JP2000026677A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 α−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体
系アイオノマー樹脂を構成成分とする樹脂組成物であっ
て、十分な柔軟性を有すると共に、ウエルド部分におけ
る強度が十分な成形体を与える組成物を提供する。 【解決手段】 (1)α−オレフィン−不飽和カルボン
酸共重合体系アイオノマー樹脂、(2)芳香族ビニル化
合物からなる重合体ブロックXと共役ジエン化合物から
なる重合体ブロックYを有するブロック共重合体および
/またはその水素添加物、および(3)芳香族ビニル化
合物およびオレフィン化合物から選ばれる少なくとも1
種の化合物からなる重合体ブロック(A)、並びに(メ
タ)アクリル化合物およびビニルエステル化合物から選
ばれる少なくとも1種の化合物からなる重合体ブロック
(B)を有するブロック共重合体から構成される熱可塑
性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、α−オレフィン−
不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂を構成成
分の一つとする熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、α−オレフィン−不飽和カルボン
酸共重合体系アイオノマー樹脂は、その優れた靱性、力
学的強度、耐摩耗性、耐油性等を活かして各種包装材
料、自動車部品、ゴルフボール、スキー靴などに利用さ
れている。
【0003】α−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合
体系アイオノマー樹脂の利用分野を広げること、また、
同樹脂が従来使用されていた分野においてより高品質な
製品を得ることなどを目的として同樹脂の改質を行う試
みがなされている。例えば、特開昭49−11943号
公報には、芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロ
ック共重合体の水添物を配合してなる樹脂組成物が記載
されており、また、米国特許第4,986,545号明
細書には、無水マレイン酸等によって変性された熱可塑
性エラストマーを配合してなる樹脂組成物が記載されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に各種成形法、中
でも射出成形法で成形体を得る場合、ウエルド、すなわ
ち、樹脂同士の金型内での溶融接合部が生じやすく、こ
のウエルド部分の強度が弱いという問題点が知られてい
る。上記した2種の樹脂組成物は、α−オレフィン−不
飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂単独の場合
に比べ、反発弾性が維持または改良されるとともに、柔
軟性が改良された成形体を与える。しかしながら、上記
した2種の樹脂組成物では、得られる成形体にウエルド
が生じた場合、該ウエルド部分における強度が、α−オ
レフィン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹
脂単独の場合に比べて低下してしまい、十分満足できる
ものではない。本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み
てなされたものであって、柔軟性に優れ、しかもウエル
ド部分における強度が良好であって、靱性、耐摩耗性、
耐油性等にも優れた成形体を与えるα−オレフィン−不
飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂組成物を新
たに提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば上記の課
題は、(1)α−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合
体系アイオノマー樹脂、(2)芳香族ビニル化合物から
なる重合体ブロックXと共役ジエン化合物からなる重合
体ブロックYを有するブロック共重合体および/または
その水素添加物(以下、これをスチレン系ブロック共重
合体と略称することがある)、および(3)芳香族ビニ
ル化合物およびオレフィン化合物から選ばれる少なくと
も1種の化合物からなる重合体ブロック(A)、並びに
(メタ)アクリル化合物およびビニルエステル化合物か
ら選ばれる少なくとも1種の化合物からなる重合体ブロ
ック(B)を有するブロック共重合体から構成される熱
可塑性樹脂組成物を提供することによって解決される。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明の熱可塑性樹脂組成物の構成成分の一つで
あるα−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体系アイ
オノマー樹脂(1)とは、エチレン、プロピレン等のα
−オレフィンと、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン
酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸とからなる共重合
体、またはα−オレフィン、不飽和カルボン酸およびそ
のエステルからなる共重合体のカルボキシル基の少なく
とも1部がナトリウム、カリウム、リチウム、銅、マグ
ネシウム、亜鉛、アルミニウム等の金属陽イオンとの塩
を形成している樹脂のことを意味する。
【0007】本発明にあっては、かかるα−オレフィン
−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂として
公知のものを特に制限なく用いることができ、例えば、
デュポン社製の「サーリン(SURLYN)」(商品
名)、三井・デュポンポリケミカル(株)製の「ハイミ
ラン(HIMILAN)」(商品名)、エクソン社製の
「イオテック(IOTEK)」(商品名)など市販のも
のが好適に使用される。α−オレフィン−不飽和カルボ
ン酸共重合体系アイオノマー樹脂(1)は1種類のもの
を使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0008】本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成するス
チレン系ブロック共重合体(2)は、芳香族ビニル化合
物からなる重合体ブロックXと共役ジエン化合物からな
る重合体ブロックYを有するブロック共重合体および/
またはその水素添加物であり、重合体ブロックXをX、
重合体ブロックYをYと表すと、例えば(X−Y)n−
X(nは1〜10の整数を表す)、(X−Y)m −W
(Wはカップリング剤から誘導されるm価の残基を表
し、mは2〜15の整数を表す)等の構造を有する芳香
族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体ま
たはその水素添加物などが挙げられる。スチレン系ブロ
ック共重合体(2)は1種類のものを使用してもよい
し、2種類以上を併用してもよい。スチレン系ブロック
共重合体(2)においては、芳香族ビニル化合物の含有
率が5〜75重量%であることが好ましく、10〜65
重量%であることがより好ましい。
【0009】重合体ブロックXを構成する芳香族ビニル
化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、o−メチルスチレン,m−メチルスチレンまたはp
−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ビニル
ナフタレン、ビニルアントラセンなどが挙げられる。こ
れらの中でも、スチレンまたはα−メチルスチレンが好
ましい。芳香族ビニル化合物は、1種類のものを使用し
てもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、重合
体ブロックYを構成する共役ジエン化合物としては、例
えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメ
チル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、
1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。これらの中で
も、イソプレン、1,3−ブタジエンまたはこれらの混
合物が好ましい。共役ジエン化合物は、1種類のものを
使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0010】スチレン系ブロック共重合体(2)におけ
る重合体ブロックYの構造は特に限定されず、また、
1,2−結合や3,4−結合の含有量についても特に制
限はない。スチレン系ブロック共重合体(2)の分子量
は特に限定されないが、好ましくは30,000〜1,
000,000であり、より好ましくは40,000〜
300,000である。また、スチレン系ブロック共重
合体(2)における重合体ブロックXと重合体ブロック
Yの結合様式は、線状、分岐状あるいはこれらの任意の
組み合わせであってもよい。
【0011】さらに、スチレン系ブロック共重合体
(2)は、本発明の趣旨を損なわない限り、分子鎖中
に、または分子末端に、カルボキシル基、水酸基、酸無
水物基、アミノ基、エポキシ基などの官能基を有してい
てもよい。
【0012】スチレン系ブロック共重合体(2)は、例
えば、次のような公知のアニオン重合法によって製造す
ることができる。すなわち、アルキルリチウム化合物等
を開始剤としてn−ヘキサン、シクロヘキサン等の不活
性有機溶媒中で、芳香族ビニル化合物、共役ジエン化合
物を逐次重合させることによってブロック共重合体を製
造することができる。そして必要に応じてこのブロック
共重合体を、公知の方法に従って不活性有機溶媒中で水
素添加触媒の存在下に水素添加することによって水素添
加物を得ることができる。この際、耐熱性、耐候性の観
点から、水添前のブロック共重合体における共役ジエン
化合物に由来する炭素−炭素二重結合の70%以上を水
素添加することが好ましい。スチレン系ブロック共重合
体(2)における重合体ブロックY中の炭素−炭素二重
結合の含有量は、ヨウ素価測定、赤外分光光度計、核磁
気共鳴法等により測定することができる。なお、上記重
合反応に際し、テトラヒドロフラン、テトラメチルエチ
レンジアミン(TMEDA)、ジクロロメタンなどのル
イス塩基をビニル化剤として共存させてもよい。
【0013】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物の残り
の構成成分であるブロック共重合体(3)は、上記のよ
うに、芳香族ビニル化合物およびオレフィン化合物から
選ばれる少なくとも1種の化合物からなる重合体ブロッ
ク(A)、並びに(メタ)アクリル化合物およびビニル
エステル化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物か
らなる重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体
である。ブロック共重合体(3)の分子構造は特に制限
されるものではなく、重合体ブロック(A)をA、重合
体ブロック(B)をBと表すと、A−B型ジブロック共
重合体、A−B−AまたはB−A−B型のトリブロック
共重合体などのいずれの形態であってもよい。
【0014】ブロック共重合体(3)における重合体ブ
ロック(A)は、芳香族ビニル化合物単独で構成されて
いてもよいし、オレフィン化合物単独で構成されていて
もよいし、芳香族ビニル化合物およびオレフィン化合物
の両方から構成されていてもよいし、また、芳香族ビニ
ル化合物およびオレフィン化合物の少なくとも一方と他
の少量の共重合性単量体から構成されていてもよい。重
合体ブロック(A)が、芳香族ビニル化合物およびオレ
フィン化合物のうちの2種類以上の単量体から構成され
ている場合は、それらの結合形態はランダム、テーパ
ー、一部ブロック状、またはそれらの2種以上の組み合
わせ、のいずれであってもよい。
【0015】重合体ブロック(A)を構成し得る芳香族
ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチル
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、
p−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、2,4−
ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2,4,
6−トリメチルスチレン、モノフルオロスチレン、ジフ
ルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレ
ン、メトキシスチレン、1,3−ビニルナフタレン、ビ
ニルアントラセン、インデン、アセトナフチレンなどが
挙げられる。芳香族ビニル化合物は、1種類のものを使
用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0016】また、重合体ブロック(A)を構成し得る
オレフィン化合物としては、炭素数2〜10のオレフィ
ン類や、ジエン系炭化水素化合物を挙げることができ、
具体的には、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレ
ン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、ブタジエン、イソ
プレンなどが挙げられる。重合体ブロック(A)がブタ
ジエンやイソプレンなどのジエン系炭化水素からなる構
造単位を有する場合は、水素添加などの手段により炭素
−炭素二重結合を飽和の炭素−炭素結合に変換しておく
ことが好ましい。水素添加は、例えば、n−ヘキサン、
シクロヘキサン等の不活性有機溶媒中で水素添加触媒の
存在下に水素と接触させる方法などの公知の方法に従っ
て実施することができる。
【0017】上記したうちでも、重合体ブロック(A)
が、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リイソブチレン、ポリブテン、ポリイソプレン、ポリブ
タジエン、それらの水素添加物などの重合体の1種また
は2種以上からなる重合体ブロックであることが、ブロ
ック共重合体(3)とα−オレフィン−不飽和カルボン
酸共重合体系アイオノマー樹脂(1)やスチレン系ブロ
ック共重合体(2)との親和性をより良好なものとし、
靱性に優れた成形体を与える熱可塑性樹脂組成物が得ら
れる点から好ましい。
【0018】また、ブロック共重合体(3)における重
合体ブロック(B)は、(メタ)アクリル化合物および
ビニルエステル化合物から選ばれる少なくとも1種の化
合物からなる重合体ブロックである。重合体ブロック
(B)は、(メタ)アクリル化合物とビニルエステル化
合物の共重合体ブロックであってもよい。
【0019】重合体ブロック(B)を構成する(メタ)
アクリル化合物としては、(メタ)アクリル酸、(メ
タ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、
(メタ)アクリロニトリルおよびそれらの誘導体を挙げ
ることができ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピ
ル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−ヒドロキシエ
チル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル
酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピ
ル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキ
シル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−ヒドロ
キシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、グ
リシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ア
クリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチル
アミノエチルまたはそれらの4級アンモニウム塩(例え
ば塩酸塩やp−トルエンスルホン酸塩など)、アクリル
アミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルア
ミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどを挙
げることができるが、これらの中でもメタクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリロニトリルが好ましい。
(メタ)アクリル化合物は、1種類のものを使用しても
よいし、2種以上を併用してもよい
【0020】また、重合体ブロック(B)を構成するビ
ニルエステル化合物としては、例えば、ギ酸ビニル、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、酪
酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、安息
香酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニルなどが挙げられる
が、これらの中でも酢酸ビニルが好ましい。ビニルエス
テル化合物は、1種類のものを使用してもよいし、2種
以上を併用してもよい。
【0021】重合体ブロック(B)は、(メタ)アクリ
ル化合物またはビニルエステル化合物の他に他の重合性
単量体に由来する構造単位を含有していてもよい。その
場合の他の重合性単量体としては、例えば、スチレン、
α−メチルスチレン、p−スチレンスルホン酸またはそ
のナトリウム塩やカリウム塩等の芳香族ビニル化合物;
クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、マレイン酸等のカ
ルボキシル基含有不飽和単量体;イタコン酸グリシジル
エステル、アリルグリジシルエーテル、2−メチルアリ
ルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエー
テル、3,4−エポキシブテン、3,4−エポキシ−3
−メチル−1−ブテン、3,4−エポキシ−3−メチル
−1−ペンテン、5,6−エポキシ−1−ヘキセン、ビ
ニルシクロヘキセンモノオキシド、p−グリシジルスチ
レン等のエポキシ基含有不飽和単量体;無水マレイン
酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、ブテニル無水
コハク酸、テトラヒドロ無水フタール酸等の酸無水物基
を有する不飽和単量体などを挙げることができる。重合
体ブロック(B)中の上記した他の重合性単量体の含有
量は、重合体ブロック(B)の全構造単位中、通常50
モル%以下であり、好ましくは30モル%以下、より好
ましくは20モル%以下である。
【0022】重合体ブロック(B)は、ブロック共重合
体(3)とα−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体
系アイオノマー樹脂(1)との親和性をより優れたもの
にするという観点から、水酸基、カルボキシル基、エポ
キシ基、アミノ基または酸無水物基といった極性の官能
基を有するものであることが好ましい。重合体ブロック
(B)に上記のような極性の官能基をもたせる方法とし
ては、 重合体ブロック(B)を構成する(メタ)アクリル化
合物またはビニルエステル化合物として、水酸基、カル
ボキシル基、エポキシ基、アミノ基などを有する化合物
を使用する方法、(メタ)アクリル化合物またはビニ
ルエステル化合物とは異なる化合物であって、水酸基、
カルボキシル基、エポキシ基、酸無水物基などを有する
重合性単量体を共重合させる方法、あるいはビニルエ
ステル化合物を使用して重合体ブロック(B)を形成
し、次いで酸またはアルカリで処理することによって、
ビニルエステル化合物に由来するエステル部分を水酸基
に変換する方法などが挙げられる。重合体ブロック
(B)において、上記のような極性の官能基を有する構
造単位の含有量は、重合体ブロック(B)の全構造単位
中、通常、0.1モル%以上であり、好ましくは1〜5
0モル%、より好ましくは2〜30モル%である。
【0023】ブロック共重合体(3)においては、重合
体ブロック(A)の数平均分子量は300〜100,0
00の範囲内であることが好ましく、2,500〜5
0,000の範囲内であることがより好ましい。また、
重合体ブロック(B)の数平均分子量は1,000〜1
00,000であることが好ましく、2,000〜5
0,000であることが好ましい。また、ブロック共重
合体(3)の全体の数平均分子量は、1,000〜20
0,000であることが好ましく、5,000〜10
0,000であることがより好ましい。なお、本明細書
でいう数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー(GPC)法により求めたポリスチレン換
算の分子量である。上記した範囲内の数平均分子量を有
するブロック共重合体(3)を用いると、α−オレフィ
ン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂
(1)やスチレン系ブロック共重合体(2)との親和性
が優れていて、力学的特性、溶融接着性などに優れる熱
可塑性樹脂組成物を得ることができる。
【0024】ブロック共重合体(3)の製法は特に制限
されないが、例えば、次のようにして製造することがで
きる。すなわち、重合体ブロック(A)〔または重合体
ブロック(B)〕を構成する単量体成分を、チオ−S−
カルボン酸、2−アセチルチオエチルエーテル、10−
アセチルチオデカンチオールなどのような分子内にチオ
エステル基とメルカプト基を有する化合物の存在下にラ
ジカル重合し、それにより得られる重合体を水酸化ナト
リウム、アンモニアなどのアルカリ、または塩酸、硫酸
などの酸で処理することによって片末端にメルカプト基
を有する重合体とし、その重合体の存在下に、重合体ブ
ロック(B)〔または重合体ブロック(A)〕を構成す
る単量体成分をラジカル重合することによってブロック
共重合体(3)を得ることができる。また、末端に二重
結合を有するポリオレフィン系樹脂にチオ−S−酢酸、
チオ−S−安息香酸、チオ−S−プロピオン酸、チオ−
S−酪酸、チオ−S−吉草酸などを付加させた後、酸ま
たはアルカリで処理する方法、アニオン重合によってポ
リオレフィンを製造する際に、エチレンスルフィドなど
を重合停止剤として使用する方法などの方法によって末
端にメルカプト基を有する重合体ブロック(A)を形成
し、該重合体ブロック(A)の存在下に重合体ブロック
(B)を形成する単量体成分をラジカル重合することに
よってもブロック共重合体(3)を得ることができる。
これらの方法は、目的とする数平均分子量および分子量
分布を有するブロック共重合体(3)を簡単に且つ効率
的に製造することができるので好ましい方法である。
【0025】本発明の熱可塑性樹脂組成物におけるα−
オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー
樹脂(1)、スチレン系ブロック共重合体(2)とブロ
ック共重合体(3)の配合割合は、組成物の用途に応じ
て適宜変更可能であるが、通常、α−オレフィン−不飽
和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂(1)/スチ
レン系ブロック共重合体(2)=98/2〜2/98
(重量比)の範囲内であり、好ましくはα−オレフィン
−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂(1)
/スチレン系ブロック共重合体(2)=95/5〜5/
95(重量比)であり、より好ましくはα−オレフィン
−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂(1)
/スチレン系ブロック共重合体(2)=90/10〜1
0/90(重量比)である。そしてブロック共重合体
(3)の使用量は、α−オレフィン−不飽和カルボン酸
共重合体系アイオノマー樹脂(1)とスチレン系ブロッ
ク共重合体(2)の合計量100重量部当り、通常1〜
50重量部、好ましくは5〜30重量部である。
【0026】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、その特性
を損なわない範囲内において、スチレン系樹脂、ポリオ
レフィン系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリフェ
ニレンエーテル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ
酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の重合
体;低分子量ポリエチレン、ポリエチレングリコール、
プロセスオイル等の可塑剤などを含有していてもよい。
さらに、コストの低減を目的として、無機充填剤を添加
することもできる。かかる無機充填剤の具体例として
は、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、酸化チタン、
マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸
化アルミニウムなどが挙げられる。
【0027】さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物に
は、その改質を目的として、ガラス繊維、カーボン繊
維、熱老化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、離型剤、難
燃剤、発泡剤、顔料、染料、増白剤などを添加すること
ができる。
【0028】本発明の熱可塑性樹脂組成物の調製法は特
に限定されず、α−オレフィン−不飽和カルボン酸共重
合体系アイオノマー樹脂(1)、スチレン系ブロック共
重合体(2)、ブロック共重合体(3)および必要に応
じて用いられる他の成分を均一に混合し得る方法であれ
ばいずれでもよいが、通常、溶融混練法が用いられる。
溶融混練は、例えば、単軸押出機、二軸押出機、ニーダ
ー、バンバリーミキサー、ロールなどを用いて行うこと
ができ、通常約170〜270℃の温度で約1〜30分
間程度混練することにより、本発明の熱可塑性樹脂組成
物を得ることができる。
【0029】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、単独で用
いて各種の成形体を製造することができ、その場合には
弾力性、柔軟性、力学的特性に優れた成形体を得ること
ができる。その際の成形方法としては、熱可塑性重合体
に対して一般に用いられている各種の成形方法を使用す
ることができ、例えば、射出成形、押出成形、プレス成
形、ブロー成形、カレンダー成形、流延成形などの任意
の成形法によって、本発明の熱可塑性樹脂組成物をフィ
ルム状、板状、管状などの種々の形状に成形することが
できる。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成
形による二色成形、共押出、押出コーティングなどの方
法により、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレ
フィン系樹脂;ポリスチレン、ハイインパクトポリスチ
レン、ABS等のスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステ
ル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン612
等のポリアミド系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹
脂;ポリウレタン系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ア
クリル系樹脂;ポリアセタール系樹脂;スチレン系エラ
ストマーやオレフィン系エラストマー等の熱可塑性エラ
ストマー;ポリ塩化ビニリデン、エチレン−ビニルアル
コール共重合体などの高分子材料;さらにはガラス、ア
ルミニウムなどの無機および金属材料などからなる部材
と複合化した、複合成形体とすることもできる。
【0030】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、例えば、
食品包装、スキン包装等の包装用フィルム;野球ボール
の中芯、ゴルフボールカバー材、スキー靴、スポーツシ
ューズ等のスポーツ用品;工具、各種グリップ、各種ボ
トルのキャップ等の雑貨・日用品;靴、靴底、靴のヒー
ルカウンター等の履き物;事務機器部品、建築材、スキ
ー板、カバン等の表皮材に用いられるシート;内装材の
表皮材、ウインドシールド、ボディサイドモール、バン
パーガード、インパクトディストリビューター等の自動
車内外装部品;ペースト状物の包装用チューブ、工業用
チユーブ等のチューブ;各種フィルムやシート等の積層
品の接着剤、接着層としての接着材;緩衝材、化粧品用
瓶のパッキン、建材の断熱材、ルーフィング材、スポー
ツ用各種プロテクタに用いられる発泡体などの各種の分
野で使用できる。
【0031】
【実施例】以下に実施例および比較例により本発明を具
体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定される
ものではない。なお、以下の実施例および比較例におい
て、得られた樹脂組成物の各種物性の測定は以下に示す
方法で行った。
【0032】(曲げ強度)射出成形機にて作製した試験
片(サイズ110mm×10mm×4mm)を用いて、
JIS K7203に準じて、三点曲げ法にて曲げ弾性
率を測定した。 (引っ張り強度)射出成形機にて作製した試験片(JI
S−3号に従うダンベル型:厚さ2mm)を用いて、J
IS K7113に準じてインストロン型引っ張り試験
機を用い、引っ張り強度(破断強度および破断伸度)を
測定した。
【0033】参考例1(スチレン系ブロック共重合体の
製造) 攪拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサン50kg、充
分に脱水したスチレン1750gおよびsec−ブチル
リチウムのシクロヘキサン溶液(濃度:10重量%)1
75gを加え、60℃で60分間重合し、次いでイソプ
レン6500gを加えて60分間、さらにスチレンを1
750g加えて60分間重合し、最後にメタノールを加
えて重合を停止し、スチレン−イソプレン−スチレン型
のブロック共重合体を得た。さらに、このブロック共重
合体をチーグラー系触媒を用い、水素雰囲気下で水素添
加反応を行い、水添ブロック共重合体(以下、これをS
EPSと略記する)を得た。得られたSEPSの数平均
分子量は53,000であり(GPC測定による)、ま
た、スチレン含有量は35重量%、水素添加率は98.
9%であった(いずれも1H−NMR測定による)。
【0034】参考例2(スチレン系ブロック共重合体の
製造) 攪拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサン50kg、充
分に脱水したスチレン1400gおよびsec−ブチル
リチウムのシクロヘキサン溶液(濃度:10重量%)2
10gを加え、60℃で60分間重合し、次いでイソプ
レンとブタジエンの混合物〔前者/後者=50/50
(重量比)〕7200gを加えて60分間、さらにスチ
レンを1400g加えて60分間重合し、最後にメタノ
ールを加えて重合を停止し、スチレン−イソプレン/ブ
タジエン−スチレン型のブロック共重合体を合成した。
得られたブロック共重合体を参考例1と同様にして水素
添加し、水添ブロック共重合体(以下、これをSEEP
Sと略記する)を得た。得られたSEEPSの数平均分
子量は51,700であり(GPC測定による)、ま
た、スチレン含有量は28重量%、水素添加率は97.
5%であった(いずれも1H−NMR測定による)。
【0035】参考例3(スチレン系ブロック共重合体の
製造) 攪拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサン50kg、充
分に脱水したスチレン1750gおよびsec−ブチル
リチウムのシクロヘキサン溶液(濃度:10重量%)2
10gを加え、60℃で60分間重合し、次いでテトラ
ヒドロフランを250g添加し、ブタジエンを6500
g加えて60分間、さらにスチレンを1750g加えて
60分間重合し、最後にメタノールを加えて重合を停止
し、スチレン−ブタジエン−スチレン型のブロック共重
合体を合成した。得られたブロック共重合体を参考例1
と同様にして水素添加し、水添ブロック共重合体(以
下、これをSEBSと略記する)を得た。得られたSE
BSの数平均分子量は76,100であり(GPC測定
による)、また、スチレン含有量は35重量%、水素添
加率は98.9%であった(いずれも1H−NMR測定
による)。
【0036】参考例4(スチレン系ブロック共重合体の
製造) 攪拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサン50kg、充
分に脱水したスチレン1500gおよびsec−ブチル
リチウムのシクロヘキサン溶液(濃度:10重量%)1
15gを加え、60℃で60分間重合し、次いでテトラ
ヒドロフランを250g添加し、イソプレンを7000
g加えて60分間、さらにスチレンを1500g加えて
60分間重合し、最後にメタノールを加えて重合を停止
し、スチレン−イソプレン−スチレン型のブロック共重
合体を合成した。得られたブロック共重合体を参考例1
と同様にして水素添加し、水添ブロック共重合体(以
下、これをHV−SISと略記する)を得た。得られた
HV−SISの数平均分子量は78,100であり(G
PC測定による)、また、スチレン含有量は30重量
%、水素添加率は88.9%であり、水添ポリイソプレ
ンブロックのビニル結合含有量は52.3モル%であっ
た(いずれも1H−NMR測定による)。
【0037】参考例5(スチレン系ブロック共重合体の
製造) 攪拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサン50kg、充
分に脱水したスチレン1400gおよびsec−ブチル
リチウムのシクロヘキサン溶液(濃度:10重量%)2
10gを加え、60℃で60分間重合し、次いでイソプ
レンとブタジエンの混合物〔前者/後者=50/50
(重量比)〕7200gを加えて60分間、さらにスチ
レンを1400g加えて60分間重合し、次いでエチレ
ンオキサイド14gを加えた後にメタノールを加えて重
合を停止し、末端に水酸基を有するスチレン−イソプレ
ン/ブタジエン−スチレン型のブロック共重合体を合成
した。得られたブロック共重合体を参考例1と同様にし
て水素添加し、水添ブロック共重合体(以下、これをS
EEPS−OHと略記する)を得た。得られたSEEP
S−OHの数平均分子量は51,700であり(GPC
測定による)、また、スチレン含有量は28重量%、水
素添加率は97.5%であり、1分子当たりの末端水酸
基の数は0.83個であった(いずれも1H−NMR測
定による)。
【0038】参考例6〔無水マレイン酸で変性したスチ
レン系ブロック共重合体の製造〕 スチレンとイソプレンからなるブロック共重合体の水素
添加物〔セプトン2002(商品名)、(株)クラレ
製〕100重量部、無水マレイン酸3重量部および0.
1重量部のパーヘキサ25B(商品名、日本油脂(株)
社製)を均一に混合した後、窒素雰囲気下で二軸押出機
に供給し、シリンダー温度250℃で溶融混練して無水
マレイン酸変性を行い、次いで未反応の無水マレイン酸
を加熱下に減圧除去し、変性ブロック共重合体(以下、
これをMAn−SEPSと略記する)を得た。変性ブロ
ック共重合体における無水マレイン酸の付加量は2重量
%であった(1H−NMR測定により求めた)。
【0039】参考例7〔ブロック共重合体1(ポリスチ
レンブロック−ポリメタクリル酸メチルブロックからな
るジブロック共重合体)の製造〕 (イ)90リットルの重合槽にスチレンを75kg仕込
み、窒素雰囲気下で内温が90℃になるまで昇温した。
30分後に、チオ−S−酢酸32gを重合槽内に添加
し、ラジカル重合開始剤〔和光純薬株式会社製、V−6
5(商品名)〕の7重量%トルエン溶液を430ml/
時間の速度で重合槽に添加し、また、チオ−S−酢酸の
6重量%トルエン溶液を750ml/時間の速度で重合
槽に添加して重合を開始し、重合率(ポリマー転換率)
が40%に達した時点で重合を停止し、重合槽内を冷却
した。得られた粘性液体から溶媒および未反応のスチレ
ンを除去することによって、末端にチオ−S−酢酸エス
テル基を有する数平均分子量10,000のポリスチレ
ンを得た。 (ロ)上記(イ)で得られたポリスチレン30kg、ト
ルエン30kgおよびn−ブタノール15kgを90リ
ットルの反応槽に仕込み、窒素雰囲気下に、70℃で水
酸化ナトリウムの10重量%メタノール溶液135ml
を添加し、ポリスチレン末端のチオ−S−酢酸エステル
基のエステル交換反応を行った。2時間後に、酢酸30
gを反応槽に添加して反応を終了した。得られた反応溶
液から溶媒を除去することにより、末端にメルカプト基
を有するポリスチレンを得た。 (ハ)メタクリル酸メチル30kg、トルエン48kg
および上記(ロ)で得られた末端にメルカプト基を有す
るポリスチレン30kgを200リットルの重合槽に仕
込み、90℃で重合槽の雰囲気を充分に窒素置換した
後、上記(イ)で用いたのと同じラジカル重合開始剤の
10重量%トルエン溶液を54ml/時間の速度で重合
槽に添加して重合を開始し、重合率(ポリマー転換率)
が95%に達した時点で重合を停止した。得られた反応
溶液から溶媒および未反応のメタクリル酸メチルを除去
することによって、ポリスチレンブロックとポリメタク
リル酸メチルブロックからなるジブロック共重合体〔以
下、ブロック共重合体1という〕を得た。得られたブロ
ック共重合体1におけるポリスチレンブロックの数平均
分子量、ポリメタクリル酸メチルブロックの数平均分子
量、全体の数平均分子量はそれぞれ10,000、1
1,000および21,000であった。
【0040】参考例8〔ブロック共重合体2(ポリスチ
レンブロック−アクリル酸エチル/アクリル酸共重合体
ブロックからなるジブロック共重合体)の製造〕 (イ)参考例7の(イ)および(ロ)と全く同じ工程を
行って、末端にメルカプト基を有するポリスチレンを製
造した。 (ロ)アクリル酸エチル28.5kg、アクリル酸1.
5kg、トルエン48kgおよび上記(イ)で得られた
末端にメルカプト基を有するポリスチレン30kgを2
00リットルの重合槽に仕込み、70℃で重合槽内の雰
囲気を充分に窒素置換した後、ラジカル重合開始剤〔和
光純薬株式会社製、V−70(商品名)〕の2重量%ト
ルエン溶液を270ml/時間の速度で重合槽に添加し
て重合を開始し、重合率(ポリマー転換率)が95%に
達した時点で重合を停止した。得られた反応溶液から溶
媒および未反応のモノマー(アクリル酸エチルおよびア
クリル酸)を除去することによって、ポリスチレンブロ
ックとアクリル酸エチル/アクリル酸共重合体ブロック
からなるジブロック共重合体〔以下、ブロック共重合体
2という〕を得た。得られたブロック共重合体2におけ
るポリスチレンブロックの数平均分子量、アクリル酸エ
チル/アクリル酸共重合体ブロックの数平均分子量およ
び全体の数平均分子量はそれぞれ10,000、9,5
00および19,500であり、アクリル酸エチル/ア
クリル酸共重合体ブロックにおけるアクリル酸エチルと
アクリル酸のモル比は、前者/後者=93/7であっ
た。
【0041】参考例9〔ブロック共重合体3(ポリスチ
レンブロック−アクリロニトリル/スチレン共重合体ブ
ロックからなるジブロック共重合体)の製造〕 (イ)参考例7の(イ)および(ロ)と全く同じ工程を
行って、末端にメルカプト基を有するポリスチレンを製
造した。 (ロ)スチレン21kg、アクリロニトリル9kg、ト
ルエン48kgおよび上記(イ)で得られた末端にメル
カプト基を有するポリスチレン30kgを200リット
ルの重合槽に仕込み、90℃で重合槽内の雰囲気を充分
に窒素置換した後、重合速度が1時間当り約10%とな
るように参考例7で使用したのと同じラジカル重合開始
剤の10重量%トルエン溶液を重合槽に添加して重合を
開始し、重合率(ポリマー転換率)が95%に達した時
点で重合を停止した。得られた反応溶液から溶媒および
未反応のモノマーを除去することによって、ポリスチレ
ンブロックとアクリロニトリル/スチレン共重合体ブロ
ックからなるジブロック共重合体〔以下、ブロック共重
合体3という〕を得た。得られたブロック共重合体3に
おけるポリスチレンブロックの数平均分子量、アクリロ
ニトリル/スチレン共重合体ブロックの数平均分子量お
よび全体の数平均分子量は、それぞれ10,000、1
0,000および20,000であり、アクリロニトリ
ル/スチレン共重合体ブロックにおけるアクリロニトリ
ルとスチレンのモル比は、前者/後者=70/30であ
った。
【0042】参考例10〔ブロック共重合体4(ポリプ
ロピレンブロック−アクリル酸エチル/アクリル酸共重
合体ブロックからなるジブロック共重合体)の製造〕 (イ)ポリプロピレン〔三菱化学(株)社製、三菱ノー
ブレンMH8(商品名)〕を二軸押出機に供給し、42
0℃で溶融混練して熱分解させて、末端に二重結合を有
するポリプロピレンを製造した。 (ロ)上記(イ)で得られた末端に二重結合を有するポ
リプロピレン100kg、トルエン500kgおよびチ
オ−S−酢酸3.8kgを反応槽に入れて、内部の雰囲
気を充分窒素置換した後、2,2’−アゾビスイソブチ
ロニトリル0.38kgを添加して、90℃で6時間反
応させて、末端にチオアセチル基を有するポリプロピレ
ンを製造した。 (ハ)上記(ロ)で得られた末端にチオアセチル基を有
するポリプロピレン60kgを、トルエン100kgと
n−ブタノール20kgの混合溶媒中に溶解し、窒素雰
囲気下に90℃で水酸化ナトリウムのn−ブタノール溶
液(濃度:7重量%)1kgを添加して、同温度で攪拌
下に2時間反応させた後、酢酸5kgを添加して反応を
終了させた。得られた反応溶液から溶媒を除去して、末
端にメルカプト基を有するポリプロピレンを製造した。 (ニ)上記(ハ)で得られた末端にメルカプト基を有す
るポリプロピレン50kgをトルエン174kgに溶解
し、それにアクリル酸エチル48.9kgおよびアクリ
ル酸1.1kgを加えて、窒素雰囲気下、90℃で、重
合速度が1時間当たり約10%になるように参考例7で
使用したのと同じ重合開始剤の10重量%トルエン溶液
を添加して重合を開始し、重合率が95%になった時点
で反応を停止した。得られた反応溶液から溶媒および未
反応モノマーを除去することによって、ポリプロピレン
ブロックとアクリル酸エチル/アクリル酸共重合体ブロ
ックからなるジブロック共重合体〔以下、ブロック共重
合体4という〕を得た。得られたブロック共重合体4に
おけるポリプロピレンブロックの数平均分子量、アクリ
ル酸エチル/アクリル酸共重合体ブロックの数平均分子
量および全体の数平均分子量はそれぞれ13,000、
11,000および24,000であり、アクリル酸エ
チル/アクリル酸共重合体ブロックにおけるアクリル酸
エチルとアクリル酸のモル比は前者/後者=90/10
であった。
【0043】参考例11〔ブロック共重合体5(ポリプ
ロピレンブロック−アクリル酸エチル/無水マレイン酸
共重合体ブロックからなるジブロック共重合体)の製
造〕 (イ)参考例10の(イ)、(ロ)および(ハ)と全く
同じ工程を行って、末端にメルカプト基を有するポリプ
ロピレンを製造した。 (ロ)上記(イ)で得られた末端にメルカプト基を有す
るポリプロピレン50kgをトルエン174kgに溶解
し、それにアクリル酸エチル45.3kgおよび無水マ
レイン酸4.7kgを加えて、窒素雰囲気下、90℃
で、重合速度が1時間当たり約10%になるように参考
例7で使用したのと同じ重合開始剤の10重量%トルエ
ン溶液を添加して重合を開始し、重合率(ポリマー転換
率)が95%に達した時点で重合を停止した。得られた
反応溶液から溶媒および未反応のモノマーを除去するこ
とによって、ポリプロピレンブロックとアクリル酸エチ
ル/無水マレイン酸共重合体ブロックからなるジブロッ
ク共重合体〔以下、ブロック共重合体5という〕を得
た。得られたブロック共重合体5におけるポリプロピレ
ンブロックの数平均分子量、アクリル酸エチル/無水マ
レイン酸共重合体ブロックの数平均分子量および全体の
数平均分子量は、それぞれ13,000、10,000
および23,000であり、アクリル酸エチル/無水マ
レイン酸共重合体ブロックにおけるアクリル酸エチルと
無水マレイン酸のモル比は、前者/後者=96/4であ
った。
【0044】参考例12〔ブロック共重合体6(ポリエ
チレンブロック−アクリル酸エチル/アクリル酸共重合
体ブロックからなるジブロック共重合体)の製造〕 (イ)ポリエチレン〔三井石油ポリエチ(株)社製、ハ
イゼックスHD700F(商品名)〕を二軸押出機に供
給し、420℃で溶融混練して熱分解させて、末端に二
重結合を有するポリエチレンを製造した。 (ロ)上記(イ)で得られた末端に二重結合を有するポ
リエチレン100kg、トルエン1000kgおよびチ
オ−S−酢酸30kgを反応槽に入れて、反応槽の雰囲
気を充分窒素置換した後、2,2’−アゾビスイソブチ
ロニトリル10kgを添加して、90℃で6時間反応さ
せて、末端にチオアセチル基を有するポリエチレンを製
造した。 (ハ)上記(ロ)で得られた末端にチオアセチル基を有
するポリエチレン60kgを、トルエン100kgとn
−ブタノール20kgの混合溶媒中に溶解し、窒素雰囲
気下に90℃で水酸化カリウムのn−ブタノール溶液
(濃度:7重量%)1kgを添加して、窒素雰囲気下、
トルエン還流温度で6時間反応させることにより、末端
にメルカプト基を有するポリエチレンを製造した。 (ニ)上記(ハ)で得られた末端にメルカプト基を有す
るポリエチレン50kgをトルエン184kgに溶解
し、それにアクリル酸エチル23kgおよびアクリル酸
2kgを加えて、窒素雰囲気下、90℃で、重合速度が
1時間当たり約10%になるように1,1’−アゾビス
(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)〔ラジカル重
合開始剤、V−65〕を添加して重合を開始し、重合率
が95%になった時点で反応を停止した。得られた反応
溶液から溶媒および未反応モノマーを除去することによ
って、ポリエチレンブロックとアクリル酸エチル/アク
リル酸共重合体ブロックからなるジブロック共重合体
〔以下、ブロック共重合体6という〕を得た。得られた
ブロック共重合体6におけるポリエチレンブロックの数
平均分子量、アクリル酸エチル/アクリル酸共重合体ブ
ロックの数平均分子量および全体の数平均分子量はそれ
ぞれ13,000、12,000および25,000で
あった。
【0045】実施例1〜7および比較例1、2 α−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノ
マー樹脂としてハイミラン1605(商品名、三井・デ
ュポンポリケミカル(株)社製)を使用し、下記表1ま
たは表2に示した配合に従い二軸押出機で230℃にて
溶融混合してペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物を成形温度230℃にて射
出成形機(東芝機械(株)社製の55トン射出成形機)
を使用して、シリンダー温度200℃および金型温度6
0℃の条件下で成形することにより所定形状の試験片を
作製し、各種の物性を評価した。結果を下記表1および
表2に示す。
【0046】比較例3 ハイミラン1605を単独で射出成形(成形温度230
℃)して所定形状の試験片を作製し、各種の物性を評価
した。結果を表2に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】表1および表2の結果から、本発明の熱可
塑性樹脂組成物は十分な柔軟性を有し、かつウエルド部
分における強度が十分な成形体を与えることが分かる。
【0050】
【発明の効果】本発明により提供される熱可塑性樹脂組
成物は、十分な柔軟性を有し、かつウエルドが生じた場
合でも該ウエルド部分における強度が十分な成形体を与
える。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)α−オレフィン−不飽和カルボン
    酸共重合体系アイオノマー樹脂、(2)芳香族ビニル化
    合物からなる重合体ブロックXと共役ジエン化合物から
    なる重合体ブロックYを有するブロック共重合体および
    /またはその水素添加物、および(3)芳香族ビニル化
    合物およびオレフィン化合物から選ばれる少なくとも1
    種の化合物からなる重合体ブロック(A)、並びに(メ
    タ)アクリル化合物およびビニルエステル化合物から選
    ばれる少なくとも1種の化合物からなる重合体ブロック
    (B)を有するブロック共重合体から構成される熱可塑
    性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 重合体ブロック(B)を構成する(メ
    タ)アクリル化合物が、(メタ)アクリル酸、(メタ)
    アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、(メ
    タ)アクリロニトリルおよびそれらの誘導体のうちの少
    なくとも1種の化合物である請求項1記載の熱可塑性樹
    脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8501391B2 (en) 2007-06-18 2013-08-06 Asahi Kasei E-Materials Corporation Photosensitive resin composition, flexographic printing plate, and method for producing flexographic printing plate

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