JP2000009199A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

トロイダル型無段変速機

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JP2000009199A JP11033027A JP3302799A JP2000009199A JP 2000009199 A JP2000009199 A JP 2000009199A JP 11033027 A JP11033027 A JP 11033027A JP 3302799 A JP3302799 A JP 3302799A JP 2000009199 A JP2000009199 A JP 2000009199A
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尚 町田
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宏史 石川
Takashi Imanishi
尚 今西
Hiroyuki Ito
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Tomohisa Yamashita
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速
機で、複数のトラニオン同士の揺動を同期させる構造の
設置の自由度を向上させる。 【解決手段】 各トラニオンの端部に固設した第一、第
二枢軸にピニオン65、65を支持する。隣り合うピニ
オン65、65同士の間に、それぞれラック66、67
を設ける。これら各ラック66、67は、ラック歯の形
成方向に亙る変位のみ自在である。この構成により、上
記複数のトラニオン同士の揺動は、同期した状態でのみ
可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明に係るトロイダル型
無段変速機は、例えば自動車用の変速機の変速ユニット
として、或は各種産業機械用の変速機として、それぞれ
利用する。
【0002】
【従来の技術】自動車用変速機として、図11〜12に
略示する様なトロイダル型無段変速機を使用する事が研
究されている。このトロイダル型無段変速機は、例えば
実開昭62−71465号公報に開示されている様に、
入力軸1と同心に入力側ディスク2を支持し、この入力
軸1と同心に配置した出力軸3の端部に出力側ディスク
4を固定している。トロイダル型無段変速機を納めたケ
ーシング5(後述する図13〜15)の内側には、上記
入力軸1並びに出力軸3に対して捻れの位置にある枢軸
6、6を中心として揺動するトラニオン7、7を設けて
いる。
【0003】即ち、これら各トラニオン7、7は、両端
部外側面に上記各枢軸6、6を、互いに同心に設けてい
る。従って、これら各枢軸6、6は、上記両ディスク
2、4の中心軸と交差する事はないが、この中心軸の方
向に対して直角方向に設けられている。又、これら各ト
ラニオン7、7の中心部には変位軸8、8の基端部を支
持し、上記各枢軸6、6を中心として各トラニオン7、
7を揺動させる事により、上記各変位軸8、8の傾斜角
度の調節を自在としている。各トラニオン7、7に支持
された変位軸8、8の周囲には、それぞれパワーローラ
9、9を回転自在に支持している。そして、これら各パ
ワーローラ9、9を、上記入力側、出力側両ディスク
2、4の間に挟持している。これら入力側、出力側両デ
ィスク2、4の互いに対向する内側面2a、4aは、そ
れぞれ断面が、上記枢軸6を中心とする円弧を上記入力
軸1及び出力軸3を中心に回転させて得られる凹面をな
している。そして、球状凸面に形成した各パワーローラ
9、9の周面9a、9aを、上記各内側面2a、4aに
当接させている。
【0004】上記入力軸1と入力側ディスク2との間に
は、ローディングカム式の押圧装置10を設け、この押
圧装置10によって、上記入力側ディスク2を出力側デ
ィスク4に向け、弾性的に押圧自在としている。この押
圧装置10は、入力軸1と共に回転するカム板11と、
保持器12により保持した複数個(例えば4個)のロー
ラ13、13とから構成している。上記カム板11の片
側面(図11〜12の左側面)には、円周方向に亙る凹
凸面であるカム面14を形成し、上記入力側ディスク2
の外側面(図11〜12の右側面)にも、同様のカム面
15を形成している。そして、上記複数個のローラ1
3、13を、上記入力軸1の中心に対して放射方向の軸
を中心とする回転自在に支持している。
【0005】上述の様に構成するトロイダル型無段変速
機の使用時、入力軸1の回転に伴ってカム板11が回転
すると、カム面14によって複数個のローラ13、13
が、入力側ディスク2の外側面に形成したカム面15に
押圧される。この結果、上記入力側ディスク2が、上記
複数のパワーローラ9、9に押圧されると同時に、上記
1対のカム面14、15と複数個のローラ13、13と
の押し付け合いに基づいて、上記入力側ディスク2が回
転する。そして、この入力側ディスク2の回転が、上記
複数のパワーローラ9、9を介して出力側ディスク4に
伝達され、この出力側ディスク4に固定の出力軸3が回
転する。
【0006】入力軸1と出力軸3との回転速度比(変速
比)を変える場合で、先ず入力軸1と出力軸3との間で
減速を行なう場合には、前記各枢軸6、6を中心として
前記各トラニオン7、7を所定方向に揺動させ、上記各
パワーローラ9、9の周面9a、9aが図11に示す様
に、入力側ディスク2の内側面2aの中心寄り部分と出
力側ディスク4の内側面4aの外周寄り部分とにそれぞ
れ当接する様に、前記各変位軸8、8を傾斜させる。反
対に、増速を行なう場合には、上記各枢軸6、6を中心
として上記各トラニオン7、7を反対方向に揺動させ、
上記各パワーローラ9、9の周面9a、9aが図12に
示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの外周寄り部
分と出力側ディスク4の内側面4aの中心寄り部分と
に、それぞれ当接する様に、上記各変位軸8、8を傾斜
させる。各変位軸8、8の傾斜角度を図11と図12と
の中間にすれば、入力軸1と出力軸3との間で、中間の
変速比を得られる。
【0007】上述の様なトロイダル型無段変速機によ
り、実際の自動車用変速機を構成する場合、入力側ディ
スク2と出力側ディスク4とパワーローラ9、9とを2
組設け、これら2組の入力側ディスク2と出力側ディス
ク4とパワーローラ9、9とを、動力の伝達方向に対し
て互いに並列に配置する、所謂ダブルキャビティ型のト
ロイダル型無段変速機も、従来から広く知られている。
図13〜15は、この様なダブルキャビティ型のトロイ
ダル型無段変速機の一種で、特公平8−23386号公
報に記載されて従来から知られているものを示してい
る。
【0008】ケーシング5の内側には入力軸1aを、回
転のみ自在に支持している。そして、この入力軸1aの
周囲に円管状の伝達軸16を、この入力軸1aと同心
に、且つこの入力軸1aに対する相対回転を自在に支持
している。この伝達軸16の中間部両端寄り部分には、
請求項に記載した第一、第二外側ディスクに相当する第
一、第二両入力側ディスク17、18を、互いの内側面
2a、2a同士を対向させた状態で、それぞれボールス
プライン19、19を介して支持している。従って、上
記第一、第二両入力側ディスク17、18は、上記ケー
シング5の内側に、互いに同心に且つ互いに同期した回
転自在に支持されている。
【0009】又、上記伝達軸16の中間部の周囲には、
請求項に記載した第一、第二内側ディスクに相当する第
一、第二両出力側ディスク20、21を、スリーブ22
を介して支持している。このスリーブ22は、中間部外
周面に出力歯車23を一体に設けたもので、上記伝達軸
16の外径よりも大きな内径を有し、上記ケーシング5
内に設けた支持壁24に、1対の転がり軸受25、25
により、上記伝達軸16と同心に、且つ回転のみ自在に
支持している。上記第一、第二両出力側ディスク20、
21は、この様に上記伝達軸16の中間部周囲に、この
伝達軸16に対し回転自在に支持したスリーブ22の両
端部に、それぞれの内側面4a、4aを互いに反対に向
けた状態で、スプライン係合させている。従って、上記
第一、第二両出力側ディスク20、21は、それぞれの
内側面4a、4aを上記第一、第二何れかの入力側ディ
スク17、18の内側面2a、2aに対向させた状態で
これら第一、第二両入力側ディスク17、18と同心
に、且つこれら第一、第二両入力側ディスク17、18
とは独立した回転自在に支持されている。
【0010】又、前記ケーシング5の内面で上記第一、
第二両出力側ディスク20、21の側方位置には、これ
ら両出力側ディスク20、21を両側から挟む状態で、
1対のヨーク26a、26bを支持している。これら両
ヨーク26a、26bはそれぞれ、鋼等の金属板にプレ
ス加工を施す事により、或は鋼等の金属材料に鍛造加工
を施す事により、矩形枠状に形成している。これら各ヨ
ーク26a、26bは、それぞれの四隅部に、後述する
第一、第二両トラニオン27、28の両端部に設けた第
一、第二両枢軸29、30を揺動自在に支持する為の円
形の支持孔31、31を、上記伝達軸16の軸方向(図
13の左右方向)両端部の幅方向(図14〜15の左右
方向)中央部に、円形の係止孔32、32を、それぞれ
形成している。それぞれがこの様な形状を有する上記1
対のヨーク26a、26bは、上記ケーシング5の内面
で互いに対向する部分に形成した支持ポスト33a、3
3bに、若干の変位自在に支持している。これら各支持
ポスト33a、33bはそれぞれ、第一入力側ディスク
17の内側面2aと第一出力側ディスク20の内側面4
aとの間部分である第一キャビティ34、第二入力側デ
ィスク18の内側面2aと第二出力側ディスク21の内
側面4aとの間部分である第二キャビティ35に、それ
ぞれ対向する状態で設けている。従って、上記各ヨーク
26a、26bを上記各支持ポスト33a、33bに支
持した状態で、これら各ヨーク26a、26bの一端部
は上記第一キャビティ34の外周部分に、他端部は上記
第二キャビティ35の外周部分に、それぞれ対向する。
【0011】又、上記第一キャビティ34内で第一入力
側ディスク17及び第一出力側ディスク20の直径方向
反対位置には1対の第一トラニオン27、27を、上記
第二キャビティ35内で第二入力側ディスク18及び第
二出力側ディスク21の直径方向反対位置には1対の第
二トラニオン28、28を、それぞれ配置している。こ
のうち、上記各第一トラニオン27、27の両端部に互
いに同心に設けた、各第一トラニオン27、27毎に2
本ずつ、合計4本の第一枢軸29、29は、図14に示
す様に、上記1対のヨーク26a、26bの一端部に、
揺動並びに軸方向に亙る変位自在に支持している。即
ち、これら各ヨーク26a、26bの一端部に形成した
支持孔31、31の内側に上記各第一枢軸29、29
を、ラジアルニードル軸受36、36により支持してい
る。これら各ラジアルニードル軸受36、36はそれぞ
れ、外周面が球状凸面であり内周面が円筒面である外輪
37と複数本のニードル38、38とから成る。従って
上記各第一枢軸29、29は、上記各ヨーク26a、2
6bの一端部の幅方向両側に、各方向の揺動並びに軸方
向に亙る変位自在に支持されている。又、上記各第二ト
ラニオン28、28の両端部に互いに同心に設けた1対
ずつの第二枢軸30、30は上記第二キャビティ35内
に、図15に示す様に、上記第一トラニオン27、27
に設けた上記各第一枢軸29、29と同様の構造により
支持している。
【0012】上述の様にして前記ケーシング5の内側
に、揺動及び上記第一、第二各枢軸29、30の軸方向
に亙る変位自在に支持した、上記第一、第二各トラニオ
ン27、28の中間部にはそれぞれ、図14〜15に示
す様に円孔39、39を形成している。そして、これら
各円孔39、39部分に、第一、第二各変位軸40、4
1を支持している。これら第一、第二各変位軸40、4
1はそれぞれ、互いに平行で且つ偏心した支持軸部4
2、42と枢支軸部43、43とを、それぞれ有する。
このうちの各支持軸部42、42を上記各円孔39、3
9の内側に、ラジアルニードル軸受44、44を介し
て、回転自在に支持している。又、上記各枢支軸部4
3、43の周囲に第一、第二各パワーローラ45、46
を、別のラジアルニードル軸受47、47を介して、回
転自在に支持している。
【0013】尚、前記第一、第二各キャビティ34、3
5毎に1対ずつ設けた、上記第一、第二各変位軸40、
41は、上記第一、第二各キャビティ34、35毎に、
前記入力軸1a及び伝達軸16に対して180度反対側
位置に設けている。又、これら第一、第二各変位軸4
0、41の各枢支軸部43、43が各支持軸部42、4
2に対し偏心している方向は、前記第一、第二入力側、
出力側各ディスク17、18、20、21の回転方向に
関して同方向(図14〜15で上下逆方向)としてい
る。又、偏心方向は、上記入力軸1aの配設方向に対し
ほぼ直交する方向としている。従って、上記各第一、第
二各パワーローラ45、46は、上記入力軸1a及び伝
達軸16の配設方向に亙る若干の変位自在に支持され
る。この結果、トロイダル型無段変速機により伝達する
トルクの変動に基づく、構成各部材の弾性変形量の変動
等に起因して、上記各第一、第二各パワーローラ45、
46が上記入力軸1a及び伝達軸16の軸方向(図13
の左右方向、図14〜15の表裏方向)に変位する傾向
となった場合でも、構成各部材に無理な力を加える事な
く、この変位を吸収できる。
【0014】又、上記各第一、第二各パワーローラ4
5、46の外側面と前記第一、第二各トラニオン27、
28の中間部内側面との間には、第一、第二各パワーロ
ーラ45、46の外側面の側から順に、スラスト玉軸受
48、48と、滑り軸受或はニードル軸受等のスラスト
軸受49、49とを設けている。このうちのスラスト玉
軸受48、48は、上記各第一、第二各パワーローラ4
5、46に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、こ
れら各第一、第二各パワーローラ45、46の回転を許
容する。又、上記各スラスト軸受49、49は、上記第
一、第二各パワーローラ45、46から上記各スラスト
玉軸受48、48の外輪50、50に加わるスラスト荷
重を支承しつつ、前記枢支軸部43、43及び上記外輪
50、50が前記支持軸部42、42を中心に揺動する
事を許容する。
【0015】更に、上記第一、第二各トラニオン27、
28の一端部(図14〜15の下端部)にはそれぞれ駆
動ロッド51、51を結合し、これら各駆動ロッド5
1、51の中間部外周面に駆動ピストン52、52を固
設している。そして、これら各駆動ピストン52、52
を、それぞれ駆動シリンダ53、53内に油密に嵌装し
ている。これら各駆動ピストン52、52と駆動シリン
ダ53、53とが、それぞれ上記第一、第二各トラニオ
ン27、28を第一、第二各枢軸29、30の軸方向に
亙って変位させる為のアクチュエータを構成する。又、
上記各駆動シリンダ53、53内には、図示しない制御
弁の切り換えに基づいて、圧油を給排自在としている。
【0016】更に、前記入力軸1aと前記第一入力側デ
ィスク17との間には、ローディングカム式の押圧装置
10を設けている。この押圧装置10は、上記入力軸1
aの中間部にスプライン係合すると共に軸方向に亙る変
位を阻止された状態で支持されて、上記入力軸1aと共
に回転するカム板11と、保持器12に転動自在に保持
された複数のローラ13とを含んで構成している。そし
て、上記入力軸1aの回転に基づいて上記第一入力側デ
ィスク17を、第二入力側ディスク18に向け押圧しつ
つ回転させる。
【0017】上述の様に構成する、ダブルキャビティ型
のトロイダル型無段変速機の運転時、入力軸1aの回転
は押圧装置10を介して第一入力側ディスク17に伝え
られ、この第一入力側ディスク17と第二入力側ディス
ク18とが、互いに同期して回転する。そして、これら
第一、第二両入力側ディスク17、18の回転が、前記
第一、第二両キャビティ34、35内にそれぞれ1対ず
つ設けた第一、第二各パワーローラ45、46を介し
て、第一、第二両出力側ディスク20、21に伝えら
れ、更にこれら第一、第二両出力側ディスク20、21
の回転が、前記出力歯車23より取り出される。入力軸
1aと出力歯車23との間の回転速度比を変える場合に
は、上記制御弁の切り換えに基づいて、上記第一、第二
両キャビティ34、35に対応してそれぞれ1対ずつ設
けた駆動ピストン52、52を、各キャビティ34、3
5毎に互いに逆方向に同じ距離だけ変位させる。
【0018】これら各駆動ピストン52、52の変位に
伴って上記1対ずつ合計4個のトラニオン27、28
が、それぞれ逆方向に変位し、例えば図14〜15の右
側の第一、第二両パワーローラ45、46が各図の下側
に、図14〜15の左側の第一、第二両パワーローラ4
5、46が各図の上側に、それぞれ変位する。この結
果、これら各第一、第二各パワーローラ45、46の周
面9a、9aと上記第一、第二両入力側ディスク17、
18及び第一、第二両出力側ディスク20、21の内側
面2a、4aとの当接部に作用する、接線方向の力の向
きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って前
記第一、第二各トラニオン27、28が、ヨーク26
a、26bに枢支した第一、第二各枢軸29、30を中
心として、互いに逆方向に揺動する。この結果、前述の
図11〜12に示した様に、上記各第一、第二各パワー
ローラ45、46の周面9a、9aと上記各ディスク1
7、18、20、21の内側面2a、4aとの当接位置
が変化し、上記入力軸1aと出力歯車23との間の回転
速度比が変化する。
【0019】上述の様なトロイダル型無段変速機には、
前記駆動ロッド51、51、駆動ピストン52、52、
駆動シリンダ53、53等を含んで構成される油圧駆動
装置の故障時にも、上記第一、第二各トラニオン27、
28の揺動を互いに同期させる為の機構を組み込んでい
る。そして、上記油圧駆動装置の故障時にも、上記各デ
ィスク17、18、20、21の内側面2a、4aと各
パワーローラ45、46の周面9a、9aとの間に過大
な摩擦力が作用する事を防止して、トロイダル型無段変
速機が致命的な損傷を受ける事を防止し、しかも最低限
の動力伝達を確保できる様にしている。
【0020】この様な機構として従来から、特開昭63
−67458号公報、特開平4−327051号公報、
実開昭62−200852号公報等に記載されたものが
知られている。図16〜17は、このうちの特開平4−
327051号公報に記載された構造の2例を示してい
る。これら図16〜17により、ダブルキャビティ型の
トロイダル型無段変速機に於ける、上記第一、第二各ト
ラニオン27、28の揺動を互いに同期させる為の機構
に就いて説明する。
【0021】同期機構を構成すべく、第一、第二各トラ
ニオン27、28の軸方向(図16〜17の表裏方向)
端部に、プーリ54、54を固定している。これら各プ
ーリ54、54の外周面は、枢軸29、30(図14〜
15参照)と同心の円弧面としている。そして、これら
各プーリ54、54の外周面に形成した凹溝にケーブル
55、55a、55bの一部を、嵌合させる様にして掛
け渡し、上記1対ずつ、合計4個の第一、第二各トラニ
オン27、28を同期して揺動させる様にしている。即
ち、何れの構造の場合も、各組を構成する1対の第一、
第二各トラニオン27、28の端部に固定した1対のプ
ーリ54、54同士の間に上記ケーブル55、55を、
たすき掛けに掛け渡している。従って、各組を構成する
(同一キャビティ内に存在する)1対ずつの第一、第二
各トラニオン27、28は、逆方向に同一角度だけ回動
自在であり、対角線位置に存在する(異なるキャビティ
内で入力軸1aの円周方向反対側に存在する)プーリ5
4、54は、同方向に同一角度だけ回動自在である。
【0022】この為に図16に示した第1例の構造で
は、上記対角線位置に存在するプーリ54、54同士の
間にのみ、ケーブル55aを掛け渡し、止め具56、5
6によって、このケーブル55aと上記対角線位置に存
在するプーリ54、54とを結合している。一方、図1
7に示した第2例の構造では、ケーブル55bを総ての
プーリ54、54に掛け渡す代わりに、対角線位置に存
在する1対のプーリ54、54にのみ、止め具56、5
6により、このケーブル55bを結合している。残りの
プーリ54、54とケーブル55bとの間には滑り板5
7、57を介在させて、このケーブル55bの動きがこ
の残りのプーリ54、54に伝わらない様にしている。
図17に示した構造は、ケーブル55bが、第一、第二
各出力側ディスク20、21及び大径の出力歯車23
等、トロイダル型無段変速機を構成する他の部材と干渉
する事を防止する為に採用する。尚、入力側ディスクと
出力側ディスクとを、それぞれ1個ずつ設けた、所謂シ
ングルキャビティ型のトロイダル型無段変速機の場合
も、図16〜17に示したたすき掛けのケーブル55を
設ける事で、複数のトラニオンの揺動を同期させる様に
している。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】上述の様に構成される
トロイダル型無段変速機に組み込むケーブル55、55
a、55bは、故障時に第一、第二各トラニオン27、
28の揺動を確実に同期させる必要上、或る程度太いも
のを使用する必要があり、設置スペースを要する事が避
けられない。即ち、上記各ケーブル55、55a、55
bは、特性上プーリ54、54同士の間に存在する部分
は直線状に配置する必要があり、当該部分には他の部材
を配置できない。同一のキャビティ内に設置した1対の
第一、第二各トラニオン27、28の揺動を同期させる
為のケーブル55、55の場合には、それぞれ対となる
入力側ディスク17、18と出力側ディスク20、21
との間に配置できる為、特に問題はないが、異なるキャ
ビティ内に設置した第一、第二各トラニオン27、28
の揺動を同期させる為のケーブル55a、55bの場合
には、設置が困難な場合がある。
【0024】例えば、図16に示した構造の場合には、
上記ケーブル55aと出力歯車23との干渉を防止する
為、この出力歯車23の外径をあまり大きくする事がで
きず、この出力歯車23と従動歯車58との間の変速比
が限定されてしまう。又、図17に示した構造の場合に
は、図示しないケースの内側に第一、第二両出力側ディ
スク20、21及び出力歯車23を回転自在に支持する
為の支持壁24(図13)との干渉防止を考慮する必要
がある。即ち、上記ケーブル55bは、この支持壁24
との干渉を防止しつつ、異なるキャビティ内に設置した
第一、第二各トラニオン27、28同士の間に掛け渡す
必要があり、構造が面倒になる。
【0025】これに対して、実公平4−52512号公
報、特開平6−117515号公報、同7−24349
6号公報には、複数のトラニオンの傾斜角度を同期させ
る機構を、歯車伝達機構により構成する技術が記載され
ている。但し、これら各公報に記載された従来技術は、
各トラニオンに固定した歯車同士を直接噛合させる為に
大径の歯車を使用する必要があり、歯車伝達機構の効率
的配置が困難であったり(実公平4−52512号公
報、特開平7−243496号公報)、入力側ディスク
と出力側ディスクとを1個ずつ設けたシングルキャビテ
ィ型のトロイダル型無段変速機のみを対象としており
(特開平6−117515号公報)、大きなトルクの伝
達を行なう為のダブルキャビティ型のトロイダル型無段
変速機にはそのまま適用できないものであった。本発明
のトロイダル型無段変速機は、上述の様な事情に鑑み
て、ダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機に実
施する場合でも、内部に存在する限られた空間内に容易
に設置可能な構造を実現すべく発明したものである。
【0026】
【課題を解決する為の手段】本発明のトロイダル型無段
変速機のうち、請求項1に記載したトロイダル型無段変
速機は、従来から知られているトロイダル型無段変速機
と同様に、ケーシングと、このケーシングの内側に互い
の内側面同士を対向させた状態で、互いに同心に且つ互
いに同期した回転自在に支持された入力側ディスク及び
出力側ディスクと、これら入力側ディスクと出力側ディ
スクとの間部分で、これら各ディスクの中心軸と交差す
る事はないが、この中心軸の方向に対して直角方向とな
る捻れの位置に存在する、互いに同心若しくは平行な4
本以上で偶数本の枢軸と、これら各枢軸を中心として揺
動する複数のトラニオンと、これら各トラニオンの内側
面から突出した変位軸と、これら各変位軸の周囲に回転
自在に支持された状態で、上記入力側ディスクの内側面
と出力側ディスクの内側面との間に挟持された複数個の
パワーローラとを備える。
【0027】特に、請求項1に記載したトロイダル型無
段変速機に於いては、上記複数のトラニオン同士の間
に、これら各トラニオンの傾斜角度を互いに一致させる
歯車伝達機構を設けており、これら各歯車伝達機構は、
上記各枢軸と同心に固定されてこれら各枢軸と共に回転
するピニオンと、これら各ピニオン同士の間に配置され
てこれら各ピニオンと噛合し、これら各ピニオン同士の
回転方向の位相を同期させる為の伝達ギヤとから成るも
のである。
【0028】又、請求項2に記載したトロイダル型無段
変速機は、従来から知られているダブルキャビティ型の
トロイダル型無段変速機と同様に、ケーシングと、この
ケーシングの内側に互いの内側面同士を対向させた状態
で、互いに同心に且つ互いに同期した回転自在に支持さ
れた第一、第二外側ディスクと、その内側面を第一外側
ディスクの内側面に対向させた状態でこれら第一、第二
外側ディスクと同心に、且つこれら第一、第二外側ディ
スクとは独立した回転自在に支持された第一内側ディス
クと、その内側面を第二外側ディスクの内側面に対向さ
せた状態で上記第一内側ディスクと同心に、且つこの第
一内側ディスクと同期した回転自在に支持された第二内
側ディスクと、上記第一外側ディスクと第一内側ディス
クとの間部分で、これら各ディスクの中心軸と交差する
事はないが、この中心軸の方向に対して直角方向となる
捻れの位置に存在する、互いに同心若しくは平行な4本
以上で偶数本の第一枢軸と、これら各第一枢軸を中心と
して揺動する複数の第一トラニオンと、これら各第一ト
ラニオンの内側面から突出した第一変位軸と、これら各
第一変位軸の周囲に回転自在に支持された状態で、上記
第一外側ディスクの内側面と第一内側ディスクの内側面
との間に挟持された複数個の第一パワーローラと、上記
第二外側ディスクと第二内側ディスクとの間部分で、こ
れら各ディスクの中心軸と交差する事はないが、この中
心軸の方向に対して直角方向となる捻れの位置に存在す
る、互いに同心若しくは平行な4本以上で偶数本の第二
枢軸と、これら各第二枢軸を中心として揺動する複数の
第二トラニオンと、これら各第二トラニオンの内側面か
ら突出した第二変位軸と、これら各第二変位軸の周囲に
回転自在に支持された状態で、上記第二外側ディスクの
内側面と第二内側ディスクの内側面との間に挟持された
複数個の第二パワーローラとを備える。
【0029】特に、請求項2に記載したトロイダル型無
段変速機に於いては、上記複数の第一トラニオン同士の
間、上記複数の第二トラニオン同士の間、並びに少なく
とも何れかの第一トラニオンと何れかの第二トラニオン
との間に、これら複数ずつの第一、第二トラニオンの傾
斜角度を互いに一致させる歯車伝達機構を設けている。
そして、これら各歯車伝達機構は、上記各枢軸と同心に
固定されてこれら各枢軸と共に回転するピニオンと、こ
れら各ピニオン同士の間に配置されてこれら各ピニオン
と噛合し、これら各ピニオン同士の回転方向の位相を同
期させる為の伝達ギヤとから成る。
【0030】
【作用】上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段
変速機は、前述した従来のトロイダル型無段変速機と同
様の作用に基づき、入力側ディスクと出力側ディスクと
の間、或は第一、第二両外側ディスクと第一、第二両内
側ディスクとの間で回転力の伝達を行ない、更にトラニ
オンの傾斜角度を変える事により、これら両ディスクの
回転速度比を変える。特に、本発明のトロイダル型無段
変速機の場合には、各トラニオンの傾斜角度、或は複数
ずつの第一、第二トラニオンの傾斜角度を互いに一致さ
せる為に歯車伝達機構を使用している為、これら各トラ
ニオンの傾斜角度を厳密に一致させる事ができる。又、
この歯車伝達機構を、ピニオンと伝達ギヤとにより構成
しているので、このピニオンの径を大きくする事なく、
上記歯車伝達機構の構成部材と他の構成部材との干渉防
止を有効に図れる等、設計の自由度を高める事ができ
る。
【0031】
【発明の実施の形態】図1〜2は、請求項2に対応す
る、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本
例の構造の特徴は、各第一トラニオン27、27の傾斜
角度を確実に同期させる為の構造、並びにこれら各第一
トラニオン27、27の両端部に設けた第一枢軸29、
29をケーシング5に対し支持する部分の構造にある。
その他の部分の構造及び作用は、前述の図13〜15に
示した従来構造と同様であるから、同等部分に関する図
示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特
徴部分を中心に説明する。又、各第二トラニオン28、
28の両端部に設けた第二枢軸30、30(図15)に
関しても、上記各第一枢軸29、29と同様の構造によ
り、上記ケーシング5に対し支持する様にしている。以
下の説明は、上記各第一トラニオン27、27をケーシ
ング5に対し支持する部分の構造、並びに第一、第二各
トラニオン27、28の傾斜角度を互いに一致させる為
の構造を中心に行なう。
【0032】上記ケーシング5内の互いに対向する部分
には1対のヨーク59、60を、上記ケーシング5に対
し直接、互いに平行に結合固定している。これら各ヨー
ク59、60の四隅部で互いに整合する位置には、それ
ぞれ円形の支持孔31、31を形成している。そして、
これら各支持孔31、31の内側に上記各第一枢軸2
9、29を、それぞれラジアルニードル軸受36、36
により、揺動及び軸方向に亙る変位自在に支持してい
る。尚、これら各ラジアルニードル軸受36、36を構
成する各外輪37、37の外周面は、それぞれ球状凸面
として、上記各第一トラニオン27、27の弾性変形に
拘らず、上記各ラジアルニードル軸受36、36を構成
する各ニードル38、38の転動面と相手面との当接部
にエッヂロードが加わるのを防止している。
【0033】即ち、トロイダル型無段変速機の運転時に
各第一パワーローラ45、45には大きなスラスト荷重
が加わり、このスラスト荷重に基づいて上記各第一トラ
ニオン27、27は、互いに対向する内側面側が凹面と
なる方向に弾性変形する。そして、この弾性変形に基づ
き、上記各第一枢軸29、29の中心軸と上記各支持孔
31、31の中心軸とが、僅かとは言え不一致になる。
そこで、この様な場合に上記各外輪37、37を上記各
支持孔31、31内で揺動変位させる事により上記不一
致を補償し、上記エッヂロードが加わる事を防止してい
る。
【0034】但し、本例の構造を採用した場合には、前
述の図13〜15に示した従来構造の場合とは異なり、
前記ヨーク59、60が変位する事はないので、上記各
第一枢軸29、29の中心軸と上記各支持孔31、31
の中心軸とのずれは限られたものとなる。即ち、上記従
来構造の場合には、各ヨーク26a、26bを、それぞ
れ支持ポスト33a、33bを介してケーシング5に対
し、若干の変位自在に支持する事により、互いに対向し
て設けた1対の第一パワーローラ45、45の傾斜角度
を互いに一致させる様にしていた。この為、トロイダル
型無段変速機の運転時には、各第一枢軸29、29の中
心軸と各支持孔31、31の中心軸とは、各第一トラニ
オン27、27の弾性変形に基づいてずれるだけでな
く、上記各ヨーク26a、26bの変位によってもずれ
る。従って、上記従来構造では、上記各ラジアルニード
ル軸受36、36に、外周面を球状凸面とした外輪3
7、37を設ける事は必須である。これに対して、本例
の場合には、上記各ヨーク59、60が変位する事はな
い為、上述の様に、上記各第一枢軸29、29の中心軸
と各支持孔31、31の中心軸とのずれは限られたもの
となる。従って、上記各ニードル38、38にクラウニ
ングを施す等により、上記エッヂロードの発生を防止で
きるのであれば、上記各ラジアルニードル軸受36、3
6から外輪37、37を除く事もできる。
【0035】上述の様に、1対のヨーク59、60をケ
ーシング5内に支持固定する構造は、本発明の特徴であ
る、各第一トラニオン27、27の傾斜角度を確実に同
期させる構造を採用する事により可能になる。即ち、上
記1対のヨーク59、60をケーシング5内に支持固定
した場合には、これら両ヨーク59、60が、互いに対
向して設けた1対の第一パワーローラ45、45の傾斜
角度を互いに一致させる機能は持たない。この傾斜角度
は、駆動シリンダ53、53への圧油の給排に基づく駆
動ロッド51、51の軸方向変位量により調節するが、
この軸方向変位量のみで上記1対の第一パワーローラ4
5、45の傾斜角度を厳密に一致させる事は難しい。
又、従来構造の様に、ケーブル55、55a、55bに
より各第一トラニオン27、28の傾斜角度を一致させ
る構造の場合には、これら各ケーブル55、55a、5
5bの製造誤差、伸び等により、上記傾斜角度を厳密に
一致させる事は難しい。これら各ケーブル55、55
a、55bによる傾斜角度の一致機構は、あくまでも油
圧駆動装置の故障時に於ける非常用である。
【0036】この為従来構造の場合には、上記各ヨーク
26a、26bを変位自在とし、上記各第一パワーロー
ラ45、45を、言わばフローティング支持する事によ
り、上記1対の第一パワーローラ45、45の傾斜角度
を厳密に一致させる様にしていた。これに対して、図示
の例の様に、上記1対のヨーク59、60をケーシング
5内に支持固定した場合には、上記各ヨーク59、60
の変位により上記1対の第一パワーローラ45、45の
傾斜角度を互いに一致させる事はできない。但し、次述
する本発明の特徴である、各第一トラニオン27、27
の傾斜角度を確実に同期させる構造、即ち歯車伝達機構
61を採用すれば、これら両第一トラニオン27、27
に支持した1対の第一パワーローラ45、45の傾斜角
度を互いに厳密に一致させる事ができて、上記各ヨーク
59、60をハウジング5内に支持固定する事が可能に
なる。
【0037】上記歯車伝達機構61を設ける為、一方
(図1の下方)のヨーク60には、凹部62を設けてい
る。従って、この凹部62とシリンダケース63とを重
ね合わせた状態で、これら両部材62、63同士の間に
は、上記歯車伝達機構61を収納する為の空間64が形
成される。そして、この空間64内に、図2に全体構成
を示す様な歯車伝達機構61を収納している。この歯車
伝達機構61は、矩形の角部に配置した4個のピニオン
65、65と、隣り合うピニオン65、65同士の間に
配置した、それぞれが伝達ギヤである、1対ずつ合計4
個のラック66、67とから成る。このうちの各ピニオ
ン65、65は、第一トラニオン27、27の端部に設
けた第一枢軸29、29及び第二トラニオン28、28
の端部に設けた第二枢軸30、30(第二トラニオン2
7、27及び第二枢軸29、29に関しては、従来構造
を示す図15参照)の先端部に形成した、外周面の断面
形状が小判形等の非円筒部68、68に外嵌固定してい
る。従って、上記各第一、第二トラニオン27、28
は、上記各ピニオン65、65と同期して回転する。
尚、これら各ピニオン65、65は、上記各トラニオン
27、27の揺動を同期させる為のものであるから、歯
を全周に亙り設ける必要はなく、必要部分にのみ設け
て、小型・軽量化及び加工作業の簡略化を図る。但し、
この場合でも、歯のできばえを測定するオーバピン測定
を行なう事を考慮して、全周の180度以上に歯を設け
る事が好ましい。
【0038】又、上記各ラック66、67は、それぞれ
上記空間64内に、それぞれの歯を形成した方向に亙る
平行移動のみ自在に支持している。即ち、第一キャビテ
ィ34内に存在する1対の第一トラニオン27、27同
士の傾斜角度、並びに第二キャビティ35内に存在する
1対の第二トラニオン28、28同士の傾斜角度を一致
させる為のラック66、66は、入力軸1aの軸方向
(図1の表裏方向、図2の上下方向)に亙る変位のみ自
在に、上記空間64内に設けている。この為に図示の例
では、上記各ラック66、66の片側面に形成したガイ
ド凸部69と、上記凹部62の底面に形成したガイド溝
70とを係合させている。又、上記各ラック66、66
の他側面には摺動凸部71を形成すると共に、この摺動
凸部71を前記シリンダケース63に摺接させて、上記
各ラック66、66が倒れ方向に変位する事を防止して
いる。
【0039】又、第一キャビティ34内に存在する1対
の第一トラニオン27、27と第二キャビティ35内に
存在する1対の第二トラニオン28、28との傾斜角度
を一致させる為のラック67、67は、入力軸1aの軸
方向に対して直角な方向(図1〜2の左右方向)に亙る
変位のみ自在に、上記空間64内に設けている。この為
に図示の例では、上記各ラック67、67の片側面に形
成したガイド凸部72、72と、上記凹部62の底面に
形成したガイド溝73、73とを係合させている。特
に、第一、第二キャビティ34、35間で第一、第二ト
ラニオン27、28の傾斜角度を同期させる為のラック
67、67は、同一のキャビティ34、35内で上記各
第一、第二トラニオン27、28同士の傾斜角度を同期
させる為のラック66、66に比べて幅広である。従っ
て、上記ガイド凸部72、72及びガイド溝73、73
は、上記各ラック67、67毎に1対ずつ設けている。
摺動凸部77、77を設けて各ラック67、67の倒れ
防止を図る点は、上記各ラック66、66の場合と同様
である。
【0040】尚、上記各ラック66、67の幅方向両端
部でラック歯を形成した部分の長さ寸法(各ラック6
6、67の変位方向に関する寸法)を、中間部の長さ寸
法よりも大きくしているのは、上記各ラック66、67
の中間部が、第一、第二出力側ディスク20、21、出
力歯車23等の他の構成部材と干渉するのを防止する為
である。尚、上記各ラック66、67を一方向にのみ平
行移動自在に支持する構造としては、図示の構造に限ら
ず、従来から知られている各種構造を採用できる。例え
ば、上記各ラック66、67に、それぞれの変位方向に
長い長孔を形成し、上記空間64内に、対応するラック
66、67の変位方向に離隔してそれぞれ複数本ずつ固
設したガイドピンを、上記長孔に係合させる事もでき
る。この場合に、上記各ラック66、67の中間部の長
さ寸法を確保できないのであれば、上記長孔は当該ラッ
ク66、67の幅方向両端部に形成する。
【0041】それぞれを上述の様に第一、第二トラニオ
ン27、28の端部又は空間64内に支持したピニオン
65、65とラック66、67とは、これら各ピニオン
65、65の外周縁に形成した歯と各ラック66、67
の両側縁に形成した歯とを互いに噛合させた状態に組み
合わせて、前記歯車伝達機構61を構成する。この歯車
伝達機構61は、バックラッシュを極力抑えたものとし
ている。従って、これら各ピニオン65、65を固定し
た各第一、第二トラニオン27、28、並びにこれら各
第一、第二トラニオン27、28に支持した各第一、第
二パワーローラ45、46の傾斜角度を、互いに厳密に
一致させる事ができる。
【0042】又、図1の中央上部に設けたストッパプレ
ート74は、上記各第一トラニオン27、27の傾斜角
度が過大になるのを防止する為のもので、各第一パワー
ローラ45、45の周面9a、9aと第一入力側ディス
ク17の内側面2a及び第一出力側ディスク20の内側
面4aとの当接部に潤滑油を吹き付ける為のノズル駒7
5の周囲に支持している。尚、この様なノズル駒75及
びストッパプレート74は、第一キャビティ34内だけ
でなく、第二キャビティ35内にも設けている。
【0043】以上に述べた通り、本発明のトロイダル型
無段変速機の場合には、歯車伝達機構61により各第一
パワーローラ45、45の傾斜角度を互いに一致させる
為、これら各第一パワーローラ45、45の周面9a、
9aと各ディスク17、20の内側面2a、4aとの当
接部で著しい滑りが発生するのを防止して、トロイダル
型無段変速機の効率を十分に確保できる。又、この様な
歯車伝達機構61を、ピニオン65、65とラック6
6、67とにより構成しているので、これら各ピニオン
65、65の径を大きくする事なく、上記歯車伝達機構
61の構成部材と、出力歯車23、第一、第二出力側デ
ィスク20、21等、他の構成部材との干渉防止を有効
に図れる等、設計の自由度を高める事ができる。又、前
述の図16〜17に示した従来構造の様に、複数本のケ
ーブル55、55a、55bによる構造とは異なり、歯
車伝達機構61の場合には、総てのピニオン65、65
及びラック66、67を同一平面上に設ける事ができ
る。この為、上記傾斜角度を一致させる為の機構を組み
込む為に要する高さ寸法を小さくして、ダブルキャビテ
ィ型のトロイダル型無段変速機の小型・軽量化を図れ
る。又、上記歯車伝達機構61を前記空間64内に予め
組み付けておける為、ダブルキャビティ型のトロイダル
型無段変速機の組立性の向上を図れる。
【0044】更に、図示の例では、前記ヨーク59、6
0を、前記ケーシング5の内面に直接支持固定してい
る。この為、前述した従来構造で必要としていた支持ポ
スト33a、33bが不要になる等、部品点数の低減に
よる、部品製作、部品管理、組立作業の簡略化を図ると
同時に、高さ寸法を小さくして、耐久性を確保しつつ、
より一層の小型・軽量化を図れる。
【0045】尚、図示の例では、各ピニオン65、65
を第一、第二トラニオン27、28の端部に設けた第
一、第二枢軸29、30の先端部に形成した非円筒部6
8、68に外嵌固定している。この為、変速比を変える
べく、上記第一、第二トラニオン27、28を第一、第
二枢軸29、30の軸方向に変位させる際には、上記各
ピニオン65、65の歯面と、ラック66、67の歯面
とが摺動する。この摺動に伴う摩擦が大きくなると、上
記変速比の変更を円滑に行なえなくなる可能性がある。
そこで、この様な問題を防止する為に、上記各ピニオン
65、65を上記第一、第二枢軸29、30の先端部
に、ボールスプラインを介して、軸方向に亙る変位のみ
自在に支持する事もできる。
【0046】次に、図3は、やはり請求項2に対応す
る、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の
場合には、それぞれ1対ずつ、合計4本の第一、第二枢
軸29、30にそれぞれ固定したピニオン65、65を
それぞれアイドル歯車76、76に噛合させると共に、
これら4個のアイドル歯車76、76同士を互いに噛合
させている。本例の場合には、これら各アイドル歯車7
6、76が伝達ギヤに相当する。この様な本例の構造の
場合も、1対ずつ合計4個の第一、第二トラニオン2
7、28の傾斜角度を厳密に一致させて、上述した第1
例の場合と同様の作用・効果を奏する事ができる。
【0047】次に、図4は、やはり請求項2に対応す
る、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の
場合には、それぞれ1対ずつ、合計4本の第一、第二枢
軸29、30にそれぞれ固定したピニオン65a、65
b同士の間に、それぞれ2個ずつのアイドル歯車76
a、76bを配置して、これら各ピニオン65a、65
bとアイドル歯車76a、76bとを互いに噛合させて
いる。本例の場合には、これら各アイドル歯車76a、
76bが伝達ギヤに相当する。この様な本例の構造の場
合も、1対ずつ合計4個の第一、第二トラニオン27、
28の傾斜角度を厳密に一致させて、前述した第1例及
び上述した第2例の場合と同様の作用・効果を奏する事
ができる。
【0048】次に、図5〜10は、請求項2〜3に対応
する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例
の場合には、共に歯車伝達機構61aを構成し、それぞ
れが隣り合うピニオン65、65同士の間に配置した、
それぞれが伝達ギヤである、1対ずつ合計4個のラック
66a、67aをヨーク60aに対して、直動式の転が
り軸受(リニアベアリング)78a、78bにより、平
行移動自在に支持している。即ち、ケーシング5の内面
に固定したヨーク60aの下面で上記各ラック66a、
67aに対向する部分に、これら各ラック66a、67
a毎に2本ずつ、合計8本のガイド凹部79a、79b
を、それぞれラック66a、67aの変位方向に形成し
ている。
【0049】又、上記各ラック66a、67aの中間部
に設けた連結部80a、80bの中間部で、上記各ガイ
ド凹部79a、79bに整合する部分には、それぞれガ
イド鍔部81a、81bを形成している。これら各ガイ
ド鍔部81a、81bの厚さは、上記各ガイド凹部79
a、79bの幅よりも少し小さくし、これら各ガイド鍔
部81a、81bをこれら各ガイド凹部79a、79b
内に、緩く挿入している。そして、これら各鍔部81
a、81bの片側面とこれら各ガイド凹部79a、79
bの一方の内側面との間に、上記各転がり軸受78a、
78bを設けている。これら各転がり軸受78a、78
bはそれぞれ、硬質金属板製のレース82、82と、複
数本のニードル83、83と、保持器84、84とから
構成している。
【0050】尚、これらニードル83、83と保持器8
4、84とは、組み付け作業の容易化を図るべく、一体
に取り扱える様にしている。この為には、上記各保持器
84、84を金属製の板材により構成し、上記各ニード
ル83、83を保持する為のポケット88、88の縁部
をステーキングした後に上記板材を熱処理硬化させる。
上記各ニードル83、83は、この様にして造った保持
器84、84のポケット88、88内に、これら各ポケ
ット88、88の縁部の間隔を弾性的に広げつつ押し込
んで、上記各保持器84、84に、不用意に分離しない
様に組み付ける。又、上記各レース82、82は、上記
各転がり軸受78a、78bの設置部分のがたつきをな
くすべく、適正な厚さを有するものを選択使用する。勿
論、上記各鍔部81a、81bの他面と上記各ガイド凹
部79a、79bの他方の内側面との間には隙間を介在
させて、これら両面同士が摩擦し合う事を防止する。こ
の様な転がり軸受78a、78bは、上記各ラック66
a、67a毎に2組ずつ、当該ラック66a、67aに
設けた各鍔部81a、81bを両側から挟む位置に(或
は図示の場合とは逆に、各鍔部81a、81bが転がり
軸受66a、67aを両側から挟む位置に)配置してい
る。
【0051】従って、上記各ラック66a、67aは上
記ヨーク60aに対し、上記各ガイド凹部79a、79
bの方向、即ち、各ラック66a、66aに関しては図
7の上下方向、各ラック67a、67aに関しては図7
の左右方向に、傾斜したりする事なく、軽い力で円滑に
変位自在である。又、これら各ラック66a、67a
に、変位方向に対し直角方向の力が加わった場合には、
当該ラック66a、67aに付設した1対の転がり軸受
78a、78bのうちの何れか一方の転がり軸受78
a、78bが上記力を支承し、上記各ラック66a、6
7aの円滑な変位を補償する。尚、上記ヨーク60aの
一部で上記各ガイド凹部79a、79bに整合する部分
には給油孔85、85を形成して、上記各転がり軸受7
8a、78a部分への潤滑油(トラクションオイル)の
供給を自在としている。
【0052】上述の様な本例の構造により、上記各ラッ
ク66a、67aの変位を円滑に行なわせて、ダブルキ
ャビティ型のトロイダル型無段変速機を構成する4本の
トラニオン27(28)の揺動を、同期させつつしかも
軽い力で行なわせる事が可能になる。又、上記各ガイド
凹部79a、79bと上記各鍔部81a、81bとを利
用して、上記各トラニオン27(28)の揺動角度を規
制する事も、容易に行なえる。即ち、これら各トラニオ
ン27(28)は、最大値を越えて揺動変位する事を阻
止する必要がある。一方、上記各鍔部81a、81b
は、上記各ガイド凹部79a、79bの内側でのみ、変
位自在である。そこで、本例の場合には、図10に示す
様に、上記各トラニオン27(28)が最大限度まで揺
動変位した状態で、上記各鍔部81a、81bが上記各
ガイド凹部79a、79bの端部にまで変位する様にし
ている。
【0053】尚、図10は、上記各トラニオン27(2
8)が、最大増速側に変位した状態を示しているが、最
大減速側に変位した場合には、上記各鍔部81a、81
bが上記各ガイド凹部79a、79bの反対側端部に突
き当たる。上記各転がり軸受78a、78bは、この様
に上記各鍔部81a、81bが上記各ガイド凹部79
a、79bの反対側端部に突き当たった状態でも、これ
ら各鍔部81a、81bをバックアップできる程度の長
さを有する。尚、本例の場合には、変速比を変える際に
前記各ピニオン65、65は、上記各ラック66a、6
7aに対し、枢軸5、5の軸方向(図5の上下方向、図
7、10の表裏方向)に亙り変位する。この変位量は、
中立位置を中心として±2mm程度になるが、この変位を
円滑に行なわせる為、上記各ピニオン65、65と上記
各ラック66a、67aとの噛合部には、上記各トラニ
オン6、6の揺動を同期させる事に支障が生じない程度
の範囲で、適正なバックラッシュを介在させる。勿論、
前述した様に、上記各ピニオン65、65を上記各トラ
ニオン27(28)の端部に、ボールスプラインにより
支持する事で、バックラッシュを不要とする事もでき
る。
【0054】更に、図示の例では、各トラニオン27
(28)の軸方向変位並びに揺動変位も、軽い力で円滑
に行なえる様にしている。即ち、ケーシング5の内面に
互いに平行な状態で固定した各ヨーク59a、60aの
互いに整合する位置に形成した支持孔31、31にラジ
アルニードル軸受36a、36aを、それぞれボールス
プライン86、86により、軸方向に亙る円滑な変位自
在に設けている。従って、上記各トラニオン27(2
8)の軸方向変位は上記各ボールスプライン86、86
により、同じく揺動変位は上記各ラジアルニードル軸受
36a、36aにより、それぞれ円滑に行なわれる。上
記各ピニオン65、65は、上記各ボールスプライン8
6、86の下方に設けている。従って、これら各ボール
スプライン86、86を潤滑した潤滑油が、そのまま上
記各ピニオン65、65に向けて流下し、これら各ピニ
オン65、65を潤滑する。尚、図7でヨーク60aの
中央部に設けた凹部87は、ダブルキャビティ型のトロ
イダル型無段変速機を構成する1対の出力側ディスク
4、4(図13参照)の外周縁部との干渉を防止する為
に設けたもので、図7の左右方向中央部が深く、両側部
分が浅い、円弧形の断面形状を有する。
【0055】
【発明の効果】本発明は、以上に述べた通り構成され作
用する為、トロイダル型無段変速機の小型・軽量化、性
能の向上が容易になる等、設計の自由度が向上し、大き
なトルクの伝達が可能なダブルキャビティ型の無段変速
機の実用化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す、図13の
A−A断面に相当する図。
【図2】歯車伝達機構を取り出して図1の下方から見た
図。
【図3】本発明の実施の形態の第2例を示す、図2と同
様の図。
【図4】同じく第3例を示す、図2と同様の図。
【図5】同じく第4例を示す、図13のA−A断面に相
当する図。
【図6】図5のB−B断面図。
【図7】図5の下側のヨークと歯車伝達機構とを取り出
して、図5の上方から見た透視平面図。
【図8】第4例に組み込む転がり軸受を図5の側方から
見た状態で示す図。
【図9】図8のC−C断面図。
【図10】図7の左下部を、最大増速時の状態で示す
図。
【図11】従来から知られているトロイダル型無段変速
機の基本的構成を、最大減速時の状態で示す側面図。
【図12】同じく最大増速時の状態で示す側面図。
【図13】従来の具体的構造の1例を示す断面図。
【図14】図13のA−A断面図。
【図15】同D−D断面図。
【図16】従来から知られた、ケーブルによりトラニオ
ンの傾斜角度を一致させる機構の第1例を示す断面図。
【図17】同第2例を示す断面図。
【符号の説明】
1、1a 入力軸 2 入力側ディスク 2a 内側面 3 出力軸 4 出力側ディスク 4a 内側面 5 ケーシング 6 枢軸 7 トラニオン 8 変位軸 9 パワーローラ 9a 周面 10 押圧装置 11 カム板 12 保持器 13 ローラ 14 カム面 15 カム面 16 伝達軸 17 第一入力側ディスク 18 第二入力側ディスク 19 ボールスプライン 20 第一出力側ディスク 21 第二出力側ディスク 22 スリーブ 23 出力歯車 24 支持壁 25 転がり軸受 26a、26b ヨーク 27 第一トラニオン 28 第二トラニオン 29 第一枢軸 30 第二枢軸 31 支持孔 32 係止孔 33a、33b 支持ポスト 34 第一キャビティ 35 第二キャビティ 36、36a ラジアルニードル軸受 37 外輪 38 ニードル 39 円孔 40 第一変位軸 41 第二変位軸 42 支持軸部 43 枢支軸部 44 ラジアルニードル軸受 45 第一パワーローラ 46 第二パワーローラ 47 ラジアルニードル軸受 48 スラスト玉軸受 49 スラスト軸受 50 外輪 51 駆動ロッド 52 駆動ピストン 53 駆動シリンダ 54 プーリ 55、55a、55b ケーブル 56 止め具 57 滑り板 58 従動歯車 59、59a ヨーク 60、60a ヨーク 61、61a 歯車伝達機構 62 凹部 63 シリンダケース 64 空間 65、65a、65b ピニオン 66、66a ラック 67、67a ラック 68 非円筒部 69 ガイド凸部 70 ガイド溝 71 摺動凸部 72 ガイド凸部 73 ガイド溝 74 ストッパプレート 75 ノズル駒 76、76a、76b アイドル歯車 77 摺動凸部 78a、78b 転がり軸受 79a、79b ガイド凹部 80a、80b 連結部 81a、81b ガイド鍔部 82 レース 83 ニードル 84 保持器 85 給油孔 86 ボールスプライン 87 凹部 88 ポケット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今西 尚 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 伊藤 裕之 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 山下 智久 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーシングと、このケーシングの内側に
    互いの内側面同士を対向させた状態で、互いに同心に且
    つ互いに同期した回転自在に支持された入力側ディスク
    及び出力側ディスクと、これら入力側ディスクと出力側
    ディスクとの間部分で、これら各ディスクの中心軸と交
    差する事はないが、この中心軸の方向に対して直角方向
    となる捻れの位置に存在する、互いに同心若しくは平行
    な4本以上で偶数本の枢軸と、これら各枢軸を中心とし
    て揺動する複数のトラニオンと、これら各トラニオンの
    内側面から突出した変位軸と、これら各変位軸の周囲に
    回転自在に支持された状態で、上記入力側ディスクの内
    側面と出力側ディスクの内側面との間に挟持された複数
    個のパワーローラとを備えたトロイダル型無段変速機に
    於いて、上記複数のトラニオン同士の間に、これら各ト
    ラニオンの傾斜角度を互いに一致させる歯車伝達機構を
    設けており、これら各歯車伝達機構は、上記各枢軸と同
    心に固定されてこれら各枢軸と共に回転するピニオン
    と、これら各ピニオン同士の間に配置されてこれら各ピ
    ニオンと噛合し、これら各ピニオン同士の回転方向の位
    相を同期させる為の伝達ギヤとから成るものである事を
    特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 【請求項2】 ケーシングと、このケーシングの内側に
    互いの内側面同士を対向させた状態で、互いに同心に且
    つ互いに同期した回転自在に支持された第一、第二外側
    ディスクと、その内側面を第一外側ディスクの内側面に
    対向させた状態でこれら第一、第二外側ディスクと同心
    に、且つこれら第一、第二外側ディスクとは独立した回
    転自在に支持された第一内側ディスクと、その内側面を
    第二外側ディスクの内側面に対向させた状態で上記第一
    内側ディスクと同心に、且つこの第一内側ディスクと同
    期した回転自在に支持された第二内側ディスクと、上記
    第一外側ディスクと第一内側ディスクとの間部分で、こ
    れら各ディスクの中心軸と交差する事はないが、この中
    心軸の方向に対して直角方向となる捻れの位置に存在す
    る、互いに同心若しくは平行な4本以上で偶数本の第一
    枢軸と、これら各第一枢軸を中心として揺動する複数の
    第一トラニオンと、これら各第一トラニオンの内側面か
    ら突出した第一変位軸と、これら各第一変位軸の周囲に
    回転自在に支持された状態で、上記第一外側ディスクの
    内側面と第一内側ディスクの内側面との間に挟持された
    複数個の第一パワーローラと、上記第二外側ディスクと
    第二内側ディスクとの間部分で、これら各ディスクの中
    心軸と交差する事はないが、この中心軸の方向に対して
    直角方向となる捻れの位置に存在する、互いに同心若し
    くは平行な4本以上で偶数本の第二枢軸と、これら各第
    二枢軸を中心として揺動する複数の第二トラニオンと、
    これら各第二トラニオンの内側面から突出した第二変位
    軸と、これら各第二変位軸の周囲に回転自在に支持され
    た状態で、上記第二外側ディスクの内側面と第二内側デ
    ィスクの内側面との間に挟持された複数個の第二パワー
    ローラとを備えたトロイダル型無段変速機に於いて、上
    記複数の第一トラニオン同士の間、上記複数の第二トラ
    ニオン同士の間、並びに少なくとも何れかの第一トラニ
    オンと何れかの第二トラニオンとの間に、これら複数ず
    つの第一、第二トラニオンの傾斜角度を互いに一致させ
    る歯車伝達機構を設けており、これら各歯車伝達機構
    は、上記各枢軸と同心に固定されてこれら各枢軸と共に
    回転するピニオンと、これら各ピニオン同士の間に配置
    されてこれら各ピニオンと噛合し、これら各ピニオン同
    士の回転方向の位相を同期させる為の伝達ギヤとから成
    るものである事を特徴とするトロイダル型無段変速機。
  3. 【請求項3】 伝達ギヤが、平行移動する事により各ピ
    ニオン同士の間で回転力の伝達を行なうラックであり、
    このラックは、直動式の転がり軸受により案内されてい
    る、請求項1〜2の何れかに記載したトロイダル型無段
    変速機。
  4. 【請求項4】 伝達ギヤは両側部に各ピニオンと噛合す
    る歯を形成したラックであり、このラックは、各トラニ
    オンの両端部に設けた枢軸よりもこれら各トラニオンの
    外側寄り部分で、これら各枢軸を支持する為にケーシン
    グ内に固定されたヨークと、上記各トラニオンを上記各
    枢軸の軸方向に変位させる為のピストンを収納したシリ
    ンダケースとの間に設けている、請求項1〜3の何れか
    に記載したトロイダル型無段変速機。
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