JP2000015809A - 圧電アクチュエータ - Google Patents

圧電アクチュエータ

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JP2000015809A
JP2000015809A JP19026698A JP19026698A JP2000015809A JP 2000015809 A JP2000015809 A JP 2000015809A JP 19026698 A JP19026698 A JP 19026698A JP 19026698 A JP19026698 A JP 19026698A JP 2000015809 A JP2000015809 A JP 2000015809A
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JP
Japan
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piezoelectric
layer
piezoelectric actuator
lower electrode
electrode layer
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JP19026698A
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English (en)
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Kunihiro Yamanaka
邦裕 山中
Zenichi Akiyama
善一 秋山
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧電/電歪アクチュエータの高集積化を可能
にし、かつ電極層の剥離、圧電性膜の圧電特性の劣化を
防ぎ、高信頼性,高性能な低電圧で大変位する圧電アク
チュエータを提供する。 【解決手段】 圧電アクチュエータをシリコン基体1と
該基体上に形成された圧電/電歪駆動部とから構成する
ものであって、、該基体1上に少なくとも一層以上の中
間層4,5と、白金ロジウム合金膜から成る下部電極層
6と、圧電性層7と、上部電極層10が積層され、前記
一層以上の中間層4,5が、タンタルから成る第一の中
間層4と、タンタルの窒化物を含む第二の中間層5を含
むように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主にインクジェッ
トプリンタヘッドなどに用いられる圧電アクチュエータ
(電圧−機械変換素子)及び、その製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、インクジェットプリンタに使用さ
れるプリンタヘッドのアクチュエータとして、加圧室壁
に設けられた圧電素子の変位により、その加圧室の体積
を変化させることにより、インクを噴射する技術が知ら
れている。この例として、特開平6−40035号公報
に記載されたアクチュエータなどがある。近年、このイ
ンクジェットプリンタの高解像度化に伴い、ヘッドの集
積化が要求されている。しかし、特開平6−40035
号公報に記載されたアクチュエータなどは、セラミック
基板を用いており、微細加工,特に振動板となる薄い
(10μm以下)厚さの加工が困難である。
【0003】そこで、微細加工が可能なシリコン単結晶
を用いることが提案がされている。しかし、シリコン単
結晶を用いた場合は、圧電性膜を焼結させる熱工程時に
おいて、熱ストレスや基板に含有されるシリコンとの反
応により、下部電極の剥離などの欠陥が誘起される。ま
た、圧電性膜は鉛を含有するため、高温下においてこの
鉛が下部電極層(中間層を含む)や基板に拡散し、ま
た、基板に含有されるシリコンが圧電性膜に拡散してい
くことにより、下部電極の剥離,圧電性膜のガラス化に
よる圧電性膜のクラックや圧電特性の劣化が起こる。こ
れらは圧電/電歪アクチュエータの信頼性を損なわせ、
性能の劣化を招く。
【0004】前述のような問題解決のために、特開平8
−112896号公報に記載されているように、シリコ
ン基板上に、厚さ1100オングストローム以上のタン
タル層を介して圧電素子を設ける提案がなされている。
これによれば、金属タンタル層は圧電膜前駆体を焼結す
る際に酸化され、かつ圧電膜前駆体から拡散してきた鉛
により、酸化タンタルとTaPbyOxの酸化物とに変
換される。タンタル層を1100オングストローム以上
の厚さに形成することにより、タンタル層にて鉛の拡散
を阻止し、電極層の剥離を防止している。
【0005】しかし、特開平8−112896号公報に
記載されたアクチュエータを実施したところ、酸化シリ
コンの空洞化は発生しなかったが、圧電前駆体の焼結を
800℃以上の高温で行った際、タンタルが酸化され圧
電性膜の鉛が下部電極層及びタンタル層に拡散し白金
(上部電極層)膜の浮き(膜剥がれ)が観られた。ま
た、圧電性膜の圧電特性の劣化が発生した。これらは、
圧電アクチュエータの信頼性を損なわせ、性能を劣化さ
せる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、微細加工に
優れたシリコン基体を用いることにより圧電/電歪アク
チュエータの高集積化を可能にし、かつ電極層の剥離、
圧電性膜の圧電特性の劣化を、下部電極層及び基板と下
部電極層に介在させる中間層を工夫することにより防
ぎ、高信頼性,高性能(:相対的に低電圧で大きな変位
が得られる)を持ち合わせた、主にインクジェットプリ
ンタヘッドに代表される、低電圧で大変位する圧電アク
チュエータを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、シリ
コン基板と該基板上に形成された圧電/電歪駆動部とか
ら成り、該基板上に少なくとも一層以上の中間層と、下
部電極層と、圧電性層と、上部電極層が積層された圧電
アクチュエータにおいて、前記一層以上の中間層が、タ
ンタルから成る第一の中間層と、タンタルの窒化物を含
む第二の中間層とを含むことを特徴とする、圧電アクチ
ュエータである。
【0008】請求項2の発明は、請求項1に記載された
圧電アクチュエータにおいて、前記中間層上の上部に積
層される下部電極層が、白金ロジウム合金膜から成るこ
とを特徴とする圧電アクチュエータである。
【0009】請求項3の発明は、請求項1又2に記載さ
れた圧電アクチュエータにおいて、前記下部電極層の白
金ロジウム合金膜は、ロジウム濃度5〜30wt%含有
の合金からなることを特徴とする圧電アクチュエータで
ある。
【0010】請求項4の発明は、請求項2又は3に記載
された圧電アクチュエータにおいて、前記下部電極層の
白金ロジウム合金膜は630℃以下の基板温度にてスパ
ッタ成膜することを特徴とする圧電アクチュエータであ
る。
【0011】請求項5の発明は、請求項2乃至4のいず
れかに記載された圧電アクチュエータにおいて、前記下
部電極は、白金ロジウム膜を形成した後に、アニール処
理により酸化ロジウムを含有して膜に変性せしめたもの
であることを特徴とする圧電アクチュエータである。
【0012】請求項6の発明は、請求項に1記載された
圧電アクチェータにおいて、前記圧電性層は鉛を含む圧
電セラミックスから成り、セラミックス仮焼粉をペース
ト加工しスクリーン印刷で下部電極層上にパターン形成
し、その後900℃以上の温度で焼成することにより形
成さたものであることを特徴とする圧電アクチュエータ
である。
【0013】請求項7の発明、請求項1乃至6のいずれ
かの圧電アクチュエータに、液滴を噴射するノズルと、
供給タンクから前記ノズルまで液体を導く流路を具備さ
せ、前記ノズルから前記電気信号に応じて液滴を噴射さ
せることを特徴とするインクジェットプリンタヘッドで
ある。
【0014】請求項8の発明は、シリコン基板上に少な
くとも一層以上の中間層と、下部電極層と、圧電性層
と、上部電極層が積層され圧電アクチュエータを作製す
る方法において、前記一層以上の中間層が、タンタルか
ら成る第一の中間層と、タンタルの窒化物を含む第二の
中間層とを含むことを特徴とする、圧電アクチュエータ
の製造方法である。
【0015】請求項9の発明は、請求項に8記載された
圧電アクチェータ製造方法において、前記圧電性層は鉛
を含む圧電セラミックス仮焼粉をペースト加工し、スク
リーン印刷で下部電極層上にパターン形成し、その後9
00℃以上の温度で焼成することにより形成さたもので
あることを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法で
ある。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施形態を説明する。図1は、本発明による圧電アク
チュエータを示す。
【0017】図1に示すように、凹部を有するシリコン
基体1の凹の底部に当たる薄板状のシリコン基板2上の
酸化シリコン膜3上に、アクチュエータ部(中間層,下
部電極層,圧電性層,上部電極層)が形成されている。
このため、振動変位が大きく、アクチュエータ基体全体
を強度のあるものにすることができ、また、凹部を多数
形成することにより、一つの基板に多数のアクチュエー
タを形成することができる。
【0018】振動板としての振動主板となるシリコン基
板2と酸化シリコン膜3上には、第一の中間層であるタ
ンタル層4が形成され、タンタル層4上に第二のタンタ
ル層である窒化タンタル層5が形成され、窒化タンタル
層5上に下部電極である白金ロジウム合金層6が形成さ
れている。なお、タンタル層4および窒化タンタル層5
は、隣接部で互にいに進入するなどして、明確な層の境
界を成していない場合も含む。タンタル層4は基板との
密着性を確保、また、窒化タンタル層5は酸化防止層と
して機能する。白金ロジウム合金層6は鉛の拡散防止有
効な酸化ロジウムを含有している。
【0019】下部電極層6上には圧電性層7がスクリー
ン印刷,焼結により形成されている。圧電性層7は鉛を
含む圧電セラミックス(ここではPZTを用いた)であ
り、圧電性層7及び下部電極層6上に層間絶縁膜8(こ
こでは感光体ポリイミドを用いた)が形成され、上部電
極10がコンタクトホール9を介して形成されている
(図1)。
【0020】図1に示す圧電アクチュエータに、インク
液室11,共通液室13,液室中のインクを噴射するノ
ズル12を具備させ、図2に示すようなインクジェット
プリンタヘッドを製造した。図2(A),図2(B)
は、それぞれ圧電アクチュエータの短辺方向及び長辺方
向の断面図である。以下に、本発明の圧電アクチュエー
タの作製方法の実施例を図3に従い説明する。
【0021】(実施例1) (実施例1−1)板厚300μmの(110)シリコン
ウエハ1に熱酸化法により厚さ2μmの熱酸化膜2を形
成する。この熱酸化膜は、シリコン基板保護膜2、ま
た、シリコン基体の凹部パターニング時のエッチングマ
スク膜3として機能する。ここで、(110)面のシリ
コンウエハを用いたのは、KOH水溶液でシリコンをエ
ッチングして凹部を形成する際、エッチレートが極端に
遅い(111)面(:110面に対し約1/600のエ
ッチレート)が凹部の側壁になり、凹部の寸法増加を抑
えられるためである(図3(A))。
【0022】(実施例1−2)熱酸化膜2上にタンタル
膜をスパッタリングにて厚さ500(Å)に形成するこ
とにより、第一の中間層4を形成する。この時の成膜条
件は、[基板温度:600℃,スパッタリング投入パワ
ー密度:220(W),圧力:3(Pa),Arガス
(100%)]にて行い、結晶性の良好なタンタル膜を
形成した。また、比較サンプルとして、タンタル膜を同
様の方法で1100(Å)形成したサンプルを作製した
(図3(B))。
【0023】(実施例1−3)次に、第一の中間層
4(:タンタル)をN(100%)雰囲気中で800
℃,30secアニール処理することにより、第二の中
間層5を形成した。なお、第二の中間層は、タンタルを
ターゲットにして、Nガスを混入した反応性スパッタ
リング法や、窒化タンタルをターゲットに用いたスパッ
タリングにて行って形成してやってもよい。また、比較
サンプルとして、第二の中間層5を形成しないサンプル
を作製した(図3(C))。
【0024】(実施例1−4)第二の中間層上に白金ロ
ジウム(ロジウム濃度は30wt%)をスパッタリング
にて厚さ3000(Å)に形成することにより下部電極
層6を形成した。この時の成膜条件は、[基板温度:3
50℃,スパッタリング投入パワー密度:96(W),
圧力:5(Pa),Arガス(100%)]にて行っ
た。比較サンプルとして、下部電極6として白金を同様
の方法で厚さ3000(Å)に形成したサンプルを作製
した。以上のようにして、表1に示す下部電極/中間層
構造の異なるサンプルを作製した(図3(D))。
【0025】
【表1】
【0026】(実施例1−5)下部電極層6上に、ニッ
ケルニオブ酸鉛系の圧電前駆体をスクリーン印刷にて厚
さ20μmに形成した。この際、圧電セラミックスのP
ZT系セラミックスが好ましい。また、PZTに前述の
ような第3成分を加えたもの、他にマグネシウムニオブ
酸鉛系,マンガンニオブ酸化鉛系,アンチモンスズ酸鉛
等が用いられる。この圧電性層の形成において、スパッ
タ,CVDやゾルーゲルなどは全面デポによるパターニ
ングにより工程が煩雑になり、コストが高くなる。ま
た、これらの方法で形成された膜は、膜厚方向における
組成の均一化が難しく、圧電特性の再現性が悪い。一
方、請求項6の発明のように、PZT等圧電体の仮焼粉
をペースト加工し、スクリーン印刷で形成した膜は、パ
ターニング工程が不要で、ペースト処方,スクリーン版
の選定により一回の印刷工程で20μmの膜厚を形成で
きるため、簡便に低コストで形成できる。スクリーン印
刷にて形成した圧電前駆体を大気中で800℃〜100
0℃(焼成時間は10分)で焼成することにより、圧電
性層7を形成した。この焼成工程の際、白金ロジウム合
金からなる下部電極層6に酸化ロジウムが形成される。
この酸化ロジウムは白金粒子を包み込む形で形成される
ので、粒界拡散が支配的な鉛の拡散防止に、極めて優れ
た効力を発揮する(図3(E))。
【0027】(実施例1−6)PZT焼成後、各サンプ
ルの観察を行ったところ、表1に示すように、下部電極
層に白金を用いたサンプルでは、800℃以上の焼成で
白金の膜剥がれが観られ、請求項2の発明のように、白
金ロジウムを用いた場合、中間層がタンタル層だけから
なるサンプル(No.5,7)でも900℃まで耐熱性
を向上させることができた。中間層が請求項1記載のタ
ンタル層と窒化タンタルの構造サンプル(No.6,
8)は950℃まで耐熱性があることがわかった。
【0028】(実施例1−7)層間絶縁膜8は感光性ポ
リイミドを用い、上部電極用にコンタクトホール9を形
成し、上部電極10を堆積させる。この時の形成法には
ステンレス箔にパターン開孔したいわゆるメタルマスク
を基板と整合させ、マグネトロンスパッタ法にてCrを
100nm、続いてAuを600nm堆積した(図3
(F))。
【0029】(実施例1−8)圧電素子側の面を保護
し、熱酸化膜からなるエッチングマスク膜3に所望する
箇所をホトリソグラフィ・エッチングにより開孔させた
後、梁厚さ相当のSiエッチングを行う。熱酸化膜のエ
ッチングはフッ酸と弗化アンモニウムの水溶液からなる
バッファードフッ酸にて処理を行った。本実施例におい
ては、梁厚さを5μmとし、従って、5μmのエッチン
グをKOH水溶液,濃度40wt%にて実施した。次
に、素子形成用の第2のリソグラフィ・エッチングを行
い、開孔部を295μmをエッチングする。エッチング
の終点は先に5μm堀っていた箇所が貫通することで判
断できる(図3(G))。
【0030】(実施例1−9)作製したアクチュエータ
構造は、梁長さ170μm,周辺固定,Siの梁厚さ5
μm,PNN−PZT短辺長さ120μm,PNN−P
ZT膜厚20μmである。分極処理として電界強度20
kV/cm,1分を室温にて行い、変位計にて振動変位
を測定した。駆動電圧0−40V,周波数1kHzにて
圧電体の圧電効果に起因する振動を確認し、その値は約
60nmに至った。
【0031】(実施例2)実施例1−1,1−2,1−
3と同様にして、中間層を形成したサンプルに、実施例
1−4の下部電極層6形成において、使用する白金ロジ
ウム合金ターゲットのロジウム濃度(0〜50%)を変
えて成膜した。その後、実施例1−5のようにして、P
NN−PZT、組成は0.5Pb(Ni1/3Nb
2/3)O−0.5Pb(Zr0.3Ti0.7)O
をスクリーン印刷・焼成にて形成した。なお、SIM
S分析結果取得用サンプルには、実施例1−5の圧電性
層形成において、ゾルーゲル法にてPZT(52/4
8)Nb0.02%添加膜を300nm形成したサンプ
ルを用意した。
【0032】SIMS分析の結果、0%Rhで成膜した
(つまりPt電極)場合、800℃10分の熱処理でも
中間層の窒化タンタル及びタンタルに鉛が観測された。
一方、5wt%Rhでは、850℃にしても中間層に鉛
は観測されない。このことより、Rh濃度5wt%で鉛
遮蔽効果を有することを確認した。更に、Rh濃度を増
加させることにより、中間層に鉛が観測される焼成温度
は上昇し、Rh30wt%で950℃に至った。35w
t%では同様に950℃で鉛耐性は示したものの、基板
膜の一部が膜剥離を生じており、これはRh濃度の増加
に伴う下地膜との密着性の減少に伴う結果であり、Rh
濃度は30wt%が上限であることが判明した。
【0033】上記の30wt%Rhで成膜して、PNN
−PZTをスクリーン印刷,焼成(950℃10分)
し、上部電極を形成したサンプリングにて圧電層(膜厚
=20μm)のP−Eヒステリシスを測定した。その結
果、図4のように、良好なヒステリシスを示し、PZT
膜において、シリコンの侵入や鉛抜けによる圧電特性の
劣化はないものと考えられる。また、このことはSIM
S分析の結果が鉛の拡散に対して信頼度の高いものであ
ることも示す。
【0034】(実施例3)実施例1−4のように、下部
電極の白金ロジウムを成膜した。その後、請求項5の発
明のように、アニール処理(:大気中にて500℃30
分)により予め酸化ロジウムを形成しておいた後、実施
例1−5のように、圧電層を形成した。大気中500℃
以上の熱処理にてRhOに変成させた時、微視的には
酸化反応による体積膨張が発生し、膜の内部応力が増加
する。しかし、RhOは包晶的に形成されるため、ポ
ストアニールによって生じる体積変化は結晶粒界をより
強固に変化させるように振る舞い、結果として反応性ス
パッタにより形成したものより、高い鉛阻止能を有す
る。この結果、このアニール処理を行うことにより、未
処理品(注:中間層はTaN/Ta構造)の耐熱性が9
50℃10分だったものが、950℃60分にまでの向
上が得られた。この950℃60分で焼成したPNN−
PZT膜のヒステリシスを図5に示す。図4に比べ焼成
時間が長いため、圧電特性が向上しているのがわかる。
【0035】(実施例4)実施例1−4の下部電極層6
形成において、Pt−30wt%Rhを基板温度室温〜
630℃に変化させて成膜した。基板温度の上昇に伴い
組織は微小粒の連なったもの、石垣状,柱状にと変化し
た。また、基板温度の上昇に伴い、XRD回昇析による
結晶性評価では半値幅の小さい、単結晶ライクな膜に変
化していった。Ts(基板温度)=630℃では完璧な
柱状構造に、Ts=350℃では石垣状に、その中間の
温度では石垣状組織と柱状組織の合わさったものが得ら
れた。また、室温から350℃までは結晶粒の粒成長が
認められるのみで構造の大きな変化はない。このよう
に、膜形態を変化させ同様の評価を行ったところ、柱状
組織のものが耐熱性が低く、850℃にて中間層である
タンタルに鉛が確認され、Ts=350℃試料が最も耐
熱性を有していた。なお、SIMS分析結果取得のた
め、本実施例4は、実施例1−5の圧電性層形成におい
て、ゾルーゲル法にてPZT(52/48)Nb0.0
2%添加膜を300nm形成した。
【0036】
【発明の効果】請求項1,8に対応する効果:微細加工
に優れたシリコン基体を用いアクチュエータの高集化を
可能とし、第一の中間層にタンタルを用いることにより
基板との密着性を確保し、タンタルの窒化物を含む第二
の中間層は、圧電性層の焼結時に、第一の中間層(:タ
ンタル)の酸化防止層として機能することにより、下部
電極の剥離を防ぐことを可能にする。
【0037】請求項2に対応する効果:白金ロジウム合
金は、圧電性層の送向時に酸化ロジウムが形成され、圧
電層からの鉛の拡散を防止する。これにより、下部電極
層の剥離及び基板との反応などにより起こる信頼性,歩
留まりの低下を防ぎ、また、圧電性層へのシリコンの拡
散を防止するため圧電特性の劣化を防ぐことを可能にす
る。
【0038】請求項3に対応する効果:白金ロジウム合
金の含有率を5−30wt%と最適化することにより、
900℃以上の耐熱性を持ち(膜剥がれが起こらな
い)、鉛の拡散防止能に優れた下部電極を形成すること
を可能にする。
【0039】請求項4に対応する効果:630℃では完
壁な柱状構造に形成され、耐熱性が低くなるため、63
0℃以下で成膜し、石垣状構造にすることにより、下部
電極の耐熱性を確保できる。
【0040】請求項5に対応する効果:アニール処
理(:大気中にて500℃30分)により、予め酸化ロ
ジウムを形成しておいた後、圧電層を形成(焼成)する
ことにより、鉛の拡散防止効果を向上させ、耐熱性を向
上できる。
【0041】請求項6,9に対応する効果:圧電性層を
スクリーン印刷,焼成により形成することにより、簡便
に低プロセスコストで、安定かつ良好な圧電特性を持つ
圧電性層を形成することを可能にする。
【0042】請求項7に対応する効果:請求項1乃至6
記載の圧電アクチュエータをインクジェットプリンタヘ
ッドに用いることにより、高性能,高信頼性,低製造コ
ストのインクジェットプリンタヘッドが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明により作製された圧電アクチュエータ
を示す図である。
【図2】 本発明によるインクジェットプリンタヘッド
を示す図である。
【図3】 本発明による圧電アクチュエータの作製方法
を説明するための図である。
【図4】 本発明の実施例における圧電特性のヒステリ
シスを表す図である。
【図5】 本発明の他の実施例における圧電特性のヒス
テリシスを表す図である。
【符号の説明】
1…シリコン基体、2…シリコン基板(熱酸化膜)、3
…酸化シリコン膜(エッチング膜)、4…タンタル層
(第一の中間層)、5…窒化タンタル層(第二の中間
層)、6…白金ロジウム合金(下部電極層)、7…圧電
性層、8…層間絶縁層、9…コンタクトホール、10…
上部電極、11…インク液室、12…ノズル、13…共
通液室。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコン基板と該基板上に形成された圧
    電/電歪駆動部とから成り、該基板上に少なくとも一層
    以上の中間層と、下部電極層と、圧電性層と、上部電極
    層が積層された圧電アクチュエータにおいて、前記一層
    以上の中間層が、タンタルから成る第一の中間層と、タ
    ンタルの窒化物を含む第二の中間層とを含むことを特徴
    とする、圧電アクチュエータ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された圧電アクチュエー
    タにおいて、前記中間層上の上部に積層される下部電極
    層が、白金ロジウム合金膜から成ることを特徴とする圧
    電アクチュエータ。
  3. 【請求項3】 請求項1又2に記載された圧電アクチュ
    エータにおいて、前記下部電極層の白金ロジウム合金膜
    は、ロジウム濃度5〜30wt%含有の合金からなるこ
    とを特徴とする圧電アクチュエータ。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3に記載された圧電アクチ
    ュエータにおいて、前記下部電極層の白金ロジウム合金
    膜は630℃以下の基板温度にてスパッタ成膜すること
    を特徴とする圧電アクチュエータ。
  5. 【請求項5】 請求項2乃至4のいずれかに記載された
    圧電アクチュエータにおいて、前記下部電極は、白金ロ
    ジウム膜を形成した後に、アニール処理により酸化ロジ
    ウムを含有して膜に変性せしめたものであることを特徴
    とする圧電アクチュエータ。
  6. 【請求項6】 請求項に1記載された圧電アクチェータ
    において、前記圧電性層は鉛を含む圧電セラミックスか
    ら成り、セラミックス仮焼粉をペースト加工しスクリー
    ン印刷で下部電極層上にパターン形成し、その後900
    ℃以上の温度で焼成することにより形成さたものである
    ことを特徴とする圧電アクチュエータ。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかの圧電アクチ
    ュエータに、液滴を噴射するノズルと、供給タンクから
    前記ノズルまで液体を導く流路を具備させ、前記ノズル
    から前記電気信号に応じて液滴を噴射させることを特徴
    とするインクジェットプリンタヘッド。
  8. 【請求項8】 シリコン基板上に少なくとも一層以上の
    中間層と、下部電極層と、圧電性層と、上部電極層が積
    層され圧電アクチュエータを作製する方法において、前
    記一層以上の中間層が、タンタルから成る第一の中間層
    と、タンタルの窒化物を含む第二の中間層とを含むこと
    を特徴とする、圧電アクチュエータの製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項に8記載された圧電アクチェータ
    の製造方法において、前記圧電性層は鉛を含む圧電セラ
    ミックス仮焼粉をペースト加工し、スクリーン印刷で下
    部電極層上にパターン形成し、その後900℃以上の温
    度で焼成することを特徴とする圧電アクチュエータの製
    造方法。
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