JP2000004847A - 海藻に椎茸、胡麻、大豆などを配合する健康食品とその 製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 海藻に椎茸、胡麻、大豆などを配合する
健康食品とその製造方法の提供。 【解決に手段】例えば海苔、わかめ、昆布、ひじき、ふ
のり、青のり等の海藻の生鮮、乾物又は塩蔵品に例えば
緑茶、ウーロン茶、椎茸、胡麻、大豆等の陸産食材を配
合して栄養成分、風味、呈味を補完してつくる健康食品
並びにその製造方法。特に上記健康食品にバインダーを
配合する丸薬及び錠剤、ゼリー及、乳剤を配合する粘性
流体、または飲料を配合した健康食品並びにその製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、海に産する（以下
海産と称する。）食材、例えば海苔、わかめ、昆布、ひ
じき、ふのり、青のりに、陸に産する（以下陸産と称す
る。）食材、例えば緑茶、ウーロン茶、椎茸、胡麻、大
豆を配合して栄養成分、風味、呈味を補完してつくる健
康食品並びにその製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の健康食品は、生産、加工過程に使
用する化学物質の汚染による健康への悪影響を防止し、
汚染のない天然食材の摂取による健康増進を図ってい
る。また幾つかの有効成分を含有する海産又は陸産の食
材を併せて嗜好品、健康食品とする試みも見られる。し
かし海産または陸産の食材を意図的に併せて偏寄して含
有する有効成分を広範にバランス良く摂取できる健康食
品の開発について、未だその類例を聞くことは少ない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】人が生きるには、体内
外諸器官の機能性を整え、生理活性を維持して人間活動
を高める必要がある。これを担保するのが栄養成分であ
り、比較的多量を必要とする蛋白質、脂質、糖質、繊
維、必須ミネラルと微量で足りる良質の蛋白質、ｎ−３
〜６不飽和脂肪酸、粘性多糖脂質、食用繊維、微量必須
ミネラル、ビタミン、酵素などからなる。このうち蛋白
質、脂質、糖質、繊維、微量必須ミネラルは、海産、陸
産の何れの食材にも広範に含有してその摂取は容易であ
る。しかし微量必須ミネラル、ビタミン、酵素などは、
陸産食材より海産食材に偏寄して含有する場合が多く、
バランス良く広範に摂取するには、海産食材を主体にし
て不足する栄養成分を陸産食材で補完する必要がある。
本発明はこれを可能とする健康食品の開発である。

【０００４】

【課題を解決するための手段】健康食品を産生するに先
立ち、それぞれ有効成分を偏寄して含有する海産の海
苔、わかめ、昆布、ひじき、ふのり、青のり、陸産の緑
茶、ウーロン茶、椎茸、胡麻、大豆に着目し、これらの
組成成分を表１に掲げた。これから明らかなように必
須、良質の蛋白質、ｎ−３〜６不飽和脂肪酸、粘性多糖
脂質、食用繊維、微量必須ミネラル、ビタミンＡなど
は、海産の海苔、わかめ、昆布、ひじきに偏寄して多量
に含有している。

【０００５】

【表１】

【０００６】海苔、わかめ、昆布、ひじき、ふのり、青
のり、緑茶、ウーロン茶、椎茸、胡麻、大豆は、良質の
蛋白質、ｎ−３〜６不飽和脂肪酸、粘性多糖脂質、食用
繊維、ミネラル、ビタミン、酵素など、各有効成分を幾
つか併せて含有している。このうちｎ−３〜６系多価不
飽和脂肪酸、粘性多糖質、食物繊維は、海苔、昆布、わ
かめ、青のり、ふのり、ひじきなど、海産食材にふんだ
んに含有する。とくに粘性多糖類、フラノン、アルギン
酸はふのり、わかめに多く含有する。

【０００７】大豆、海苔、昆布、わかめに含有する蛋白
質は、肉類を凌駕し、弱アルカリ性を示す良質な蛋白質
てある。各含有を見ると、素干昆布で８．２％、素干わ
かめで１５．０％、乾海苔で３９．０％を含有し、干大
豆の３５．０％を約４．０％も凌駕する。この蛋白質
は、グルタミン、アラニン、アスパラギン酸、バリンか
らなり、遊離酸としてグルタミン、アラニンも見られ
る。また大豆、肉類に不足するメチオニンを含有してお
り、これが人体に必須、有効な蛋白質を形成するに役立
つ。

【０００８】人体は常に弱アルカリ性を維持する。これ
は、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム
など、アルカリ金属の含有量に係わり、リンを加えて必
須ミネラルと呼称する。これに対して、微量ではある
が、人体の生理、臓器の機能を活性化する鉄、亜鉛、
銅、マンガン、ニッケル、コバルト、モリブデン、セレ
ン、珪素、沃素、フッ素、クロム、錫、バナジウム、砒
素、鉛など、１６種を微量必須ミネラルと呼称する。海
苔、昆布、ひじきに多く、大豆、胡麻にも含有し、微量
ながら単独に、また重複して健康に重要な役割を果たし
ている。

【０００９】ビタミンＢ_１、ビタミンＢ_２は、海苔、昆
布、ひじきに含有し、量的にやや劣るが、椎茸、胡麻、
大豆にも含有する。ビタミンＡ、β−カロチンは海苔、
わかめに多く、昆布、ひじきにも含有する。ビタミンＣ
は、お茶以外では、海苔、わかめ、昆布、ひじきに含有
する。ビタミンＤは、椎茸のみに偏寄して含有する。健
康食品とは言え、それが食品であり、風味、呈味に格別
な気遣いが望ましく、ビタミンＡ、β−カロチン、ビタ
ミンＣを含有して、カフェイン、タンニンによる豊潤な
香気を放つ緑茶、ウーロン茶も健康食品の組成成分とし
て添加する。

【００１０】海苔、わかめ、昆布、ひじき、ふのり、青
のり、大豆、胡麻、椎茸、緑茶、ウーロン茶などを各別
に微細粉化し、所期の組成成分比率に配合することによ
り良質の蛋白質、ｎ−３〜６系不飽和脂肪酸、粘性多糖
類、食用繊維、必須、微量必須ミネラル、ビタミン、酵
素などを広範に含有する微細粉末の健康食品を創出する
ことができる。これらは微細粉末として、そのまま各食
品に加えて栄養強化、風味、呈味の改良に役立てること
ができる。これとは別にゼリー、乳剤と混練し、チュー
ブ詰めした粘性液様健康食品、またはバインダーで丸
薬、錠剤に成形して固形健康食品とすることも可能であ
る。

【００１１】海生食材と陸生食材を併せて均一に仕上
げ、他の食品に種々の量比で斑なく配合するには、微細
粉末に仕上げることが有効と考えられる。その工程は、
水切・脱水、粗砕・乾燥、計量、定量給気、微細粉化、
集塵、篩分、定量供給、包装、梱包と直列にして加工作
業を流動化する。粗砕・乾燥に於いて原料を３ミリメー
ター程度にチップ化し、ステンレス網上に薄層状に積み
重ねて３０〜４０℃の温風を上から下に貫通させ、遠赤
外線、紫外線を照射して滅菌、絶乾状態になるように促
す。計量〜微細粉化に於いて滅菌、絶乾状態に達した各
食材を健康食品の組成成分比に秤量、配合して６０〜１
２０メッシュとなるまで微細粉化する。集塵、篩分に於
いて粒度別に篩い分け、雑挟物を除去して製品とする。
定量給気〜梱包に於いて製品を秤量して個別に袋詰め
し、発送に備えて梱包する。

【００１２】

【発明の実施の形態】本発明による健康食品に含有する
有効成分は、それぞれ効用を持っており、そのめぼしい
幾つかについて概観する。アルカリ金属に関して、カル
シウムはリンと協力して骨、歯をつくり、マグネシウム
とともに心臓の血管を正常に保ち、筋肉を収縮させ、酵
素を働かす。マグネシウムはカルシウム、ビタミンＣ、
リン、ナトリウムは深く関わり合って神経、筋肉の働き
に重要な役割を果たし、血糖をエネルギーに換える。ま
たナトリウムはカリウムと協力して細胞の浸透圧を調節
する。その他繊毛運動、心臓拍動、筋肉収縮などにも作
用し、酸素を送り込んで脳機能を活性化し、血圧を下
げ、老廃物を排出する。またアレルギー治療にも有効で
ある。

【００１３】微量必須ミネラルの中で、鉄、亜鉛、沃素
は、海苔、ひじきに含有され、鉄は血糖を増やし、赤血
球を正常に働かせる。ビタミンＣの代謝や筋肉のミオク
ロビンの働きを扶け、酵素の母体となる。鉄は腸からの
吸収が少なく、銅、コバルト、マンガン、ビタミンＣを
担体として吸収する。亜鉛はＤＮＡ，ＲＮＡなど、蛋白
質を合成する酵素、インシュリンの合成に関わり、血液
を安定させ、体内の酸とアルカリのバランスを保ち、筋
肉の収縮、前立腺、生殖器官の発達、脳の機能の活性化
に役立ち、精神分裂の治療にも有効である。ビタミンＢ
_１２は、コバルトの扶けで赤血球を生成する。コバルト
は野菜に殆ど含有せず、その不足は貧血を起因する。こ
の他体内の幾多の酵素と関わり、それぞれ健康に重要な
役割を果たしている。

【００１４】ビタミン、酵素はミネラルと協力して体内
の生理、機能性を調節する。不足すると、細胞、エネル
ギーの形成、再生に支障をきたす。ビタミンＢ_２の不足
は、手足の痺れ、舌炎などの原因となる。ビタミンＢ_３
の欠乏は脚気の原因となり、ビタミンＢ_２は眼精疲労、
皮膚、毛髪の発育を阻害する。ビタミンＢ_１２は、赤血
球の形成、再生に係わり、その不足は貧血の原因とな
る。ビタミンＡは皮膚、細胞の潤いを保つ。ビタミンは
体内に形成することなく、野菜から補給する。ビタミン
Ａとなるβ−カロチン、ビタミンＢ_２、ビタミンＢ_６、
ビタミンＢ_１２、ビタミンＣは、海苔に多く含有する。

【００１５】酸化還元酵素、チロシナーゼは銅酵素であ
り、髪の毛、皮膚の色素をつくる。マンガンはグルコー
ス、尿素をつくる酵素成分であり、チロキシナーゼは甲
状腺ホルモンを欠いて合成することはできない。クロー
ムはインシュリンとともに糖質の代謝を受け持ち、身体
の各部に蛋白質を運ぶ役割を果たす。またアドレナリン
の分泌を促し、血圧を低下する。リンはナトリウムと結
びついて体内反応により、ビタミンＢ群のナイアミン反
応を助け、組織の成長、エネルギー発生に関与し、歯を
守り、痛みを和らげる。

【００１６】

【実施例】生海苔、生わかめ、生昆布、生ひじき、生ふ
のり、生青のりは、各別に水切り、脱水して３ｍｍ程度
に切り刻み、粗粉末化してステンレス網上に数ｍｍの厚
さ、薄層状にで積み重ね、上から下へと３０〜４０℃の
温度の風を吹き透して流通し、絶乾状態に達するまで乾
燥する。この際遠赤外線、紫外線の照射による滅菌も併
行する。乾燥した海苔、わかめ、昆布、ひじき、ふの
り、青のりは、各別に秤量ホッパに貯蔵する。これと併
行して椎茸、ウーロン茶、緑茶、胡麻、大豆に関しても
同様手順で粗粉末化、絶乾状態に達するまで乾燥して各
別に計量ホッパーに貯留する。これらを各ロードセル、
ロータリバルブにより各食材を所期の組成成分となるよ
うに定量、供給して６０〜１２０メッシュ程度に微細粉
化し、ブロワー、サイレンサーにより分級、篩分して異
物、挟雑物を除去して所期の組成成分率の健康食品に調
整する。

【００１７】生、乾燥、塩蔵の海産食材に陸産食材を配
合してつくる各健康食品の組成成分を参考までに表２に
示す。各健康食品の組成成分は、偏寄して含有する各食
材の組成成分に比較して、分析値は些か低くなってい
る。しかし各有効成分はバランス良く広範に含有されて
おり、健康食品として充分に通用する。

【００１８】

【表２】

【００１９】塩蔵海藻を原料とする場合は、生の海藻を
原料として製造した工法、手順に準じて健康食品を製造
することが可能である。また乾燥海藻を原料とする場合
は、計量ホッパ以降の工法、手順に準じて健康食品を製
造することができる。こうして製造した微細粉末状の健
康食品は、そのまま各食材に添加して栄養強化、風味、
呈味の改良に役立てることができる。これとは別に微細
粉末状の健康食品をゼリー、乳剤と混練し、チューブに
詰めとして粘性液様健康食品とし、またバインダーで丸
薬、錠剤を配合、成形して固形健康食品とすることも可
能である。

【００２０】

【発明の効果】本発明は、以上に説明したように構成さ
れて、以下に記載するような効果を奏する。

【００２１】鉄、ビタミンＢ_１２は、昆布、わかめ、ひ
じき、海苔に含有して貧血に効果がある。β−カロチ
ン、ｎ−３〜６系多価不飽和脂肪酸、沃素、マンガン、
ビタミンＥ、Ｃ、食物繊維は、わかめ、昆布、ひじき、
海苔に含有して老化に効果がある。タンニン系・紫外線
吸収物質、β−カロチン、亜鉛は、ひじき、海苔に含有
して肌荒れに効果がある。β−カロチン、タウリンは、
海苔に含有して視力障害に効果がある。セレン、亜鉛、
ビタミンＥは、海苔に含有して性機能障害に効果があ
る。アルギン酸、カラギーナンは、わかめ、昆布に含有
して胃腸炎に効果がある。フノラン、タウリンは、ふの
りに含有して胆石に効果がある。アルギン酸、硫酸多糖
類、フコステロール、沃素は、昆布、わかめ、海苔、ふ
のりに含有してコルステロールの低下に効果がある。ア
ルギン酸、硫酸多糖類、ラミニン、ＥＰＡなどｎ−３系
多価不飽和脂肪酸、フコダインは、昆布、わかめ、海
苔、ふのりに含有して高血圧症に効果がある。コルステ
ロール、フコダイン、ＥＰＡなどｎ−３系多価不飽和脂
肪酸は、昆布、わかめ、海苔、ふのりに含有して動脈硬
化に効果がある。沃素は昆布、わかめに含有して甲状線
腫に効果がある。アルギン酸、硫酸多糖類、β−カロチ
ン、リン脂質、糖脂質、ＥＰＡなどｎ−３系多価不飽和
脂肪酸は、昆布、わかめ、海苔、ふのりに含有されてガ
ンに効果がある。カルシウムは、ひじき、わかめ。昆布
に含有して骨粗しょう症に効果がある。アルギン酸、硫
酸多糖類、オバクサは、ひじき、わかめ、昆布に含有し
て糖尿病に効果がある。ＥＰＡなどｎ−３系多価不飽和
脂肪酸、タウリン、フコステロールは、わかめ、海苔、
昆布に含有して心筋梗塞、脳梗塞に効果がある。

【００２２】海産、陸産の食材に含有される有効成分
は、単独、または複合して、如何に健康に係わり、如何
なる効果をもたらすかについて概観した。これらの全て
がそのまま健康食品の作用、効果となると断ずるには、
資料不足であり、速断の誹りを免れない。それにしても
幾多の研究者によるその効果を裏付ける報告があり、そ
の幾つかは健康に充分に効果があると期待できる。とく
に最近主婦の心尽くしの家庭料理が影を潜め、調理食
品、インスタント食品、外食の機会が多くなり、日本の
食文化が大きく変化し、栄養バランスの崩れが子弟の健
康に大きな陰となって現れ、問題視されている。こうし
た時機に健康に有効な栄養成分をバランス良く、広範に
含有する健康食品を提供することは正に時宜を得たと言
い得よう。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】生海苔、生わかめ、生昆布、生ひじき、生
   ふのり、生青のりに、生椎茸、緑茶、胡麻、大豆を配合
   する健康食品並びにその製造方法。
2. 【請求項２】乾海苔、干わかめ、干昆布、干ひじき、干
   ふのり、乾青のりに、ウーロン茶、干椎茸、胡麻、大豆
   を配合する健康食品並びにその製造方法。
3. 【請求項３】塩蔵海苔、塩蔵わかめ、塩蔵昆布、塩蔵ひ
   じき、塩蔵ふのり、塩蔵青のりを配合する健康食品並び
   にその製造方法。
4. 【請求項４】請求項１〜３による健康食品にバインダー
   を配合する丸薬及び錠剤、ゼリー及び乳剤を配合する粘
   性流体、または飲料を配合した健康食品並びにその製造
   方法。