JP2000018264A - シール付き転がり軸受 - Google Patents

シール付き転がり軸受

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JP2000018264A
JP2000018264A JP10190278A JP19027898A JP2000018264A JP 2000018264 A JP2000018264 A JP 2000018264A JP 10190278 A JP10190278 A JP 10190278A JP 19027898 A JP19027898 A JP 19027898A JP 2000018264 A JP2000018264 A JP 2000018264A
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bearing
seal
sealing surface
coating
life
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Masaru Konno
大 金野
Toyohisa Yamamoto
豊寿 山本
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高価な材料で軸受部材を形成することなく、腐
食性水溶液のミストが存在する環境下での軸受寿命を長
くする。 【解決手段】シール4の密封面43aが接触する軌道輪
の面(ここでは内輪2の密封面21a)に、固体潤滑剤
を含む材料からなる被覆5を形成する。この被覆5によ
り、シール4の密封面43aと内輪2の密封面21aと
の摩耗が低減されるため、両密封面間に隙間が生じ難く
なる。これにより、軸受の周囲に腐食性水溶液からなる
ミストが存在していても、このミストは軸受内部に浸入
し難くなるため、腐食性水溶液のミストが存在する環境
下での軸受寿命が長くなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は接触形のシールを有
するシール付き転がり軸受に関し、特に、酸やアルカリ
等の腐食性水溶液のミストが存在する環境下での軸受寿
命を長くする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、半導体装置や液晶ディスプレ
イの製造工程においては、製造過程の製品を搬送装置に
より各製造装置や洗浄装置まで移動させており、搬送装
置の駆動用軸受としてはシール付き軸受が使用されてい
る。また、洗浄液としては、酸やアルカリ等の腐食性水
溶液が多く使用されている。そのため、特に洗浄装置の
近くに配置された搬送装置に取り付けられているシール
付き軸受は、軸受の回転に伴いシールのリップ部が摩耗
してシールの密封面と軌道輪の密封面との間に隙間が生
じると、この隙間から軸受内部に腐食性水溶液のミスト
が浸入して軸受の潤滑不良が生じ、軸受寿命が低下する
恐れがある。
【0003】このように腐食性水溶液が軸受内部に浸入
しても軸受寿命を長くするために、軸受の内輪、外輪、
および転動体の全てをステンレス鋼またはセラミックス
で形成するか、一部だけをセラミックスで形成すること
により軸受部材の耐食性を向上させる方法や、グリース
を用いたり、潤滑性を有する樹脂材料で形成された保持
器を用いたりすることで潤滑性を保持する方法等が提案
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、半導体
装置や液晶ディスプレイの製造工程の場合には、洗浄時
の製品への汚染を防止するためにグリースを使用するこ
とができない。また、軸受部材の耐食性を向上させるた
めにセラミックス材料等を用いる方法では、軸受のコス
トが高くなるという問題点がある。
【0005】なお、シール構造についての従来技術とし
ては、流体ポンピング作用を有するラビリンスシール構
造(実開平7−10630号公報)や、二つのシール体
からなり、一方のシール体はシールリップを有し、この
シールリップに他方のシール体が押し付け状態で接触す
る構造であって、他方のシール体のシールリップが接触
する面に不働態膜が形成されている構造(特開平7−2
17663号公報)がある。
【0006】また、オイルシールのシールリップの密封
面にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)からなる
連続多孔質材を配した構造(実開平6−1932号公
報)、オイルシールのシールリップの密封面にフッ素系
樹脂シートを貼りつけ、このシートに油溜め用の溝が形
成してある構造(実開平6−16771号公報)、シー
ルリングの運搬時にシール材同士が粘着することを防止
するために、ゴム製のシール材にフッ化化合物からなる
油をコーティングした構造(実開平7−25336号公
報)もある。
【0007】しかしながら、いずれの構造も、腐食性水
溶液のミストが軸受内部に浸入しないようにすることを
目的としたものではなく、腐食性水溶液のミストが存在
する環境下での軸受寿命を長くすることのできる低コス
トで有効な技術が求められていた。
【0008】本発明は、このような従来技術の問題点に
着目してなされたものであり、接触形のシールを有する
シール付き転がり軸受において、高価な材料で軸受部材
を形成することなく、腐食性水溶液のミストが存在する
環境下での軸受寿命を長くすることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、接触形のシールを有するシール付き転が
り軸受において、シールの密封面(シールのリップ部の
軌道輪との接触面)および軌道輪の密封面の少なくとも
一方は、固体潤滑剤を含む材料で被覆されていることを
特徴とするシール付き転がり軸受を提供する。このシー
ル付き転がり軸受によれば、軸受の回転に伴うシールの
リップ部の摩耗が低減されるため、シールの密封面と軌
道輪の密封面との間に隙間が生じ難くなる。これによ
り、腐食性水溶液のミスト等が軸受内部に浸入すること
が防止される。
【0010】シールの密封面および軌道輪の密封面を固
体潤滑剤を含む材料で被覆する方法としては、無電解メ
ッキ液に固体潤滑剤の粉末を分散させて攪拌状態で無電
解メッキを行うことにより、シールまたは軌道輪の密封
面に固体潤滑剤の微粒子が分散された金属膜を形成する
方法や、固体潤滑剤の粉末と熱硬化性樹脂等からなるバ
インダとを含む塗料をシールまたは軌道輪の密封面に塗
布した後、バインダを硬化させることにより、固体潤滑
剤の微粒子がバインダで結合された被覆を密着面に形成
する方法等が挙げられる。
【0011】また、接触形のシールを有するシール付き
転がり軸受において、シールの密封面および軌道輪の密
封面の少なくとも一方に疎水性の被膜が形成されている
シール付き転がり軸受によれば、シールの密封面と軌道
輪の密封面との間に隙間が生じた場合でも、外部から浸
入しようとする親水性の液体は密封面に設けた疎水性の
被膜で弾かれるため、腐食性水溶液のミストが軸受内部
に浸入することが防止される。
【0012】疎水性の被膜の形成方法としては、フッ素
系の界面活性剤を溶剤に溶かした液体を、シールまたは
軌道輪の密封面に塗布した後に、溶剤を乾燥させる方法
等がある。疎水性の被膜は長期間に渡って疎水性が維持
できるものであることが好ましいが、そのような被膜を
形成可能なフッ素系の界面活性剤としては、例えば、フ
ルオロアルキル(炭素数2〜10)カルボン酸、N−パ
ーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウ
ム、3−[フルオロアルキル(炭素数6〜8)オキシ]
−1−アルキル(炭素数3,4)スルホン酸ナトリウ
ム、3−[ω−フルオロアルカノイル(炭素数6〜8)
−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリ
ウム、N−[3−(パーフルオロオクタン)スルホンア
ミドプロピル]−N,N−ジメチル−N−カルボキシメ
チレンアンモニウムベタイン、フルオロアルキル(炭素
数11〜20)カルボン酸、パーフルオロアルキル(炭
素数7〜13)カルボン酸、パーフルオロオクタンスル
ホン酸ジエタノールアミド、パーフルオロアルキル(炭
素数7〜14)スルホン酸塩(Li,K,Na)、N−
プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロ
オクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(炭素
数6〜10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモ
ニウム塩、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)−
N−エチルスルホニルグリシン塩(K)、リン酸ビス
(N−パーフルオロオクチルスルホニル)−N−エチル
アミノエチル、モノパーフルオロアルキル(炭素数6〜
16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0013】このような界面活性剤は化学メーカー各社
から容易に入手することが可能であり、例えば、メガフ
ァック(大日本インキ化学)、エフトップ(新秋田化
成)、サーフロン(旭硝子)、フタージェント(ネオ
ス)、ユニダイン(ダイキン工業)、フローラード(ス
リーエム)、モンフロー(ICI)、ゾニール(デュポ
ン)等の商品名が挙げられる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。図1は、本発明の一実施形態に相当するシー
ル付き転がり軸受を示す断面図であり、図2は図1のA
部分の拡大図である。
【0015】このシール付き転がり軸受1は、内輪2と
外輪3との間の両側に接触形のシール4が付いている両
シール軸受である。シール4は合成ゴム製であり、円環
状の主部41の外側に、外輪3の内周面に設けた止め溝
31に嵌め入れられる取付け部42を有し、円環状の主
部41の内側に、内輪2の外周面に設けた受け溝21に
係止されるリップ部43を有する構造となっている。 [固体潤滑剤を含む材料からなる被覆を設けた実施形
態]図2に示すように、内輪2の外周面には、軌道面を
含めた全面に、固体潤滑剤を含む材料からなる被覆5が
施されている。すなわち、リップ4の密封面43aが接
触する内輪2の密封面21a(受け溝21の軌道面側の
側壁)は、固体潤滑剤を含む材料で被覆されている。こ
の被覆5は、例えば、内輪2の外周面に対して、固体潤
滑剤の粉末を分散させた無電解メッキ液を用いた無電解
メッキを行うことにより形成することができる。
【0016】したがって、この軸受1は、内輪2の回転
に伴って、内輪2の密封面21aがシール4のリップ部
43の密封面43aに接触した状態で回転するが、内輪
2の密封面21aとシール4の密封面43aとの間に固
体潤滑剤を含む材料からなる被覆5が存在するため、こ
のような被覆5がない場合と比較して両密封面21a,
43a間の摩耗が低減される。そのため、シール4の密
封面43aと内輪2の密封面21aとの間に隙間が生じ
難くなる。これにより、軸受1の周囲に腐食性水溶液か
らなるミストが存在していても、このミストは軸受内部
に浸入し難くなるため、腐食性水溶液のミストが存在す
る環境下での軸受寿命が長くなる。
【0017】具体的に、SUS440Cで形成された内
輪2、外輪3、および転動体6と、ETFE(エチレン
−テトラフルオロエチレン交互共重合体)で形成された
保持器7と、ニロチルゴムで形成されたシール4とを用
い、内径8mm、外面22mm、幅7mmの両シール玉
軸受を作製して、腐食性水溶液の環境下での寿命試験を
行った。
【0018】実施例1の軸受は、内輪2に対して以下の
ようにして被覆5の形成を行った。先ず、無電解ニッケ
ルメッキ液として奥野製薬(株)製トップニコジットM
を用意した。次に、このメッキ液に、粒径0.5μm〜
2.0μmのPTFEの粉末を10重量%の割合で混合
することにより、固体潤滑剤であるPTFEの粉末が分
散混合された無電解ニッケルメッキ液を得た。
【0019】このメッキ液が入った80℃のメッキ浴中
に、外周面以外の面をマスキングした内輪2を入れて、
20分間浸漬する。内輪の浸漬中は、このメッキ浴のメ
ッキ液をスターラーで攪拌状態にしておく。これによ
り、ニッケル膜中にPTFE粉末が均一に分散された被
覆5が、内輪2の外周面全体に5μmの厚さで形成され
た。
【0020】比較例として、内輪2に対してこのような
被覆5の形成を行わなかった点以外は実施例1と同様の
軸受を作製した。寿命試験は、各サンプルの軸受を環境
試験機内に入れて、100Nのラジアル荷重を負荷した
状態で回転数600rpmで回転させ、この軸受に対し
て5%塩酸(塩化水素を5体積%含有する水溶液)を噴
霧することにより行った。5%塩酸の噴霧条件は、噴霧
量約0.02リットル/m3 以下、雰囲気温度30℃とし
た。所定時間毎に各サンプルの軸受摩耗率を調べた。軸
受摩耗率は、試験を所定時間行った後に軸受全体の重量
を測定し、この値の試験開始前の重量に対する減少率を
算出した値である。その結果を図3にグラフで示す。
【0021】シール4の密封面43aと内輪2の密封面
21aとの間に摩耗が生じて両密封面間に隙間が生じる
と、この隙間から塩酸のミストが軸受内部に浸入し、内
輪2および外輪3の軌道面が腐食し始める。そして、腐
食が進むと軌道面から摩耗粉が発生するようになるが、
前記軸受摩耗率が2%以上となるとこのような摩耗粉の
発生により軸受の機能が著しく低下するため、この試験
では、前記軸受摩耗率が2%となる試験時間を軸受寿命
とした。図3のグラフから分かるように、被覆5を有す
る実施例1の軸受寿命は、被覆5のない比較例の軸受寿
命の4倍程度となった。
【0022】また、メッキ浴への浸漬時間を変えること
により厚さを種々変化させた被覆5を内輪2の外周面全
体に形成し、被覆5の厚さとシールの摩耗率との関係を
調べた。すなわち、被覆5の厚さの点以外は前記実施例
1と同じ軸受を作製し、同じ試験を96時間行った後に
シールの摩耗率を測定した。その結果を図4にグラフで
示す。
【0023】このグラフから分かるように、被覆5の厚
さが2μm未満では被覆5の厚さが厚くなるほどシール
摩耗率は急激に低下するが、被覆5の厚さが2μmとな
る付近で急激な低下は終わり、被覆5の厚さが3μm以
上となるとシール摩耗率は約0.1%で飽和する。した
がって、被覆5の厚さは2μm以上であることが好まし
く、3μm以上であることがより好ましい。また、被覆
5の厚さの上限は特に限定されないが、軸受内部隙間に
影響を与えないためには15μm以下であることが好ま
しい。
【0024】図5(図1のA部分の拡大図)に示すよう
に、固体潤滑剤を含む材料からなる被覆5は、シール4
の密封面43aに設けてあってもよい。このような構成
の実施形態(実施例2)について次に述べる。
【0025】実施例2として、被覆5をシール4の密封
面43aに設けて、内輪2の密着面21aには被覆5を
設けなかったこと以外は実施例1と同じ両シール玉軸受
を作製した。この軸受に対して、上記と同じ方法で塩酸
ミストの環境下での寿命試験を行い、軸受寿命(軸受摩
耗率が2%となる試験時間)を調べた。
【0026】シール4の密封面43aに対する被覆5の
形成は、以下のようにして行った。先ず、2液型のエポ
キシ樹脂塗料の主剤に、PTFE粉末(三井デュポンフ
ロロケミカル社製TLP−10)を20重量%の割合で
配合し、これに硬化剤を混合したものをシール4の密封
面43aに厚さ5μmで塗布した。この状態で室温で所
定時間放置することにより、バインダであるエポキシ樹
脂を硬化させた。これにより、PTFE粉末が均一に分
散されているエポキシ樹脂の被覆5が、厚さ5μmでシ
ール4の密封面43aに形成された。
【0027】固体潤滑剤を含む材料からなる被覆5は、
内輪2の密着面21aとシール4の密封面43aの両方
に設けてあってもよい。このような構成の実施形態(実
施例3)について次に述べる。
【0028】実施例3として、シール4の密封面43a
に対する被覆5の形成を実施例2と同じ方法で行ったこ
と以外は実施例1と同じ両シール玉軸受を作製した。す
なわち、この軸受の内輪2の外周面全体(密着面21a
を含む)には、ニッケル膜中にPTFE粉末が均一に分
散された被覆5が5μmの厚さで形成されており、シー
ル4の密封面43aには、PTFE粉末が均一に分散さ
れているエポキシ樹脂の被覆5が厚さ5μmで形成され
ている。
【0029】この軸受に対して、上記と同じ方法で塩酸
ミストの環境下での寿命試験を行い、軸受寿命(軸受摩
耗率が2%となる試験時間)を調べた。これらの試験結
果から、比較例の軸受寿命に対する各実施例の軸受寿命
の比(寿命比)を算出した。各実施例の寿命比を図6に
グラフで示す。
【0030】このグラフから分かるように、シール4の
密封面43aまたは内輪2の密封面21aに固体潤滑剤
を含む材料からなる被覆5を形成することにより、塩酸
ミストが存在する腐食環境下での軸受寿命を長くするこ
とができる。シール4の密封面43aに対する被覆5と
内輪2の密封面21aに対する被覆5との比較では、同
じ厚さの被覆5の場合、内輪2の密封面21aに対する
被覆5の方がその効果は高い。また、シール4の密封面
43aと内輪2の密封面21aの両方に被覆5が形成さ
れていると、特に高い効果が得られる。 [疎水性被膜を設けた実施形態]図7(図1のA部分の
拡大図)に示すように、シール4の密封面43aに対し
て疎水性の被膜8が形成されていると、シール4の密封
面43aと内輪2の密封面21aとの間に隙間が生じた
場合でも、外部から浸入しようとする親水性の液体は疎
水性の被膜8で弾かれる。これにより、腐食性水溶液の
ミストが軸受内部に浸入することが防止される。
【0031】実施例4として、疎水性の被膜8をシール
4の密封面43aに設けて、内輪2の密着面21aには
被覆5を設けなかったこと以外は実施例1と同じ両シー
ル玉軸受を作製した。この軸受に対して、上記と同じ方
法で塩酸ミストの環境下での寿命試験を行い、軸受寿命
(軸受摩耗率が2%となる試験時間)を調べた。
【0032】シール4の密封面43aに対する疎水性の
被膜8の形成は、以下のようにして行った。先ず、旭硝
子(株)製のフッ素系界面活性剤「サーフロン」を酢酸
メチルで10体積%に希釈した液体中に、シール4のリ
ップ43を含む全体を1分間浸漬した後、100℃の空
間に2時間放置して酢酸メチルを乾燥させた。これによ
り、シール4の密封面43aに疎水性の被膜8を形成し
た。
【0033】実施例5として、実施例4と同じ方法で疎
水性の被膜8をシール4の密封面43aに設けたこと以
外は実施例1と同じ両シール玉軸受を作製した。すなわ
ち、図8に示すように、この軸受の内輪2の外周面全体
(密着面21aを含む)には、ニッケル膜中にPTFE
粉末が均一に分散された被覆5が5μmの厚さで形成さ
れており、シール4の密封面43aを含む全表面には、
フッ素系界面活性剤からなる被膜8が形成されている。
【0034】この軸受に対して、上記と同じ方法で塩酸
ミストの環境下での寿命試験を行い、軸受寿命(軸受摩
耗率が2%となる試験時間)を調べた。これらの試験結
果から、比較例の軸受寿命に対する各実施例の軸受寿命
の比(寿命比)を算出した。各実施例の寿命比を図9に
グラフで示す。
【0035】このグラフから分かるように、シール4の
密封面43aに疎水性の被膜8を形成することにより、
塩酸ミストが存在する腐食環境下での軸受寿命を長くす
ることができる。また、シール4の密封面43aに疎水
性の被膜8が形成されるとともに、内輪2の密封面21
aに固体潤滑剤を含む材料からなる被覆5が形成されて
いると、塩酸ミストが存在する腐食環境下での軸受寿命
をより長くすることができる。
【0036】なお、この実施形態では、疎水性の被膜8
をシール4の密封面43aに形成しているが、内輪2の
密封面21aに形成してもよいし、シール4の密封面4
3aと内輪2の密封面21aの両方に形成してもよい。
疎水性の被膜8を内輪2の密封面21aに形成する場合
には、内輪2の密封面21aに固体潤滑剤を含む材料か
らなる被覆5を形成した後、この被覆5の上に疎水性の
被膜8を形成することが好ましい。また、疎水性の被膜
8をシール4側に形成する場合には、密封面43aだけ
でなくリップ43の表面全体に形成してもよい。疎水性
の被膜8を内輪2側に形成する場合には、内輪2の密封
面21aだけでなく内輪2の外周面全体に形成してもよ
い。
【0037】また、前記各実施形態において、固体潤滑
剤を含む材料からなる被覆5は内輪2の外周面全体に形
成されているが、少なくとも密封面(シール4のリップ
43が接触する面)21aに形成されていればよい。た
だし、密封面21aのみに被覆5を形成するためにはそ
れ以外の部分をマスキングする必要があって手間がかか
ること、および軌道面に被覆5が形成されていても軸受
の使用時にすぐに剥がれることから、被覆5を内輪2の
外周面全体に形成した方が製造上の手間を軽減できる。
【0038】また、前記各実施形態の軸受は内輪回転用
の軸受であることから、内輪の外周面に密封面を設けて
あるため、固体潤滑剤を含む材料からなる被覆を内輪の
外周面に形成した形態が記載されているが、本発明はこ
れに限定されず、外輪回転用の軸受の場合には、外輪の
内周面に設けた密封面に固体潤滑剤を含む材料からなる
被覆を設ければよい。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のシール付
き軸受によれば、シールの摩耗が低減されてシールの密
封面と軌道輪の密封面との間に隙間が生じ難くなるた
め、軸受内部に水分が浸入することを防止できる。その
結果、軸受部材を高価な耐腐食性材料で形成することな
く、腐食性水溶液からなるミストが存在する環境下で使
用した場合の軸受寿命を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に相当するシール付き転が
り軸受を示す断面図である。
【図2】実施例1のシール付き転がり軸受の構成を示す
断面図であって、図1のA部分の拡大図に相当する図で
ある。
【図3】実施例1と比較例のシール付き転がり軸受につ
いて、軸受摩耗率と試験時間との関係を示すグラフであ
る。
【図4】実施例1のシール付き転がり軸受に関し、固体
潤滑剤を含む材料で形成された被覆の厚さと所定試験時
間でのシール摩耗率との関係を示すグラフである。
【図5】実施例2のシール付き転がり軸受の構成を示す
断面図であって、図1のA部分の拡大図に相当する図で
ある。
【図6】実施例1〜3のシール付き転がり軸受の軸受寿
命を、比較例のシール付き転がり軸受の軸受寿命に対す
る比で示すグラフである。
【図7】実施例4のシール付き転がり軸受の構成を示す
断面図であって、図1のA部分の拡大図に相当する図で
ある。
【図8】実施例5のシール付き転がり軸受の構成を示す
断面図であって、図1のA部分の拡大図に相当する図で
ある。
【図9】実施例1,4,5のシール付き転がり軸受の軸
受寿命を、比較例のシール付き転がり軸受の軸受寿命に
対する比で示すグラフである。
【符号の説明】
1 シール付き転がり軸受 2 内輪 21 受け溝 21a 内輪の密封面 3 外輪 31 止め溝 4 シール 41 主部 42 取付け部 43 リップ部 43a シールの密封面 5 固体潤滑剤を含む材料からなる被覆 6 転動体 7 保持器 8 疎水性被膜

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 接触形のシールを有するシール付き転が
    り軸受において、シールの密封面および軌道輪の密封面
    の少なくとも一方は、固体潤滑剤を含む材料で被覆され
    ていることを特徴とするシール付き転がり軸受。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002372066A (ja) * 2001-06-14 2002-12-26 Toyota Motor Corp バーフィールド型等速ジョイント
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