金属板42の曲面状
の受面42aと下側荷重受部となるシューホルダ14の曲面
状の受面14bに夫々整合する曲率半径で構成されてお
り、シュー13がシューホルダ14と一体的に移動して上側
荷重受部Bの金属板42の曲面状の受面42a上を滑動可能
に構成されている。
【0033】本実施形態では、シューホルダ14は軟鋼材
を用いて切削加工して形成しており、例えば、シューホ
ルダ14の外径が110mm、厚さが50mmで、曲面状の受
面14bの曲率半径が50mmで該曲面状の受面14bの上端
部の周部には更に曲率半径が1mmの曲面が形成されてい
る。
【0034】また、シューホルダ14の表面はリン酸マン
ガン処理(パーカライジング)により錆止めが施され、
更に曲面状の受面14bの表面には二硫化モリブデンを焼
き付け等により被覆することにより潤滑処理が施されて
いる。
【0035】後述する上側荷重受部Bの下面を構成する
金属板42の曲面状の受面42a上には荷重伝達体となるシ
ュー13が該曲面状の受面42aに対して滑動して移動自在
に配置されている。シュー13は図1に示すように金属板
42の曲面状の受面42aの曲率に対応して平面的には円形
で上に凸の所定の曲率を有する滑動球面部13aと、該滑
動球面部13aと同心上で同じく平面的には円形で下に凸
の所定の曲率を有する滑動球面部13bとを有して構成さ
れている。
【0036】本実施形態では、シュー13を軟鋼材を用い
て切削加工して形成しており、例えば、滑動球面部13a
の曲率半径が2234mm、滑動球面部13bの曲率半径が
50mmに設定したものである。シュー13の表面はリン酸
マンガン処理(パーカライジング)により錆止めが施さ
れ、更にその表面には二硫化モリブデンを焼き付け等に
より被覆することにより潤滑処理が施されている。
【0037】一方、建築物等の上部構造物を支持するH
形鋼15の下フランジ15aの下部には上側荷重受部Bが設
けられている。前記上側荷重受部Bの設置方法は、先
ず、図3に示すように、中央部に平面的には円形で上に
凸の曲面状の受面42aを形成し、その周辺部から上方に
延長した側板42bを有する箱体となる箱型形状の金属板
42の上部にグラウト材充填孔或いはグラウト材確認孔と
なる貫通孔43a及びネジ孔43bを設けた荷重伝達板43が
ビス44を金属板42の側板42bの外側から該荷重伝達板43
の側辺部43cに止め付けることによって固定される。
【0038】前記金属板42は、例えば、板厚が2.3mm
以下程度の薄軟鋼板で構成することが出来、該金属板42
を曲げ加工することにより曲面状の受面42aを容易に形
成することが出来る。また、金属板42の外側の4辺に起
立して設けられた側板42bもプレス加工等により容易に
形成することが出来る。また、荷重伝達板43も市販の軟
鋼厚板等で構成することが出来る。
【0039】また、金属板42が薄軟鋼板であれば、材料
費が安価で、例えば、1m角、2.3mm厚の薄軟鋼板で
は18kg程度の重量であるので前述の各公知例と比較し
て超軽量化することが出来、起重機械にたよらずに作業
者によって容易に現場に搬入することが出来、施工作業
も容易に出来る。
【0040】従って、前述の各公知例のように高価で重
量のある厚ステンレス鋼板や厚軟鋼板を機械加工する必
要がなく、加工作業を省略して加工コストを削減すると
共に材料コストを低減し、重量を低減して施工作業を容
易にすることが出来る。
【0041】そして、図4に示すように、荷重伝達板43
に形成した貫通孔43aの1つ(例えば中央部に設けた貫
通孔43a)から無収縮性のグラウト材12を充填する。
【0042】無収縮性のグラウト材12は箱型形状の金属
板42と荷重伝達板43とにより形成された空間に充填さ
れ、他の4つの貫通孔43aから無収縮性のグラウト材12
が溢れ出したことを確認することで金属板42と荷重伝達
板43とにより形成された空間に無収縮性のグラウト材12
が満たされたことを確認することが出来る(図5参
照)。
【0043】特に荷重伝達板43の中央部に設けた貫通孔
43aから無収縮性のグラウト材12を充填することで、断
面が狭い中央部へのグラウト材12の充填が確実に出来
る。
【0044】本実施形態では図1に示すように荷重伝達
板43の中央部に設けた貫通孔43aがH形鋼15の直下に配
置されるため該貫通孔43aからグラウト材12が溢れ出し
た状態のまま固化すると荷重伝達板43をH形鋼15に密着
して固定することが困難になるため図6に示すように少
なくとも荷重伝達板43の中央部の貫通孔43aから溢れ出
したグラウト材12をウエス45等により拭き取った後、グ
ラウト材12が再度貫通孔43aから溢れ出さないように板
46により貫通孔43aの上部を覆ってガムテープ47により
貼着する。
【0045】そして、無収縮性のグラウト材12が固化し
た段階で、該グラウト材12が固化したグラウト固化層と
金属板42とを一体化することにより上側荷重受部Bが形
成され、図7に示すように荷重伝達板43の中央部の貫通
孔43aの上部に貼着した板46とガムテープ47を除去す
る。板46及びガムテープ47を貼着した荷重伝達板43の中
央部の貫通孔43aからはグラウト材12が溢れ出すことな
くH形鋼15の下フランジ15aの下面に密着し得る平面が
形成される。尚、上側荷重受部Bは工場で製造して現場
に輸送しても良いし、現場で製造しても良い。
【0046】次に図1に示すように、シューホルダ14の
曲面状の受面14b上にシュー13の滑動球面部13bを滑動
自在に載置し、該シュー13の滑動球面部13aに対して金
属板42の曲面状の受面42aが滑動自在に接触し得るよう
に上側荷重受部BをH形鋼15の下部に固定する。
【0047】上側荷重受部BをH形鋼15の下部に固定す
る際には、H形鋼15の下フランジ15aに設けた貫通孔15
bに該下フランジ15aの上面側からボルト16を挿入して
荷重伝達板43のネジ孔43bに螺合締着して固定すること
で上側荷重受部BがH形鋼15に固定されて支持される。
【0048】尚、他の設置方法として、先ず、荷重伝達
板43をH形鋼15に取り付けた後、荷重伝達板43に金属板
42を固定してH形鋼15を避けて形成された貫通孔43aか
ら無収縮性のグラウト材12を充填しても良いし、先ず、
金属板42に荷重伝達板43を取り付けた後、該荷重伝達板
43を金属板42と一体的にH形鋼15に固定して同じく該H
形鋼15を避けて形成された貫通孔43aから無収縮性のグ
ラウト材12を充填しても良い。
【0049】尚、建築物は上記振子型免震構造を少なく
とも4つ以上を介して下部構造物1に支持されている。
そして、夫々の上側荷重受部Bは上部構造物に固定さ
れ、夫々の下側荷重受部となるシューホルダ14は下部構
造物1に固定されているため上側荷重受部B及びこれに
固定された上部構造物は下部構造物1及びシューホルダ
14に対して常時平行に配置される。
【0050】上記構成において、地震等によりH形鋼15
上部に構築された建築物等の上部構造物に振動が加わる
と下側荷重受部となるシューホルダ14の曲面状の受面14
bと上側荷重受部Bの金属板42の曲面状の受面42aとの
間に介在して滑動自在に設けられたシュー13が該シュー
ホルダ14と一体的に金属板42の曲面状の受面42a上を滑
動してH形鋼15及び上側荷重受部Bが一体的に移動し、
水平方向の揺れを許容して建築物にかかる地震荷重を減
衰させることが出来るようになっている。
【0051】前記荷重伝達板43は上側荷重受部Bと下側
荷重受部となるシューホルダ14との間に許容される水平
方向の相対的移動範囲内ではその垂直投影位置から荷重
伝達体となるシュー13が外れない大きさを有して構成さ
れている。
【0052】即ち、本実施形態では、図2に示すように
上側荷重受部Bが交差するH形鋼15等の梁を介して上部
構造物に固定されており、上側荷重受部Bの上部全面が
H形鋼15の下フランジ15aの下面に密着出来ない場合で
あって、この場合、交差するH形鋼15の下面から外れた
位置にある上側荷重受部Bの部位にシュー13が移動した
場合、金属板42とこれに一体的に固化したグラウト固化
層に上部構造物の荷重に応じた剪断力が作用する。
【0053】そこで、上部構造物の荷重に応じた剪断力
に十分耐え得る所定の剛性と強度を有する厚板で構成さ
れた荷重伝達板43を少なくとも上側荷重受部Bと下側荷
重受部Aとの間に許容される水平方向の相対的移動範囲
内で、その垂直投影位置からシュー13が外れない大きさ
を有して構成することで、シュー13がH形鋼15の下面か
ら外れた位置に移動して金属板42とこれに一体的に固化
したグラウト固化層に上部構造物の荷重に応じた剪断力
が作用してもこの剪断力を荷重伝達板43により受けて上
側荷重受部Bの保全を確保することが出来る。
【0054】図8は上側荷重受部Bの他の構成を示す図
である。図8では金属板42の曲面状の受面42aが形成さ
れた底部の大きさよりも荷重伝達板43の大きさが小さく
構成されており、周辺部から上方に延長した側板42bの
上部には荷重伝達板43の周辺に沿った段部42cが形成さ
れており、該段部42cの水平辺にグラウト材充填孔或い
はグラウト材確認孔となる貫通孔42dが形成されてい
る。
【0055】そして、金属板42の側板42bの段部42cの
上部内側に荷重伝達板43がビス44を金属板42の側板42b
の外側から該荷重伝達板43の側辺部43cに止め付けるこ
とによって固定され、金属板42の段部42cに形成した貫
通孔42d或いは荷重伝達板43に形成した貫通孔43aの1
つから無収縮性のグラウト材12を充填し、他の貫通孔42
d,43aから無収縮性のグラウト材12が溢れ出したこと
を確認することで金属板42と荷重伝達板43とにより形成
された空間に無収縮性のグラウト材12が満たされたこと
を確認することが出来る。
【0056】特に荷重伝達板43の中央部に設けた貫通孔
43aから無収縮性のグラウト材12を充填し、金属板42の
段部42cの貫通孔42dからグラウト材12が溢れ出したこ
とを確認することで、断面が狭い中央部へのグラウト材
12の充填が確実に出来る。
【0057】前記上側荷重受部Bでは、例えば、グラウ
ト材12を打設する前の重量で約40kg、グラウト材12の
打設後の重量で約60kgのように軽量であるため、作業
者が一人でも上側荷重受部Bを持ち上げて取り付けるこ
とが出来、作業性に優れる。また、荷重伝達板43は市販
された厚板を孔開けやネジ切り等の単純な加工により製
造することが出来るので安価で量産出来る。また、上側
荷重受部Bの組み立てやグラウト材12の充填施工は現場
でも工場でも出来るので好ましい。
【0058】次に図9を用いて本発明に係る振子型免震
構造及びその施工方法の第2実施形態について説明す
る。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一
の符号を付して説明を省略する。
【0059】本実施形態では上側荷重受部Bの金属板42
の曲面状の受面42aがすり鉢状の円錐面に形成され、且
つその中央の底部が球面で構成されている。一方、下部
構造物1上にはボールベアリングを有する上側荷重受部
となるホルダ35が載置して固定されている。ホルダ35は
該ホルダ35本体の下端部外周に溶接して固着された鍔部
35aに設けた貫通孔35bを下部構造物1から立設された
アンカーボルト17に嵌挿して下部構造物1上に載置した
後、該アンカーボルト17にワッシャー18を挿通し、ナッ
ト19を螺合締着して下部構造物1上に固定されている。
【0060】ホルダ35のボールベアリング部には荷重伝
達体となるボール36が転動自在に支持されており、該ボ
ール36が金属板42の曲面状の受面42a上を転動すること
によりボール36がホルダ35を介して下部構造物1と一体
的に移動し、水平方向の揺れを許容して上部構造物にか
かる地震荷重を減衰させることが出来るようになってい
る。
【0061】他の構成及び施工方法は前記第1実施形態
と同様に構成され同様な効果を得ることが出来る。
【0062】次に図10〜図20を用いて本発明に係る振子
型免震構造及びその施工方法の第3実施形態について説
明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは
同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】本実施形態では、建築物等の上部構造物を
支持するH形鋼15の下部には前記第1実施形態と同様な
上側荷重受部Bが設けられている。前記上側荷重受部B
の施工方法は前述したと同様である。
【0064】一方、下部構造物1には1つの高さ調整支
持部材を構成する上部にボルト4が螺合された長ナット
2と、それを取り囲む複数の固定部材となるアンカーボ
ルト3が立設して取り付けられている。
【0065】長ナット2及びアンカーボルト3を下部構
造物1に埋設して立設する場合には、該下部構造物1に
穴を形成した後、該穴に長ナット2及びアンカーボルト
3を挿入して立設すれば良い。
【0066】長ナット2は下側荷重受部Aの金属板5の
高さレベルの調整代に対応する長さを有する貫通したネ
ジ溝を有しており、該長ナット2の上部側には同じく下
側荷重受部Aの金属板5の高さレベルの調整代に対応す
る長さを有するボルト4が螺合自在に取り付けられてい
る。
【0067】そして、ボルト4の螺合高さ位置を調整す
ることにより該ボルト4の上面に載置される下側荷重受
部Aの金属板5の曲面状の受面5aの高さレベルを調整
するようになっている。
【0068】一方、図13に示すように、アンカーボルト
3の高さ方向所定位置にはナット6が螺合され、該ナッ
ト6の上面にアンカーボルト3に挿通されたワッシャー
7が取り付けられている。尚、ナット6とワッシャー7
は一体的に形成された座付きナットで構成することでも
良い。
【0069】下側荷重受部Aの施工方法としては、先
ず、図13に示すように、中央部に平面的には円形で下に
凸の上側荷重受部Bの金属板42の曲面状の受面42aと同
一の曲率半径を有する曲面状の受面5aを形成した金属
板5の略中央部下面を載置して支持するボルト4を長ナ
ット2に対して所定方向に螺合回転させて該ボルト4の
高さレベルを調整する。
【0070】具体的には図13に示すようにボルト4の上
面にスケール8を当ててその周辺部からレベル測量機械
9により測量しながらボルト4を長ナット2に対して所
定方向に螺合回転させ、ボルト4の上面に載置される金
属板5が予め設定された高さレベルになるように該ボル
ト4の高さレベルを調整する。
【0071】金属板5の曲面状の受面5aの外部周辺部
でアンカーボルト3、ナット6及びワッシャー7を用い
て固定される部位には4隅に陥没部5dが形成されてお
り、該陥没部5dにはアンカーボルト挿通孔5bが形成
されている。そして、図14及び図15に示すように金属板
5のアンカーボルト挿通孔5bを4本のアンカーボルト
3に挿通すると共に金属板5の略中央部下面をボルト4
上に載置して該金属板5を支持する。
【0072】そして、図15に示すように金属板5の曲面
状の受面5aの周囲の平坦部に水準器10を載置してボル
ト4により支持された金属板5の水平レベルを調整した
状態でナット6をアンカーボルト3に対して螺合して上
昇させ、金属板5の下面にワッシャー7が当接する位置
にナット6の高さを合わせる。
【0073】そして、金属板5の上部側からワッシャー
7をアンカーボルト3に嵌挿すると共にアンカーボルト
3にナット6を螺合締着して金属板5をアンカーボルト
3に固定する。
【0074】前記金属板5は、例えば、板厚が2.3mm
以下程度の薄軟鋼板で構成することが出来、該金属板5
を曲げ加工することにより曲面状の受面5a及び陥没部
5dを容易に形成することが出来る。従って、プレス加
工により大量生産することも出来、少量生産であればヘ
ラ絞り加工等により金属板5を曲げ加工して曲面状の受
面5aを容易に形成することが出来るものである。
【0075】また、金属板5が薄軟鋼板であれば、材料
費が安価で、例えば、1m角、2.3mm厚の薄軟鋼板で
は18kg程度の重量であるので前述の各公知例と比較し
て超軽量化することが出来、起重機械にたよらずに作業
者によって容易に現場に搬入することが出来、施工作業
も容易に出来る。
【0076】下部構造物1から浮いた状態で架設された
金属板5は実質的には1つの高さ調整支持部材となる中
央部のボルト4により全体荷重が支持される。金属板5
が薄板でも曲面状の受面5a部分はその形状から平坦部
よりは大きな曲げ剛性が得られ、中央部のボルト4によ
る支持だけでもその形状を維持した状態で該金属板5の
自重はもとより更に大きな荷重を支えることが出来る。
【0077】従って、アンカーボルト3、ワッシャー
7、ナット6からなる固定部材により固定される金属板
5の周辺部の平坦部が撓むことがなく、該金属板5の高
さレベルや水平レベルに誤差が生じることがない。更に
は、下部構造物1と金属板5間の間隙に充填されたグラ
ウト材12が固化する前に金属板5上にシュー41、上側荷
重受部B、H形鋼15或いはこれに固定される建物の柱等
を載置して取り付ける作業が出来るため、グラウト材12
の固化時間を待たなくても良く、工期を短縮出来る。
【0078】上記構成によれば、下側荷重受部Aを構成
する金属板5の高さレベル調整が高さ調整支持部材とな
るボルト4の一箇所で出来るので作業性が良く、金属板
5の高さレベルや水平レベルの調整作業が容易に且つ確
実に出来る。
【0079】次に図16及び図17に示すように、アンカー
ボルト3の外側で金属板5の4辺に型枠11を配置する。
金属板5の曲面状の受面5aよりも外側にはグラウト材
充填孔及びグラウト材確認孔となる貫通孔5cが形成さ
れており、図18に示すように該貫通孔5cの1つからな
るグラウト材充填孔から無収縮性のグラウト材12を充填
する。
【0080】無収縮性のグラウト材12は下部構造物1と
型枠11と金属板5とにより形成された間隙空間に充填さ
れ、他の3つの貫通孔5cからなるグラウト材確認孔か
ら無収縮性のグラウト材12が溢れ出したことを確認する
ことで下部構造物1と型枠11と金属板5とにより形成さ
れた間隙空間に無収縮性のグラウト材12が満たされたこ
とを確認することが出来る(図19参照)。
【0081】そして、無収縮性のグラウト材12が固化し
た段階で、図20に示すように、型枠11を取り除き、無収
縮性のグラウト材12が固化したグラウト固化層と金属板
5とを一体化することにより下側荷重受部Aが形成され
る。
【0082】また、通常、振子型免震構造の施工では、
その高さレベル調整や水平度調整のために該振子型免震
構造の下に無収縮性のグラウト材を数mmから数十mm程度
の厚さで打設するが、上記構成によれば、金属板5と下
部構造物1との間に無収縮性のグラウト材12を充填して
固化させたグラウト固化層と該金属板5とを一体化して
構成されるため、該無収縮性のグラウト材12がそのまま
下側荷重受部Aの高さレベル調整や水平度調整用を兼ね
ることが出来るので合理的である。
【0083】従って、前述の各公知例のように高価で重
量のある厚ステンレス鋼板や厚軟鋼板を機械加工する必
要がなく、加工作業を省略して加工コストを削減すると
共に材料コストを低減し、重量を低減して施工作業を容
易にすることが出来る。
【0084】下側荷重受部Aの上面を構成する金属板5
の曲面状の受面5a上には荷重伝達体となるシュー41が
該曲面状の受面5aに対して滑動して移動自在に配置さ
れている。シュー41は図10に示すように高さ方向に所定
の寸法を有する柱状部材により構成され、金属板5の曲
面状の受面5aの曲率に対応して平面的には円形で下に
凸の所定の曲率を有する滑動球面部41aと、該滑動球面
部41aと同心上で同じく平面的には円形で上に凸の前記
滑動球面部41aと同一の曲率を有する滑動球面部41bと
を有して構成されている。
【0085】本実施形態では、シュー41を軟鋼材を用い
て切削加工して形成しており、例えば、その外径を10
0mmに設定したものである。シュー41の表面はリン酸マ
ンガン処理(パーカライジング)により錆止めが施さ
れ、更にその表面には二硫化モリブデンを焼き付け等に
より被覆することにより潤滑処理が施されている。
【0086】シュー41は上側荷重受部Bの金属板42の曲
面状の受面42a及び下側荷重受部Aの金属板5の曲面状
の受面5a間を実質的に回転することなく滑動可能に配
置されている。
【0087】尚、建築物等の上部構造物は上記振子型免
震構造を少なくとも4つ以上を介して下部構造物1に支
持されている。そして、夫々の上側荷重受部Bは上部構
造物に固定され、夫々の下側荷重受部Aは下部構造物1
に固定されているためシュー41を介在させた状態で上側
荷重受部B及び上部構造物は下部構造物1及び下側荷重
受部Aに対して常時平行に配置される。
【0088】上記構成によれば、地盤等に設置された下
部構造物1に固定された下側荷重受部Aと建物等の上部
構造部側に設けられたH形鋼15に固定された上側荷重受
部Bとが下側荷重受部Aの金属板5の曲面状の受面5a
と上側荷重受部Bの金属板42の曲面状の受面42aとの間
に滑動自在に設けられたシュー41に当接して配置され、
実質的には上部構造物を下部構造物1から遊離させて地
震力が上部構造物に伝わらないようにする絶縁機能を有
している。
【0089】また、地震により上部構造物が水平変移を
起こした際、上側荷重受部B及びシュー41は曲面状の受
面5a,42aのカーブに沿って夫々上方向にも変移する
ので、重力の作用により下部構造物1と別々に動いて該
下部構造物1と相対的にずれた位置にある上部構造物を
地震が収まった後に地震前と同じ位置に復元させる復元
機能が働く。
【0090】また、下側荷重受部Aの金属板5の曲面状
の受面5a及び上側荷重受部Bの金属板42の曲面状の受
面42a及びシュー41の滑動球面部41a,41bは所定の動
摩擦係数を有しており、該曲面状の受面5a,42aと滑
動球面部41a,41bとの間に作用する動摩擦力により地
震が収まってから上部構造物の往復運動を短時間で収束
させる減衰機能が働く。
【0091】また、同様に下側荷重受部Aの金属板5の
曲面状の受面5a及び上側荷重受部Bの金属板42の曲面
状の受面42a及びシュー41の滑動球面部41a,42bは所
定の静止摩擦係数を有しており、地震がない時の平常状
態において該曲面状の受面5a,42aと滑動球面部41
a,41bとの間に作用する静止摩擦力により住宅建築等
の比較的軽量で風を受け易い上部構造物が風で動かない
ようにする風ロック機能が働く。
【0092】従って、上記振子型免震構造は、一般に免
震構造に必要とされる絶縁機能、復元機能、減衰機能、
風ロック機能の4機能を兼ね備えている。
【0093】尚、シュー41が下側荷重受部Aの金属板5
の曲面状の受面5a上を移動する時、シュー41及びH形
鋼15等の上部構造物は金属板5の曲面状の受面5aに沿
ってその高さ位置が上昇し、金属板5の周辺部を固定す
るアンカーボルト3やナット6等にシュー41やH形鋼15
等の上部構造物が接触しないように設定されている。
尚、金属板5の高さレベル調整時にアンカーボルト3の
上部先端部が必要な長さよりも長く残った場合には必要
に応じてアンカーボルト3を現場にて切断する。
【0094】また、図10に示すようにアンカーボルト3
の上部先端及びナット6が金属板5の陥没部5dの内部
に納まるように設定すれば、金属板5の高さよりも低く
設定することが出来るので、シュー41や上側荷重受部B
と一体的に移動するH形鋼15等の上部構造物がアンカー
ボルト3やナット6に接触することがなくアンカーボル
ト3の上部に近接して上部構造物を配置することも出来
る。
【0095】次に図21(a)〜(c)及び図22、図23を
用いて高さ調整支持部材の他の構成について説明する。
尚、図21(a)〜(c)は高さ調整支持部材の構成を示
す部分拡大図であり、その他の構成及び施工方法は前述
した実施形態と同様に構成される。図21(a)では、下
部構造物1の所定位置に立設された長ナット2と該長ナ
ット2の上部に螺合されるボルト4との間に該ボルト4
に螺合するロックナット21が設けられたものである。
【0096】上述のようにボルト4の高さレベルを調整
する際には、先ず、ロックナット21は予めボルト4の頭
部側の上方に螺合されており、該ボルト4の高さレベル
の調整をした後、ロックナット21をボルト4に螺合しつ
つ下降させ、長ナット2の上面に当接させて締着固定す
ることによってボルト4の高さレベルを調整した状態で
該ボルト4を長ナット2に対して確実に固定することが
出来、これによって作業者が不用意にボルト4に接触等
しても調整したボルト4の高さレベルがずれることがな
いので好ましい。
【0097】図21(b)は高さ調整支持部材として、下
部構造物1の所定位置に立設されたアンカーボルト22と
該アンカーボルト22の上部に螺合されるナット23により
構成されたものである。上記構成では下側荷重受部Aの
金属板5の略中央部下面がナット23の上面に載置され、
ナット23をアンカーボルト22に螺合して高さ位置を調整
することにより金属板5の高さレベル調整がナット23の
ネジ溝の図21(b)の上下方向の長さ分だけ可能であ
り、金属板5の高さレベル調整代が小さくても良い場合
に適用出来る。特にこの場合、長ナット2を使用するこ
となくアンカーボルト22と通常のナット23で構成出来る
ので部品コストが低減出来る。
【0098】図21(c)では、図21(b)のナット23の
下部にアンカーボルト22に螺合するロックナット21を設
けたものである。そして、前述と同様にナット23の高さ
レベルを調整する際には、先ず、ロックナット21はナッ
ト23の下方(下部構造物1に近接する位置)に螺合され
ており、該ナット23の高さレベルの調整をした後、ロッ
クナット21をアンカーボルト22に螺合しつつ上昇させ、
ナット23の下面に当接させて締着固定することによって
ナット23の高さレベルを調整した状態で該ナット23をア
ンカーボルト22に対して確実に固定することが出来、こ
れによって作業者が不用意にナット23に接触等しても調
整したナット23の高さレベルがずれることがないので好
ましい。
【0099】図22に示す高さ調整支持部材は、鉄まんじ
ゅうにボルトやナットによる高さレベル調整部材を設け
た市販のスーパーまんS(商品名)と称する高さ調整支
持部品により構成し、下部構造物1であるコンクリート
が固化する前に施工するように構成したものである。
【0100】上記高さ調整支持部品は内部に所定長さの
空間が形成された埋設容器24と浮き板25とナット26が溶
接等により一体的に構成され、該ナット26にボルト27が
螺合して埋設容器24の内部空間に収納されるように構成
されている。
【0101】そして、下部構造物1であるコンクリート
が固化する前に該コンクリートの内部に埋設容器24を埋
設すると共に該コンクリートの上面に浮き板25を浮かせ
て配置し、コンクリートが完全に固化した後、ボルト27
をナット26に螺合させて前述と同様にボルト27の高さレ
ベルを調整し、該ボルト27の上面に金属板5の略中央部
下面を載置して該金属板5の水平レベルを調整した後、
該金属板5の周辺部を固定部材となるアンカーボルト3
及びナット6、ワッシャー7等により固定する。この
時、1つの高さ調整支持部材を取り囲むアンカーボルト
3は下部構造物1のコンクリート下部に設けられた鉄筋
に結合して立設されている。
【0102】上記構成によれば、まだ固化しないコンク
リート内部に埋設容器24を埋設しつつ浮き板25により該
浮き板25から上部を浮かせて配置した状態でコンクリー
トを固化させて下部構造物1に固定することが出来、前
述のような長ナット2及びアンカーボルト3を下部構造
物1に埋設して立設する場合に該下部構造物1に穴を形
成した後、該穴に長ナット2及びアンカーボルト3を挿
入して立設するような手間が省略出来、施工性が向上す
る。
【0103】図23に示す高さ調整支持部材は、前記図22
に示す浮き板25の上面に当接すると共にナット26の外周
部に係止し得る爪を有するカップ状のキャップ28を着脱
可能に設けたものである。
【0104】先ず、キャップ28をナット26の外周部に嵌
入して浮き板25の上面に当接すると共にナット26の外周
部に係止した状態で浮き板25及び埋設容器24を未固化状
態のコンクリート内部に埋没させ、キャップ28も側面の
途中まで該コンクリート内部に埋没させる。
【0105】図23に示すように浮き板25及び埋設容器24
を図22よりも更にコンクリート内部に沈めても該キャッ
プ28により未固化のコンクリートがキャップ28の内側に
配置されたナット26及びボルト27の部位まで流れ込むこ
とがなく、ボルト27のナット26に対する螺合作業が支障
なく出来る。
【0106】そして、下部構造物1のコンクリートが固
化した段階でキャップ28をナット26の外周部から引き抜
いて除去した後、前述と同様にボルト27の高さレベルを
調整して該ボルト27の上面に金属板5の略中央部下面を
載置して金属板5の水平レベルを調整し、金属板5の周
辺部をアンカーボルト3、ナット6、ワッシャー7等に
より固定する。
【0107】上記構成により浮き板25、埋設容器24及び
ナット26を更にコンクリート内部に沈めることでボルト
27の上面に載置される金属板5の高さレベルを低く設定
することが出来、これによって下部構造物1と金属板5
との間隙に充填されるグラウト材12の量を低減すると共
に上部構造物の高さ位置を低く設定することが出来る。
【0108】上記構成によれば、アンカーボルト3の上
部先端高さ位置及びナット6の固定高さ位置を低く設定
することが出来、アンカーボルト3の上部先端及びナッ
ト6が陥没部5dの内部に納まるように設定することで
金属板5の高さよりも低く設定することが出来るので、
シュー41や上側荷重受部Bと一体的に移動するH形鋼15
等の上部構造物がアンカーボルト3やナット6に接触す
ることがなくアンカーボルト3の上部に近接して上部構
造物を配置することも出来る。
【0109】また、図23では下部構造物1と金属板5の
間隙にグラウト材12を充填する際に使用される型枠11を
アクリル板等の透明型枠により構成しており、これによ
り透明型枠側からグラウト材12の充填状態を目視して確
認することが出来、特に下部構造物1と金属板5の間隙
の断面が狭くなる中央部に充填されるグラウト材12の充
填状態を目視することで狭い中央部へのグラウト材12の
充填確認が確実に出来る。
【0110】図24〜図28は下部構造物1にグラウト材12
を充填するためのグラウト材充填管31を予め埋設してお
き、外部から該グラウト材充填管31を通して下部構造物
1と金属板5との間隙に無収縮性のグラウト材12を充填
するように構成したものである。
【0111】図24に示すように、グラウト材充填管31は
ゴム管や薄肉金属管等を用いて、その一端部の充填口が
下部構造物1と金属板5の間隙の断面が狭くなる中央部
付近に下部構造物1のコンクリート上面から露出して配
置され、他端部が型枠11の外部に下部構造物1のコンク
リート上面から露出して配置されてその中間部が該コン
クリート内部に埋設される。
【0112】そして、前述のように長ナット2の上部に
螺合されたボルト4の高さレベルを調整した後、該ボル
ト4の上面に金属板5の略中央部下面を載置すると共に
該金属板5の水平レベルを調整してアンカーボルト3、
ナット6及びワッシャー7を用いて金属板5の周辺部を
固定した後、型枠11を金属板5の周囲に配置し、図25及
び図26に示すようにグラウト材充填管31の他端部からグ
ラウト材12を供給して該グラウト材充填管31を通して下
部構造物1と金属板5の間隙の断面が狭くなる中央部付
近からグラウト材12を充填する。
【0113】そして、図27に示すように、金属板5に形
成した貫通孔5cからなるグラウト材確認孔によりグラ
ウト材12が溢れ出すのを確認することにより下部構造物
1と金属板5の間隙に隙間なくグラウト材12を確実に充
填することが出来、金属板5とグラウト固化層が強固且
つ確実に一体化された下側荷重受部Aを形成することが
出来る。
【0114】また、グラウト材充填管31の充填口を下部
構造物1と金属板5の間隙の断面が狭くなる中央部に設
定しておくことで狭い中央部へのグラウト材12の充填が
より確実に出来る。
【0115】そして、図28に示すように、グラウト材12
が固化した段階で型枠11を除去すると共に必要に応じて
グラウト材充填管31の他端部を切断除去する。
【0116】尚、他の施工方法としてグラウト材充填管
31により下部構造物1と金属板5の間隙の断面が狭くな
る中央部からグラウト材12を充填すると同時に前述した
ように金属板5の貫通孔5cからなるグラウト材充填孔
からグラウト材12を充填すると共に残りの貫通孔5cか
らなるグラウト材確認孔によりグラウト材12の充填状態
を確認するようにしても良い。
【0117】次に図29〜図32を用いて本発明に係る振子
型免震構造及びその施工方法の第4実施形態について説
明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同
一の符号を付して説明を省略する。
【0118】前記第3実施形態では、図10に示すよう
に、上側荷重受部Bが下側荷重受部Aと略同じ大きさで
構成された場合について説明したが、本実施形態では図
29に示すように、上側荷重受部Bが下側荷重受部Aより
も小さく構成された場合の一例を示す。
【0119】図29〜図31に示すように、上側荷重受部B
の金属板42は側板42bが上方向に絞られた略台形箱型形
状で構成されており、前述と同様に金属板42の上部にグ
ラウト材充填孔或いはグラウト材確認孔となる貫通孔43
a及びネジ孔43bを設けた荷重伝達板43がビス44を金属
板42の側板42bの外側から該荷重伝達板43の側辺部43c
に止め付けることによって固定されている。
【0120】本実施形態の荷重伝達板43においても図30
に示すように、少なくとも上側荷重受部Bと下側荷重受
部Aとの間に許容される水平方向の相対的移動範囲内
で、その垂直投影位置からシュー41が外れない大きさを
有して構成されており、シュー41がH形鋼15の下面から
外れた位置に移動して金属板42とこれに一体的に固化し
たグラウト固化層に上部構造物の荷重に応じた剪断力が
作用してもこの剪断力を荷重伝達板43により受けて上側
荷重受部Bの保全を確保することが出来る。
【0121】他の構成及び施工方法は前記各実施形態と
同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【0122】次に図33を用いて本発明に係る振子型免震
装置の設置方法の第5実施形態について説明する。尚、
前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付
して説明を省略する。
【0123】本実施形態では図10に示す第3実施形態に
おいて、下側荷重受部Aの金属板5の曲面状の受面5a
及び上側荷重受部Bの金属板42の曲面状の受面42aがコ
サインカーブにより形成されており、両曲面状の受面5
a,42aの間には荷重伝達体となるボール36が転動自在
に介在して構成されたものである。
【0124】本実施形態の荷重伝達板43においても、少
なくとも上側荷重受部Bと下側荷重受部Aとの間に許容
される水平方向の相対的移動範囲内で、その垂直投影位
置からボール36が外れない大きさを有して構成されてお
り、ボール36がH形鋼15の下面から外れた位置に移動し
て金属板42とこれに一体的に固化したグラウト固化層に
上部構造物の荷重に応じた剪断力が作用してもこの剪断
力を荷重伝達板43により受けて上側荷重受部Bの保全を
確保することが出来る。
【0125】他の構成及び施工方法は前記各実施形態と
同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【0126】また、金属板5,42の曲面状の受面5a,
42aは前述した球面や円錐面或いはコサインカーブの他
にも種々の曲面で構成することが出来る。
【0127】
【発明の効果】本発明は、上述の如き構成と作用とを有
するので、上側荷重受部が荷重伝達板を介して上部構造
物に固定され、該荷重伝達板は上側荷重受部と下側荷重
受部の間に許容される水平方向の相対移動範囲内ではそ
の垂直投影位置から荷重伝達体が外れない大きさを有す
るので該荷重伝達板により上部構造物の荷重に応じた剪
断力に耐え得る剛性と強度が得られ、上側荷重受部の上
部全面が上部構造物に密着して固定出来ない場合であっ
ても該上側荷重受部の保全を確保することが出来る。
【0128】また、前記下側荷重受部の受面が前記上側
荷重受部の受面より小さい曲率半径を有し、前記荷重伝
達体が前記上側荷重受部の受面と下側荷重受部の受面に
夫々整合する曲率半径の上面と下面を有し、前記荷重伝
達体が前記下側荷重受部と一体的に移動して前記上側荷
重受部の受面上を滑動可能とされる場合や、前記上側荷
重受部の受面と下側荷重受部の受面が同一曲率半径を有
し、該両受面間に介在される荷重伝達体が該両受面間を
実質的に回転することなく滑動可能とされる場合の振子
型免震構造に好適である。
【0129】また、前記下側荷重受部が、前記曲面状の
受面を形成する金属板と前記下側構造物の間に無収縮性
のグラウト材を充填固化することにより形成される場合
には下側荷重受部を軽量で取り扱い易い金属板と、該金
属板と下部構造物との間隙に無収縮性のグラウト材を充
填固化させることによって該金属板と一体化されたグラ
ウト固化層により形成したことで施工性が良い。
【0130】また、本発明に係る振子型免震構造の施工
方法によれば、上部に荷重伝達板を連結した箱体内に無
収縮性のグラウト材を充填固化させたことで荷重伝達板
と上側荷重受部が一体的に固定され、該箱体がグラウト
材を充填する際の型枠を兼ねるので施工性に優れてい
る。
【0131】また、前記荷重伝達板若しくは前記上側荷
重受部における曲面状の受面を形成する金属板にグラウ
ト材充填孔及びグラウト材確認孔が設けられ、該グラウ
ト材充填孔からグラウト材を充填し、その充填状態をグ
ラウト材確認孔により確認する場合には、荷重伝達板若
しくは上側荷重受部の金属板の上部側から箱体内に無収
縮性のグラウト材を流し込むことにより容易に充填する
ことが出来、更にはグラウト材確認孔からグラウト材が
溢れ出すことを目視確認することで箱体内及び荷重伝達
板との接触面に隙間なく確実にグラウト材を充填するこ
とが出来、荷重伝達板と金属板とグラウト固化層が強固
且つ確実に一体化された上側荷重受部を形成することが
出来る。
【0132】また、本発明に係る振子型免震構造の他の
施工方法によれば、下部構造物に立設された1つの高さ
調整支持部材に金属板の略中央部下面を支持させた状態
で該金属板の高さレベル及び水平レベルを調整した後、
該金属板の周辺部を1つの高さ調整支持部材を取り囲み
下部構造物に立設された複数の固定部材に固定すること
で下側荷重受部を構成する金属板の高さレベルや水平レ
ベルの調整作業が容易に且つ確実に出来る。特に金属板
の高さレベル調整が高さ調整支持部材の一箇所で出来る
ので作業性が良い。
【0133】また、金属板の略中央部下面を高さ調整支
持部材により支持することにより、該金属板の荷重を高
さ調整支持部材が受けるため、固定部材により固定され
る該金属板の周辺部の平坦部が撓むことがなく、金属板
の高さレベルや水平レベルに誤差が生じることがない。
【0134】更には、下部構造物と金属板間の間隙に充
填されたグラウト材が固化する前に金属板上に荷重伝達
体や上側荷重受部、更には上部構造物等を載置して作業
が出来るため、グラウト材の固化時間を待たなくても良
く、工期を短縮出来る。
【0135】また、下側荷重受部を軽量で取り扱い易い
金属板と、該金属板と下部構造物との間隙に無収縮性の
グラウト材を充填固化させることによって該金属板と一
体化されたグラウト固化層により形成したことで施工性
が良い。
【0136】また、前記下部構造物にグラウト材充填管
を予め埋設しておき、外部から該グラウト材充填管を通
して前記下部構造物と前記金属板の間隙に無収縮性のグ
ラウト材を充填する場合には、グラウト材充填管の充填
口を下部構造物と金属板の間隙の断面が狭くなる中央部
に設定しておくことで狭い中央部へのグラウト材の充填
が確実に出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る振子型免震構造の第1実施形態の
構成を示す断面説明図である。
【図2】第1実施形態の上側荷重受部の構成を示す平面
図である。
【図3】第1実施形態の上側荷重受部の施工方法を示す
断面説明図である。
【図4】第1実施形態の上側荷重受部の施工方法を示す
断面説明図である。
【図5】第1実施形態の上側荷重受部の施工方法を示す
断面説明図である。
【図6】第1実施形態の上側荷重受部の施工方法を示す
断面説明図である。
【図7】第1実施形態の上側荷重受部の施工方法を示す
断面説明図である。
【図8】上側荷重受部の他の構成を示す断面説明図であ
る。
【図9】本発明に係る振子型免震構造の第2実施形態の
構成を示す断面説明図である。
【図10】本発明に係る振子型免震構造の第3実施形態の
構成を示す断面説明図である。
【図11】第3実施形態の上側荷重受部の構成を示す平面
図である。
【図12】第3実施形態の下側荷重受部の構成を示す平面
図である。
【図13】第3実施形態の下側荷重受部の施工方法を示す
断面説明図である。
【図14】第3実施形態の下側荷重受部の施工方法を示す
断面説明図である。
【図15】第3実施形態の下側荷重受部の施工方法を示す
断面説明図である。
【図16】第3実施形態の下側荷重受部の施工方法を示す
断面説明図である。
【図17】第3実施形態の下側荷重受部の施工方法を示す
断面説明図である。
【図18】第3実施形態の下側荷重受部の施工方法を示す
断面説明図である。
【図19】第3実施形態の下側荷重受部の施工方法を示す
断面説明図である。
【図20】第3実施形態の下側荷重受部の施工方法を示す
断面説明図である。
【図21】(a)〜(c)は高さ調整支持部材の他の構成
を示す図である。
【図22】高さ調整支持部材の他の構成を示す図である。
【図23】高さ調整支持部材の他の構成を示す図である。
【図24】第3実施形態の下部構造物に埋設したグラウト
材充填管を通して該下部構造物と金属板との間隙にグラ
ウト材を充填した場合の下側荷重受部の施工方法を示す
断面説明図である。
【図25】第3実施形態の下部構造物に埋設したグラウト
材充填管を通して該下部構造物と金属板との間隙にグラ
ウト材を充填した場合の下側荷重受部の施工方法を示す
断面説明図である。
【図26】第3実施形態の下部構造物に埋設したグラウト
材充填管を通して該下部構造物と金属板との間隙にグラ
ウト材を充填した場合の下側荷重受部の施工方法を示す
断面説明図である。
【図27】第3実施形態の下部構造物に埋設したグラウト
材充填管を通して該下部構造物と金属板との間隙にグラ
ウト材を充填した場合の下側荷重受部の施工方法を示す
断面説明図である。
【図28】第3実施形態の下部構造物に埋設したグラウト
材充填管を通して該下部構造物と金属板との間隙にグラ
ウト材を充填した場合の下側荷重受部の施工方法を示す
断面説明図である。
【図29】本発明に係る振子型免震構造の第4実施形態の
構成を示す断面説明図である。
【図30】第4実施形態において荷重伝達体が上側及び下
側荷重受部の受面上を滑動した様子を示す断面説明図で
ある。
【図31】第4実施形態の上側荷重受部の構成を示す平面
図である。
【図32】第4実施形態の下側荷重受部の構成を示す平面
図である。
【図33】本発明に係る振子型免震構造の第5実施形態の
構成を示す断面説明図である。
【図34】第1公知例を説明する図である。
【図35】第2公知例を説明する図である。
【図36】第3公知例を説明する図である。
【図37】第4公知例を説明する図である。
【符号の説明】
A…下側荷重受部 B…上側荷重受部 1…下部構造物 2…長ナット 3…アンカーボルト 4…ボルト 5…金属板 5a…曲面状の受面 5b…アンカーボルト挿通孔 5c…貫通孔 5d…陥没部 6…ナット 7…ワッシャー 8…スケール 9…レベル測量機械 10…水準器 11…型枠 12…無収縮性のグラウト材 13…シュー 13a,13b…滑動球面部 14…シューホルダ 14a…鍔部 14b…曲面状の受面 14c…貫通孔 15…H形鋼 15a…下フランジ 15b…貫通孔 16…ボルト 17…アンカーボルト 18…ワッシャー 19…ナット 21…ロックナット 22…アンカーボルト 23…ナット 24…埋設容器 25…浮き板 26…ナット 27…ボルト 28…キャップ 31…グラウト材充填管 35…ホルダ 35a…鍔部 35b…貫通孔 36…ボール 41…シュー 41a,41b…滑動球面部 42…金属板 42a…曲面状の受面 42b…側板 42c…段部 42d…貫通孔 43…荷重伝達板 43a…貫通孔 43b…ネジ孔 43c…側辺部 44…ビス 45…ウエス 46…板 47…ガムテープ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 曲面状の受面を有し、且つ上部構造物に
    固定される上側荷重受部と、曲面状の受面を有し、且つ
    下部構造物に固定される下側荷重受部と、前記上側荷重
    受部及び下側荷重受部の両受面間に介在される荷重伝達
    体を有する振子型免震構造において、 前記上側荷重受部は、荷重伝達板を介して前記上部構造
    物に固定されると共に、曲面状の受面を形成する金属板
    と前記荷重伝達板の間に無収縮性のグラウト材を充填固
    化することにより形成され、 前記荷重伝達板は、前記上側荷重受部と下側荷重受部の
    間に許容される水平方向の相対移動範囲内ではその垂直
    投影位置から前記荷重伝達体が外れない大きさとされる
    ことを特徴とする振子型免震構造。
  2. 【請求項2】 前記下側荷重受部の受面が前記上側荷重
    受部の受面より小さい曲率半径を有し、前記荷重伝達体
    が前記上側荷重受部の受面と下側荷重受部の受面に夫々
    整合する曲率半径の上面と下面を有し、前記荷重伝達体
    が前記下側荷重受部と一体的に移動して前記上側荷重受
    部の受面上を滑動可能とされる請求項1に記載の振子型
    免震構造。
  3. 【請求項3】 前記上側荷重受部の受面と下側荷重受部
    の受面が同一曲率半径を有し、該両受面間に介在される
    荷重伝達体が該両受面間を実質的に回転することなく滑
    動可能とされる請求項1に記載の振子型免震構造。
  4. 【請求項4】 前記下側荷重受部が、前記曲面状の受面
    を形成する金属板と前記下側構造物の間に無収縮性のグ
    ラウト材を充填固化することにより形成される請求項1
    〜3のいずれか1項に記載の振子型免震構造。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の振
    子型免震構造の施工方法において、 前記上側荷重受部における曲面状の受面を形成する金属
    板とその周辺部から上方に延長した側板により形成され
    る箱体を用意し、該箱体の上部に前記荷重伝達板を連結
    し、その荷重伝達板を前記上側構造物に固定すると共
    に、前記箱体内に無収縮性のグラウト材を充填固化する
    ことを特徴とする振子型免震構造の施工方法。
  6. 【請求項6】 前記荷重伝達板若しくは前記上側荷重受
    部における曲面状の受面を形成する金属板にグラウト材
    充填孔及びグラウト材確認孔が設けられ、該グラウト材
    充填孔からグラウト材を充填し、その充填状態をグラウ
    ト材確認孔により確認することを特徴とする請求項5に
    記載の振子型免震構造の施工方法。
  7. 【請求項7】 請求項4に記載の振子型免震構造の施工
    方法において、 1つの高さ調整支持部材とそれを取り囲む複数の固定部
    材を前記下側構造物に立設すると共に、前記下側荷重受
    部の曲面状の受面を形成する金属板を用意し、該金属板
    の略中央部下面を前記高さ調整支持部材に支持させてそ
    の高さレベルを調整し、更にその水平レベルを調整した
    状態で前記複数の固定部材により該金属板の周辺部を固
    定し、前記下部構造物と前記金属板間の間隙に無収縮性
    のグラウト材を充填固化させることによって下側荷重受
    部を形成することを特徴とする振子型免震構造の施工方
    法。
  8. 【請求項8】 前記下部構造物にグラウト材充填管を予
    め埋設しておき、外部から該グラウト材充填管を通して
    前記下部構造物と前記金属板の間隙に無収縮性のグラウ
    ト材を充填することを特徴とする請求項4に記載の振子
    型免震構造の施工方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012241351A (ja) * 2011-05-17 2012-12-10 Nippon Steel Corp 免震構造、及びその施工方法
US8371075B2 (en) 2005-12-16 2013-02-12 Maurer Sohne Engineering Gmbh & Co. Kg Sliding pendulum bearing

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8371075B2 (en) 2005-12-16 2013-02-12 Maurer Sohne Engineering Gmbh & Co. Kg Sliding pendulum bearing
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