JP2000007373A - 排気管用ガラス及び排気管 - Google Patents
排気管用ガラス及び排気管Info
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Abstract
く、しかもより薄型のPDPやFEDを効率よく、また
歩留まり良く作製することが可能な排気管用ガラス及び
排気管を提供する。 【解決手段】 30〜380℃における線熱膨張係数が
75〜90×10-7/℃、軟化点が670℃以下、かつ
作業温度が970℃以下であるガラスを用いて排気管を
作製する。
Description
これにより作製された排気管に関し、特にプラズマディ
スプレイパネル(PDP)や電界放射ディスプレイ(F
ED)等の放電を利用したフラットパネルディスプレイ
(FPD)の製造時に、パネル内部の真空排気やガス置
換を行うための排気管用ガラスと、排気管に関するもの
である。
して、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP、FEDな
どのFPDの開発が急速に進められている。このうちP
DPとFEDは、内部の電極間に電界を加えたときの放
電を利用した表示装置である。
希ガス中で放電するによって、希ガスから紫外線を発生
させて所定の蛍光体を励起し、可視光に変換して文字や
絵を表示するというものである。従って、PDPの製造
の最終段階(前面パネルと背面パネルのシール後)にお
いて、パネル内部に所定の成分と圧力に制御された希ガ
スを密封する工程が必須となる。この工程は、予めPD
Pの背面パネルの非表示部分にφ数mmの孔を開けてお
き、この孔にφ3〜10mm、長さ50〜150mm程
度の管ガラス、いわゆる排気管をフリットを介して40
0〜500℃程度でシールする。次いで、パネル全体を
数百度に加熱しながらこの排気管を通じてパネル内部を
一旦高真空に排気し、続いて必要な成分に調整された希
ガスを必要な圧力分だけ排気管を通して注入する。その
後、排気管ガラスを加熱軟化させて封止し、熔断するこ
とによって希ガスを密封するというものである。
おり、この高真空中で電界を加えて発生させた電子線で
蛍光体を励起し、可視光線を発光させる方式の表示装置
である。FEDにおいても、製造の最終工程で排気管を
通じて高真空に排気した後、密封し熔断するという工程
が存在する。
EDの排気管として現在使われているガラスには、従来
から蛍光ランプのステム、排気管として広く使われてい
る鉛系ガラス(鉛含有率がPbO換算で15〜30%)
が転用されている。また極く少量ではあるが、ソーダ系
ガラスが使われている例もある。
環境上問題視されており好ましくない。さらに、この鉛
系ガラスの熱膨張係数は約94×10-7/℃であり、P
DPやFEDのパネルガラスとして多く使われているソ
ーダライム系の板ガラス(熱膨張係数:80〜90×1
0-7/℃)や、専用に開発された高歪点ガラス(熱膨張
係数:80〜85×10-7/℃)との膨張差が大きい。
このため、封止時の熱衝撃により、シール部分でパネル
ガラスやフリット、または排気管ガラスにクラックが生
じて不良となることがある。PDPやFEDの真空排気
工程やガス置換工程はパネル製造の最終工程となるの
で、ここでの歩留りの低下はトータルコストを大きく上
げてしまう。また、封止時にクラックの発生がなくと
も、パネルガラスと排気管ガラスの膨張差に起因する応
力が過度に残留するため、非常に不安定な状態となり、
使用する間にクラックが発生して機能を失う等、信頼性
に大きな問題を抱えている。
せず、また熱膨張係数が約84×10-7/℃であるため
に上記したような問題は生じない。しかし、ソーダ系ガ
ラスの欠点は、ガラスの粘度が鉛系ガラスのそれよりも
遥かに高いことにある。つまり、ソーダ系ガラスからな
る排気管を用いると、ガラスの粘度が高いために、封止
時の加熱温度をかなり高温にする必要がある。それゆえ
エネルギー消費量が増え、しかも封止に時間がかかるた
めに効率が悪く、大量生産に適さない。またPDPやF
EDの薄型化のためには、できる限りパネルの根元に近
いところで排気管を封止して熔断することが必要である
が、封止温度が高くなると封止部分近傍のフリットやパ
ネル本体に過度の温度上昇を招き易くなり、PDPやF
EDの性能に悪影響を与えてしまう。またフリットが再
溶融して隙間が生じ、気密性が保てなくなる(リークす
る)こともある。それゆえ排気管を根元付近で熔断する
ことが困難であり、PDPやFEDの更なる薄型化の障
害となるおそれがある。
なく、信頼性が高く、しかもより薄型のPDPやFED
を効率よく、また歩留まり良く作製することが可能な排
気管用ガラス及び排気管を提供することである。
は、30〜380℃における線熱膨張係数が75〜90
×10-7/℃、軟化点が670℃以下、かつ作業温度が
970℃以下であることを特徴とする。
おける線熱膨張係数が75〜90×10-7/℃、軟化点
が670℃以下、かつ作業温度が970℃以下であるガ
ラスからなることを特徴とする。
係数、軟化点及び作業温度を上記のように限定した理由
を以下に述べる。
DPやFEDのパネルガラスとの膨張差が大きくなり、
封止、熔断時にパネルガラスやフリット、または排気管
ガラスにクラックが生じて不良となり易い。また長期の
使用中にクラックが発生して機能を失う等、信頼性が低
下する。なお線熱膨張係数の好適な範囲は80〜87×
10-7/℃である。
理由による。つまり排気管の封止、熔断は、ガラスの軟
化点と作業温度に挟まれた温度域、いわゆる作業温度域
で行われる。ところが軟化点が670℃を超えたり、作
業温度が970℃を超えるガラスでは、排気管の封止、
熔断のための温度を高くする必要があり、加熱に長時間
を要し効率が悪い。さらにパネル本体に過度の温度上昇
を招き、表示のセルを劣化させる。またフリットが再溶
融して排気管がずれたり、最悪の場合は気密性が保てな
くなる。なお軟化点の好適な範囲は400〜650℃、
作業温度の好適な範囲は600〜960℃である。
ガラスが使用できるが、環境上の点から実質的にPbO
を含有しない組成を選択する必要がある。またPbO以
外にも、As2 O3 等の有害成分を実質的に含まないこ
とが望ましい。
の重量百分率で、SiO2 50〜70%、Al2 O3
1〜20%、B2 O3 5〜20%、RO 0〜10
%(RはCa、Mg、Sr、Ba、Znから選ばれる1
種以上)、Li2 O 2〜9%、Na2 O 3〜10
%、K2 O 0〜10%、Li2 O+Na2 O+K2 O
12〜20%、ZrO2 0〜5%の組成を有するガラ
スを使用することができる。組成範囲をこのように限定
した理由を以下に述べる。
須の成分であるが、70%を超えると粘度が高くなり、
PDPやFED製造時の加熱熔断における低温化が難し
くなる。またガラスの溶融が難しくなり、ブツ、脈理、
気泡の多いガラスとなる。逆に50%未満では熱膨張係
数が大きくなり過ぎて、パネルガラスとの膨張係数の整
合性がとれなくなる。また耐候性が著しく悪化し、電子
機器としての信頼性を保てなくなる。
効果が大きく、また、ガラスの失透を抑えるのに有効で
あるが、1%以下ではその効果は小さく、20%を超え
るとガラスの粘度が急激に高くなる。
に耐候性を向上させる成分であるが、20%より多いと
逆に耐候性が後退するとともに、溶融時の蒸発が多くな
って均質性の高いガラスが得難くなる。5%未満ではそ
の効果が殆どない。
から選ばれる1種以上)は、ガラスの溶解を促進すると
共に、ガラスの耐久性を上げる作用がある。また、粘度
を下げる効果も大きいので適量含有させることができ
る。しかし10%を超えるとガラスの失透性が増大し、
均質性の高いガラスが得難くなる。また温度に対する粘
度の変化が急激になり、熱間でのガラス管の精密な成形
が困難になる。
2 O、K2 Oは、SiO2 −Al2O3 −B2 O3 系ガ
ラスにおいて、線熱膨張係数を75〜90×10-7/℃
に設定し、なおかつ、軟化点が670℃以下、及び作業
温度が970℃以下という低粘度に調整するために必須
の成分である。また融剤としての作用も大きい。しかし
その合量が12%より少ないと上記効果を得ることが困
難になる。一方、これら成分の合量が20%を超えると
線熱膨張係数が大きくなりすぎ、またガラスからアルカ
リ成分が溶出しやすくなって電子機器用ガラスとしての
十分な耐候性が得られなくなる。
く、所望の熱膨張係数に保ったまま、鉛系ガラスと同等
の低粘度を達成するために必要な成分であるが、2%未
満ではその効果がなく、9%を超えるとガラスの失透性
が急激に悪化し、安定したガラスができなくなる。Na
2 Oが3%より少ないと所望の熱膨張係数と低粘度化の
達成ができなくなり、10%を超えると熱膨張係数高く
なりすぎるとともに、耐候性が大きく後退する。K2 O
が10%を超えると熱膨張係数が高くなりすぎ、またガ
ラスの失透性が悪化する。
あるので添加することが好ましいが、5%を超えるとガ
ラスの失透性が増大し、安定したガラスの溶融ができな
くなる。
Cl等を1%まで、特性の微調整や耐候性を改善効果が
あるTiO2 等の成分を3%程度まで加えることができ
る。
る。
うにバッチを調製し、溶融する。
ナー法等を用いて管状に成形し、所定の長さに切断す
る。さらに必要に応じてガラス管端にフレア加工を施す
ことにより、排気管を得ることができる。
o.1〜8)、表3は比較例(試料No.9〜11)を
示している。なお比較例として用いる試料No.9及び
10は、従来より排気管として使用されている鉛系ガラ
ス及びソーダ系ガラスである。また試料No.11は、
蛍光灯のステム、排気管用として近年開発された無鉛の
ガラスである。
れた量の原料粉末を秤量して混合し、白金製の坩堝に入
れ、電気炉中で1500℃で溶解した。原料が十分に溶
解した後、攪拌羽をガラス融液に挿入し約2時間攪拌し
た。次に、攪拌羽を取り出し30分間静置した後、治具
に融液を流し込むことによってガラスブロックを得た。
その後、各ガラスのガラス転移点付近までガラスブロッ
クを再加熱し、徐冷して歪み取りを行った。そして、得
られたガラスブロックから線熱膨張係数、軟化点及び作
業温度の測定に必要なガラス試料を作製した。
張係数は、外径3.5mm×長さ50mmの円柱状の試
料を作製し、ディラトメータで30〜380℃間の平均
線熱膨張係数を測定した。ガラスの軟化点は、ASTM
−C338に準拠するファイバエロンゲーション法によ
って測定した。作業温度はストークスの法則に基づく白
金球引き上げ法によって、ガラスの粘度が104 ポイズ
となる温度を求めた。
〜8の各試料は、線熱膨張係数が78.2〜86.0×
10-7/℃であり、PDPやFEDのパネルガラスとし
て用いられているソーダライムガラスや専用に開発され
た高歪点ガラスのそれとよく整合していた。また軟化点
が658℃以下、作業温度が961℃以下であり、作業
温度域において、この用途に広く使われている鉛系ガラ
ス(試料No.9)と同等の低温軟化性を有しているこ
とが分かった。
の試料は、低温軟化性だが線熱膨張係数が94.2×1
0-7/℃と大きいので、パネルガラスのそれと整合して
いない。ソーダ系ガラスからなるNo.10の試料は、
線熱膨張係数が84.3×10-7/℃とパネルガラスに
マッチしているが、軟化点及び作業温度が鉛系ガラスの
それより各々100℃程度高かった。No.11の試料
は、軟化点が668℃、作業温度が985℃とソーダ系
ガラスより低いものの、線熱膨張係数が鉛系ガラスと同
等であった。
後、管状に成形し、切断して、外径6mm、肉厚1m
m、長さ80mmの試料を作製した。続いて得られた管
状試料を排気管として用い、熔断による不良発生数及び
熔断に要する時間を評価した。
うにして評価した。まず、ソーダライムガラスからなる
背面パネルに直径約3mmの排気孔を形成し、この孔に
排気管を排気管用フリットを用いて420℃でシールし
た。次にこの背面パネルと、ソーダライムガラスからな
る前面パネルをパネル用フリットを用いて400℃でシ
ールした。続いて、排気管を真空系に接続して排気しな
がら、ガスバーナーで加熱し、封止、熔断した。このと
きバーナーの加熱は、背面パネルから30mm離れた位
置と、10mm離れた位置の2通りで行った。試料数は
各10個とし、不良数をカウントするとともに、良好に
封止できた試料については熔断に要した平均時間を測定
した。
o.1〜8の排気管を用いて作製したパネルでは不良が
発生せず、また熔断に要する平均時間は9秒以下であっ
た。
排気管を用いたパネルでは、熔断は9秒以下で完了した
が、不良発生数は加熱位置が30mmのときが4個、1
0mmのときが7個であった。不良の内容は、排気管用
フリット部分や、パネルガラスと排気管用フリットの界
面でクラックが発生するというものであり、排気管ガラ
スとパネルガラスの熱膨張係数の不整合に起因するもの
と考えられる。
排気管を用いたパネルでは、熔断に要した時間は約18
秒であり、実施例の各試料の2倍程度の時間を要した。
また加熱位置が30mmのときは不良発生数が0個であ
ったものの、10mmのときは10個(全数)であっ
た。不良の内容は、フリットが再溶融したために加熱途
中で排気管がずれたり、気密が破られるというものであ
り、高温で封止、熔断する必要があることが原因である
と考えられる。
ルでは、熔断に要した時間は13〜14秒であり、実施
例の各試料の1.5倍程度の時間を要した。不良発生数
は加熱位置が30mmのときは5個、10mmのときは
8個であった。不良の内容を見てみると、加熱位置が3
0mmのときは、試料No.9と同様にクラックが発生
するというものであり、10mmのときはクラック発生
が6個、排気管のずれによるものが2個であった。
ガラスで作製した排気管を用いれば、信頼性が高く、し
かもより薄型のPDPやFEDを効率よく、また歩留ま
り良く作製することできる。しかもPbOを含有する必
要がないため、環境上の問題がない。
Claims (7)
- 【請求項1】 30〜380℃における線熱膨張係数が
75〜90×10-7/℃、軟化点が670℃以下、かつ
作業温度が970℃以下であることを特徴とする排気管
用ガラス。 - 【請求項2】 PbOを実質的に含まないことを特徴と
する請求項1の排気管用ガラス。 - 【請求項3】 酸化物換算の重量百分率で、SiO2
50〜70%、Al2 O3 1〜20%、B2 O3 5
〜20%、RO 0〜10%(RはCa、Mg、Sr、
Ba、Znから選ばれる1種以上)、Li2 O 2〜9
%、Na2 O3〜10%、K2 O 0〜10%、Li2
O+Na2 O+K2 O 12〜20%、ZrO2 0〜
5%の組成を有することを特徴とする請求項1の排気管
用ガラス。 - 【請求項4】 30〜380℃における線熱膨張係数が
75〜90×10-7/℃、軟化点が670℃以下、かつ
作業温度が970℃以下のガラスからなることを特徴と
する排気管。 - 【請求項5】 PbOを実質的に含まないガラスからな
ることを特徴とする請求項4の排気管。 - 【請求項6】 酸化物換算の重量百分率で、SiO2
50〜70%、Al2 O3 1〜20%、B2 O3 5
〜20%、RO 0〜10%(RはCa、Mg、Sr、
Ba、Znから選ばれる1種以上)、Li2 O 2〜9
%、Na2 O3〜10%、K2 O 0〜10%、Li2
O+Na2 O+K2 O 12〜20%、ZrO2 0〜
5%の組成を有するガラスからなることを特徴とする請
求項4の排気管。 - 【請求項7】 プラズマディスプレイパネル又は電界放
射ディスプレイ用であることを特徴とする請求項4〜6
の排気管。
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