JP2000011929A - 蛍光表示管 - Google Patents

蛍光表示管

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JP2000011929A JP10171601A JP17160198A JP2000011929A JP 2000011929 A JP2000011929 A JP 2000011929A JP 10171601 A JP10171601 A JP 10171601A JP 17160198 A JP17160198 A JP 17160198A JP 2000011929 A JP2000011929 A JP 2000011929A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 配線層と陽極導体との間の導通を確実にす
る。 【解決手段】 Al配線層7が形成された陽極基板3上
にスルーホール11付の絶縁層9が積層形成される。絶
縁層9上には陽極導体13が形成され、この陽極導体1
3の上には蛍光体層14が形成され、陽極15が構成さ
れる。スルーホール11内にはAl導体ペーストが充填
され、Al配線層7と陽極導体13との間を導通させる
導体層12が形成される。前記Al導体ペーストは、A
l粉末に有機金属又は低軟化点ガラスの少なくとも一方
を含むペーストで形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、陽極基板の内面に
形成された配線層と、この配線層上の絶縁層の上に形成
された陽極導体とを、絶縁層に形成されたスルーホール
に導体ペーストを充填して接続する構造の蛍光表示管に
関する。
【0002】
【従来の技術】図3は一般的に知られている蛍光表示管
の全体構成を示す一部裁断斜視図、図4は同蛍光表示管
の部分断面図である。図3に示すように、蛍光表示管1
は、内部が高真空状態に気密保持された箱状の外囲器2
を有している。外囲器2は、絶縁性を有する陽極基板3
と、絶縁性及び透光性を有する前面板4と絶縁性を有す
る枠状の側面板5とにより形成された蓋状の容器部6と
を備えている。
【0003】図4に示すように、外囲器2内における陽
極基板3の内面には、Al薄膜からなる配線層7が表示
パターン8に応じた所定パターン形状に形成されてい
る。配線層7上には絶縁層9が積層形成されている。こ
の絶縁層9は、例えば鉛硼硅酸系ガラスの粉末と耐熱性
顔料などの無機材料粉末及びビークルからなる絶縁ガラ
スペーストの厚膜印刷により形成される。絶縁層9にお
いて表示パターン8のセグメント10をなす部分には、
スルーホール11が形成されて配線層7が表出してい
る。配線層7が表出したスルーホール11部分は、導体
ペーストの印刷による導体層12で穴埋めされている。
【0004】図4に示すように、絶縁層9の同一面上に
は、導体層12を介して配線層7と導通するように、陽
極導体13が表示パターン8のセグメント10毎に分割
形成されている。各陽極導体13は、例えば黒鉛粉末と
無機バインダーからなる黒鉛ペーストやAlペーストの
厚膜印刷により形成される。各陽極導体13上には、蛍
光体粉末とビークルからなる蛍光体ペーストの印刷によ
り表示パターン8のセグメント10の形状に蛍光体層1
4が形成されている。これにより、表示パターン8の各
セグメント10毎の陽極15が形成される。陽極15の
上方にはグリッド電極16が設けられ、このグリッド電
極16の上方にはフィラメント状の陰極17が設けられ
ている。
【0005】ところで、従来、上述した構成の蛍光表示
管1を製造するにあたっては、スルーホール11を穴埋
めする導体層12の穴埋め用ペーストとして、Ag粉末
とガラス粉末とビークルとを所定の割合で混合したAg
−PbO系ガラスペーストが用いられていた。その調合
割合の一例を示すと、Al粉末80〜97wt%、Pb
O系ガラスフリット3〜20wt%である。
【0006】そして、蛍光表示管1を製造する場合に
は、まず、所定形状に区画された表示パターン8をなす
陽極15を陽極基板3上に形成する。具体的には、Al
ペーストを陽極基板3にパターンニングして表示パター
ン8に応じた配線層7を形成する。
【0007】次に、Al配線層7の上にスルーホール1
1付の絶縁層9を印刷形成し、例えば550〜600℃
で焼成する。そして、絶縁層9のスルーホール11を前
述したAg−PbO系ガラスペーストにより穴埋めして
導体層12を形成し、この導体層12上に黒鉛ペースト
又はAlペーストを印刷して陽極導体13を形成する。
その後、例えば550〜600℃で焼成する。続いて、
陽極導体13上に蛍光体層14を印刷により形成し、5
00℃以下で焼成する。
【0008】次に、陽極15が形成された陽極基板3の
外周部に低融点ガラスペーストを塗布し、500℃以下
で焼成する。続いて、メッシュ状のグリッド電極16を
陽極基板3に固着するための中付け用ペーストを陽極基
板3上に塗布する。そして、中付け用ペーストにグリッ
ド電極16を載置し、グリッド電極16を陽極基板3に
固着する。
【0009】ここで、上記作業とは別工程でフィラメン
ト状の陰極15が張設されたフレームを組み上げてお
く。そして、容器部6における側面板5の底周面を、低
融点ペーストの塗布された陽極基板3の外周部に位置さ
せ、陽極基板3及び容器部6を上下から加圧し、500
℃以下で焼成し、陽極基板3の外周部と容器部6との間
を封着して外囲器2を組み立てる。その後、外囲器2内
を高真空状態に排気して封止することにより、蛍光表示
管1が完成する。
【0010】なお、上記蛍光表示管1を製造するにあた
っては、Al薄膜による配線層7上にスルーホール11
付きの絶縁層9が印刷により形成されるが、この絶縁層
9が1層だけでは印刷時にゴミ等の侵入によりピンホー
ルが形成され、このピンホールを介して配線層7と陽極
導体13との間が導通して絶縁性に問題を生ずる。この
ため、配線層7上への絶縁ペーストの印刷を2回行い、
絶縁層9を2層構造とすることで上記絶縁性の問題に対
処していた。
【0011】ところで、上述した絶縁層9の焼成工程で
は、スルーホール11内に露出しているAl配線層7が
酸化して、表面に酸化アルミニウム(Al2 3 )の酸
化膜が形成される。この酸化膜は絶縁性があるため、そ
のままでは配線層7とスルーホール11内に充填された
導体ペーストとが電気的に導通されない。
【0012】そこで、従来は、蛍光表示管1の組み立て
が完了した後のエージング工程において、カソードとア
ノードの間に高電圧のパルスを短時間印加し、これによ
って配線層7表面の酸化膜を破壊していた。
【0013】上記酸化膜の厚さや面積は箇所によって異
なると考えられるが、外観からは判断できないため、上
述した高電圧による酸化膜の破壊を一定の条件下で行っ
ていた。
【0014】しかしながら、一度高電圧で導通したスル
ーホール11でも、蛍光表示管1の駆動電圧である12
V程度の低電圧では導通しないこともあり、スルーホー
ル11における導体ペーストの導通が不完全であった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の蛍
光表示管では、絶縁層9の焼成工程時に配線層7の表面
がAl酸化膜で覆われ、このAl酸化膜のために導通不
良となりやすいという問題があった。また、550〜6
00℃の温度で繰り返し焼成が行われると、Ag−Pb
O系ガラスペーストのPbOが分離して表面にPbOガ
ラス膜が形成され、電圧印加による破壊が不能となり、
配線層7と陽極導体13との間を導体層7を介して導通
させることができなかった。
【0016】上記問題を解決するため、Zn,Sb等の
活性剤を用いてAl配線層7上の酸化膜を化学反応によ
り破壊させる導体ペーストを穴埋め用ペーストとして用
いたものが同出願人より既に出願されている(特開平7
−29414号公報(特許第2677161号))。
【0017】この導体ペーストは、Ag粉末とガラス粉
末とビークルに加え、活性剤として1〜20%のZn及
び/又はSbを添加して混合したものである。この導体
ペーストは、穴埋め用ペーストとして用いることによ
り、Al配線層7上の酸化膜を化学反応により破壊し、
配線層7のAlと導体ペースト中のAgとの合金化を促
進する触媒として作用する。
【0018】しかしながら、上記ZnやSbを活性剤と
して含有する上記導体ペーストを穴埋め用ペーストとし
て用いた場合、図3及び図4に示すような蛍光表示管1
を製造するにあたっては、550℃以上での焼成が複数
回行われるため、導体ペースト中の活性剤の化学反応が
過剰となってしまう。その結果、Al薄膜全体が食われ
てスルーホール11内の導体層12が減少して巣が空い
た状態となり、導通不良を招くという問題を生ずる。
【0019】この問題は、図3及び図4の蛍光表示管1
を製造する場合に限らず、図1及び図2に示す立体グリ
ッド付蛍光表示管21を製造する場合にも同様に生ずる
問題であった。なお、立体グリッド付蛍光表示管21の
構成については後に詳述する。
【0020】図1及び図2に示す立体グリッド付蛍光表
示管21では、絶縁層9が印刷形成されて焼成が行われ
た後、印刷と乾燥が繰り返されて所定高さの隔壁と蛍光
体層14が形成され、その後、550〜600℃の温度
で焼成が行われる。従って、550〜600℃での焼成
回数が図3及び図4に示す蛍光表示管1を製造する場合
よりも増すため、更に多くの導通不良を招くことにな
る。
【0021】また、穴埋め用ペーストとして用いられる
従来の導体ペーストは、Al薄膜による配線層7とは異
種金属のAgを主成分としているので、配線層7との馴
染みが最適ではなく、しかも、Al導体ペーストに比べ
て高コストであった。
【0022】そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてな
されたものであり、配線層と陽極導体との間の導通を確
実することができる蛍光表示管を提供することを目的と
している。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1の発明に係る蛍光表示管は、陽極基板の内
面に形成されたAl配線層と、該Al配線層上の要所に
スルーホールが形成された絶縁層と、Al粉末に有機金
属又は低軟化点ガラスフリットの少なくとも一方を含む
ペーストであって、前記スルーホールの内部に充填され
る導体ペーストと、該導体ペースト上に形成された陽極
導体と、該陽極導体上に形成された蛍光体層とを具備し
たことを特徴とする。
【0024】請求項2の発明に係る蛍光表示管は、陽極
基板の内面に形成されたAl配線層と、該Al配線層上
の要所にスルーホールが形成された絶縁層と、Al粉末
に低軟化点ガラスフリットとビークルが混合されたペー
ストであって、前記スルーホールの内部に充填される導
体ペーストと、該導体ペースト上に形成された陽極導体
と、該陽極導体上に形成された蛍光体層とを具備したこ
とを特徴とする。
【0025】請求項3の発明は、請求項2の蛍光表示管
において、前記導体ペーストは、Al粉末40〜80
%、低融点ガラスフリット3〜40%、ビークル15〜
30%の割合で混合されたことを特徴とする。
【0026】請求項4の発明に係る蛍光表示管は、陽極
基板の内面に形成されたAl配線層と、該Al配線層上
の要所にスルーホールが形成された絶縁層と、Al粉末
に有機Ti化合物とビークルが混合されたペーストであ
って、前記スルーホールの内部に充填される導体ペース
トと、該導体ペースト上に形成された陽極導体と、該陽
極導体上に形成された蛍光体層とを具備したことを特徴
とする。
【0027】請求項5の発明は、請求項4の蛍光表示管
において、前記導体ペーストは、Al粉末60〜80
%、有機Ti化合物3〜25%、ビークル15〜25%
の割合で混合されたことを特徴とする。
【0028】請求項6の発明に係る蛍光表示管は、陽極
基板の内面に形成されたAl配線層と、該Al配線層上
の要所にスルーホールが形成された絶縁層と、Al粉末
に低軟化点ガラスフリットと有機Ti化合物とビークル
が混合されたペーストであって、前記スルーホールの内
部に充填される導体ペーストと、該導体ペースト上に形
成された陽極導体と、該陽極導体上に形成された蛍光体
層とを具備したことを特徴とする。
【0029】請求項7の発明は、請求項6の蛍光表示管
において、前記導体ペーストは、Al粉末40〜80
%、低融点ガラスフリット3〜40%、有機Ti化合物
3〜25%、ビークル15〜25%の割合で混合された
ことを特徴とする。
【0030】請求項8の発明は、請求項2、3、5、
6、7の何れかの蛍光表示管において、前記低軟化点ガ
ラスフリットは、軟化点温度が300〜400℃である
ことを特徴とする。
【0031】請求項9の発明は、請求項1〜8の何れか
の蛍光表示管において、前記導体ペースト中のAl粉末
の平均粒径が1〜10μmであることを特徴とする。
【0032】
【発明の実施の形態】本実施の形態は、図3及び図4に
示す蛍光表示管1において、スルーホール11を穴埋め
して導体層12を形成するための穴埋め用ペーストの材
料が従来と相違している。蛍光表示管11の基本構成は
図3及び図4に示す通りなので、その説明は省略する。
【0033】本実施の形態の蛍光表示管1に用いられる
穴埋め用ペーストは、Al粉末を主成分とし、このAl
粉末に低軟化点ガラスフリット又は有機金属の少なくと
も一方を含むAl導体ペーストからなる。
【0034】更に説明すると、上記Al導体ペースト
は、Al微粉に低軟化点ガラスフリットとビークルを混
合したもの、Al微粉に有機金属としての有機Ti化合
物とビークルを混合したもの、Al微粉に低軟化点ガラ
スフリットと有機Ti化合物とビークルを混合したもの
の何れかで形成される。
【0035】そして、Al微粉に低軟化点ガラスフリッ
トとビークルを混合したAl導体ペーストを穴埋め用ペ
ーストとして用いる場合は、例えばAl微粉40〜80
%、低軟化点ガラスフリット3〜40%、ビークル15
〜30%の割合で調合される。
【0036】Al微粉に有機金属としての有機Ti化合
物とビークルを混合したAl導体ペーストを穴埋め用ペ
ーストとして用いる場合は、例えばAl微粉60〜80
%、有機Ti化合物3〜25%、ビークル15〜30%
の割合で調合される。
【0037】Al微粉に低軟化点ガラスフリットと有機
Ti化合物とビークルを混合したAl導体ペーストを穴
埋め用ペーストとして用いる場合は、Al微粉40〜8
0%、低軟化点ガラスフリット3〜40%、有機Ti化
合物3〜25%、ビークル15〜30%の割合で調合さ
れる。
【0038】上記穴埋め用ペーストの主成分であるAl
微粉は、その平均粒径が小さ過ぎると、凝集したり、ア
ルミナに近い状態となって表面の酸化膜が低温(550
〜600℃)で破壊することができない。
【0039】そこで、上記Al微粉としては、窒素雰囲
気中で液体のAlを噴射させて微粉を得る窒素アトマイ
ズされたものが用いられる。そして、この窒素アトマイ
ズにより、平均粒径1〜10μm、更に好ましくは2〜
5μmのAl微粉を得ている。この窒素アトマイズされ
たAl微粉を用いることにより、540℃程度で酸化反
応が起き、Al粒子表面の酸化膜及びAl配線層7上の
酸化膜が破壊され、良好な導通性を得ることができる。
また、この反応は、550〜600℃で焼成を繰り返し
ても過剰には進行しないので、Al薄膜の配線層7と陽
極導体13との導通を維持することができる。
【0040】なお、上記Al導体ペーストにおける低軟
化点ガラスフリットは、軟化点が300〜400℃のガ
ラスであり、例えばPbO系ガラス、リン酸系ガラス、
Bi 2 3 系ガラス等が用いられる。
【0041】また、上記Al導体ペーストに含まれるビ
ークルは、所定パターン形状の導体をスクリーン印刷す
るために必要なもので、有機高分子を有機溶剤に溶解し
た粘性のある液体で、焼成時には除去されるものであ
る。
【0042】次に、図1は上述したAl導体ペーストが
穴埋め用ペーストとして用いられる立体グリッド付蛍光
表示管の一部裁断斜視図、図2は同立体グリッド付蛍光
表示管の部分断面図である。なお、図3及び図4の蛍光
表示管と同一の構成要素には同一番号を付して説明す
る。
【0043】図1に示すように、立体グリッド付蛍光表
示管21は、内部が高真空状態に気密保持された箱状の
外囲器2を有している。外囲器2は、絶縁性を有する陽
極基板3と、絶縁性及び透光性を有する前面板4と絶縁
性を有する枠状の側面板5とにより形成された蓋状の容
器部6とを備えている。外囲器2は、各基板2,3,4
がガラス基板で構成され、陽極基板3の外周部に容器部
6を封着剤で封着し、排気した後に封止することによ
り、内部が高真空状態に気密保持されている。
【0044】図2に示すように、陽極基板3の内面に
は、Al薄膜の導電材からなる配線層(陽極配線層、グ
リッド配線層)7が所定パターン形状に形成されてい
る。陽極基板3上には、Al配線層7を覆うようにして
スルーホール11を有した絶縁層9が形成されている。
スルーホール11は、前述したAl導体ペーストの印刷
による導体層12で穴埋めされている。
【0045】図2に示すように、スルーホール11の導
体層12上には、導体ペーストがセグメントの形状に印
刷され、その部分が陽極導体13を構成している。陽極
導体13は、例えば黒鉛粉末と無機バインダーからなる
黒鉛ペーストやAlペーストの厚膜印刷により形成され
る。陽極導体13上には、蛍光体粉末とビークルからな
る蛍光体ペーストの印刷により表示パターン8のセグメ
ント10の形状に蛍光体層14が形成されている。
【0046】図2に示すように、蛍光体層14の周囲に
は、絶縁ペースト(例えば鉛系ガラスフリット)の印刷
により隔壁22が形成されている。この隔壁22は、蛍
光体層14を取り囲むようにして蛍光体層14よりも高
く形成される。これにより、セグメント10毎に区画さ
れた陽極23が形成される。各セグメント10は、一つ
の表示パターン8単位で隔壁22により一体に連結され
ている。
【0047】図2に示すように、各表示パターン8毎の
隔壁22は、一つのセグメント10から陽極基板3の外
側に向けて所定距離だけ延長して導出される。各表示パ
ターン8毎の隔壁22の頂上部には、Alペーストの印
刷によりグリッド電極24が印刷形成され、立体グリッ
ド25を構成している。
【0048】図2に示すように、外囲器2内における表
示パターン8の上方には、表示パターン8に対向してフ
ィラメント状の陰極17が複数本張架配設されている。
各陰極17は、加熱制御により表示パターン8に向かっ
て電子を放出している。
【0049】上記構成による立体グリッド付蛍光表示管
21は、以下に説明する手順に従って製造される。ま
ず、陽極基板3に所定パターン形状の配線層(陽極配線
層、グリッド配線層)7をAlペーストにより印刷形成
する。次に、Al配線層7を覆うようにして陽極基板3
上にスルーホール11付きの絶縁層9を印刷形成する。
【0050】その際、表示パターン8を構成する各セグ
メント10と、グリッド電極24と不図示のグリッド配
線層との間の接続箇所にそれぞれスルーホール11が位
置するように絶縁層9が印刷形成される。そして、例え
ば550〜600℃で焼成する。
【0051】次に、各セグメント10に位置する絶縁層
9のスルーホール11内に前述したAl導体ペーストを
印刷し、スルーホール11内を穴埋めして導体層12を
形成し乾燥する。同時に、グリッド電極24と不図示の
グリッド配線層との配線箇所に位置するスルーホール内
にも前述したAl導体ペーストを印刷し、スルーホール
内を穴埋めして乾燥する。続いて、2層目の絶縁層9を
印刷形成し、例えば550〜600℃で焼成する。
【0052】その後、スルーホール11を穴埋めした導
体層12上には、黒鉛ペースト又はAlペーストがセグ
メント10の形状に印刷され、陽極導体13が形成され
る。続いて、絶縁ペーストにより隔壁22が所定幅で印
刷形成される。これにより、セグメント10毎に区画さ
れた陽極23が形成される。その際、不図示の導出用隔
壁及びグリッド接続用隔壁の印刷も同じ工程で一遍に行
う。そして、陽極導体13上に蛍光体層14をセグメン
ト10の形状に印刷形成する。その後、500℃以下で
焼成する。
【0053】なお、上記絶縁部材による隔壁222の印
刷は、一度に印刷可能な高さに制限があるため、印刷及
び乾燥を複数回繰り返す。これにより、各セグメント1
0毎に区画された表示パターン8の形状の隔壁22と不
図示の導出用隔壁及びグリッド接続用隔壁が所定高さで
一遍に印刷形成される。
【0054】次に、各セグメント10毎の隔壁(不図示
の導出用隔壁及びグリッド接続用隔壁を含む)22の頂
上部にAlペーストを印刷してグリッド電極24を形成
する。同時に、Alペーストの印刷により、グリッド電
極24と不図示のグリッド配線層との間が電気的に接続
される。そして、例えば550〜600℃で焼成する。
【0055】ここで、図3及び図4に示す蛍光表示管1
を製造する場合と同様に、上記作業とは別工程でフィラ
メント状の陰極15が張設されたフレームを組み上げて
おく。そして、容器部6における側面板5の底周面を、
低融点ペーストの塗布された陽極基板3の外周部に位置
させ、陽極基板3及び容器部6を上下から加圧し、50
0℃以下で焼成し、陽極基板3の外周部と容器部6との
間を封着して外囲器2を組み立てる。その後、外囲器2
内を高真空状態に排気して封止することにより、立体グ
リッド付蛍光表示管21が完成する。
【0056】このように、本実施の形態では、スルーホ
ール11を穴埋めして導体層12を形成するための穴埋
め用ペーストとして、配線層7を形成する金属と同じA
lを主成分とする導体ペーストを用いているので、配線
層7とも馴染みが良く、配線層7と陽極導体13との間
の導通を確実に行うことができる。
【0057】ここで、従来の導体ペースト(Ag−Pb
O系ガラスペースト、ZnやSbの活性剤を含むAg導
体ペースト)と本実施の形態のAl導体ペーストを穴埋
め用ペーストとして用いた場合、例えば560℃で1回
焼成したとき、従来のAg−PbO系ガラスペーストで
は不良率が5%を示すのに対し、本実施の形態のAl導
体ペーストでは不良率を0%にすることができる。ま
た、560℃で3回焼成したときには、活性剤を含むA
g導体ペーストでは不良率50%を示すのに対し、本実
施の形態のAl導体ペーストでは不良率を0%にするこ
とができる。
【0058】本実施の形態の導体ペーストの主成分であ
るAlには、窒素アトマイズされた平均粒径1〜10μ
mのAl微粉が用いられるので、540℃程度で酸化反
応が起き、Al粒子表面の酸化膜及びAl配線層7上の
酸化膜が破壊され、良好な導通性を得ることができる。
また、この反応は、550〜600℃での焼成を繰り返
しても過剰には進行しないので、Al薄膜の配線層7と
陽極導体13との導通を維持することができる。
【0059】更に、本実施の形態のAlを主成分とする
導体ペーストによれば、Agを主成分とする導体ペース
トに比べ、低コストで安定した抵抗が得られる。その結
果、従来よりも安価な蛍光表示管を提供することができ
る。
【0060】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、Al配線層と同じ金属であるAlを主成分とす
る導体ペーストがスルーホール内に充填されるので、配
線層とも馴染みが良く、配線層と陽極導体との間の導通
を確実に行うことができる。
【0061】導体ペーストの主成分であるAlには、平
均粒径1〜10μmのAl微粉を用いているので、酸化
反応によりAl粒子表面の酸化膜及びAl配線層上の酸
化膜が破壊され、良好な導通性を得ることができる。ま
た、この反応は、550〜600℃での焼成を繰り返し
ても過剰には進行しないので、Al配線層と陽極導体と
の導通を維持することができる。
【0062】更に、Aを主成分とする導体ペーストは、
Agを主成分とする導体ペーストに比べ、低コストで安
定した抵抗が得られるので、従来よりも安価な蛍光表示
管を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】立体グリッド付蛍光表示管の一部裁断斜視図
【図2】図1の立体グリッド付蛍光表示管の部分断面図
【図3】蛍光表示管の一部裁断斜視図
【図4】図3の蛍光表示管の部分拡大断面図
【符号の説明】
1…蛍光表示管、7…配線層、9…絶縁層、12…導体
層、13…陽極導体、14…蛍光体層、21…立体グリ
ッド付蛍光表示管。
フロントページの続き (72)発明者 鈴木 利儀 千葉県茂原市大芝629 双葉電子工業株式 会社内 Fターム(参考) 5C036 EE07 EF02 EF05 EG26 EG29 EG36 EH11

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極基板の内面に形成されたAl配線層
    と、 該Al配線層上の要所にスルーホールが形成された絶縁
    層と、 Al粉末に有機金属又は低軟化点ガラスフリットの少な
    くとも一方を含むペーストであって、前記スルーホール
    の内部に充填される導体ペーストと、 該導体ペースト上に形成された陽極導体と、 該陽極導体上に形成された蛍光体層とを具備したことを
    特徴とする蛍光表示管。
  2. 【請求項2】 陽極基板の内面に形成されたAl配線層
    と、 該Al配線層上の要所にスルーホールが形成された絶縁
    層と、 Al粉末に低軟化点ガラスフリットとビークルが混合さ
    れたペーストであって、前記スルーホールの内部に充填
    される導体ペーストと、 該導体ペースト上に形成された陽極導体と、 該陽極導体上に形成された蛍光体層とを具備したことを
    特徴とする蛍光表示管。
  3. 【請求項3】 前記導体ペーストは、Al粉末40〜8
    0%、低融点ガラスフリット3〜40%、ビークル15
    〜30%の割合で混合された請求項2記載の蛍光表示
    管。
  4. 【請求項4】 陽極基板の内面に形成されたAl配線層
    と、 該Al配線層上の要所にスルーホールが形成された絶縁
    層と、 Al粉末に有機Ti化合物とビークルが混合されたペー
    ストであって、前記スルーホールの内部に充填される導
    体ペーストと、 該導体ペースト上に形成された陽極導体と、 該陽極導体上に形成された蛍光体層とを具備したことを
    特徴とする蛍光表示管。
  5. 【請求項5】 前記導体ペーストは、Al粉末60〜8
    0%、有機Ti化合物3〜25%、ビークル15〜25
    %の割合で混合された請求項4記載の蛍光表示管。
  6. 【請求項6】 陽極基板の内面に形成されたAl配線層
    と、 該Al配線層上の要所にスルーホールが形成された絶縁
    層と、 Al粉末に低軟化点ガラスフリットと有機Ti化合物と
    ビークルが混合されたペーストであって、前記スルーホ
    ールの内部に充填される導体ペーストと、 該導体ペースト上に形成された陽極導体と、 該陽極導体上に形成された蛍光体層とを具備したことを
    特徴とする蛍光表示管。
  7. 【請求項7】 前記導体ペーストは、Al粉末40〜8
    0%、低融点ガラスフリット3〜40%、有機Ti化合
    物3〜25%、ビークル15〜25%の割合で混合され
    た請求項6記載の蛍光表示管。
  8. 【請求項8】 前記低軟化点ガラスフリットは、軟化点
    温度が300〜400℃である請求項2、3、5、6、
    7の何れかに記載の蛍光表示管。
  9. 【請求項9】 前記導体ペースト中のAl粉末の平均粒
    径が1〜10μmである請求項1〜8の何れかに記載の
    蛍光表示管。
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