JP2000009682A - 固体電解質厚膜積層型一酸化炭素センサ - Google Patents

固体電解質厚膜積層型一酸化炭素センサ

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JP2000009682A
JP2000009682A JP10178734A JP17873498A JP2000009682A JP 2000009682 A JP2000009682 A JP 2000009682A JP 10178734 A JP10178734 A JP 10178734A JP 17873498 A JP17873498 A JP 17873498A JP 2000009682 A JP2000009682 A JP 2000009682A
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健一 中村
Ryoji Tanda
亮史 反田
Kazu Mochizuki
計 望月
Hiromasa Takashima
裕正 高島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低濃度領域のCOの検出を可能としたCOセ
ンサを提供する。 【解決手段】 発熱体93上に設けた可燃性ガス酸化触
媒からなるガス拡散層7と、該ガス拡散層7の上に設け
た触媒金属とセラミックを混合し加圧成型し焼結した複
合体であるサーメットからなる下部電極5と、電極5上
に設けた酸素イオン伝導性を有する固体電解質厚膜1
と、固体電解質1上に設けたサーメットからなる上部電
極3からなる固体電解質厚膜積層型一酸化炭素センサに
おいて、電極を構成するサーメットを、粒径が10μm
以下のセラミックと触媒金属の複合材料で構成するとと
もに、ガス拡散層7を可燃性ガスを酸化する触媒作用を
有する多孔体で構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、天然ガスや石油分
解ガス等の化石燃料の燃焼器に取り付けて、燃焼器が不
完全燃焼を起こした時に発生する一酸化炭素(CO:以
下、COという)を定量的に、且つ選択性が格段に改良
された高精度で検知する固体電解質式COセンサに関す
る。本発明は、CO検出をさらに高感度化した上記固体
電解質厚膜積層型COセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】大気中に存在するCOまたは燃焼器中の
燃料ガスや燃焼排ガス中に存在するCOを検知するセン
サとして、酸素イオン伝導性固体電解質を用いたCOセ
ンサは早くから知られている。
【0003】本出願の出願人等は、特願平9−9861
6号として、酸化イットリウム(Y23:以下、イット
リアという)で安定化した二酸化ジルコニウム(Zr
2:以下、ジルコニアという)であるイットリア安定
化ジルコニア(Yttria Stabilized Zirconia:以下、Y
SZという)の厚膜を固体電解質として用い、固体電解
質の表裏両面に一対の電極を密着形成し、片方の電極を
可燃性ガスを酸化する触媒で覆うとともにこの触媒上に
ヒータを配し、他方の電極を表面が露出されたままの状
態にした型式(以下、積層型という)固体電解質厚膜積
層型COセンサに関する発明を出願している。
【0004】この固体電解質厚膜積層型COセンサの構
造を模式的に示す図3を用いて、その構造を説明する。
固体電解質厚膜COセンサは、アルミナ基板95と、ヒ
ータ93と、電気絶縁層91と、可燃性ガス酸化触媒層
7と、電極5(カソード)と、固体電解質層1と、電極
(アノード)3をこの順番に積層して構成される。
【0005】この固体電解質厚膜1は、ペースト印刷法
によって形成され、膜厚が1〜50μmに形成されるの
で内部抵抗を極めて低くできる。固体電解質厚膜積層型
COセンサは、固体電解質1の両面に一対の電極(アノ
ード)3と電極(カソード)5が設けられ、一方の電極
(カソード)5は多孔質の可燃性ガス酸化触媒の層7で
覆われている。固体電解質1は、ジルコニアに8mol%
のイットリアを添加して形成した酸素イオン伝導体であ
るYSZを用いて構成される。電極3,5は、YSZと
白金(以下、Ptという)粉末を混合した後焼成したサ
ーメットから構成される。可燃性ガス酸化触媒層7は、
多孔を有するように構成され、一方の電極5を被覆して
いる。
【0006】COガス検知原理を模式的に示す図7を用
いて固体電解質厚膜積層型COセンサの検知原理を説明
する。この固体電解質積層型COセンサを、空気中に置
いた場合、両電極3,5近傍に存在するガスは酸素(O
2)と窒素(N2)のみであるので、気相−電極−電解質
の3相界面では、下記(1)式の反応が両極3,5上で
起き、両電極の電位は平衡し、起電力は発生しない。
【0007】ところで、センサを微量のCOを含む空気
中に置いた状況では、酸化触媒7により被覆された電極
(カソード)5上では、触媒層7においてCOは完全酸
化されて炭酸ガス(CO2)となってしまうので、
(1)式のみの反応が起こる。一方、直接空気に接して
いる電極(アノード)3では、(1)式の反応に加え
て、下記(2)式で表されるCO酸化反応が起こる。こ
のように、両極上で異なる反応が起こることによって、
両電極間の平衡はくずれ起電力が発生する。これらの電
極反応は、気相−電極−電解質の3相界面で起こること
が重要である。
【0008】
【数1】
【0009】天然ガスや石油分解ガス等、炭化水素を主
成分とする燃料ガス中にはかなりの水素(H2)が存在
するほか炭化水素系ガスの不完全燃焼時にはCOと共に
2が発生し、両者の燃焼時発生比率が燃炊負荷により
変化するので、CO濃度を高感度で定量的に挨知するた
めには、COに関する検知感度が高いことと同時に、検
知の妨害ガスであるH2の感度と対比してCOの感度が
桁違いに鋭敏であること(これをセンサ性能のCO選択
性と呼ぶ)が要求される。
【0010】センサ性能のCO選択性を向上する技術と
して、特開昭61−194348号公報には、1対の電
極の一方をCOを含む可燃性ガスを酸化する触媒層(例
えばアルミナ担持Pt触媒等)で覆い、他方の電極をC
O以外の可燃性ガスのみを酸化する触媒層(例えば酸化
すず触媒等)で被覆した平板型COセンサが開示されて
いる。この技術では通常、上記の電極や触媒層の形成
は、例えば4mm×8mm×厚み0.8mmのYSZ板
上の同一面にペースト化した電極材料や例えば3mm×
3mm×厚み20μmの触媒層を厚膜印刷して行うの
で、異なる材料のペーストを同一表面の極めて接近した
位置に幾度か重ねて印刷することとなり、製作工程が煩
雑になる結果、製造コストがかさむ。また両電極を接近
させるには限度があるので、電極間抵抗値を小さくする
ことが困難である。
【0011】センサ素子の製作工程の煩雑さに関する上
記の問題は、特開平7−306175号公報に開示され
た平板型センサ、すなわちYSZ板上の同一面に約1m
m角の電極一対を間隔0.3mmに離して形成し、片方
の電極のみを改良酸化触媒層で被覆してなるCOセンサ
により解決された。
【0012】しかし、この技術によるCOセンサは、H
2感度がCO感度の約2倍以上も鋭敏であるので、不完
全燃焼時にH2がCOと約同量発生すると仮定したうえ
で、H2を検知することによりCOを定量しているに過
ぎない。また両電極の間隔を印刷技術上これ以上狭める
ことが困難であり、電極間隔が広い場合は電極間抵抗値
が大きいという不利がある。即ちこの様な状態でもンサ
出力を正確に測定するには、センサ出力測定用回路に流
れる電流を小さくしなければならず、そのためには該回
路の入カインピーダンスを大きくする必要があるので、
センサ全体としての製造コストを削減し難い。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、製造コスト
を著しく低減し、かつ直接的にCO濃度を高精度で定量
できる本出願人の上記先願のCOセンサをさらに高感度
化して低濃度領域のCOの検出を可能としたCOセンサ
を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手投】本発明者等は、積層型固
体電解質COセンサのCO感度を向上させるために、電
極粒子を微細にすることによって、サーメット電極の活
性を増大させた。
【0015】本発明は、発熱体上に設けた可燃性ガス酸
化触媒からなるガス拡散層と、該ガス拡散層の上に設け
た触媒金属とセラミックを混合し焼結した複合体である
サーメットからなる下部電極と、該下部電極上に設けた
酸素イオン伝導性を有する固体電解質厚膜と、該固体電
解質上に設けたサーメットからなる上部電極からなる固
体電解質厚膜積層型COセンサにおいて、上部電極およ
び下部電極を構成するサーメットを、粒径が10μm以
下のセラミックと触媒金属の複合材料で構成し、ガス拡
散層を、可燃性ガスを酸化する触媒作用を有する多孔体
で構成した。
【0016】さらに、本発明は、上記固体電解質厚膜積
層型COセンサにおいて、サーメットを、金(Au)、
白金(Pt)等の貴金属、または白金族と二酸化ジルコ
ニウム(ZrO2)、二酸化トリウム(ThO2)、酸化セ
リウム(CeO2,Ce23)、三酸化二ビスマス(Bi2
3)などとの混合物、あるいはこれらの1種に希土類
酸化物もしくはアルカリ土類金属酸化物を添加してなる
酸化物の1種と白金族との混合物とした。
【0017】とくに、本発明は、上記固体電解質厚膜積
層型COセンサにおいて、サーメットを、白金と二酸化
ジルコニウムまたは白金とイットリア(Y23)で安定
化された二酸化ジルコニウム(ZrO2)とした。
【0018】本発明は、上記固体電解質厚膜積層型CO
センサにおいて、酸素イオン伝導性固体電解質を、イッ
トリアで安定化した二酸化ジルコニウム、酸化マグネシ
ウム(MgO)または酸化カルシウム(CaO)を添加し
た二酸化ジルコニウム、希土類酸化物を添加した二酸化
トリウム、希土類または酸化カルシウムを添加した二酸
化セリウム、酸化ストロンチウム(SrO)を添加した
三酸化二ビスマスのいずれかとした。
【0019】本発明は、上記固体電解質厚膜積層型CO
センサにおいて、ガス拡散層を、一酸化炭素(CO)ガ
ス、水素(H2)、炭化水素(CH4)などの可燃性ガス
を酸化する触媒作用を有する、白金やパラジウム(P
d)などの白金族金属、金またはヴァナジン(バナジウ
ム:V)もしくはクロム(Cr)などの主遷移金属の酸
化物、あるいはこれらの2種以上の組合せを、二酸化珪
素(SiO2)、α−酸化アルミニウム(α−Al
23)、γ−酸化アルミニウム(γ−Al23)などの
担体に担持させた多孔質体とした。
【0020】さらに、本発明は、上記固体電解質積層型
COセンサにおいて、一対の電極の電極粒径を異ならせ
た。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態にかか
る固体電解質積層型COセンサの構造を、図1〜図3を
用いて説明する。図1は、固体電解質積層型COセンサ
の拡大外観斜視図であり、図2は、該COセンサの積層
構造を分解して示した斜視図であり、図3は該COセン
サの積層構造を模式的に示した縦断面図である。この発
明にかかる固体電解質積層型COセンサは、上記本出願
人の先願にかかる発明とほぼ同様に構成されている。す
なわち、この発明にかかる固体電解質積層型COセンサ
は、アルミナ基板95と、ヒータ93と、電気絶縁層9
1と、可燃性ガス酸化触媒層7と、電極5(アノード)
と、固体電解質層1と、電極(カソード)3をこの順番
に積層して構成した。
【0022】ヒータ93は、3mm×4mm×厚み0.
3mmのアルミナ基板95の表面にPtからなる発熱体
をリボン型に形成して構成される。ヒータ93の表面上
に30μmの厚さの電気絶縁層91を形成する。電気絶
縁層91には、ヒータ93の端子部94が露出する切欠
き92が設けられている。
【0023】積層体9の上に形成する可燃性ガス酸化触
媒層7は、98.5wt%のアルミナに1.5wt%の
Ptを担持した触媒を3mm角厚み30μmに多孔質に
なるように印刷して形成する。
【0024】電極(アノード)5は、可燃性触媒層7上
にPtとYSZのサーメットを1.0mm角×膜厚10
μmになるように印刷により形成して構成する。電極
(アノード)5は、三相界面が形成される電極反応部5
1と電極引出部52および電極パッド53が形成され
る。触媒層7平面上の中央部分に触媒層7より面積の小
さな電極(アノード)5を形成し、その後電極(アノー
ド)5の周辺にさらに触媒層7を形成することによっ
て、電極(アノード)5の周囲を多孔質の触媒層7で覆
うことができる。
【0025】積層体9の上に酸化触媒層7と電極(アノ
ード)5を積層形成した後、この積層体を1400℃で
10分間焼成して一体に構成する。
【0026】固体電解質1は、電極(アノード)5と酸
化触媒層7の上に、YSZペーストをスクリーン印刷し
て1.4mm角×厚み10μmで電極を完全に被覆する
ように形成し、100℃で30分間乾燥して形成する。
YSZペーストは、8wt%のイットリアと92wt%
のジルコニアからなるYSZ粉末100重量部と、結合
剤としてのポリビニルブチラール9重量部と、溶剤とし
ての合計80重量部のα−テルピオネールとフタル酸ジ
ブチルと、常用の界面活性剤3.5重量部を加えて調整
する。
【0027】電極(カソード)3は、PtとYSZの混
合体のペーストを1.0mm角×膜厚10μmになるよ
うにスクリーン印刷により固体電解質1上に形成して構
成する。電極(カソード)3は、三相界面が形成される
電極反応部31と電極引出部32および電極パッド33
が形成される。電極(アノード)5と電極(カソード)
3とは、固体電解質1を挾んで対向するように配置す
る。
【0028】固体電解質1と電極(カソード)3を積層
した後、全体を1375℃で10分間焼成して、ヒータ
93を設けたアルミナ基板95と多孔質の酸化触媒層7
とサーメットからなる電極(アノード)5と固体電解質
1とサーメットからなる電極(カソード)3が一体に形
成された固体電解質積層型COセンサを完成する。
【0029】電極としてPtのみを用いて構成した場合
には、三相界面は固体電解質と電極のPtが接触する箇
所にガスが到達して形成されるが、電極にサーメットを
用いた場合には、電極の内部にも酸素イオン伝導性のY
SZが存在するので、このYSZとPtとCOガスやH
2ガスの三者が接触する箇所は極めて多くなって活性点
が大幅に増え、CO検出特性が向上する。
【0030】このような構成の固体電解質積層型COセ
ンサの、CO検出特性を図4を用いて説明する。図4
は、横軸にCOガス濃度をppmで、縦軸に起電力をm
Vで示し、電極を構成する粒子の平均粒径の大きさによ
る出力特性の差を表している。この平均粒径は、電極の
表面を走査型電子顕微鏡を用いて観察し、所定の粒径毎
に電極粒子を計数して、電極粒子の平均粒径と粒度分布
を測定した。先願にかかる固体電解質積層型COセンサ
の電極粒径は10μmであり、図中点線で表した。先願
にかかる固体電解質積層型COセンサでは電極粒径が1
0μmと大きかったため、感度が小さくガス警報器の基
準値であるCO=50ppmを検知することができなか
ったが、電極粒径を10μm→5μm→3μm→2μm
と微細化するに従って、各濃度におけるセンサ出力が増
大することがわかる。図4から明らかなように、本発明
に用いるサーメットを用いた電極3,5は、電極を構成
する粒子の平均粒径が10μm以下、好ましくは5μm
以下であるときにCO検出感度が良好となることがわか
る。これは、粒径が小さくなるほど、電極を構成するP
tとYSZとガスが接触する三相界面が多くなり、起電
力が大きくなることによると考えられる。
【0031】このような、粒径の小さな電極粒子を形成
する方法を以下に述べる。前記比率のPtとYSZの粒
子を溶剤や結合剤などと混合したペーストを用いて電極
を形成した後、これを焼成してサーメットを形成する
と、PtとYSZの容積比はほぼ同じであるが、Ptと混
合するYSZの粒子の径が大きいと、PtとYSZとガ
スが接触する三相界面が減少する。一方、YSZの粒子
の粒径が小さなときには、三相界面の数が増大し、活性
点が電極中に多数形成されることとなり、CO検出感度
を上げることができる。
【0032】表1にサーメット電極を形成するPtとY
SZの平均粒径とこれを用いて形成したサーメット電極
の粒径を説明する。サーメット電極は、平均粒径0.6
μmのPt粉末と平均粒径0.1〜10μmのYSZと
の混合体に有機溶剤を添加してペーストを作り、このペ
ーストを各部位にスクリーン印刷し、乾燥後1375℃
で10分間焼成して得た。電極の平均粒径は走査型電子
顕微鏡を用いて上述の方法によって行った。本センサの
場合、下部電極をまず1300℃で1分間焼成し、その
後YSZと上部電極を1350℃で10分間焼成してい
る。
【0033】
【表1】
【0034】本発明に用いる固体電解質厚膜1は、酸素
イオン伝導性のものであり材料としてはイットリア等の
希土類酸化物で安定化したジルコニア、MgOまたはCa
Oを添加したジルコニア、希土類酸化物を添加した二酸
化トリウム希土類またはCaOを添加した二酸化セリウ
ム、SrO等を添加した三酸化二ビスマス等、当該分野
で公知の全ての酸素イオン伝導性固体電解質を包含す
る。実用的には、YSZが多く用いられる。
【0035】本発明に用いる電極3,5は、所謂電極反
応が行われる電極板と起電力(センサ出力)を取り出す
端子部位とを別個の部材または異なる材質により形成し
たものでも良いが、両者の接続点における起電力損失の
回避及び製造上の便宜のため、電極板部位31と端子部
位32,33とを同一材料で且つ一体化した構造に形成
したものが特に好ましい。
【0036】本発明において、電極3,5を固体電解質
厚膜1の表面裏面に密着形成する方法としては公知の方
法が用いられるが、通常固体電解質や電極材料を夫々ペ
ーストに調製して所定サイズの形状に印刷した後、焼成
して形成する方法が用いられる。
【0037】本発明の可燃性ガス酸化触媒層7に使用す
る酸化触媒は、CO,H2、CH4等の可燃性ガスを酸化
する触媒作用を持つものであれば良い。例えば、Ptや
パラジウム(Pd)等の白金族金属、またはウァナジン
(V)やクロム(Cr)等の主遷移金属の酸化物、或い
はこれ等の2種以上の組み合わせ等当該分野で公知のも
のが全て用いることができ、通常これ等をSiO2、α−
Al23、γ−Al23等公知の担体に担持させて使用す
る。担体には、当該分野で公知のものが全て用いられる
が実用的には、Ptをα−Al23に担持させたものが好
ましい。
【0038】本発明の電気絶縁性酸化物層91に使用す
る酸化物は、電気絶縁性を示す金属酸化物であれば有用
であり、通常、セラミックスの原料に使用されるものが
用いられる。実用上、上記酸化触媒の担体として使用す
るものが製造に好都合である。例えば、Al23、ZrO
2、CeO2、SiO2、Ga23の内の1種類、または2種
類以上の混合物が用いられる。
【0039】本発明において、触媒層7による片方の電
極5の被覆は、可燃性ガスが該触媒又は該酸化物に接触
せず直接に電極5に到達することの無いように、完全に
閉鎖的でなければならない。但し、該触媒層7と電極5
とは必ずしも密着させる必要は無く、両者の間に空隙が
あっても良いが、電極5を該触媒層または該酸化物層で
完全に閉鎖できるように電極5の面積より若干広く被覆
しなければならない。被覆の方法は、公知の方法が用い
られるが、通常、酸化触媒をペーストに調製して、所定
サイズの図形状に印刷した後、焼成して多孔質の被覆と
する方法が用いられる。
【0040】本発明の積層型COセンサ素子の作動温度
を確保するため、ヒータ93を取り付ける。すなわち、
ヒータ93の全面を電気絶縁性の緻密アルミナ膜91で
被覆し、該アルミナ膜91の裏面上つまりヒータ93を
被着してない面に酸化触媒層7を配するように構成した
ので、支持体であるアルミナ基板95上に形成されたヒ
ータ93は、緻密アルミナ膜91を介して間接的に酸化
触媒層7および固体電解質1を万遍なく加熱する。
【0041】固体電解質厚膜1の面積を電極(アノー
ド)5の電極反応部51の面積より若干大きく製作し、
触媒層7の面積を固体電解質厚膜1の面積より更に大き
く製作して電極(アノード)5の電極反応部51の被覆
を完全なものにする。可燃性ガスは多孔質酸化触媒層7
内で酸化され、電極(アノード)5の電極反応部51に
到達することがなくなるとともに、酸素は、多孔質酸化
触媒層7を潜り抜けて電極(アノード)5の電極反応部
51に到達し、(1)式の電極反応によって固体電解質
1に酸素イオンを供給することができる。
【0042】以下、本発明の第2の実施の形態を説明す
る。図5は、第1の実施の形態に用いたと同じ構成の固
体電解質厚膜積層型COセンサのH2濃度検出特性を電
極粒子の平均粒径をパラメータにして示した図である。
図において、横軸はH2濃度をppmで、縦軸は起電力
をmVで示している。図5に示すように、H2濃度検出
出力は、電極粒子の平均粒径が小さいときには、電極
(アノード)5の電位が高く電極(カソード)3の電位
が低い正の起電力を出力するが、電極粒子の平均粒径が
大きなときには、電極(アノード)5の電位が低く電極
(カソード)3の電位が高い負の起電力を出力する。
【0043】一方、CO濃度検出特性は、図6に示すよ
うに、電極粒子の平均粒径が小さいときには、電極粒子
の平均粒径が大きなときに比べて大きな正の起電力を出
力する。
【0044】図5に示すように、電極粒子の平均粒径が
大きなときに負の起電力を出力する理由は、明らかでな
いが、以下のように考えることができる。すなわち、H
2感度が負となるということは、YSZ内の酸素イオン
の移動が、感度が正のときとは逆方向になされるという
ことである。YSZ内で酸素イオンが逆方向に移動する
ことは、図7に示したセンサ検知原理によると、電極
(アノード)5上での(2)式の反応が、電極(カソー
ド)3上での(2)式の反応より多く起こっているから
と考えられる。すなわち、触媒層7側の電極(アノー
ド)5上にH2が到達していることになる。図1,図2
に示すセンサの構造から考えると、H2はCOに比べて
分子サイズが小さいことから、気相のH2は、空気にさ
らされた電極(カソード)3およびYSZ1内を拡散し
て触媒層7で被覆された下部の電極(アノード)5に到
達しているのではないかと思われる。ところで、電極
(カソード)3の電極粒径が大きな場合には、この電極
で電極(Pt,YSZ)とH2が接触する確立が低くな
り、下部の電極(アノード)5まで到達するH2が存在
するのに対して、電極(カソード)3の電極粒径が小さ
な場合には、この電極でのPtとYSZとH2が接触して
電極反応が促進されるので、H2が下部の電極(アノー
ド)5まで到達することがなくなり、H2感度が正にな
ると考えられる。
【0045】この実施の形態は、上記図5および図6に
示される特性を利用してCO検出感度を向上させるもの
で、図1〜図3に示す固体電解質厚膜積層型COセンサ
において、電極(カソード)3の電極粒径を電極(アノ
ード)5の電極粒径よりも大きくして、両電極間に現わ
れるCO検出電圧を大きくすることができる。
【0046】
【発明の効果】本発明の固体電解質型COセンサは、一
対の電極を、サーメットにより構成し、さらに電極粒径
を10μm以下、好ましくは5μm以下としたことによ
って、センサを高感度化し、従来より低CO濃度領域の
検知が可能となった。したがって、これまでは、各種燃
焼器内に本センサを設置することが考えられたが、この
発明のように50ppmでも10mV近い感度を得るこ
とができるので、ガス警報器のように室内のCO濃度を
モニターすることができる。
【0047】さらに、本発明のCOセンサは、電極粒径
を電極(アノード)と電極(カソード)の異ならせるこ
とによって、CO検出出力を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明および先願にかかる固体電解質厚膜積層
型COセンサの構成を例示する外観斜視図。
【図2】図1の固体電解質厚膜積層型COセンサの構成
を示す組み立て図。
【図3】図1の固体電解質厚膜積層型COセンサの構成
を模式的に示す縦断面図。
【図4】図1の固体電解質厚膜積層型COセンサの電極
粒径がCO感度に及ぼす影響を説明する特性図。
【図5】図1の固体電解質厚膜積層型COセンサの電極
粒径がH2感度に及ぼす影響を説明する特性図。
【図6】図1の固体電解質厚膜積層型COセンサの電極
粒径がCO感度に及ぼす影響を説明する特性図。
【図7】図1の固体電解質厚膜積層型COセンサのCO
検出原理を説明する電極反応説明図。
【符号の説明】
1 固体電解質厚膜 3 電極(カソード) 31 電極反応部 32 電極引出線 33 端子部 5 電極(アノード) 51 電極反応部 52 電極引出線 53 端子部 7 可燃性ガス酸化触媒層 91 絶縁用緻密アルミナ膜 92 切欠き部 93 ヒータ 94 端子部 95 アルミナ基板 98,99 リード線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 望月 計 静岡県天竜市二俣町南鹿島23 矢崎計器株 式会社内 (72)発明者 高島 裕正 静岡県天竜市二俣町南鹿島23 矢崎計器株 式会社内 Fターム(参考) 2G004 BB04 BE04 BE22 BE26 BE27 BM07 ZA04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発熱体上に設けた可燃性ガス酸化触媒か
    らなるガス拡散層と、該ガス拡散層の上に設けた触媒金
    属とセラミックを混合し加圧成型し焼結した複合体であ
    るサーメットからなる下部電極と、該下部電極上に設け
    た酸素イオン伝導性を有する固体電解質厚膜と、該固体
    電解質上に設けたサーメットからなる上部電極からなる
    固体電解質厚膜積層型一酸化炭素センサにおいて、 上部電極および下部電極を構成するサーメットが、粒径
    が10μm以下のセラミックと触媒金属の複合材料で構
    成され、 ガス拡散層が、可燃性ガスを酸化する触媒作用を有する
    多孔体で構成されたことを特徴とする固体電解質厚膜積
    層型一酸化炭素センサ。
  2. 【請求項2】 サーメットが、白金(Pt)等の貴金
    属、または白金族と二酸化ジルコニウム(ZrO2)、二
    酸化トリウム(ThO2)、酸化セリウム(CeO2,Ce2
    3)、三酸化二ビスマス(Bi23)などとの混合物、
    あるいはこれらの1種に希土類酸化物もしくはアルカリ
    土類金属酸化物を添加してなる酸化物の1種と白金族と
    の混合物である請求項1記載の固体電解質厚膜積層型一
    酸化炭素センサ。
  3. 【請求項3】 サーメットが、白金と二酸化ジルコニウ
    ムまたは白金とイットリア(Y23)で安定化された二
    酸化ジルコニウム(ZrO2)である請求項2に記載の固
    体電解質厚膜積層型一酸化炭素センサ。
  4. 【請求項4】 酸素イオン伝導性固体電解質が、イット
    リアで安定化した二酸化ジルコニウム、酸化マグネシウ
    ム(MgO)または酸化カルシウム(CaO)を添加した
    二酸化ジルコニウム、希土類酸化物を添加した二酸化ト
    リウム、希土類または酸化カルシウムを添加した二酸化
    セリウム、酸化ストロンチウム(SrO)を添加した三
    酸化二ビスマスのいずれかである請求項1ないし請求項
    3のいずれかに記載の固体電解質厚膜積層型一酸化炭素
    センサ。
  5. 【請求項5】 ガス拡散層が、一酸化炭素(CO)ガ
    ス、水素(H2)、炭化水素(CH4)などの可燃性ガス
    を酸化する触媒作用を有する、白金やパラジウム(P
    d)などの白金族金属、金またはヴァナジン(バナジウ
    ム:V)もしくはクロム(Cr)などの主遷移金属の酸
    化物、あるいはこれらの2種以上の組合せを、二酸化珪
    素(SiO2)、α−酸化アルミニウム(α−Al
    23)、γ−酸化アルミニウム(γ−Al23)などの
    担体に担持させた多孔質体である請求項1ないし請求項
    4のいずれかに記載の固体電解質厚膜積層型一酸化炭素
    センサ。
  6. 【請求項6】 一対の電極の電極粒径を異ならせた請求
    項1ないし請求項5のいずれかに記載の固体電解質厚膜
    積層型一酸化炭素センサ。
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CN109142158A (zh) * 2018-09-14 2019-01-04 太原理工大学 一种模拟浆液扩散通道并检测注浆参数的实验装置与方法

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