WO2024029337A1 - 自動分析装置 - Google Patents
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Abstract
本発明の目的は、装置の大型化や処理能力の低下を抑制しつつ、発光量が変動する状況下でも信頼性の高い分析が可能な自動分析装置を提供することにある。そのために、本発明の自動分析装置は、検体と試薬が混合することにより生成された反応液を収容する容器を複数保持可能な容器保持部と、光を照射する光源と、前記光源が照射した光を受光する受光器と、前記受光器が出力した信号から光に係る測定を行う制御部と、を備え、前記容器は使い捨ての容器であり、前記制御部は、前記容器保持部における前記容器が保持されていない位置に照射された光に係る測定値に基づいて、前記容器保持部における前記容器が保持されている位置に照射された光に係る測定値を補正する。
Description
本発明は、自動分析装置に関する。
吸光度を用いて試料中の成分濃度を測定する生化学自動分析装置では、装置の電源を投入してから光源の発光量が安定するまで待ち時間が必要とされている。また、装置が設置された環境の温度変化によって光源の発光量が変動する場合がある。ここで、特許文献1には、反応容器を保持する位置とは別に光路を設けたり、反応容器を保持する位置と保持しない位置を交互に設けたりして、反応容器の存在しない状態の基準光量を測定して補正する技術が開示されている。
特許文献1によれば、隣接する容器保持位置の間に別の光路を設けるため、装置の大型化や処理能力の低下を招く。また、分析後の反応容器を洗浄して繰り返し使用する自動分析装置であるため、反応容器を保持しない位置が交互に存在すると、同時に複数の反応容器を洗浄する一般の洗浄機構では洗浄が困難である。
本発明の目的は、装置の大型化や処理能力の低下を抑制しつつ、発光量が変動する状況下でも信頼性の高い分析が可能な自動分析装置を提供することにある。
前述の目的を達成するために、本発明の自動分析装置は、検体と試薬が混合することにより生成された反応液を収容する容器を複数保持可能な容器保持部と、光を照射する光源と、前記光源が照射した光を受光する受光器と、前記受光器が出力した信号から光に係る測定を行う制御部と、を備え、前記容器は使い捨ての容器であり、前記制御部は、前記容器保持部における前記容器が保持されていない位置に照射された光に係る測定値に基づいて、前記容器保持部における前記容器が保持されている位置に照射された光に係る測定値を補正する。
本発明によれば、装置の大型化や処理能力の低下を抑制しつつ、発光量が変動する状況下でも信頼性の高い分析が可能な自動分析装置を提供できる。
以下、図面を用いて実施形態を説明する。
図1は、自動分析装置の全体構成を示す上面図である。インキュベータ1(容器保持部)は、その外周側において複数の反応容器2が円周状に並べられ、図示しない駆動機構によって1サイクルで所定数の反応容器に相当する距離を回転駆動する。反応容器2は、全ての反応で共通のものが使用され、使い捨てである。
試薬・検体共通ディスク3(以下、共通ディスク)の中には、複数の試薬ボトル4及び検体容器5を円周状に載置可能である。本実施形態では、試薬ボトル4が検体容器5の内周に位置しているが、検体容器5が試薬ボトル4の内周に位置しても良いし、内周と外周で区分けされずに位置しても良い。また、試薬と検体は独立したディスクで構成されても良い。
インキュベータ1と共通ディスク3の間には、回転及び上下動可能な第1分注機構8と第2分注機構9が設置されており、各分注機構が分注ノズルを備えている。第1分注機構8の分注ノズルに第1分注機構用ポンプ10が接続され、第2分注機構9の分注ノズルに第2分注機構用ポンプ11が接続されている。
第1分注機構8及び第2分注機構9は、異なる分析過程の検査で使い分けられる。第1分注機構8を生化学用、第2分注機構9を免疫用とすると、免疫用の第2分注機構9では、検体間のコンタミネーションを防ぐ必要性が高いため、分注チップ18が使用される。
第1分注機構8は、生化学検査用の検体及び試薬を分注する。第2分注機構9は、免疫検査用の検体及び試薬を分注する。生化学検査及び免疫検査のどちらの検査も行われる検体に対しては、第1分注機構8及び第2分注機構9の両方がアクセス可能である。
第1分注機構8は、生化学検査用の検体及び試薬を分注する。第2分注機構9は、免疫検査用の検体及び試薬を分注する。生化学検査及び免疫検査のどちらの検査も行われる検体に対しては、第1分注機構8及び第2分注機構9の両方がアクセス可能である。
分注ノズルは、回転軸を中心として水平方向に円弧を描きながら移動する。分注ノズルの水平方向の軌道上には、共通ディスク3上の試薬吸引位置6及び検体吸引位置7、インキュベータ1上の第1分注位置及び第2分注位置、分注ノズルを洗浄するための洗浄槽(第1分注ノズル洗浄槽12,第2分注ノズル洗浄槽13)が存在する。第2分注機構9は、分注チップ18を使用するため、分注チップ装着位置22及び分注チップ廃棄位置23も軌道上に存在する。
第1分注機構8及び第2分注機構9は、分注ノズルの軌道や機構が互いに干渉しないように配置されている。検体吸引位置7で検体容器5から吸引された検体と、試薬吸引位置6で試薬ボトル4から吸引された試薬と、は、第1分注位置または第2分注位置で反応容器2へ吐出される。その後、反応容器2内の検体及び試薬は、分注ノズルまたは分注ノズルに装着された分注チップ18による反応容器2内での吸引吐出動作により混合される。
検体と試薬が混合された反応液を収容した反応容器2は、インキュベータ1により所定温度に管理され、反応が促進される。インキュベータ1の周囲には、生化学検査用の分光光度計15が配置されている。分光光度計15は、検体と試薬が混合された反応液に光を照射して得られる透過光を分光して検出することにより、反応液の吸光度を測定するものであり、その構造の詳細は図2を用いて後述する。
免疫検査用の検出機構16は、インキュベータ1により所定の時間反応させた反応液を測定する。免疫検査では、標識物質を検出する方式として、電気化学発光や化学発光を原理とするものがあり、各々に適する標識体や検出領域の構造と物性が選択され、その標識体の発光反応に由来する発光量を、光電子増倍管を検出器として測定する。
搬送機構17は、反応容器トレイ20に装填されている使い捨ての反応容器2をインキュベータ1へ移動したり、インキュベータ1で吸光度の測定が完了した反応容器2を廃棄ボックス21に廃棄したりする。また、搬送機構17は、インキュベータ1により所定の時間反応させた反応液が入った反応容器2を検出機構16へ移動したり、検出機構16での測定が完了した反応容器2を廃棄ボックス21へ廃棄したりする。さらに、搬送機構17は、分注チップトレイ19に装填されている分注チップ18を分注チップ装着位置22へ移動する動作なども行う。
制御部24は、各機構に接続され(接続の様子は不図示)、インキュベータ1の回転動作、共通ディスク3の回転動作、分注ノズルの動作、液体の吸引・吐出の動作などを制御する。
図2は、自動分析装置の光学系を示す図である。自動分析装置の光学系は、図2に示すように、光源101と、集光レンズ102と、照射スリット103と、反応容器2と、受光スリット105と、凹面回折格子106と、受光器107と、を備える。本実施形態では、光源101としてLEDが用いられる。光源101からの光は、集光レンズ102で集光され、照射スリット103によって照射範囲を限定され、反応容器2に入射した後、反応容器2内の反応液104の吸光度に応じた光量の光を出射する。出射した光は、受光スリット105により受光範囲を限定され、凹面回折格子106で分光され、受光器107で受光される。受光器107で受光された光の波長ごとの光量が電気信号に変換され、受光器107から出力された電気信号に基づいて、制御部24が吸光度の測定を行う。
図3Aは、インキュベータの水平断面図であり、図3Bは、図3AのA-A断面図である。インキュベータ1には、反応容器2が挿入される容器挿入穴62が、円周状に所定の等間隔で複数設けられている。なお、図3Aでは、容器挿入穴62が円周状に12個示されているが、実際には、図1に示すように、インキュベータ1の上面には64個の容器挿入穴62が形成される。なお、64個の容器挿入穴62のうち、32個が生化学検査用の穴であり、他の32個が免疫検査用の穴である。
インキュベータ1は、反応容器2内の反応液の温度を所定温度に昇温して維持する役割を果たすため、円盤状の金属で形成するのが望ましいが、円盤状以外の形状や金属以外の遮光材料であっても良い。このように遮光材料で主に形成されるインキュベータ1には、光源101からの光が反応容器2を透過して受光器に至るようにする光路として、図3Bに示すように、入射側スリット63と出射側スリット64が径方向に形成されている。なお、吸光度の測定を伴わない免疫検査用の反応容器2のみが挿入される容器挿入穴62に対しては、各スリットを設けないようにすることで、温度制御性能を向上させたり、免疫検査用の試薬への光の照射による影響を排除したりしても良い。
図4は、インキュベータのある容器挿入穴に反応容器が挿入された状態を示す断面図である。光源101から発せられ入射側スリット63を通った光は、反応容器2内の反応液104を透過し、反応液104の吸光度に応じた光量の光を出射する。出射した光は、出射側スリット64を通り、分光光度計15へ入射して分光され、波長ごとの光量が計測される。ここで、反応容器2の円筒部はインキュベータ1と密着するため、一定の温度に制御されたインキュベータ1から反応容器2及び反応液104へと熱が伝わり、インキュベータ1と同じ温度まで迅速に昇温される。
以下、自動分析装置が、生化学検査として反応液の吸光度を測定する場合の動作を、図5に基づき具体的に説明する。図5は、インキュベータのうち第1位置及び第2位置に対して実行される動作を示すタイムチャートである。
まず、ユーザによるスタートの指示により各機構の初期動作(リセット動作)が行われる。このとき、インキュベータ1に32個ある生化学検査用のどの容器保持位置にも、反応容器2が保持されていないものとする。なお、本明細書における容器保持位置とは、容器挿入穴62の場所と対応する形でインキュベータ1の周方向位置を示すものであって、特に、反応容器2が容器挿入穴62に挿入されて容器保持部によって保持された場合に光照射領域となる部分を指す。
1番目のサイクル(サイクルC1)において、制御部24は、搬送機構17を制御して、使用前の反応容器2を反応容器トレイ20から移動させ、インキュベータ1の複数の容器保持位置のうち搬送位置にある第1位置に反応容器2を設置させた後、インキュベータ1を回転させる。このとき、インキュベータ1は一周以上回転するため、すべての容器保持位置が測光部(光源101)の前を通過し、各容器保持位置に照射して得られる透過光の光量が分光光度計15によって測定される。反応容器2が保持されている第1位置に対しては1回目のブランク測定(BK1)が行われ、反応容器2が保持されていない第2位置や他の容器保持位置に対しては空測光が行われる。第1位置に対する1回目のブランク測定で得られた測定値は、第2位置に対する本サイクルの空測光で得られた測定値によって補正される。なお、本サイクルでは、空測光が行われる容器保持位置が複数あるため、これらの空測光の測定値の平均値が、第1位置における測定値の補正に用いられても良い。あるいは、空測光が行われる複数の容器保持位置のうち、照射タイミング(測光部を通過するタイミング)が第1位置に最も近い容器保持位置における空測光の測定値が、第1位置における測定値の補正に用いられても良い。
本明細書におけるブランク測定とは、容器保持位置に反応容器2はあっても反応容器2内に反応液がない空の状態で行われる光量の測定であり、使い捨ての反応容器2の個体差や汚れを補正するための測定である。本実施形態では、同じ反応容器2に対して3サイクル連続してブランク測定が行われ、3つの測定値の平均が補正のために用いられる。なお、本実施形態の自動分析装置は、前述のように使い捨ての反応容器2を使用し、反応容器2内に水や洗剤を吐出したり吸引したりする洗浄機構は備えていないため、反応容器2内に水が入った状態での光量の測定(水ブランク測定)は行われない。
本明細書における空測光とは、容器保持位置に反応容器2もない状態で行われる光量の測定であり、光源101の発光量(発行強度)の変動をキャンセルするための測定である。空測光での測定値は、光源101の発光量そのものであり、サイクルが進むに従い変化する可能性がある。したがって、各サイクルにおけるブランク測定や後述の反応液測定の測定値は、同一サイクルにおける他の容器保持位置で測定された空測光の測定値によって、補正される。
2番目のサイクル(サイクルC2)では、制御部24が、インキュベータ1を回転させることで、第1位置に対しては2回目のブランク測定(BK2)を行い、第2位置や他の容器保持位置に対しては空測定を行う。第1位置に対する2回目のブランク測定で得られた測定値も、第2位置や他の容器保持位置に対する本サイクルの空測光で得られた測定値によって補正される。
3番目のサイクル(サイクルC3)では、制御部24が、搬送機構17を制御して、使用前の新たな反応容器2を反応容器トレイ20から移動させ、インキュベータ1の複数の容器保持位置のうち搬送位置にある第2位置に反応容器2を設置させた後、インキュベータ1を回転させる。インキュベータ1の回転により、第1位置に対しては3回目のブランク測定(BK3)が行われ、第2位置に対しては1回目のブランク測定(BK1)が行われる。本サイクルも、反応容器2が保持されていない他の容器保持位置では空測光が行われるので、これらの空測光による測定値に基づいて、第1位置及び第2位置における測定値が補正される。
4番目のサイクル(サイクルC4)では、制御部24は、第1分注機構8を制御して、第1位置の反応容器2に対して検体及び試薬を分注させた後、インキュベータ1を回転させる。インキュベータ1の回転により、第1位置に対しては1回目の反応液測定(MP1)が行われ、第2位置に対しては2回目のブランク測定(BK2)が行われる。本サイクルも、反応容器2が保持されていない他の容器保持位置では空測光が行われるので、これらの空測光による測定値に基づいて、第1位置及び第2位置における測定値が補正される。
本明細書における反応液測定とは、容器保持位置に反応容器2があり、かつ、反応容器2内に反応液がある状態で行われる光量の測定であり、例えば合計60回行われる。なお、本実施形態では、1サイクルが10秒であるため、1つの検体から得られた反応液に対して10分で吸光度の測定が完了するようになっている。ただし、反応液測定の回数や1サイクルの所要時間は、これらに限られず、容器保持位置の数によっても異なる。
その後、n番目のサイクル(サイクルCn)では、制御部24は、搬送機構17を制御して、搬送位置にある第1位置から使用後の反応容器2を移動させ、廃棄ボックス21に廃棄させた後、インキュベータ1を回転させる。インキュベータ1の回転により、第1位置に対しては空測光が行われ、第2位置に対しては、59回目の反応液測定(MP59)が行われる。第1位置に対する空測光の測定値は、第2位置及び他の容器保持位置における本サイクルの測定値の補正に用いられる。
n+1番目のサイクル(サイクルCn+1)では、制御部24は、搬送機構17を制御して、使用前の新たな反応容器2を反応容器トレイ20から移動させ、搬送位置にある第1位置に設置させた後、インキュベータ1を回転させる。インキュベータ1の回転により、第1位置に対しては1回目のブランク測定(BK1)が行われ、第2位置に対しては60回目の反応液測定(MP60)が行われる。本サイクルでは、空測光の行われる容器保持位置が存在しないため、別のサイクルにおける空測光の測定値が本サイクルの測定値の補正に用いられる。
例えば、本サイクルの第1位置に対する1回目のブランク測定(BK1)の測定値は、直前のn番目のサイクルの第1位置に対する空測定の測定値か、直後のn+2番目のサイクルの第2位置に対する空測光の測定値か、これらの測定値の中間値を用いて補正される。同様に、本サイクルの第2位置に対する60回目の反応液測定(MP60)の測定値も、直前のn番目のサイクルの第1位置に対する空測定の測定値か、直後のn+2番目のサイクルの第2位置に対する空測光の測定値か、これらの測定値の中間値を用いて補正される。なお、空測定が存在しない(空測光なし)サイクルにおける測定値の補正には、直近の(空測光あり)サイクルにおける空測光の測定値だけでなく、その次に近い(空測光あり)サイクルにおける空測光の測定値なども含めて、線形補間することで得られた値が用いられても良い。また、補間には線形補間以外の方法が用いられても良い。
n+2番目のサイクル(サイクルCn+2)では、制御部24は、搬送機構17を制御して、搬送位置にある第2位置から使用後の反応容器2を移動させ、廃棄ボックス21に廃棄させた後、インキュベータ1を回転させる。インキュベータ1の回転により、第1位置に対しては2回目のブランク測定(BK2)が行われ、第2位置に対しては空測光が行われる。本サイクルでは、第2位置に対する空測光の測定値が、第1位置及び他の容器保持位置における本サイクルの測定値の補正に用いられる。また、本サイクルの第2位置に対する空測光の測定値は、直前のn+1番目のサイクルにおける測定値の補正や、直後のn+3番目のサイクルにおける測定値の補正に用いられる。
ここで、光量及び吸光度を補正するときの計算方法について、説明する。なお、反応容器内が空の状態で測定したブランク光量を、水が入っている状態のブランク光量相当に補正する方法については省略する。
まず、ある反応容器2がインキュベータ1に保持された直後のブランク測定で得られる光量をI0とし、当該ブランク測定と同じサイクルにおいて他の容器保持位置で行われた空測光で得られる光量(空Pos光量)をS0とする。また、当該反応容器2のX回目の反応液測定で得られる光量をIxとし、当該反応液測定と同じサイクルにおいて他の容器保持位置で行われた空測光で得られる光量(空Pos光量)をSxとする。
すると、当該反応容器2のX回目の反応液測定の補正後の光量I´xは、以下の(式1)で表せる。
さらに、当該反応容器2のX回目の反応液測定で得られる吸光度をAxとすると、当該反応容器2のX回目の反応液測定の補正後の吸光度A´xは、以下の(式2)または(式3)で表せる。
図6は、反応液測定で得られる光量、空測光で得られる光量、反応液測定の補正後の光量、の推移を示すグラフである。図6に示すように、反応液測定が1サイクルごとに行われるのに対して、空測光は2サイクルに1回行われる。また、空測光の光量(図6の■参照)は、反応液測定の回数が進むに従い、すなわち、時間(サイクル)が経過するに従い、変動(増加)していることが分かる。自動分析装置の電源が投入されてから所定時間は、光源の発光量が安定しないためである。その結果、反応液測定の測定値(図6の●参照)は、発光量の変動に影響され、図6のように、変動(増加)していることが分かる。
そこで、本実施形態では、空測光の測定値を用いて、反応液測定の測定値を補正した。
その結果、反応液測定の補正後の光量(図6の▲参照)は、発光量が変動しても、比較的安定した値となることが分かる。すなわち、光源からの発光量が変動しやすい状況であっても、発光量が安定するまで待つことなく、発光量の変動による影響を抑制しながら反応液測定が可能となり、自動分析装置の信頼性が向上する。
その結果、反応液測定の補正後の光量(図6の▲参照)は、発光量が変動しても、比較的安定した値となることが分かる。すなわち、光源からの発光量が変動しやすい状況であっても、発光量が安定するまで待つことなく、発光量の変動による影響を抑制しながら反応液測定が可能となり、自動分析装置の信頼性が向上する。
特に、光源101にLEDが用いられる場合、ハロゲンランプと比べて、自動分析装置の設置環境の温度による影響を受けやすく、発光量が変動し易いが、本実施形態のように測定値を補正することで、信頼性の低下を抑制できる。
以上述べたように、本実施形態の自動分析装置では、使い捨ての反応容器2が用いられ、使用後の反応容器2を廃棄してから使用前の反応容器2を設置するまでのタイミングで生じる、容器保持位置が空の状態を利用して測光し、その値に基づいて補正している。したがって、隣接する容器保持位置の間が遮光材料で覆われており、インキュベータ1自体に空測光専用の光路を設けるのが困難な場合でも、空測光が可能となり、分析結果の精度を保つことができる。また、インキュベータ1自体に空測光専用の光路を設けないことにより、装置の大型化や処理能力の低下を防ぐことも可能である。
なお、本発明は、前述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
例えば、前述の実施形態では、スタート直後を除き、空測光を2サイクルに1回行ったが、これに限定されない。空測光を何サイクルに1度行うか、すなわち、反応容器2の設置や廃棄を何サイクルに1度行うかは、自動分析装置の処理能力によって異なるためである。インキュベータ1における容器保持位置の数も、前述の実施形態では生化学用が32個であったが、自動分析装置の処理能力などによって異なる数であっても良い。
また、前述の実施形態と比べて自動分析装置の処理能力は低下する可能性もあるが、空測光を常に1サイクルに1回行うようにして、補正の精度をより高めても良い。この場合、制御部は、容器保持部の少なくとも1つの位置には、反応容器2が保持されないよう、スケジューリングしながら、各機構の動作を制御する。
1…インキュベータ、2…反応容器、3…試薬・検体共通ディスク、4…試薬ボトル、5…検体容器、6…試薬吸引位置、7…検体吸引位置、8…第1分注機構、9…第2分注機構、10…第1分注機構用ポンプ、11…第2分注機構用ポンプ、12…第1分注ノズル洗浄槽、13…第2分注ノズル洗浄槽、15…分光光度計、16…検出機構、17…搬送機構、18…分注チップ、19…分注チップトレイ、20…反応容器トレイ、21…廃棄ボックス、22…分注チップ装着位置、23…分注チップ廃棄位置、24…制御部、62…容器挿入穴、63…入射側スリット、64…出射側スリット、101…光源、102…集光レンズ、103…照射スリット、104…反応液、105…受光スリット、106…凹面回折格子、107…受光器。
Claims (9)
- 検体と試薬が混合することにより生成された反応液を収容する容器を複数保持可能な容器保持部と、
光を照射する光源と、
前記光源が照射した光を受光する受光器と、
前記受光器が出力した信号から光に係る測定を行う制御部と、を備え、
前記容器は使い捨ての容器であり、
前記制御部は、前記容器保持部における前記容器が保持されていない位置に照射された光に係る測定値に基づいて、前記容器保持部における前記容器が保持されている位置に照射された光に係る測定値を補正する、自動分析装置。 - 請求項1に記載の自動分析装置において、
前記容器保持部のうち第1位置には前記容器が保持されており第2位置には前記容器が保持されていない状態で光が照射される第1測光サイクルと、
前記容器保持部のうち前記第1位置には前記容器が保持されておらず前記第2位置には前記容器が保持されている状態で光が照射される第2測光サイクルと、を有し、
前記第1測光サイクルにおける前記第1位置に照射された光に係る測定値が、前記第1測光サイクルにおける前記第2位置に照射された光に係る測定値に基づいて補正され、
前記第2測光サイクルにおける前記第2位置に照射された光に係る測定値が、前記第2測光サイクルにおける前記第1位置に照射された光に係る測定値に基づいて補正される、自動分析装置。 - 請求項2に記載の自動分析装置において、
使用前の前記容器を前記容器保持部へ移動させ、使用後の前記容器を前記容器保持部から移動する搬送機構を備え、
前記第1測光サイクルの直後のサイクルでは、前記搬送機構が使用前の前記容器を前記第2位置へ移動し、
前記第2測光サイクルの直後のサイクルでは、前記搬送機構が使用前の前記容器を前記第1位置へ移動する、自動分析装置。 - 請求項3に記載の自動分析装置において、
前記第1測光サイクルでは、前記搬送機構が使用後の前記容器を前記第2位置から移動させた後、前記容器保持部が回転して光が照射され、
前記第2測光サイクルでは、前記搬送機構が使用後の前記容器を前記第1位置から移動させた後、前記容器保持部が回転して光が照射される、自動分析装置。 - 請求項1に記載の自動分析装置において、
前記容器保持部のいずれかの位置には前記容器が保持されていない状態で光が照射される空測光ありサイクルと、
前記容器保持部のいずれの位置にも前記容器が保持されている状態で光が照射される空測光なしサイクルと、有し、
前記空測光なしサイクルにおいて所定の位置に照射された光に係る測定値が、直近の前記空測光ありサイクルにおいて前記容器が保持されていない位置に照射された光に係る測定値に基づいて補正される、自動分析装置。 - 請求項1に記載の自動分析装置において、
前記制御部は、前記容器が保持されている所定の位置に照射された光に係る測定値を、前記容器が保持されていない複数の位置に照射された光に係る測定値の平均値に基づいて補正する、自動分析装置。 - 請求項1に記載の自動分析装置において、
前記制御部は、前記容器が保持されている所定の位置に照射された光に係る測定値を、前記容器が保持されていない複数の位置のうち、照射タイミングが前記所定の位置に最も近い位置における光に係る測定値に基づいて補正する、自動分析装置。 - 請求項1に記載の自動分析装置において、
前記制御部が、前記容器保持部の少なくとも1つの位置には、前記容器が保持されないように制御する、自動分析装置。 - 請求項1に記載の自動分析装置において、
前記容器保持部は、遮光材料で形成され、所定の間隔で設けられた複数の穴に対して前記容器が挿入される、自動分析装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2023
- 2023-07-19 WO PCT/JP2023/026449 patent/WO2024029337A1/ja active Search and Examination
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