WO2024024809A1 - 飲料抽出フィルタ及び飲料抽出バッグ - Google Patents

Abstract

飲料抽出フィルタ及び飲料抽出バッグを提供する。本発明の飲料抽出フィルタ（１）は、一対の基材を互いに対向させた袋状のフィルタ本体（３）と、フィルタ本体（３）の外面に対向するように貼着され、フィルタ本体（３）の上部に水平方向に貼着される上部貼着部（７）と、上部貼着部（７）の水平方向中央から下方に延びる中央貼着部（８）と、中央貼着部（８）の両側縁に沿ってＶ字状に上方に延びた後、上端部で互いに離間する左右方向に延びたアーム部（９）と、２本のアーム部（９），（９）とその左右両端部で連続しアーム部（９），（９）の側方及び下方を囲うように形成され、フィルタ本体（３）から離間して容器の外周面に引っ掛けられる掛止部（１０）とを有したホルダ（４）とを備え、アーム部（９），（９）と前記掛止部（１０）との境には、上下方向に延びて掛止部（１０）の上部を前記容器に沿わせる上部折り曲げ線（２５）が形成されている。

Description

飲料抽出フィルタ及び飲料抽出バッグ

　本発明は、飲料抽出フィルタ及び飲料抽出バッグに関する。

　容器に安定的にセットをして一杯分のコーヒー等の飲料を淹れることができる飲料抽出フィルタが広く開発されている（例えば下記特許文献１）。
　特許文献１に記載の飲料抽出フィルタは、口径が８０ｍｍ程度までのカップ（容器）の開口部にホルダを引っ掛けて、１杯分すなわち約８ｇ（約１４０ｃｃ）のコーヒーなどの飲料を抽出することを想定して形成されている。
　しかし、場合によっては、上記量よりも多めにコーヒーを抽出したい場合もある。このような場合、飲料抽出フィルタに入れる豆の量を１．５倍等と多くし、注湯量を豆量に応じて増やすとともに、そそぐカップを大きめのものに設定する。

特開平８－２６８４４０号公報

　従来の飲料抽出フィルタでは、口径が７０～８０ｍｍ程度のカップにフィットするが、口径が９０～１００ｍｍ程ある大き目のマグカップにホルダを掛けるには無理が生じ、ホルダを掛けても外れてしまうか、設置の安定性が悪いという問題があった。
　そこで、本発明は、１サイズで通常の口径から大き目の口径のカップに対応でき、使用時に容器への安定性が高い飲料抽出フィルタ及び飲料抽出バッグを提供する。

　本発明の飲料抽出フィルタは、一対の基材を互いに対向させた袋状のフィルタ本体と、フィルタ本体の外面に対向するように貼着され、前記フィルタ本体の上部に水平方向に貼着される上部貼着部と、前記上部貼着部の水平方向中央から下方に延びる中央貼着部と、前記中央貼着部の両側縁に沿ってＶ字状に上方に延びた後、上端部で互いに離間する左右方向に延びたアーム部と、この２本のアーム部とその左右両端部で連続し前記アーム部の側方及び下方を囲うように形成され、前記フィルタ本体から離間して容器の外周面に引っ掛けられる掛止部とを有したホルダとを備え、前記アーム部と前記掛止部との境には、上下方向に延びて前記掛止部の上部を前記容器に沿わせる上部折り曲げ線が形成されている。
　この構成によれば、大口径の容器にホルダを掛けた場合であっても、掛止部の上部の容器に対する反り返りを防止して、ホルダの容器への保持力を良好に担保することができる。

　本発明の飲料抽出フィルタの前記上部折り曲げ線は、前記境の外周縁から内周縁に達しない位置まで延びていてもよい。
　この構成によれば、掛止部の上部の容器に対する反り返りを防止しつつもアーム部の掛止部上部に対する反発性を持たせることができる。

　本発明の飲料抽出フィルタの前記上部折り曲げ線は、その延在線上にある外周縁から内周縁までの２分の１以上４分の３以下の寸法で形成されていてもよい。
　この構成によれば、掛止部の上部の容器に対する反り返りを防止しつつもアーム部の掛止部上部に対する反発性を持たせる作用がより良好に発揮される。

　本発明の飲料抽出フィルタの前記掛止部は、前記上部折り曲げ線の延長線を内周縁として下方に延び、前記容器の上部に沿わせる上側押さえ部と、この上側押さえ部の下端から更に幅方向中央に向かってすぼみ下部で連結する下側押さえ部とを有し、前記上側押さえ部は、その内周縁上の上部折り曲げ線を介して前記アーム部側に突出し、上部折り曲げ線を中心として容器の周面の形状に応じて起き上がり可能な押さえフラップを有していてもよい。
　この構成によれば、上側押さえ部と押さえフラップにより、容器の保持力が安定する。

　本発明の飲料抽出フィルタの前記押さえフラップは、前記上部折り曲げ線を長手方向とする矩形に形成されていてもよい。
　この構成によれば、押さえフラップによる容器の保持力がより強くなる。

　本発明の飲料抽出バッグは、上記いずれかの飲料抽出フィルタに飲料抽出原料が封入されている。
　この構成によれば、上記の作用又は効果を奏する飲料抽出バッグとすることができる。

　本発明の飲料抽出フィルタ及び飲料抽出バッグは、１サイズで通常の口径から大口径のカップに使用でき、容器に安定的に設置することができるという効果を奏する。

本発明の一実施形態に係る飲料抽出フィルタであって開口前の偏平な状態を示した正面図である。 本発明の一実施形態に係る飲料抽出フィルタであって開口前の偏平な状態を示した正面図である。 本発明の一実施形態に係る飲料抽出フィルタの使用状態を示した正面上方斜視図である。 本発明の一実施形態に係る飲料抽出フィルタの使用状態を示した側面上方斜視図である。 （ａ）本発明の他の実施形態に係る飲料抽出フィルタの使用状態を比較した正面上方斜視図である。（ｂ）本発明の一実施形態に係る飲料抽出フィルタの使用状態を比較した正面上方斜視図である。 本発明の他の実施形態に係る飲料抽出フィルタであって開口前の偏平な状態を示した正面図である。

　以下、本発明の例示として一実施形態の飲料抽出フィルタ及び飲料抽出バッグについて図を参照して説明する。なお、各実施形態において、上下左右とは、飲料抽出フィルタを容器に設置した状態での向きを意味している。

　図１に示すように、本発明の一実施形態である飲料抽出フィルタ１は、上端側に開口部２を形成可能な袋状のフィルタ本体３と、フィルタ本体３の外表面に取り付けられ、フィルタ本体３を図３に示す容器１００に係止させるとともに、フィルタ本体３の形状を保持するホルダ４とを備えている。

　図２に示すように、フィルタ本体３は、同形状のシートの面を対向させて用いられるシート基材５，５を備えている。
　シート基材５（一方の面側）は、水平方向に延びる第１の上辺５ａと、第１の上辺５ａの両端から互いに離間するように斜め下方に延びる第２の上辺５ｂ，５ｂと、上辺５ｂの下端から頂部５ｄ方向に延びる左右の下辺５ｃ，５ｃとに囲まれた５角形に形成されている。
　第１の上辺５ａと第２の上辺５ｂとが成す角度は約１３５度、第２の上辺５ｂと下辺５ｃとが成す角は約９０度、下辺５ｃ，５ｃが成す角は約９０度に設定されている。

　シート基材５，５は、濾紙や不織布などからなる通液性を有する材料により形成されており、各辺を揃えて重ねられ、左右の下辺５ｃ，５ｃの直近を直線状かつ連続的に溶着し、第１の上辺５ａ及び第２の上辺５ｂ，５ｂを解放した状態で貼り合わせている。これにより、第１の上辺５ａ及び第２の上辺５ｂにおいて開口可能で、閉じられた下辺５ｃ，５ｃが頂部５ｄに向かってすぼむ形状の袋体になっている。

　図１に示すように、ホルダ４は、フィルタ本体３の表裏をなすシート基材５，５にそれぞれ固定された板状の一対の保持部６，６を有している。このホルダ４は、剛性のある紙又は合成樹脂等の材料により形成されている。
　保持部６は、図２に示すように、第１の上辺６ａ及び第２の６ｂ，６ｂと、第１の下辺６ｃ，６ｃ及び第２の下辺６ｄとによりほぼ六角形に形成されている。

　第１の上辺６ａ及び第２の６ｂ，６ｂは、シート基材５の第１の上辺５ａ及び第２の上辺５ｂ，５ｂに沿ってほぼ平行に形成されている。
　第１の下辺６ｃ，６ｃは、シート基材５の下辺５ｃ，５ｃに沿ってほぼ平行に形成されている。
　第２の下辺６ｄは、第１の上辺５ａにほぼ平行で第１の上辺５ａよりもやや短く形成されている。

　図１に示すように、ホルダ４の一基材を構成する保持部６は、上部貼着部７、中央貼着部８、アーム部９，９、及び掛止部１０の各パーツを主として有している。
　上部貼着部７は、上辺６ａに沿ってホルダ４の上部に水平方向に帯状に形成されている。
　中央貼着部８は、上部貼着部７の左右方向の略中央から下方に向かって形成されている。

　アーム部９，９は、図２に示すように、切込み及びミシン目（若しくは折り目）により形成された外周縁１６ｘ，１７ｘ及び内周縁１６ｙ，１７ｙによって所定の幅をもって帯状に形成された部分である。アーム部９，９は、中央貼着部８に沿ってその左右両外側に略Ｖ字形の帯状に形成された後、上部貼着部７に沿って互いに離間する左右方向に帯状に延びている。

　掛止部１０は、アーム部９の外周縁１７ｘ及び内周縁１７ｙに連続する切込みにより形成された図１に示す外周縁２１ｘ，２２ｘ，２３ｘ及び内周縁２１ｙ，２２ｙ，２３ｙによって所定の幅をもって帯状に形成された部分である。掛止部１０は、アーム部９，９の側方周辺及び下方周辺を取り囲むように形成されている。

　各部の詳細の説明は以下のとおりである。
　図１に示すように、上部貼着部７は、上辺６ａと、アーム部９の水平に延びる外周縁を含んで延びる仮想直線Ｌ１との間に挟まれた部分である。上部貼着部７は、全体としてフィルタ本体３から離間しないようにフィルタ本体３に貼着されている。上部貼着部７は、図３に示すように、フィルタ本体３が開口した際の開口部２を形成し、保持する部分となっている。

　図２に示すように、上部貼着部７には、フィルタ本体３の開口時に円弧形状の形成を容易にする折り目ｆ１が複数形成されている。折り目ｆ１は、本実施形態では、ホルダ４の幅方向の中心線Ｌ２を軸として左右対称となるように４本形成されている。内側の２本は中心線Ｌ２に対して所定の角度θ１を有する傾斜線となっている。外側の２本は、中心線Ｌ２に対してθ１よりもやや大きい角度θ２を成すように形成されている。その結果左右の内側の折り目ｆ１及び外側の折り目ｆ１はそれぞれ上方に向かって拡大するように形成されている。

　図１に示すように、中央貼着部８は、上部貼着部７の左右方向の中間の位置から下方に、細長い略逆三角形状に延びている。略Ｖ字に延びる線は、谷折り線１５を構成している。中央貼着部８は、少なくともその上部と下部とにおいてフィルタ本体３に貼着され、全体としてフィルタ本体３からほとんど離間しないように、フィルタ本体３を覆っている。

　谷折り線１５は、中央貼着部８とアーム部９とを分ける境目であり、図２に示すアーム部９の外周縁１６ｘを構成している。この谷折り線１５は、型押しされた直線若しくは浅い切込みによるものを含む間欠的な又は破線の切込みにより形成されている。これにより、中央貼着部８とアーム部９の内側とが分離しないように且つ折り曲げ易くなっている。

　谷折り線１５，１５同士が成す角度は、６度以上９０度未満に設定されており、１０度以上６０度以下に設定されることが好ましく、２０度以上４０度以下に設定されていることがより一層好ましい。

　谷折り線１５，１５同士の成す角度が６度未満であると、アーム部９が略垂直方向に立ち上るため、フィルタ本体３を開口してその内部に注液した際に、液体の荷重でアーム部９が外側に弧を描くように撓みやすくなる。また、谷折り線１５，１５同士の成す角度が９０度以上であると掛止部１０を引き起こし難くなる。

　しかし、谷折り線１５，１５同士の成す角度が１０度以上であると撓み難くなり、２０度以上であると、ほとんど撓まなくなる。また、谷折り線１５，１５同士の成す角度が８０度以下であると掛止部１０を引き起こし易くなり、２０度以上６０度以下であると、引き出し易さが適度になる。
　本実施形態では、谷折り線１５，１５同士の成す角は４０度に設定されている。

　図２に示すように、アーム部９，９は、それぞれミシン目及び切込みにより形成された外周縁１６ｘ，１７ｘと切込みより形成された内周縁１６ｙ，１７ｙにより、上部が左右に張り出した概略Ｖ字の帯状に形成されている。なお、アーム部９，９において概略Ｖに形成された部分をＶ字形成部１６、Ｖ字形成部１６の上端で左右に張り出した上部を肩部１７と称する。

　アーム部９の外周縁１６ｘは、ミシン目によりホルダの中心線Ｌ２に対して上方に拡がる方向に傾斜しつつ延びた後、外周縁１７ｘとして切込みに切り替わって中心線Ｌ２から離間する略水平方向に延び、第２の上辺６ｂに所定の寸法近接したところで折れ曲がって第２の上辺６ｂに平行に延びている。

　アーム部９の内周縁１６ｙは、外周縁１６ｘの下端の左右外側に湾曲した切込みに連続して水平方向に延びた後、中心線Ｌ２に対して上方に拡がる方向に直線状に延びて、外周縁１６ｘのミシン目と共にＶ字形成部１６を形成している。
　内周縁１７ｙは、Ｖ字を成す内周縁１６ｙの上端から略水平方向に折れ曲がって中心線Ｌ２から離間する方向に延び、外周縁１７ｘと共に肩部１７を形成している。肩部１７を形成する内周縁１７ｙは、左右外側方向に水平であるか又はごくわずかに上方に傾斜している。

　内周縁１６ｙ，１７ｙ及び外周縁１６ｘ，１７ｘは、全体として一続きに形成されている。
　アーム部９，９は、図１に示す谷折り線１５，１５においてフィルタ本体３に固定されているが、裏面はフィルタ本体３に貼着されておらず、谷折り線１５を基端として立ち上がり可能になっている。

　掛止部１０は、左右対称の肩部１７の両端から下方に延びた上側押さえ部２１と、フィルタ本体３の下辺にほぼ沿って斜め下方に延びた下側押さえ部２２と、水平に延びた底辺部２３とが繋がって形成されている。
　これらの上側押さえ部２１、下側押さえ部２２及び底辺部２３は、図２に示すアーム部９の外周縁１７ｘに連続して形成されている図１に示す外周縁２１ｘ等と、図２に示すアーム部９の内周縁１７ｙに連続して形成されている図１に示す内周縁２１ｙ等により形成されている。

　図１又は図２に示すように、上側押さえ部２１と肩部１７との間には、ホルダ４の表面側から見て山折りなる上部折り曲げ線２５が形成されている。
　上部折り曲げ線２５は、アーム部９の外周縁１７ｘ上の点ｐ１からやや中心線Ｌ２寄りに傾きながら直線状に下方に延び、内周縁１７ｙ上の点（詳細にはアーム部９の内周縁１７ｙと上側押さえ部２１の内周縁２１ｙとの交差部）ｐ２に達する手前まで延びている。上部折り曲げ線２５は、型押し又はミシン目により形成されている。

　上部折り曲げ線２５の長さは、始点ｐ１から交差部ｐ２までの長さの２分の１から５分の４の範囲で、始点ｐ１から延びていることが望ましく、始点ｐ１から２分の１～４分の３の長さであることがより好ましく、始点ｐ１から３分の２程度延びていることが最も好ましい。

　上側押さえ部２１は、アーム部９のＶ字形成部１６と水平方向に間隔を空けて延び、Ｖ字形成部１６の下端の高さの手前まで延びている。
　上側押さえ部２１の外周縁２１ｘは、肩部１７の外周縁１７ｘに連続する切込みによりフィルタ本体３の第２の上辺５ｂに平行に延びて上側押さえ部２１の上部を外側に張り出す形状を形成した後、上側押さえ部２１の幅寸法をややすぼませる傾きをもって下方に延びている。
　上側押さえ部２１の内周縁２１ｙは、ミシン目又は型押しにより交差部ｐ２から上部折り曲げ線２５の延長線上に形成され、フラップ折り曲げ線ｆ２を構成している。

　フラップ折り曲げ線ｆ２には、矩形の押さえフラップ２７が連設している。押さえフラップ２７は、フラップ折り曲げ線ｆ２の全体に亘って延在し、Ｖ字形成部１６側に突出するように設けられている。

　下側押さえ部２２は、上側押さえ部２１の外周縁２１ｘから連続する切込みによる外周縁２２ｘと，上側押さえ部２１のフラップ折り曲げ線ｆ２から連続する切込みによる内周縁２２ｙとによって、上側押さえ部２１に連続してフィルタ本体３の下辺５ｃとほぼ平行に延び、底辺部２３の両端に繋がっている。

　底辺部２３は、下側押さえ部２２の外周縁２２ｘの下端から下方に延びその後下方に延びた先端同士を結ぶ切込みからなる外周縁２３ｘと、下側押さえ部２２の内周縁２２ｙの下端同士を結ぶ切込みからなる内周縁２３ｙとによって、ホルダ４の最下部において横長に延びるほぼ矩形に形成されている。

　掛止部１０の上側押さえ部２１、下側押さえ部２２及び底辺部２３と、アーム部９とに挟まれた部分は、内側貼着部２８を形成しており、主としてフィルタ本体３の円錐形状を保持する構成となっている。
　以上の構成により、掛止部１０は、アーム部９，９及び内側貼着部２８をこれらの外側から取り囲んで概略Ｖ字状に形成されている。

　掛止部１０は、フィルタ本体３に貼着されておらず、上述のとおり外周縁２１ｘ等及び内周縁２１ｙ等がそれぞれ一続きの切込みにより形成されているため、引き起こしてフィルタ本体３から離間させることができるようになっている。

　さらに、本実施形態では、保持部６は、上部貼着部７の両端に連続して掛止部１０の外側に形成され、フィルタ本体３の開口時に図３に示す側方を支持する側面貼着部１９を有している。
　図２に示すように、側面貼着部１９は、肩部１７に隣接する側面上側支持部３０と、上側押さえ部２１及び下側押さえ部２２に沿って形成された側面中心支持部３１とを有している。

　側面上側支持部３０は、第２の上辺５ｂにほぼ沿って延び、その少なくとも一部がフィルタ本体３に貼着されており、図３に示す開口部２の側方を支持する部分である。側面中心支持部３１は、下辺５ｃに沿って左右の角部付近から下方に延びるとともにフィルタ本体３に貼着されており、フィルタ本体３が開口した際に、図２に示す下辺５ｃを挟んで側方を縦方向に支持する部分である。
　本実施形態では、側面上側支持部３０及び側面中心支持部３１共に、ほぼ全体がフィルタ本体３に貼着されている。

　次に、飲料抽出フィルタ１の使用方法と作用について説明する。
　図１に示す飲料抽出フィルタ１を図３に示す容器１００に設置するには、図１に示すようにホルダ４の掛止部１０の底辺部２３を把持して、表裏に位置する底辺部２３同士が離れるようにフィルタ本体３から引き起こす。そうすると、肩部１７がわずかにフィルタ本体３から離間しつつ掛止部１０がやや斜めに立ち上がって開口部２が少し開く。

　この状態で飲料抽出フィルタ１を容器１００の上方に配置し、底辺部２３の裏面（フィルタ本体３に対向する面）を容器１００の外周面に当て、そのまま下方に押し下げる。そうすると、上方に向かって拡開する形状の下側押さえ部２２が容器１００の外周面を円滑に摺動し、これに伴って肩部１７の外側がフィルタ本体３から更に徐々に離間する。こうして一対の掛止部１０は、容器１００の径方向に広げられる。

　一対の掛止部１０，１０の間が広げられると、掛止部１０に連続しているアーム部９，９同士も掛止部１０に引っ張られ、図３に示すように、ホルダ４が折り目ｆ１で折れ曲がりやすいために開口部２の湾曲を形成する。そして、上部貼着部７が概略正面又は背面を、側面上側支持部３０が概略側方を向いて、フィルタ本体３が円錐状に大きく開口する。

　この際、Ｖ字形成部１６を成す谷折り線１５がフィルタ本体３に固定されつつも、内周縁１６ｙ側及が立ち上がり、肩部１７もフィルタ本体３から離間する。その結果、掛止部１０，１０どうしの離間に伴ってアーム部９，９が上下方向の略全体に亘ってシート基材５，５を引き離すように引っ張られ、フィルタ本体３の全体がしっかりと開口する。

　上側押さえ部２１が容器１００の開口部にさしかかると、上側押さえ部２１が押さえフラップ２７を内側に有し且つごくわずかに傾斜しつつも上下方向にほぼ垂直に延びていることから、下側押さえ部２２を掛けるときよりもやや強い力で押し下げることで上側押さえ部２１が容器１００の周面に被さる。

　この際、上側押さえ部２１と肩部１７との間には上部折り曲げ線２５が設けられているため、上側押さえ部２１は、図４に示すように、大口径の容器１００に掛けられた場合であっても、その裏面が容器１００の周面に沿うようにやや傾くとともに、上部折り曲げ線２５が形成されていない部分によって上側押さえ部２１に元の平坦な形状に戻ろうとするバネ力（反発力）が働く。

　すなわち、掛止部１０は、図３に示すように、肩部１７の内周縁１７ｙが容器１００の上端に当たるまで押し下げられた際に、上側押さえ部２１が容器１００の周面を覆おうとするとともに、前記バネ力で容器１００を押さえる力が働く。肩部１７と上側押さえ部２１との間に上部折り曲げ線２５が形成されていなければ、特に大口径の容器においては肩部１７が大きく立ち上がるために上側押さえ部２１が容器１００に対して反り返ってしまい、掛止部１０のフィット性が下がって容器１００の保持力が下がる。

　しかし、ホルダ４は、肩部１７と上側押さえ部２１との境に、肩部１７の幅寸法の３分の２前後の上部折り曲げ線２５を形成し、残りの部分に折り目を形成しない構成としているので、上側押さえ部２１の容器１００に対する反り返りを防止して、容器１００に重ねることができる。したがって、ホルダ４の保持力を高めることができるという効果を奏する。

　また、掛止部１０は容器１００の周面に固定されているため、フィルタ本体３を開口させておく方向にバネ力を働かせて、フィルタ本体３をしっかりと保持した状態を維持しやすくなる。
　すなわち、図１に示す上部折り曲げ線２５が始点ｐ１から交差部ｐ２に至る全体に形成されていると、肩部１７，１７が上部折り曲げ線２５で完全に折れ曲がり易くなり、上側押さえ部２１に対する張りが低減する。
　したがって、このようなフィルタ本体３内に注湯すると、図５（ａ）に示すようにフィルタ本体３が容器１００内に垂れ下がりやすくなる。

　しかし、本願のホルダ４においては、残りの約３分の１には折り目が形成されていないので、フィルタ本体３内に注湯して重みが掛かった際に、肩部１７と上側押さえ部２１との境において上部折り曲げ線２５が形成されていない部分による張りが出る。したがって、フィルタ本体３は、上側押さえ部２１に対して肩部１７を張らせておくことで、図５（ｂ）に示すように、下方に垂れてしまうことを防止することができるという効果を奏する。
　このようにして、肩部１７の内周縁１７ｙに容器１００の上端が当接するまで掛止部１０を引き下げることで、掛止部１０に容器１００をしっかりと把持させることができる。

　更に、掛止部１０は、上部折り曲げ線２５に沿う上側押さえ部２１と、上側押さえ部２１に対して立ち上がり可能な押さえフラップ２７を有しているため、これらを容器１００の外周面に沿わせて、外周面に対する密着性を一層高めることができる。したがって、掛止部１０が容器１００の外周面に強く固定される効果が一層強くなる。

　また、掛止部１０が容器１００に掛けられた状態において、Ｖ字形成部１６の外周縁１６ｘは、フィルタ本体３に固定されているため、アーム部９は、外周縁１７ｘを中心線Ｌ２に対してＶ字形に立ち上がる。また、図１に示す内側貼着部２８のアーム部９の左右両側に延びた部分は、フィルタ本体の円錐形状を上下方向に支持するとともに、これと間を空けて側面中心支持部３１が中央貼着部８を正面（又は裏面）として視た際の側方の中央部分を上下方向に支持する。
　この構造により、Ｖ字形成部１６，内側貼着部２８及び側面貼着部１９は、フィルタ本体３の円錐型の形状を良好に維持することができるという効果を奏する。

　また、飲料抽出フィルタ１は、肩部１７を容器１００に対し強く食い込ませることができるとともに、掛止部１０を容器１００の外周面になじむようにフィットさせることが出来る。また、掛止部１０の上側押さえ部２１や押さえフラップ２７の存在により、容器１００への密着性を高めることができる。
　したがって、飲料抽出フィルタ１は、容器１００により強くかつ安定的に固定することができるという効果を奏する。

　なお、上記実施形態において、Ｖ字形成部１６の外周縁１６ｘは、図６に示すように、下方に向かって急峻にすぼむ上辺部３５と、下方に向かって緩やかにすぼむ下辺部３６とを有した構造であってもよい。言い換えると、Ｖ字形成部１６は、下方から上方に向かって大きく、その後小さく、２段階拡開する形状を有していてもよい。

　Ｖ字形成部１６の外周縁１６ｘが上述のように２段階拡開すると、アーム部９をＶ字型に形成しつつも肩部１７の立ち上がりが若干容易になり、結果、容器１００の外周面への掛止部１０の密着性がより高くなる。したがって、飲料抽出フィルタ１Ｂは、容器１００への固定が堅固になるという効果を奏する。

　本発明は、以上で例示した実施形態を含む本発明の飲料抽出フィルタ１等のフィルタ本体３の内部に挽いたコーヒー豆等の飲料の抽出原料を収容して開口部２を封止した飲料抽出バッグであってもよい。

１・・・飲料抽出フィルタ
２・・・開口部
３・・・フィルタ本体
４・・・ホルダ
７・・・上部貼着部
８・・・中央貼着部
９・・・アーム部
１０・・・掛止部
２１・・・上側押さえ部
２２・・・下側押さえ部
２５・・・上部折り曲げ線
２７・・・押さえフラップ
１００・・・容器
 
 

Claims (6)

1. 　一対の基材を互いに対向させた袋状のフィルタ本体と、
   　フィルタ本体の外面に対向するように貼着され、前記フィルタ本体の上部に水平方向に貼着される上部貼着部と、前記上部貼着部の水平方向中央から下方に延びる中央貼着部と、前記中央貼着部の両側縁に沿ってＶ字状に上方に延びた後、上端部で互いに離間する左右方向に延びたアーム部と、この２本のアーム部とその左右両端部で連続し前記アーム部の側方及び下方を囲うように形成され、前記フィルタ本体から離間して容器の外周面に引っ掛けられる掛止部とを有したホルダとを備え、
   　前記アーム部と前記掛止部との境には、上下方向に延びて前記掛止部の上部を前記容器に沿わせる上部折り曲げ線が形成されている飲料抽出フィルタ。
2. 　前記上部折り曲げ線は、前記境の外周縁から内周縁に達しない位置まで延びている請求項１に記載の飲料抽出フィルタ。
3. 　前記上部折り曲げ線は、その延在線上にある外周縁から内周縁までの２分の１以上４分の３以下の寸法で形成されている請求項２に記載の飲料抽出フィルタ。
4. 　前記掛止部は、前記上部折り曲げ線の延長線を内周縁として下方に延び、前記容器の上部に沿わせる上側押さえ部と、この上側押さえ部の下端から更に幅方向中央に向かってすぼみ下部で連結する下側押さえ部とを有し、
   　前記上側押さえ部は、その内周縁上の上部折り曲げ線を介して前記アーム部側に突出し、上部折り曲げ線を中心として容器の周面の形状に応じて起き上がり可能な押さえフラップを有する請求項１から３のいずれか一項に記載の飲料抽出フィルタ。
5. 　前記押さえフラップは、前記上部折り曲げ線を長手方向とする矩形に形成されている請求項４に記載の飲料抽出フィルタ。
6. 　請求項１から３又は請求項１を引用する請求項４のいずれか一項に記載の飲料抽出フィルタに、飲料抽出原料が封入されている飲料抽出バッグ。
   　

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