JP2000012022A - 非水電解質二次電池用正極活物質及び非水電解質二次電池 - Google Patents
非水電解質二次電池用正極活物質及び非水電解質二次電池Info
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Abstract
に優れる非水電解質二次電池の提供。 【解決手段】電子スピン共鳴装置で測定されるスピン濃
度が1×1018個/g以下であるLix CoO2 (0<
x≦1.25)を正極活物質として使用する。
Description
池用正極活物質、及び該正極活物質を有する非水電解質
二次電池に関する。
貯蔵方式の発展に伴い、小型、軽量でエネルギー密度が
高い二次電池の開発が期待され、リチウム二次電池技術
が急展開し、急速に大量生産の時代に入ってきている。
は、リチウム/ニッケル複合酸化物、リチウム/マンガ
ン複合酸化物、リチウム/コバルト複合酸化物等が検討
されている。このなかで、Lip CoO2 (0<p≦
2)で表せるリチウム/コバルト複合酸化物は、六方晶
系の層状構造を有し、充放電時に層間にLiイオンをイ
ンターカレーションするもので、高エネルギー密度であ
り、4V程度の高電圧の非水電解質二次電池として実用
化されている。
ルト複合酸化物を正極活物質とする従来の二次電池は、
Lip CoO2 が充放電に伴うLiイオンの出入りによ
り、4.12〜4.20V付近で充電時には六方晶から
単斜晶へ、放電時には単斜晶から六方晶への可逆的な結
晶構造変化を生じるため、4.12〜4.20Vよりも
高い電圧まで充電するとLip CoO2 の層状構造がも
ろくなることが報告されている(J.N.Reimer
s et al.,J.Electrochem.So
c.,139,2091(1992)及びT.Ohzu
ku et al.,ibid,141,2972(1
994))。このため、4.1V以上に充電した二次電
池は、外部環境から加わる熱に対する耐熱安定性が著し
く低下する問題があった。
部環境が異常高温になることもあるため、より高い使用
温度における耐熱安定性が必要とされている。本発明
は、上記問題点を解決するために、Lip CoO2 の焼
成時点における耐熱安定性を簡便に評価することによ
り、耐熱安定性の優れる非水電解質二次電池を得るため
の正極活物質、及び該正極活物質を有する非水電解質二
次電池を提供することを目的とする。
2 (ただし0<x≦1.25)で表され、かつ電子スピ
ン共鳴装置によるg=2.15におけるスピン濃度が1
×1018個/g以下であることを特徴とする非水電解質
二次電池用正極活物質、及び該正極活物質を有する非水
電解質二次電池を提供する。
質とする非水電解質二次電池の外部環境に対する耐熱安
定性は、充電状態におけるLix CoO2 の結晶構造の
安定性と関連があると考え、種々の検討を重ねた。その
結果、充電状態におけるLix CoO2 の結晶構造の安
定性が、電子スピン共鳴装置によるg=2.15におけ
るスピン濃度と関連していることを見いだし、本発明に
至った。
装置としては、マイクロ波としてXバンド(10GH
z)を用い、磁場変調法によるロックイン検出を行う市
販の測定装置を使用する。測定は室温で行い、その他の
測定条件は、信号形状や強度が正確に測定できる条件で
あれば特に制限を受けない。
共振周波数が当たるように調整し、g=2.3〜1.7
の間でLix CoO2 の電子スピン共鳴スペクトルを測
定すると、g=2.15±0.01、g=2.01±
0.01およびg=1.92±0.02の位置に信号が
検出される。なお、本明細書におけるgは、一般的な意
味でのg値よりも広く解釈し、単に掃引磁場から式g=
hν/βH(h;プランク定数、ν;マイクロ波周波
数、β;電子のボーア磁子、H;掃引磁場)により算出
される値を指す。
の信号強度と耐熱安定性との間に相関が認められ、信号
強度の低いLix CoO2 ほど耐熱安定性が高い傾向が
ある。一方、g=2.01及びg=1.92の信号強度
と耐熱安定性との間には明確な相関は認められない。
ペクトルの信号からスピン濃度を求める方法としては、
信号を二度積分してその強度を求める方法が一般的であ
る。本発明では、その積分範囲として、g=2.15の
信号のみが積分されるように範囲を選択する。スピンの
定量に用いる標準試料は、一般に使用される長期的に安
定なラジカル化合物、例えば、2,2,6,6−テトラ
メチル−4−ピペリジノール−1−オキシル等を使用す
る。
は、上記の方法で計算されるg=2.15の信号のスピ
ン濃度が1×1018個/g以下である。3×1017個/
g以下であるとより耐熱安定性が高くなり好ましい。本
発明ではLix CoO2 が安定であるほど好ましいの
で、スピン濃度の値は小さいほど好ましい。
るg=2.15に観測されるスピン信号の意味するとこ
ろは必ずしも明らかではないが、Lix CoO2 を製造
する際の焼成雰囲気の酸素濃度が高いほどスピン信号が
著しく小さくなる傾向があることから、Lix CoO2
結晶構造中の化学量論組成からのわずかなずれがスピン
信号として測定されているものと推定している。
xは、0<x≦1.25である。xが1.25より大き
いと、六方晶系の層状構造を維持できなくなり、充放電
容量が著しく低下するので好ましくない。好ましくは
0.8≦x≦1.1である。
造における原料としては、Lix CoO2 を構成する金
属元素の酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、有機酸塩
を使用できる。また、本発明におけるLix CoO2
は、Li、Co以外の第三成分(M)がCoと置換され
た酸化物でもよく、その場合Lix My Co1-y O2
(0<x≦1.25、0<y≦0.25)で表される。
yが0.25より大きくなると、この酸化物を正極活物
質として用いる二次電池の充放電容量が著しく低下す
る。
バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、クロム(C
r)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、鉄(F
e)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)等の遷移金属
元素、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、ビスマス
(Bi)等の典型金属元素、マグネシウム(Mg)、カ
ルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム
(Ba)等のアルカリ土類金属元素及びセリウム(C
e)、プラセオジム(Pr)、テルビウム(Tb)等の
希土類元素が挙げられ、Mはこれらの1種以上からなる
ことが好ましい。
次のように合成できる。硫酸コバルトを原料として得ら
れた水酸化コバルトを200〜600℃で焼成して酸化
コバルトとし、炭酸リチウムと例えばボールミル等で乾
式混合する。次いでこの混合粉を大気中又は酸素雰囲気
中で、850〜980℃で12〜48時間焼成する。得
られた焼成粉を乾式粉砕することにより目的のLix C
oO2 が得られる。
上記Lix CoO2 を80〜90重量%、アセチレンブ
ラック又はカーボンブラック等の導電材を5〜16重量
%、及びポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと
いう)又はポリフッ化ビニリデン等の結着材を4〜15
重量%含んでなることが好ましい。そして、これらの混
合物に有機溶媒を加えてペースト化し、集電体に塗布後
乾燥して、例えば0.5〜2.5t/cm2 の加圧で成
形し、さらに真空乾燥することにより得ることが好まし
い。
リチウム、リチウム合金、及びリチウムイオンを吸蔵放
出できる材料が使用できる。リチウムイオンを吸蔵放出
できる材料としては炭素質材料等がある。正極及び負極
の集電体としては、アルミニウム、ニッケル、ステンレ
ス鋼(以下SUSという)、銅等の金属箔、金属網状
物、金属多孔体等が使用でき、正極の集電体と負極の集
電体は同じでも異なってもよい。
プロトン性溶媒、例えばプロピレンカーボネート、エチ
レンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカ
ーボネート等の環状及び鎖状炭酸エステル類や1,2−
ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン等の鎖状
エーテル類が好ましく使用できる。また、これらの混合
溶媒も好ましい。電解液の溶質としては、LiClO
4 、LiBF4 、LiPF6 、CF3 SO3 Li、(C
F3 SO2 )2 NLi等の無機リチウム塩及び有機リチ
ウム塩が使用できる。
しては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフ
ィン類、フッ素樹脂、ポリアミド等の不織布や、その他
ミクロポア構造の材料が使用できる。
水塩を176重量部、及び水酸化ナトリウム58重量部
を混合して反応させ、水酸化コバルト58重量部を得
た。これを200℃で6時間焼成し、酸化コバルト50
重量部を得た。この酸化コバルト50重量部と炭酸リチ
ウム23重量部を、ボールミルで均一に混合粉砕した。
得られた混合物をアルミナ容器に入れ、880℃で大気
中にて48時間焼成し、Li1.00CoO2 を得た。これ
を再度粉砕分級して正極活物質とした。
ピン共鳴装置でスピン濃度を測定したところ、ESR信
号強度は20であった。ESR信号強度は、その値が2
43であるときスピン濃度1×1018/gに相当するの
で、このときのスピン濃度は8.2×1016個/gであ
った。
ンブラック、及び結着剤としてのPTFE粉末を重量比
で80:16:4の割合で混合した。この混合物を2t
/cm2 の加圧で直径12mmの円板状に成形し、得ら
れた成形物を150℃で16時間加熱処理して正極とし
た。次に直径12mmの円板状リチウム金属とSUS製
網状板とを圧着し負極とした。
ジエチルカーボネートを体積比で1:1とした混合溶媒
に、LiPF6 を1mol/Lの濃度で溶解した溶液を
用いた。また、セパレータとしてはポリプロピレンフィ
ルムを用い、電解液を含浸させた。
用い、正極及び負極はそれぞれリードを有しており、セ
パレータを介して対向させて素子を形成し、該素子をバ
ネで押さえながら2枚のPTFE板で挟んだ。さらに素
子の側面もPTFE板で覆って密閉させ、密閉型非水電
解質二次電池セルとした。
いて、電圧4.2Vから2.7Vまで0.5mA/cm
2 の定電流で充放電させた。2サイクル目に4.2Vま
で充電したところでドライボックス中で正極を取り出
し、その正極の5〜10mgを採取してDSC測定用の
アルミナセルに入れ、密閉してDSC測定を行い、発熱
温度ピークを測定したところ、204℃であった。
し、焼成温度を860℃とした以外は例1と同様にして
Li1.13CoO2 を得た。これを正極活物質として例1
と同様に電子スピン共鳴装置で測定したところ、ESR
信号強度は40であり、スピン濃度は1.64×1017
個/gであった。また、DSC発熱温度ピークは203
℃であった。
し、焼成温度を960℃とした以外は例1と同様にして
Li0.91CoO2 を得た。これを正極活物質として例1
と同様に電子スピン共鳴装置で測定したところ、ESR
信号強度は57であり、スピン濃度は2.34×1017
/gであった。また、DSC発熱温度ピークは203℃
であった。
し、酸化コバルトの量を48重量部とし、さらに五酸化
アンチモン8重量部を加えて、焼成雰囲気を酸素とし、
焼成温度を960℃とした以外は例1と同様にしてLi
1.00Sb0.04Co0.96O2 を得た。これを正極活物質と
して例1と同様に電子スピン共鳴装置で測定したとこ
ろ、ESR信号強度は7であり、スピン濃度は2.9×
1016個/gであった。また、DSC発熱温度ピークは
205℃であった。
し、酸化コバルトの量を49重量部とし、さらに酸化チ
タン2重量部を加え、焼成条件を酸素雰囲気中で920
℃とした以外は例1と同様にしてLi1.00Ti0.02Co
0.98O2 を得た。これを正極活物質として例1と同様に
電子スピン共鳴装置で測定したところ、ESR信号強度
は78であり、スピン濃度は3.21×1017個/gで
あった。また、DSC発熱温度ピークは201℃であっ
た。
し、酸化コバルトの量を48重量部とし、さらに酸化マ
グネシウム4重量部を加え、焼成条件を酸素雰囲気中で
900℃とした以外は例1と同様にしてLi1.00Mg
0.02Co0.98O2 を得た。これを正極活物質として例1
と同様に電子スピン共鳴装置で測定したところ、ESR
信号強度は126であり、スピン濃度は5.18×10
17個/gであった。また、DSC発熱温度ピークは20
0℃であった。
し、酸化コバルトの量を46重量部とし、さらに酸化セ
リウム16重量部を加え、焼成条件を酸素雰囲気中で9
60℃とした以外は例1と同様にしてLi1.00Ce0.08
Co0.92O2 を得た。これを正極活物質として例1と同
様に電子スピン共鳴装置で測定したところ、ESR信号
強度は10であり、スピン濃度は4.1×1016個/g
であった。また、DSC発熱温度ピークは204℃であ
った。
ト50重量部のかわりに市販の酸化コバルト50重量部
を使用し、炭酸リチウムの量を26重量部とした以外は
例1と同様にして操作し、Li1.13CoO2 を得た。こ
れを正極活物質として例1と同様に電子スピン共鳴装置
で測定したところ、ESR信号強度は654であり、ス
ピン濃度は2.69×1018個/gであった。また、D
SC発熱温度ピークは182℃であった。
ト50重量部のかわりに、市販の水酸化コバルトを20
0℃で焼成して生成した酸化コバルト50重量部を使用
し、炭酸リチウムの量を26重量部とした以外は例1と
同様にして操作し、Li1.13CoO2 を得た。これを正
極活物質として例1と同様に電子スピン共鳴装置で測定
したところ、ESR信号強度は511であり、スピン濃
度は2.1×1018個/gであった。また、DSC発熱
温度ピークは184℃であった。
21重量部とした以外は例8と同様にして操作し、Li
0.91CoO2 を得た。これを正極活物質として、例1と
同様に電子スピン共鳴装置で測定したところ、ESR信
号強度は751であり、スピン濃度は3.09×1018
個/gであった。また、DSC発熱温度ピークは176
℃であった。
ピン濃度とDSC発熱温度ピークとの関係を図1に示
す。
O2 (0<x≦1.25)は、従来から使用されている
Lix CoO2 に比べ、DSCで測定される発熱温度が
20〜30℃高いため、充放電時に外部環境から加わる
熱に対して20〜30℃高温まで安定である。したがっ
て、この正極活物質を用いた非水電解質二次電池は、そ
の分外部から加わる熱に対して安定であり、高温で使用
しても安全性に優れている。
関係を示す図
Claims (4)
- 【請求項1】Lix CoO2 (ただし0<x≦1.2
5)で表され、かつ電子スピン共鳴装置によるg=2.
15におけるスピン濃度が1×1018個/g以下である
ことを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質。 - 【請求項2】Lix My Co1-y O2 (ただし0<x≦
1.25、0<y≦0.25であり、MはTi、V、Z
r、Cr、Mn、Ni、Fe、Nb、Ta、Sn、S
b、Bi、Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、Pr及びT
bからなる群から選ばれる1種以上である。)で表さ
れ、かつ電子スピン共鳴装置によるg=2.15におけ
るスピン濃度が1×1018個/g以下であることを特徴
とする非水電解質二次電池用正極活物質。 - 【請求項3】リチウム金属又はリチウムを吸蔵、放出可
能な物質を負極活物質とし、LixCoO2 (ただし0
<x≦1.25)を正極活物質とする非水電解質二次電
池において、Lix CoO2 の電子スピン共鳴装置によ
るg=2.15におけるスピン濃度が1×1018個/g
以下であることを特徴とする非水電解質二次電池。 - 【請求項4】リチウム金属又はリチウムを吸蔵、放出可
能な物質を負極活物質とし、LixMy Co1-y O2
(ただし0<x≦1.25、0<y≦0.25であり、
MはTi、V、Zr、Cr、Mn、Ni、Fe、Nb、
Ta、Sn、Sb、Bi、Mg、Ca、Sr、Ba、C
e、Pr及びTbからなる群から選ばれる1種以上であ
る。)を正極活物質とする非水電解質二次電池におい
て、Lix My Co1-y O2 の電子スピン共鳴装置によ
るg=2.15におけるスピン濃度が1×1018個/g
以下であることを特徴とする非水電解質二次電池。
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