JP2000002322A - 無段変速機の変速制御装置 - Google Patents

無段変速機の変速制御装置

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JP2000002322A
JP2000002322A JP16853098A JP16853098A JP2000002322A JP 2000002322 A JP2000002322 A JP 2000002322A JP 16853098 A JP16853098 A JP 16853098A JP 16853098 A JP16853098 A JP 16853098A JP 2000002322 A JP2000002322 A JP 2000002322A
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Japan
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gear ratio
continuously variable
variable transmission
target
feedback
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JP16853098A
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English (en)
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Hitoshi Kidokoro
仁 城所
Itsuro Muramoto
逸朗 村本
Yasushi Narita
靖史 成田
Kazuhiro Takeda
和宏 竹田
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Nissan Motor Co Ltd
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オーバーシュートなどの不具合防ぎながら、
変速制御の精度を向上させる。 【解決手段】 ステップモータ4に駆動される油圧制御
機構を介して制御される変速機構とを備えて変速比を連
続的に変更する無段変速機10と、運転状態に応じた目
標変速比に実際の変速比が一致するようにステップモー
タ4を駆動するフィードバックループの伝達関数が、所
定の規範モデルに一致ないし近似する前置補償器80を
備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無段変速機の変速
制御装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両に用いられる無段変速機としては、
Vベルト式やトロイダル型等の無段変速機が従来から知
られており、これら無段変速機の変速制御としては、例
えば、本願出願人が提案した特願平9−312048号
等がある。
【0003】これは、油圧制御機構を備えた無段変速機
の変速制御を、PID(比例、積分、微分)制御などの
電子的フィードバックによって行う場合に、無段変速機
の運転状態、すなわち、変速比に加えて、油圧制御機構
に加わる作動油の油圧と油温等を加味してフィードバッ
クゲインを決定することで、無段変速機の状態変化に応
じた変速特性を補償するものである。
【0004】このフィードバックループは、図18に示
すような、電子的フィードバック系からの指令値uに応
動するステップモータが、油圧制御装置を介してトラニ
オンを駆動して変速を行うと、トラニオンの軸方向変位
yとパワーローラの傾転角φ(=変速比RATIO)
が、プリセスカムを主体とするメカニカルフィードバッ
ク機構によって変速制御弁へフィードバックされる構成
となっているトロイダル型無段変速機に上記PID制御
を適用した場合、このときのフィードバック制御の閉ル
ープは、図16(A)のように表すことができ、閉ルー
プの伝達関数W(s)は、図16(B)にも示すよう
に、
【0005】
【数1】
【0006】として表すことができる。
【0007】ただし、λ1、λ2、λ3は、上記伝達関数
の極を表す所定の定数である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例では、上記図16(B)に示した閉ループの伝達関
数を、外乱抑制特性が向上するように設定した場合、図
17に示すように、目標値r2=目標変速比RefRA
TOに対して実際の変速比RATIOがオーバーシュー
トする場合があるなど、好ましい特性が得られない場合
があった。
【0009】そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなさ
れたもので、オーバーシュートなどの不具合を防ぎなが
らも、制御精度を向上させることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、アクチュ
エータに駆動される油圧制御機構を介して制御される変
速機構とを備えて変速比を連続的に変更する無段変速機
と、運転状態に応じて前記無段変速機の目標変速比を演
算するとともに、実際の変速比と目標変速比の偏差に基
づいて、実際の変速比が目標変速比に一致するように前
記アクチュエータを駆動するフィードバック制御手段と
を備えた無段変速機の変速制御装置において、前記フィ
ードバック制御手段は、目標変速比から実変速比までの
伝達関数が、所定の規範モデルに一致ないし近似する前
置補償器を備える。
【0011】また、第2の発明は、アクチュエータに駆
動される油圧制御機構を介して制御される変速機構とを
備えて変速比を連続的に変更する無段変速機と、運転状
態に応じて前記無段変速機の目標変速比を演算するとと
もに、実際の変速比と目標変速比の偏差に基づいて、実
際の変速比が目標変速比に一致するように前記アクチュ
エータを駆動するフィードバック制御手段と、運転状態
に応じてフィードフォワードによる目標変速比に基づい
て前記アクチュエータを駆動するフィードフォワード制
御手段と、所定の運転状態に応じて前記フィードバック
制御手段とフィードフォワード制御手段を制御ゲインの
変更により切り換える切換手段とを備えた無段変速機の
変速制御装置において、前記フィードバック制御手段
は、目標変速比から実変速比までの伝達関数が、所定の
規範モデルに一致ないし近似する前置補償器と、前記切
換手段がフィードフォワード制御手段を選択したときに
は前置補償器を無効化する無効化手段とを備える。
【0012】また、第3の発明は、前記第2の発明にお
いて、前記無効化手段は、前置補償器と並列的に配設し
た規範モデルを備え、前記切換手段がフィードフォワー
ド制御手段を選択したときには規範モデルからの目標値
をフィードバックループへ送出する一方、前記切換手段
がフィードバック制御手段を選択したときには前置補償
器からの目標値を前記フィードバックループへ送出す
る。
【0013】また、第4の発明は、前記第2の発明にお
いて、前記無効化手段は、前記切換手段がフィードフォ
ワード制御手段を選択したときには、前記前置補償器の
定常ゲインを1または1に近似した値に設定する。
【0014】また、第5の発明は、前記第2の発明にお
いて、前記無効化手段は、前置補償器と並列的に配設し
た規範モデルを備え、前記切換手段がフィードフォワー
ド制御手段を選択したときには、切換手段が変更した制
御ゲインに応じて前記前置補償器を無効化する。
【0015】
【発明の効果】したがって、油圧制御機構を備えた無段
変速機の変速制御を、電子的フィードバックによって行
う場合、目標変速比から実変速比までの伝達関数が、所
定の規範モデルに一致ないし近似する前置補償器を設け
ることによって、無段変速機の変速比がオーバーシュー
トするのを確実に防止しながら、目標とする動特性に一
致させることができ、変速制御の精度を向上させること
ができる。
【0016】また、第2の発明は、制御ゲインの変更に
よりフィードバック制御手段とフィードフォワード制御
を切り換える場合、フィードフォワードのときには前置
補償器を無効化しておくことで、目標動特性がずれるの
を防いで、制御精度を確保することができる。
【0017】また、第3の発明は、前置補償器と規範モ
デルを並列的に配設し、フィードフォワードのときには
規範モデルからの目標値で、前置補償器を無効にして変
速制御を行う一方、フィードバックのときには前置補償
器からの目標値でフィードバックループの伝達関数を所
定の規範モデルに一致ないし近似させて変速制御を行
い、フィードフォワードの際に目標動特性がずれるのを
防いで、制御精度を確保することができる。
【0018】また、第4の発明は、フィードフォワード
の際には、前置補償器の定常ゲインを1または1に近似
した値に設定することで無効化しておき、目標動特性が
ずれるのを防いで、フィードフォワード時の制御精度を
確保することができる。
【0019】また、第5の発明は、前置補償器と規範モ
デルを並列的に配設しておき、フィードフォワード制御
時には、変更した制御ゲインに応じて前置補償器を無効
化することで、フィードフォワードの際に目標動特性が
ずれるのを防いで、制御精度を確保することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図
面に基づいて説明する。
【0021】図1はトロイダル型無段変速機10とし
て、前記従来例と同様のシングルキャビティ型式のトロ
イダル型を採用するとともに、無段変速機10の変速制
御コントローラ61に本発明を適用した一例を示す。
【0022】無段変速機10は、入力軸20側にロック
アップ機構L/Uを備えたトルクコンバータ12を介し
てエンジン11に連結される一方、出力軸側(出力コー
ンディスク側)を図示しない駆動輪に連結しており、ト
ロイダル型の無段変速機10の変速機構及びメカニカル
フィードバック機構は前記従来例と同様に構成され、変
速制御コントローラ61の指令に応じてステップモータ
4(アクチュエータ)が変速制御弁を駆動することで変
速が行われるものである。
【0023】前記従来例で示したごとく、トロイダル型
無段変速機は傾転角度の変化によって変速比を変化させ
るものである。よって、以降、傾転角度と変速比は同義
であるとする。
【0024】変速制御コントローラ61は、マイクロコ
ンピュータを主体に構成されており、スロットル開度セ
ンサ62が検出したスロットル開度TVO、無段変速機
10の出力軸側に配設された車速センサ63からの車速
VSP及び入力軸回転センサ64が検出した無段変速機
10の入力軸20の回転数Niに基づいて車両の運転状
態に応じた到達目標変速比を演算するとともに、油温セ
ンサ65が検出した無段変速機10の油温Tempと、油
圧センサが検出した無段変速機10のライン圧PLに基
づいて、PID制御(比例、積分、微分制御)の各ゲイ
ンc0、c1、c2を求め、無段変速機10の実際の変速
比が目標変速比と一致するような変速指令値u(すなわ
ち、ステップ数STP)を演算し、ステップモータ4へ
指令する。
【0025】なお、車速センサ63は無段変速機10の
出力軸回転数Noに所定の定数を乗じたものを車速VS
Pとして出力するものである。
【0026】この変速制御コントローラ61の変速制御
の概要は、図2に示すように、実際の変速比、すなわ
ち、パワーローラの傾転角を求める傾転角度算出部71
と、スロットル開度TVOと車速VSPに応じて目標変
速比を演算する目標傾転角算出部(図示せず)と、パワ
ーローラのオフセット量yを演算するy変位推定部72
と、ゲイン算出部73、積分器74、ステップ変換部7
5を主体に構成されて、各種ゲインや各種信号の演算を
行っている。
【0027】まず、傾転角度算出部71は、車速VSP
(∝出力軸回転数No)と入力軸回転数Niの比をと
り、車速VSPと出力コーンディスクの関係を定める所
定の定数を乗じることで、実際の変速比RATIO、す
なわち、パワーローラの実際の傾転角度φを求める。
【0028】図示しない到達目標変速比算出部は、スロ
ットル開度TVOと車速VSPから、予め設定したマッ
プ(図示せず)に基づいて到達目標変速比DRATIO
(到達目標傾転角度)、すなわち、最終的に到達すべき
目標変速比を演算する。
【0029】なお、y変位推定部72は、本願出願人が
提案した特願平7−71495号と同様にして、パワー
ローラのオフセット量yを推定する。なお、このオフセ
ット量yは、パワーローラの傾転角度φの微分値から求
めても良い。
【0030】ゲイン算出部73では、PID制御の各ゲ
イン、すなわち、積分ゲインc0、比例ゲインc1、微分
ゲインc2を次式によって決定する。
【0031】
【数2】
【0032】すなわち、トロイダル型無段変速機10の
特性を、図18のように表現した場合、伝達関数W
(s)は前記(1)式と同様に、
【0033】
【数3】
【0034】として表される。
【0035】したがって、上記(3)式は線形システム
として近似することができ、これが、前記(1)式で表
される特性を持つように、上記積分ゲインc0、比例ゲ
インc1、微分ゲインc2を決定した結果が上記(2)式
である。
【0036】ただし、上記伝達関数W(s)の極を表す
定数λ1、λ2、λ3は、正の実数でなければならない。
【0037】すなわち、定数λ1、λ2、λ3の何れかが
負であれば、系は不安定となって到達目標変速比へ制御
することは不可能となり、また、定数λ1、λ2、λ3
何れかが虚数であれば、フィードバック特性が振動的と
なって、運転性に悪影響をもたらすハンチングを生じる
ことになる。
【0038】変速制御コントローラ61を図2のように
構成した場合のゲイン、すなわち上記(2)式の算出過
程を以下に説明する。
【0039】変速制御コントローラ61を図2のように
構成した場合、前記従来例と同じくメカニカルフィード
バック系のプリセスカムの作用を指令値uに加算するカ
ム相殺フィードバック70を設けることにより、上記
(3)式に示した伝達関数W(s)の特性は、次の
(4)式に示す特性と等価になる。
【0040】
【数4】
【0041】なお、上記カム相殺フィードバック70
は、傾転角度φをフィードバックするメカニカルフィー
ドバック量を相殺するものである。
【0042】これに、図2に示したように、目標傾転角
度と傾転角度算出部71で算出された実傾転角度との偏
差e、及び積分器74で算出される偏差eの積分値にそ
れぞれ比例ゲインc1と積分ゲインc0を乗じた後に加算
したものから、y変位推定部72で求めたオフセット量
yの値にゲインc2を乗じたものを減算する。そして、
この値に、上記カム相殺フィードバック70からの値を
加算すると、目標傾転角度から実傾転角度までの伝達関
数は、次の(5)式で表現されることは、制御理論で広
く知られているものである。
【0043】
【数5】
【0044】この式(5)が上記(1)式と一致するた
めには、上記(2)式に示すように、各ゲインc0
1、c2を決定しなければならない。なお、カム相殺フ
ィードバック70を用いない場合には、上記(2)式に
代わって、次の(6)式を用い、メカニカルフィードバ
ックを相殺する効果を比例ゲインc1に持たせることで
等価となる。
【0045】
【数6】
【0046】ここで、図3に示したように、トロイダル
型無段変速機10は線形システムとしたが、実際には定
数としたg及びfが、様々な要因によって変化する非線
形システムであるが、非線形システムであっても、特定
の動作条件において線形近似した制御系を、条件の変化
に応じて切り換えることで良好な制御を行うことができ
ることは、制御論において、ゲインスケジュール法とし
て広く知られたところである。
【0047】すなわち、それぞれの動作条件において
g、fを求めておき、上記(2)式ないし(6)式によ
って、各ゲインc0、c1、c2をそれぞれの条件毎に予
め計算しておき、動作条件の変化に応じて予め求めてお
いた各ゲインc0、c1、c2を切り換えるのである。
【0048】上記(2)式以降で用いられるgは、変速
制御弁のバルブ開口量x(図示しないスリーブとスプー
ルの隙間量x)からパワーローラのオフセット量yまで
のゲインであるから、油圧システム(変速機構及びメカ
ニカルフィードバック系)に影響を与える条件に応じて
変化する。
【0049】また、上記(2)式以降で用いられるf
は、f=dφ/dtで、上記(1)式に対して、トロイ
ダル型無段変速機10の構造から決定される定数(θ、
η、R)と、傾転角度φ及び出力コーンディスク回転数
Noを代入して得られる値である。
【0050】したがって、図2のゲイン算出部73に
は、油圧システムに影響を与える油温センサ65が検出
した油温Tempと、油圧センサ66が検出したライン圧
PLと、傾転角度算出部71が求めた実傾転角度φに対
応する実変速比Ratioと、出力コーンディスクの回転数
Noと等価である車速センサ63が検出した車速VSP
の各信号が入力され、各ゲイン毎に予め実験などによっ
て設定された4次元配列を、これら各信号に基づいて参
照することで、ゲインc0、c1、c2を決定するのであ
る。
【0051】これら各ゲインのテーブルを、c0_Tabl
e、c1_Table、c2_Tableとすると、 c0=c0_Table(VSP,Ratio,Temp,PL) c1=c1_Table(VSP,Ratio,Temp,PL) c2=c2_Table(VSP,Ratio,Temp,PL) のように、3つの4次元配列を参照することで、動作状
態(すなわち、運転状態)に応じた各ゲインを求めるこ
とができる。なお、これらゲインの決定は前記従来例と
同様である。
【0052】こうして、ゲイン算出部73で求めた各ゲ
インc0、c1、c2を乗じた、偏差e、偏差eの積分値
及びオフセット量yは、図2に示すように、加算または
減算されてからステップ変換部75へ入力され、ステッ
プ変換部75では、目標変速比RefRATIOと実変
速比RATIOの偏差e、すなわち、目標傾転角度と実
傾転角度の偏差を解消する変速制御弁のバルブ変位量
(開口量)を求めるとともに、このバルブ変位量に対応
するステップ数STPをステップモータ4へ指令する。
【0053】なお、図示しない目標傾転角算出部では、
車速VSPとスロットル開度TVOに基づいて到達目標
傾転角を求めており、車速VSPの変化に応じて到達目
標変速比DRATIOも変化するが、前記従来例でもの
示したように、傾転角度の変化によるf=dφ/dtの
変化は比較的小さなものであるから、これを省略するこ
とで、上記4次元配列を3次元配列とすることができ、
実験による配列のデータ取得を簡略化することができる
のである。
【0054】次に、上記変速制御コントローラ61に配
設された前置補償器80は、閉ループ伝達関数W(s)
の極とゼロを相殺して、図4に示すように、次数の制約
が許す範囲で、次の(7)式に示す任意の規範モデルに
一致させることができる。
【0055】
【数7】
【0056】次に、閉ループの前段に配置された前置補
償器80は、図3〜図6に示すように、閉ループ伝達関
数W(s)の極とゼロを相殺する前置補償器A2の前段
に、目標動特性より進んだ位相を持つ前置補償器A1を
連結することで構成され、まず、閉ループ伝達関数W
(s)の極とゼロを相殺する前置補償器A2が、
【0057】
【数8】
【0058】のように設定されて、目標値からの特性
は、分子がゼロ点を持たず、図7のグラフに示すよう
に、補償器出力A2は、前記従来例のような、実変速比
RATIOのオーバーシュートを抑制できる。
【0059】さらに、目標動特性の位相を進ませる前置
補償器A1が、次式のように設定されて、
【0060】
【数9】
【0061】閉ループ伝達関数W(s)の特性(変速特
性)を 、上記(7)式の規範モデルへ一致させること
が可能となって、図8のグラフに示すように、実変速比
RATIOを到達目標変速比DRATIOに基づく目標
変速比RefRATIOに一致させることができるので
ある。
【0062】しかし、上記(9)式の場合、理論的には
変速特性を上記(7)式の規範モデルへ一致させること
ができるが、実際には、相対次数が0となる直達項が生
じてしまい、ステップモータ4の応答速度が遅いため、
ステップ状の目標値変化が発生した場合には追従でき
ず、ステップモータ4の駆動速度限界値を超えた部分
で、積分分が不正に蓄積されてしまう。この積分分の不
正な蓄積を防ぐためには、前段の前置補償器A1を、
【0063】
【数10】
【0064】または、
【0065】
【数11】
【0066】とすることで、ステップモータ4の駆動速
度限界値を超えないようにするのが望ましい。
【0067】ここで、上記図5の前置補償器A1を、図
9に示すように表現した場合、変速制御コントローラ6
1のマイクロコンピュータでは、図9の積分器を、図1
0(A)のように、離散系のオイラー積分で近似するこ
とで処理を行えばよく、離散系の前置補償器A1は、図
10(B)のように表されるとともに、図11のフロー
チャートに基づいて演算する。
【0068】すなわち、図10(B)のように、各乗算
器の定数をA1a0〜A1b2に設定する一方、オイラ
ー積分回路をa1Dly1、A1Dly2とすると、ま
ず、図11のステップS1では、到達目標変速比DRA
TIOから変数addtmpの値を、 addtmp=Dratio×A1a0−a1Dly1×A1a1−a1Dly2×A1a0 ………(12) より演算する。
【0069】次に、ステップS2、S3では、乗算器の
出力A1b1、A1b2を、 A1dv2=addtmp×A1b2 ………(13) A1dv1=a1Dly1×A1b1 ………(14) より演算する。
【0070】そして、ステップS4では前置補償器A1
の出力A1Outを、 A1Out=A1dv2+A1dv1+A1Dly2 ………(15) より演算する。
【0071】ステップS5では、 RefRATIO=a1Dly2 から、後段のオイラー積分回路の出力を、規範モデルの
出力である目標変速機RefRATIOとする。
【0072】次に、ステップS6、S7では、次回の積
分値を求めるために、 alDly2=alDly2+alDly1 ………(16) alDly1=alDly1+addtmp ………(17) として、オイラー積分回路の値を求め、ステップS8で
所定時間(例えば、10msecなど所定の制御周期)が経
過するのを待ってから、上記ステップS1へ復帰するの
である。
【0073】こうして求めた前置補償器A1の出力A1
Outを前置補償器A2へ入力すれば、上記図7のよう
に、閉ループの伝達関数W(s)の極とゼロを相殺する
ため、前置補償器80の出力r1を、フィードバックル
ープの目標値とすることによって、前記従来例のような
実変速比RATIOのオーバーシュートを確実に防ぐこ
とができるのである。
【0074】図12は第2の実施形態を示し、前記第1
実施形態の前置補償器80を、フィードバック状態での
み有効にする一方、無段変速機10の低車速時や低油温
時等に行われるフィードフォワード制御のときには、前
置補償器80を無効にするものである。
【0075】前記第1実施形態の前置補償器80を、本
願出願人が提案した特願平10−9570号のように、
所定の運転条件(例えば、変速比等)に応じてゲインを
変更し、フィードバック制御とフィードフォワード制御
を切り換えて行うものに適用した場合、フィードフォワ
ード状態のときには、前置補償器80の影響により、図
13に示すように、目標動特性が本来の動特性(図中規
範モデル応答)からずれてしまうため、変速制御の精度
が低下してしまう。
【0076】そこで、図12に示すように、フィードフ
ォワード時には、前置補償器80と並列に配置したフィ
ードフォワード用規範モデル81に切り換えることで、
本来の動特性となるようフィードフォワード制御を行う
ことができるのである。
【0077】また、フィードバック制御とフィードフォ
ワード制御の切換時の段差を吸収するため、前置補償器
80及びフィードフォワード用規範モデル81の後段に
は、フィルタ82を配置する。なお、その他は前記第1
実施形態と同様である。
【0078】あるいは、前記第1実施形態の前置補償器
80のA1を、
【0079】
【数12】
【0080】と構成すれば、定常ゲインは1となる。
【0081】この状態で、
【0082】
【数13】
【0083】とすると、前置補償器A1が上記(7)式
に示した規範モデルに一致する。
【0084】同様に、前置補償器A2を、次式及び図1
4に示すように構成すると、
【0085】
【数14】
【0086】定常ゲインは同じく1となる。
【0087】この状態で、
【0088】
【数15】
【0089】とすれば、前置補償器A2の伝達関数が1
となって、前置補償器80を無効化することが可能とな
り、フィードバック制御とフィードフォワード制御の切
り換えを行うことができる。なお、制御の切り換え時に
は、段差を抑制するため前記従来例と同様にゲインにフ
ィルタを適用する必要がある。
【0090】なお、c0/c1を所定の大きな数に設定し
て、A2(s)が1に近似した値となるようにしても、
前置補償器A2の無効化を図ることができる。
【0091】図15は、第3の実施形態を示し、上記実
施形態のカム相殺フィードバック70を廃止するととも
に、前記第2実施形態のように、フィードバック制御と
フィードフォワード制御の切り換えに対応したものであ
る。
【0092】規範モデル81は上記(7)式に示したよ
うに構成される一方、前置補償器80’は、
【0093】
【数16】
【0094】のように、カム相殺フィードバック70の
廃止に対応してゲイン算出部73の微分ゲインc2を含
んで構成される。
【0095】この場合では、フィードフォワード制御時
に、ゲイン算出部73の各ゲインを、 c0=c1=c2=0 とすることで、フィードフォワード制御とすることがで
き、上記(22)式を、 ω2(P22+P1s+P0)/(S2+2ζωs+ω2) とした場合、 P2=P1=0 P0=1 とすることで、前置補償器を規範モデルと一致させるこ
とができ、前記第2実施形態と同様に、フィードバック
制御とフィードフォワード制御を切り換えて使用する場
合であっても、目標動特性が本来の動特性(図中規範モ
デル応答)からずれるのを防いで制御精度を確保するこ
とができるのである。
【0096】ここで、トロイダル型無段変速機10の伝
達関数を上記(3)式とし、規範モデルを上記(7)
式、各ゲインc0からc2を上記(6)式として、これら
ゲインを前記従来例(特願平9−312048号)と同
様に設定した場合、前置補償器80’の出力r3からト
ロイダル型無段変速機10の出力φまでの伝達関数は、
上記(1)式と同様となる。
【0097】また、規範モデル81の入力r11から同
じくトロイダル型無段変速機10の出力φまでの伝達関
数G11は、
【0098】
【数17】
【0099】として表される。
【0100】同様に、前置補償器80’の入力r12か
ら同じくトロイダル型無段変速機10の出力φまでの伝
達関数G12は、
【0101】
【数18】
【0102】として表される。
【0103】そして、これら伝達関数G11、G12
は、上記したように、線形システムとして扱うことがで
きるため、これらの和をとると、
【0104】
【数19】
【0105】となって、上記(7)式の規範モデルに一
致し、前記従来例(特願平10−9570号)のよう
に、フィードバック制御とフィードフォワード制御を切
り換えて行う場合であっても、フィードフォワード状態
のときに、前置補償器80’を無効化することで、目標
動特性が本来の動特性(図中規範モデル応答)からずれ
るのを防止して、変速制御の精度を確保することができ
るのである。
【0106】なお、上記実施形態において、無段変速機
としてトロイダル型を採用した場合について述べたが、
Vベルト式等に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す無段変速機の変速制
御装置の概念図。
【図2】同じく変速制御コントローラのブロック図であ
る。
【図3】前置補償器のブロック図である。
【図4】同じく前置補償器の一例を示すモデルである。
【図5】同じく前置補償器A1の一例を示すモデルであ
る。
【図6】同じく前置補償器A2の一例を示すモデルであ
る。
【図7】同じく、前置補償器A2の特性を示すグラフ
で、変速と時間の関係を示す。
【図8】同じく、前置補償器A1及びA2の特性を示す
グラフで、変速と時間の関係を示す。
【図9】前置補償器A1の他の一例を示すモデルであ
る。
【図10】同じく、前置補償器A1の他の一例を示し、
(A)はオイラー積分回路、(B)は各定数を設定した
離散系のモデルである。
【図11】変速制御コントローラで行われる前置補償器
の演算の一例を示すフローチャートである。
【図12】第2の実施形態を示し、変速制御コントロー
ラのブロック図である。
【図13】同じく、前置補償器とフィードフォワード制
御の関係を示す特性図。
【図14】同じく、前置補償器A2の他の一例を示すブ
ロック図。
【図15】第3の実施形態を示し、変速制御コントロー
ラのブロック図である。
【図16】フィードバックループの概念図で、(A)は
制御モデル、(B)は伝達関数を示す。
【図17】フィードバック系の一例を示す特性図で、変
速比と時間の関係を示す。
【図18】トロイダル型無段変速機の特性モデルであ
る。
【符号の説明】
4 ステップモータ 10 無段変速機 20 入力軸 61 変速制御コントローラ 62 スロットル開度センサ 63 車速センサ 64 入力軸回転センサ 65 油温センサ 66 油圧センサ 70 カム相殺フィードバック部 71 傾転角算出部 72 y変位推定部 73 ゲイン算出部 74 積分器 75 ステップ変換部 80 前置補償器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 成田 靖史 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 竹田 和宏 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 3J051 AA03 BA05 BD02 BE05 CA05 CB01 DA09 EA08 EB01 ED17 FA01 3J052 AA20 CA21 CA31 FA06 FB31 FB46 GC03 GC34 GC35 GC44 GC46 GC72 HA11 HA13 LA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクチュエータに駆動される油圧制御機
    構を介して制御される変速機構とを備えて変速比を連続
    的に変更する無段変速機と、 運転状態に応じて前記無段変速機の目標変速比を演算す
    るとともに、実際の変速比と目標変速比の偏差に基づい
    て、実際の変速比が目標変速比に一致するように前記ア
    クチュエータを駆動するフィードバック制御手段とを備
    えた無段変速機の変速制御装置において、 前記フィードバック制御手段は、目標変速比から実変速
    比までの伝達関数が、所定の規範モデルに一致ないし近
    似する前置補償器を備えたことを特徴とする無段変速機
    の変速制御装置。
  2. 【請求項2】 アクチュエータに駆動される油圧制御機
    構を介して制御される変速機構とを備えて変速比を連続
    的に変更する無段変速機と、 運転状態に応じて前記無段変速機の目標変速比を演算す
    るとともに、実際の変速比と目標変速比の偏差に基づい
    て、実際の変速比が目標変速比に一致するように前記ア
    クチュエータを駆動するフィードバック制御手段と、 運転状態に応じてフィードフォワードによる目標変速比
    に基づいて前記アクチュエータを駆動するフィードフォ
    ワード制御手段と、 所定の運転状態に応じて前記フィードバック制御手段と
    フィードフォワード制御手段を制御ゲインの変更により
    切り換える切換手段とを備えた無段変速機の変速制御装
    置において、 前記フィードバック制御手段は目標変速比から実変速比
    までの伝達関数が、所定の規範モデルに一致ないし近似
    する前置補償器と、前記切換手段がフィードフォワード
    制御手段を選択したときには前置補償器を無効化する無
    効化手段とを備えたことを特徴とする無段変速機の変速
    制御装置。
  3. 【請求項3】 前記無効化手段は、前置補償器と並列的
    に配設した規範モデルを備え、前記切換手段がフィード
    フォワード制御手段を選択したときには規範モデルから
    の目標値をフィードバックループへ送出する一方、前記
    切換手段がフィードバック制御手段を選択したときには
    前置補償器からの目標値を前記フィードバックループへ
    送出することを特徴とする請求項2に記載の無段変速機
    の変速制御装置。
  4. 【請求項4】 前記無効化手段は、前記切換手段がフィ
    ードフォワード制御手段を選択したときには、前記前置
    補償器の定常ゲインを1または1に近似した値に設定す
    ることを特徴とする請求項2に記載の無段変速機の変速
    制御装置。
  5. 【請求項5】 前記無効化手段は、前置補償器と並列的
    に配設した規範モデルを備え、前記切換手段がフィード
    フォワード制御手段を選択したときには、切換手段が変
    更した制御ゲインに応じて前記前置補償器を無効化する
    ことを特徴とする請求項2に記載の無段変速機の変速制
    御装置。
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