WO2023282073A1 - フライ食品用衣材 - Google Patents

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Abstract

フライ食品用衣材は、成分(A):特定の粉粒状物、および、セルロース誘導体を含み、バッター用またはブレッダー用であるフライ食品用衣材である。

Description

フライ食品用衣材
 本発明はフライ食品用衣材に関する。
 衣の風味および食感の経時的な低下を抑制しようとする技術として、特許文献1(特開2016-054664号公報)には、可逆的熱硬化性ゲル化剤及び可逆的熱可塑性ゲル化剤を含むフライ食品用バッターミックスが記載されており、かかるバッターミックスを用いることにより、フライ食品を油ちょう後又は電子レンジ加熱後、長時間経過しても油ちょう直後の衣材のサクサク感と歯切れを持続させることができるとされている。
 また、特許文献2(国際公開第2018/181749号)には、穀粉、特定の糖質、固形油脂、増粘剤および卵白を含み、穀粉に対する固形油脂の質量比および穀粉に対する水分の質量比が所定の範囲を満たす油ちょう食品用バッターが記載されており、かかるバッターを用いることにより、油ちょう食品を電子レンジで加熱調理した場合に、好ましい食感(歯応え、衣と中種の一体感)と好ましい外観を両立できるとされている。
特開2016-054664号公報 国際公開第2018/181749号
 しかしながら、上述した技術を用いた場合、加熱調理して得られたフライ食品を保存後再加熱した際にも、衣のひきを改善し、食感の良いフライ食品を得るという点で改善の余地があった。
 本発明によれば、以下のフライ食品用衣材が提供される。
[1] 以下の成分(A)およびセルロース誘導体を含有する、フライ食品用衣材であって、
 当該衣材が、バッター用またはブレッダー用であるフライ食品用衣材。
 成分(A):以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物
(1)前記粉粒状物中の澱粉含量が75質量%以上
(2)前記粉粒状物中にアミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下である
(3)前記粉粒状物の25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
(4)前記粉粒状物中の目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量が50質量%以上100質量%以下
[2] 前記セルロース誘導体が、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される1種または2種以上である、[1]に記載のフライ食品用衣材。
[3] 前記セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、[1]または[2]に記載のフライ食品用衣材。
[4] 当該衣材中の前記セルロース誘導体の含有量が、当該衣材の全固形分に対して0.5質量%以上10.0質量%以下である、[1]~[3]のいずれか1つに記載のフライ食品用衣材。
[5] 当該衣材中の前記セルロース誘導体の含有量が、当該衣材中の前記成分(A)の含有量に対する質量比で0.01以上3.0以下である、[1]~[4]のいずれか1つに記載のフライ食品用衣材。
[6] 酸化澱粉および架橋澱粉からなる群から選択される1種または2種の澱粉(前記成分(A)を除く)をさらに含む、[1]~[5]のいずれか1つに記載のフライ食品用衣材。
[7] 当該衣材において、前記成分(A)の含有量および前記セルロース誘導体の含有量の合計に対する前記澱粉の含有量の質量比(澱粉/(成分(A)+セルロース誘導体))が、0.5以上9以下である、[6]に記載のフライ食品用衣材。
[8] [1]~[7]のいずれか1つに記載の衣材を含む、バッター。
[9] [1]~[7]のいずれか1つに記載の衣材を含む、ブレッダー。
[10] [1]~[7]のいずれか1つに記載の衣材を含む、フライ食品。
[11] [8]に記載のバッターを種物の外側に付着させる工程と、
 前記バッターが付着した前記種物を加熱調理する工程と、を含む、
 フライ食品の製造方法。
[12] [9]に記載のブレッダーを種物の外側に付着させる工程と、
 前記ブレッダーが付着した前記種物を加熱調理する工程と、を含む、
 フライ食品の製造方法。
[13] [11]に記載のフライ食品の製造方法であって、
 加熱調理する前記工程の前に、[9]に記載のブレッダーを種物の外側に付着させる工程をさらに含む、フライ食品の製造方法。
[14] 以下の成分(A)およびセルロース誘導体をフライ食品用衣材に含有させる工程を含む、フライ食品の食感を向上させる方法。
 成分(A):以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物
(1)前記粉粒状物中の澱粉含量が75質量%以上
(2)前記粉粒状物中にアミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下である
(3)前記粉粒状物の25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
(4)前記粉粒状物中の目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量が50質量%以上100質量%以下
[15] 以下の成分(A)およびセルロース誘導体をフライ食品用衣材に含有させる工程を含む、フライ食品を保管後、再加熱した場合における食感を向上させる方法。
 成分(A):以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物
(1)前記粉粒状物中の澱粉含量が75質量%以上
(2)前記粉粒状物中にアミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下である
(3)前記粉粒状物の25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
(4)前記粉粒状物中の目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量が50質量%以上100質量%以下
 本発明によれば、加熱調理して得られたフライ食品を保存後再加熱した際にも、衣のひきを改善し、食感の良いフライ食品を得ることのできる、フライ食品用衣材を提供することができる。
 以下、本発明の実施の形態について、各成分の具体例を挙げて説明する。なお、各成分はいずれも単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
 また本実施形態において、衣のひきとは、食品を噛んだ時に噛み切りにくい様子を表し、衣のひきが改善される、とは、噛み切りにくさが低減し、歯切れがよくなることを表す。
 (フライ食品用衣材)
 本実施形態においてフライ食品用衣材は、以下の成分(A)およびセルロース誘導体を含む。
(A)後述の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物
 以下、成分(A)およびセルロース誘導体についてさらに具体的に説明する。
(成分(A))
 成分(A)は、具体的には、澱粉を主成分としてなる粉粒状物である。成分(A)は、以下の条件(1)~(4)を満たす。
(1)粉粒状物中の澱粉含量が75質量%以上
(2)粉粒状物中にアミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下である
(3)粉粒状物の25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
(4)粉粒状物中の目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量が50質量%以上100質量%以下
 条件(1)に関し、成分(A)は、フライ食品用衣材が適用される食品の、保存後再加熱した場合の衣のひきを改善し、クリスピーな食感を維持する観点から、澱粉を75質量%以上含み、好ましくは80質量%以上含み、さらに好ましくは85質量%以上含む。
 また、成分(A)中の澱粉含量の上限に制限はなく、100質量%以下であるが、フライ食品用衣材が適用される食品の性状等に応じて99.5質量%以下、99質量%以下等としてもよい。
 成分(A)において、澱粉は、たとえば食品用の澱粉であり、各種由来のものを用いることができる。たとえば、澱粉として、ハイアミロースコーンスターチ、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ等のとうもろこし澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、ハイアミロース小麦澱粉、米澱粉、緑豆澱粉やエンドウ澱粉等の豆澱粉、サゴヤシ澱粉などの澱粉およびこれらの澱粉を化学的、物理的または酵素的に加工した加工澱粉などから、1種以上を適宜選ぶことができる。フライ食品用衣材の取り扱い時の作業性を向上する観点から、澱粉は、好ましくはタピオカ澱粉、とうもろこし澱粉、米澱粉、豆澱粉から選ばれる1種または2種以上であり、より好ましくは、タピオカ澱粉、とうもろこし澱粉から選ばれる1種または2種である。
 同様の観点から、澱粉の由来原料は、好ましくはキャッサバ、とうもろこし、米および豆からなる群から選ばれる1種または2種以上である。
 条件(2)に関し、成分(A)は、具体的には、低分子化澱粉と、他の澱粉とを含む。まず、低分子化澱粉について説明する。
 低分子化澱粉の原料澱粉中のアミロース含量は、フライ食品用衣材が適用される食品の、保存後再加熱した場合の衣のひきを改善し、クリスピーな食感を維持する観点から、5質量%以上であり、好ましくは12質量%以上、より好ましくは22質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、さらにより好ましくは45質量%以上、よりいっそう好ましくは55質量%以上、さらにまた好ましくは65質量%以上である。なお、低分子化澱粉の原料澱粉中のアミロース含量の上限に制限はなく、100質量%以下であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
 低分子化澱粉の原料であるアミロース含量5質量%以上の澱粉として、ハイアミロースコーンスターチ、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ等のとうもろこし澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、ハイアミロース小麦澱粉、米澱粉、緑豆澱粉やエンドウ澱粉等の豆澱粉、サゴヤシ澱粉および、これらの原料を化学的、物理的または酵素的に加工した加工澱粉からなる群から選択される1種または2種以上を用いることができる。フライ食品用衣材が適用される食品の、保存後再加熱した場合の衣のひきを改善し、クリスピーな食感を維持する観点から、アミロース含量5質量%以上の澱粉は、好ましくはハイアミロースコーンスターチ、コーンスターチ、タピオカ澱粉および、豆澱粉から選択される1種または2種以上であり、より好ましくはハイアミロースコーンスターチである。ハイアミロースコーンスターチとしては、たとえばアミロース含量40質量%以上のものが入手可能である。アミロース含量5質量%以上の澱粉は、より好ましくはアミロース含量が40質量%以上のハイアミロースコーンスターチである。
 成分(A)中の低分子化澱粉の含有量は、フライ食品用衣材が適用される食品の、保存後再加熱した場合の衣のひきを改善し、クリスピーな食感を維持する観点から、3質量%以上であり、好ましくは8質量%以上、より好ましくは13質量%以上である。同様の観点から、成分(A)中の低分子化澱粉の含有量は、45質量%以下であり、好ましくは35質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。
 低分子化澱粉のピーク分子量は、フライ食品用衣材が適用される食品の、保存後再加熱した場合の衣のひきを改善し、クリスピーな食感を維持する観点から、3×10以上であり、好ましくは8×10以上である。同様の観点から、低分子化澱粉のピーク分子量は、5×10以下であり、好ましくは3×10以下であり、より好ましくは1.5×10以下である。なお、低分子化澱粉のピーク分子量の測定方法については、実施例の項に記載する。
 ここで、低分子化澱粉は、その製造安定性に優れる観点から、好ましくは、酸処理澱粉、酸化処理澱粉および酵素処理澱粉からなる群から選択される1種または2種以上であり、より好ましくは酸処理澱粉である。
 酸処理澱粉を得る際の酸処理の条件は問わないが、たとえば、以下のように処理することができる。
 まず、原料であるアミロース含量5質量%以上の澱粉と水を反応装置に投入した後、さらに酸を投入する。あるいは水に無機酸をあらかじめ溶解させた酸水と原料の澱粉を反応装置に投入する。酸処理をより安定的におこなう観点からは、反応中の澱粉の全量が水相内に均質に分散した状態、またはスラリー化した状態にあることが望ましい。そのためには、酸処理をおこなう上での澱粉スラリーの濃度を、たとえば10質量%以上50質量%以下、好ましくは20質量%以上40質量%以下の範囲になるように調整する。
 酸処理をおこなう上での澱粉スラリーの濃度はたとえば、10質量%以上であり、好ましくは20質量%以上であり、またたとえば、50質量%以下であり、好ましくは40質量%以下の範囲になるように調整する。
 スラリー濃度が高すぎると、スラリー粘度が上昇し、均一なスラリーの攪拌が難しくなる場合がある。
 酸処理に用いられる酸として、具体的には塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸が挙げられ、種類、純度などを問わず利用できる。
 酸処理反応条件については、たとえば酸処理時の無機酸濃度は、酸処理澱粉を安定的に得る観点から、0.05規定度(N)以上4N以下が好ましく、0.1N以上4N以下がより好ましく、0.4N以上3N以下がさらに好ましい。酸処理時の無機酸濃度は、好ましくは0.05N以上であり、より好ましくは0.1N以上であり、さらに好ましくは0.4N以上であり、また好ましくは4N以下であり、より好ましくは3N以下である。
 また、同様の観点から、反応温度は、30℃以上70℃以下が好ましく、35℃以上70℃以下がより好ましく、35℃以上65℃以下がさらに好ましい。反応温度は、好ましくは30℃以上であり、より好ましくは35℃以上であり、また好ましくは70℃以下であり、より好ましくは65℃以下である。
 反応時間は、同様の観点から、0.5時間以上120時間以下が好ましく、1時間以上72時間以下がより好ましく、1時間以上48時間以下がさらに好ましい。反応時間は、好ましくは0.5時間以上であり、より好ましくは1時間以上であり、また好ましくは120時間以下であり、より好ましくは72時間以下であり、さらに好ましくは48時間以下である。
 成分(A)は、上記低分子澱粉以外の澱粉を含む。成分(A)中の低分子化澱粉以外の澱粉としては、たとえば前述した澱粉の中から選択して使用することができる。好ましくは、成分(A)中の低分子化澱粉以外の澱粉は、とうもろこし澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、豆澱粉およびこれらの加工澱粉からなる群から選択される1種または2種以上を含み、より好ましくはコーンスターチを含み、さらに好ましくはコーンスターチである。
 また、成分(A)は、冷水膨潤度について特定の条件(3)を満たすとともに、粒度が特定の条件(4)を満たす構成となっている。
 まず、条件(3)に関し、フライ食品用衣材が適用される食品の、保存後再加熱した場合の衣のひきを改善し、クリスピーな食感を維持する観点から、成分(A)の25℃における冷水膨潤度は5以上であり、好ましくは6以上であり、さらに好ましくは6.5以上である。
 また、同様の観点から、成分(A)の25℃における冷水膨潤度は20以下であり、好ましくは17以下、より好ましくは13以下、さらに好ましくは12以下である。
 ここで、成分(A)の冷水膨潤度の測定方法については、実施例の項に記載する。
 次に、成分(A)の粒度を説明する。
 条件(4)に関し、成分(A)中の目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分(粒子)の含有量は、フライ食品用衣材が適用される食品の、保存後再加熱した場合の衣のひきを改善し、クリスピーな食感を維持する観点から、成分(A)全体に対して50質量%以上であり、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは90質量%以上、よりいっそう好ましくは95質量%以上である。
 また、同様の観点から、成分(A)中の目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量は、成分(A)全体に対して100質量%以下であり、好ましくは99質量%以下である。
 成分(A)中の目開き0.5mmの篩の篩下かつ目開き0.075mmの篩の篩上の
画分の含有量は、フライ食品用衣材が適用される食品の、保存後再加熱した場合の衣のひきを改善し、クリスピーな食感を維持する観点から、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、さらにより好ましくは50質量%以上であり、また、たとえば100質量%以下であり、好ましくは90質量%以下である。
 成分(A)中の目開き0.25mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量は、フライ食品用衣材が適用される食品の、保存後再加熱した場合の衣のひきを改善し、クリスピーな食感を維持する観点から、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、さらにより好ましくは40質量%以上であり、また、たとえば100質量%以下である。
 また、目開き0.5mmの篩の篩上の画分の含有量は、フライ食品用衣材が適用される食品の、保存後再加熱した場合の衣のひきを改善する観点から、成分(A)全体に対して70質量%以下であり、好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは55質量%以下である。
 また、目開き0.5mmの篩の篩上の画分の含有量に下限はなく、成分(A)全体に対して0質量%以上であるが、フライ食品用衣材が適用される食品の、保存後の表面の様子や色調を好ましいものとする観点から、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、さらにより好ましくは15質量%以上である。
 また、目開き0.075mmの篩の篩上の画分の含有量は、フライ食品用衣材が適用される食品の、保存後の表面の様子や色調を好ましいものとする観点から、成分(A)全体に対して好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上、よりいっそう好ましくは50質量%以上、さらにまた好ましくは70質量%以上である。
 また、目開き0.075mmの篩の篩上の画分の含有量の上限に制限はなく、100質量%以下であるが、好ましくは99質量%以下、さらに好ましくは97質量%以下である。
 また、成分(A)は、澱粉以外の成分を含んでもよい。澱粉以外の成分の具体例としては、色素や炭酸カルシウム、硫酸カルシウムなどの不溶性塩が挙げられる。
 成分(A)は、不溶性塩を配合することが好ましく、不溶性塩の配合量は、0.1質量%以上2質量%以下であることがより好ましい。
 次に、成分(A)の製造方法を説明する。成分(A)の製造方法は、たとえば、以下の工程を含む。
(低分子化澱粉の調製工程)アミロース含量5質量%以上の澱粉を低分子化処理してピーク分子量が3×10以上5×10以下の低分子化澱粉を得る工程。
(造粒工程)原料に低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、かつ低分子化澱粉と低分子化澱粉以外の澱粉の合計が75質量%以上である、原料を加熱糊化して造粒する工程。
 低分子化澱粉の調製工程は、アミロース含量5質量%以上の澱粉を分解して低分子化澱粉とする工程である。ここでいう分解とは、澱粉の低分子化を伴う分解をいい、代表的な分解方法として酸処理や酸化処理、酵素処理による分解が挙げられる。この中でも、分解速度やコスト、分解反応の再現性の観点から、好ましくは酸処理である。
 また、造粒工程には、澱粉の造粒に使用されている一般的な方法を用いることができるが、所定の冷水膨潤度とする点で、澱粉の加熱糊化に使用されている一般的な方法を用いることが好ましい。具体的には、ドラムドライヤー、ジェットクッカー、エクストルーダー、スプレードライヤーなどの機械を使用した方法が知られているが、本実施形態において、冷水膨潤度が上述した特定の条件を満たす成分(A)をより確実に得る観点から、エクストルーダーやドラムドライヤーによる加熱糊化が好ましく、エクストルーダーがより好ましい。エクストルーダー処理する場合は通常、澱粉を含む原料に加水して水分含量を10~60質量%程度に調整した後、たとえばバレル温度30~200℃、出口温度80~180℃、スクリュー回転数100~1,000rpm、熱処理時間5~60秒の条件で、加熱糊化させる。
 本実施形態において、たとえば上記特定の原料を加熱糊化する工程、および、前記工程により加熱糊化して得られた造粒物を、必要に応じて、粉砕し、篩い分けをし、大きさを適宜調整することにより、条件(3)および(4)を満たす成分(A)を得るとよい。
 以上により得られる成分(A)は、低分子化澱粉を含む澱粉粉粒状物であって、条件(1)~(4)を満たす構成となっているため、後述のセルロース誘導体とともにフライ食品用衣材に配合されて、フライ食品用衣材が適用される食品を保存後再加熱した場合にも、食感の好ましいフライ食品を得ることができる。ここで、食感として、衣のひきおよび衣のクリスピー感が挙げられる。
 フライ食品用衣材中の成分(A)の含有量は、フライ食品用衣材が適用される食品の、保存後再加熱した場合の衣のひきを改善し、クリスピーな食感を維持する観点から、フライ食品用衣材の全固形分に対して好ましくは3.0質量%以上であり、より好ましくは4.0質量%以上、さらに好ましくは5.0質量%以上、さらにより好ましくは7.0質量%以上である。
 また、同様の観点から、フライ食品用衣材中の成分(A)の含有量は、フライ食品用衣材の全固形分に対して好ましくは55質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、さらにより好ましくは30質量%以下である。
(セルロース誘導体)
 セルロース誘導体は、セルロースを部分的に変性した水溶性高分子を表す。
 本実施形態におけるセルロース誘導体は、セルロースの有するヒドロキシ基に、エーテル結合で異なる置換基を導入したセルロースエーテルであることが好ましい。セルロースエーテルの中でも、食品に用いることのできる、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースからなる群から選ばれる1種または2種以上であることがより好ましい。
 メチルセルロースを用いる場合、メチルセルロース中のメトキシ基含有量が、メチルセルロース全体に対して、たとえば25.0%以上33.0%以下のものを用いることができる。ヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いる場合、ヒドロキシプロピルメチルセルロース中のメトキシ基含有量が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース全体に対して、たとえば19.0%以上30.0%以下のものを用いることができる。カルボキシメチルセルロースを用いる場合、カルボキシメチルセルロース中のメトキシ基含量が、カルボキシメチルセルロース全体に対して、たとえば19%以上33%以下のものを用いることができる。
 なお、メトキシ基含有量は、第9版食品添加物公定書規格(2018) B 一般試験法 38.メトキシ基定量法(メチルセルロース)およびD 成分規格・保存基準各条 ヒドロキシプロピルセルロースの項(ヒドロキシプロピルセルロース)に従って測定するものとする。カルボキシメチルセルロースについても、上記メチルセルロースの測定法に準じて測定することができる。
 フライ食品用衣材が適用される食品の、保存後再加熱した場合の衣のひきを改善し、クリスピーな食感を維持する観点から、本実施形態におけるセルロース誘導体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースであることがさらに好ましい。
 セルロース誘導体の含有量は、フライ食品用衣材が適用される食品の、保存後再加熱した場合の衣のひきを改善し、クリスピーな食感を維持する観点から、フライ食品用衣材の全固形分に対して、たとえば0質量%より大きく、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは0.7質量%以上であり、さらに好ましくは1.0質量%以上であり、さらにより好ましくは1.1質量%以上であり、よりいっそう好ましくは1.2質量%以上である。また同様の観点から、セルロース誘導体の含有量は、フライ食品用衣材の全固形分に対して、たとえば100質量%未満であり、好ましくは10.0質量%以下であり、より好ましくは8.0質量%以下であり、さらに好ましくは6.0質量%以下であり、さらにより好ましくは5.5質量%以下であり、よりいっそう好ましくは5.0質量%以下である。
 セルロース誘導体の含有量は、フライ食品用衣材が適用される食品の、保存後再加熱した場合の衣のひきを改善し、クリスピーな食感を維持する観点から、成分(A)の含有量に対する質量比で、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.03以上であり、さらに好ましくは0.04以上であり、さらにより好ましくは0.05以上である。また同様の観点から、好ましくは3.0以下であり、より好ましくは2.0以下であり、さらに好ましくは1.0以下であり、さらにより好ましくは0.8以下であり、よりいっそう好ましくは0.5以下である。
(澱粉)
 本実施形態におけるフライ食品用衣材は、フライ食品用衣材が適用される食品の、保存後再加熱した場合の衣のひきを改善し、クリスピーな食感を維持する観点から、前述の成分(A)以外に、酸化澱粉および架橋澱粉からなる群から選択される1種または2種の澱粉をさらに含むことが好ましい。また、成分(A)における低分子化澱粉と同じであってもよく、異なっていてもよいが、好ましくは異なった澱粉である。
 上記澱粉が酸化澱粉の場合、原料澱粉に酸化処理のみ施されたものであってもよいし、酸化以外の1つ以上の処理がさらになされたものであってもよい。酸化以外の加工処理の具体例として、アセチル化、リン酸物エステル化等のエステル化;およびヒドロキシプロピル化、カルボキシメチル化等のエーテル化からなる群から選択される少なくとも1つが挙げられる。酸化澱粉が、酸化以外の加工処理がなされたものであるとき、酸化処理および他の加工処理の順番に制限はない。
 フライ食品の保存後再加熱した場合の衣のひきを改善し、クリスピーな食感を維持する観点から、酸化澱粉は、好ましくはエステル化酸化澱粉以外の酸化澱粉であり、より好ましくはアセチル化酸化澱粉以外の酸化澱粉である。
 酸化澱粉の原料澱粉は、具体的には、ハイアミロースコーンスターチ、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ等のとうもろこし澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、ハイアミロース小麦澱粉、米澱粉、緑豆澱粉やエンドウ澱粉等の豆澱粉、およびサゴヤシ澱粉からなる群から選択される1種または2種以上である。
 また、酸化澱粉の原料澱粉は好ましくは未加工澱粉である。
 フライ食品の保存後再加熱した場合の衣のひきを改善し、クリスピーな食感を維持する観点から、酸化澱粉は、好ましくは酸化タピオカ澱粉、酸化とうもろこし澱粉からなる群から選択される1種または2種以上であり、より好ましくは酸化タピオカ澱粉である。
 上記澱粉が架橋澱粉の場合、原料澱粉に架橋処理のみ施されたものであってもよいし、架橋以外かつ酸化以外の1つ以上の処理がさらになされたものであってもよい。架橋および酸化以外の処理の具体例として、アセチル化、リン酸物エステル化等のエステル化;およびヒドロキシプロピル化、カルボキシメチル化等のエーテル化からなる群から選択される少なくとも1つが挙げられる。架橋澱粉が、架橋および他の加工処理がなされたものであるとき、架橋処理および他の加工処理の順番に制限はない。
 架橋澱粉は、具体的には、リン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉等のリン酸架橋澱粉およびその誘導体;ならびに、アジピン酸架橋澱粉、アセチル化アジピン酸架橋澱粉等のアジピン酸架橋澱粉およびその誘導体からなる群から選択される1種または2種以上である。
 架橋澱粉の原料澱粉は、具体的には、ハイアミロースコーンスターチ、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ等のとうもろこし澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、ハイアミロース小麦澱粉、米澱粉、緑豆澱粉やエンドウ澱粉等の豆澱粉、およびサゴヤシ澱粉からなる群から選択される1種または2種以上である。
 また、架橋澱粉の原料澱粉は好ましくは未加工澱粉である。
 フライ食品の保存後再加熱した場合の衣のひきを改善し、クリスピーな食感を維持する観点から、架橋澱粉は、好ましくは原料澱粉に架橋処理のみ施されたものであり、より好ましくはリン酸架橋澱粉であり、さらに好ましくはリン酸架橋タピオカ澱粉である。
 フライ食品用衣材中の澱粉の含有量は、フライ食品を保存後再加熱した場合の衣のひきを改善し、クリスピーな食感を維持する観点から、フライ食品用衣材の全固形分に対してたとえば0質量%より大きく、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは12質量%以上、さらにより好ましくは15質量%以上であり、よりいっそう好ましくは17質量%以上、さらによりいっそう好ましくは20質量%以上、最も好ましくは23質量%以上である。
 また、同様の観点から、フライ食品用衣材中の澱粉の含有量は、フライ食品用衣材の全固形分に対して、たとえば100質量%未満であり、好ましくは99.5質量%以下であり、より好ましくは90質量%以下であり、さらに好ましくは65質量%以下であり、さらにより好ましくは60質量%以下、よりいっそう好ましくは55質量%以下、さらによりいっそう好ましくは50質量%以下、最も好ましくは45質量%以下である。
 なお、澱粉の含有量とは、酸化澱粉と架橋澱粉の合計量を指す。
 フライ食品用衣材中の成分(A)の含有量に対する澱粉の含有量の質量比(澱粉/成分(A))は、フライ食品を保存後再加熱した場合の衣のひきを改善し、クリスピーな食感を維持する観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.7以上、さらにより好ましくは0.8以上、よりいっそう好ましくは0.9以上である。
 また、同様の観点から、質量比(澱粉/成分(A))は、好ましくは9以下であり、より好ましくは8以下、さらに好ましくは7以下、さらにより好ましくは6以下、よりいっそう好ましくは5以下、さらによりいっそう好ましくは4以下である。
 フライ食品用衣材中の成分(A)とセルロース誘導体の含有量の合計量に対する澱粉の含有量の質量比(澱粉/(成分(A)+セルロース誘導体))は、フライ食品を保存後再加熱した場合の衣のひきを改善し、クリスピーな食感を維持する観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.7以上、さらにより好ましくは0.8以上、よりいっそう好ましくは0.9以上、さらによりいっそう好ましくは0.95以上である。
 また、質量比(澱粉/(成分(A)+セルロース誘導体))は、好ましくは9以下、より好ましくは7以下、さらに好ましくは6以下、さらにより好ましくは5以下、よりいっそう好ましくは4以下、さらによりいっそう好ましくは3以下、最も好ましくは2以下である。
(その他の成分)
 また、フライ食品用衣材は、成分(A)、セルロース誘導体および澱粉以外の成分をさらに含んでも良い。他の成分として、未加工澱粉(生澱粉)、加工澱粉等の成分(A)および上記澱粉以外の澱粉;薄力粉等の小麦粉、米粉等の穀粉;全卵粉等の乾燥卵;ベーキングパウダー等の膨張剤;パン粉等の上述のフライ食品用衣材以外の衣材;グルテン等のタンパク質;調味料;着色料;乳化剤等が挙げられる。
 フライ食品用衣材は、フライ食品を保存後再加熱した場合の衣のひきを改善する観点から、好ましくは穀粉をさらに含み、より好ましくは小麦粉をさらに含み、さらにより好ましくは薄力粉をさらに含む。
 フライ食品用衣材が穀粉をさらに含むとき、その含有量は、フライ食品を保存後再加熱した場合の衣のひきを改善し、クリスピーな食感を維持する観点から、フライ食品用衣材の全固形分に対して好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。
 また、フライ食品を保存後再加熱した場合の表面の様子を好ましいものとする観点から、穀粉の含有量は、フライ食品用衣材の全固形分に対して好ましくは59質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、さらにより好ましくは30質量%以下である。
 フライ食品用衣材が穀粉をさらに含むとき、フライ食品用衣材中の成分(A)とセルロース誘導体の含有量の合計量に対する穀粉の含有量の質量比(穀粉/(成分(A)+セルロース誘導体))は、フライ食品を保存後再加熱した場合の衣のひきを改善し、クリスピーな食感を維持する観点から、好ましくは0.4以上であり、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.6以上、さらにより好ましくは0.7以上である。
 また、同様の観点から、フライ食品用衣材中の成分(A)とセルロース誘導体の含有量の合計量に対する穀粉の含有量の質量比(穀粉/((A)+セルロース誘導体))は、好ましくは8以下であり、より好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下、さらにより好ましくは3.5以下、よりいっそう好ましくは3以下、さらによりいっそう好ましくは2.5以下である。
 本実施形態におけるフライ食品用衣材は、そのまま用いてもよいし、さらに他の成分と組み合わせて用いてもよい。
 またフライ食品用衣材の性状は、粉状であっても、液状であってもよい。
 フライ食品用衣材をバッターに用いる際には、フライ食品用衣材のみを水に分散させて液状のバッターを作製してもよいし、他の成分も加えて液状のバッターを作製してもよい。
(バッター)
 本実施形態において、バッターは、上述した本実施形態におけるフライ食品用衣材を含む。
 また、バッターは水をさらに含む。バッター中の水の含有量は、バッターに含まれる水以外の成分の含有量を除いた残部とすることができる。
 バッター全体におけるフライ食品用衣材の含有量は、取扱い性を良好とする観点から、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは24質量%以上、さらにより好ましくは26質量%以上である。また同様の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは38質量%以下、さらにより好ましくは35質量%以下である。
 ここでバッター全体とは、水を含んだバッター全量を表す。
(ブレッダー)
 本実施形態において、ブレッダーは、上述した本実施形態におけるフライ食品用衣材を含む。
 ブレッダー全体におけるフライ食品用衣材の含有量は、取扱い性を良好とする観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらにより好ましくは80質量%以上である。ブレッダー全体におけるフライ食品用衣材の含有量の上限に制限はないが、同様の観点から、たとえば、100質量%以下であり、好ましくは100質量%である。
 また、ブレッダーは、フライ食品用衣材以外の成分をさらに含んでも良い。他の成分として、好ましくは、薄力粉等の小麦粉、米粉等の穀粉;ベーキングパウダー等の膨張剤;パン粉等の上述のフライ食品用衣材以外の衣材;調味料;着色料;乳化剤等が挙げられる。
(フライ食品)
 本実施形態におけるフライ食品は、上述した本実施形態における衣材を含む。
 本実施形態のフライ食品の具体例として、唐揚げ、竜田揚げ、フライドチキン、チキンナゲット等の唐揚げ類;豚カツ、メンチカツ、チキンカツ等のカツ類;クリームコロッケ、ポテトコロッケ、パンプキンコロッケ等のコロッケ類;フィッシュフライ、エビフライ、カキフライ、イカフライ等のフライ類;カレーパン、ドーナツ等の揚げパン類が挙げられる。
 ここで、本実施形態のフライ食品としては、フライ食品を保存後再加熱した場合の衣のひきを抑制し、良好な食感を得る観点から、唐揚げ類、カツ類、コロッケ類、フライ類からなる群から選ばれる1種に用いることが好ましい。
 また、本実施形態におけるフライ食品の種物は制限されず、通常フライ食品に使用される種物が利用可能であり、例えば鶏肉、豚肉、牛肉等の肉類;畜肉加工品および畜肉様加工品;海老、イカ、牡蠣、帆立貝、アジ、タラ等の魚介類;水産練り製品等の水産加工品;野菜類等の青果物;カレーパン等のパン類;クリームコロッケの中のホワイトソースや、カレーパンの中のカレーのようなソース類;ポテトコロッケやカボチャコロッケの中のつぶした野菜類;チーズ類が挙げられる。また、本実施形態におけるフライ食品の種物には、肉類、魚介類、野菜類、果物類およびパスタ類などを小片状にした固形の具材、あるいはコーンやグリーンピースのような元々小片状の固形の具材を同時に含むこともできる。
(フライ食品の製造方法)
 フライ食品の製造方法は、前述のバッターを種物の外側に付着させる工程と、バッターが付着した種物を加熱調理して食品を得る工程と、を含む。
 また、フライ食品の製造方法は、前述のブレッダーを種物の外側に付着させる工程と、ブレッダーが付着した種物を加熱調理して食品を得る工程と、を含む。
 さらに、フライ食品の製造方法は、前述のバッターを種物の外側に付着させる工程のあとに、さらに前述のブレッダーを種物の外側に付着させる工程を行った後、バッターおよびブレッダーが付着した種物を加熱調理して食品を得る工程と、を含む。
 本実施形態のフライ食品の製造方法において、フライ食品用衣材は、バッター、ブレッダーの少なくとも一方に用いることができ、バッター、ブレッダーの両方に用いることが好ましい。
 本実施形態において、バッターを種物の外側に付着させる工程およびブレッダーを種物の外側に付着させる工程の両方を含む場合、工程の順序はいずれが先でもよいが、得られたフライ食品を保存後再加熱した場合の衣のひきを改善し、クリスピー感を維持する観点から、バッターを付着させる工程の後に、ブレッダーを付着させる工程があることが好ましい。
 また、バッターを付着させる工程は、第一バッター工程および第二バッター工程のように複数回あってもよい。また、ブレッダーを付着させる工程は、第一ブレッダー工程および第二ブレッダー工程のように複数回あってもよい。また、例えば、第一バッター工程、ブレッダー工程、第二バッター工程、のような順であってもよい。
 本実施形態におけるフライ食品の製造方法は、上述の工程の他に、以下の工程を含んでもよい。
(打ち粉付け工程):打ち粉を種物の外側に付着させる工程
(最外層衣材付け工程):バッターの付着した種物、ブレッダーの付着した種物、あるいはバッターおよびブレッダーの付着した種物に、最外層衣材としてパン粉類を付着させる工程
 加熱調理して食品を得る工程における調理形態の具体例としては、得られたフライ食品を保存後再加熱した場合の衣のひきを改善し、クリスピー感を維持する観点から、好ましくは食用油中での油ちょうである。油ちょうの温度は例えば、100℃~200℃程度が好ましい。
 また、食品の製造方法は、食品を得る工程の後、食品を冷凍保存する工程をさらに含んでもよい。冷凍保存における温度は、たとえば-10℃~-50℃程度とすることができる。
 また、食品の製造方法は、冷凍保存する工程の後、食品を加熱解凍する工程をさらに含んでもよい。加熱解凍する工程においては、食感を好ましいものとする観点から、好ましくは電子レンジまたはスチームコンベクションオーブンを用いて加熱解凍する。
(フライ食品の食感を向上させる方法)
 本実施形態のフライ食品の食感を向上させる方法は、成分(A)およびセルロース誘導体をフライ食品用衣材に含有させる工程を含み、成分(A)は以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物である。条件(1)~(4)の詳細については、上述の(フライ食品用衣材)にて述べたものと同じであるため省略する。
(1)粉粒状物中の澱粉含量が75質量%以上
(2)粉粒状物中にアミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下である
(3)粉粒状物の25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
(4)粉粒状物中の目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量が50質量%以上100質量%以下
 このような、本実施形態のフライ食品の食感を向上させる方法によれば、フライ食品の衣のひきを抑制し、クリスピー感のあるフライ食品が得られる。
(フライ食品を再加熱した場合の食感を向上させる方法)
 本実施形態のフライ食品を再加熱した場合の食感を向上させる方法は、成分(A)およびセルロース誘導体をフライ食品用衣材に含有させる工程を含み、成分(A)は以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物である。条件(1)~(4)の詳細については、上述の(フライ食品用衣材)にて述べたものと同じであるため省略する。
(1)粉粒状物中の澱粉含量が75質量%以上
(2)粉粒状物中にアミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下である
(3)粉粒状物の25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
(4)粉粒状物中の目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量が50質量%以上100質量%以下
 このような、本実施形態のフライ食品を再加熱した場合の食感を向上させる方法によれば、フライ食品を保存後、再加熱した場合においても、衣のひきを抑制し、クリスピー感のあるフライ食品が得られる。
 以下に本発明の実施例を示すが、本発明の趣旨はこれらに限定されるものではない。
 以下の例において、断りのない場合、「%」とは、「質量%」である。また、断りのない場合、「部」とは、「質量部」である。
(原材料)
 原材料として、主に以下のものを使用した。
薄力粉:「Special flour」、UNITED FLOUR MILL PUBLIC CO., LTD.製
コーンスターチ:「Corn Starch」、 Friendship Corn Starch Co., Ltd.製
粉粒状物1:後述する製造例2で製造した粉粒状物1
粉粒状物2:後述する製造例2で製造した粉粒状物2
粉粒状物3:後述する製造例2で製造した粉粒状物3
タピオカ澱粉:Siam Starch(1966) Co., Ltd.製
酸化澱粉:後述する製造例3で製造した酸化澱粉
リン酸架橋タピオカ澱粉:「アクトボディー TP-2」、株式会社J-オイルミルズ製
ヒドロキシプロピルメチルセルロース:「VIVAPUR Hydroxypropyl Methyl Cellulose」、Derivados Macroquimicos S.A. de C.V.製、メトキシ基含有量:28~30%
カルボキシメチルセルロース:「Sodium Carboxymethyl Cellulose (CMC) (Type FVH9-2)」、CHONGQING LIHONG FINE CHEMICALS CO., LTD.製
メチルセルロース:「Methocel A4M」、DDP SPECIALTY PRODUCT GERMANY GMBH & CO. KG製
ベーキングパウダー:「Baking Powder Double Acting Formula」、UNILEVER THAI HOLDINGS LIMITED製
グルテン:「Wheat Gluten」、MANILDRA STARCHES PTY LTD.製
パプリカパウダー:「Paprika」、TONE BROTHERS, INC.製
ガーリックパウダー:「Ground Garlic」、ARTCHIT INTERNATIONAL PEPPER AND SPICE CO.,LTD.製
上白糖:「Sugar」、THAI ROONG RUANG SUGAR GROUP CO.,LTD.製
グルタミン酸ナトリウム:「MSG」、AJINIMOTO CO., (THAILAND) LTD.製
食塩:「Iodized Refined Salt」、THAI REFINED SALT CO.,LTD.製
パン粉:「Breadcrumbs」、R&B FOOD SUPPLY PUBLIC COMPANY LIMITED製
(製造例1)低分子化澱粉の製造
 粉粒状物1~3の原料となる低分子化澱粉として酸処理ハイアミロースコーンスターチを製造した。
 ハイアミロースコーンスターチ(株式会社J-オイルミルズ製、HS-7、アミロース含量70質量%)を水に懸濁して35.6%(w/w)スラリーを調製し、50℃に加温した。そこへ、攪拌しながら4.25Nに調製した塩酸水溶液をスラリー質量比で1/9倍量加え反応を開始した。16時間反応後、3%NaOHで中和し、水洗、脱水、乾燥し、酸処理ハイアミロースコーンスターチを得た。
 得られた酸処理ハイアミロースコーンスターチのピーク分子量を後述の方法で測定したところ、ピーク分子量は1.2×10であった。
(ピーク分子量の測定方法)
 ピーク分子量の測定は、東ソー株式会社製HPLCユニットを使用しておこなった(ポンプDP-8020、RI検出器RS-8021、脱気装置SD-8022)。
(1)試料を粉砕し、JIS-Z8801-1規格の篩で、目開き0.15mm篩下の画分を回収した。この回収画分を移動相に1mg/mLとなるように懸濁し、懸濁液を100℃3分間加熱して完全に溶解した。0.45μmろ過フィルター(ADVANTEC社製、DISMIC-25HP PTFE 0.45μm)を用いてろ過を行い、ろ液を分析試料とした。
(2)以下の分析条件で分子量を測定した。
カラム:TSKgel α-M(7.8mmφ、30cm)(東ソー株式会社製)2本
流速:0.5mL/min
移動相:5mM 硝酸ナトリウム含有90%(v/v)ジメチルスルホキシド溶液
カラム温度:40℃
分析量:0.2mL
(3)検出器データを、ソフトウェア(マルチステーションGPC-8020modelIIデータ収集ver5.70、東ソー株式会社製)にて収集し、分子量ピークを計算した。
 検量線には、分子量既知のプルラン(Shodex Standard P-82、昭和電工株式会社製)を使用した。
(冷水膨潤度の測定方法)
(1)試料を、水分計(研精工業株式会社製、型番MX-50)を用いて、125℃で加熱乾燥させて水分測定し、得られた水分値から乾燥物質量を算出した。
(2)この乾燥物質量換算で試料1gを25℃の水50mLに分散した状態にし、30分間25℃の恒温槽の中でゆるやかに撹拌した後、3000rpmで10分間遠心分離(遠心分離機:日立工機社製、日立卓上遠心機CT6E型;ローター:T4SS型スイングローター;アダプター:50TC×2Sアダプター)し、沈殿層と上澄層に分けた。
(3)上澄層を取り除き、沈殿層質量を測定し、これをB(g)とした。
(4)沈殿層を乾固(105℃、恒量)したときの質量をC(g)とした。
(5)BをCで割った値を冷水膨潤度とした。
(製造例2)粉粒状物1~3の製造
 コーンスターチ(コーンスターチY、株式会社J-オイルミルズ製)79質量%、製造例1で得られた酸処理ハイアミロースコーンスターチ20質量%、および、炭酸カルシウム1質量%を充分に均一になるまで袋内で混合した。2軸エクストルーダー(幸和工業社製KEI-45)を用いて、混合物を加圧加熱処理した。処理条件は、以下の通りである。
原料供給:450g/分(熱処理時間:約10秒)
加水:原料全体に対して、17質量%となるよう加水した。
バレル温度:原料入口から出口に向かって50℃、70℃および100℃
出口温度:100~110℃
スクリューの回転数250rpm
 このようにしてエクストルーダー処理により得られた加熱糊化物を110℃にて乾燥し、水分含量を10質量%に調整した。
 次いで、乾燥した加熱糊化物を、卓上カッター粉砕機で粉砕した後、JIS-Z880
1-1規格の篩で篩分けした。篩分けした加熱糊化物を、所定の配合割合で混合し、表1に示す粒度分布を有する粉粒状物1~3を調製した。前述の方法で測定した粉粒状物1~3の25℃における冷水膨潤度を表1にあわせて示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
(製造例3)酸化澱粉の製造
 セパラブルフラスコにタピオカ澱粉150gと蒸留水190gを加えて分散し、乾物換算質量濃度が38.2質量%のスラリーを調製した。
 得られたスラリーの温度を37℃にした後、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度14.3%)18.2mLを一度に投入し、有効塩素濃度2質量%/gとした。
 次亜塩素酸ナトリウム水溶液を投入後、3質量%水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、pH9.9に調整した。
 その後、適時水酸化ナトリウム溶液を滴下して、反応終了までpHを設定値±0.03以内に維持し、酸化澱粉を得た。
 反応終了は、スラリーを少量サンプリングして飽和ヨウ化カリウム溶液に滴下し、紫色を呈しなくなった時点とした。
 反応終了を確認後、スラリーに3質量%塩酸を添加してpH6まで中和した後、スラリー中の酸化澱粉を洗浄脱水した。
 その後、40℃で1晩乾燥し、粉砕して60メッシュの篩(目開き250μm)で篩ったものを本例の酸化澱粉として用いた。
(実験例1~16、比較例1~3)
 本例では、フライドチキンの作製および評価をおこなった。
(フライドチキンの製造方法)
1.骨付き鶏肉(1個約50g)に、打ち粉(薄力粉)を付着させた。
2.各表の配合で成分を混合して各例のバッターを作製した。
3.2.で得られたバッターを、1.打ち粉つき骨付き鶏肉にバッタリングした。バッターの量は、鶏肉に対し10g/個程度とした。
4.各表の配合で成分を混合して各例のブレッダーを作製した。
5.4.で得られたブレッダーを、3.のバッタリング後の骨付き鶏肉にブレッダリングした。ブレッダーの量は、鶏肉に対し5g/個程度とした。
6.5.のブレッダリング後の骨付き鶏肉を、パーム油(「refined palm olein oil」、Sime darby oils morakot public company limited製)中で170~180℃の温度で、11分間油ちょうした。
7.6.の油ちょう後の骨付き鶏肉をバッドに並べて室温まで冷ました後、プラスチックの容器に入れて-10℃で1日保管した。
8.7.の保管後の骨付き鶏肉を電子レンジで加熱した(800ワット、2分)。
9.8.の電子レンジ加熱後の骨付き鶏肉を室温で5分置いた。
10.以上の手順により得られたフライドチキンの食感を評価した。評価項目および採点基準を以下に示す。
(食感評価)
 5名の専門パネルがフライドチキンの衣ひきおよびクリスピー感を以下の採点基準で官能評価し、その平均値を評価点とした。評点が3.0点以上のものを合格とした。結果を、表2~5に示す。
(衣ひき)
1点:とてもひきがある
2点:ひきがある(飲み込むまでの時間が3点より長い)
3点:ややひきがある(飲み込むまでの時間が2点より短い)
4点:ほとんどひきがない(はじめはひきが全くないが、噛んでいくとひきが感じられる)
5点:全くひきがない
(クリスピー感)
1点:全くクリスピーでない
2点:ほとんどクリスピーではない
3点:ややクリスピーである
4点:クリスピーである(噛んだ際、衣が簡単に崩れる)
5点:とてもクリスピーである(噛んだ際、衣が非常に簡単に崩れる)
(テクスチャーアナライザー評価)
 実施例11~13については、以下のように(フライドチキンの製造方法)で得られたフライドチキンの物性をテクスチャーアナライザーにて評価した。
 具体的にはフライドチキンの中心にプランジャーを接触させ15mm圧縮時のサンプルが破断する際にかかる最大強度(g)(破断強度(g))およびピークカウント(g)を測定した。各例あたり6サンプル測定した平均値を測定値とした。結果を表4に示す。
 ここで、破断強度(g)が大きい値であるほど、フライドチキンの衣が硬いことを示し、ピークカウント(g)が大きい値であるほど、衣のクリスピー感が強いことを示す。当該試験に用いた装置及び測定条件を次に示す。
テクスチャーアナライザー
装置:TA-XT Plus(Stable Micro Systems社製)
プランジャー:直径5mmの球体
テストスピード:2mm/s
Trigger force:5g
圧縮条件:15mm圧縮
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表2より、本実施形態のバッターおよびブレッダーを併用することにより、衣のひきが改善され、食感のよいフライドチキンを得ることができた(実施例1)。また、澱粉をさらに含む本実施形態のバッターのみ、あるいはブレッダーのみを用いることにより、衣のひきが改善され、食感のよいフライドチキンを得ることができた(実施例2および3)。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 表3より、各実施例のバッターおよびブレッダーを用いることにより、衣のひきが改善され、食感のよいフライドチキンを得ることができた。
 具体的には、成分(A)として、粒度の異なる粉粒状物1~3のいずれを用いた場合も、衣のひきが改善され、食感のよいフライドチキンを得ることができた(実施例4~6)。
 成分(A)をフライ食品用衣材中8.98質量%から26.82質量%の範囲で含むバッターおよびブレッダーを併用して作製した場合、いずれも衣のひきが改善され、食感のよいフライドチキンを得ることができた(実施例4および7~9)。
 また、酸化澱粉をフライ食品用衣材中13.75質量%から20.29質量%の範囲で含み、かつ、リン酸架橋タピオカ澱粉をフライ食品用衣材中13.75質量%から20.29質量%の範囲で含む、バッターおよびブレッダーを併用して作製した場合、いずれも衣のひきが改善され、食感のよいフライドチキンを得ることができた(実施例9および10)。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 表4より、各実施例のバッターおよびブレッダーを用いることにより、衣のひきが改善され、食感のよいフライドチキンを得ることができた。
 具体的には、ヒドロキシプロピルメチルセルロースをフライ食品用衣材中1.22質量%から3.56質量%の範囲で含むバッターおよびブレッダーを併用して作製した場合、いずれも衣のひきが改善され、食感のよいフライドチキンを得ることができた(実施例11~13)。
 また、実施例12および実施例13において、より好ましいクリスピー感が得られた。またこれらの実施例では、テクスチャーアナライザー評価において、より多いピークカウント数となった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 表5より、各実施例のバッターおよびブレッダーを用いることにより、衣のひきが改善され、食感のよいフライドチキンを得ることができた。
 具体的には、セルロース誘導体として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースのいずれかを用いたバッターおよびブレッダーを併用して作製した場合、いずれも衣のひきが改善され、食感のよいフライドチキンを得ることができた(実施例14~16)。
 この出願は、2021年7月8日に出願された日本出願特願2021-113287号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

Claims (15)

  1.  以下の成分(A)およびセルロース誘導体を含有する、フライ食品用衣材であって、
     当該衣材が、バッター用またはブレッダー用であるフライ食品用衣材。
     成分(A):以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物
    (1)前記粉粒状物中の澱粉含量が75質量%以上
    (2)前記粉粒状物中にアミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下である
    (3)前記粉粒状物の25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
    (4)前記粉粒状物中の目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量が50質量%以上100質量%以下
  2.  前記セルロース誘導体が、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1に記載のフライ食品用衣材。
  3.  前記セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項1または2に記載のフライ食品用衣材。
  4.  当該衣材中の前記セルロース誘導体の含有量が、当該衣材の全固形分に対して0.5質量%以上10.0質量%以下である、請求項1または2に記載のフライ食品用衣材。
  5.  当該衣材中の前記セルロース誘導体の含有量が、当該衣材中の前記成分(A)の含有量に対する質量比で0.01以上3.0以下である、請求項1または2に記載のフライ食品用衣材。
  6.  酸化澱粉および架橋澱粉からなる群から選択される1種または2種の澱粉(前記成分(A)を除く)をさらに含む、請求項1または2に記載のフライ食品用衣材。
  7.  当該衣材において、前記成分(A)の含有量および前記セルロース誘導体の含有量の合計に対する前記澱粉の含有量の質量比(澱粉/(成分(A)+セルロース誘導体))が、0.5以上9以下である、請求項6に記載のフライ食品用衣材。
  8.  請求項1または2に記載の衣材を含む、バッター。
  9.  請求項1または2に記載の衣材を含む、ブレッダー。
  10.  請求項1または2に記載の衣材を含む、フライ食品。
  11.  請求項8に記載のバッターを種物の外側に付着させる工程と、
     前記バッターが付着した前記種物を加熱調理する工程と、を含む、
     フライ食品の製造方法。
  12.  請求項9に記載のブレッダーを種物の外側に付着させる工程と、
     前記ブレッダーが付着した前記種物を加熱調理する工程と、を含む、
     フライ食品の製造方法。
  13.  請求項11に記載のフライ食品の製造方法であって、
     加熱調理する前記工程の前に、請求項9に記載のブレッダーを種物の外側に付着させる工程をさらに含む、フライ食品の製造方法。
  14.  以下の成分(A)およびセルロース誘導体をフライ食品用衣材に含有させる工程を含む、フライ食品の食感を向上させる方法。
     成分(A):以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物
    (1)前記粉粒状物中の澱粉含量が75質量%以上
    (2)前記粉粒状物中にアミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下である
    (3)前記粉粒状物の25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
    (4)前記粉粒状物中の目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量が50質量%以上100質量%以下
  15.  以下の成分(A)およびセルロース誘導体をフライ食品用衣材に含有させる工程を含む、フライ食品を保管後、再加熱した場合における食感を向上させる方法。
     成分(A):以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物
    (1)前記粉粒状物中の澱粉含量が75質量%以上
    (2)前記粉粒状物中にアミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下である
    (3)前記粉粒状物の25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
    (4)前記粉粒状物中の目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量が50質量%以上100質量%以下
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