JP2000018156A - ピストン式圧縮機 - Google Patents

ピストン式圧縮機

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JP2000018156A
JP2000018156A JP11114531A JP11453199A JP2000018156A JP 2000018156 A JP2000018156 A JP 2000018156A JP 11114531 A JP11114531 A JP 11114531A JP 11453199 A JP11453199 A JP 11453199A JP 2000018156 A JP2000018156 A JP 2000018156A
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JP
Japan
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piston
elastic member
thrust bearing
housing
type compressor
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JP11114531A
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English (en)
Inventor
Tetsuhiko Fukanuma
哲彦 深沼
Masakazu Murase
正和 村瀬
Takuya Okuno
卓也 奥野
Michiyasu Nosaka
倫保 野坂
Akio Morishita
昭生 森下
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Toyota Industries Corp
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハウジングに対するピストン駆動部の傾きに
起因した異音・振動の発生を抑制可能な構成のピストン
式圧縮機を提供すること。 【解決手段】 ピストン36はシリンダボア12aに収
容されている。斜板23はクランク室15において駆動
軸16に一体回転可能に支持されている。ピストン36
は斜板23に連結されている。駆動軸16の回転運動は
斜板23を介してピストン36の往復運動に変換され、
シリンダボア12a内において冷媒ガスの圧縮が行われ
る。スラストベアリング44は、フロントハウジング1
1と回転支持体22との間に介在され、回転支持体22
に作用するスラスト荷重を支持する。弾性部材62は、
フロントハウジング11とスラストベアリング44との
間に圧縮状態で介在されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、車両エア
コンシステムに用いられるピストン式圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の圧縮機としては、例えば、図1
0及び図11に示すようなクラッチレス可変容量型圧縮
機が存在する。クランク室101 は、ハウジング102 内に
区画形成されている。駆動軸103 は、クランク室101 を
挿通するようにしてハウジング102 に回転可能に支持さ
れている。駆動軸103 は、外部駆動源としての車両エン
ジン112 に、電磁クラッチ等のクラッチ機構を介するこ
となく直結されている。従って、駆動軸103 は、車両エ
ンジン112 の起動時には常時回転される。
【0003】回転支持体104 は、クランク室101 におい
て駆動軸103 に固定されている。斜板105 は、駆動軸10
3 に対してその軸線L方向へスライド移動可能でかつ傾
動可能に支持されている。ヒンジ機構106 は、斜板105
の上死点対応位置D1付近において、回転支持体104 と斜
板105 との間に介在されている。斜板105 は、ヒンジ機
構106 の介在により、駆動軸103 に対して傾動可能でか
つ駆動軸103 と一体的に回転可能となっている。
【0004】複数(6ヶ所)のシリンダボア102aはハウ
ジング102 に形成され、駆動軸103の軸線L周りに等間
隔で配置されている。ピストン107 は各シリンダボア10
2aに往復動可能に収容されている。ピストン107 は斜板
105 の外周部にシュー108 を介して係留されている。従
って、駆動軸103 が車両エンジン112 の起動により回転
すると、回転支持体104 及びヒンジ機構106 を介して斜
板105 が回転される。斜板105 の回転運動は、シュー10
8 を介してピストン107 の往復運動に変換され、シリン
ダボア102aへの冷媒ガスの吸入、吸入冷媒ガスの圧縮、
及び圧縮済み冷媒ガスのシリンダボア102aからの吐出の
一連の圧縮サイクルが繰り返される。
【0005】スラストベアリング109 は、回転支持体10
4 とハウジング102 との間に介在されている。スラスト
ベアリング109 は、シリンダボア102a、ピストン107 、
シュー108 、斜板105 及びヒンジ機構106 を介して回転
支持体104 に作用する圧縮荷重を受け止める。
【0006】給気通路110 は吐出圧領域とクランク室10
1 とを接続する。容量制御弁111 は電磁弁よりなり、給
気通路110 上に介在されている。そして、給気通路110
の開度が、冷房負荷やエアコンスイッチのオン・オフ等
に応じて容量制御弁111 により調節されることで、高圧
な吐出冷媒ガスのクランク室101 への導入量が調節さ
れ、クランク室101 の圧力が変更される。従って、クラ
ンク室101 の圧力とシリンダボア102aの圧力とのピスト
ン107 を介した差が変更され、斜板105 の傾斜角が変更
されて吐出容量が制御される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図11に示
すように、斜板105 (駆動軸103 )の回転方向におい
て、斜板105 の上死点対応位置D1から下死点対応位置D2
までの間に係留されているピストン107 は、下死点から
上死点に向かって移動する圧縮工程にある。一方、駆動
軸103 の回転方向において、斜板105 の下死点対応位置
D2から上死点対応位置D1までの間に係留されているピス
トン107 は、上死点から下死点に向かって移動する吸入
工程にある。このため、斜板105 において上死点対応位
置D1、下死点対応位置D2及び駆動軸103 の軸線Lを含む
仮想平面Hに対して圧縮工程側の部分には、圧縮反力に
ともなってピストン107 から回転支持体104 側への押圧
力が作用されている。一方、斜板105 において仮想平面
Hに対して吸入工程側の部分には、シリンダボア102a内
の負圧にともなってピストン107 からシリンダボア102a
側への引張力が作用されている。
【0008】このように、圧縮機の運転中において斜板
105 には、仮想平面Hを挟んだ両側の部分に、相反する
方向の力が作用されることになる。これら力の合力(圧
縮荷重)Fは、斜板105 の外周部において上死点対応位
置D1付近で回転支持体104 方向に作用されている。つま
り、圧縮荷重Fは、軸線Lに対して偏心した位置で斜板
105 に作用されている。従って、図10に示すように、
斜板105 、ヒンジ機構106 及び回転支持体104 からなる
ピストン駆動部には、それを駆動軸103 の軸線Lに対し
て傾かせようとする傾動モーメントMが作用されてい
る。このため、ピストン駆動部104 〜106 の回転支持体
104 は、ハウジング102 との間において一部で間隙が大
きくなる片浮き状態となる。その結果、スラストベアリ
ング109 のガタつきが大きくなったり、ハウジング102
に対して傾いた状態で回転される回転支持体104 によ
り、スラストベアリング109 がハウジング102 の内壁面
に打ち付けられる等して、圧縮機が発する異音・振動の
要因となっていた。
【0009】特に、前記構成の圧縮機は吐出容量を変更
可能であり、吐出容量を下げる時にはクランク室101 の
圧力が高められる。従って、圧縮工程側のピストン107
においては、その前後に作用するクランク室101 の圧力
とシリンダボア102aの圧力との差が小さくなり、逆に吸
入工程側のピストン107 においては、その前後に作用す
るクランク室101 の圧力とシリンダボア102aの圧力との
差が大きくなる。このため、前述したピストン駆動部10
4 〜106 に作用する傾動モーメントMが大きくなり、ス
ラストベアリング109 においてハウジング102 より受け
る傾動モーメントMと等価な荷重F’の作用点が半径方
向外側にずれていく。つまり、スラストベアリング109
は、荷重F’の作用点を圧縮荷重Fの作用点に対して半
径方向外側にずらしていくことで、大きな傾動モーメン
トMに対抗するモーメントM’をピストン駆動部104 〜
106 に作用させてピストン駆動部104 〜106 を支持して
いるのである。
【0010】そして、ピストン駆動部104 〜106 に作用
する傾動モーメントMが所定値を越えると、荷重F’は
その作用点がスラストベアリング109 の外径よりも外側
に外れた位置でなければ傾動モーメントMと等価とはな
らない。このため、ピストン駆動部104 〜106 はスラス
トベアリング109 の好適な支持を得られなくなり、ハウ
ジング102 に対する傾きが大きくなって前述した問題が
顕著に表れていた。
【0011】さらに、前記容量制御弁111 は電磁弁より
なり、例えば、オン状態にあるエアコンスイッチがオフ
状態に切換操作されると、冷房負荷が大きい状態であっ
ても吐出容量を最小とすべく給気通路110 の開度を調節
する。つまり、高吐出圧力下においても、吐出容量を下
げる制御が行われることがある。このため、シリンダボ
ア102 a内の高い圧力に対抗すべくクランク室101 の圧
力が過大に高くなり、ピストン駆動部104 〜106 に作用
する傾動モーメントMがさらに大きくなっていた。
【0012】本発明は、上記従来技術に存在する問題点
に着目してなされたものであって、その目的は、ハウジ
ングに対するピストン駆動部の傾きに起因した異音・振
動の発生を抑制可能な構成のピストン式圧縮機を提供す
ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1の発明では、ハウジングとスラストベアリン
グとの間及びピストン駆動部とスラストベアリングとの
間の少なくとも一方に弾性部材を介在させたピストン式
圧縮機である。
【0014】請求項2の発明では、前記弾性部材は、少
なくともハウジングとスラストベアリングとの間に介在
されている。請求項3の発明では、前記弾性部材は、少
なくともピストン駆動部とスラストベアリングとの間に
介在されている。
【0015】請求項4の発明では、前記弾性部材は環状
をなし、スラストベアリングの全周に渡ってハウジング
或いはピストン駆動部との間で介在されている。請求項
5の発明では、前記弾性部材はゴム材よりなっている。
【0016】請求項6の発明では、前記弾性部材は樹脂
材よりなっている。請求項7の発明では、前記弾性部材
には鋼板が重合されている。請求項8の発明では、前記
弾性部材はバネ材よりなっている。
【0017】請求項9の発明では、前記スラストベアリ
ングは、弾性部材側のレースがハウジング或いはピスト
ン駆動部に対して回り止めされている。請求項10の発
明では、前記弾性部材はハウジング或いはピストン駆動
部に形成された収容凹部に収容され、スラストベアリン
グは弾性部材側のレースを以って収容凹部の開口を覆う
ようにして配置されている。
【0018】請求項11の発明では、前記弾性部材が介
在されたハウジングとスラストベアリングとの間及びピ
ストン駆動部とスラストベアリングとの間の少なくとも
一方には、弾性部材に対して駆動軸の半径方向でラップ
するようにしてスペーサが配置されている。
【0019】請求項12の発明では、前記ピストン駆動
部は、駆動軸においてカムプレートとスラストベアリン
グとの間に固定された回転支持体と、回転支持体とカム
プレートとの間に介在されたヒンジ機構とを備え、前記
カムプレートは、回転支持体及びヒンジ機構を介して駆
動軸と一体回転可能であるとともに、ヒンジ機構の案内
及び駆動軸によるスライド支持作用により、駆動軸上を
スライド移動しつつ傾動可能であり、前記クランク室と
吐出圧領域とは給気通路により連通され、クランク室と
吸入圧領域とは抽気通路により連通され、給気通路又は
抽気通路の少なくとも一方の開度を容量制御弁により調
節することでクランク室の圧力を変更し、クランク室の
圧力とシリンダボアの圧力とのピストンを介した差を変
更して斜板の傾斜角を調節し吐出容量を制御する構成で
あり、ハウジングとスラストベアリングとの間及び回転
支持体とスラストベアリングとの間の少なくとも一方に
弾性部材を介在させたものである。
【0020】請求項13の発明では、前記容量制御弁は
電磁弁よりなっている。 (作用)上記構成の請求項1、5、6及び8の発明にお
いては、圧縮機の運転時においてピストン駆動部に作用
される圧縮荷重により、ハウジングとスラストベアリン
グとの間或いはピストン駆動部とスラストベアリングと
の間で弾性部材が圧縮された状態となっている。
【0021】さて、ピストン駆動部には、圧縮荷重に基
づいて傾動モーメントが作用されており、ピストン駆動
部はハウジングに対して傾こうとする。従って、ピスト
ン駆動部は、ハウジングとの間において一部で間隙が大
きくなる片浮き状態となる。しかし、スラストベアリン
グは、圧縮状態で介在されている弾性部材によってハウ
ジング側或いはピストン駆動部側に付勢されており、ピ
ストン駆動部の片浮きに追従可能である。従って、ピス
トン駆動部の片浮きによってもスラストベアリングのガ
タつきが大きくなることはないし、ピストン駆動部がハ
ウジングに対して傾いた状態で回転されても、スラスト
ベアリングがハウジングに打ち付けられることはない。
【0022】請求項2及び3の発明においては、仮に、
スラストベアリングにガタつきが生じたとしても、その
振動は弾性部材によって減衰されてハウジングに伝達さ
れ、ハウジングが大きく振動することはない。特に、請
求項2の発明においては、仮に、スラストベアリングが
ハウジングに打ち付けられようとしても、このスラスト
ベアリングを弾性部材が受けて緩衝し、ハウジングが大
きく振動することはない。
【0023】請求項4の発明においては、環状をなす弾
性部材は、ピストン駆動部の片浮きが軸線周りの何れの
位置において生じたとしても、前述した請求項1又は2
の作用を確実に奏することが可能となる。
【0024】請求項7の発明においては、弾性部材と鋼
板とを重合することで、制振鋼板が構成されている。従
って、弾性部材と鋼板との組み合わせの作用によって、
ピストン駆動部からハウジングに伝達される振動の減衰
作用が向上されている。
【0025】請求項9の発明においては、スラストベア
リングの弾性部材側のレースが弾性部材と相対回動され
ることを防止できる。従って、弾性部材と弾性部材側の
レースとの摺動を避けることができ、弾性部材の摩耗劣
化を防止できる。
【0026】請求項10の発明においては、収容凹部の
開口がスラストベアリングのレースによって覆われてい
る。従って、例えば、弾性部材が経年や摩耗により劣化
することで自身の材料屑を発生したとしても、この屑の
収容凹部外への移動はレースによって阻止される。その
結果、例えば、この屑がスラストベアリングに噛み込ま
れることを防止でき、スラストベアリングの支持作用が
阻害されることはない。
【0027】請求項11の発明においては、例えば、弾
性部材が摩耗により劣化して、ハウジングとスラストベ
アリングとの間或いはピストン駆動部とスラストベアリ
ングとの間での介在高さが小さくなると、ピストン駆動
部とハウジングとの間の遊びが大きくなる。しかし、ス
ペーサが弾性部材に対して駆動軸の半径方向でラップす
るようにして配置されおり、弾性部材が劣化された後に
おいても、所定の介在高さがスペーサにより確保され、
スラストベアリングのガタつきの発生を軽減することが
できる。
【0028】請求項12の発明においてピストン式圧縮
機は、可変容量型圧縮機である。つまり、従来技術にお
いて述べたように、吐出容量を小さくする際にクランク
室の圧力が高められるため、ピストン駆動部に作用する
傾動モーメントが大きくなる。従って、吐出容量が不変
な固定容量型圧縮機と比較して、ハウジングに対するピ
ストン駆動部の傾きに起因した異音・振動の発生の問題
が深刻である。このような圧縮機において請求項1〜1
1のいずれかに記載の発明を具体化することは、その効
果を奏するのに特に有効となる。
【0029】請求項13の発明において容量制御弁は電
磁弁である。つまり、従来技術において述べたように、
高吐出圧力下においても吐出容量を下げる制御が行われ
ることがあり、ピストン駆動部に作用する傾動モーメン
トがさらに大きくなる。従って、例えば、吸入圧領域の
圧力に感応して給気通路又は抽気通路の開度を調節する
感圧弁の容量制御弁を用いた場合と比較して、ハウジン
グに対するピストン駆動部の傾きに起因した異音・振動
の発生の問題が深刻である。このような圧縮機において
請求項1〜12のいずれかに記載の発明を具体化するこ
とは、その効果を奏するのに特に有効となる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、車両エアコンシ
ステムに用いられるクラッチレスタイプの可変容量型圧
縮機において具体化した第1〜第3実施形態について説
明する。なお、第2及び第3実施形態において第1実施
形態と同一部材には同じ番号を付して説明を省略する。
【0031】(第1実施形態)図1に示すように、フロ
ントハウジング11は、センタハウジングとしてのシリ
ンダブロック12の前端に接合固定されている。リヤハ
ウジング13は、シリンダブロック12の後端に弁・ポ
ート形成体14を介して接合固定されている。クランク
室15は、フロントハウジング11とシリンダブロック
12に囲まれて区画形成されている。駆動軸16は、ク
ランク室15を挿通するようにしてフロントハウジング
11とシリンダブロック12との間で回転可能に架設支
持されている。
【0032】プーリ17は、フロントハウジング11の
外壁面にアンギュラベアリング18を介して回転可能に
支持されるとともに、駆動軸16に連結されている。プ
ーリ17はベルト19を介して、外部駆動源としての車
両エンジン20に、電磁クラッチ等のクラッチ機構を介
することなく直結されている。従って、車両エンジン2
0の起動時には、ベルト19及びプーリ17を介して駆
動力が伝達され、駆動軸16が回転される。
【0033】回転支持体22は、クランク室15におい
て駆動軸16に止着されている。カムプレートとしての
斜板23は、駆動軸16に対してその軸線L方向へスラ
イド移動可能でかつ傾動可能に支持されている。ヒンジ
機構24は回転支持体22と斜板23との間に介在され
ている。回転支持体22、斜板23及びヒンジ機構24
がピストン駆動部を構成する。
【0034】前記斜板23は、回転支持体22との間で
のヒンジ機構24の介在により、駆動軸16の軸線Lに
対して傾動可能でかつ駆動軸16と一体的に回転可能と
なっている。斜板23の半径中心部がシリンダブロック
12側に移動すると、斜板23の傾斜角が減少される。
傾斜角減少バネ26は、回転支持体22と斜板23との
間に介在されている。傾斜角減少バネ26は、斜板23
を傾斜角の減少方向に付勢する。斜板23の最大傾斜角
は、回転支持体22との当接により規定される。
【0035】収容孔27はシリンダブロック12の中心
部に貫設されている。遮断体28は筒状をなし、収容孔
27にスライド可能に収容されている。吸入通路開放バ
ネ29は、収容孔27の端面と遮断体28との間に介在
され、遮断体28を斜板23側へ付勢している。
【0036】前記駆動軸16は、その後端部を以て遮断
体28の内部に挿入されている。ラジアルベアリング3
0は、駆動軸16の後端部と遮断体28の内周面との間
に介在され、遮断体28とともに駆動軸16に対して軸
線L方向へスライド移動可能である。
【0037】吸入通路32は、リヤハウジング13及び
弁・ポート形成体14の中心部に形成されている。吸入
通路32は収容孔27に連通されており、その弁・ポー
ト形成体14の前面に表れる開口周囲には、位置決め面
33が形成されている。遮断面34は遮断体28の先端
面に形成され、遮断体28の移動により位置決め面33
に接離される。遮断面34が位置決め面33に当接され
ることにより、両者間33,34のシール作用で吸入通
路32と収容孔27の内空間との連通が遮断される。
【0038】スラストベアリング35は斜板23と遮断
体28との間に介在され、駆動軸16上にスライド移動
可能に支持されている。スラストベアリング35は、吸
入通路開放バネ29に付勢されて、常には斜板23と遮
断体28との間で挟持されている。
【0039】そして、斜板23が遮断体28側へ傾動す
るのに伴い、斜板23の傾動がスラストベアリング35
を介して遮断体28に伝達される。従って、遮断体28
が吸入通路開放バネ29の付勢力に抗して位置決め面3
3側に移動され、遮断体28は遮断面34を以て位置決
め面33に当接される。遮断面34が位置決め面33に
当接された状態にて、斜板23のそれ以上の傾動が規制
され、この規制された状態にて斜板23は0°よりも僅
かに大きな最小傾斜角となる。
【0040】複数(図面においては一個所のみ示す)の
シリンダボア12aは、図10と同様にして、シリンダ
ブロック12において駆動軸16の軸線L周りに貫設形
成されている。片頭型のピストン36は、円柱状をなす
頭部36aを以って各シリンダボア12aに収容されて
いる。首部36bは頭部36aの前端に連接されてい
る。ピストン36は、首部36bに内装されたシュー3
7を介して斜板23の外周部に係留されており、斜板2
3の回転運動により頭部36aがシリンダボア12a内
で前後往復運動される。
【0041】吸入圧領域である吸入室38及び吐出圧領
域である吐出室39は、リヤハウジング13にぞれぞれ
区画形成されている。吸入ポート40、吸入弁41、吐
出ポート42及び吐出弁43は、それぞれ弁・ポート形
成体14に形成されている。そして、吸入室38の冷媒
ガスは、ピストン36の上死点から下死点への移動によ
り、吸入ポート40及び吸入弁41を介してシリンダボ
ア12aに吸入される。シリンダボア12aに吸入され
た冷媒ガスは、ピストン36の下死点から上死点への移
動により所定の圧力にまで圧縮され、吐出ポート42及
び吐出弁43を介して吐出室39に吐出される。
【0042】スラストベアリング44は、回転支持体2
2の前端面22aとフロントハウジング11の内壁面1
1aとの間に介在されている。スラストベアリング44
は、シリンダボア12a、ピストン36、シュー37、
斜板23及びヒンジ機構24を介して回転支持体22に
作用する圧縮荷重を受け止める。
【0043】前記吸入室38は通口45を介して収容孔
27に連通されている。そして、遮断体28がその遮断
面34を以て位置決め面33に当接されると、通口45
は吸入通路32から遮断される。通路46は駆動軸16
の軸芯に形成され、クランク室15と遮断体28の内空
間とを連通する。放圧通口47は遮断体28の周面に貫
設されている。遮断体28の内空間と収容孔27の内空
間は、放圧通口47を介して連通されている。
【0044】給気通路48は吐出室39とクランク室1
5とを接続する。容量制御弁49は給気通路48上に介
在されている。容量制御弁49は電磁弁よりなり、ソレ
ノイド49aの励磁・消磁によって弁体49bを動作さ
せることで、給気通路48を開閉する。
【0045】以上構成の圧縮機は、その吸入室38に冷
媒ガスを導入する通路となる吸入通路32と、吐出室3
9から冷媒ガスを排出する吐出フランジ50とが外部冷
媒回路51により接続されている。凝縮器52、膨張弁
53及び蒸発器54は、外部冷媒回路51上に介在され
ている。
【0046】温度センサ56は蒸発器54の近傍に設置
されている。温度センサ56は蒸発器54における温度
を検出し、この検出温度情報を制御コンピュータ55へ
出力する。容量制御弁49のソレノイド49aの励消磁
は、温度センサ56からの検出温度情報に基づいて制御
コンピュータ55によって制御される。制御コンピュー
タ55は、エアコンスイッチ57のオン状態のもとに検
出温度が設定温度以下になると容量制御弁49のソレノ
イド49aの消磁を指令する。この設定温度以下の温度
は蒸発器54においてフロストが発生しそうな状況を反
映する。また、制御コンピュータ55は、エアコンスイ
ッチ57のオフによってソレノイド49aを消磁する。
【0047】図2に示すように、ソレノイド49aが消
磁されると弁体49bによて給気通路48が開かれ、吐
出室39とクランク室15とが連通される。従って、吐
出室39の高圧な吐出冷媒ガスが給気通路48を介して
クランク室15へ供給され、クランク室15の圧力が高
くなる。従って、クランク室15の圧力とシリンダボア
12aの圧力とのピストン36を介した差が変更され、
斜板23の傾斜角が最小となって吐出容量が最小とな
る。
【0048】遮断体28の遮断面34が位置決め面33
に当接すると、吸入通路32における通過断面積が零と
なり、外部冷媒回路51から吸入室38への冷媒ガス流
入が阻止される。
【0049】斜板23の最小傾斜角は0°ではないた
め、斜板23の傾斜角が最小の状態においてもシリンダ
ボア12aから吐出室39への吐出は行われている。吸
入室38の冷媒ガスは、シリンダボア12aへ吸入され
て吐出室39へ吐出される。すなわち、斜板23の傾斜
角が最小の状態では、吐出室39、給気通路48、クラ
ンク室15、通路46、放圧通口47、吸入室38及び
シリンダボア12aを経由する循環通路が圧縮機内部に
できている。冷媒ガスと共に流動する潤滑油は、前記循
環経路を経由して圧縮機内を潤滑する。吐出室39、ク
ランク室15及び吸入室38の間では、圧力差が生じて
いる。この圧力差及び放圧通口47における通路断面積
が、斜板23を最小傾斜角にて安定的に保持する。
【0050】図1に示すように、ソレノイド49aが励
磁されると弁体49bによって給気通路48が閉じら
れ、クランク室15の圧力が通路46、放圧通口47及
び通路45を介した吸入室38への放圧に基づいて低下
してゆく。つまり、通路46、放圧通口47及び通口4
5が抽気通路をなしている。この減圧により、斜板23
が最小傾斜角から最大傾斜角へ移行されて吐出容量が最
大となる。
【0051】次に、本実施形態の特徴点であるスラスト
ベアリング44付近の構成について詳述する。図1及び
図3に示すように、収容凹部61はフロントハウジング
11の内壁面11aに形成されている。収容凹部61は
軸線Lを中心とした円環状をなしている。合成ゴムより
なる弾性部材62は平板円環状をなし、収容凹部61に
収容されている。弾性部材62は、自然状態での板厚が
収容凹部61の深さよりも厚いものが用いられている。
【0052】前記スラストベアリング44は、回転支持
体22側のレース63と、平板円環状をなすフロントハ
ウジング11側のレース64と、両レース63,64間
において軸線Lを中心とした放射状に配置された複数の
コロ65とからなる。回転支持体22側のレース63
は、コロ65が転動される平板円環状をなす軌道部材6
3aと、フロントハウジング11側のレース64との間
で軌道部材63a及びコロ65を収容するケース63b
とからなる。フロントハウジング11側のレース64の
内径は収容凹部61の内径とほぼ同じであり、レース6
4の外径は収容凹部61の外径より大きくなっている。
【0053】内筒部64aは、フロントハウジング11
側のレース64の内縁部を回転支持体22側に曲折して
円筒状とすることで形成されている。係合片64bは、
フロントハウジング11側のレース64において外縁部
の一部から外方に向けて突出形成されている。ベアリン
グ用ボス部11bは、フロントハウジング11の内壁面
11aにおいて駆動軸16を取り囲むようにして形成さ
れている。ベアリング用ボス部11bの外周面は、収容
凹部61の内周側の側壁面に連続されている。係合凹所
11cは、フロントハウジング11の内壁面11aにお
いて、収容凹部61よりも外周側の軸線Lに対して傾斜
した部分に形成されている。本実施形態において係合片
64b及び係合凹所11cは、軸線L周りにおいて18
0°の間隔をおいた2ヶ所にそれぞれ形成されている。
【0054】前記スラストベアリング44は、レース6
4の内筒部64aがベアリング用ボス部11bに外嵌さ
れるとともに、レース64の係合片64bが係合凹所1
1cに嵌まり込むようにして、フロントハウジング11
の内壁面11aと回転支持体22の前端面22aの外周
部との間に配置されている。
【0055】ここで、前記回転支持体22は、傾斜角減
少バネ26によってフロントハウジング11側へ付勢さ
れている。このため、スラストベアリング44は、フロ
ントハウジング11の内壁面11aと回転支持体22の
前端面22aとの間で狭持保持された状態となってい
る。従って、弾性部材62は、傾斜角減少バネ26の付
勢力をスラストベアリング44のレース64の前端面を
介して受けることで圧縮されて収容凹部61内に収まっ
ているとともに、収容凹部61の開口61aはレース6
4の前端面によって閉塞された状態となっている。
【0056】なお、弾性部材62の圧縮を傾斜角減少バ
ネ26の付勢力に期待しなくとも、圧縮機の運転時にお
いては圧縮荷重がスラストベアリング44に作用するた
め、弾性部材62はこの圧縮荷重によって確実に圧縮さ
れて収容凹部61内に収まるとともに、収容凹部61の
開口61aはレース64の前端面によって確実に閉塞さ
れる。
【0057】上記構成の本実施形態においては次のよう
な効果を奏する。 (1)従来技術において詳述したように、圧縮機の運転
中においてピストン駆動部22〜24には、圧縮荷重に
起因してそれを駆動軸16の軸線Lに対して傾かせよう
とする傾動モーメントが作用される。このため、ピスト
ン駆動部22〜24は、フロントハウジング11との間
において一部で間隙が大きくなる片浮き状態となる。
【0058】しかし、フロントハウジング11とスラス
トベアリング44との間には、弾性部材62が圧縮され
た状態で介在されており、圧縮機の運転中においてスラ
ストベアリング44は、弾性部材62によってピストン
駆動部22〜24側に付勢された状態となっている。従
って、スラストベアリング44は、ピストン駆動部22
〜24に片浮きが生じたとしても、この片浮きに追従し
てピストン駆動部22〜24側に移動される。このた
め、ピストン駆動部22〜24の片浮きによっても、ス
ラストベアリング44のガタつきが大きくなることはな
いし、フロントハウジング11に対して傾いた状態で回
転されるピストン駆動部22〜24により、スラストベ
アリング44がフロントハウジング11の内壁面11a
に打ち付けられることも防止できる。その結果、フロン
トハウジング11に対するピストン駆動部22〜24の
傾きに起因した、異音・振動の発生を抑制することがで
きる。
【0059】(2)弾性部材62は、フロントハウジン
グ11とスラストベアリング44との間に介在されてい
る。従って、仮に、スラストベアリング44にガタつき
が生じたとしても、その振動は弾性部材62によって減
衰されてフロントハウジング11へ伝達され、フロント
ハウジング11が大きく振動することはない。また、仮
に、スラストベアリング44がフロントハウジング11
に打ち付けられようとしても、このスラストベアリング
44を弾性部材62が受けて緩衝するため、フロントハ
ウジング11が大きく振動することはない。
【0060】(3)円環状をなす弾性部材62は、ピス
トン駆動部22〜24の片浮きが軸線L周りの何れの位
置において生じたとしても、前記(1)又は(2)の効
果を確実に奏することができる。
【0061】(4)スラストベアリング44においてフ
ロントハウジング11側のレース64は、係合片64b
を以ってフロントハウジング11の係合凹所11cに係
合されている。つまり、弾性部材62側のレース64
は、フロントハウジング11に回り止めされている。従
って、レース64がピストン駆動部22〜24の回転に
連れ回りされることを防止でき、レース64が弾性部材
62に対して摺動されることはない。その結果、弾性部
材62がレース64との摺動により摩耗劣化することを
防止でき、弾性部材62の耐用は長いものとなる。
【0062】(5)収容凹部61の開口61aが、スラ
ストベアリング44のレース64によって閉塞されてい
る。従って、例えば、弾性部材62が経年や摩耗により
劣化することでゴム屑を発生したとしても、このゴム屑
が収容凹部61から外へ移動されることはない。その結
果、例えば、ゴム屑がスラストベアリング44に噛み込
まれることを防止でき、スムーズなコロ65の転動を維
持できる。
【0063】また、ゴム屑発生の場合でなくとも、弾性
部材62が経年や熱影響により劣化することで外径が大
きくなって、弾性部材62の外周部分が収容凹部61か
らはみ出そうとした場合にも、このはみ出しを抑えるの
に有効である。従って、劣化された弾性部材62の外周
部分が、スラストベアリング44に干渉されることを防
止でき、スムーズなコロ65の転動を維持できる。
【0064】(6)本実施形態においては可変容量型圧
縮機に具体化されている。つまり、従来技術において述
べたように、吐出容量を小さくする際にクランク室15
の圧力が高められるため、ピストン駆動部22〜24に
作用する傾動モーメントが大きくなる。従って、吐出容
量が不変な固定容量型圧縮機と比較して、フロントハウ
ジング11に対するピストン駆動部22〜24の傾きに
起因した異音・振動の発生の問題が深刻である。このよ
うな圧縮機において本発明を具体化することは、その効
果を奏するのに特に有効となる。
【0065】(7)本実施形態において容量制御弁49
は電磁弁である。つまり、従来技術において述べたよう
に、例えば、エアコンスイッチ57がオフされた時等、
高吐出圧力下においても吐出容量を下げる制御が行われ
ることがあり、ピストン駆動部22〜24に作用する傾
動モーメントがさらに大きくなる。従って、例えば、吸
入圧領域(吸入通路32、吸入室38等)の圧力に感応
して給気通路48の開度を調節する感圧弁である容量制
御弁を用いた場合と比較して、フロントハウジング11
に対するピストン駆動部22〜24の傾きに起因した異
音・振動の発生の問題が深刻である。このような圧縮機
において本発明を具体化することは、その効果を奏する
のに特に有効となる。
【0066】(第2実施形態)図4においては第2実施
形態を示す。本実施形態においては、弾性部材62にお
いて軸線L方向の両側に鋼板67が重合配置されてい
る。従って、弾性部材62と鋼板67とで周知の制振鋼
板が構成されている。本実施形態においては上記第1実
施形態と同様な効果を奏する他、弾性部材62と鋼板6
7との組み合わせの作用によって、スラストベアリング
44からフロントハウジング11へ伝達される振動の減
衰効果が高められ、例えば、上記第1実施形態の効果
(2)がより効果的に奏される。
【0067】(第3実施形態)図5(a)及び図5
(b)においては第3実施形態を示す。本実施形態にお
いては、収容凹部61を備えていない点が上記第2実施
形態とは異なる。また、弾性部材62の外径は、鋼板6
7の外径より小さくなっている。さらに、スペーサ68
が弾性部材62に対して駆動軸16の半径方向でラップ
して配置されている。スペーサ68は、スラストベアリ
ング44側の鋼板67の外縁部をフロントハウジング1
1側に曲折して円筒状とすることで形成されている。ス
ペーサ68のフロントハウジング11側への突出の高さ
は、弾性部材62が圧縮された状態においても内壁面1
1aに当接しない程度である(図5(a))。
【0068】上記構成の本実施形態においては上記第1
実施形態の(1)〜(3)、(6)及び(7)と同様な
効果を奏する他、次のような効果も奏する。 (1)弾性部材62が、例えば、摩耗により劣化して、
フロントハウジング11とスラストベアリング44との
間での介在高さが小さくなると、回転支持体22とフロ
ントハウジングハウジング11との間に生じる遊びが大
きくなってしまう。しかし、図5(b)に示すように、
弾性部材62の所定量以上の介在高さの減少は、スペー
サ68が先端面を以って内壁面11aに当接することに
よってカバーされ、回転支持体22とフロントハウジン
グハウジング11との間に生じる遊びが過大に大きくな
ることはない。従って、弾性部材62の劣化の後も、ス
ラストベアリング44のガタつきの発生を軽減すること
ができる。つまり、スペーサ68を備えなければ、弾性
部材62の劣化の後には、図面に示すよりも大きな遊び
が回転支持体22とフロントハウジングハウジング11
との間に生じるのである。
【0069】(2)弾性部材62の外径は、鋼板67の
外径より小さくなっている。従って、弾性部材62の外
径が劣化に起因して大きくなったとしても、弾性部材6
2の外周部分は鋼板67間に存在することとなり、この
外周部分がスラストベアリング44に干渉されることを
防止できる。その結果、劣化された弾性部材62の外周
部分がスラストベアリング44に噛み込まれることを防
止できて、スムーズなコロ65の転動が阻害されること
はない。
【0070】(3)スペーサ68は、スラストベアリン
グ44側の鋼板67の外縁部を内壁面11a側に曲折し
て円筒状とすることで形成されている。従って、弾性部
材62の外周側はスペーサ68によって覆われている。
その結果、弾性部材62の外径が劣化に起因して過大に
大きくなり、弾性部材62の外周部分が鋼板67間から
はみ出そうとしても、それはスペーサ68に当接するこ
とで阻止され、弾性部材62の外周部分がスラストベア
リング44に干渉されることはない。よって、コロ65
のスムーズな転動が阻害されることはない。
【0071】なお、本発明の趣旨から逸脱しない範囲
で、以下の態様でも実施できる。 ○図6に示すように、弾性部材62として、合成ゴム製
のOリングを用いること。
【0072】○図7に示すように、弾性部材62とし
て、バネ材である皿バネを用いること。なお、皿バネ
は、スラストベアリング44からフロントハウジング1
1に伝達される振動を受けて振動しようとするが、その
周波数帯はバネ係数等の好適な設定によりフロントハウ
ジング11の共振点からずらされており、皿バネの振動
にフロントハウジング11が共振することはない。
【0073】○図8に示すように、弾性部材62をスラ
ストベアリング44と回転支持体22との間に介在させ
ること。弾性部材62は、回転支持体22に形成された
収容凹部61に収容されている。この場合、スラストベ
アリング44においては、弾性部材62側である回転支
持体22側のレース63(ケース63b)が、係合片6
3cを以って回転支持体22の係合凹所22に係合さ
れ、回転支持体22に対して回り止めされている。従っ
て、レース63が弾性部材62と相対回動することはな
く、弾性部材62の摩耗劣化を防止できる。
【0074】○図9に示すように、図8に示す別例にお
いて弾性部材62の軸線L方向の両側に鋼板67を重合
配置すること。このようにすれば、弾性部材62と鋼板
67との組み合わせの作用によって、スラストベアリン
グ44からフロントハウジング11へ伝達される振動の
減衰効果が高められ、フロントハウジング11が大きく
振動することはない。
【0075】○弾性部材62を合成樹脂により構成する
こと。合成樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロ
エチレン等のフッ素樹脂が挙げられる。なお、上記第2
及び第3実施形態、或いは図9の別例ように制振鋼板6
2,67を構成する場合には、粘弾性高分子材料よりな
る制振樹脂を弾性部材62として使用するのが好適であ
る。この事は、制振鋼板62,67の弾性部材62にゴ
ム材を用いた場合にも言える。
【0076】○弾性部材62を、弾性部材62側のレー
ス64,63(ケース63b)よりも軟らかな金属材料
により構成すること。 ○フロントハウジング11とスラストベアリング44と
の間及び回転支持体22とスラストベアリング44との
間の両方に弾性部材62を配置すること。
【0077】○上記第1実施形態において、フロントハ
ウジング11の内壁面11a又はこの内壁面11aに対
向するスラストベアリング44のレース64の前端面の
少なくとも一方に、合成ゴムを吹付ける等してゴムコー
ティング層を形成し、このゴムコーティング層を弾性部
材とすること。
【0078】○上記第2及び第3実施形態或いは図9の
別例の制振鋼板62,67を変更し、一対の弾性部材6
2間に鋼板67を介在させることで制振鋼板を構成して
も良い。また、弾性部材62及び鋼板67を軸線L方向
交互に合計4枚以上重合させて制振鋼板を構成しても良
い。さらに、鋼板67の片面或いは両面にゴムや樹脂の
コーティングを施し、このコーティング層を弾性部材と
して制振鋼板を構成しても良い。
【0079】○上記第3実施形態において、スペーサ6
8を鋼板67と別体とすること。 ○固定容量型圧縮機において具体化すること。この場
合、斜板23は駆動軸16に直接固定されるため、ピス
トン駆動部は斜板23のみとなる。
【0080】○感圧弁である容量制御弁を備えた可変容
量型圧縮機において具体化すること。 ○電磁弁機能と感圧弁機能とを併せ持つ容量制御弁を備
えた可変容量型圧縮機において具体化すること。
【0081】上記実施形態から把握できる技術的思想に
ついて記載する。 (1)鋼板67は弾性部材62の両側に重合されてお
り、弾性部材62の外径は鋼板67の外径より小さく設
定されている請求項6に記載のピストン式圧縮機。
【0082】この構成においては、弾性部材62の外径
が劣化に起因して大きくなったとしても、弾性部材62
の外周部分は鋼板67間に存在することとなり、この外
周部分がスラストベアリング44に干渉されることを防
止できる。
【0083】(2)スペーサ68は弾性部材62の外周
側を覆うようにして配置されている請求項10に記載の
ピストン式圧縮機。この構成においては、弾性部材62
の外径が劣化に起因して大きくなり、弾性部材62の外
周部分がスラストベアリング44側に移動しようとして
も、スペーサ68がそれを当接規制する。このため、劣
化された弾性部材62の外周部分がスラストベアリング
44に干渉されることを防止できる。
【0084】
【発明の効果】上記構成の本発明によれば、スラストベ
アリングは、ピストン駆動部に片浮きが生じたとして
も、この片浮きに追従することができる。従って、ピス
トン駆動部の片浮きによっても、スラストベアリングの
ガタつきが大きくなることはないし、ハウジングに対し
て傾いた状態で回転されるピストン駆動部により、スラ
ストベアリングがハウジングに打ち付けられることも防
止できる。その結果、ハウジングに対するピストン駆動
部の傾きに起因した、異音・振動の発生を抑制すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 クラッチレスタイプの可変容量型圧縮機の縦
断面図。
【図2】 最小吐出容量状態を示す図。
【図3】 (a)図1のスラストベアリング付近の拡大
図、(b)弾性部材側のレースの回り止め構成を示す部
分拡大正面図。
【図4】 第2実施形態を示すスラストベアリング付近
の拡大図。
【図5】 (a)は第3実施形態を示すスラストベアリ
ング付近の拡大図、(b)は弾性部材が劣化した状態を
説明する図。
【図6】 別例を示すスラストベアリング付近の拡大
図。
【図7】 別例を示すスラストベアリング付近の拡大
図。
【図8】 別例を示すスラストベアリング付近の拡大
図。
【図9】 別例を示すスラストベアリング付近の拡大
図。
【図10】 従来のクラッチレスタイプの可変容量型圧
縮機の縦断面図。
【図11】 駆動軸の軸線周りにおけるピストンの配置
を示す図。
【符号の説明】
11…ハウジングを構成するフロントハウジング、12
…同じくシリンダブロック、12a…シリンダボア、1
3…ハウジングを構成するリヤハウジング、15…クラ
ンク室、16…駆動軸、22…ピストン駆動部を構成す
る回転支持体、23…ピストン駆動部を構成するカムプ
レートとしての斜板、24…ピストン駆動部を構成する
ヒンジ機構、36…ピストン、44…スラストベアリン
グ、62…弾性部材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村瀬 正和 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 奥野 卓也 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 野坂 倫保 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 森下 昭生 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジングにはクランク室及びシリンダ
    ボアが形成され、シリンダボアには片頭型のピストンが
    往復動可能に収容され、ハウジングにはクランク室を挿
    通するようにして駆動軸が回転可能に支持され、クラン
    ク室において駆動軸にはカムプレートを含むピストン駆
    動部が一体回転可能に支持され、ピストン駆動部にはカ
    ムプレートを介してピストンが連結され、駆動軸の回転
    運動がピストン駆動部のカムプレートを介してピストン
    の往復運動に変換されることでシリンダボア内において
    ガスの圧縮が行われ、ハウジングとピストン駆動部との
    間にはピストン駆動部に作用するスラスト荷重を支持す
    るためのスラストベアリングが介在されてなるピストン
    式圧縮機において、 前記ハウジングとスラストベアリングとの間及びピスト
    ン駆動部とスラストベアリングとの間の少なくとも一方
    に弾性部材を介在させたピストン式圧縮機。
  2. 【請求項2】 前記弾性部材は、少なくともハウジング
    とスラストベアリングとの間に介在されている請求項1
    に記載のピストン式圧縮機。
  3. 【請求項3】 前記弾性部材は、少なくともピストン駆
    動部とスラストベアリングとの間に介在されている請求
    項1に記載のピストン式圧縮機。
  4. 【請求項4】 前記弾性部材は環状をなし、スラストベ
    アリングの全周に渡ってハウジング或いはピストン駆動
    部との間で介在されている請求項1〜3のいずれかに記
    載のピストン式圧縮機。
  5. 【請求項5】 前記弾性部材はゴム材よりなる請求項1
    〜4のいずれかに記載のピストン式圧縮機。
  6. 【請求項6】 前記弾性部材は樹脂材よりなる請求項1
    〜4のいずれかに記載のピストン式圧縮機。
  7. 【請求項7】 前記弾性部材には鋼板が重合されている
    請求項5又は6に記載のピストン式圧縮機。
  8. 【請求項8】 前記弾性部材はバネ材よりなる請求項1
    〜4のいずれかに記載のピストン式圧縮機。
  9. 【請求項9】 前記スラストベアリングは、弾性部材側
    のレースがハウジング或いはピストン駆動部に対して回
    り止めされている請求項1〜8のいずれかに記載のピス
    トン式圧縮機。
  10. 【請求項10】 前記弾性部材はハウジング或いはピス
    トン駆動部に形成された収容凹部に収容され、スラスト
    ベアリングは弾性部材側のレースを以って収容凹部の開
    口を覆うようにして配置されている請求項1〜9のいず
    れかに記載のピストン式圧縮機。
  11. 【請求項11】 前記弾性部材が介在されたハウジング
    とスラストベアリングとの間及びピストン駆動部とスラ
    ストベアリングとの間の少なくとも一方には、弾性部材
    に対して駆動軸の半径方向でラップするようにしてスペ
    ーサが配置されている請求項1〜10のいずれかに記載
    のピストン式圧縮機。
  12. 【請求項12】 前記ピストン駆動部は、駆動軸におい
    てカムプレートとスラストベアリングとの間に固定され
    た回転支持体と、回転支持体とカムプレートとの間に介
    在されたヒンジ機構とを備え、前記カムプレートは、回
    転支持体及びヒンジ機構を介して駆動軸と一体回転可能
    であるとともに、ヒンジ機構の案内及び駆動軸によるス
    ライド支持作用により、駆動軸上をスライド移動しつつ
    傾動可能であり、前記クランク室と吐出圧領域とは給気
    通路により連通され、クランク室と吸入圧領域とは抽気
    通路により連通され、給気通路又は抽気通路の少なくと
    も一方の開度を容量制御弁により調節することでクラン
    ク室の圧力を変更し、クランク室の圧力とシリンダボア
    の圧力とのピストンを介した差を変更してカムプレート
    の傾斜角を調節し吐出容量を制御する構成であり、ハウ
    ジングとスラストベアリングとの間及び回転支持体とス
    ラストベアリングとの間の少なくとも一方に弾性部材を
    介在させた請求項1〜11のいずれかに記載のピストン
    式圧縮機。
  13. 【請求項13】 前記容量制御弁は電磁弁よりなる請求
    項12に記載のピストン式圧縮機。
JP11114531A 1998-04-28 1999-04-22 ピストン式圧縮機 Pending JP2000018156A (ja)

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