JP2000001728A - 0.2%耐力および疲労強度の優れた熱交換器用継目無銅合金管 - Google Patents
0.2%耐力および疲労強度の優れた熱交換器用継目無銅合金管Info
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Abstract
継目無銅合金管、特にHFC系フロンを熱媒体として使
用した熱交換器の伝熱管に使用できる継目無銅合金管に
関するものである。 【解決手段】 重量%で、Co:0.02〜0.2%、
P:0.01〜0.05%を含有し、必要に応じてC:
1〜20ppm を含有し、残りがCuおよび不可避不純物
からなり、前記不可避不純物として含まれる酸素含有量
が50ppm 以下に規制した組成の銅合金からなる熱交換
器用継目無銅合金管。
Description
器の伝熱管として用いられる0.2%耐力および疲労強
度の優れた継目無銅合金管に関するものであり、特にH
FC系フロンを熱媒体として使用した熱交換器の伝熱管
に使用できる耐力および疲労強度の優れた継目無銅合金
管に関するものである。
銅からなる継目無銅管が用いられている。この燐脱酸銅
からなる継目無銅管を熱交換器の伝熱管として組み立て
るには、放熱および吸熱効果を高めるために、燐脱酸銅
からなる継目無銅合金管を所定の長さに切断し、これを
ヘアピン曲げ加工してU字形状に成形し、このU字形状
管を平行に並べたアルミニウムまたはアルミニウム合金
フィンの貫通孔に通し、U字形状管にプラグを通して拡
管するか、もしくは液圧により拡管してアルミニウムま
たはアルミニウム合金フィンを平行に伝熱管に固定す
る。
レア加工、およびフレア加工された部分を再び押し広げ
るリフレア加工を施し、この拡管部分に別のU字形状管
を挿入し、燐銅ろうによりろう付けしてU字形状管同士
を接続する。
を拡管した後ろう付けのために管端が加熱されると、加
熱された部分の結晶粒が粗大化し、ろう付け部に隣接し
た熱影響部の強度が著しく低下することがある。かかる
ろう付け時の結晶粒の粗大化を阻止するための熱交換器
用継目無銅合金管として、燐脱酸銅にFeを添加して結
晶粒が粗大化しにくくした熱交換器用継目無銅合金管が
知られている。この従来の燐脱酸銅にFeを必須成分と
して含有する熱交換器用継目無銅合金管として、例え
ば、Fe:0.005〜0.8%、P:0.01〜0.
026%、Zr:0.005〜0.3%、O2 :3〜3
0ppm を含み、残部:Cuからなる組成の熱交換器用継
目無銅合金管(特公昭58−39900号公報参照)お
よびFe:0.01〜1.0%、Cr,Si,Mn,A
s,Ni,Coのうち1種または2種以上:0.005
〜0.6%、P、Ca,Mgのうち1種または2種以
上:0.004〜0.04%を含み、残部:Cuからな
る組成の熱交換器用継目無銅合金管(特開昭52−15
6718公報参照)などが知られている。
として組み込まれ、伝熱管には熱媒体を充填し、熱媒体
に凝縮圧力をかけたり解放したりして熱交換器を作動さ
せる。前記熱媒体として従来はHCFC系フロンが用い
られていたが、このHCFC系フロンは、地球のオゾン
層の破壊に寄与するところから、近年、オゾン層破壊の
ないHFC系フロンを使用するようになってきた。
ンを熱媒体として使用した場合の凝縮圧力は、従来のH
CFC系フロンを熱交換器の熱媒体として使用した場合
の凝縮圧力よりも大きくする必要がある。例えば、HC
FC系フロンの内でも代表的なR−22を熱交換器の熱
媒体として使用した場合に伝熱管内のHCFC系フロン
にかける凝縮圧力は20Kgf/cm2 で十分であった
が、HFC系フロンの内でも代表的なR−410aを熱
媒体として使用した場合の凝縮圧力は31Kgf/cm
2 を必要とし、熱交換器の伝熱管にかかる凝縮圧力は従
来の1.5倍以上の凝縮圧力を必要とする。かかる高い
凝縮圧力を周期的にかけられる環境下では、従来の伝熱
管では0.2%耐力および疲労強度が不足し、長年使用
していると伝熱管に亀裂が発生して故障したり、0.2
%耐力の不足により伝熱管の寸法が大きく変化して熱交
換器の性能が低下するなどの課題があった。
従来よりも0.2%耐力および疲労強度の優れた銅合金
からなる熱交換器用継目無銅合金管を得るべく研究を行
った結果、(a)燐脱酸銅にCoを単独で0.02〜
0.2%添加すると0.2%耐力および疲労強度が飛躍
的に向上し、導電率も向上する、(b)燐脱酸銅にC
o:0.02〜0.2%とともに炭素を1〜20ppm 添
加すると、0.2%耐力および疲労強度がさらに向上す
る、(c)Pの含有量は0.01〜0.05%が好まし
く、さらに不可避不純物として含まれる酸素含有量は5
0ppm 以下に規定することが好ましい、などの知見を得
たのである。
れたものであって、(1)重量%で、Co:0.02〜
0.2%、P:0.01〜0.05%を含有し、残りが
Cuおよび不可避不純物からなり、前記不可避不純物と
して含まれる酸素含有量を50ppm 以下に規制した組成
の銅合金からなる0.2%耐力および疲労強度の優れた
熱交換器用継目無銅合金管、(2)重量%で、Co:
0.02〜0.2%、P:0.01〜0.05%、C:
1〜20ppm を含有し、残りがCuおよび不可避不純物
からなり、前記不可避不純物として含まれる酸素含有量
を50ppm 以下に規制した組成の銅合金からなる0.2
%耐力および疲労強度の優れた熱交換器用継目無銅合金
管、に特徴を有するものである。
造するには、通常の電気銅を還元雰囲気中で溶解して酸
素:50ppm 以下の低酸素銅溶湯を作製し、得られた低
酸素銅溶湯にCoおよびCu−P母合金を添加し、さら
に必要に応じて所定量のCをCo−C母合金として添加
したのち鋳造して円柱状鋳塊を製造する。
加熱し、水中押出し加工を施し、さらに冷間加工および
焼鈍を施すことにより所定の断面寸法の熱交換器用継目
無銅合金管を作製する。
金管を構成する銅合金の成分組成を上記の如く限定した
理由について説明する。
し、素材の0.2%耐力および疲労強度を向上させる成
分であるが、Co含有量が0.2%を越えると導電率が
70%未満となって熱伝導率が低下するので好ましくな
く、一方、Co含有量が0.01%未満では所望の効果
が得られない。したがって、Co含有量は0.02〜
0.2%の範囲となるようにそれぞれ定めた。Co含有
量の一層好ましい範囲は0.04〜0.1%である。
て0.2%耐力および疲労強度を向上させる作用がある
が、その含有量が0.05%を越えると著しく導電率を
低下させるので好ましくなく、一方、その含有量が0.
01%未満では所望の効果が得られない。したがってP
の含有量は0.01〜0.05%に定めた。P含有量の
一層好ましい範囲は0.015〜0.04%である。
を越えて含有すると粗大な酸化物が形成され、0.2%
耐力および疲労強度を低下させるので好ましくない。従
って、熱交換器用継目無銅合金管に含まれる酸素含有量
は50ppm 以下(好ましくは10ppm 以下)に定めた。
めに必要に応じて添加するが、その含有量が20ppm を
越えて含有させることは通常の溶解鋳造法では困難であ
り、一方、1ppm 未満の含有は所望の効果が得られな
い。従って、C含有量は1〜20ppm (好ましくは1〜
5ppm )に定めた。
銅を還元雰囲気中で溶解して酸素:50ppm以下の低酸
素銅溶湯を作製し、得られた低酸素銅溶湯にCoおよび
Cu−15%P母合金を添加し、さらに必要に応じて所
定量のCo−1%C母合金として添加したのち鋳型に鋳
込んで直径:320mm、長さ:710mの寸法を有し、
表1〜表3に示される成分組成の円柱状鋳塊を製造し
た。
より、温度:950℃、1時間保持の条件で加熱したの
ち、水中押出し加工することにより溶体化処理と同時に
直径:100mm、厚さ:10mmの寸法を有する素管を作
製した。
工することにより内径:6.5mm、肉厚:0.25mmの
寸法を有する継目無銅合金管に成形し、得られた継目無
銅合金管を、さらに光揮焼鈍炉に装入し、550℃に1
時間保持の焼鈍を施し、本発明熱交換器用継目無銅合金
管(以下、本発明管という)1〜14および比較熱交換
器用継目無銅合金管(以下、比較管という)1〜5を製
造した。さらにFeを必須成分として含有する表3に示
される成分組成の従来熱交換器用継目無銅合金管(以
下、従来管という)1〜3を用意した。
よび従来管1〜3の一端をそれぞれ密封し、他端から6
0kgf/cm2 の内圧をかけたのち解放する周期的内
圧を本発明管1〜14、比較管1〜5および従来管1〜
3にそれぞれ2×107 回繰り返し施し、亀裂発生の有
無を測定し、その結果を表1〜表3に示に表すことによ
り疲労強度を評価した。
よび従来管1〜3と同じ組成の引張試験をそれぞれ用意
し、これら引張試験片を用い、JIS Z 2241に
準拠した方法により引張試験を行って0.2%耐力およ
び伸びを測定し、その結果を表1〜表3に示し、さらに
JIS C 3001に準拠した四端子法により測定
長:1mで導電率を測定してその結果を表1〜表3に示
すことにより伝熱特性を評価した。
管1〜14はいずれも周期的内圧を2×107 回繰り返
し施しても亀裂が発生しないのに対し、従来管1〜3は
1×106 回以下の周期的内圧でいずれも亀裂が発生し
ているところから、本発明管1〜14は従来管1〜3に
比較して疲労強度が優れていることが分かる。また伸び
は従来管1〜3に比較して格段の差は無いが、0.2%
耐力については本発明管1〜14は従来管1〜3に比較
していずれも優れており、さらに導電率も向上している
ことが分かる。
組成を有する比較管1〜5は、疲労強度、0.2%耐
力、伸び、導電率の内の少なくとも1つに熱交換器用継
目無銅合金管としては好ましくない特性が現われている
ことがわかる。
無銅合金管は、特に疲労強度および0.2%耐力に優れ
ているので、熱交換器の伝熱管として有効であり、特に
HFC系フロンを熱交換器の熱媒体として使用する熱交
換器の普及に大いに貢献し得るものである。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で、Co:0.02〜0.2%、
P:0.01〜0.05%を含有し、残りがCuおよび
不可避不純物からなり、前記不可避不純物として含まれ
る酸素含有量を50ppm 以下に規制した組成の銅合金か
らなることを特徴とする0.2%耐力および疲労強度の
優れた熱交換器用継目無銅合金管。 - 【請求項2】 重量%で、Co:0.02〜0.2%、
P:0.01〜0.05%、C:1〜20ppm を含有
し、残りがCuおよび不可避不純物からなり、前記不可
避不純物として含まれる酸素含有量を50ppm 以下に規
制した組成の銅合金からなることを特徴とする0.2%
耐力および疲労強度の優れた熱交換器用継目無銅合金
管。
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