WO2024122352A1 - ポリマーフィルム、積層体及び金属付き積層体 - Google Patents

ポリマーフィルム、積層体及び金属付き積層体 Download PDF

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Abstract

60℃における弾性率が10MPa以下であり、290℃における熱質量減少率が1.0質量%以下であり、誘電正接が0.01以下である、ポリマーフィルム等。

Description

ポリマーフィルム、積層体及び金属付き積層体
 本開示は、ポリマーフィルム、積層体金属付き積層体に関する。
 近年、通信機器に使用される周波数は非常に高くなる傾向にある。高周波帯域における伝送損失を抑えるため、回路基板に用いられる絶縁材料の比誘電率と誘電正接とを低くすることが要求されている。回路基板を構成する部材として銅張積層板が好適に用いられ、銅張積層板の製造には、ポリマーフィルムが好適に用いられる。
 例えば、特開2019-199612号公報には、スチレン系ポリマーと、無機フィラーと、硬化剤とを含む樹脂組成物を含む接着フィルムが開示されている。
 また、特開2019-135301号公報には、光学的異方性の溶融相を形成し、分子配向度SORが0.8~1.4である熱可塑性液晶ポリマーフィルムを準備する準備工程と、前記熱可塑性液晶ポリマーフィルムを、100℃~200℃の範囲で所定の時間加熱して、脱気を行う第一の脱気工程と、前記熱可塑性液晶ポリマーフィルムに対して、真空度1500Pa以下で80~200℃の範囲で加熱することにより、さらに所定の時間脱気を行う第二の脱気工程と、を備え、分子配向度SORが0.8~1.4であり、且つ水分率300ppm以下である熱可塑性液晶ポリマーフィルムを製造する製造方法が開示され、上記熱可塑性液晶ポリマーフィルムを回路基板に使用することが開示されている。
 通常、銅張積層板は、ポリマーフィルムの表面に銅箔を積層することによって製造される。また、配線基板は、銅張積層板と配線基材とを、銅張積層板におけるポリマーフィルムと配線基材とが接するように重ね合わせることによって製造される。配線基板を製造する場合には、密着性の観点から、配線基材の表面に形成されている段差に対してポリマーフィルムが追従して変形することが求められている。
 一方、銅張積層板に、配線基材に対する段差追従性に優れるポリマーフィルムを用いた場合に、電子部品を実装する際に行うリフローはんだ付け工程において、層間剥離が生ずる場合があった。このため、配線基材に対する段差追従性を有することと、リフローはんだ付けの際の密着性に優れること(すなわち、耐熱性に優れること)との両立が求められていた。
 本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、段差追従性及び耐熱性に優れるポリマーフィルムを提供することである。
 また、本開示の他の実施形態が解決しようとする課題は、段差追従性及び耐熱性に優れる積層体及び金属付き積層体を提供することである。
 上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 160℃における弾性率が10MPa以下であり、
 290℃における熱質量減少率が1.0質量%以下であり、
 誘電正接が0.01以下である、
 ポリマーフィルム。
<2> 290℃における弾性率が0.01MPa以上である、上記<1>に記載のポリマーフィルム。
<3> 酸化防止剤を含む、上記<1>又は<2>に記載のポリマーフィルム。
<4> 上記酸化防止剤が、ラジカル捕捉剤である、上記<3>に記載のポリマーフィルム。
<5> 金属原子を含まないか、又は、金属原子の含有量が前記ポリマーフィルムの全量に対して0.1質量%未満である、上記<1>~<4>のいずれか1つに記載のポリマーフィルム。
<6> ポリマーを含み、上記ポリマーが、液晶ポリマーを含む、上記<1>~<5>のいずれか1つに記載のポリマーフィルム。
<7> 上記ポリマーが、芳香族ポリエステルアミドを含む、上記<6>に記載のポリマーフィルム。
<8> 芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を含む熱可塑性樹脂を含む、上記<1>~<7>のいずれか1つに記載のポリマーフィルム。
<9> 層Aの少なくとも一方の面に、層Bを有する積層体であって、
 上記層Bの160℃における弾性率が10MPa以下であり、
 上記積層体の290℃における熱質量減少率が1.0質量%以下であり、誘電正接が0.01以下である、
 積層体。
<10> 上記積層体の平均厚みに対する、上記層Bの平均厚みの比が、0.3以上である、上記<9>に記載の積層体。
<11>290℃における弾性率が0.01MPa以上である、上記<9>又は<10>に記載の積層体
<12> 酸化防止剤を含む、上記<9>~<11>のいずれか1つに記載の積層体。
<13> 上記酸化防止剤が、ラジカル捕捉剤である、<12>に記載の積層体。
<14> 層Cを有し、
 上記層B、上記層A、上記層Cをこの順に有する、上記<9>~<13>のいずれか1つに記載の積層体。
<15> 金属原子を含まないか、又は、金属原子の含有量が前記積層体の全量に対して0.1質量%未満である、上記<9>~<14>のいずれか1つに記載の積層体。
<16> 上記<1>~<8>のいずれか1つに記載のポリマーフィルム又は上記<9>~<15>のいずれか1つに記載の積層体と、上記ポリマーフィルム又は上記積層体の少なくとも一方の面に配置された金属層又は金属配線と、を含む金属付き積層体。
 本開示の一実施形態によれば、段差追従性及び耐熱性に優れるポリマーフィルムを提供することできる。
 また、本開示の他の実施形態によれば、段差追従性及び耐熱性に優れる積層体及び金属付き積層体を提供することできる。
 以下において、本開示の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
 なお、本明細書において、数値範囲を示す「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
 本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
 また、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
 また、本明細書中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
 更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
 また、本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶剤THF(テトラヒドロフラン)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
 本開示において、「ポリマー」とは、重量平均分子量が3,000以上であり、且つ、ガラス転移温度が25℃より高い化合物である。
 本開示において、「エラストマー」とは、重量平均分子量が3,000以上であり、且つ、ガラス転移温度が25℃以下である化合物である。
 なお、本開示において、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により測定する。例えば、製品名「DSC-60A Plus」(島津製作所製)等を用いて測定することができる。なお、測定における昇温速度は10℃/分とする。
[ポリマーフィルム]
 本開示に係るポリマーフィルムは、160℃における弾性率が10MPa以下であり、290℃における熱質量減少率が1.0質量%以下であり、誘電正接が0.01以下である。
 本発明者らが鋭意検討した結果、上記構成をとることにより、段差追従性及び耐熱性に優れるポリマーフィルムを提供できることを見出した。
 上記効果が得られる詳細なメカニズムは不明であるが、以下のように推測される。
 本開示に係るポリマーフィルムでは、層Bの、160℃における弾性率が10MPa以下であり、これにより、配線パターンと積層プレス加工する際に、プレス圧力による層Bの変形量が、層Bより硬い他の層より大きくなることにより、段差追従性が向上すると推察される。
 また、本開示に係るポリマーフィルムでは、290℃における熱質量減少率が1.0質量%以下であるため、高温環境下において構成する材料の熱分解が抑制されており、アウトガスの発生が抑制されるため、層間剥離が生じにくい。すなわち、耐熱性に優れる。
 段差追従性の観点から、ポリマーフィルムの160℃における弾性率は、0.1MPa~8MPaであることが好ましく、0.3MPa~5MPaであることがより好ましく、0.3MPa~4MPaであることが更に好ましい。
 本開示において、ポリマーフィルムの160℃における弾性率は、以下の方法により測定する。
 まず、ポリマーフィルムの表面をミクロトームで切削して作製したフィルム断面サンプル(長さ2mm×幅2mm)を用意する。
 次に、フィルム断面サンプルの160℃弾性率を、ナノインデンテーション法を用いて、押し込み弾性率として測定する。押し込み弾性率は、微小硬度計(例えば、製品名「DUH-W201」、(株)島津製作所製)を用い、ビッカース圧子により0.28mN/秒の荷重速度で負荷をかけ、最大荷重10mNを10秒間保持した後に、0.28mN/秒の荷重速度で除荷を行うことにより、測定する。
 なお、後述する積層体が備える層Bの160℃における弾性率は、積層体が金属層等の支持体を有する場合には、これをエッチングした後、層Bの表面をミクロトームで切削してフィルム断面サンプル(長さ2mm×幅2mm)を作製し、測定する。
 耐熱性の観点から、ポリマーフィルムの290℃における弾性率は、0.01MPa以上であることが好ましく、0.02MPa~0.10MPaであることがより好ましく、0.03MPa~0.08MPaであることが更に好ましい。
 本開示において、ポリマーフィルムの290℃における弾性率は、以下の方法により測定する。
 まず、ポリマーフィルムの表面をミクロトームで切削して作製したフィルム断面サンプル(長さ2mm×幅2mm)を用意する。
 次に、フィルム断面サンプルの290℃弾性率を、ナノインデンテーション法を用いて、押し込み弾性率として測定する。押し込み弾性率は、微小硬度計(例えば、製品名「DUH-W201」、(株)島津製作所製)を用い、ビッカース圧子により0.28mN/秒の荷重速度で負荷をかけ、最大荷重10mNを10秒間保持した後に、0.28mN/秒の荷重速度で除荷を行うことにより、測定する。
 なお、後述する積層体が備える層Bの290℃における弾性率は、積層体が金属層等の支持体を有する場合には、これをエッチングした後、層Bの表面をミクロトームで切削してフィルム断面サンプル(長さ2mm×幅2mm)を作製し、測定する。
 ポリマーフィルムの誘電正接は、0.005以下であることが好ましく、0を超え、0.003以下であることがより好ましい。
 本開示において、誘電正接は、以下の方法により測定するものとする。
 誘電正接の測定は、周波数10GHzで共振摂動法により実施する。ネットワークアナライザ(例えば、Agilent Technology社製「E8363B」)に10GHzの空洞共振器(例えば、(株)関東電子応用開発製「CP531」)を接続し、空洞共振器にポリマーフィルムを挿入し、温度25℃、湿度60%RH環境下、96時間の挿入前後の共振周波数の変化から測定する。
 なお、後述する積層体の誘電正接は、ポリマーフィルムに代えて積層体を挿入して測定する。
 ポリマーフィルムの290℃における熱質量減少率は、0.8質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.3質量%以下であることが更に好ましく、0.2質量%以下であることが特に好ましく、0質量%であってもよい。
 熱質量減少率は、ポリマーフィルムを構成する材料を変更することにより調整することができる。例えば、ポリマーの含有率を高くし、エラストマーの含有率を低くすることにより、熱質量減少率を低下させることができる。また、エラストマーの分子量を大きくすることにより、熱質量減少率を低下させることができる。
 本開示において、290℃における熱質量減少率は、以下の方法により測定するものとする。
 ポリマーフィルムを、窒素環境下において、25℃から、290℃まで昇温し(昇温速度50℃/分)、40分間保持する。
 保持開始から35分後のポリマーフィルムの質量、及び保持開始から25分後のポリマーフィルムの質量を下記式に代入し、熱質量減少率を求める。
  熱質量減少率(%)=(保持開始から25分後のポリマーフィルムの質量-保持開始から35分後のポリマーフィルムの質量)/持開始から25分後のポリマーフィルムの質量×100
 後述する金属層を備える積層体が備える層Bの熱質量減少率を測定する場合、金属箔を、塩化第二鉄の水溶液等を用いて、公知のウェットエッチング手法で除去し、純水で洗浄後、乾燥後、積層体に対して上記測定を行う。
 ポリマーフィルムの平均厚みは、誘電正接、耐熱性、及び段差追従性の観点から、5μm~90μmであることが好ましく、10μm~70μmであることがより好ましく、15μm~50μmであることが更に好ましい。
 本開示において、平均厚みの測定方法は、以下のとおりである。
 ポリマーフィルムを、ポリマーフィルムの面方向に垂直な面で切断し、その断面において、5点以上厚みを測定し、それらの平均値を平均厚みとする。
 なお、後述する積層体における各層の平均厚みは、積層体の面方向に垂直な面で切断し、その断面において、各槽の5点以上厚みを測定し、それらの平均値を平均厚みとする。
 耐熱性及び段差追従性の観点から、本開示に係るポリマーフィルムは、少なくとも2つの相を含む相分離構造を有することが好ましい。
 本開示において、「相分離構造」とは、ポリマーフィルム又は層中に、互いに異なる成分を含む少なくとも2つの部分が存在する構造を意味する。
 相分離構造としては、例えば、海島構造、共連続構造、シリンダー構造、及びラメラ構造が挙げられる。海島構造は、少なくとも2つの相のうち1つの相が連続相を形成しており、他の相が非連続に分散して存在する構造を意味する。また、共連続構造とは、少なくとも2つの相がいずれも連続相を形成している構造を意味する。シリンダー構造とは、少なくとも2つの相のうち少なくとも1つの相中に他の相である複数の棒状である相を有する構造を意味する。ラメラ構造とは、少なくとも2つの相が交互に重なり合った層状の構造を意味する。シリンダー構造及びラメラ構造はいずれも、少なくとも2つの相がいずれも連続相を形成している構造であるが、上記のような特徴(棒状又は層状)を有するため、共連続構造とは区別される。
 本開示に係るポリマーフィルムでは、少なくとも2つの相がいずれも連続相を形成している相分離構造を有することが好ましい。具体的には、本開示に係るポリマーフィルムにおける相分離構造は、共連続構造、シリンダー構造、又はラメラ構造であることが好ましい。
 相分離構造を有することは、フィルム表面、フィルム断面、又はフィルム表面と断面の両方について、形態観察、素材分布評価、力学特性分布評価等の手段を用いることにより確認することができる。形態観察は、公知の光学顕微鏡、電子顕微鏡等を用いて行うことができる。素材分布評価は、赤外分光法、ラマン分光法、X線光電子分光分析装置等のイメージングを用いて行うことができる。力学特性分布評価は、原子間力顕微鏡等を用いて行うことができる。
 一実施形態において、ポリマーフィルムが相分離構造を有しているか否かは、表面全体の示差走査熱量測定(DSC)を行うことにより確認することができる。具体的には、ポリマー由来のガラス転移温度(Tg)と、ポリマーとは異なる成分由来の転移温度(例えばTg)とが検出された場合は、相分離していると判断することができる。
 相分離構造は、後述するポリマー、エラストマー等により形成されうる。
 耐熱性の観点から、本開示に係るポリマーフィルムのガラス転移温度(Tg)は、120℃以上であることが好ましく、140℃以上であることがより好ましく、160℃以上であることが更に好ましい。
 本開示において、ポリマーフィルムのTgは、以下のようにして測定する。
 5mgのポリマーフィルムを、25℃、相対湿度10%の条件下において、示差走査熱量測定装置(DSC)の測定パンに入れ、これを窒素気流中で10℃/分で-150℃から200℃まで昇温し、ベースラインが低温側から偏奇し始める温度をTgとした。
 なお、後述する積層体における層BのTgは、層Bをカミソリで削り取って取出し、測定する。
-ポリマー-
 本開示のポリマーフィルムは、ポリマーを含むことができる。ポリマーとしては、液晶ポリマー、フッ素樹脂、環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有する基とを有する化合物の重合物、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル及びその変性物、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
 上記した中でも、ポリマーは、誘電正接を低下させる観点から、液晶ポリマーを含むことが好ましい。
-液晶ポリマー-
 液晶ポリマーの種類は特に限定されず、公知の液晶ポリマーを用いることができる。
 また、液晶ポリマーは、溶融状態で液晶性を示すサーモトロピック液晶ポリマーであってもよく、溶液状態で液晶性を示すリオトロピック液晶ポリマーであってもよい。また、サーモトロピック液晶の場合は、450℃以下の温度で溶融するものであることが好ましい。
 液晶ポリマーとしては、例えば、液晶ポリエステル、液晶ポリエステルにアミド結合が導入された液晶ポリエステルアミド、液晶ポリエステルにエーテル結合が導入された液晶ポリエステルエーテル、及び、液晶ポリエステルにカーボネート結合が導入された液晶ポリエステルカーボネートが挙げられる。
 また、液晶ポリマーは、液晶性の観点から、芳香環を有するポリマーであることが好ましく、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドであることがより好ましい。
 更に、液晶ポリマーは、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドに、更にイミド結合、カルボジイミド結合、イソシアヌレート結合等のイソシアネート由来の結合等が導入されたポリマーであってもよい。
 また、液晶ポリマーは、原料モノマーとして芳香族化合物のみを用いてなる全芳香族液晶ポリマーであることが好ましい。
 液晶ポリマーとしては、例えば、以下の液晶ポリマーが挙げられる。
 1)(i)芳香族ヒドロキシカルボン酸と、(ii)芳香族ジカルボン酸と、(iii)芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重縮合させてなるもの。
 2)複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重縮合させてなるもの。
 3)(i)芳香族ジカルボン酸と、(ii)芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重縮合させてなるもの。
 4)(i)ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルと、(ii)芳香族ヒドロキシカルボン酸と、を重縮合させてなるもの。
 ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンは、それぞれ独立に、重縮合可能な誘導体に置き換えてもよい。
 液晶ポリマーの融点は、250℃以上であることが好ましく、250℃~350℃であることがより好ましく、260℃~330℃であることが更に好ましい。
 本開示において、融点は、示差走査熱量分析装置を用いて測定される。例えば、製品名「DSC-60A Plus」(島津製作所製)を用いて測定される。なお、測定における昇温速度は10℃/分とする。
 液晶ポリマーの重量平均分子量は、1,000,000以下であることが好ましく、3,000~300,000であることがより好ましく、5,000~100,000であることが更に好ましく、5,000~30,000であることが特に好ましい。
 液晶ポリマーは、誘電正接をより低下させる観点から、芳香族ポリエステルアミドを含むことが好ましい。芳香族ポリエステルアミドとは、少なくとも1つの芳香環を有し、かつ、エステル結合及びアミド結合を有する樹脂である。中でも、耐熱性の観点から、芳香族ポリエステルアミドは、全芳香族ポリエステルアミドであることが好ましい。
 芳香族ポリエステルアミドは、結晶性ポリマーであることが好ましい。本開示に係るポリマーフィルムは、結晶性の芳香族ポリエステルアミドを含むことが好ましい。フィルムに含まれる芳香族ポリエステルアミドが結晶性であることで、誘電正接がより低下する。
 なお、結晶性ポリマーとは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものをいう。具体的には、例えば、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃以内であることを意味する。半値幅が10℃を超えるポリマー及び明確な吸熱ピークが認められないポリマーは、非晶性ポリマーとして結晶性ポリマーと区別される。
 芳香族ポリエステルアミドは、下記式1で表される構成単位、下記式2で表される構成単位、及び下記式3で表される構成単位を含むことが好ましい。
 -O-Ar1-CO-  …式1
 -CO-Ar2-CO- …式2
 -NH-Ar3-O-  …式3
 式1~式3中、Ar1、Ar2、及びAr3はそれぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表す。
 以下、式1で表される構成単位等を、「単位1」等ともいう。
 単位1は、例えば、原料として芳香族ヒドロキシカルボン酸を用いることにより、導入することができる。
 単位2は、例えば、原料として芳香族ジカルボン酸を用いることにより、導入することができる。
 単位3は、例えば、原料として芳香族ヒドロキシルアミンを用いることにより、導入することができる。
 ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、及び芳香族ヒドロキシルアミンはそれぞれ独立に、重縮合可能な誘導体に置き換えてもよい。
 例えば、カルボキシ基をアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基に変換することにより、芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸を、芳香族ヒドロキシカルボン酸エステル及び芳香族ジカルボン酸エステルに置き換えることができる。
 カルボキシ基をハロホルミル基に変換することにより、芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸を、芳香族ヒドロキシカルボン酸ハロゲン化物及び芳香族ジカルボン酸ハロゲン化物に置き換えることができる。
 カルボキシ基をアシルオキシカルボニル基に変換することにより、芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸を、芳香族ヒドロキシカルボン酸無水物及び芳香族ジカルボン酸無水物に置き換えることができる。
 芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ヒドロキシアミンのようなヒドロキシ基を有する化合物の重縮合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシ基をアシル化してアシルオキシ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
 例えば、ヒドロキシ基をアシル化してアシルオキシ基に変換することにより、芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ヒドロキシルアミンをそれぞれ、アシル化物に置き換えることができる。
 芳香族ヒドロキシルアミンの重縮合可能な誘導体の例としては、アミノ基をアシル化してアシルアミノ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
 例えば、アミノ基をアシル化してアシルアミノ基に変換することにより、芳香族ヒドロキシアミンをアシル化物に置き換えることができる。
 式1中、Ar1は、p-フェニレン基、2,6-ナフチレン基、又は4,4’-ビフェニリレン基であることが好ましく、2,6-ナフチレン基であることがより好ましい。
 Ar1がp-フェニレン基である場合、単位1は、例えば、p-ヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位である。
 Ar1が2,6-ナフチレン基である場合、単位1は、例えば、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位である。
 Ar1が,4,4’-ビフェニリレン基である場合、単位1は、例えば、4’-ヒドロキシ-4-ビフェニルカルボン酸に由来する構成単位である。
 式2中、Ar2は、p-フェニレン基、m-フェニレン基、又は2,6-ナフチレン基であることが好ましく、m-フェニレン基であることがより好ましい。
 Ar2がp-フェニレン基である場合、単位2は、例えば、テレフタル酸に由来する構成単位である。
 Ar2がm-フェニレン基である場合、単位2は、例えば、イソフタル酸に由来する構成単位である。
 Ar2が2,6-ナフチレン基である場合、単位2は、例えば、2,6-ナフタレンジカルボン酸に由来する構成単位である。
 式3中、Ar3は、p-フェニレン基又は4,4’-ビフェニリレン基であることが好ましく、p-フェニレン基であることがより好ましい。
 Ar3がp-フェニレン基である場合、単位2は、例えば、p-アミノフェノールに由来する構成単位である。
 Ar3が4,4’-ビフェニリレン基である場合、単位2は、例えば、4-アミノ-4’-ヒドロキシビフェニルに由来する構成単位である。
 単位1、単位2、及び単位3の合計含有量に対して、単位1の含有量は、30モル%以上であることが好ましく、単位2の含有量は、35モル%以下であることが好ましく、単位3の含有量は35モル%以下であることが好ましい。
 単位1の含有量は、単位1、単位2、及び単位3の合計含有量に対して、30モル%~80モル%であることがより好ましく、30モル%~60モル%であることが更に好ましく、30モル%~40モル%であることが特に好ましい。
 単位2の含有量は、単位1、単位2、及び単位3の合計含有量に対して、10モル%~35モル%であることが好ましく、20モル%~35モル%であることが更に好ましく、30モル%~35モル%であることが特に好ましい。
 単位3の含有量は、単位1、単位2、及び単位3の合計含有量に対して、10モル%~35モル%であることが好ましく、20モル%~35モル%であることが更に好ましく、30モル%~35モル%であることが特に好ましい。
 なお、各構成単位の合計含有量は、各構成単位の物質量(モル)を合計した値である。各構成単位の物質量は、芳香族ポリエステルアミドを構成する各構成単位の質量を、各構成単位の式量で割ることにより算出される。
 単位2の含有量と単位3の含有量との比率は、[単位2の含有量]/[単位3の含有量](モル/モル)で表した場合に、好ましくは0.9/1~1/0.9、より好ましくは0.95/1~1/0.95、更に好ましくは0.98/1~1/0.98である。
 なお、芳香族ポリエステルアミドは、単位1~単位3をそれぞれ独立に、2種以上有してもよい。また、芳香族ポリエステルアミドは、単位1~単位3以外の他の構成単位を有してもよい。他の構成単位の含有量は、全構成単位の合計含有量に対して、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下である。
 芳香族ポリエステルアミドは、芳香族ポリエステルアミドを構成する構成単位に対応する原料モノマーを溶融重合させることにより製造することが好ましい。
 芳香族ポリエステルアミドの重量平均分子量は、1,000,000以下であることが好ましく、3,000~300,000であることがより好ましく、5,000~100,000であることが更に好ましく、5,000~30,000であることが特に好ましい。
--フッ素樹脂--
 ポリマーは、耐熱性、及び、力学的強度の観点から、フッ素樹脂を含んでいてもよい。
 本開示において、フッ素樹脂の種類は特に限定されず、公知のフッ素樹脂を用いることができる。
 フッ素樹脂としては、フッ素化α-オレフィンモノマー、すなわち、少なくとも1つのフッ素原子を含むα-オレフィンモノマーに由来する構成単位を含むホモポリマー、及び、コポリマーが挙げられる。また、フッ素樹脂としては、フッ素化α-オレフィンモノマーに由来する構成単位と、フッ素化α-オレフィンモノマーに対して反応性の非フッ素化エチレン性不飽和モノマーに由来する構成単位と、を含むコポリマーが挙げられる。
 フッ素化α-オレフィンモノマーとしては、CF=CF、CHF=CF、CH=CF、CHCl=CHF、CClF=CF、CCl=CF、CClF=CClF、CHF=CCl、CH=CClF、CCl=CClF、CFCF=CF、CFCF=CHF、CFCH=CF、CFCH=CH、CHFCH=CHF、CFCF=CF、及びパーフルオロ(炭素数2~8のアルキル)ビニルエーテル(例えば、パーフルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロプロピルビニルエーテル、及びパーフルオロオクチルビニルエーテル)が挙げられる。中でも、フッ素化α-オレフィンモノマーは、テトラフルオロエチレン(CF=CF)、クロロトリフルオロエチレン(CClF=CF)、(パーフルオロブチル)エチレン、フッ化ビニリデン(CH=CF)、及び、ヘキサフルオロプロピレン(CF=CFCF)よりなる群から選ばれた少なくとも1種のモノマーであることが好ましい。
 非フッ素化エチレン性不飽和モノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、エチレン性不飽和芳香族モノマー(例えば、スチレン及びα-メチルスチレン)等が挙げられる。
 フッ素化α-オレフィンモノマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
 また、非フッ素化エチレン性不飽和モノマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
 フッ素樹脂としては、例えば、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン-プロピレン)、ポリ(エチレン-テトラフルオロエチレン)(ETFE)、ポリ(エチレン-クロロトリフルオロエチレン)(ECTFE)、ポリ(ヘキサフルオロプロピレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)、ポリ(テトラフルオロエチレン-エチレン-プロピレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン)(FEP)、ポリ(テトラフルオロエチレン-プロピレン)(FEPM)、ポリ(テトラフルオロエチレン-パーフルオロプロピレンビニルエーテル)、ポリ(テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル)(PFA)(例えば、ポリ(テトラフルオロエチレン-パーフルオロプロピルビニルエーテル))、ポリビニルフルオリド(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ(フッ化ビニリデン-クロロトリフルオロエチレン)、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロスルホン酸、及びパーフルオロポリオキセタンが挙げられる。
 フッ素樹脂は、フッ素化エチレン又はフッ素化プロピレンに由来する構成単位を有していてもよい。
 フッ素樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
 フッ素樹脂は、FEP、PFA、ETFE、又は、PTFEであることが好ましい。
 FEPは、デュポン(DuPont)社よりテフロン(登録商標)FEP(TEFLON(登録商標)FEP)の商品名、又は、ダイキン工業(株)よりネオフロンFEP(NEOFLON FEP)の商品名で入手可能である。PFAは、ダイキン工業(株)よりネオフロンPFA(NEOFLON PFA)の商品名、デュポン(DuPont)社よりテフロン(登録商標)PFA(TEFLON(登録商標)PFA)の商品名、又は、ソルベイ・ソレクシス(Solvay Solexis)社よりハイフロンPFA(HYFLON PFA)の商品名で入手可能である。
 フッ素樹脂は、PTFEを含むことがより好ましい。PTFEは、PTFEホモポリマー、一部が変性されたPTFEホモポリマー、又は、これらの一方若しくは両方を含む組合せであってもよい。一部が変性されたPTFEホモポリマーは、ポリマーの全質量を基準として、テトラフルオロエチレン以外のコモノマーに由来する構成単位を1質量%未満含むことが好ましい。
 フッ素樹脂は、架橋性基を有する架橋性フルオロポリマーであってもよい。架橋性フルオロポリマーは、従来公知の架橋方法によって架橋させることができる。代表的な架橋性フルオロポリマーの1つは、(メタ)アクリロイルオキシを有するフルオロポリマーである。例えば、架橋性フルオロポリマーは、
式:HC=CR’COO-(CH-R-(CH-OOCR’=CH
で表すことができる。式中、Rは、フッ素化α-オレフィンモノマーに由来する構成単位を含むオリゴマー鎖であり、R’はH又は-CHであり、nは1~4である。Rは、テトラフルオロエチレンに由来する構成単位を含むフッ素系オリゴマー鎖であってもよい。
 フッ素樹脂上の(メタ)アクリロイルオキシ基を介してラジカル架橋反応を開始するために、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するフルオロポリマーをフリーラジカル源に曝露することによって、架橋フルオロポリマー網目構造を形成することができる。フリーラジカル源は、特に制限はないが、光ラジカル重合開始剤、又は、有機過酸化物が好適に挙げられる。適切な光ラジカル重合開始剤及び有機過酸化物は当技術分野においてよく知られている。架橋性フルオロポリマーは市販されており、例えば、デュポン社製のバイトンBが挙げられる。
--環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有する基とを有する化合物の重合物--
 ポリマーは、環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有する基とを有する化合物の重合物を含んでいてもよい。
 環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有する基とを有する化合物の重合物としては、例えば、ノルボルネン又は多環ノルボルネン系モノマーのような環状オレフィンモノマーに由来する構成単位を有する熱可塑性樹脂が挙げられる。
 環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有する基とを有する化合物の重合物は、上記環状オレフィンの開環重合体や2種以上の環状オレフィンを用いた開環共重合体の水素添加物であってもよく、環状オレフィンと、鎖状オレフィン又はビニル基の如きエチレン性不飽和結合を有する芳香族化合物などとの付加重合体であってもよい。また、環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有する基とを有する化合物の重合物には、極性基が導入されていてもよい。
 環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有する基とを有する化合物の重合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
 環状脂肪族炭化水素基の環構造としては、単環であっても、2以上の環が縮合した縮合環であっても、橋掛け環であってもよい。
 環状脂肪族炭化水素基の環構造としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環、イソボロン環、ノルボルナン環、ジシクロペンタン環等が挙げられる。
 環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有する基とを有する化合物としては、特に制限はなく、環状脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物、環状脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリルアミド化合物、環状脂肪族炭化水素基を有するビニル化合物等が挙げられる。中でも、環状脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物が好ましく挙げられる。また、環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有する基とを有する化合物は、単官能エチレン性不飽和化合物であっても、多官能エチレン性不飽和化合物であってもよい。
 環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有する基とを有する化合物における環状脂肪族炭化水素基の数は、1以上であればよく、2以上有していてもよい。
 環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有する基とを有する化合物の重合物は、少なくとも1種の環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有する基とを有する化合物を重合してなる重合体であればよく、2種以上環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有する基とを有する化合物の重合物であってもよいし、環状脂肪族炭化水素基を有しない他のエチレン性不飽和化合物との共重合体であってもよい。
 また、環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有する基とを有する化合物の重合物は、シクロオレフィンポリマーであることが好ましい。
-ポリフェニレンエーテル-
 ポリマーは、ポリフェニレンエーテルを含んでいてもよい。
 ポリフェニレンエーテルは、分子末端のフェノール性水酸基の1分子当たりの平均個数(末端水酸基数)が、誘電正接、及び、耐熱性の観点から、1個~5個であることが好ましく、1.5個~3個であることがより好ましい。
 ポリフェニレンエーテルの末端水酸基数は、例えば、ポリフェニレンエーテルの製品の規格値からわかる。また、末端水酸基数は、例えば、ポリフェニレンエーテル1モル中に存在する全てのポリフェニレンエーテルの1分子当たりのフェノール性水酸基の個数の平均値として表される。
 ポリフェニレンエーテルは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
 ポリフェニレンエーテルとしては、例えば、2,6-ジメチルフェノールと2官能フェノール及び3官能フェノールの少なくともいずれか一方とからなるポリフェニレンエーテル、並びに、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンオキサイド)が挙げられる。ポリフェニレンエーテルは、より具体的には、式(PPE)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。
 式(PPE)中、Xは、炭素数1~3のアルキレン基又は単結合を表し、mは、0~20の整数を表し、nは、0~20の整数を表し、mとnとの合計は、1~30の整数を表す。
 上記Xにおける上記アルキレン基としては、例えば、ジメチルメチレン基が挙げられる。
 ポリフェニレンエーテルの重量平均分子量(Mw)は、製膜後に熱硬化する場合には、耐熱性、及び、膜形成性の観点から、500~5,000であることが好ましく、500~3,000であることがより好ましい。また、熱硬化しない場合には、特に限定されないが、3,000~100,000であることが好ましく、5,000~50,000であることがより好ましい。
-芳香族ポリエーテルケトン-
 誘電正接が0.01以下であるポリマーは、芳香族ポリエーテルケトンであってもよい。
 芳香族ポリエーテルケトンとしては、特に限定されず、公知の芳香族ポリエーテルケトンを用いることができる。
 芳香族ポリエーテルケトンは、ポリエーテルエーテルケトンであることが好ましい。
 ポリエーテルエーテルケトンは、芳香族ポリエーテルケトンの1種であり、エーテル結合、エーテル結合、及びカルボニル結合の順に結合が配置されたポリマーである。各結合間は、2価の芳香族基により連結されていることが好ましい。
 芳香族ポリエーテルケトンは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
 芳香族ポリエーテルケトンとしては、例えば、下記式(P1)で表される化学構造を有するポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、下記式(P2)で表される化学構造を有するポリエーテルケトン(PEK)、下記式(P3)で表される化学構造を有するポリエーテルケトンケトン(PEKK)、下記式(P4)で表される化学構造を有するポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、及び下記式(P5)で表される化学構造を有するポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)が挙げられる。
 式(P1)~(P5)の各々のnは、機械的特性の観点から、10以上が好ましく、20以上がより好ましい。一方、芳香族ポリエーテルケトンを容易に製造できる点では、nは、5,000以下が好ましく、1,000以下がより好ましい。すなわち、nは、10~5,000が好ましく、20~1,000がより好ましい。
 ポリマーフィルムの誘電正接の観点から、ポリマーフィルムの全質量に対するポリマーの含有率は、10質量%以上であることが好ましく、13質量%以上であることがより好ましく、15質量%~60質量%であることが更に好ましく、18質量%~40質量%であることが特に好ましい。
 ポリマーが、液晶ポリマー(好ましくは芳香族ポリエステルアミド)を含む場合、誘電正接を低下させる観点から、ポリマーの全質量に対する液晶ポリマーの含有率は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であってもよい。
-芳香族炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位を含む熱可塑性樹脂-
 誘電正接、耐熱性、及び段差追従性の観点から、ポリマーフィルムは、芳香族炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位を含む熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、ポリスチレン系エラストマーを含むことがより好ましい。
 スチレン系エラストマーとしては、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロック共重合体(SEP)、ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)-ポリスチレントリブロック共重合体(SEPS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、及びポリスチレン-ポリ(エチレン/エチレン-プロピレン)-ポリスチレントリブロック共重合体(SEEPS)、スチレン-イソブチレン―スチレンブロック共重合体(SIBS)、並びに、これらの水添物が挙げられる。
 熱分解を抑制し、耐熱性を向上する観点から、芳香族炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位を含む熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、1万~50万であることが好ましく、3万~30万であることがより好ましく、5万~20万であることが更に好ましい。
 分子量に分布がある場合、分子量は、重量平均分子量(Mw)を表す。Mwはテトラヒドロフラン(THF)を溶離液として用いるゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)測定により、ポリスチレン換算として測定される。
 誘電正接、耐熱性、及び段差追従性の観点から、ポリマーフィルムの全質量に対する上記した熱可塑性樹脂の含有率は、40質量%~85質量%であることが好ましく、40質量%~80質量%であることがより好ましく、60質量%~80質量%であることが更に好ましい。
-酸化防止剤-
 耐熱性の観点から、ポリマーフィルムは、酸化防止剤を含むことが好ましい。ポリマーフィルムは、酸化防止剤を2種以上含んでいてもよい。
 酸化防止剤の種類は、特に限定されるものではないが、ポリマーフィルムを構成する材料の熱分解を抑制し、耐熱性を向上する観点からは、ラジカル捕捉剤であることが好ましい。
 ラジカル捕捉剤としては、フェノール系ラジカル捕捉剤、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、ハイドロキノン系ラジカル捕捉剤、フェノチアジン系ラジカル捕捉剤、ニトロソ系ラジカル捕捉剤、N-オキシル系ラジカル捕捉剤等が挙げられる。
 上記した中でも、耐熱性の観点から、フェノール系ラジカル捕捉剤又はヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤であることが好ましく、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、セミヒンダードフェノール系酸化防止剤又はヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤であることがより好ましい。
 酸化防止剤としては、例えば大成社発行の「酸化防止剤ハンドブック」(昭和51年10月25日初版発行)、シーエムシー出版発行の「高分子添加剤ハンドブック」(春名徹編著、2010年11月7日第1版発行))等に記載された種々のものを使用することができる。
 また、酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、ヒドロキシルアミン系酸化防止剤等の一次酸化防止剤であってもよく、イオウ系酸化剤、リン系酸化剤等の二次酸化防止剤であってもよい。
 ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、モノ(又はジ又はトリ)(α-メチルベンジル)フェノール、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,5-ジ-tert-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルハイドロキノン、トリエチレングリコール-ビス-[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジルフォスフォネート-ジエチルエステル、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4-2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]o-クレゾール、N,N’-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)-ベンゾトリアゾール、メチル-3-[3-t-ブチル-5-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート-ポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)、2,4-ジ-t-ブチルフェニル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
 市販されるヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ノクラック200、ノクラックM-17、ノクラックSP、ノクラックSP-N、ノクラックNS-5、ノクラックNS-6、ノクラックNS-30、ノクラック300、ノクラックNS-7、ノクラックDAH(以上いずれも大内新興化学工業製)、MARK AO-30、MARK AO-40、MARK AO-50、MARK AO-60、MARK AO-616、MARK AO-635、MARK AO-658、MARK AO-80、MARK AO-15、MARK AO-18、MARK 328、MARK AO-37(以上いずれもADEKA製)、IRGANOX245、IRGANOX259、IRGANOX565、IRGANOX1010、IRGANOX1024、IRGANOX1035、IRGANOX1076、IRGANOX1081、IRGANOX1098、IRGANOX1222、IRGANOX1330、IRGANOX1425WL(以上いずれもBASFジャパン製)、SumilizerGM、SumilizerGA-80(以上いずれも住友化学製)、SONGNOX1010、SONGNOX1076、SONGNOX1077、SONGNOX1135、SONGNOX2450、SONGNOX3114、SONGNOX1035、SONGNOX1024、SONGNOX1290、SONGNOX2590、SONGNOX1098、SONGNOX4150、SONGNOX4425、SONGNOX2246、SONGNOX2500、SONGNOX1330、SONGNOX1790、SONGNOX1520(SONGWON製)等が挙げられる。
 アミン系酸化防止剤については、特に限定されず、従来公知のものを広く使用できる。具体例としては、アミン-ケトン系化合物として、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体、6-エトキシ-1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチルキノリン、ジフェニルアミンとアセトンの反応物等が挙げられる。具体的に商品名を挙げると、特に限定されないが、ノクラック224、ノクラックAW、ノクラックAW-N、ノクラックB、ノクラックB-N(以上いずれも大内新興化学工業製)、アンテージRD、アンテージRD-G、アンテージAW(以上いずれも川口化学製)、ノンフレックスRD、ノンフレックスQS、ノンフレックスAW、ノンフレックスBA、ノンフレックスBA-P、ノンフレックスBAR(以上いずれも精工化学製)、ブルカノックスHS/LG、ブルカノックスHS/粉末(以上いずれもバイエル製)、KorestabTMQ(エスアンドエスジャパン製)、アミノックス(白石カルシウム製)等が例示される。
 芳香族系アミン化合物としては、ナフチルアミン系酸化防止剤、ジフェニルアミン系酸化防止剤、およびp-フェニレンジアミン系酸化防止剤が挙げられ、これらの化合物を具体的に例示すれば、特に限定されないが、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系酸化防止剤;p-(p-トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4’-ジスチリルジフェニルアミン、4,4’-ジオクチルジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、ジフェニルアミンとジイソブチレンの反応物、アルキル化ジフェニルアミン、p-イソプロポキシ-ジフェニルアミン、ビス(フェニル-イソプロピリデン)-4,4-ジフェニルアミン、4-(α-フェニルエチル)ジフェニルアミン、4,4’-ビス(α-フェニルエチル)ジフェニルアミン、スチレン化ジフェニルアミン、ジ-tert-ブチルジフェニルアミン、ジフェニルアミン誘導体等のジフェニルアミン系酸化防止剤;N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニルジアミン、N-フェニル-N’-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミン、4-(アニリノフェニル)メタクリルアミド、4-(メルカプトアセトアミド)ジフェニルアミン、2-〔(メルカプトアセチル)オキシ〕エチル-3-[〔4-(フェニルアミノ)フェニル〕アミノ]ブタネート、N,N’-ビス(1-メチルへプチル)-p-フェニレンジアミ、N,N-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N‘-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-シクロへキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、2,4,6-トリス(N-1,4-ジメチルペンチル-p-フェニレンジアミノ)1,3,5-トリアジン、ジアリル-p-フェニレンジアミン混合物、フェニル-オクチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系酸化防止剤等が挙げられる。具体的に商品名を挙げると、特に限定されないが、ノクラックPA、ノクラックODA、ノクラックODA-N、ノクラックAD-F、ノクラックCD、ノクラックTD、ノクラックWhite、ノクラックDP、ノクラック810-NA、ノクラック6C、ノクラックG-1、ノクラック500(以上いずれも大内新興化学工業製)、アンテージOD、アンテージLDA、アンテージDDA、アンテージ3C、アンテージ6C、アンテージSTDP-N、アンテージBC(以上いずれも川口化学製)、ノンフレックスOD-R、ノンフレックスBA、ノンフレックスBAR、ノンフレックスOD-3、ノンフレックスDCD、ノンフレックスH、ノンフレックスF、ノンフレックス3CH、ノンフレックスLAS-P、ステアラーLAS、ステアラーSTAR、オゾノン3C、オゾノン6C、オゾノン35、オゾノン35-PR、オゾノン3W(以上いずれも精工化学製)、ブルカノックスOCD/SG、ブルカノックス4010NA、ブルカノックス4030、ブルカノックス4020/LG、ブルカノックス3100、レノグランIPPD(以上いずれもバイエル製)、ナウガードPANA、アラノックス、ナウガード445(以上いずれもケムチュラ製)、IRGANOX5057、イルガゾーン997(BASFジャパン製)、Wingstay29(米国貿易製)、スミライザー9A、アンチゲン3C(以上いずれも住友化学製)、パーマナックスIPPD、サントフレックス44、サントフレックス6PPD(フレキシス製)等が例示される。
 ラクトン系酸化防止剤、ヒドロキシルアミン系酸化防止剤等の具体例としては、5,7-ジ-t-ブチル-3-(3,4-ジメチルフェニル)-3H-ベンゾフラン-2-オン)(イルガノックスHP-136、BASFジャパン製)、IRGASTAB FS 042およびそれを含むブレンド物(BASFジャパン製)、GENOX EP(クロンプトン製)などの市販品を挙げることができる。
 イオウ系酸化剤については、特に限定されず、従来公知のものを広く使用できる。具体例としては、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、ジラウリル-チオジプロピオネート、ビス{2-メチル-4-[3-n-アルキル(C12またはC14)チオプロピオニルオキシ]-5-tert-ブチルフェニル}スルフィド、ペンタエリスリチル-テトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-チオジプロピオネート、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,6-ビス[(オクチルチオ)メチル]o-クレゾール、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジブチルメチレン-ビス-チオグルコレート等が挙げられる。商品名で言えば、特に限定されないが、ノクラック300、ノクラック400(以上いずれも大内新興化学工業製)アデカスタブAO-23、AO-412S、AO-503A、(以上いずれもADEKA製)、IRGANOX-PS800FL、IRGANOX-PS802FL、IRGANOX-1035、IRGANOX-1520L、IRGANOX-565(以上いずれもBASFジャパン製)、スミライザーTPL-R、スミライザーTPS、スミライザーTPM、スミライザーWX-R、スミライザーTP-D(以上いずれも住友化学工業製)、シーノックスBCS(シプロ化成製)、ブルカノール88(バイエル製)、SONGNOX4120、SONGNOX DLTDP、SONGNOX DMTDP、SONGNOX DSTDP、SONGNOX DTDTP(SONGWON製)等が例示される。
 リン系酸化剤については、特に限定されず、従来公知のものを広く使用できるが、活性水素を含むリン酸およびリン酸エステルは組成物の貯蔵安定性、硬化物の耐熱性に影響を与えることから、リン酸およびリン酸エステルを分子内に含まない、アルキルホスファイト、アリールホスファイト、アルキルアリールホスファイト化合物などが好ましい。このようなリン系酸化防止剤の具体例としては、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ,ジノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニル,モノ(2-エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニル,モノ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニル,モノ(イソデシル)ホスファイト、ジフェニル,モノ(イソオクチル)ホスファイト、ジフェニル,モノ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリイソデシルホスファイト、トリス(2-エチルヘキシル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリステアリルホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールージホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールーテトラホスファイト、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ジ-トリデシルホスファイト-5-t-ブチルフェニル)ブタン、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチル-ジ-トリデシルホスファイト)、2,2’ -メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)オクチルホスファイト、4,4'-イソプロピリデン-ジフェノールアルキル(C12~C15)ホスファイト、環状ネオペンタンテトライルビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニルホスファイト)、環状ネオペンタンテトライルビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニルホスファイト)、環状ネオペンタンテトライルビス(ノニルフェニルホスファイト)、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリル,ペンタエリスリトール,ジホスファイト、ビス[2,4-ビス(1,1’-ジメチルエチル)-6-メチルフェニル]エチルエステルホスファイト等が挙げられる。
 耐熱性の観点から、ポリマーフィルムの全質量に対する、酸化防止剤の含有率は、0.01質量%~10質量%であることが好ましく、0.02質量%~7質量%であることがより好ましく、0.04質量%~5質量%であることが更に好ましく、0.04質量%~3質量%であることが特に好ましい。
-硬化剤-
 誘電正接、耐熱性、及び段差追従性の観点から、ポリマーフィルムは、硬化剤、及び上記熱可塑性樹脂と硬化剤との硬化物の少なくとも一方を含むことが好ましい。
 硬化剤は、エポキシ基及びマレイミド基の少なくとも一方を有することが好ましい。
 誘電正接、耐熱性、及び段差追従性の観点から、ポリマーフィルムの全質量に対する硬化剤の含有率は、1質量%~20質量%であることが好ましく、3質量%~15質量%であることがより好ましく、5質量%~13質量%であることが更に好ましい。
-フィラー-
 ポリマーフィルムは、誘電正接、耐熱性、及び段差追従性の観点から、フィラーを含むことが好ましい。
 フィラーは、粒子状であってもよく、繊維状であってもよい。また、フィラーは、無機フィラーであってもよく、有機フィラーであってもよい。フィラーは、ポリマーフィルムの誘電正接、耐熱性、及び段差追従性の観点から、無機フィラーであることが好ましい。
 有機フィラーとしては、公知の有機フィラーを用いることができる。
 有機フィラーの材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、尿素-ホルマリンフィラー、ポリエステル、セルロース、アクリル樹脂、フッ素樹脂、硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリル樹脂、液晶ポリマー、及び、これらを2種以上含む材質が挙げられる。
 また、有機フィラーは、ナノファイバーのような繊維状であってもよく、中空樹脂粒子であってもよい。
 中でも、有機フィラーとしては、ポリマーフィルムの誘電正接、耐熱性、及び段差追従性の観点から、フッ素樹脂粒子、ポリエステル系樹脂粒子、ポリエチレン粒子、液晶ポリマー粒子、又は、セルロース系樹脂のナノファイバーであることが好ましく、ポリテトラフルオロエチレン粒子、ポリエチレン粒子、又は、液晶ポリマー粒子であることがより好ましく、液晶ポリマー粒子であることが特に好ましい。ここで、液晶ポリマー粒子とは、限定的ではないが、液晶ポリマーを重合させ、粉砕機等で粉砕して、粉末状の液晶としたものをいう。液晶ポリマー粒子は、各層の厚みよりも小さいことが好ましい。
 有機フィラーの平均粒径は、ポリマーフィルムの誘電正接、耐熱性、及び段差追従性の観点から、5nm~20μmであることが好ましく、100nm~10μmであることがより好ましい。
 無機フィラーとしては、公知の無機フィラーを用いることができる。
 無機フィラーの材質としては、例えば、BN、Al、AlN、TiO、SiO、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、及び、これらを2種以上含む材質が挙げられる。
 中でも、無機フィラーとしては、シリカ、水酸化アルミニウム、及び窒化ホウ素からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
 無機フィラーの平均粒径は、層Aの厚みの約20%~約40%であることが好ましく、例えば、層Aの厚みの25%、30%又は35%にあるものを選択してもよい。粒子、又は、繊維が扁平状の場合には、短辺方向の長さを示す。
 また、無機フィラーの平均粒径は、ポリマーフィルムの誘電正接、耐熱性、及び段差追従性の観点から、5nm~20μmであることが好ましく、10nm~10μmであることがより好ましく、20nm~1μmであることが更に好ましく、25nm~500nmであることが特に好ましい。
 ポリマーフィルムは、フィラーを1種のみ含んでいても、2種以上含んでいてもよい。
 ポリマーフィルムがフィラーを含む場合、フィラーの含有率は、ポリマーフィルムの誘電正接、耐熱性、及び段差追従性の観点から、ポリマーフィルムの全質量に対し、3質量%~25質量%であることが好ましく、5質量%~23質量%であることがより好ましく、10質量%~20質量%であることが更に好ましい。
-熱分解性不純物-
 本開示のポリマーフィルムは、構成する材料の熱分解を促進する材料(熱分解性不純物)を含んでいてもよいが、ポリマーフィルムの全質量に対する含有率は、500質量ppm以下であることが好ましく、100質量ppm以下であることがより好ましい。
 熱分解性不純物としては、銅、鉄、ニッケル、チタン、コバルト、マンガン、バナジウム等の金属、塩素などが挙げられる。
-その他の添加剤-
 ポリマーフィルムは、上述した成分以外のその他の添加剤を含んでいてもよい。
 その他の添加剤としては、公知の添加剤を用いることができる。具体的には、例えば、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤等が挙げられる。
 ポリマーフィルムは、耐熱性の低下を抑制する観点から、金属原子を含まないか、又は、金属原子の含有量がポリマーフィルムの全量に対して0.1質量%未満であることが好ましい。ポリマーを製造する際に、重合触媒に由来する金属原子が残留する場合がある。しかし、ポリマーを製造する際に、例えば、金属原子が混入しにくい設備を用いて製造すること;製造されたポリマーを塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸等を用いて洗浄すること;フィルタや吸着剤を用いたフィルタリング、溶融抽出等の方法で後処理を行うことによって、ポリマー中の金属原子の含有量を低下させることができる。また、金属原子の含有量が少ない添加剤や他のポリマーと混合して、ポリマーフィルムを作製することによっても、ポリマーフィルム中の金属原子の含有量を低下させることができる。
 金属原子としては、例えば、カリウム、マグネシウム、ニッケル、パラジウム、アンチモン、アルミニウム、リチウム、チタン、銅、ナトリウム、鉄、クロム、カルシウム、及びモリブデンが挙げられる。
 本開示において、ポリマーフィルム中の金属原子の含有量は、ICP質量分析装置(PerkinElmer社製、NexION2000)を用いて、定量される。
[積層体]
 本開示に係る積層体は、層Aの少なくとも一方の面に、層Bを有する積層体であって、
 上記層Bの160℃における弾性率が10MPa以下であり、
 上記積層体の290℃における熱質量減少率が1.0質量%以下であり、誘電正接が0.01以下である。
 積層体の290℃における熱質量減少率は、0.8質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.3質量%以下であることが更に好ましく、0.2質量%以下であることが特に好ましく、0質量%であってもよい。
 本開示において、290℃における熱質量減少率は、以下の方法により測定するものとする。
 積層体を、窒素環境下において、25℃から、290℃まで昇温し(昇温速度50℃/分)、40分間保持する。
 保持開始から35分後の積層体の質量、及び保持開始から25分後の積層体の質量を下記式に代入し、熱質量減少率を求める。
  熱質量減少率(%)=(保持開始から25分後の積層体の質量-保持開始から35分後の積層体の質量)/持開始から25分後の積層体の質量×100
 積層体の誘電正接は、0.005以下であることが好ましく、0を超え、0.003以下であることがより好ましい。
 積層体は、耐熱性の低下を抑制する観点から、金属原子を含まないか、又は、金属原子の含有量が積層体の全量に対して0.1質量%未満であることが好ましい。金属原子の具体例は、上記のとおりである。
 なお、積層体が層A及び層Bのみである場合には、積層体の全量とは、層A及び層Bの全量に対する金属原子の含有量を意味する。また、積層体が層A、層B、及び他の層(例えば、後述する層C)からなる場合には、積層体の全量とは、層A、層B、及び他の層の全量に対する金属原子の含有量を意味する。
 本開示において、積層体中の金属原子の含有量は、ICP質量分析装置(PerkinElmer社製、NexION2000)を用いて、定量される。
-層A-
 層Aは、ポリマーを含むことができる。ポリマーについては、ポリマーフィルムにおいて記載した通りであり、好ましい種類、含有率等については、ここでは記載を省略する。
 層Aは、芳香族炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位を含む熱可塑性樹脂、酸化防止剤、硬化剤、熱可塑性樹脂及び硬化剤の硬化物、フィラー、その他の添加剤等を含んでいてもよい。これらについては、ポリマーフィルムにおいて記載した通りであり、ここでは記載を省略する。
 層Aの平均厚みは、特に制限はないが、誘電正接、耐熱性、及び段差追従性の観点から、5μm~90μmであることが好ましく、10μm~70μmであることがより好ましく、15μm~50μmであることが特に好ましい。
 段差追従性の観点から、層Aの160℃における弾性率は、50MPa~2000MPaであることが好ましく、70MPa~1500MPaであることがより好ましく、150MPa~950MPaであることが更に好ましい。
 本開示において、層Aの160℃における弾性率は、以下の方法により測定する。
 ポリマーフィルム、または、積層体を、ミクロトームにより厚み方向へ切削して断面評価用サンプル(長さ2mm×幅2mm)を作製し、ナノインデンテーション法を用いて、ビッカース圧子を備えた微小硬度計(製品名「DUH-W201」、(株)島津製作所製)を用い、160℃における押し込み弾性率を測定する。
 層Aが薄く、ナノインデンテーション法の適用が困難な場合は、不要な層をカミソリで削り取ったり、金属層を塩化第二鉄の水溶液等を用いて、公知のウェットエッチング手法で除去し、純水で洗浄後、乾燥して得られたサンプルを用いて測定される。
-層B-
 層Bは、ポリマーを含むことができる。ポリマーについては、ポリマーフィルムにおいて記載した通りであり、好ましい種類、含有率等については、ここでは記載を省略する。
 層Bは、芳香族炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位を含む熱可塑性樹脂、酸化防止剤、硬化剤、熱可塑性樹脂及び硬化剤の硬化物、フィラー、熱分解性不純物、その他の添加剤等を含んでいてもよい。これらについては、ポリマーフィルムにおいて記載した通りであり、ここでは記載を省略する。
 層Bの160℃における弾性率、260℃における弾性率、290℃における熱質量減少率、誘電正接、平均厚み、Tg等は、ポリマーフィルムと同様であるため、ここでは記載を省略する。
 また、層Bは、上記した相分離構造を有することが好ましい。
 段差追従性及び耐熱性の観点から、積層体の平均厚みに対する、層Bの平均厚みの比は、0.2以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましく、0.4以上であることが更に好ましく、0.5以上であることが特に好ましい。
-層C-
 本開示に係る積層体は、層Cを有し、層B、層A、層Cをこの順に有していてもよい。
 層Cは、接着層であることが好ましい。また、層Cは、表面層(最外層)であることが好ましい。
 層Cは、ポリマーを含むことができる。ポリマーについては、ポリマーフィルムにおいて記載した通りであり、好ましい種類については、ここでは記載を省略する。
 接着性の観点から、層Cの全質量に対するポリマーの含有率は、50質量%~100質量%であることが好ましく、60質量%~99.8質量%であることがより好ましく、70量%~99.7質量%であることが更に好ましい。
 層Cは、芳香族炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位を含む熱可塑性樹脂、硬化剤、熱可塑性樹脂及び硬化剤の硬化物、フィラー、その他の添加剤等を含んでいてもよい。これらについては、ポリマーフィルムにおいて記載した通りであり、ここでは記載を省略する。
 層Cの平均厚みは、特に制限はないが、誘電正接、耐熱性、及び段差追従性の観点から、0.1μm~10μmであることが好ましく、0.5μm~8μmであることがより好ましく、1μm~5μmであることが特に好ましい。
[積層体の製造方法]
 本開示に係る積層体の製造方法は、特に制限はなく、公知の製膜方法を参照することができる。
 製膜方法としては、例えば、共流延法、重層塗布法、共押出法等が好適に挙げられる。中でも、製膜方法は、共流延法であることが好ましい。
 積層体における多層構造を共流延法又は重層塗布法により製造する場合、液晶ポリマー等の各層の成分をそれぞれ溶媒に溶解又は分散した層A形成用組成物、層B形成用組成物、層C形成用組成物等を用いて、共流延法又は重層塗布法を行うことが好ましい。
 溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、1-クロロブタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;p-クロロフェノール、ペンタクロロフェノール、ペンタフルオロフェノール等のハロゲン化フェノール;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル;アセトン、シクロヘキサノン等のケトン;酢酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート;トリエチルアミン等のアミン;ピリジン等の含窒素複素環芳香族化合物;アセトニトリル、スクシノニトリル等のニトリル;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド、テトラメチル尿素等の尿素化合物;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物;ヘキサメチルリン酸アミド、トリn-ブチルリン酸等のリン化合物等が挙げられ、それらを2種以上用いてもよい。
 溶媒としては、腐食性が低く、取り扱い易いことから、非プロトン性化合物、特にハロゲン原子を有しない非プロトン性化合物を主成分とする溶媒が好ましく、溶媒全体に占める非プロトン性化合物の割合は、好ましくは50質量%~100質量%、より好ましくは70質量%~100質量%、特に好ましくは90質量%~100質量%である。また、上記非プロトン性化合物としては、液晶ポリマーを溶解し易いことから、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、N-メチルピロリドン等のアミド又はγ-ブチロラクトン等のエステルを用いることが好ましく、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びN-メチルピロリドンがより好ましい。
 また、溶媒としては、液晶ポリマーを溶解し易いことから、双極子モーメントが3~5である化合物を主成分とする溶媒が好ましく、溶媒全体に占める双極子モーメントが3~5である化合物の割合は、好ましくは50質量%~100質量%、より好ましくは70質量%~100質量%、特に好ましくは90質量%~100質量%である。
 上記非プロトン性化合物として、双極子モーメントが3~5である化合物を用いることが好ましい。
 また、溶媒としては、除去し易いことから、1気圧における沸点が220℃以下である化合物を主成分とする溶媒が好ましく、溶媒全体に占める1気圧における沸点が220℃以下である化合物の割合は、好ましくは50質量%~100質量%、より好ましくは70質量%~100質量%、特に好ましくは90質量%~100質量%である。
 上記非プロトン性化合物として、1気圧における沸点が220℃以下である化合物を用いることが好ましい。
 また、本開示に係るポリマーフィルムの製造方法は、上記共流延法、重層塗布法及び共押出法等により製造する場合、支持体を使用してもよい。
 支持体としては、例えば、金属ドラム、金属バンド、ガラス板、樹脂フィルム又は金属箔が挙げられる。中でも、支持体は、金属ドラム、金属バンド、又は樹脂フィルムが好ましい。
 樹脂フィルムとしては、例えば、ポリイミド(PI)フィルムが挙げられ、市販品の例としては、宇部興産(株)製U-ピレックスS及びU-ピレックスR、東レデュポン(株)製カプトン、並びに、SKCコーロンPI社製IF30、IF70及びLV300等が挙げられる。
 また、支持体は、容易に剥離できるように、表面に表面処理層が形成されていてもよい。表面処理層は、ハードクロムメッキ、フッ素樹脂等を用いることができる。
 樹脂フィルム支持体の平均厚みは、特に制限はないが、好ましくは25μm~75μmであり、より好ましくは50μm~75μmである。
 また、流延、又は、塗布された膜状の組成物(塗膜)から溶媒の少なくとも一部を除去する方法としては、特に制限はなく、公知の乾燥方法を用いることができる。
(延伸)
 本開示に係る積層体は、分子配向を制御し、熱膨張係数や力学物性を調整する観点で、適宜、延伸を組み合わせることができる。延伸の方法は、特に制限はなく、公知の方法を参照することができ、溶媒を含んだ状態で実施してもよく、乾膜の状態で実施してもよい。溶媒を含んだ状態での延伸は、フィルムを把持して伸長してもよく、伸長せずに乾燥による自己収縮を利用して実施してもよい。延伸は、無機フィラー等の添加によってフィルム脆性が低下した場合に、破断伸度や破断強度を改善する目的で特に有効である。
[用途]
 本開示に係るポリマーフィルム及び積層体は、種々の用途に用いることができる、中でも、プリント配線板などの電子部品用フィルムに好適に用いることができ、フレキシブルプリント回路基板により好適に用いることができる。
 また、本開示に係るポリマーフィルム及び積層体は、金属接着用の液晶ポリマーフィルム及び積層体として好適に用いることができる。
[金属付き積層体]
 本開示に係る金属付き積層体は、本開示に係るポリマーフィルム又は本開示に係る積層体と、上記ポリマーフィルム又は上記積層体の少なくとも一方の面に配置された金属層又は金属配線と、を含む。
 金属層又は金属配線は、従来公知の材料により構成してもよく、好ましくは、銀又は銅により構成されることが好ましく、銅により構成されることがより好ましい。
 金属層又は金属配線は、上記ポリマーフィルム又は上記積層体の両面に配置されてもよい。この場合、2つの金属層又は金属配線は、同じ材質、厚さ及び形状の金属層又は金属配線であっても、互いに異なる材質、厚さ及び形状の金属層又は金属配線であってもよい。特性インピーダンス調整の観点からは、2つの金属層又は金属配線は、互いに異なる材質及び厚みの金属層又は金属配線であってもよい。
 一実施形態において、金属層は、圧延法により形成された圧延金属箔、又は、電解法により形成された電解金属箔である。
 上記ポリマーフィルム又は上記積層体と、上記金属層又は上記金属配線との260℃におけるピール強度は、1.0kN/m以上であることが好ましく、1.3kN/m~10kN/mであることがより好ましく、1.5kN/m~8kN/mであることが更に好ましい。
 本開示において、ポリマーフィルム又は積層体と、金属層又は金属配線との290℃におけるピール強度は、以下の方法により測定するものとする。
 ポリマーフィルム又は積層体と、金属層又は金属配線との積層体(金属付き積層体)から1.0cm幅の剥離用試験片を作製し、剥離用試験片を両面接着テープで平板に固定し、JIS C 5016(1994)に準じて180°法により、50mm/分の速度で剥離したときの強度(kN/m)を測定する。
 金属付き積層体における上記290℃における熱質量減少率をW1、及び
 金属付き積層体が有するポリマーフィルム又は積層体と、金属層又は金属配線との290℃におけるピール強度をF1としたとき、段差追従性及び耐熱性の観点から、下記式(1)が成立することが好ましい。
  式(1):F1≧W1×28.5+0.4
 式(1)中、
 W1の単位はkN/m、F1の単位は%である。
 金属層の平均厚みは、特に限定されないが、2μm~20μmであることが好ましく、3μm~18μmであることがより好ましく、5μm~12μmであることが更に好ましい。
 金属層が銅箔である場合、銅箔は、支持体(キャリア)上に剥離可能に形成されているキャリア付き銅箔であってもよい。
 キャリアとしては、公知のものを用いることができる。キャリアの平均厚みは、特に限定されないが、10μm~100μmであることが好ましく、18μm~50μmであることがより好ましい。
 層Bの平均厚みは、金属配線と接着した際に、金属配線の歪みを抑制する観点から、金属の平均厚みより大きいことが好ましい。
 金属層は、回路パターンを有する金属層であってもよい。金属層を、例えば、エッチングにより所望の回路パターンに加工し、フレキシブルプリント回路基板することも好ましい。エッチング方法としては、特に制限はなく、公知のエッチング方法を用いることができる。
[金属付き積層体の製造方法]
 本開示に係る金属付き積層体は、本開示に係る積層体の製造方法において、支持体として、金属層又は金属配線を使用することにより製造することができる。
 支持体が設けられた側とは反対の積層体の面に、金属層又は金属配線を熱圧着等により設けてもよい。
 以下に実施例を挙げて本開示を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本開示の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本開示の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
 積層体が有する各層の形成に用いたポリマー及び添加剤(ポリマー以外の成分)、並びに、銅箔の詳細は以下のとおりである。
<ポリマー又はエラストマー>
・下記合成方法に従って合成した芳香族ポリエステルアミドP1(なお、表1においては、「P1」と記す。)
・P2:ポリイミド、PIAD-100H、荒川化学工業(株)製、熱可塑性ポリイミドワニス
-芳香族ポリエステルアミドP1の合成-
 撹拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計、及び還流冷却器を備えた反応器に、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸940.9g(5.0モル)、イソフタル酸415.3g(2.5モル)、アセトアミノフェン377.9g(2.5モル)、及び無水酢酸867.8g(8.4モル)を入れ、反応器内のガスを窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下、撹拌しながら、室温(23℃、以下同じ)から140℃まで60分かけて昇温し、140℃で3時間還流させた。
 次いで、副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、150℃から300℃まで5時間かけて昇温し、300℃で30分保持した。その後、反応器から内容物を取り出し、室温まで冷却した。得られた固形物を、粉砕機で粉砕して、粉末状の芳香族ポリエステルアミドA1aを得た。芳香族ポリエステルアミドA1aの流動開始温度は、193℃であった。また、芳香族ポリエステルアミドA1aは、全芳香族ポリエステルアミドであった。
 芳香族ポリエステルアミドA1aを、窒素雰囲気下、室温から160℃まで2時間20分かけて昇温し、次いで160℃から180℃まで3時間20分かけて昇温し、180℃で5時間保持することにより固相重合させた後、冷却した。次いで、粉砕機で粉砕して、粉末状の芳香族ポリエステルアミドA1bを得た。芳香族ポリエステルアミドA1bの流動開始温度は、220℃であった。
 芳香族ポリエステルアミドA1bを、窒素雰囲気下、室温から180℃まで1時間25分かけて昇温し、次いで180℃から255℃まで6時間40分かけて昇温し、255℃で5時間保持することにより固相重合させた後、冷却して、粉末状の芳香族ポリエステルアミドP1を得た。
 芳香族ポリエステルアミドP1の流動開始温度は、302℃であった。また、芳香族ポリエステルアミドP1の融点を、示差走査熱量分析装置を用いて測定した結果、311℃であった。芳香族ポリエステルアミドP1の誘電正接は、0.005であった。
<添加剤>
・F-1:下記製造方法に従って作製した液晶ポリマー粒子
-F-1(LCP粒子)の作製-
 撹拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸1034.99g(5.5モル)、2,6-ナフタレンジカルボン酸89.18g(0.41モル)、テレフタル酸236.06g(1.42モル)、4,4-ジヒドロキシビフェニル341.39g(1.83モル)及び触媒として酢酸カリウムと酢酸マグネシウムを入れた。反応器内のガスを窒素ガスで置換した後、無水酢酸(水酸基に対して1.08モル当量)を更に添加した。窒素ガス気流下、撹拌しながら、室温から150℃まで15分かけて昇温し、150℃で2時間還流させた。
 次いで、副生した酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、150℃から310℃まで5時間かけて昇温し、重合物を取り出して室温まで冷却した。得られた重合物を室温から295℃まで14時間かけて昇温し、295℃で1時間固相重合した。固相重合後、5時間かけて室温冷却した。
 ジェットミル((株)栗本鐡工所製「KJ-200」)を用いて、得られた液晶ポリエステルを粉砕し、F-1(LCP粒子)を得た。F-1(LCP粒子)は、メジアン径(D50)7μm、誘電正接0.0007、融点334℃であった。
・F-2:水添スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、製品名「タフテックM1913」、旭化成ケミカルズ(株)製、エラストマー(重量平均分子量 15万)
・F-3:イソブチレン-スチレンブロック共重合体、カネカ(株)製、エラストマー
・S-1:ヒンダードフェノール系酸化防止剤(ラジカル捕捉剤)、SONGWON社製、SONGNOX3114
・S-2:セミヒンダードフェノール系酸化防止剤(ラジカル捕捉剤)、SONGWON社製、SONGNOX1010
・S-3:ヒンダードアミン系酸化防止剤(ラジカル捕捉剤)、住友化学(株)製、スミライザーGM
・C-1:硬化剤、jER YX8800、三菱化学(株)製
・A-1:シリカ粒子、SC2050‐MB、(株)アドマテックス製
<銅箔>
・銅箔M1(なお、表1においては、「M1」と記す。):CF-T9DA-SV-18、福田金属箔粉工業(株)製、平均厚み18μm
・銅箔M2(なお、表1においては、「M2」と記す。):MT18FL、三井金属鉱業(株)製、平均厚み1.5μm
・銅箔M3(なお、表1においては、「M3」と記す。):CF-T49A-DS-18、福田金属箔粉工業(株)製、平均厚み18μm
[実施例1~実施例11、及び比較例1~比較例2]
 層A~層Cの形成に使用した溶液は、以下の方法に従って調製した。
-層A用溶液の調製-
 表1に記載のポリマーの溶液及び添加剤を、表1に記載の質量比率となるように混合し、N-メチルピロリドンを加え固形分濃度が25質量%となるように調製し、層A用溶液を得た。
-層B用溶液の調製-
 表1に記載のポリマーの溶液及び添加剤を、表1に記載の質量比率となるように混合し、N-メチルピロリドンを加え固形分濃度が20質量%となるように調製し、層B用溶液を得た。
-層C用溶液の調製-
 芳香族ポリエステルアミドP1 8質量部を、N-メチルピロリドン92質量部に加え、窒素雰囲気下、140℃4時間撹拌し、芳香族ポリエステルアミドP1の溶液(固形分濃度8質量%)を得た。
 芳香族ポリエステルアミドP1の溶液 9.96質量部に、アミノフェノール型エポキシ樹脂(製品名「jER630」、三菱ケミカル(株)製) 0.04質量部を混合し、層C用溶液を調製した。
-片面銅張積層板の作製-
 得られた層C用溶液、層B用溶液、及び、層A用溶液を、スライドコーターを装備したスロットダイコーターに送液し、表1に記載の銅箔(第1の金属層)の処理面上に、乾燥後の平均厚みが、層Aと層Bは表1に記載する厚みになるように、層Cは3μmになるように流量を調整して3層構成(層C/層A/層B)で塗布した。40℃にて4時間乾燥することにより、塗膜から溶媒を除去した。更に窒素雰囲気下で室温から300℃まで1℃/分で昇温し、その温度で2時間保持する熱処理を行い、金属層(銅層)を有する積層体(片面銅張積層板)を得た。
 得られたフィルムの層C、層B及び層Aをセラミックカッターで削り取り、ICP質量分析装置(PerkinElmer社製、NexION2000)を用いて、金属原子の含有量を定量したところ、カリウム原子とマグネシウム原子との合計含有量が0.01質量%であった。
-両面銅張積層板の作製-
 表1に記載の銅箔(第2の金属層)の処理面が片面銅張積層板の層Bと接するように、銅箔と片面銅張積層板をこの順に重ねた。ラミネータ(製品名「真空ラミネータV-130」、ニッコー・マテリアルズ社製)を使用して、140℃及びラミネート圧0.4MPaの条件で1分間のラミネート処理を行い、両面銅張積層板の前駆体を得た。続いて、熱圧着機(製品名「MP-SNL」、(株)東洋精機製作所製)を用いて、得られた両面銅張積層板の前駆体を、300℃及び4MPaの条件で60分間熱圧着することにより、両面銅張積層板を作製した。
 得られた実施例の両面銅張積層板をミクロトームで切削して断面観察用のサンプルを作製し、層Bを光学顕微鏡で観察し、ポリマーと添加剤1とが相分離構造を形成していることを確認した。
<<誘電正接の測定>>
 両面銅張積層板から第1の金属層及び第2の金属層をエッチングした。
 下記方法により、取り出した積層体の誘電正接の測定を行った。結果を表1に示す。
 誘電率測定は周波数10GHzで共振摂動法により実施した。
 ネットワークアナライザ(Agilent Technology社製「E8363B」)に10GHzの空洞共振器((株)関東電子応用開発製 CP531)を接続し、空洞共振器に積層体を挿入し、温度25℃、湿度60%RH環境下、96時間の挿入前後の共振周波数の変化から、積層体誘電正接を測定した。結果を表2に示す。
<<層Bの160℃及び290℃における弾性率の測定>>
 両面銅張積層板の層B側の銅箔を、塩化第二鉄の水溶液で除去し、純水で洗浄後、乾燥した。層B表面を、ミクロトームで切削して作製したフィルム断面サンプル(長さ2mm×幅2mm)を用意した。
 次に、160℃弾性率及び290℃弾性率を、ナノインデンテーション法を用いて、押し込み弾性率として測定した。押し込み弾性率は、微小硬度計(製品名「DUH-W201」、(株)島津製作所製)を用い、ビッカース圧子により0.28mN/秒の荷重速度で負荷をかけ、最大荷重10mNを10秒間保持した後に、0.28mN/秒の荷重速度で除荷を行うことにより、測定した。結果を表2に示す。
<<熱質量減少率の測定>>
 両面銅張積層板から第1の金属層及び第2の金属層をエッチングした。
 下記方法により、取り出した積層体を、窒素環境下において、25℃から、290℃まで昇温し(昇温速度50℃/分)、40分間保持した。
 保持開始から35分後の積層体の質量、及び保持開始から25分後の積層体の質量を下記式に代入し、熱質量減少率を求めた。結果を表2に示す。
  熱質量減少率(%)=(保持開始から25分後の積層体の質量-保持開始から35分後の積層体の質量)/持開始から25分後の積層体の質量×100
<<段差追従性評価>>
-配線パターン付き基材Aの作製-
 公知のフォトファブリケーション手法により、銅箔M1をパターニングして、3対の信号線を含む配線基材を作製した。信号線の長さは100mm、幅は特性インピーダンスが50Ωになるように設定した。
-積層工程-
 上記配線基材及び一対の上記片面銅張積層板を用い、片面銅張積層板の層B側が配線基材と接するように、片面銅張積層板、配線基材及び片面銅張積層板の順に重ねた。
 真空プレス装置を使用して、プレス温度160℃で積層し、フレキシブル配線基板を作製した。
 フレキシブル配線基板をミクロトームで切削し、断面を光学顕微鏡で観察し、下記評価基準に基づいて、評価した。結果を表2に示す。
(評価基準)
 A:信号線及びグランド線に歪みが認められなかった。
 B:信号線に歪みは認められないが、グランド線に歪みが認められた。
 C:1対の信号線に歪みが認められた。
 D:2対又は3対の信号線に歪みが認められた。
<<耐熱性評価>>
 実施例及び比較例において作製した両面銅張積層板を30mm×30mmサイズに切り出し、サンプルとした。サンプルを288℃の熱はんだ中に10秒間浸漬した。3回加熱した後のサンプルを剃刀で切削し、断面を光学顕微鏡で観察し、下記評価基準に基づいて、耐熱性を評価した。結果を表2に示す。
(評価基準)
  A:層Bと第2の金属層との間において、剥離が認められなかった。
  B:層Bと第2の金属層との間において、1mm以下の幅で剥離が認められた。
  C:層Bと第2の金属層との間において、1mmより大きい幅で剥離が認められた。
<<両面銅張積層板のピール強度測定>>
 実施例及び比較例において作製した両面銅張積層板から1.0cm幅の剥離用試験片を作製し、両面銅張積層板を両面接着テープで平板に固定し、JIS C 5016(1994)に準じて180°法により、260℃の環境下において、50mm/分の速度で両面銅張積層板から第2の金属層を剥離し、層Bと第2の金属層との間のピール強度(kN/m)を測定した。結果を表2に示す。
 表2に記載の結果から、本開示に係る積層体である実施例1~実施例11の積層体は、比較例1~比較例2の積層体に比べ、段差追従性及び耐熱性に優れることが分かる。
 なお、2022年12月9日に出願された日本国特許出願2022-197497号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。また、本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (16)

  1.  160℃における弾性率が10MPa以下であり、
     290℃における熱質量減少率が1.0質量%以下であり、
     誘電正接が0.01以下である、
     ポリマーフィルム。
  2.  290℃における弾性率が0.01MPa以上である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
  3.  酸化防止剤を含む、請求項1に記載のポリマーフィルム。
  4.  前記酸化防止剤が、ラジカル捕捉剤である、請求項3に記載のポリマーフィルム。
  5.  金属原子を含まないか、又は、金属原子の含有量が前記ポリマーフィルムの全量に対して0.1質量%未満である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
  6.  ポリマーを含み、
     前記ポリマーが、液晶ポリマーを含む、請求項1に記載のポリマーフィルム。
  7.  前記ポリマーが、芳香族ポリエステルアミドを含む、請求項6に記載のポリマーフィルム。
  8.  芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を含む熱可塑性樹脂を含む、請求項1に記載のポリマーフィルム。
  9.  層Aの少なくとも一方の面に、層Bを有する積層体であって、
     前記層Bの160℃における弾性率が10MPa以下であり、
     前記積層体の290℃における熱質量減少率が1.0質量%以下であり、誘電正接が0.01以下である、
     積層体。
  10.  前記積層体の平均厚みに対する、前記層Bの平均厚みの比が、0.3以上である、請求項9に記載の積層体。
  11.  290℃における弾性率が0.01MPa以上である、請求項9に記載の積層体。
  12.  酸化防止剤を含む、請求項9に記載の積層体。
  13.  前記酸化防止剤が、ラジカル捕捉剤である、請求項12に記載の積層体。
  14.  層Cを有し、
     前記層B、前記層A、前記層Cをこの順に有する、請求項9に記載の積層体。
  15.  金属原子を含まないか、又は、金属原子の含有量が前記積層体の全量に対して0.1質量%未満である、請求項9に記載の積層体。
  16.  請求項1~請求項8のいずれか一項に記載のポリマーフィルム又は請求項9~請求項15のいずれか一項に記載の積層体と、前記ポリマーフィルム又は前記積層体の少なくとも一方の面に配置された金属層又は金属配線と、を含む金属付き積層体。
PCT/JP2023/042082 2022-12-09 2023-11-22 ポリマーフィルム、積層体及び金属付き積層体 WO2024122352A1 (ja)

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