JP2000073234A - 吸放湿性ポリエステル複合繊維 - Google Patents

吸放湿性ポリエステル複合繊維

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JP2000073234A
JP2000073234A JP23404798A JP23404798A JP2000073234A JP 2000073234 A JP2000073234 A JP 2000073234A JP 23404798 A JP23404798 A JP 23404798A JP 23404798 A JP23404798 A JP 23404798A JP 2000073234 A JP2000073234 A JP 2000073234A
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moisture absorption
fiber
moisture
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weight
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JP23404798A
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Kenji Yamashita
賢司 山下
Atsuko Ueda
敦子 植田
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Nippon Ester Co Ltd
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Nippon Ester Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルカリ減量処理による鞘割れの問題がな
く、処理後の複合繊維は高温多湿時に優れた吸放湿性を
有しており、耐光性にも優れているポリエステル複合繊
維を提供する。 【解決手段】 芯部3が吸放湿性を有する熱可塑性樹
脂、中間部2がポリエステル樹脂、鞘部1がアルカリ易
溶性樹脂からなり、芯部に接する中空部4を有する複合
繊維であって、複合繊維の芯部/中間部の重量比率が3
0/70〜90/10、中空部の繊維断面積に占める割
合(中空率)が5%以上であり、かつ、アルカリ減量処
理して鞘部を溶解した後の複合繊維の吸湿率が以下の
(1)〜(4)を満足する。(1)20℃、65%RH
に24時間放置後の吸湿率R1が1.4%以下(2)3
4℃、90%RHに2時間放置後の吸湿率R2が2.5
%以上(3)34℃、90%RHに24時間放置後の吸
湿率R3が4.5%以上(4)(3)での吸湿後、20
℃、65%RHに2時間放置後の吸湿率R4が2.5%
以下

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インナー、スポー
ツ衣料、ブラウスなどの衣料用素材に特に好適に使用す
ることができる、吸放湿性に優れたポリエステル複合繊
維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートで代表され
るポリエステルは、その優れた機械的特性及び化学的特
性を有し、広範な分野において使用され、特に合成繊維
として極めて広い用途を有している。しかしながら、こ
のようなポリエステルからなる繊維は、疎水性であるた
め、天然繊維と比較して吸湿性が著しく劣り、吸湿性が
要求される分野での利用が大きく制限されている。
【0003】このため、例えば特公昭60−475号公
報、実公昭60−40612号公報、特開昭60−21
5835号公報に記載されているように、平衡水分率
(吸水率)の高い繊維と各種の混繊、混撚、引き揃えな
どを行うことにより、布帛として快適性を得ようとする
試みが提案されている。このように後加工により吸水性
を付与した繊維は、快適性は向上するもののその効果は
十分といえず、逆に染色時にポリエステルを染色する分
散染料による汚染を生じたり、染色性が劣ったり、ポリ
エステル本来の物理的特性が失われるという問題点があ
った。
【0004】このように後加工で吸放湿性を付与する方
法では種々の問題が生じることから、繊維そのものの構
造や組成を変更することにより吸湿性を付与した繊維が
提案されている。例えば特開平4−108113号公報
には、20℃、65%RHで24時間放置後の吸湿率が
3%以上のポリアミド系の吸湿性樹脂を芯部とし、かつ
複合繊維内部に中空部分を有している芯鞘型複合繊維が
提案されている。
【0005】しかしながら、この繊維は、中空部を有し
てはいるものの、鞘部にポリエステル系の樹脂を用いた
場合は、芯部のポリアミド系の吸湿性樹脂は吸湿性が高
く、ポリマーの膨潤による体積膨張を緩和することがで
きず、鞘部にひび割れが生じ、芯部の一部が溶出してし
まい、吸湿性能が低下するという問題がある。
【0006】また、この繊維を衣料用の素材として使用
すると、吸湿性樹脂の放縮性が高いため、紡糸後の経時
と共に糸条の収縮が発生する。そのため、布帛とした際
の寸法安定性が悪く、取り扱い性が悪いという問題やポ
リアミド系樹脂は耐光性が悪く、経時により変色してし
まうという欠点があった。さらに、近年では吸湿性に加
えて放湿性をも有する繊維が求められているが、十分に
満足できるこれらの両性能を併せ持つ繊維は未だに提案
されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題点を解決し、高温多湿時に優れた吸湿性を有する
繊維であって、耐光性にも優れており、かつ放湿性をも
兼ね備えたポリエステル複合繊維を提供することを技術
的な課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく検討した結果、本発明に到達した。すな
わち、本発明は、芯部が吸放湿性を有する熱可塑性樹
脂、中間部がポリエステル樹脂、鞘部がアルカリ易溶性
樹脂からなり、芯部に接する中空部を有する複合繊維で
あって、複合繊維の芯部/中間部の重量比率が30/7
0〜90/10、中空部の繊維断面積に占める割合(中
空率)が5%以上であり、かつ、アルカリ減量処理して
鞘部を溶解した後の複合繊維の吸湿率が以下の(1)〜
(4)を満足することを特徴とする吸放湿性ポリエステ
ル複合繊維を要旨とするものである。 (1)20℃、65%RHに24時間放置後の吸湿率R
1が1.4%以下 (2)34℃、90%RHに2時間放置後の吸湿率R2
が2.5%以上 (3)34℃、90%RHに24時間放置後の吸湿率R
3が4.5%以上 (4)(3)での吸湿後、20℃、65%RHに2時間
放置後の吸湿率R4が2.5%以下
【0009】なお、本発明における吸湿率R1〜R4は
次のようにして測定するものである。20℃で65%相
対湿度(RH)及び34℃で90%RHに設定した恒温
恒湿槽を用い、本発明の複合繊維を製編織した後に減量
処理を施した布帛について、絶乾時の重量と(1)〜
(4)に記載した条件で放置して吸湿した後の重量を測
定し、次式で算出する。 吸湿率(%)=〔(吸湿後の重量−絶乾時の重量)/絶
乾時の重量〕×100
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の複合繊維は、芯部が吸放湿性を有する熱
可塑性樹脂、中間部がポリエステル樹脂、鞘部がアルカ
リ易溶性樹脂からなり、中空部を有する複合繊維であ
る。まず、芯部を構成する吸放湿性を有する熱可塑性樹
脂としては、ポリエステル樹脂が好ましく、中でも、風
合い、コスト等を考慮するとポリエチレンテレフタレー
ト(PET)、ポリブチレンテレフタレート、またはエ
チレンテレフタレートを主たる繰り返し成分とするもの
(具体的には繰り返し単位の90モル%以上のもの)、
ブチレンテレフタレートを主たる繰り返し成分とするも
の(具体的には繰り返し単位の90モル%以上のもの)
等のポリエステルをベースとするものが好ましい。
【0011】ベースとなるポリマーに含有させる吸放湿
性成分としては、平均分子量1800〜20000 のポリアルキ
レングリコールが好ましい。本発明でいうポリアルキレ
ングリコールには、末端をエーテル化あるいはエステル
化したポリアルキレングリコール変成物も含まれ、この
ような変成物としては、住友精化社製『アクアコーク』
などが挙げられる。ポリアルキレングリコールは7〜50
重量%、さらには15〜30重量%含有させることが好まし
い。
【0012】ポリアルキレングリコールの分子量が18
00未満であると、十分な吸放湿性が発現せず、逆に2
0000を超えると紡糸時の操業性が著しく低下するた
め好ましくない。また、ポリアルキレングリコールの含
有量が少なすぎると、十分な吸放湿性が発現せず、逆に
多すぎると操業性が著しく低下するため好ましくない。
【0013】さらに、芯部のポリエステル樹脂には、5
−ナトリウムスルホイソフタル酸のようなスルホン酸塩
基を有する化合物を共重合すると吸放湿性の一層良好な
ものとすることができる。この場合、この共重合成分の
量は、全酸成分の10モル%以下とすることが好ましく、
共重合成分の量があまり多いと、製糸性が低下するた
め、好ましくない。
【0014】次に、複合繊維の中間部はポリエステル樹
脂であり、ポリアルキレンテレフタレート、具体的に
は、PET、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。
これらのポリエステルは、アルカリ溶解性があまり大き
くならない範囲で、少量の共重合成分を含有していても
よく、共重合成分としては、5−ナトリウムスルホイソ
フタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジ
カルボン酸等の芳香族ジカルボン酸成分、アジピン酸、
セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸成分、ジエチレング
リコール、プロピレングリコール、1, 4−シクロヘキ
サンジメタノール、ビスフェノールAやビスフェノール
Sのアルキレンオキシド付加物等のジオール成分、4−
ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン等のヒドロキ
シカルボン酸成分などが挙げられる。
【0015】複合繊維の鞘部は、アルカリ易溶性樹脂か
らなり、アルカリ減量処理を施すことによって溶出する
ものである。すなわち、本発明の3層構造の複合繊維
は、アルカリ減量処理を施すことによって、芯部と中間
部からなる2層構造の繊維となる。ポリエステル繊維を
衣料用途に用いる場合、布帛の風合いを向上させること
を目的としてアルカリ減量処理を20重量%程度行うこ
とが一般的であるが、本発明においては鞘部のアルカリ
易溶性樹脂を全て溶解することにより、触感が良好な布
帛を得ることが可能である。さらには、鞘部を有するこ
とによって、アルカリ減量処理時にアルカリが芯部に入
ったり、中間部に割れを生じることがない。
【0016】そして、鞘部のアルカリ易溶性樹脂は、中
間部を構成するポリエステル樹脂よりもアルカリ溶解速
度が5〜50倍、さらには10〜30倍速いものが好ま
しく、かつ芯部を構成する樹脂と比較するとアルカリ減
量速度が同等かより速いものであることが好ましい。つ
まり、アルカリ減量時には芯部の膨潤する速度以上に鞘
部を構成する樹脂が溶解することが好ましい。
【0017】このような樹脂としては、例えばPETに
5−ナトリウムスルホイソフタル酸やポリエチレングリ
コールを添加した公知のアルカリ易溶性ポリエステルが
挙げられる。
【0018】そして、芯部と中間部との割合は、重量比
率で30/70〜90/10の範囲にすることが必要で
ある。芯部の比率が小さいほど吸湿性が低くなるので、
これよりも比率が小さくなると、目標とする吸湿性が得
られなくなる。一方、中間部の比率がこれよりも小さい
とアルカリ減量処理時に芯部と中間部の体積膨張率の差
により中間部の歪みが大きく、アルカリ減量後の繊維表
面にひびや割れが生じる。
【0019】複合繊維における鞘部の重量比率はアルカ
リ減量時に全てが溶出されるように、繊維全体の重量比
率の10〜30重量%、さらには15〜25重量%とす
ることが好ましい。
【0020】鞘部の比率が10重量%未満であると、減
量処理中に中間部以上に芯部の体積膨張が大きくなるた
め、中間部が割れて芯部が溶出することがある。一方、
鞘部の比率が30重量%を超えると、減量処理後におい
ても鞘部が残存するため、その後の染色工程で染色性の
異なる鞘部ポリマーの影響により染色異常を引き起こ
す。
【0021】さらに、複合繊維は中空部を有しており、
芯部が中空部と接している。芯部に接して中空部が存在
することで、アルカリ減量処理の際に芯部樹脂が体積膨
張しても中空部により吸収され、中間部との膨張差が生
じても歪みがかからず、繊維表面にひびや割れを生じる
ことがなくなる。中空部は、芯部と接していれば数に限
りはなく、1個以上であればよい。中空部の形状は、体
積膨張が吸収できればよく、形状は円形に限定するもの
ではなく、扁平型、多角形型、雲型等でもよい。
【0022】中空部の繊維断面積に占める割合(中空
率)は5%以上である。中空率は、芯部の重量比率によ
る芯部の体積膨張率以上に設定する必要があり、アルカ
リ減量前における繊維断面積の5%以上としないと効果
が現れない。
【0023】さらに、本発明の複合繊維は、酸化セリウ
ムとタルクあるいは酸化セリウムとシリカとからなり、
かつ表面が不定形シリカで被覆された粒子を含有してい
ることが好ましい。このような粒子は耐光剤粒子であ
り、繊維の耐光性を向上させることができる。含有させ
る際には、芯部、中間部、鞘部のどのポリマーに含まれ
ていてもよいが、芯部と中間部に含有させることが好ま
しい。そして、芯部、中間部、鞘部に含有された量の合
計が繊維全体に対して0.05〜3重量%とすることが好ま
しい。
【0024】耐光剤粒子の含有量が0.05重量%未満であ
ると、優れた耐光性が得られず、3重量%を超えると、
粒子が凝集しやすくなって紡糸操業性を悪化させるばか
りでなく、繊維の色調を悪化させることがある。このよ
うな耐光剤粒子としては、平均粒子径が0.1 〜3.0 μm
のものが好ましく、日本無機化学工業社製の『セリガー
ド』等が挙げられる。
【0025】本発明の複合繊維は、アルカリ減量処理を
施し、鞘部ポリマーを溶解した後の複合繊維において、
気温20℃、相対湿度(RH)65%における24時間
放置後の吸湿率R1が1.4%以下であり、気温34
℃、90%RHにおける2時間後の吸湿率R2が2.5
%以上、24時間後の吸湿率R3が4.5%以上、さら
に、その後20℃、65%RHに2時間放置後の吸湿率
R4が2.5%以下であることが必要である。
【0026】まず、気温20℃、65%RHのような日
常の標準状況下では、24時間放置後の吸湿率R1が
1.4%以下と低いことにより、布帛にして着用した際
にべとつきがなく、清涼感がよくなり、快適性が良好な
衣料として使用できる。また布帛の寸法安定性がよく、
取り扱いが容易となる。
【0027】気温34℃、90%RHのような軽または
中運動時の衣服内に相当する温湿度状況下では、速やか
に吸湿が行われることが重要である。そのため、2時間
放置後の吸湿率R2が2.5%以上であることが必要
で、このことにより、発汗時の衣料内部に蓄積する飽和
水蒸気を即座に吸湿し、不快感を抑制することが可能と
なる。
【0028】また、気温34℃、90%RHでの24時
間放置後の吸湿率R3が4.5%以上と高いことによ
り、絶対吸湿量が高く、吸湿性の高い繊維となる。気温
34℃、90%RHでの24時間放置して吸湿させた後
に気温20℃、65%RHの標準状態とし、この状態で
2時間経過時の吸湿率R4が2.5%と以下であること
によって、速やかに水分を放出することができ、快適性
が要求される衣料用途に好適なものとなる。
【0029】本発明の複合繊維の断面形状は、アルカリ
減量処理によって中間部にひびや割れが生じなければ偏
心型でもよいが、同心型が好ましい。また、繊維の断面
形状は、円形のほか、多角形、扁平型などの異形断面で
もよい。さらに、芯部は中空部と接していれば、2個以
上に分割されていてもよく、いわゆる多芯型のものでも
よい。
【0030】図1〜3は、本発明の複合繊維〔各図の
(イ)〕とこれをアルカリ減量処理して得られた複合繊
維〔各図の(ロ)〕の横断面形状を模式的に示す断面図
である。図1は同心型、図2は異形断面型、図3は多芯
型の複合繊維である。図において、1はアルカリ易溶性
樹脂(鞘部)、2はポリエステル樹脂(中間部)、3は
吸湿性を有する熱可塑性樹脂(芯部)、4は中空部を示
す。
【0031】本発明の複合繊維は、前記した3種類の樹
脂を用い、通常使用される複合紡糸装置により、常法に
より溶融紡糸し、延伸、熱処理を行って得ることができ
る。得られた3層構造の複合繊維をアルカリ減量処理し
て鞘部を溶出除去すると、吸放湿性の優れた2層構造の
複合中空繊維となる。アルカリ減量処理は、繊維の状態
で行うこともできるが、仮撚加工や撚糸加工を施した
後、これを全部または一部に用いて製編織して布帛とし
た後に行うと、風合いの良好な布帛が得られて好まし
い。アルカリ減量処理は、ポリエステル繊維のアルカリ
減量加工の常法に従って、水酸化ナトリウム水溶液を使
用し、鞘部の全てが溶出するように行えばよい。
【0032】
【作用】本発明の複合繊維は、アルカリ減量速度が速い
ポリマーが鞘部となった3層構造のものであり、繊維内
部に中空部を有しているため、アルカリ減量処理を施す
と、中間部の減量及び芯部の膨張を極力抑えることがで
き、繊維の外層にひび割れの発生のない2層構造の複合
繊維となり、アルカリ減量処理によって布帛の風合いを
向上させることができる。そして、アルカリ減量処理後
の2層構造の複合繊維は、芯部の溶出のない良好な吸放
湿性を有する繊維となり、日常の標準状況下では繊維の
吸湿性が低いことで、着用した際に清涼感があり、軽ま
たは中運動時の衣服内に相当する温湿度状況下では、吸
放湿性能が高く、かつ絶対吸湿量が高いため、長時間着
用しても快適性の高い布帛が得られる。さらに、樹脂中
に耐光剤粒子を含有すれば、耐光性にも優れた吸放湿性
ポリエステル繊維とすることができる。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例における特性値の測定は次のとおりに
行った。 (a) 中空率 繊維表面の顕微鏡写真から、次式により求めた。 中空率(%)=〔中空部の断面積/繊維断面積〕×100 (b) 吸放湿性 前記の方法にしたがって測定した。 (c) 繊維の断面形状 得られた繊維を筒編し、減量処理を施したものを分解し
て一本の複合繊維を取り出し、繊維断面を薄片状にサン
プリングして顕微鏡により、単糸ごとに割れの有無を観
察し、割れのある単糸の本数の割合により、次の基準で
評価した。 ○:0%、△:20%未満、×:20%以上 (d) 快適性 得られた複合繊維を筒編し、アルカリ減量処理を施した
編物からなる衣料を10人のパネラーに着用してもら
い、軽い運動を30分した後、1時間着用後の着用感に
おける快適性を10点満点で評価してもらい、その合計
点とした。 (e) 耐光性 JIS L-0841-74 に準じて染色耐光堅牢度を測定した。 (f) アルカリ溶解性 ポリマー5g を20重量%水酸化ナトリウム水溶液で7
0℃で2時間処理した際の重量変化より求めた減量率を
指標とした。
【0034】参考例1 テレフタル酸とエチレングリコールを連続的に供給し、
常圧下、250 ℃の温度でエステル化反応を行い、エステ
ル化生成物を連続的に得た。このエステル化生成物に平
均分子量が8500のポリエチレングリコールを添加し、撹
拌混合後、耐光剤として、酸化セリウムとタルクあるい
は酸化セリウムとシリカとからなり、かつ表面が不定形
シリカで被覆された粒子(『セリガードT-3018 』)
を、重合触媒として三酸化アンチモンを、次いで、全酸
成分に対して0.5 モル%の5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸のエチレングリコールエステル(SIP)を加
え、減圧下重合反応器中で重合反応を行うことにより、
ポリエステル(ポリマーAとする)を得た。
【0035】参考例2〜8 ポリエチレングリコールの分子量と添加量及びSIPの
添加量及び『セリガードT-3018』の添加量を表1に示す
値に変更した以外は、参考例1と同様にしてポリエステ
ル(ポリマーB〜Jとする)を得た。
【0036】
【表1】
【0037】実施例1 芯部に参考例1で得られたポリマーA、中間部に参考例
6で得られたポリマーH、鞘部に参考例2で得られたポ
リマーBを用い、芯部と中間部の重量比が70/30、
鞘部の重量比率が繊維全体の23重量%となるように、
中空3層複合口金装置を用いて、300 ℃で紡糸を行い、
3200m/分の速度で捲き取った。この糸条を通常の延伸
機に供給し、85℃で予熱した後、1.6 倍に延伸し、温度
160 ℃の接触型ヒートプレートで熱処理し、75d/36f
の3層構造の複合繊維を得た。この複合繊維の中空率
は、7.4%であった。さらに、この複合繊維を筒編
し、編地を常法に従い精練した後、95℃、1.0 重量%の
水酸化ナトリウム水溶液で鞘部を完全に溶出するまで)
アルカリ減量処理を行った。この筒編地の吸湿率R1〜
R4(吸放湿性)、繊維の断面形状、編地の快適性、耐
光性の評価結果を表3に示す。
【0038】実施例2〜7、比較例1〜6 ポリマーの種類、複合比率、中空率を表2に記載したよ
うに変更した複合繊維とした以外は、実施例1と同様に
実施した。アルカリ減量処理後の複合繊維の吸放湿性、
繊維の断面形状、編地の快適性、耐光性の評価結果を表
3に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】表より明らかなように、実施例1〜7の複
合繊維は、アルカリ減量処理によって鞘部を溶出した後
の繊維の断面形状が良好で、筒編地の吸放湿特性に優
れ、さらに、快適性、耐光性の評価も高かった。一方、
比較例1の複合繊維は、中空率が低すぎたため、減量処
理によって外層部にひび割れが生じた単糸が多く、芯部
が溶出している単糸もあり、吸湿性能の低いものであっ
た。比較例2、4は、中間部のない2層型の複合繊維で
あったため、比較例3の複合繊維は、中間部の比率が少
なすぎたため、減量処理によって外層部にひび割れが生
じた単糸が多く、芯部が溶出し、吸湿性能の低いもので
あった。比較例5は、芯部に配したポリマーがポリエチ
レングリコールを含有していなかったため、吸湿性能を
有していない繊維であった。
【0042】
【発明の効果】本発明の複合繊維は、鞘部のアルカリ減
量速度が速く、また繊維内部に中空部を有しているた
め、アルカリ減量処理を施しても、中間部の減量及び芯
部の膨張を極力抑えることができ、外層部のひび割れの
発生がほとんどない2層構造の複合繊維が得られる。そ
して、この2層構造の複合繊維からなる布帛は、風合い
が良好で、かつ、日常の標準状況下では繊維の吸湿性が
低く、着用した際に清涼感があり、軽または中運動時の
衣服内に相当する高温湿度状況下では、吸放湿性能が高
く、絶対吸湿量が高いため、長時間着用しても快適性の
高いものとなる。また、樹脂中に耐光剤粒子を含有させ
ることによって、耐光性にも優れた吸放湿性ポリエステ
ル繊維とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(イ)は同心型の本発明の複合繊維、(ロ)は
(イ)をアルカリ減量処理して得られた複合繊維の横断
面形状を示す断面図である。
【図2】(イ)は異形断面型の本発明の複合繊維、
(ロ)は(イ)をアルカリ減量処理して得られた複合繊
維の横断面形状を示す断面図である。
【図3】(イ)は多芯型の本発明の複合繊維、(ロ)は
(イ)をアルカリ減量処理して得られた複合繊維の横断
面形状を示す断面図である。
【符号の説明】
1 アルカリ易溶性樹脂(鞘部) 2 ポリエステル樹脂(中間部) 3 吸放湿性樹脂(芯部) 4 中空部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L031 AA18 AB06 AB10 BA09 BA11 BA20 BA24 CA01 CA08 DA00 DA08 DA18 4L035 AA08 BB33 BB77 BB83 BB89 BB91 DD03 EE05 FF10 GG03 JJ05 KK10 4L041 AA08 BA03 BA06 BA21 BA41 BC02 BD20 CA12 CB05 DD01 DD15 DD23 4L045 BA18 BA24 BA50 BA55 BA60 CA25 DA12 DA42 DC03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯部が吸放湿性を有する熱可塑性樹脂、
    中間部がポリエステル樹脂、鞘部がアルカリ易溶性樹脂
    からなり、芯部に接する中空部を有する複合繊維であっ
    て、複合繊維の芯部/中間部の重量比率が30/70〜
    90/10、中空部の繊維断面積に占める割合(中空
    率)が5%以上であり、かつ、アルカリ減量処理して鞘
    部を溶解した後の複合繊維の吸湿率が以下の(1)〜
    (4)を満足することを特徴とする吸放湿性ポリエステ
    ル複合繊維。 (1)20℃、65%RHに24時間放置後の吸湿率R
    1が1.4%以下 (2)34℃、90%RHに2時間放置後の吸湿率R2
    が2.5%以上 (3)34℃、90%RHに24時間放置後の吸湿率R
    3が4.5%以上 (4)(3)での吸湿後、20℃、65%RHに2時間
    放置後の吸湿率R4が2.5%以下
  2. 【請求項2】 芯部を構成する熱可塑性樹脂が平均分子
    量1800〜20000のポリアルキレングリコールを
    7〜50重量%含有するポリアルキレンテレフタレート
    である請求項1記載の吸放湿性ポリエステル複合繊維。
  3. 【請求項3】 鞘部の重量比率が10〜30重量%であ
    る請求項1又は2記載の吸放湿性ポリエステル複合繊
    維。
  4. 【請求項4】 酸化セリウムとタルクあるいは酸化セリ
    ウムとシリカとからなり、かつ表面が不定形シリカで被
    覆された粒子を繊維全体に対して0.05〜3重量%含有す
    る請求項1、2又は3記載の吸放湿性ポリエステル複合
    繊維。
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