JP2000021961A - 静電チャック - Google Patents

静電チャック

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JP2000021961A
JP2000021961A JP18288198A JP18288198A JP2000021961A JP 2000021961 A JP2000021961 A JP 2000021961A JP 18288198 A JP18288198 A JP 18288198A JP 18288198 A JP18288198 A JP 18288198A JP 2000021961 A JP2000021961 A JP 2000021961A
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electrode layer
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electrostatic chuck
layers
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JP18288198A
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Yasutaka Ito
康隆 伊藤
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Ibiden Co Ltd
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Ibiden Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 チャック力の強い静電チャックを提供するこ
と。 【解決手段】 窒化アルミニウム製の焼結体からなる多
層基板2における2つの層には、チャック電極層3,4
が形成されている。これらのチャック電極層3,4への
通電により、被吸着物W1 が強いチャック力で静電的に
吸着される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は静電チャックに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】半導体製造プロセスにおいては、シリコ
ン等からなる半導体ウェハを固定した状態でエッチング
やスパッタリング等の工程が行われる。そして、かかる
場合にはチャック装置と呼ばれる固定手段が用いられ
る。チャック装置の例としては、従来より、半導体ウェ
ハを把持具で機械的に把持するものや、半導体ウェハを
真空引きにより吸着するものが知られている。しかしな
がら、機械式チャックには半導体ウェハにおいて把持具
が当接している箇所に傷が付きやすいという欠点があ
り、真空チャックには真空環境下での使用に適さないと
いう欠点がある。このため、近年では静電気の力を利用
して半導体ウェハを吸着することにより、上記の欠点を
解消せんとした静電チャックが提案されるに至ってい
る。
【0003】静電チャックを構成する基板の材料として
は、以前まではポリイミド等の樹脂が用いられていた。
しかしながら、近年では耐熱性の向上のためにアルミナ
等のセラミックス焼結体が用いられるようになってきて
いる。
【0004】図7には、セラミックス焼結体製の静電チ
ャック41の従来例が概略的に示されている。セラミッ
クス焼結体製の多層基板42の内層には、チャック電極
層43が1層のみ形成されている。チャック電極層43
は、櫛歯状に形成された正極部43aと、同じく櫛歯状
に形成された負極部43bとからなる。このようなチャ
ック電極層43には、直流電源44から配線を介して直
流電流が通電される。その結果生じる静電チャック力に
より、静電チャック41のチャック側面(ここでは上側
面)S1 にシリコンウェハW1 が吸着されるようになっ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、半導体の製
造時においては、例えば大口径のシリコンウェハW1 を
チャックしたいような場合や、多数のシリコンウェハW
1 をチャックしたいような場合がある。そして、これら
の場合には強いチャック力をもってシリコンウェハW1
を確実に固定して、位置ずれや脱落等の発生を未然に防
止する必要がある。ところが、チャック電極層43を1
層しか持たない従来の静電チャック41ではチャック力
が不足していたため、チャック力の増大が課題であると
考えられていた。
【0006】本発明は上記の課題を解決するためなされ
たものであり、その目的は、チャック力の強い静電チャ
ックを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1に記載の発明では、セラミックス焼結体
製の多層基板に形成されたチャック電極層への通電によ
り、被吸着物が静電的に吸着される静電チャックであっ
て、前記多層基板における複数の層に前記チャック電極
層が形成されていることを特徴とする静電チャックをそ
の要旨とする。
【0008】請求項2に記載の発明では、請求項1にお
いて、前記多層基板の少なくともチャック側面の表面粗
さ(Ra)は0.05μm以下であるとした。請求項3
に記載の発明では、請求項1または2において、前記各
層のチャック電極層は、同極同士が厚さ方向に互いに重
なり合うような配置状態で形成されているとした。
【0009】以下、本発明の「作用」を説明する。請求
項1〜3に記載の発明によると、多層基板の複数の層に
チャック電極層が形成されているため、1層のみにしか
それが形成されていない従来に比べ、通電時におけるチ
ャック側面の表面電荷量が多くなる。従って、チャック
力の強い静電チャックとすることができる。このため、
例えば大口径の被吸着物や多数の被吸着物をチャックす
るときでも、その確実な固定を実現することができる。
【0010】請求項2に記載の発明によると、さらに以
下の作用を奏する。静電チャックのチャック力は、クー
ロン力とジョンソン・ラーベック力とを足したものに相
当する。ここでジョンソン・ラーベック力は、理論的に
チャック側面の平坦度が高くなるほど(即ち表面粗さR
aが小さくなるほど)大きくなることが知られている。
従って、表面粗さRaを0.05μm以下という小さな
範囲に設定しておくことにより、ジョンソン・ラーベッ
ク力を増大することができる。ゆえに、上記のチャック
電極層の多層化と相俟って、チャック力のよりいっそう
の増大を図ることができる。
【0011】請求項3に記載の発明によると、同極同士
が厚さ方向に互いに重なり合うような配置状態のチャッ
ク電極層とした場合、層数を増やした分だけ通電時にお
けるチャック側面の表面電荷量が多くなる。また、各層
のチャック電極層の形成にあたって、例えば共通のマス
クを使用することも可能であるので、製造コストの増加
も避けることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】[第1の実施形態]以下、本発明
を具体化した一実施形態の静電チャック1及びその製造
方法を図1〜図4に基づき詳細に説明する。
【0013】図1には、本実施形態の静電チャック1が
概略的に示されている。この静電チャック1を構成して
いる多層基板2は、円盤状をした窒化アルミニウム製の
焼結体からなる。多層基板2の内層には、第1のチャッ
ク電極層3、第2のチャック電極層4及びヒータ電極層
6が形成されている。なお、図1(b)では図示の便宜
上ヒータ電極層6は省略されている。第1のチャック電
極層3は、多層基板2において最もチャック側面S1
(図1(b) においては上側面)に位置している。第2の
チャック電極層4は第1のチャック電極層3の下層に位
置し、ヒータ電極層6はさらにその下層に位置してい
る。なお、前記各電極層3,4,6は、いずれも導電性
ペーストP1 を用いて形成されたものである。
【0014】図1(a)に示されるように、第1のチャ
ック電極層3は厚さが約0.3mmであって、櫛歯状に
形成された正極部3aと櫛歯状に形成された負極部3b
とからなる。正極部3a及び負極部3bは、ともに、多
層基板2の外周に位置する半円弧状部分と、その半円弧
状部分から平行にかつ等間隔に延びる多数の直線部分と
により構成されている。正極部3aの有する各直線部分
と負極部3bの有する各直線部分とは、図2に示される
ように1つおきに、即ち互い違いに配置されている。な
お、隣接する直線部分同士の面方向の離間幅L1 は、印
加電圧が500V以上であるときに少なくとも2mm以
上、好ましくは5mm以上確保されていることがよい。
その理由は、高電圧印加時における正極部3a−負極部
3b間での電流リークを防止すべく、充分な絶縁領域を
確保するためである。
【0015】図1(a)に示されるように、第2のチャ
ック電極層4も厚さが約0.3mmであって、櫛歯状に
形成された正極部4aと櫛歯状に形成された負極部4b
とからなる。本実施形態では、前記正極部4aの形状・
大きさは、第1のチャック電極層3の正極部3aの形状
・大きさに等しくなっている。また、前記負極部4bの
形状・大きさも、第1のチャック電極層3の負極部3b
の形状・大きさに等しくなっている。正極部4aの有す
る各直線部分と負極部4bの有する各直線部分とは、同
じく互い違いに配置されている。
【0016】本実施形態の静電チャック1では、各層の
チャック電極層3,4は、同極同士が厚さ方向に互いに
重なり合うような配置状態で形成されている。具体的に
いうと、正極部3a,4a同士、負極部3b,4b同士
が、多層基板2の厚さ方向に互いに重なり合った状態で
配置されている。
【0017】なお、チャック電極層3,4同士を厚さ方
向に絶縁しているセラミックス層の厚さL2 は、印加電
圧が500V以上であるときに少なくとも0.2mm以
上、好ましくは0.3mm以上確保されていることがよ
い。その理由は、高電圧印加時における層間での電流リ
ークを防止すべく、充分な絶縁領域を確保するためであ
る。
【0018】各々のチャック電極層3,4は、図示しな
い2つのスルーホールによって非チャック側面(図1
(b) では下側面)S2 と層間接続されている。正極部3
a,4aに対応するスルーホールのランドには、チャッ
ク用の直流電源7のプラス側が配線を介して接続されて
いる。一方、負極部3b,4bに対応するスルーホール
のランドには、前記直流電源7のマイナス側が配線を介
して接続されている。
【0019】そして、2つのチャック電極層3,4に直
流電流の通電を行った場合、その結果生じる静電チャッ
ク力により、静電チャック1のチャック側面S1 に被吸
着物としてのシリコンウェハW1 が吸着されるようにな
っている。
【0020】ここで、多層基板2のチャック側面S1 の
表面粗さRaは0.07μm以下、より好ましくは0.
05μm以下、最も好ましくは0.03μm以下に設定
されていることがよい。その理由は、チャック側面S1
の平坦度が高くなるほど、即ち表面粗さRaが小さくな
るほど、ジョンソン・ラーベック力が増大するからであ
る。
【0021】多層基板2に形成されたヒータ電極層6
は、図示しない層間接続用のスルーホールを介して、図
示しないヒータ用の直流電源が接続されている。ヒータ
電極層6への通電を行うと、ヒータ電極層6が発熱し
て、静電チャック1全体の温度が上昇する。その結果、
チャック側面S1 にチャックされているシリコンウェハ
W1 が加熱されるようになっている。スパッタリング装
置用である本実施形態の静電チャック1は、通電により
500℃程度の温度まで加熱される。これがCVD用で
ある場合には、通電により800℃程度の温度まで加熱
される。
【0022】次に、本実施形態の静電チャック1を製造
する手順の一例を紹介する。多層基板2の材料となるグ
リーンシートは、セラミックス粉末を主成分として含む
スラリーをドクターブレード法にてシート成形すること
により作製される。得られたグリーンシートの所定位置
には、必要に応じて、ドリル加工あるいは打ち抜き加工
等によりスルーホール形成用孔が形成される。
【0023】グリーンシート用のセラミックス粉末とし
ては、窒化アルミニウム、アルミナ、窒化ほう素、窒化
珪素等の粉末が用いられる。そのなかでも特に窒化アル
ミニウム粉末を選択することが望ましい。窒化アルミニ
ウムからなる焼結体は、耐熱性に優れるばかりでなく、
熱伝導性や耐プラズマ性に優れるため、静電チャック1
用の材料として極めて好都合だからである。
【0024】穴あけ加工を経たグリーンシートには、導
電性粒子としてのタングステン(W)粒子、分散溶媒、
分散剤等を含む導電性ペーストP1 が印刷される。前記
W粒子としては平均粒径が0.5μm〜10μm程度の
ものが使用される。前記分散溶媒としては、α−テルピ
ネオールやグリコール等が挙げられる。これらの物質
は、単独で使用されてもよいほか、二種以上混合して使
用されてもよい。前記分散剤としては、例えば脂肪族ア
ミン塩、芳香族アミン塩、複素環アミン塩、アルキルア
ミン、ポリアルキレンポリアミン誘導体等のアニオン系
分散剤や、エステル型、エステルエーテル型、エーテル
型、含窒素型等のノニオン系分散剤が挙げられる。これ
らの物質は、単独で使用されてもよいほか、二種以上混
合して使用されてもよい。そして、W粒子、分散溶媒、
分散剤等を均一に混合してなる混合物は、三本ロール混
合機等で混練されることにより、所定の粘度及び密度の
範囲に調製された導電性ペーストP1 となる。もっと
も、W粒子の代わりに一炭化一タングステン(WC)粒
子を含む導電性ペーストP1 とすることで、ヒータ電極
層6等の抵抗値の基板内ばらつきを低減させることも可
能である。
【0025】引き続いて行われるペースト印刷工程で
は、まず穴あけ工程を経たグリーンシートを一枚ずつ印
刷装置にセットして、印刷面にメタルマスクを配置す
る。この状態で上記の導電性ペーストP1 を印刷し、ス
ルーホールを形成する。次いで、スルーホール印刷がな
されたグリーンシートを今度はスクリーン印刷機にセッ
トし、印刷面にスクリーンマスクを配置する。この状態
で上記の導電性ペーストP1 をパターン印刷することに
より、グリーンシート表面にチャック電極層3,4、ヒ
ータ電極層6を形成する。なお、導電性ペーストP1 は
スルーホール印刷用のものとパターン印刷用のものとで
同じ組成・密度でもよいほか、若干異なる組成・密度で
あっても構わない。
【0026】次に、ペースト印刷工程を経た複数枚のグ
リーンシートを位置決めして重ね合わせ、この状態で所
定圧力にて真空プレスを行う。その結果、各グリーンシ
ートが一体化し、グリーンシート積層体が形成される。
そして、得られたグリーンシート積層体を、常圧下にて
数十℃〜百数十℃の温度で所定時間加熱することにより
乾燥させる。もっとも、乾燥工程は積層工程の実施前に
行われてもよい。
【0027】乾燥工程を経たグリーンシート積層体は、
本焼成工程の前にあらかじめ下記のような熱処理工程に
付すことにより、脱脂及び仮焼成される。脱脂は真空下
または窒素等の非酸化性雰囲気下にて250℃〜700
℃の温度で行われる。250℃未満の温度であると、脱
脂が不十分になって残炭量の低減につながらないからで
ある。
【0028】仮焼成は窒素等の非酸化性雰囲気下にて9
00℃〜1600℃の温度で行われる。900℃未満で
あると、窒化アルミニウムがネック焼結できず、脆弱な
グリーンシート仮焼体となるおそれがある。なお、仮焼
成時の最高温度は、一炭化二タングステン(W2 C)の
安定生成温度域よりも低い温度(即ち1220℃以下)
であることが好ましい。W2 Cの安定生成を回避するた
めである。
【0029】その後、熱処理工程を経て得られたグリー
ンシート仮焼体をるつぼ内に入れるとともに、必要に応
じてその周囲をセッターで包囲する。この状態のるつぼ
を焼成炉内にセットし、常法に従い1700℃以上の温
度にて所定時間かつ所定圧力でのホットプレス焼成を実
施する。その結果、窒化アルミニウム及び導電性ペース
トP1 が完全に同時焼結し、チャック電極層3,4、ヒ
ータ電極層6等を備える窒化アルミニウム製の多層基板
2が形成される。
【0030】この後、研削機等を用いて多層基板2の外
形加工及び面出し加工を行い、これによりチャック側面
S1 の表面粗さRaを所定範囲内にする。さらに、常法
に従ってコーティング及びI/Oピンのろう付け等の諸
工程を実施し、図1,図2に示されるような所望の静電
チャック1を完成させる。
【0031】
【実施例及び比較例】[サンプルの作製]ここでは次に
示すような3種のサンプルをあらかじめ作製した。
【0032】実施例1であるサンプル1は、外径190
mm、厚さ1.5mmの窒化アルミニウム製多層基板2
からなるものとし、そのチャック側面S1 の表面粗さR
aを0.03μmに設定した。また、チャック電極層
3,4を2層とし、それらの厚さをともに0.3mmに
設定した。
【0033】比較例1であるサンプル2は、外径190
mm、厚さ1.5mmの窒化アルミニウム製多層基板2
からなるものとし、そのチャック側面S1 の表面粗さR
aを0.03μmに設定した。また、チャック電極層3
を単層(1層のみ)とし、その厚さを0.3mmに設定
した。
【0034】比較例2であるサンプル3は、外径190
mm、厚さ1.5mmの窒化アルミニウム製多層基板2
からなるものとし、そのチャック側面S1 の表面粗さR
aを0.1μmに設定した。また、チャック電極層3を
単層(1層のみ)とし、その厚さを0.3mmに設定し
た。なお、グリーンシートや導電性ペーストP1 の組成
等については、実施例1、比較例1,2で全く同一とし
た。[比較試験及びその結果]そして、これら3種のサ
ンプルについて、以下のような比較試験を行った。
【0035】即ち、大気中に保持されている各静電チャ
ック1のチャック側面S1 に、室温にて20mmφのシ
リコンウェハW1 を載せ、通電を開始することによりシ
リコンウェハW1 をチャックさせた。そして、チャック
開始時点から所定時間経過毎に前記シリコンウェハW1
を垂直方向に引っ張り、それを剥がすのに要する力の大
きさ(g/cm2 )の変化を測定した。
【0036】図3のグラフは、印加電圧を1500Vに
設定したときにおける各サンプル1〜3のチャック力
(g/cm2 )の時間的変化を示している。同グラフに
て白抜き四角□でプロットされたものは、実施例1のデ
ータを示す。同じく黒塗り四角■でプロットされたもの
は比較例1のデータ、黒塗り三角▲でプロットされたも
のは比較例2のデータをそれぞれ示す。
【0037】図4のグラフは、印加電圧を2000Vに
設定したときにおける各サンプル2,3のチャック力
(g/cm2 )の時間的変化を示している。同グラフに
て黒塗り四角■でプロットされたものは比較例1のデー
タ、黒塗り三角▲でプロットされたものは比較例2のデ
ータをそれぞれ示す。なお、サンプル1については予想
データである(同グラフの白抜き四角□を参照)。
【0038】1500Vの電圧を印加した場合には、各
サンプルとも時間が経過するにつれてチャック力が増加
する傾向が見られ、数百時間経過後にはそれぞれ最高値
に達することが確認された。ただし、実施例1では最高
値が約12.5g/cm2 であったのに対し、比較例1
ではその値が約9g/cm2 、比較例2ではその値が約
6g/cm2 に止まっていた。
【0039】また、実施例1であるサンプル1と比較例
2であるサンプル3とで互いのチャック力曲線を全体的
に比較してみると、前者は後者の約2倍になることが認
められた。比較例1であるサンプル2のチャック力曲線
は、実施例1及び比較例2の中間に位置してはいるもの
の、どちらかというと比較例2に近いものであった。
【0040】一方、2000Vの電圧を印加した場合に
は、比較例1であるサンプル2及び比較例2であるサン
プル3の両方について、チャック力が1.5倍前後強く
なることが確認された。また、1500Vの電圧印加時
と同様に、両サンプル2,3とも時間が経過するにつれ
てチャック力が増加する傾向が見られ、数百時間経過後
にはそれぞれ最高値に達することが確認された。従っ
て、実施例1について仮に2000Vの電圧を印加すれ
ば、1500Vの電圧印加時のときよりもさらに強いチ
ャック力を達成できるものと予想された。 [結論]以上の結果を総合すると、本実施形態の実施例
1によれば下記のような効果を得ることができる。
【0041】(1)実施例1の静電チャック1では、多
層基板2における2層にチャック電極層3,4を形成し
たことを特徴としている。従って、仮に電圧・電流を等
しくして通電を行った場合でも、チャック電極層が1層
のみにしか形成されていない従来例(即ち比較例1,
2)に比べ、チャック側面S1 の表面電荷量が確実に多
くなる。従って、チャック力の強い、優れた静電チャッ
ク1とすることができる。このため、例えば大口径のシ
リコンウェハW1 や多数のシリコンウェハW1 をチャッ
クするときでも、その確実な固定を実現することができ
る。つまり、シリコンウェハW1 の位置ずれや脱落を未
然に防止することができる。
【0042】(2)実施例1の静電チャック1では、多
層基板2の少なくともチャック側面S1 の表面粗さRa
が、0.03μmという極めて小さな値に設定されてい
る。そして、このようにチャック側面S1 の平坦度を高
くしておくことにより、ジョンソン・ラーベック力の増
大が図られ、ひいてはチャック力のよりいっそうの増大
を図ることができる。
【0043】(3)実施例1の静電チャック1において
は、各層のチャック電極層3,4は、同極同士が厚さ方
向に互いに重なり合うような配置状態で形成されてい
る。従って、層数を増やした分だけ通電時におけるチャ
ック側面S1 の表面電荷量が多くなる。即ち、比較試験
の結果を示す図3のグラフからも明らかなように、電圧
・電流を等しくして通電を行った場合でも、実施例1で
は比較例2の約2倍のチャック力を達成することができ
る。勿論、印加電圧をより大きく設定すれば、よりいっ
そう大きなチャック力を達成することも可能である。
【0044】また、各層のチャック電極層3,4のスク
リーン印刷にあたって、例えば共通のマスクを使用する
ことも可能であるので、製造コストの増加も避けること
ができる。
【0045】(4)実施例1の静電チャック1は、窒化
アルミニウム製の多層基板2からなる。従って、基板材
料を樹脂製とした場合やアルミナ製とした場合に比べて
格段に耐熱性に優れており、500℃以上の高温にも耐
えることができる。また、窒化アルミニウム製の多層基
板2は樹脂やアルミナ等に比べて熱伝導率が大きいた
め、シリコンウェハW1 を均一にムラなく加熱でき、高
品質の半導体を得ることができる。さらに、窒化アルミ
ニウムは樹脂やアルミナ等に比べて熱膨張係数が小さく
てシリコンの熱膨張係数に近いため、ヒートサイクルに
遭遇してもパーティクルを発生させにくい。従って、半
導体の製造時にシリコンウェハW1 を汚染することもな
く、このことにより歩留まり向上及び高品質化が図られ
る。
【0046】(5)実施例1においてチャック電極層
3,4の厚さは0.3mmに設定され、それによる低抵
抗化が図られている。よって、強いチャック力を得るの
に必要な大電流を、両チャック電極層3,4に無理なく
確実に流すことができる。
【0047】(6)実施例1において、各チャック電極
層3,4の面方向における離間幅L1 は、少なくとも2
mm以上は確保されている。また、チャック電極層3,
4同士を厚さ方向に絶縁しているセラミックス層の厚さ
は、少なくとも0.2mm以上は確保されている。従っ
て、チャック電極層3,4への大電圧印加時でも電流が
リークせず、確実な絶縁が図られる。ゆえに、印加電圧
を1500V,2000Vと極めて大きな値に設定した
としても、特段の問題を生じさせることなく確実にチャ
ック力の増大を達成することができる。
【0048】なお、本発明の実施形態は以下のように変
更してもよい。 ・ 図5に示される別例の静電チャック21のようにし
てもよい。この静電チャック21は、多層基板22にチ
ャック電極層3,4が2層形成されている点で前記実施
形態と共通する。しかしながら、正極部3aと負極部4
bとが多層基板2の厚さ方向に互いに重なり合った状
態、かつ負極部3bと正極部4aとが同方向に互いに重
なり合った状態で配置されている。即ち、この別例は、
異極同士が厚さ方向に互いに重なり合うような配置状態
で配置されている点で前記実施形態と相違する。従っ
て、チャック電極層3,4に通電を行った場合、チャッ
ク側面S1 に近い側(外層側)にあるチャック電極層3
に溜まる電荷が、チャック側面S1 から遠い側(内層
側)にあるチャック電極層4に溜まる異符号の電荷によ
って内層側に引っ張られる。すると、チャック電極層3
に溜まる電荷が見かけ上大きくなり、いわば積層コンデ
ンサにおいて逆バイアスをかけたときのような作用に類
似した作用を得ることができると推測される。その結
果、チャック力の強い静電チャック21を実現すること
ができる。
【0049】・ チャック電極層3,4は前記実施形態
のように2層のみに限定されることはなく、例えば図6
に示される別例の静電チャック31のように多層基板3
2にチャック電極層3,4,5の3層を形成してもよ
い。ここでも各層のチャック電極層3,4,5は、同極
同士が厚さ方向に互いに重なり合うような配置状態で形
成されている。具体的にいうと、正極部3a,4a,5
a同士、負極部3b,4b,5b同士が、多層基板2の
厚さ方向に互いに重なり合った状態で配置されている。
勿論、チャック電極層3,4,5を4層以上(4,5,6,7,
8,9,10…)形成した構成を採用することも許容される。
【0050】・ 各層のチャック電極層3,4,5は、
厚さ方向に互いに完全に重なり合うような配置状態で形
成されるばかりでなく、一部のみが互いに重なり合うよ
うな配置状態で形成されてもよい。また、各層のチャッ
ク電極層3,4,5は、互いに全く重なり合わず、面方
向にずらされたような配置状態で形成されることも許容
される。
【0051】・ 前記実施形態や別例のようにチャック
電極層3,4,5の全てが多層基板2,22,32の内
層に形成されている構造のみならず、一部のものが外層
に形成されている構造を採用することも許容される。た
だし、各層のチャック電極層3,4,5が全て内層に形
成されているほうが、数百℃以上の高温での使用に適し
たものとすることができる。
【0052】・ 前記実施形態や別例のように多層基板
2,22,32にヒータ電極層6が形成されたものに代
え、ヒータ電極層6が省略された構成とすることも許容
される。
【0053】・ 本発明の静電チャック1,21,31
は、使用温度が−50℃〜250℃である実施形態のよ
うなエッチング装置用の静電チャック1,21,31に
のみ具体化されるに止まらない。即ち、使用温度が15
0℃〜250℃のアッシング装置用、使用温度が室温〜
500℃のスパッタリング装置用、使用温度が400℃
〜1000℃のCVD装置用としても具体化されること
も可能である。特に、多層基板2,22,32の内層に
RF電極層を形成しておけば、プラズマCVD装置用に
好適な静電チャック1,21,31とすることができ
る。
【0054】次に、特許請求の範囲に記載された技術的
思想のほか、前述した実施形態によって把握される技術
的思想を、必要に応じその効果とともに以下に列挙す
る。 (1) 請求項1〜3のいずれか1つにおいて、前記多
層基板は窒化アルミニウム製の焼結体からなり、前記チ
ャック電極層はタングステン粒子を含む導電性ペースト
を用いて形成されたものであること。従って、この技術
的思想1に記載の発明によれば、耐熱性や耐久性に優れ
るとともに、熱伝導率が大きくて均熱性に優れ、しかも
熱膨張係数が小さいためパーティクルを発生させにく
い、極めて優れた静電チャックを提供することができ
る。
【0055】(2) 請求項1〜3、技術的思想1のい
ずれか1つにおいて、前記チャック電極層の厚さは0.
3mmであること。従って、この技術的思想2に記載の
発明によれば、チャック電極層の低抵抗化が図られるた
め、強いチャック力を得るのに必要な大電流を流すこと
ができる。
【0056】(3) 請求項3、技術的思想1,2のい
ずれかにおいて、前記各チャック電極層の面方向におけ
る離間幅は、印加電圧が500V以上であるときに少な
くとも2mm以上は確保されていること。従って、この
技術的思想3に記載の発明であると、チャック電極層へ
の大電圧印加時でも電流がリークせず、確実な絶縁が図
られる。
【0057】(4) 請求項3,技術的思想3におい
て、前記チャック電極層同士を厚さ方向に絶縁している
セラミックス層の厚さは、印加電圧が500V以上であ
るときに少なくとも0.2mm以上は確保されているこ
と。この技術的思想4に記載の発明によれば、チャック
電極層への大電圧印加時でも電流がリークせず、確実な
絶縁が図られる。
【0058】(5) 請求項1,2において、前記各層
のチャック電極層は、異極同士が厚さ方向に互いに重な
り合うような配置状態で形成されていること。従って、
この技術的思想5に記載の発明によれば、積層コンデン
サの逆バイアス作用に類似した作用が得られ、強いチャ
ック力を達成することができる。
【0059】(6) 請求項1〜3、技術的思想1〜5
のいずれかにおいて、前記多層基板はヒータ電極層を備
えること。 (7) 請求項1〜3、技術的思想1〜6のいずれかに
おいて、前記多層基板はRF電極層を備えること。従っ
て、この技術的思想7に記載の発明によれば、例えばプ
ラズマの安定化が必要なプラズマCVDに用いる静電チ
ャックとして好適なものとなる。
【0060】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜3に記
載の発明によれば、チャック力の強い静電チャックを提
供することができる。
【0061】請求項2に記載の発明によれば、よりいっ
そうチャック力の強いものとすることができる。請求項
3に記載の発明によれば、製造コストの増加を避けつつ
チャック力の増大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明を具体化した一実施形態の静電
チャックの平面図、(b)は(a)のA−A線における
概略断面図。
【図2】同じく静電チャックの要部拡大概略断面図。
【図3】印加電圧を1500Vに設定したときにおける
各サンプルのチャック力の時間的変化を示すグラフ。
【図4】印加電圧を2000Vに設定したときにおける
各サンプルのチャック力の時間的変化を示すグラフ。
【図5】別例の静電チャックの要部拡大概略断面図。
【図6】別例の静電チャックの要部拡大概略断面図。
【図7】従来例の静電チャックの概略断面図。
【符号の説明】
1,21,31…静電チャック、2,22,32…多層
基板、3,4,5…チャック電極層、S1 …チャック側
面、Ra…表面粗さ、W1 …被吸着物としての半導体ウ
ェハ。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミックス焼結体製の多層基板に形成さ
    れたチャック電極層への通電により、被吸着物が静電的
    に吸着される静電チャックであって、前記多層基板にお
    ける複数の層に前記チャック電極層が形成されているこ
    とを特徴とする静電チャック。
  2. 【請求項2】前記多層基板の少なくともチャック側面の
    表面粗さ(Ra)は0.05μm以下であることを特徴
    とする請求項1に記載の静電チャック。
  3. 【請求項3】前記各層のチャック電極層は、同極同士が
    厚さ方向に互いに重なり合うような配置状態で形成され
    ていることを特徴とする請求項1または2に記載の静電
    チャック。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013516759A (ja) * 2010-01-05 2013-05-13 株式会社ニコン ハイブリッド静電チャック
JP2018133502A (ja) * 2017-02-16 2018-08-23 日本特殊陶業株式会社 静電チャックおよび基板保持方法
US10276420B2 (en) 2016-09-15 2019-04-30 Kabushiki Kaisha Toshiba Electrostatic chuck and semiconductor manufacturing apparatus

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