JP2000001156A - リヤシート用シートベルト装置の取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両の重量増加及び製造コストの増加を招く
ことなくシートベルトリトラクタを取り付けることがで
き、また、シートベルト装置の使い勝手を低下させるこ
とのないリヤシート用シートベルト装置の取付構造を提
供する。 【解決手段】 ボディシェル１の後方一側のＤピラー６
とサイドレール８とリヤレール９との連結部近傍で、上
記サイドレール８と上記リヤレール９とに架設されたブ
ラケット３０を介してシートベルトリトラクタ２４を固
定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する分野】本発明は、リヤシート用シートベ
ルト装置の取付構造、特に、ワゴン等の車両における３
人掛けリヤシートの中央シート用の３点式シートベルト
装置の取付構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、車両においては、乗員の安全性を
より向上するため、リヤシートにも３点式のシートベル
ト装置を採用する傾向にある。

【０００３】ところで、リヤシートが３人掛けに設定さ
れたワゴン車において、上記リヤシートの左右両側シー
トはＣピラーにシートベルトリトラクタを固定すること
によってシートベルト装置の構造を容易に３点式とする
ことが可能であるが、上記リヤシートの中央シートはシ
ートベルトリトラクタの固定場所を確保することが困難
であるため、一般に、２点式のシートベルト装置が採用
されていた。

【０００４】このようなワゴン車のリヤシートにおいて
上記中央シートにも３点式のシートベルト装置を装備す
るため、例えば、特開昭６３−１３０４４８号公報に記
載されているように、車室内ルーフ中央部下面に上記中
央シート用のシートベルトリトラクタを設けることが考
えられる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述のように
車室内ルーフ中央部下面にシートベルトリトラクタを設
けるためには、ルーフを補強する必要があり、このこと
は、車両の重量増加及び製造コストの上昇等を招く。

【０００６】また、従来より、リヤシートの背もたれ及
びその周辺部材を補強し、この補強されたリヤシートの
背もたれ内部にシートベルトリトラクタを固定して、上
記中央シート用のシートベルト装置を３点式とする技術
が提案されているが、このようにリヤシートの背もたれ
及びその周辺部材を補強することは、上述の技術と同
様、車両の重量増加及び製造コストの上昇等を招く。

【０００７】一方、これらに対処し、シートベルトリト
ラクタをラゲージルームの床面に固定してリヤシート中
央のシートベルト装置を３点式とすると、シートベルト
装置を使用する際のベルトの取り出しが困難となるばか
りか、シートベルト装置使用中のラゲージルームの使い
勝手が低下する虞がある。

【０００８】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、車両の重量増加及び製造コストの増加を招くことな
くシートベルトリトラクタを取り付けることができ、ま
た、シートベルト装置の使い勝手を低下させることのな
いリヤシート用シートベルト装置の取付構造を提供する
ことを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、第１の発明によるリヤシート用シートベルト装置の
取付構造は、ルーフの側端で前後方向に設けられた縦方
向部材と、上記ルーフの幅方向に設けられ上記縦方向部
材と連結される横方向部材と、上記縦方向部材と上記横
方向部材との連結部近傍で上記ルーフを支持する柱部材
とを備えた車両において、上記連結部近傍にリヤシート
用のシートベルトリトラクタを設けたことを特徴とす
る。

【００１０】また、第２の発明によるリヤシート用シー
トベルト装置の取付構造は、上記第１の発明において、
上記シートベルトリトラクタは、上記連結部近傍で上記
縦方向部材と上記横方向部材とに架設されたブラケット
を介して固定されることを特徴とする。

【００１１】また、第３の発明によるリヤシート用シー
トベルト装置の取付構造は、上記第１または第２の発明
において、上記縦方向部材と上記横方向部材は上記ルー
フの下方に所定の厚さを持って構成され、上記ブラケッ
トは上記縦方向部材と上記横方向部材の下方で架設さ
れ、上記シートベルトリトラクタは上記ブラケットの上
面で固定されることを特徴とする。

【００１２】また、第４の発明によるリヤシート用シー
トベルト装置の取付構造は、上記第１乃至第３の発明に
おいて、上記縦方向部材は上記ルーフのサイドレールで
あることを特徴とする。

【００１３】また、第５の発明によるリヤシート用シー
トベルト装置の取付構造は、上記第１乃至第４の発明に
おいて、上記横方向部材は上記ルーフのリヤレールであ
ることを特徴とする。

【００１４】また、第６の発明によるリヤシート用シー
トベルト装置の取付構造は、上記第１乃至第５の発明に
おいて、上記車両はワゴン車であって、上記リヤレール
はリヤハッチを開閉自在に支持するヒンジ取付用の補強
部材を備え、上記ブラケットの一端側は上記ヒンジ取付
用の補強部材に結合されていることを特徴とする。

【００１５】また、第７の発明によるリヤシート用シー
トベルト装置の取付構造は、上記第１乃至第６の発明に
おいて、上記車両は上記ルーフの上部にルーフレールを
備えた車両であって、上記リヤレールは上記ルーフレー
ル取付用の補強部材を備え、上記ブラケットの他端側は
上記ルーフレール取付用の補強部材の近傍で上記リヤレ
ールに結合されていることを特徴とする。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。図１乃至図４は本発明の実施の一
形態に係わり、図１はワゴン車のボディシェル内部の要
部を斜め下方から見た斜視図、図２は上記ワゴン車のボ
ディシェル内部の要部を下方から見た底面図、図３はワ
ゴン車のボディシェルを斜め後方から見た斜視図、図４
はリヤシートのシートベルトを示す説明図、である。

【００１７】図３中符号１はワゴン車のボディシェルを
示し、このボディシェル１はアンダボディ２と、このア
ンダボディ２の側方に前側から順に立設された柱部材と
してのＡピラー３，Ｂピラー４，Ｃピラー５，Ｄピラー
６と、これらのピラーによって支持されたルーフパネル
７と、を備えて構成されている。

【００１８】ここで、上記ボディシェル１の後方におけ
る上記ルーフパネル７の支持構造について詳しく説明す
ると、図１，図２に示すように、上記ルーフパネル７の
側端には縦方向強度部材としてのサイドレール８が設け
られ、上記ルーフパネル７の後端には横方向強度部材と
してのリヤレール９が設けられている。

【００１９】これらサイドレール８及びリヤレール９
は、上記ルーフパネル７の下方に所定の厚みを持った中
空の部材に形成され、上記サイドレール８の基端部と上
記リヤレール９の端部とが互いに連結されている。さら
に、上記サイドレール８には、上記リヤレール９との連
結部近傍に、上記Ｄピラー６が連結されている。

【００２０】上記Ｄピラー６と上記サイドレール８との
連結部は内部で互いに連通され、この連結部内には、該
連結部の折れ曲がりを防止するための補強材としてサイ
ドリーンホースメント１０が設けられている。

【００２１】このサイドリーンホースメント１０の一端
は、上記サイドレール８内に沿って車体前方に延長さ
れ、この延長されたサイドリーンホースメント１０の途
中には、図示しないルーフレールの脚部取付部１１を補
強するための補強部材１０ａが設けられている（図２参
照）。

【００２２】すなわち、上記サイドリーンホースメント
１０は、上記Ｄピラー６と上記サイドレール８の連結部
の折れ曲がり防止用の補強部材として機能するととも
に、ルーフレールの脚部取付部１１の補強部材として機
能する。

【００２３】また、上記リヤレール９の内部には、リヤ
ハッチ（図示せず）を開閉自在に支持するヒンジ（図示
せず）を固定するためのヒンジ固定部１２（図３参照）
を補強するリヤリーンホースメント１３が設けられてい
る。

【００２４】図４において、符号２０は、上述のボディ
シェル１を備えたワゴン車に装着されるリヤシートを示
し、このリヤシート２０は、右側シート２０ａ，左側シ
ート２０ｂ，及び中央シート２０ｃからなる３人掛けの
シートに構成されている。

【００２５】上記右側シート２０ａ，左側シート２０ｂ
には、上記Ｃピラー５，５にそれぞれ固定されたシート
ベルトリトラクタ２１ａ，２２ａを有する周知の３点式
構造のシートベルト装置２１，２２が設けられている。

【００２６】一方、上記中央シート２０ｃに設けられる
シートベルト装置２３は、シートベルトリトラクタ２４
と、自由端が上記シートベルトリトラクタ２４から延出
された第１のシートベルト２５と、上記第１のシートベ
ルト２５の自由端に設けられたバックル２６ａと、この
バックル２６ａと係合自在なタングプレート２６ｂと、
自由端が上記タングプレート２６ｂに連結された第２の
シートベルト２７と、この第２のシートベルト２７の途
中に介装されたスルータング２８ｂと、このスルータン
グ２８ｂと係合自在なバックル２８ａと、自由端が上記
バックル２８ａに連結された第３のシートベルト２９
と、を備えて構成されている。

【００２７】ここで、上記第２のシートベルト２７及び
上記第３のシートベルト２９の固定端は、上記中央シー
ト２０ｃの下方で、互いに所定間隔隔ててアンダボディ
２に固定されている。

【００２８】また、上記シートベルトリトラクタ２４
は、図１，図２に示すように、ボディシェル１の後方一
側のＤピラー６とサイドレール８とリヤレール９との連
結部近傍で、上記サイドレール８と上記リヤレール９と
に架設されたブラケット３０を介して固定されている。

【００２９】詳しく説明すると、上記ブラケット３０の
一端側は、サイドリーンホースメント１０で補強された
上記サイドレール８の下方でボルト３１ａによって締結
固定されている。この際、上記ブラケット３０の一端側
は、上記ボルト３１ａによって、ルーフレールの脚部取
付部１１を補強する補強部材１０ａの近傍に、締結され
る。

【００３０】一方、上記ブラケット３０の他端側は、上
記リヤレール９の下方でボルト３１ｂによって締結固定
されている。この際、上記ブラケット３０の他端側は、
上記ボルト３１ｂによって、ヒンジ固定部１２を補強す
るリヤリーンホースメント１３とも締結される。

【００３１】ここで、上述のように上記サイドレール８
及びリヤレール９は、ルーフパネル７の下方に所定の厚
みを持った最中状に構成され、上記ブラケット３０はこ
れらの下方で締結固定されているので、該ブラケット３
０と上記ルーフパネル７との間には所定の間隙が形成さ
れる。

【００３２】上記シートベルトリトラクタ２４は、この
間隙を利用して上記ブラケット３０に取り付けられるも
ので、該シートベルトリトラクタ２４の基端側に設けら
れた取付部材２４ａが上記ブラケット３０の上面に当接
され、これら取付部材２４ａとブラケット３０とがボル
ト３１ｃによって締結されることによって固定される。

【００３３】なお、上記シートベルトリトラクタ２４
は、上記ルーフパネル７と上記ブラケット３０との間に
固定された後、図示しないルーフトリムが車内側から取
り付けられることによって、被覆される。

【００３４】このシートベルト装置２３は、第１のシー
トベルト２５が車体後方に固定されたシートベルトリト
ラクタ２４から延出され、この第１のシートベルト２５
の自由端がバックル２６ａ，タングプレート２６ｂを介
して第２のシートベルト２７の自由端と係合されるとと
もに、バックル２８ａ，スルータング２８ｂを介して第
３のシートベルト２９の自由端が上記第２のシートベル
ト２７の中途と係合されることにより３点式構造のシー
トベルト装置として機能する。

【００３５】このように構成された中央シート２０ｃ用
のシートベルト装置２３は、シートベルトリトラクタ２
４をＤピラー６，サイドレール８，リヤレール９等の強
度部材の集合部分に固定することにより、該シートベル
トリトラクタ２４取付用の新たな補強を行うことなく、
充分な取付強度を得ることができる。

【００３６】すなわち、ルーフパネル７に設けられる車
体の強度部材であるサイドレール８，及びリヤレール９
を上記シートベルトリトラクタ２４の取付用の補強部材
として兼用することができる。

【００３７】従って、リヤシート２０の中央シート２０
ｃに３点式のシートベルト装置を装備する際の車両の重
量増加及び製造コストの増加を防止することができる。

【００３８】また、上記シートベルトリトラクタ２４
を、ブラケット３０を介して固定することにより、シー
トベルト装置２３組立時の組立性を容易なものとするこ
とができる。

【００３９】また、ルーフパネル７の下方に所定の厚さ
を有する最中状のサイドレール８とリヤレール９とに上
記ブラケット３０を架設し、上記サイドレール８と上記
リヤレール９とに囲まれたデッドスペースを有効に活用
してシートベルトリトラクタ２４を取り付けることによ
り、該シートベルトリトラクタ２４を収納するための新
たなスペースを車室内に設ける必要がない。また、この
際に、上記シートベルトリトラクタ２４はルーフトリム
に被覆されるので車内の美観を損なうことがない。

【００４０】また、上記ブラケット３０の一端側を、サ
イドリーンホースメント１０で補強された上記サイドレ
ール８の下方でボルト３１ａによって締結固定する際
に、上記ボルト３１ａによって、締結することにより上
記シートベルトリトラクタ２４の取付強度をより向上す
ることができる。

【００４１】さらに、上記ブラケット３０の一端側を、
ルーフレールの脚部取付部１１を補強する補強部材１０
ａの近傍で、固定することにより、上記ブラケット３０
にかかる力をルーフレールを介して分散化させることが
できる。

【００４２】また、上記ブラケット３０の他端側を、ヒ
ンジ固定部１２を補強するリヤリーンホースメント１３
で補強された上記リヤレール９の下方で上記ボルト３１
ｂによって、締結することにより上記シートベルトリト
ラクタ２４の取付強度をより向上することができる。

【００４３】また、上記シートベルトリトラクタ２４は
車両のルーフ側に設けられているので、シートベルト装
置２３及びリヤシート２０後方のラゲージルーム等の使
い勝手を低下させることがない。

【００４４】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、車
両の重量増加及び製造コストの増加を招くことなくシー
トベルトリトラクタを取り付けることができ、また、シ
ートベルト装置の使い勝手を低下させることのないリヤ
シート用シートベルト装置の取付構造を提供することが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】ワゴン車のボディシェル内部の要部を斜め下方
から見た斜視図

【図２】ワゴン車のボディシェル内部の要部を下方から
見た底面図

【図３】ワゴン車のボディシェルを斜め後方から見た斜
視図

【図４】リヤシートのシートベルトを示す説明図

【符号の説明】

６ … Ｄピラー（柱部材） ８ … サイドレール（縦方向部材） ９ … リヤレール（横方向部材） １０ … サイドリーンホースメント（ルーフレール
取付用の補強部材） １０ａ … 補強部材（ルーフレール取付用の補強部
材） １３ … リヤリーンホースメント（ヒンジ取付用の
補強部材） ２０ … リヤシート ２０ｃ … 中央シート ２３ … シートベルト装置 ２４ … シートベルトリトラクタ

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ルーフの側端で前後方向に設けられた縦
   方向部材と、 上記ルーフの幅方向に設けられ、上記縦方向部材と連結
   される横方向部材と、 上記縦方向部材と上記横方向部材との連結部近傍で上記
   ルーフを支持する柱部材とを備えた車両において、 上記連結部近傍にリヤシート用のシートベルトリトラク
   タを設けたことを特徴とするリヤシート用シートベルト
   装置の取付構造。
2. 【請求項２】 上記シートベルトリトラクタは、上記連
   結部近傍で上記縦方向部材と上記横方向部材とに架設さ
   れたブラケットを介して固定されることを特徴とする請
   求項１記載のリヤシート用シートベルト装置の取付構
   造。
3. 【請求項３】 上記縦方向部材と上記横方向部材は上記
   ルーフの下方に所定の厚さを持って構成され、上記ブラ
   ケットは上記縦方向部材と上記横方向部材の下方で架設
   され、上記シートベルトリトラクタは上記ブラケットの
   上面で固定されることを特徴とする請求項１または請求
   項２記載のリヤシート用シートベルト装置の取付構造。
4. 【請求項４】 上記縦方向部材は上記ルーフのサイドレ
   ールであることを特徴とする請求項１乃至請求項３記載
   のリヤシート用シートベルト装置の取付構造。
5. 【請求項５】 上記横方向部材は上記ルーフのリヤレー
   ルであることを特徴とする請求項１乃至請求項４記載の
   リヤシート用シートベルト装置の取付構造。
6. 【請求項６】 上記車両はワゴン車であって、上記リヤ
   レールはリヤハッチを開閉自在に支持するヒンジ取付用
   の補強部材を備え、 上記ブラケットの一端側は上記ヒンジ取付用の補強部材
   に結合されていることを特徴とする請求項１乃至請求項
   ５記載のリヤシート用シートベルト装置の取付構造。
7. 【請求項７】 上記車両は上記ルーフの上部にルーフレ
   ールを備えた車両であって、上記リヤレールは上記ルー
   フレール取付用の補強部材を備え、 上記ブラケットの他端側は上記ルーフレール取付用の補
   強部材の近傍で上記リヤレールに結合されていることを
   特徴とする請求項１乃至請求項６記載のリヤシート用シ
   ートベルト装置の取付構造。