JP2000024834A - 帯鋸案内方法および帯鋸案内装置 - Google Patents

帯鋸案内方法および帯鋸案内装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 切断サイクルに続く帯鋸の戻り行程のた
めに、工作物が切断面から工作物供給側に離間され、切
断サイクル中には帯鋸の切断側が切断面内に保持される
帯鋸盤において、切り離される工作物の切断領域内で帯
鋸の切断側を案内する帯鋸案内方法において、切断作業
工程の後の帯鋸の戻り運動が、工作物とのあらゆる接触
無しに行われる方法を提供する。 【解決手段】 切断サイクルに続く帯鋸9の戻り行程の
ために、帯鋸9の切断側が、切断面15から離間された
工作物28の方向に切断面15から変位される方法を採
った。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工作物が切断作業
工程の後に続く帯鋸戻り行程のために工作物供給側また
は工作物搬出側で切断面から離間され、前記帯鋸の切断
側が切断作業工程中に切断面に保持される帯鋸盤におい
て、分離する工作物の切断領域に帯鋸の切断側を案内す
るための帯鋸案内方法に関する。
【0002】更に前記方法に対応して本発明は、切断作
業工程の後に続く帯鋸戻り行程のために切断面から供給
側または搬出側の工作物と一定の間隔を有し、前記帯鋸
が工作物の横に配置された案内アームにより支持される
案内部材により切断作業工程中に切断面に保持される帯
鋸盤において、分離する工作物の両側の切断領域に帯鋸
を案内するための帯鋸案内装置に関する。
【0003】上記形式の帯鋸盤としては、揺動可能な上
部を具備したいわゆる水平帯鋸盤も、また、いわゆる垂
直帯鋸盤も含まれる。これらの帯鋸盤は、通常は個々の
金属棒または束状の金属棒の形態で存在する金属工作物
を切断するのに用いられるが、金属工作物としては、こ
の種の帯鋸盤での加工に適していれば別の形態でも良
い。
【0004】工作物は、工作物用テーブルに配置される
帯鋸盤の切断領域に、工作物用テーブルの上流に配置さ
れた供給軌道を介して供給され、かつ、分離された部分
が前記供給軌道の切断面の対向側で適切な手段により取
除かれ、更に、非常に簡単な形態により、工作物の送り
によりその次に分離される部分の量分だけ、その前に分
離された部分が更に送出されるように実施することがで
きる。
【0005】
【従来の技術】対象となる形式の帯鋸盤においては、通
常、工作物は、工作物送り方向を横断する方向に開閉可
能で、工作物送り方向には不動の締結ジョー対により保
持される。しかし、締結ジョー対は、それぞれ工作物の
送りが、工作物供給側に配置された開閉可能で且つ工作
物送り方向に移動可能な締結ジョー対によって行われる
か否か、或いは、工作物搬出側に配置され、鋸引作業工
程の終了後および帯鋸の戻り行程後に切断面を横断し、
工作物送りのために当該箇所の工作物端をつかむ締結ジ
ョー対によって行われるか否かに応じて、工作物の送り
方向に関して切断面の前または後に配置することができ
る。この方式の変形態様も可能であり、かつ、知られて
いる。
【0006】前者の場合、すなわち工作物供給側に配置
された送りジョー対の場合には、送り方向に不動の締結
ジョーが、送り方向に関して切断面の後に配置されてい
る。また、後者の場合、すなわち締結ジョーが工作物搬
出側に配置されており、工作物を前進させる場合は、送
り方向に不動のジョー対が工作物の送り方向に関して切
断面の前に配置されている。これらの変形態様を含む上
記すべての構造形態に対し本発明が適用される。
【0007】冒頭に述べたように、ここに説明した金属
切断用の帯鋸盤の場合、回転する2つの車輪上を無端状
に循環する帯鋸は、複数の帯鋸案内部材によって工作物
に隣接した切断領域内に案内され、かつ、帯鋸の循環面
とは異なる方向に延びた切断面内に旋回され、これによ
り、工作物の連続的な供給および搬出が保証される。出
来る限り工作物の近くに位置することが推奨される帯鋸
案内部材は、一般に、帯鋸の両側に側面用の硬質合金製
の摺動部を有し、前記側面用の複数の摺動部に対して垂
直な硬質合金の摺動部またはローラが、帯鋸の背面部に
対して設けられている。通常、側面用の帯鋸案内部材の
1つは、対応する案内アームに固定されるのに対し、こ
れに対向する側の帯鋸案内部材は、第1の側面帯鋸案内
部に対して一定の間隔を介して固定されるか、または、
帯鋸を可能な限り遊びの少ない状態で両側の帯鋸案内部
材の間に導くために、弾性力または油圧力を利用して帯
鋸に押圧される。
【0008】ここで切断作業工程が終了すると、帯鋸の
戻り行程のために、前記帯鋸の切断側は、再び切断間隙
を通って戻らなければならない。この場合、帯鋸の歯の
側面の切断エッジが工作物に沿って摺動される。そのた
め、帯鋸速度が速い場合、帯鋸が著しく摩耗する。更
に、束状の工作物を切断する際には、若干突出した又は
位置を変えた工作物片に帯鋸背面が捕獲される危険があ
る。このため、帯鋸の重大な損傷を回避するために、し
ばしば、帯鋸の帯鋸案内部材からの滑落を検出する検出
用素子が案内アームに装備されている。上述の問題に対
処するため、切断作業工程の終了後、工作物を切断面の
供給側または搬出側にて前記切断面から若干の一定間隔
を開ける(もしくは離す)ことが既に知られている。供
給側と搬出側のいずれが適用されるかは、工作物送り方
向に移動可能な締結ジョーが、切断面の工作物供給側と
工作物搬出側のいずれに在るかに依存する。これは、工
作物が、工作物の送り方向に移動可能な締結ジョーによ
って離間されるからである。切断面側と工作物の間に形
成される一定間隔は、帯鋸の切断側を帯鋸戻り行程で少
なくとも一方の側で工作物から自由にし、この結果、突
出する角部からも逃げることができ、かつ、帯鋸の歯の
側面角部の摩耗が防止される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、しばしば硬
質合金が帯鋸の歯に半田付された今日の切断装置では、
上記の、切断作業工程の終了後、工作物を切断面の供給
側または搬出側にて前記切断面から若干の一定間隔を開
ける(もしくは離す)技術では十分ではない。このよう
な状況では、帯鋸の無接触式の戻り行程を行うことが重
要性と考えられる。ところで無接触の帯鋸戻り行程を実
現しようとすれば、切断作業工程の後、切断面の両側で
工作物が前記切断面から一定の間隔を開けることが必要
になる。そのためには、工作物の送り方向に不動のタイ
プの締結ジョー対の場合、これを工作物送り方向にも変
位可能なものに形成しなければならない。これは、製造
技術上、多額のコストと所要スペースの増加を要求する
ことになる。したがって本発明が解決しようとする課題
は、冒頭に述べた形式の帯鋸案内方法および帯鋸案内装
置において、切断サイクルに続く帯鋸の戻り工程が、帯
鋸と工作物のあらゆる接触無しに行われる帯鋸案内方法
および帯鋸案内装置を、簡単で、省スペースで、コスト
パフォーマンスに優れた方法で提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題は、冒頭に述べ
た方法において本発明に基づき、切断作業工程の後に続
く帯鋸の戻り行程のために、帯鋸の切断側が、切断面か
ら前方へ前記切断面から一定の間隔をあけた工作物の方
向へ変位されることにより解決される。前記の特徴構成
は、切断作業工程に続いて行われる工作物側の切断面に
対する一定の間隔の形成から出発して、それ以後に、帯
鋸が適切な変位により前記工作物の一定の間隔の方向に
両側で工作物(すなわち、切断完了直後の工作物と次に
切断しようとする工作物)から自由になる効果を有す
る。その際に当然ながら、本発明のすべての実施態様に
おいて、帯鋸の切断側の変位量は、工作物を切断面から
離間させる際の調整量よりも少なく決められている。そ
れにも拘わらず、この帯鋸の変位は、追加の所要スペー
スなしに、かつ、比較的簡単な手段で実現することがで
きる。
【0011】冒頭に述べた装置に関しては、前記課題
は、本発明に基づき、帯鋸の戻り行程のために帯鋸の案
内部材の少なくとも1つが、切断面に対して垂直に前記
切断面から前方へ一定の間隔をあけた工作物の方向へ変
位可能であることにより解決される。ここでは、本発明
により意図された効果を達成するためには、帯鋸案内部
材に、簡単に実現し得る少量の変位を実現するだけで良
いことが明らかになっている。その際、帯鋸を工作物か
ら離間させるためには、基本的には、両方の帯鋸案内部
材の一方のみの変位を可能とするだけでも、これにより
斜傾状態を得る帯鋸の姿勢でも帯鋸を工作物から解放す
るために事足りるので、十分である。しかし、当然なが
ら、個々の案内部材の変位移動量を少なく維持するため
に、両方の案内部材を変位可能にしても良い。帯鋸案内
部材はいずれの方向にも完全に自由なので、本発明に基
づく上記の措置では、追加スペースは不要である。
【0012】帯鋸が硬質合金送り台間の案内部材の範囲
内で移動する装置における、本発明に基づく問題解決方
法としては、複数の案内部材内に着座された設定手段の
各端部に硬質合金製送り台がそれぞれ配置され、これら
各設定手段が相互の間隔を一定に維持しながらストッパ
間で変位可能な構成にすることができる。前記設定手段
としては、油圧または空気圧で作動するシリンダ- ピス
トン- アセンブリーを採用することができる。この方法
を用いた場合、帯鋸のための摺動案内部材は、帯鋸の戻
り行程の前に、シリンダ- ピストン- アセンブリーが帯
鋸盤の自動制御を利用してこれに対応して作動すること
によって、単に少量分、0.5mmから1.0mmだけ
切断面から前方へ移動すれば良い。そして帯鋸の戻り行
程が終了した後は、次回の切断作業工程のためにこの帯
鋸を切断面に戻すために、再びシリンダ- ピストン- ア
センブリーの逆作動が行われる。
【0013】別の構成、すなわち、案内部材の少なくと
も1つを、案内部材を支持する案内アームと共に、帯鋸
盤の架台の案内軌道で本質的に帯鋸の切断側の運動方向
に変位可能とした構成の場合、本発明に基づく問題の解
決方法によれば、変位可能な案内アームが、離間された
工作物の方向に作用する力によって操作可能であり、か
つ、前記案内アームは帯鋸の戻り行程のために前記力に
より揺動可能である。上記の発明概念から考え得る変形
例として、案内アームへ前記力が連続的に作用するもの
が考えられ、更に、前記案内アームの案内の遊びが帯鋸
の戻り行程のために増大するというオプションも考えら
れる。これらの措置の効果は、可動案内アームの案内の
遊びの増大により、この案内アームが案内トラックに対
し動きの自由度を幾らか持ち、前述の力の作用により案
内トラック内で幾らか傾斜し、その結果、本発明にした
がって、帯鋸案内部材が変位し、そして帯鋸が変位す
る。当然ながらこの場合にも、案内の遊びを変更する手
段は、帯鋸盤の工程制御によって自動的に入り切りでき
るため、案内アームは案内軌道に対して、各切断サイク
ルに際して可能な限り小さな遊びを介して接続され、帯
鋸の戻り行程に際して案内遊びが増大する。
【0014】前述の構成に基づく形態において、もし
も、切断中の工作物が、少なくとも一方の締結ジョーの
移動を介して切断面と平行に開閉可能で、但し切断面と
垂直の方向には不動の締結ジョー対によって、切断面に
隣接保持されており、可動の締結ジョーと調節可能な案
内アームとが互いに対応している場合は、可動の締結ジ
ョーには、案内アーム上に作用する力のための受面を少
なくとも間接的に形成することができる。これの背景と
しては、ここでは、二つの帯鋸案内アームの相互間隔を
加工したい工作物の断面に合わせれば、前記断面が可動
の締結ジョーの作動位置とも一致するように、可動の締
結ジョーと調節可能な案内アームとが互いに連結されて
いるという事情がある。尚、可動の案内アームに作用す
る前記力としては、好ましくは圧縮ばねによって生じる
ばね力を用いることができる。
【0015】本発明によるその他の特徴および利点は、
以下図面を用いた実施形態の説明により明らかになるで
あろう。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態の一例について
図面に基づいて解説する。図1と図2から明らかなよう
に、ここに示した帯鋸盤は架台1を有する。そして、鋸
上部2が、案内コラム3、4を介して垂直に変位可能に
架台1に支持されている。架台1は、図示しない工作物
を載置するための工作物用のテーブル5を有する。ロー
ラ6で構成された供給軌道が、テーブル5の上流側に配
置されており、矢印7の方向に沿って工作物を帯鋸盤の
作業領域まで供給する。ローラ6の上部エッジ8は、テ
ーブル5の表面と同一平面に配置されている。帯鋸9は
鋸上部2内の偏向輪10、11を介して無端状に循環
し、本実施例では、偏向輪11は反時計回りに回転駆動
される。図示された実施態様では、偏向輪10、11の
回転軸芯は、図1の紙面に垂直に若しくは図2の紙面に
平行に向いているので、帯鋸9は、これに対応して偏向
輪上を、図1の図平面に垂直に若しくは図2の図平面に
平行に循環する。詳細を後述される予定の、鋸上部2に
配置された案内アーム12、13の下部自由端に支持さ
れた偏向ガイドは、現時点でテーブル5の上方に位置す
る切断領域内に位置する帯鋸を、テーブル5の上面に対
して垂直な姿勢まで回転させる役目を果たす。すなわ
ち、これらのガイドは、案内アーム12、13の間にあ
る帯鋸9の切断エッジ14を、図示しない工作物に向け
て、図1における下方に向ける。これにより形成された
切断面15は、前述した帯鋸案内部材16、17を簡単
に示した図2に一点鎖線で示されるように、工作物テー
ブル5の表面に対して垂直に延びている。
【0017】本実施形態では、切断作業工程中の工作物
は、矢印7で示した工作物送り方向に関して可能な限り
切断面15の近くで切断面15の後部に配置された締結
ジョー18、19によって保持される。締結ジョー19
は、架台1と固定連結されているが、一方、締結ジョー
18は、二重矢印20の方向に開閉可能である。更に、
矢印7で示した工作物送り方向に関して切断面15の前
には、送り締結ジョー21、22が架台1上に配置され
ている。この送り締結ジョーどうしは共に、二重矢印2
3で示された要領で、送り方向と平行に架台1上を往復
移動可能である。また、送り締結ジョー対21、22を
開放位置から閉鎖位置へもしくはその逆に移動するため
に、送り締結ジョー対21、22の内、送り締結ジョー
21は、二重矢印24で示された要領で送り締結ジョー
22に対して変位可能である。上述の帯鋸盤の機能は次
のように要約される。すなわち、ローラ6上に置かれた
工作物が、矢印24の方向に閉じる送り締結ジョー2
1、22によって把持され、次に、送り締結ジョーの矢
印7又は23の方向の移動によって、切り離される工作
物片の寸法だけが切断面15を通過するまで、前進す
る。切り離される工作物片は、締結ジョー18、19に
よって把持され、帯鋸が図1における上から下へ移動し
つつ循環しながら実施されるその切断作業工程の間中、
確実に保持される。切断作業工程のために固定される。
【0018】鋸引き作業工程中に、送り締結ジョー2
1、22は、開かれ、工作物を切断作業工程の終了に先
だって把持するために、次回に切り離される工作物の寸
法だけ矢印方向7と逆向きに戻ることができる。切断作
業工程の終了後、すなわち、帯鋸9の切断エッジ14が
テーブル5の表面に達した時、鋸上部2が図1に明示さ
れた上部位置に戻ることによって実施される復帰行程の
帯鋸9に対してスペースを開けるために、送り締結ジョ
ー21、22は、把持している工作物を僅かな距離だけ
矢印7と逆方向に引戻す。ここで送り締結ジョー21、
22は、工作物を再び、次に切り離す工作物片の寸法だ
け送り、前述の作業サイクルが新たに開始される。図3
は、帯鋸案内アーム12、13の詳細を示す。帯鋸案内
アーム13が、鋸上部2上に配置された案内軌道25に
固定連結されているのに対し、帯鋸案内アーム12は、
二重矢印26の方向に前記案内軌道25上を変位可能で
あることが分る。後者は、帯鋸案内部材16、17が常
に可能な限り工作物に隣接配置されるように、案内アー
ム12、13の相互間隔および前記案内アームに支持さ
れた帯鋸案内部材16、17の相互間隔を、種々の工作
物断面に合わせる役目を果たす。案内アーム12、13
の相互間隔の調節を独立させるため、調節可能な案内ア
ーム12は、公知の、従ってここでは詳述しない要領
で、可動の締結ジョー18に移動可能に連結されている
ので、前記案内アーム12は常に前記締結ジョー18の
位置に従い、これによって最終的に、切断作業サイクル
に対応した締結位置として、工作物断面に一致する位置
が常に確保される。
【0019】図1に関して前述したように、帯鋸9の循
環方向に対応して、図3に見られる帯鋸9の切断側は左
から右へ移動するため、帯鋸は、主に帯鋸案内部材16
によって切断面内に旋回される。この旋回過程を容易に
するため、案内ローラ27が帯鋸案内部材16の上流に
配置されている。帯鋸盤とその機能の記載で述べたよう
に、帯鋸の戻り行程のためにより多くのスペースを開け
る目的で、工作物は、切断サイクルの終了時に送り締結
ジョー21、22の作用により、切断面15から僅かに
離間される。しかし、離間された工作物断片は未だ締結
ジョー18、19によって保持されているため、その切
断面が切断面15に直接対向し、帯鋸がその戻り行程で
切断面15に擦り付けられる。これを防止するために、
本発明によれば、帯鋸は、その戻り行程のために、離間
された工作物の方向に切断面から僅かに変位される。こ
の手順は、互いに異なる作業位置4aから4eを順番に
示した図4に概略的に解説された作業プロセスから明ら
かである。図4(a)によれば、工作物28は、切り離
される寸法だけ、送り締結ジョー21、22によって二
重線で示された切断面15から前進させられ、切り離さ
れる部位が締結ジョー18、19によって把持される。
締結ジョー18、19の右には、既に切り離されて、帯
鋸盤の引き続く駆動に応じて段階的に更に右へと移され
る工作物片29が見える。矢印で示された帯鋸9は、工
作物の上方に位置する。
【0020】図4(b)は、帯鋸9が切断空隙に位置す
る切断作業工程を示す。図4(c)では、切断作業工程
が既に終了し、工作物28は、送り締結ジョー21、2
2の助けで左へ僅かに移動することにより切断面から離
間している。図4(d)では、帯鋸9も僅かに左へ変位
されるため、分離されたばかりの工作物部分29の切断
面から解放されており、同時に、これから加工される工
作物28の切断面から離間している。最後に、図4
(e)では、帯鋸9が無接触の戻り行程を実施してい
る。ここで、締結ジョー18、19が開かれ、工作物2
8を、次に切り離される工作物片の寸法だけ変位させる
ことができる。帯鋸9が図4(a)に示された位置まで
戻り、締結ジョー18、19が新たに工作物を把持する
と、次の作業サイクルを開始することができる。図5か
ら図7は、帯鋸9をその戻り行程のために切断面に対し
て調節するために選択可能な修正方法を示す。図5は、
案内アーム12の一部破断側面図であり、前記案内アー
ムが、一方でローラ30、31を介して、他方で案内軌
道25上を、どのように移動するかを示す。案内アーム
12の下端には帯鋸案内部材16が位置し、その拡大断
面図が図6に示されている。この帯鋸案内部材16は、
帯鋸9の他に、帯鋸を案内する硬質合金プレート35、
36、ならびに帯鋸の背面に対向配置された支持ローラ
37を含む。
【0021】図6および図7の拡大断面図に示されるよ
うに、案内部材16中のシリンダ‐ピストン‐アセンブ
リーのピストン38、39は、硬質合金プレート35、
36に対して帯鋸9の方向に作用する。その際、ピスト
ン38、39は、軸芯もしくは運動方向に沿って、正面
位置と後方の停止位置との間を移動可能であり、この結
果、硬質合金プレート35、36は互いの間隔を一定に
保ったまま、図5から図7に関して左右の停止位置の間
を往復移動できる。図7(a)に示した右側の停止位置
は、切断サイクルのために望ましい硬質合金プレート3
5、36の位置に相当するのに対し、図7(b)に示し
た左側の停止位置は、図4(e)に対応した、帯鋸9の
戻り行程に適用されるべき硬質合金プレート35、36
の位置に相当する。上述から明らかなように、図5から
図7に示した帯鋸案内部材16内の構造は、帯鋸の上昇
を実施するための簡単な選択肢を可能にしている。当然
ながら、ピストン38、39のための運動制御は、それ
ぞれの要求に応じて、帯鋸盤の工程制御によって実行す
ることができる。切断サイクルに引き続く戻り行程のた
めの帯鋸9の上昇は、案内アーム12の帯鋸案内部材1
6との関連でのみ説明されており、戻り行程において帯
鋸を工作物とのあらゆる接触から解放するためには、こ
れで十分である。しかし当然ながら、案内アーム13の
帯鋸案内部材17に対応する構造を設けても、同じ効果
が得られる。図7(a)および図7(b)に更に詳しく
示されるように、ピストン38、39を含むシリンダ‐
ピストン‐アセンブリー40、41は、案内部材16に
対する挿入部品として実施することもできる。更に、特
に図5および6に示したように、案内部材16は、例え
ば修理の目的で迅速に交換できるように、ねじ42によ
って案内アーム12に固定された取付部品という形態を
採っても良い。
【0022】図8と図9は、図5および図6と同様に、
帯鋸戻り行程中の帯鋸上昇を実施するための、別の選択
肢を示す。このために、アーム12の案内用の案内ロー
ラ32は、アーム12の案内状態を可能な限り遊びなし
に通常姿勢に保持するために、油圧式または空気圧式ピ
ストンによって案内軌道25に押圧される。ただし、も
しもピストン43によって発揮される圧力が除去または
低減されると、アーム12の案内状態は、案内軌道25
上に幾らかの遊びを持つので、案内アーム12は、図9
に破線で示した要領で、本発明の目的に則って、切断面
から離間された工作物の方向に揺動することができる。
帯鋸9の戻り行程のためのこの揺動運動を実施するた
め、支持アーム45に接当された圧縮ばね44が、案内
アーム12に作用する。一方、支持アーム45は、工作
物送り方向を横断方向に移動可能な締結ジョー18と接
続されている。当然ながら、ピストン43からローラ3
2に作用する圧力は、帯鋸9の戻り行程が切断サイクル
に続く場合にのみ低下する。これに対応して、帯鋸盤の
ための制御装置は再び、ピストン43によって生じる圧
力を制御する。次回の切断サイクルのために帯鋸9が再
び切断面に戻される場合、ピストン43によって得られ
る圧力によりローラが再び案内軌道25に締め付けら
れ、これれによって、案内アーム12は図8に実線で示
された姿勢に逆揺動される。
【0023】最後に、図9は、図8に示した案内アーム
の下端を案内部材16と共に示す。この実施態様は、図
9の場合には、硬質合金プレート35が例えばねじ46
によって案内部材16に連結されているのに対し、硬質
合金プレート36のみが油圧または空気圧によって作動
可能なピストン39によって帯鋸に対して押圧されると
いう事実を除いて、図6に示した実施態様と一致する。
この構成は、公知の要領で、帯鋸9を可能な限り遊びな
しに硬質合金プレート35、36の間に案内するために
のみ役立っている。ここまで本発明について、特定の型
式の帯鋸盤との関連でのみ図面を利用して説明した。し
かし本発明は、同一の手段を利用して、明細書の冒頭に
個別的に記述した他のタイプの帯鋸盤、特に垂直形帯鋸
盤、および、開閉可能であるが工作物送り方向には不動
の締結ジョー18、19が、工作物の送り方向に関して
切断面15の後ではなく、切断面の前に配置され、従っ
て、開閉可能で工作物送り方向に移動可能な送り締結ジ
ョー21、22が、工作物送り方向に関して切断面15
の後で作動するタイプの帯鋸盤にも適用することができ
る。
【0024】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構造に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】帯鋸盤の正面図
【図2】図1に示された帯鋸盤の平面図
【図3】作業領域における帯鋸案内部材の詳細図
【図4】帯鋸の切断領域における作業経過の概略説明図
【図5】図1から図3に示された調節可能な案内アーム
の一部破断側面図
【図6】図5に示された案内アームの帯鋸案内用の下端
部の断面図
【図7】二つの作業位置における図6のVII‐VII
断面図
【図8】図1から図3に示された可動の案内アームの別
形態の一部破断側面図
【図9】図8に示された案内アームの帯鋸案内用下端部
の断面図
【符号の説明】
9 帯鋸 12,13 案内アーム 15 切断面 16,17 案内部材 18,19 締結ジョー 21,22 送り締結ジョー 35,36 硬質合金プレート 38,39 ピストン 40,41 シリンダ‐ピストン‐アセンブリー
フロントページの続き (72)発明者 アルミン・シュトルツァー ドイツ連邦共和国 デー‐76532 バーデ ン‐バーデン ヴィンツァーシュトラーセ 46

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 切断サイクルに続く帯鋸の戻り行程のた
    めに、工作物が切断面から工作物供給側または工作物搬
    出側に離間され、切断サイクル中には帯鋸の切断側が切
    断面内に保持される帯鋸盤において、切り離される工作
    物の切断領域内で帯鋸の切断側を案内する帯鋸案内方法
    であって、 切断サイクルに続く帯鋸の戻り行程のために、切断側が
    切断面から、前記切断面から離間された工作物の方向に
    変位されることを特徴とする帯鋸案内方法。
  2. 【請求項2】 切断サイクルに続く帯鋸の戻り行程のた
    めに、工作物が切断面から工作物供給側または工作物搬
    出側に離間され、切断サイクル中には帯鋸が工作物に隣
    接配置された案内アームに支持された案内部材によって
    切断面内に保持される帯鋸盤において、切り離される工
    作物の両側の切断領域で帯鋸を案内する帯鋸案内装置で
    あって、 帯鋸(9)の戻り行程のために、案内部材(16、1
    7)の少なくとも1つが前記切断面から、切断面(1
    5)に対して垂直に、切り離された工作物(28)の方
    向に変位可能であることを特徴とする帯鋸案内装置。
  3. 【請求項3】 両方の案内部材(16、17)が切断面
    (15)から同方向へ、すなわち切断面に対して垂直に
    変位可能であることを特徴とする請求項2に記載の帯鋸
    案内装置。
  4. 【請求項4】 帯鋸が前記案内部材内の硬質合金製送り
    台(35、36)の間で移動し、前記硬質合金送り台
    (35、36)の各々が、案内部材(16、17)内に
    着座した設定手段(38、39、40、41)の端部に
    配置され、前記設定手段(38、39、40、41)
    が、互いの一定間隔を維持しつつストッパ間で変位可能
    であることを特徴とする請求項2または3に記載の帯鋸
    案内装置。
  5. 【請求項5】 前記設定手段が油圧または空気圧によっ
    て作動されるシリンダ‐ピストン‐アセンブリー(4
    0、41)であることを特徴とする請求項4に記載の帯
    鋸案内装置。
  6. 【請求項6】 案内部材の少なくとも1つ(16)が、
    同案内部材を支持する案内アーム(12)と共に、帯鋸
    盤の架台(1、2)の案内軌道(25)上で帯鋸(9)
    の切断側の移動方向に変位可能であることを特徴とする
    請求項2から5のいずれか1項に記載の帯鋸案内装置。
  7. 【請求項7】 案内部材の少なくとも1つが、同案内部
    材を支持する案内アームと共に、帯鋸盤の架台の案内軌
    道上で帯鋸の切断側の移動方向に変位可能であり、離間
    された工作物(28)の方向に作用する力が調節可能な
    案内アーム(12)に作用可能であり、前記案内アーム
    (12)が帯鋸(9)の戻り行程のために前記力により
    揺動可能であることを特徴とする請求項2または3に記
    載の帯鋸案内装置。
  8. 【請求項8】 離間された工作物(28)の方向に作用
    する力が常に案内アーム(12)に作用しており、前記
    案内アーム(9)の案内軌道(25)上での案内遊び
    が、帯鋸(9)の戻り行程のために拡大可能であること
    を特徴とする請求項7に記載の帯鋸案内装置。
  9. 【請求項9】 切断中に工作物が締結ジョー対によって
    切断面の横に保持され、前記締結ジョー対は、少なくと
    も一方の締結ジョーの移動によって切断面と平行に開閉
    可能であるが、切断面に垂直な方向には不動であり、可
    動の締結ジョーと調節可能な案内アームが互いに対応し
    ており、 前記可動の締結ジョー(18)が、案内アーム(12)
    に作用する力(44)のための受面(45)を少なくと
    も間接的に形成することを特徴とする請求項7または8
    に記載の帯鋸案内装置。
  10. 【請求項10】 案内アーム(12)に作用する力がば
    ね力(44)であることを特徴とする請求項7、8また
    は9に記載の帯鋸案内装置。
  11. 【請求項11】 前記ばね力が圧縮ばね(44)により
    生じることを特徴とする請求項10に記載の帯鋸案内装
    置。
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