JP2000008226A - 吸放湿性ポリエステル系複合繊維および繊維構造物 - Google Patents

吸放湿性ポリエステル系複合繊維および繊維構造物

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JP2000008226A
JP2000008226A JP17445298A JP17445298A JP2000008226A JP 2000008226 A JP2000008226 A JP 2000008226A JP 17445298 A JP17445298 A JP 17445298A JP 17445298 A JP17445298 A JP 17445298A JP 2000008226 A JP2000008226 A JP 2000008226A
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moisture
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absorbing
polymer
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Yoshitaka Aranishi
義高 荒西
Nobuyoshi Handa
信義 半田
Jiro Amano
慈朗 天野
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】仮撚加工やアルカリ減量処理を行った場合に
も、吸湿性能の低下のない、商品価値の高い吸放湿性ポ
リエステル系繊維を提供すること。 【解決手段】ポリエチレンテレフタレートを主体とする
ポリエステル(A)を鞘部とし、特定の吸湿性能、融
点、アルカリ減量速度を有する吸湿ポリマー(B)を芯
部とした、吸放湿性を有するポリエステル系複合繊維に
よって達成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は吸放湿性に優れたポ
リエステル系複合繊維に関する。さらに詳しくは、イン
ナー、中衣、スポーツ衣料などの衣料用素材に特に好適
な、吸放湿性、染色堅牢性、耐候性に優れた吸放湿性ポ
リエステル系複合繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートを始めとす
るいわいるポリエステルは、強度や熱安定性、耐薬品性
などに優れるため、衣料用或いは産業用繊維として広く
用いられている。しかし、ポリエチレンテレフタレート
は本質的に疎水性であるため、きわめて吸湿性に乏し
く、インナーや中衣、スポーツ衣料などのように、直接
的に肌に触れた状態で、あるいは肌に近い状態で着用さ
れる場合には、高湿時には“むれ感”を生じたり、冬場
の低湿時には静電気を生じたりと、着用快適性において
天然繊維よりも著しく劣るといわざるを得ない。
【0003】この欠点を解消するため、例えば特開昭48
-8270号公報に提案されているように、側鎖にオキシア
ルキレングリコールを有するジオールの共重合、特開平
2-26985号公報におけるスルホン酸金属塩含有ジカルボ
ン酸の共重合など、吸湿性能を有する化合物をポリエス
テルに共重合する方法が提案されている。しかし吸湿成
分を共重合することによって繊維全体が改質されてしま
い、染色堅牢度や耐候性が低下したり、優れた機械的特
性というポリエステルの持つ本来の利点が失われてしま
うという大きな問題を抱えている。
【0004】また、特開昭61-282476号公報、特公昭59-
17224号公報にみられるように、ポリエステル繊維にア
クリル酸やメタアクリル酸をグラフト重合して、それら
のカルボキシル基をアルカリ金属で置換することにより
吸湿性を付与する方法が知られている。しかし、染色堅
牢度や耐光性の低下、吸湿部分が繊維表層に付着してい
ることによる布帛風合いの硬化などの問題を潜在的に有
していることから、実用化には至っていない。
【0005】これらの問題を解決するため、高い吸湿性
を有する吸湿性樹脂を芯部とし、ポリエステルの鞘部で
覆った芯鞘型複合繊維が特開平2-99612号公報、特開平4
-361616号公報、特開平4-341617号公報、特開平9-13287
1号公報等に提案されている。しかしながら、これら芯
鞘型複合繊維の場合、精練や染色などの熱水処理時に芯
部の吸湿性樹脂が水を含んで大きく膨潤するため、繊維
表面にひび割れ(鞘割れ)が発生し、吸湿性樹脂の外部
への流出や、染色堅牢性の著しい悪化など布帛品位が低
下する欠点があった。この鞘割れを抑制する目的で、前
もって溶融紡糸の段階から吸湿性の芯成分に隣接する中
空部を設けておく方法が、特開平9-111579号公報また特
開昭52-55721号公報により提案されているが、たとえ中
空部を有する形状に繊維化した場合にも繊維に撚糸加工
や仮撚加工を施した場合には中空部の潰れが生じ、その
後の熱水処理によって前述の場合と同じく鞘割れが生じ
てしまう。
【0006】さらには、一般にポリエステル布帛はその
風合いを柔軟にするためアルカリ溶液による減量加工が
施されるが、従来用いられている吸湿性樹脂は熱水にあ
る程度可溶であったり、アルカリ加水分解性が著しく速
く、上記のように繊維の鞘部に鞘割れが発生している場
合、アルカリ減量処理後において著しい吸湿性能の低下
が生じてしまうという問題があった。
【0007】すなわち、現在知られている吸湿繊維は、
総じて鞘割れの問題を顕在的、潜在的に有しているた
め、現在布帛の風合い出しには欠かせない加工となって
いるアルカリ減量加工が任意に行えないという大きな欠
点を有しており、その利用の範囲はきわめて限られてい
るといわざるを得ない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術の問題点を克服して、仮撚加工やアルカリ減量
処理といった糸加工処理を行った場合にも、吸湿ポリマ
ーの劣化溶脱による吸湿性能および染色堅牢性の低下の
ない、商品価値の高い吸湿性合成繊維を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、鞘部を繊維形成性を有するポリエステル(A)と
し、芯部を吸放湿性パラメータ(△MR)の値が4.0%以
上であり、融点が80℃以上であって、ポリエチレンテレ
フタレートよりもアルカリ減量速度が遅い吸湿ポリマー
(B)とした、吸放湿性ポリエステル系複合繊維によっ
て達成することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】鞘成分として用いられるポリマー
は繊維形成性を有するポリエステルであり、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
プロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート
などの芳香族系ポリエステルを好適な例として挙げるこ
とができる。なかでも、エチレンテレフタレートを主た
る繰り返し単位とするポリエステル系重合体は、繊維強
度、染色性、耐候性が良好なことから、衣料用途に適し
たポリエステルである。このエチレンテレフタレートを
主たる繰り返し単位とするポリエステルは、繊維の機械
的特性を保持する目的から、80モル%以上がエチレンテ
レフタレート繰り返し単位から成ることが好ましいが、
本発明の目的を損なわない範囲で他の第3成分が共重合
されていてもよい。例えば、テレフタル酸の代わりに用
いうる化合物としては、イソフタル酸、2,6-ナフタレン
ジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、
セバシン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、5−ナ
トリウムスルホイソフタル酸、5-テトラブチルホスホニ
ウムイソフタル酸等の、芳香族、脂肪族、脂環族ジカル
ボン酸及びそれらの誘導体を挙げることが出来る。エチ
レングリコールの代わりに用いうるジオール化合物とし
ては、プロピレングリコール、テトラメチレングリコー
ル、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリ
コール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリ
コール、ビスフェノールA、ビスフェノールSのような
芳香族、脂肪族、脂環族のジオール化合物を挙げること
ができる。なお、これらのポリマーには必要に応じて例
えば艶消し剤、制電剤、消臭剤、微細孔形成剤等を含有
せしめても良い。
【0011】吸湿ポリマー(B)は繊維に吸湿性を与え
る役割を有している。そのため、吸湿ポリマー(B)の
吸放湿性パラメータ(△MR)は4.0%以上であることが
必要であり、これより吸湿率が低いポリマーを用いた場
合にはたとえ複合比を高くしたとしても望ましい吸湿特
性を有する繊維を得ることは困難である。吸湿ポリマー
(B)の吸放湿性パラメータ(△MR)は、より好ましく
は10.0%以上、最も好ましくは20.0%以上である。ここ
で吸放湿性パラメータ(△MR)とは下記式で規定される
物理量であり、吸放湿特性の尺度として用いることので
きる値である。すなわち、吸放湿性パラメータ(△MR)
は軽〜中作業(あるいは軽〜中運動)を行った際の、衣
服内温湿度(30℃×90%R.H.)と外気温湿度(20℃×65
%R.H.)における吸湿度差に対応しており、吸放湿性パ
ラメータ(△MR)の値が大きいほど吸湿特性が優れてお
り、着用時の快適性が良好であることを意味する。 吸放湿性パラメータ(△MR)=MR30−MR20 (%) 但し、MR30は30℃×90%R.H.における平衡吸湿率、MR20
は20℃×65%R.H.における平衡吸湿率を示す。
【0012】また、吸湿ポリマー(B)の融点は80℃以
上であることが必要である。融点が低いと、熱セット時
あるいは染色工程において、構造形成されたポリマーが
再び溶融することによって機械的特性を減ずるばかり
か、繊維外部へ吸湿ポリマーが流出する原因ともなる。
このことから、好ましくは吸湿ポリマーの融点は100℃
以上、さらに好ましくは130℃以上である。特開平7-201
25号公報、特開平9-217230号公報等に記載の見られる、
イソシアネート化合物等を用いた架橋反応或いはウレタ
ン化合物との共重合反応によって、水溶性のポリエチレ
ンオキサイドを難溶性とした、いわゆるポリエチレンオ
キサイド架橋物は吸湿性を発現可能なポリマーとして知
られている。しかし、このポリマーは融点が60℃程度と
非常に低いため、複合繊維における単独の構成成分とし
ては用いることができず、本発明の吸湿ポリマーとして
は不適である。
【0013】本発明でもっとも重要なことは、吸湿ポリ
マー(B)のアルカリ減量速度がポリエチレンテレフタ
レートのアルカリ減量速度よりも遅いことである。ここ
でアルカリ減量速度が遅いとは、同一アルカリ溶液で処
理した場合にポリエチレンテレフタレートの重量減少率
よりも重量減少率が小さいことを意味している。具体的
には、3重量%のNaOH水溶液により98℃で3時間アルカ
リ減量処理した際のポリエチレンテレフタレートの重量
減少率が25〜30%以下であるので、吸湿ポリマー(B)
の同一条件下における重量減少率は高くても30%であ
り、30%以下が好ましい。また、この重量減少率は10%
以下であることがより望ましい。従来知られている吸湿
ポリマーにはポリアルキレングリコールとポリエチレン
テレフタレートを共重合して得られるポリエーテルエス
テル、ポリアルキレングリコールとポリアミドを共重合
して得られるポリエーテルアミドなどがあるが、これら
はアルカリ水溶液によって加水分解されやすいエステル
結合を分子鎖内に有しているため、繊維表面に少しでも
鞘割れ部分が存在していると吸湿ポリマーの加水分解に
伴う溶脱、および吸湿性能の低下が生じてしまい、実用
に耐えなくなる。これらのことから、アルカリ減量速度
が遅いことは高次加工における任意なアルカリ減量処理
を可能とするためには必要不可欠の条件であるといえ
る。
【0014】これら3種の条件を同時にみたすものであ
れば、本発明の吸湿ポリマー(B)として用いることが
でき、その化学組成には特段の制約はないが、ポリアル
キレングリコールを一共重合成分として有するポリエー
テル系ポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類や
ポリビニルアセトアミドなどのビニル系ポリマー、セル
ロースアセテートやカルボキシメチルセルロースなどの
セルロース誘導体、吸湿性物質を含有するポリアミドポ
リマーなどを例示することができる。ポリエーテル系ポ
リマーとしては、例えば、分子量200〜20000のポリアル
キレングリコールを少なくとも1共重合成分として有す
る共重合ポリエーテルであり、該共重合ポリエーテルは
実質的にエーテル結合のみからなるものを好適な例とし
て挙げることができる。なかでも、分子量が200〜20000
のポリアルキレングリコールとビスフェノール骨格を有
する化合物とのブロック共重合ポリエーテルが吸湿特
性、製糸安定性の観点からとくに好適に用いられる。こ
こで用いうるビスフェノール骨格を有する化合物として
は具体的には下記構造式1で表される2官能性エポキシ
ドが例示できる。3官能のエポキシドを用いた場合には
架橋構造が形成されてしまうため、得られたポリマーは
溶融紡糸に用いることは困難である。
【0015】
【式1】 また、吸湿ポリマー(B)の別の例としては熱可塑性セ
ルロース誘導体をあげることができる。具体的にはセル
ロースアセテート、セルロースプロピオネートなどのセ
ルロースエステルを例示することができる。これらのセ
ルロース誘導体はその熱可塑性を向上させるためにポリ
エチレングリコールやポリεカプロラクトンなどの内部
可塑剤を併用してもよい。
【0016】また、吸湿ポリマー(B)の別の例として
はポリビニルピロリドンを4重量%以上含有したポリε
カプラミドも挙げることができる。このポリマーは吸放
湿性パラメータ(△MR)が4.0%以上、融点が80℃以上
であり、アルカリ水溶液で殆ど減量されないので、本発
明の吸湿ポリマーとして好適に用いることが可能であ
る。
【0017】また、本発明の吸放湿性複合繊維は、繊維
横断面積に対して1〜30%の空隙部(C)を有し、該空
隙部(C)は鞘部と芯部の双方に隣接して存在している
ことを特徴とする形状とすることも有効である。この空
隙部は着用時の吸脱湿に伴う吸湿ポリマーの膨潤しろと
して作用し、高い吸放湿性能発現のために有効である。
この空隙部を有する繊維とするためには、中空口金を用
いて溶融紡糸の段階から既に中空繊維としておいてもよ
いし、熱水溶脱処理など高次加工の段階において空隙部
を発現させる方法でもよい。
【0018】鞘部の繊維形成性ポリマー(A)は繊維の
機械的特性を受け持っているため、その面積比率は、繊
維全体の横断面積に対して少なくとも40%、好ましくは
60%以上を占めることが望ましい。
【0019】吸湿性ポリマー(B)が繊維断面において
占める比率は、吸湿性ポリマーそのものの有する吸湿特
性によって若干異なるが、最終製品に望ましい吸湿特性
を付与するためには、少なくとも5%以上、好ましくは1
0%以上であることが望ましい。ただし、比率を高くし
ていくことは繊維形成性ポリマー(A)の割合を低くす
る傾向、すなわち繊維強度を低下させる方向になるの
で、その上限は55%、好ましくは40%以下であることが
望ましい。
【0020】本発明の複合繊維を紡糸する方法は、従来
公知の方法が適用できる。すなわち、2成分をそれぞれ
別々に溶融して、溶融したポリマー流を保温されている
配管を通じて口金パックへと導入し、所定の繊維断面が
得られるよう設計された紡糸口金を通じて紡出する。こ
の際、中空スリットを有する紡糸口金を用いて紡出する
ことにより、鞘部と芯部との間に空隙を有する繊維とす
ることができる。紡出した繊維は、所定の速度で引き取
った後、一旦パッケージに巻き上げ、得られた未延伸糸
を通常の延伸機にて延伸する。或いは、引取った後、巻
取ることなく連続して延伸を行う方法を用いてもよい
し、4000m/分以上の高速で引取り、一挙に所望の繊維性
能をうる方法を採用してもよい。
【0021】得られた延伸糸はそのまま、あるいは仮撚
加工、撚糸加工などの糸加工を行った後、製織あるいは
編立てを行う。仮撚加工に関しては、上記方法によって
得られた延伸糸を用いて仮撚加工を行っても良いが、25
00〜3500m/分程度の紡糸速度で巻き取り、部分的に配向
が進んだ未延伸糸(POY)を得て、これを用いて仮撚延
伸加工を行うようにしてもよい。得られた布帛、編地
は、一般に精練、中間セット、アルカリ減量処理、染色
処理等が行われた後、最終の製品となる。
【0022】本発明の吸放湿性ポリエステル系複合繊維
を少なくともその一部に用いてなる繊維構造物は、仮撚
加工および/またはアルカリ減量といった糸加工を行っ
た後にも高い吸湿性能を維持しているため、着用快適性
に優れているうえ、風合いなど品位の優れたものとな
る。
【0023】
【実施例】A.ポリエステルの固有粘度(IV) 25℃のオルソクロロフェノール溶液を用いて常法により
測定した。
【0024】B.チップおよび布帛の吸湿特性の測定
(吸放湿性パラメータ(△MR)) 30℃×90%R.H.時の吸湿率(MR30)と20℃×65%R.H.時
の吸湿率(MR20)との差で与えられる吸放湿性パラメー
タ(△MR)を下記式により求めて、布帛の吸湿特性のパ
ラメータとした。MR30およびMR20は、布帛を約1g用意
し、その絶乾時の重量(Wd)と30℃×90%R.H.および20
℃×65%R.H.の雰囲気下、恒温恒湿機(ナガノ科学機械
製 LH-20-11M)中に24時間放置後の重量(それぞれW30,
W20とする)との重量変化から、それぞれ求めた。 吸放湿性パラメータ(△MR)= MR30−MR20 (%) MR30=((W30 - Wd)/ Wd)×100 (%) MR20=((W20 - Wd)/ Wd)×100 (%) この、吸放湿性パラメータ(△MR)は軽〜中作業(ある
いは軽〜中運動)を行った際の、衣服内温湿度(30℃×
90%R.H.)と外気温湿度(20℃×65%R.H.)における吸
湿度差に対応しており、吸放湿性パラメータ(△MR)の
値が大きいほど吸湿特性が優れており、着用時の快適性
が良好であることを意味する。
【0025】実施例1 三洋化成(株)製ポリエチレングリコール(PEG4000)1
00部、油化シェルエポキシ(株)製ビスフェノールAジ
グリシジルエーテル(エポキシ等量72g/eq)52部、およ
び反応触媒としてKOH5部を加え、130℃〜200℃の温度条
件で4時間反応を行った。反応終了後、抗酸化剤として
Irganox 1010(チバガイギー社製)を0.1部添加し、15
分間混合、撹拌した。得られた粘調な液状物を大過剰の
水中に徐々に投入し、フレーク状の沈殿物を濾集、蒸留
水で繰り返し洗浄した後乾燥し、チップ状に溶融成形し
た。得られたポリマーの融点は130℃、吸放湿性パラメ
ータ(△MR)は35%であり、3重量%のNaOH水溶液で98
℃×3時間のアルカリ減量処理を行ったところ重量減少
率は9%であった。
【0026】該ポリエーテルコポリマーを芯成分とし、
固有粘度(IV)が0.65のポリエチレンテレフタレート
を鞘成分として芯鞘比率20/80となるようにそれぞれ別
々のスクリュー押出機で溶融し、同心円状芯鞘複合口金
から紡出した。紡出した繊維は、3000m/分の紡糸速度で
巻き取り、140D−36fの部分配向未延伸糸(POY)とし
た。この部分配向未延伸糸を用いて熱板温度210℃、延
伸倍率1.8倍、撚数3000T/mで延伸仮撚加工を行って75D-
36fの仮撚加工糸とした。該仮撚加工糸のみを用いた編
地の吸放湿性パラメータ(△MR)を測定したところ5.0
%であった。また、この編地を3重量%のNaOH水溶液で9
8℃×3時間のアルカリ減量処理した後、分散染料3%owf
にて130℃で染色を行った。染色後の編地は染め斑など
の染色異常はなく、風合いもソフトであった。またこの
染色後の編地の吸放湿性パラメータ(△MR)を測定した
ところ5.2%であり、アルカリ減量処理による吸湿性の
低下は認められなかった。
【0027】比較例1 テレフタル酸ジメチル194部、エチレングリコール113
部、およびテトラブチルチタネート0.05部を加え、140
〜230℃でメタノールを流出しつつエステル交換反応を
行った後、リン酸トリメチル0.1部のエチレングリコー
ル溶液および三洋化成(株)製ポリエチレングリコール
(PEG4000)768部(70重量%)、抗酸化剤としてIrgano
x 1010(チバガイギー製)0.1部、消泡剤としてシリコ
ーン0.1部およびテトラブチルチタネート0.05部を加
え、1.0mmHgの減圧下250℃の条件下4時間重合を行い、
得られたポリエーテルエステルポリマーを吐出し、細断
してチップ状にした。このポリマーの融点は180℃、吸
放湿性パラメータ(△MR)は32%であった。3重量%のN
aOH水溶液で98℃×3時間の処理を行ったところ、全量が
溶解してしまいアルカリ溶液中に固形物は残っていなか
った。
【0028】該ポリエーテルエステルを芯成分として、
実施例1と同様に75D-36fの仮撚加工糸とした。編地の
吸放湿性パラメータ(△MR)は4.0%であったが、同一
の編地についてアルカリ減量及び染色を行った後、吸放
湿性パラメータ(△MR)を測定したところ0.5%となっ
ており、吸湿性能がなくなっていることが分かった。
【0029】実施例2 ダイセル化学工業(株)製セルロースジアセテート可塑
化物(P-CA00)を芯成分として用いる以外は、実施例1
と同様にして75D-36fの仮撚加工糸を作成した。このポ
リマーの融点は230℃、吸放湿性パラメータ(△MR)は
4.5%であり、3重量%のNaOH水溶液で98℃×3時間のア
ルカリ減量処理を行ったところ重量減少率は12%であっ
た。
【0030】該仮撚加工糸のみを用いて作成した編地の
吸放湿性パラメータ(△MR)を測定したところ2.0%で
あった。また、この編地について実施例1と同様にして
アルカリ減量処理および染色を行った。染色後の編地は
染め斑などの染色異常はなく、風合いもソフトであっ
た。またこの染色後の編地の吸放湿性パラメータ(△M
R)を再度測定したところ3.2%であり吸湿性が維持され
ていた。
【0031】実施例3 ポリεカプラミドポリマー(ナイロン6)にポリビニル
ピロリドンを10重量%ブレンドしたポリマーを芯成分と
して用いる以外は、実施例1と同様にして75D-36fの仮
撚加工糸を作成した。このポリマーの融点は220℃、吸
放湿性パラメータ(△MR)は17%であり、3重量%のNaO
H水溶液で98℃×3時間のアルカリ減量処理を行ったとこ
ろ重量減少率は2.0%であった。
【0032】該仮撚加工糸のみを用いて作成した編地の
吸放湿性パラメータ(△MR)を測定したところ3.5%で
あった。また、この編地について実施例1と同様にして
アルカリ減量処理および染色を行った。染色後の編地に
は染色異常は認められず風合いも良好であった。染色後
の編地の吸放湿性パラメータ(△MR)を再度測定したと
ころ3.7%であり吸湿性が維持されていた。
【0033】比較例2 芯成分として融点が60℃である住友精化(株)社製アク
アコークTM(ウレタン変性ポリエーテル;△MR=35%)
を用いるほかは実施例1と同様に140D−36fのPOYを作
製したが、製糸性不良のため単糸流れが続発し、安定な
製糸は困難であった。また、実施例1と同様の仮撚加工
を行って、仮撚加工糸を得たが、毛羽が多発したために
これを用いた編地の品位はきわめて低い物であった。こ
の編地の吸放湿性パラメータ(△MR)は4.2%であっ
た。
【0034】また、実施例1と同様にしてアルカリ減量
処理を行った後、染色を行ったが、溶脱した吸湿ポリマ
ーの付着により染め斑が発生しており、風合いも粗硬な
ものとなっていた。吸放湿性パラメータ(△MR)も1.8
%と低下していた。
【0035】比較例3 ポリεカプラミドポリマー(ナイロン6)を芯成分とし
て用いる以外は、実施例1と同様にして75D-36fの仮撚
加工糸を作成した。このポリマーの融点は220℃、吸放
湿性パラメータ(△MR)は2.0%であり、3重量%のNaOH
水溶液で98℃×3時間のアルカリ減量処理を行ったとこ
ろ重量減少率は1.8%であった該仮撚加工糸のみを用い
て作成した編地の吸放湿性パラメータ(△MR)を測定し
たところ0.4%であり、吸放湿性に乏しいものであっ
た。実施例1と同様にしてアルカリ減量処理および染色
を行ったところ、編地には染色異常は認められず風合い
も良好であったが、染色後の編地の吸放湿性パラメータ
(△MR)は0.5%であり、やはり吸放湿性が不十分であ
った。
【0036】実施例4 芯鞘中空口金を用いて鞘比率80%、芯比率15%、中空部
5%(横断面積比率)となるように紡出する以外は、実
施例1と同様にして75D-36fの仮撚加工糸を作成し
た。
【0037】該加工糸のみを用いて作成した編地の吸放
湿性パラメーター(△MR)は5.3%と、芯の吸湿性ポリ
マーの配合量が実施例1における配合量に比較して少な
いにも関わらず、実施例1の場合とほぼ同程度の△MRを
示していた。また、この編地について実施例1と同様に
してアルカリ減量処理および染色を行い、△MRを測定し
たところ5.0%であり、高い吸湿性が維持されているこ
とが分かった。
【0038】実施例5 ポリεカプラミドポリマーにポリビニルピロリドンを10
重量%ブレンドしたポリマーを芯成分として用いる以外
は、実施例1と同様にして75D-36fの仮撚加工糸を作成
した。このポリマーの融点は220℃、吸放湿性パラメー
タ(△MR)は17%であり、3重量%のNaOH水溶液で98℃
×3時間のアルカリ減量処理を行ったところ重量減少率
は2.0%であった。
【0039】該仮撚加工糸を緯糸とし、経糸として75D-
24fのレギュラーポリエチレンテレフタレート繊維を用
いて、平織物を製織した。この布帛における緯糸の比率
は55重量%であり、この布帛の吸放湿性パラメータ(△
MR)を測定したところ2.0%であった。また、この編地
について実施例1と同様にしてアルカリ減量処理および
染色を行った。染色後の編地には染色異常は認められず
風合いも良好であった。染色後の編地の吸放湿性パラメ
ータ(△MR)を再度測定したところ2.0%であり吸湿性
が維持されていた。
【0040】
【表1】
【表2】
【0041】
【発明の効果】本発明の吸放湿性を有するポリエステル
系複合繊維は、着用快適性を得るのに十分な吸湿性を有
している。また、仮撚加工およびアルカリ減量処理とい
った布帛の風合い出しに欠かせない糸加工を行った場合
にも、吸湿性を保持することができる。そのため、イン
ナー、下着、裏地等の中衣用や、シャツ・ブラウス、ス
ポーツウェア、スラックス等の外衣用、さらにはシー
ツ、布団カバー等の寝装用など、きわめて広い分野に用
いることが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L041 AA14 AA20 BA02 BA05 BA21 BA41 BC02 CA06 CA27 CA35 CA57 CB16 DD01 DD11

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鞘部を繊維形成性を有するポリエステル
    (A)とし、芯部を吸放湿性パラメータ(△MR)の値が
    4.0%以上であり、融点が80℃以上であって、ポリエチ
    レンテレフタレートよりもアルカリ減量速度が遅い吸湿
    ポリマー(B)とした、吸放湿性ポリエステル系複合繊
    維。
  2. 【請求項2】吸湿ポリマー(B)が3重量%のNaOH水溶
    液により98℃で3時間アルカリ減量処理した際の重量減
    少率が30%以下であることを特徴とする請求項1記載の
    吸放湿性ポリエステル系複合繊維。
  3. 【請求項3】吸湿ポリマー(B)が、分子量200〜20000
    のポリアルキレングリコールを少なくとも1共重合成分
    として有する共重合ポリエーテルであり、該共重合ポリ
    エーテルは実質的にエーテル結合のみからなることを特
    徴とする、請求項1〜2いずれか1項記載の吸放湿性ポ
    リエステル系複合繊維。
  4. 【請求項4】吸湿ポリマー(B)が熱可塑性セルロース
    誘導体であることを特徴とする、請求項1〜2いずれか
    1項記載の吸放湿性ポリエステル系複合繊維。
  5. 【請求項5】吸湿ポリマー(B)がポリビニルピロリド
    ンを4.0重量%以上含有させたポリεカプラミドである
    ことを特徴とする、請求項1〜2いずれか1項記載の吸
    放湿性ポリエステル系複合繊維。
  6. 【請求項6】繊維横断面積に対して1〜30%の空隙部
    (C)を有し、該空隙部(C)は鞘部と芯部の双方に隣
    接して存在していることを特徴とする請求項1〜5いず
    れか1項記載の吸放湿性ポリエステル系複合繊維。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれか1項記載の吸放湿
    性ポリエステル系複合繊維を、少なくとも20重量%以上
    含有し、かつ吸放湿パラメータ(△MR)が2.0%以上で
    あることを特徴とする繊維構造物。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6963522B2 (en) 2001-05-31 2005-11-08 Nec Corporation Optical head apparatus and optical information recording and reproducing apparatus
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JP2013185279A (ja) * 2012-03-08 2013-09-19 Toray Ind Inc 吸放湿性ポリエステル繊維およびその製造方法
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CN111534889A (zh) * 2020-06-24 2020-08-14 江苏微笑新材料科技有限公司 一种抗静电、吸湿可染皮芯型复合纤维及其制备方法

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