JP2000012550A - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

半導体装置およびその製造方法

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JP2000012550A
JP2000012550A JP10178230A JP17823098A JP2000012550A JP 2000012550 A JP2000012550 A JP 2000012550A JP 10178230 A JP10178230 A JP 10178230A JP 17823098 A JP17823098 A JP 17823098A JP 2000012550 A JP2000012550 A JP 2000012550A
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Akira Tsukamoto
朗 塚本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】半導体基板の結晶界面のダングリングボンドを
重水素で効率よく終端することによって、半導体基板の
界面準位密度とそれに起因する諸特性の初期値ならびに
経時安定性の両方が改善する半導体装置及びその製造方
法を提供する。 【解決手段】半導体基板の結晶界面に重水素が偏析して
おり、結晶界面の半導体原子のダングリングボンドが重
水素により終端されている。半導体基板(1)上に半導体
素子を形成する第1の工程と、重水素D(5)を組成に含
むアンモニアガスまたはシラン系ガスを材料ガスの一部
としてCVD装置により半導体素子上に窒化シリコン膜
を形成する第2の工程と、半導体基板を300℃以上に
加熱する第3の工程により半導体装置(6)を製造する。
重水素の濃度は、面密度で1013atoms/cm2以上、体積
密度で1020atoms/cm3以上が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重水素を含む半導
体装置およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体装置、特に金属酸化物半導体(M
OS)キャパシタを利用した記憶装置、演算装置、撮像
装置は近年その用途が拡大し広く用いられるようになっ
てきた。一方でこれらの半導体装置は高性能化や高集積
化が進んでいる。
【0003】以下、従来の半導体装置および半導体装置
の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図
13は、従来の半導体装置の断面を示す。図14は、従
来の半導体装置の製造方法における工程順断面図を示
す。図15は、水素処理しない半導体基板界面の原子構
造をシリコン結晶基板を例に示す。図16は、理想的に
水素処理された半導体装置の半導体基板界面の原子構造
をシリコン結晶基板を例に示す。図17は、従来の方法
で水素処理された半導体装置の半導体基板界面の原子構
造をシリコン結晶基板を例に示す。図18は、従来の半
導体装置における半導体基板界面の界面準位密度の経時
変化を示す。図19および図20は、従来の半導体装置
における半導体素子特性の経時変化を示す。
【0004】図13〜図20において、1は半導体基
板、2は半導体素子、3は絶縁膜、4は半導体基板界
面、5は水素原子、6は半導体装置、7は水素分子、8
は結晶原子、9は結晶界面、10はダングリングボンド
である。
【0005】従来の半導体装置は、図13に示すよう
に、半導体基板1上に半導体素子2が形成されており半
導体素子2は絶縁膜3に覆われている。半導体基板界面
4には水素原子5が偏析している。
【0006】この従来の半導体装置の製造方法は、はじ
めに図14(a)に示すように半導体基板1上にトラン
ジスタなどの半導体素子2を形成する。ここで半導体素
子2とはMOSトランジスタやバイポーラトランジス
タ、容量、抵抗、配線の単体や、集積回路と呼ばれるそ
の集合体などである。このようにして形成される半導体
装置6は、たとえば記憶装置や演算装置、撮像装置やそ
れらの複合機能を有する。その形成には、不純物のイオ
ン注入や熱拡散、絶縁膜や導電膜の成長、堆積と、フォ
トリソグラフィーによるマスク形成とエッチングによる
加工技術などを用いる。このようにして製造された半導
体装置6を次に水素気体雰囲気または窒素などで希釈さ
れた水素気体雰囲気中で熱処理する(図14(b))。
この処理により水素分子7(H2)と水素分子7から熱
解離した水素原子5(H)が半導体装置6中に拡散して
半導体装置6が完成する(図14(c))。以下、この
ような従来の水素処理を特に気相水素処理と呼ぶ。
【0007】次にこの気相水素処理の目的および効果に
ついて説明する。一般に、半導体基板を形成する半導体
結晶の結晶界面は結晶の不連続面であるため、図15に
示すような原子構造になっている。(図15はシリコン
結晶の場合の一例である)完全結晶では共有結合にあず
かるべき結晶原子8の結合手が結晶界面9では余剰にな
り未結合のまま残る。これをダングリングボンド10と
呼ぶ。このダングリングボンド10のため結晶界面9で
は半導体結晶のエネルギーバンドギャップに中間準位が
形成される。結晶界面9のダングリングボンド10に起
因する中間準位は界面準位と呼ばれている。半導体基板
界面4を利用して動作する半導体素子2および半導体装
置6においては、この界面準位の量(界面準位密度)が
多いとその特性を劣化させるので、界面準位密度を低減
させること、すなわち半導体基板界面4の結晶原子8の
ダングリングボンド10を低減することが重要である。
特に半導体記憶装置の保持特性、半導体演算装置のスイ
ッチング特性や半導体撮像装置の暗出力特性などを改善
することから非常に重要である。その手段として水素処
理が用いられる。
【0008】図16は図15におけるダングリングボン
ド10がすべて水素原子5で終端された半導体結晶の結
晶界面9の状態をシリコン結晶を例に示している。図1
4の半導体装置の製造方法で示した水素気体中の熱処理
により、気体の水素分子7は半導体装置6中に拡散し、
一部解離した水素原子5が半導体基板界面4のダングリ
ングボンド10を終端する。従って、水素気体中の熱処
理により従来は界面準位密度を低減し半導体装置の特性
を向上させていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の半導体装置の製造方法では、大きな三つの問題があっ
た。
【0010】第1に、水素の拡散源が気体であり、半導
体装置の製造工程で用いることのできる約1000℃以
下の温度では水素分子の解離確率が1%にも満たないた
めに十分な量の水素原子5が得られず、図17に示すよ
うに半導体基板の結晶界面9には多数のダングリングボ
ンド10が残留し、界面準位密度を十分に低減すること
ができないという問題があった。
【0011】第2に、水素ガスは爆発性があるため、半
導体装置の製造工程で使用するには厳重な安全対策を行
う必要があった。第3に、半導体基板の結晶界面9のダ
ングリングボンド10を終端した水素原子5は、半導体
装置を長時間動作するうちに徐々に脱離するため、界面
準位密度は図18に示すように半導体装置の動作時間と
共に徐々に増加する。従って、図19および図20に示
すようにトランジスタのgmや暗電流などの半導体装置
の特性も半導体装置の動作時間と共に徐々に劣化する問
題があった。ここで、図18〜図20の縦軸には示した
それぞれの初期値を1と示した。
【0012】本発明は、前記従来の問題を解決するた
め、従来に比べて初期特性と特性の経時劣化のいずれに
おいても優れた性能が得られる半導体装置及びその製造
方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の半導体装置は、半導体基板の結晶界面に重
水素が偏析しており、結晶界面の半導体原子のダングリ
ングボンドが重水素により終端されていることを特徴と
する。重水素の好ましい存在量は、面密度で10 13atom
s/cm2以上、体積密度で1020atoms/cm3以上であり、さ
らに好ましくは面密度で1014atoms/cm2以上、体積密
度で1021atoms/cm3以上であり、とくに好ましくは界
面の原子数と同程度以上で、面密度で1015atoms/cm2
以上、体積密度で1022atoms/cm3以上である。
【0014】前記装置においては、さらに重水素を含む
保護膜を有することが好ましい。また前記装置において
は、さらに重水素を含む窒化シリコン膜を保護膜として
有することが好ましい。
【0015】次に本発明の第1番目の半導体装置の製造
方法は、半導体基板上に半導体素子を形成する第1の工
程と、重水素を含むアンモニアガスまたはシラン系ガス
または水素ガスを材料ガスの一部としてCVD装置によ
り半導体素子上に窒化シリコン膜を形成する第2の工程
と、半導体基板を加熱する第3の工程を含むことを特徴
とする。
【0016】次に本発明の第2番目の半導体装置の製造
方法は、半導体基板上に半導体素子を形成する第1の工
程と、重水素を含まないシラン系ガスと、重水素を含む
水素ガスまたはアンモニアガスを材料ガスの一部として
CVD装置により半導体素子上に窒化シリコン膜を形成
する第2の工程と、半導体基板を加熱する第3の工程を
含むことを特徴とする。
【0017】前記第1〜2番目の製造方法においては、
第3の工程での半導体基板を加熱する温度が300℃以
上であることが好ましい。また前記第1〜2番目の製造
方法においては、CVD装置が、プラズマCVD装置及
び光CVD装置から選ばれる少なくとも一つの装置であ
ることが好ましい。
【0018】次に本発明の第3番目の半導体装置の製造
方法は、半導体基板上に半導体素子を形成する第1の工
程と、半導体基板を重水素雰囲気中で加熱する第2の工
程を有することを特徴とする。
【0019】前記方法においては、第2の工程での半導
体基板を加熱する温度が300℃以上であることが好ま
しい。前記した本発明によれば、重水素を含んだ窒化シ
リコン膜を保護膜として有し、半導体基板の界面には、
重水素が偏析している。この半導体装置の製造方法は、
半導体基板上に半導体素子を形成する第1の工程と、半
導体素子上に保護膜として、組成に重水素を含んでいる
アンモニアガスまたはシランガスを材料ガスとしてプラ
ズマCVD装置または光CVD装置により窒化シリコン
膜を形成する第2の工程と、半導体装置を例えば300
℃以上に加熱する第3の工程を有する。
【0020】このような構成の半導体装置は、プラズマ
窒化膜中に高濃度に含まれる重水素原子を拡散させて半
導体基板の結晶界面のダングリングボンドを重水素で終
端することができる。この方法により、通常の水素に比
べて質量が大きく脱離しにくい重水素を、爆発性のある
危険な気体水素を用いることなく、気体の拡散源よりも
高濃度に半導体基板の結晶界面に拡散させて基板界面の
ダングリングボンドを終端させることが可能になる。
【0021】その結果、本発明の半導体装置は、従来に
比べて初期特性と特性の経時劣化のいずれにおいても優
れた性能が得られる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の半導体装置の半導体基板
の界面には、重水素が偏析している。その製造方法は、
半導体基板上に半導体素子を形成する第1の工程と、半
導体素子上に保護膜として、組成に重水素を含んでいる
アンモニアガスまたはシラン系ガスを材料ガスとして用
いてプラズマCVD装置または光CVD装置により窒化
シリコン膜を形成する第2の工程と、半導体素子を30
0℃以上に加熱する第3の工程を有する。
【0023】
【実施例】以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に
説明する。 (第1の実施例):気相重水素処理 以下、本発明の半導体装置ならびに半導体装置の製造方
法における第1の実施例について、図面を参照しながら
説明する。
【0024】図1は、本発明の半導体装置の第1の実施
例における断面図を示す。図2は、本発明の半導体装置
の製造方法の第1の実施例における工程順断面図を示
す。図3は、本発明の半導体装置の第1の実施例におけ
る半導体基板界面の原子構造をシリコン結晶基板を例に
示す。図4は、本発明の半導体装置の第1の実施例にお
ける半導体基板界面の界面準位密度の経時変化を示す。
図5および図6は、本発明の半導体装置の第1の実施例
における半導体素子特性の経時変化を示す。
【0025】図1〜図6において、1は半導体基板、2
は半導体素子、3は絶縁膜、4は半導体基板界面、5は
水素原子、6は半導体装置、7は水素分子、8は結晶原
子、9は結晶界面、10はダングリングボンド、11は
重水素原子、12は重水素分子である。1は半導体基
板、2は半導体素子、3は絶縁膜、4は半導体基板界
面、5は水素原子、6は半導体装置、7は水素分子、8
は結晶原子、9は結晶界面、10はダングリングボン
ド、11は重水素原子、12は重水素分子である。
【0026】本実施例の半導体装置は、図1に示すよう
に、半導体基板1上に半導体素子2が形成されており半
導体素子2は絶縁膜3に覆われている。半導体基板界面
4には重水素原子11が偏析している。
【0027】本実施例の半導体装置の製造方法は、はじ
めに図2(a)に示すように半導体基板上1にトランジ
スタなどの半導体素子2を形成する。ここでのべる半導
体素子とはMOSトランジスタやバイポーラトランジス
タ、容量、抵抗、配線の単体や、集積回路と呼ばれるそ
の集合体などである。このようにして形成される装置
は、たとえば記憶装置や演算装置、撮像装置やそれらの
複合機能を有する。その形成には、不純物のイオン注入
や熱拡散、絶縁膜や導電膜の成長、堆積と、フォトリソ
グラフィーによるマスク形成とエッチングによる加工技
術などを用いる。このようにして製造された半導体装置
6を次に重水素気体雰囲気または窒素などで希釈された
重水素気体雰囲気中で熱処理する(図2(b))。この
処理により重水素分子12(D2 化学式中の元素記号
Dは重水素を表す)と重水素分子12から熱解離した重
水素原子11(D)が半導体装置6中に拡散して半導体
装置6が完成する(図2(c))。半導体基板界面4に
おける重水素原子11の濃度は、面密度で1013atoms/
cm2、体積密度で1020atoms/cm3である。また、これ以
上の重水素原子の濃度が好ましい。以下、本実施例の水
素処理を特に気相重水素処理と呼ぶ。
【0028】次に本実施例の作用について説明する。図
2の半導体装置の製造方法で示した重水素気体中の熱処
理により、気体の重水素分子12は半導体装置6中に拡
散し、一部解離した重水素原子11が半導体基板界面4
のダングリングボンドを終端する。本実施例の水素処理
は従来の技術と同様に気体を拡散源として用いるため、
従来の技術で述べたと同様の理由から、半導体基板6の
結晶界面9のダングリングボンド10を完全に終端する
ことはできず、多数のダングリングボンド10が残留
し、界面準位密度を十分に低減することはできない。こ
の様子を図3に示した。従って、本実施例の半導体装置
の界面準位密度ならびにそれに起因するgm、暗電流な
どの初期特性は従来の半導体装置と同等である。しか
し、本実施例の半導体装置では重水素原子12が半導体
基板の結晶界面9のダングリングボンド10の終端に寄
与している点に特徴がある。重水素原子12は通常の水
素原子5の2倍の質量を持つため、熱振動が通常の水素
原子5よりも小さく重水素原子12の脱離は起こりにく
い。そのため重水素原子12による終端は従来の水素終
端に比べて安定で、半導体装置を長時間動作させても、
界面準位密度は図4に示すように半導体装置の動作時間
による増加が少ない。従って、図5および図6に示すよ
うにトランジスタのgmや暗電流などの半導体装置の特
性も半導体装置の動作時間に対して安定になる。ここ
で、図4〜図6の縦軸には従来技術(気相水素処理)に
おけるそれぞれの初期値を1、本実施例における経時変
化を実線で、また従来技術における経時変化を波線で示
した。
【0029】すなわち、本実施例では半導体基板の界面
準位密度とそれに起因する諸特性の経時安定性が改善さ
れる効果がある。 (第2の実施例):固相重水素処理 以下、本発明の半導体装置ならびに半導体装置の製造方
法における第2の実施例について、図面を参照しながら
説明する。
【0030】図7は、本発明の半導体装置の第2の実施
例における断面図を示す。図8は、本発明の半導体装置
の製造方法の第2の実施例における工程順断面図を示
す。図9は、本発明の半導体装置の半導体基板界面の原
子構造をシリコン結晶基板を例に示す。図10は、本発
明の半導体装置の第2の実施例における半導体基板界面
の界面準位密度の経時変化を示す。図11および図12
は、本発明の半導体装置の第2の実施例における半導体
素子特性の経時変化を示す。
【0031】図7〜図12において、1は半導体基板、
2は半導体素子、3は絶縁膜、4は半導体基板界面、5
は水素原子、6は半導体装置、7は水素分子、8は結晶
原子、9は結晶界面、10はダングリングボンド、11
は重水素原子、12は重水素分子、13は窒化シリコン
膜、14は窒化シリコン膜である。
【0032】本実施例の半導体装置は、図7に示すよう
に、半導体基板1上に半導体素子2が形成されており半
導体素子2は絶縁膜3に覆われている。半導体基板界面
4には重水素原子11が偏析している。
【0033】本実施例の半導体装置の製造方法は、はじ
めに図8(a)に示すように半導体基板1上にトランジ
スタなどの半導体素子2を形成する。ここでのべる半導
体素子とはMOSトランジスタやバイポーラトランジス
タ、容量、抵抗、配線の単体や、集積回路と呼ばれるそ
の集合体などである。このようにして形成される装置
は、たとえば記憶装置や演算装置、撮像装置やそれらの
複合機能を有する。その形成には、不純物のイオン注入
や熱拡散、絶縁膜や導電膜の成長、堆積と、フォトリソ
グラフィーによるマスク形成とエッチングによる加工技
術などを用いる。
【0034】次にこの半導体基板上1に水素の代わりに
重水素を含むシラン系ガス(化学式:Sin2n+2
だしnは例えば1〜6の正の整数、化学式中の元素記号
Dは重水素を表す)またはアンモニアガス(化学式:N
3)、または水素ガス(D2)を材料ガスの一部として
気相化学成長(Chemical Vapor Deposition.以下CVD
と呼ぶ)により窒化シリコン膜14(Sixy)を形成
する(化学式中の元素記号Dは重水素を表す)(図8
(b))。このとき、本実施例ではプラズマCVD法や
光CVD法を用いて500℃以下の低温で形成する。膜
厚は100nm〜1000nmである。このことによっ
て材料ガス中に含まれる重水素原子11が高濃度で窒化
シリコン膜14中に残留する。その重水素原子濃度は単
位立方センチメートルあたり1022前後であり、固体構
成原子の濃度に匹敵する。
【0035】このときの半導体基板界面4における重水
素原子11の濃度は、面密度で10 14atoms/cm2、体積
密度で1021atoms/cm3である。また、重水素を含まな
いシラン系ガスと、重水素を含むアンモニアガスまたは
重水素を含む水素を材料ガスの一部として用いる組み合
わせも可能である。
【0036】さらにこの半導体基板1を300℃以上で
熱処理する(図8(c))。熱処理雰囲気に特に制約は
ないが、窒素などの不活性気体が副作用もなく取り扱い
やすい。このようにして本実施例の半導体装置6が完成
する。場合によっては図8(d)に示すようにさらに窒
化シリコン膜を除去する工程を追加しても差し支えな
い。以下本実施例の製造方法を固相重水素処理と呼ぶこ
とにする。
【0037】次に本実施例の作用について説明する。図
8の半導体装置の製造方法では、半導体装置上1に形成
した窒化シリコン膜14中に含まれる非常に高濃度の重
水素原子11が熱処理により半導体装置中に拡散し、半
導体基板界面4の結晶界面9のダングリングボンド10
を従来技術に比べて非常に効率よく終端し図9に示すよ
うな状態にする。これには窒化シリコン膜14が水素な
らびに重水素を透過させにくく、膜中の重水素原子11
を外部に逃がしにくいという性質も寄与している。従っ
て、固相水素処理をする本実施例では界面準位密度が従
来に比べて非常に小さくなり、それに起因するgm、暗
電流などの初期特性は気相水素処理による従来の半導体
装置と比べて大幅に改善する。なおかつその製造過程で
は、従来技術では必要であった爆発性のある水素ガスや
重水素ガスを使用する必要がなくなり、安全性も増す。
なお、本実施例では窒化シリコン膜を用いたが、窒化酸
化シリコン膜(Sixyz)等でも重水素を高濃度に
含有し、かつ重水素の透過性の低い膜であれば同様の効
果が得られる。また、膜厚を厚くすることも重水素原子
11を外部へ逃がさないために効果がある。
【0038】しかも、本実施例の半導体装置では、半導
体基板の結晶界面のダングリングボンドの終端に寄与し
ているのは重水素である。重水素原子は通常の水素原子
の2倍の質量を持つため、熱振動が通常の水素原子より
も小さく重水素の脱離は起こりにくい。そのため重水素
による終端は従来の水素終端に比べて安定で、半導体装
置を長時間動作させても、界面準位密度は図10に示す
ように半導体装置の動作時間による増加が少ない。従っ
て、図11および図12に示すようにトランジスタのg
mや暗電流などの半導体装置の特性も半導体装置の動作
時間に対して安定になる。ここで、図10〜図12の縦
軸には従来技術(気相水素処理)におけるそれぞれの初
期値を1、本実施例における経時変化を実線で、また従
来技術における経時変化を波線で示した。
【0039】すなわち、本実施例では半導体基板の界面
準位密度とそれに起因する諸特性の初期値ならびに経時
安定性の両方が改善される効果がある。なお、本実施例
では水素の代わりに重水素を含むシラン系ガス(化学
式:Si n2n+2 n=1,2,3・・・)またはアン
モニアガス(化学式:ND3)または水素ガス(化学
式:D2)を材料ガスの一部として気相化学成長(Chemi
cal Vapor Deposition.以下CVDと呼ぶ)により窒化
シリコン膜(Sixy)を形成したが、たとえばSin
2n2 n=1,2,3・・・やNDH2やDH等のよ
うに水素と重水素を両方含むシラン系ガス、アンモニア
ガスまたは水素ガスを材料ガスとして用いても差し支え
ない。その場合に、本実施例の半導体基板の界面準位密
度とそれに起因する諸特性の経時安定性は、水素に比べ
て重水素の含有率が高いほど改善されることはいうまで
もない。
【0040】ここで、特許請求の範囲に示された発明は
上記実施例で説明した態様に限られるものではない。ま
た、上記の実施例の半導体装置は集積回路で示したが、
トランジスタなどの個別素子、または太陽電池などにお
いても同様に応用できる。
【0041】
【発明の効果】以上のように、本発明は半導体基板の結
晶界面のダングリングボンドを重水素で効率よく終端す
ることによって、半導体基板の界面準位密度とそれに起
因する諸特性の初期値ならびに経時安定性の両方が改善
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の半導体装置の第1の実施例における
断面図。
【図2】 本発明の半導体装置の製造方法の第1の実施
例における工程順断面図。
【図3】 本発明の半導体装置の第1の実施例における
半導体基板界面の原子構造をシリコン結晶基板を例に示
す図。
【図4】 本発明の半導体装置の第1の実施例における
半導体基板界面の界面準位密度の経時変化。
【図5】 本発明の半導体装置の第1の実施例における
トランジスタのgmの経時変化を示す図。
【図6】 本発明の半導体装置の第1の実施例における
暗電流の経時変化を示す図。
【図7】 本発明の半導体装置の第2の実施例における
断面図。
【図8】 本発明の半導体装置の製造方法の第2の実施
例における工程順断面図。
【図9】 本発明の半導体装置の第2の実施例における
半導体基板界面の原子構造をシリコン結晶基板を例に示
す図。
【図10】 本発明の半導体装置の第2の実施例におけ
る半導体基板界面の界面準位密度の経時変化を示す図。
【図11】 本発明の半導体装置の第2の実施例におけ
るトランジスタのgmの経時変化を示す図。
【図12】 本発明の半導体装置の第2の実施例におけ
る暗電流の経時変化を示す図。
【図13】 従来の半導体装置の断面図。
【図14】 従来の半導体装置の製造方法における工程
順断面図。
【図15】 水素処理しない半導体基板界面の原子構造
をシリコン結晶基板を例に示す図。
【図16】 理想的に水素処理された半導体装置の半導
体基板界面の原子構造をシリコン結晶基板を例に示す
図。
【図17】 従来の方法で水素処理された半導体装置の
半導体基板界面の原子構造をシリコン結晶基板を例に示
す図。
【図18】 従来の半導体装置における半導体基板界面
の界面準位密度の経時変化を示す図。
【図19】 従来の半導体装置におけるトランジスタの
gmの経時変化を示す図。
【図20】 従来の半導体装置における暗電流のgmの
経時変化を示す図。
【符号の説明】
1 半導体基板 2 半導体素子 3 絶縁膜 4 半導体基板界面 5 水素原子 6 半導体装置 7 水素分子 8 結晶原子 9 結晶界面 10 ダングリングボンド 11 重水素原子 12 重水素分子 13 窒化シリコン膜 14 窒化シリコン膜

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板の結晶界面に重水素が偏析し
    ており、結晶界面の半導体原子のダングリングボンドが
    重水素により終端されていることを特徴とする半導体装
    置。
  2. 【請求項2】 さらに重水素を含む保護膜を有する請求
    項1に記載の半導体装置。
  3. 【請求項3】 さらに重水素を含む窒化シリコン膜を保
    護膜として有する請求項1に記載の半導体装置。
  4. 【請求項4】 重水素の存在量が、面密度で1013atom
    s/cm2以上、体積密度で1020atoms/cm3以上である請求
    項1に記載の半導体装置。
  5. 【請求項5】 半導体基板上に半導体素子を形成する第
    1の工程と、重水素を含むアンモニアガスまたはシラン
    系ガスまたは水素ガスを材料ガスの一部としてCVD装
    置により半導体素子上に窒化シリコン膜を形成する第2
    の工程と、半導体基板を加熱する第3の工程を含むこと
    を特徴とする半導体装置の製造方法。
  6. 【請求項6】 半導体基板上に半導体素子を形成する第
    1の工程と、重水素を含まないシラン系ガスと、重水素
    を含む水素ガスまたはアンモニアガスを材料ガスの一部
    としてCVD装置により半導体素子上に窒化シリコン膜
    を形成する第2の工程と、半導体基板を加熱する第3の
    工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 第3の工程での半導体基板を加熱する温
    度が300℃以上である請求項5または6に記載の半導
    体装置の製造方法。
  8. 【請求項8】 CVD装置が、プラズマCVD装置及び
    光CVD装置から選ばれる少なくとも一つの装置である
    請求項5または6に記載の半導体装置の製造方法。
  9. 【請求項9】 半導体基板上に半導体素子を形成する第
    1の工程と、半導体基板を重水素雰囲気中で加熱する第
    2の工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 第2の工程での半導体基板を加熱する
    温度が300℃以上である請求項9に記載の半導体装置
    の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6943126B1 (en) * 2002-12-06 2005-09-13 Cypress Semiconductor Corporation Deuterium incorporated nitride
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