WO2023223828A1

WO2023223828A1 - コネクタ

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Publication number: WO2023223828A1
Application number: PCT/JP2023/017071
Authority: WO
Inventors: 里紗永縄
Original assignee: 住友電装株式会社
Priority date: 2022-05-20
Filing date: 2023-05-01
Publication date: 2023-11-23
Also published as: JP2023170806A

Abstract

嵌合作業を円滑に行うことができ、さらに嵌合音を適正に発生させることができるコネクタを提供する。　ハウジング（２０）は、相手ハウジング（１００）との嵌合方向の前端から後端にかけて延び、嵌合方向と交差する交差方向に弾性変形可能であって、相手ハウジング（１００）に係止されるロックアーム（２８）と、ロックアーム（２８）の後端部に対して交差方向に対向して配置される端面（２６）と、端面（２６）に突設され、ロックアーム（２８）の後端部を挟んだ両側に配置される一対の側部（３９）と、一対の側部（３９）に架設され、ロックアーム（２８）の後端部を端面（２６）の反対側から覆う覆い部（４１）と、を備える。覆い部（４１）におけるロックアーム（２８）に対向する面とは反対側の天面（４２）には、段差部（４３，４４）が後側を向いて形成されている。

Description

コネクタ

　本開示は、コネクタに関する。

　特許文献１は記載されたコネクタは、ハウジングと、ハウジングの上壁に形成されるロックアームと、ロックアームの後端部を間に挟んで配置される一対の板状支持壁と、各板状支持壁に架設され、ロックアームの後端部の一部を覆う連結部と、を備えている。連結部の後端には、ロック操作スペースが形成されている。

　特許文献２に記載されたコネクタは、ハウジングと、ハウジングの上面に形成されるロックアームと、ロックアームの後端部を上側から覆う上面側保護部と、ロックアームの後端部を左右両側から覆う一対の側面側保護部と、を有している。

　特許文献１および特許文献２において、ロックアームの後端部は、操作部（特許文献１では「ロック操作部」と記される。）として構成されている。作業者は、操作部の上面を指で押圧することで、ハウジングと相手ハウジングとの嵌合を解除することができる。

　このような操作部を有するロックアームは、特許文献３および特許文献４にも開示されている。特許文献３は、ロックアームの基端部側を覆う第２ロック保護壁を有し、作業性の向上を図る技術を開示している。特許文献４は、ロックアームの弾性復帰に伴って発生する衝突音（特許文献４では「嵌合音」と記される。）を高める技術を開示している。この嵌合音は、ハウジングと相手ハウジングとが正規の嵌合位置に至ったときに、弾性復帰するロックアームが相手ハウジングの壁面を叩くことにより発生する音である。

特開２０２１－１９０２９８号公報特開２０２０－５７５７８号公報特開２００８－６６０３０号公報特開２００５－１５８４１７号公報

　特許文献１の場合、ハウジングと相手ハウジングとの嵌合を行う際に、作業者の指がロック操作スペースを通して操作部の上面に誤って接触し、操作部が押し下げられた状態で、ハウジングが正規の嵌合位置に至ることがあった。こうしてハウジングが嵌合位置に至った後、作業者の指が操作部から離れても、ロックアームが適正な弾性反力をもって弾性復帰することができないという事情があった。このため、上記の嵌合音が小さくなり、嵌合の目安になる聴覚による検知が機能しなくなる懸念があった。

　これに対し、特許文献２の場合、上面側保護部がロックアームの後端部を上側から覆っているため、ロックアームの後端部に作業者の指が接触するのを回避できた。よって、特許文献２の場合、嵌合音を発生させることが可能であった。しかし、仮に、上面側保護部の上面に作業者の指を当てがい、ハウジングと相手ハウジングとの嵌合を行おうとすると、上面側保護部の上面を指が滑り、作業を円滑に進めることができないおそれがあった。

　そこで、本開示は、嵌合音を適正に発生させることでき、さらに嵌合作業を円滑に進めることができるコネクタを提供することを目的とする。

　本開示のコネクタは、相手ハウジングに嵌合するハウジングを備え、前記ハウジングは、前記相手ハウジングとの嵌合方向の前端から後端にかけて延び、前記嵌合方向と交差する交差方向に弾性変形可能であって、前記相手ハウジングに係止されるロックアームと、前記ロックアームの前記後端を含む後端部に対して前記交差方向に対向して配置される端面と、前記端面に突設され、前記ロックアームの前記後端部を挟んだ両側に配置される一対の側部と、前記一対の側部に架設され、前記ロックアームの前記後端部を前記端面の反対側から覆う覆い部と、前記覆い部における前記ロックアームに対向する面とは反対側の天面に後側を向いて形成されている段差部と、を有している。

　本開示によれば、嵌合音を適正に発生させることでき、さらに嵌合作業を円滑に進めることができるコネクタを提供する。

図１は、本開示の実施形態１において、コネクタを斜め上前方から見たときの斜視図である。図２は、コネクタの断面図である。図３は、ハウジングを斜め上後方から見たときの斜視図である。図４は、ハウジングの背面図である。図５は、ハウジングにおいて、操作部と覆い部とを有する部分を拡大した部分断面図である。

［本開示の実施形態の説明］
　最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
　本開示のコネクタは、
　（１）相手ハウジングに嵌合するハウジングを備え、前記ハウジングは、前記相手ハウジングとの嵌合方向の前端から後端にかけて延び、前記嵌合方向と交差する交差方向に弾性変形可能であって、前記相手ハウジングに係止されるロックアームと、前記ロックアームの前記後端を含む後端部に対して前記交差方向に対向して配置される端面と、前記端面に突設され、前記ロックアームの前記後端部を挟んだ両側に配置される一対の側部と、前記一対の側部に架設され、前記ロックアームの前記後端部を前記端面の反対側から覆う覆い部と、前記覆い部における前記ロックアームに対向する面とは反対側の天面に後側を向いて形成されている段差部と、を有している。
　上記構成によれば、ハウジングと相手ハウジングとの嵌合を行う際に、覆い部の天面に作業者の指を当てがうことで、ロックアームの後端部に指が接触するのを防止できる。その結果、ロックアームが不用意に弾性変形するのを回避でき、ハウジングが正規の嵌合位置に至る際に、ロックアームが適正に弾性復帰して所定の嵌合音を発生することができる。しかも、ハウジングを相手ハウジングに押し込む際に、段差部が指の滑り止めになるので、嵌合作業を円滑に行うことができる。

　（２）前記ロックアームの前記後端部は、前記ロックアームにおける前記後端部を除く部分よりも前記端面から離れた位置に配置され、前記覆い部は、前記端面の反対側から見て前記ロックアームの前記後端部の全体を覆うように形成されているのが好ましい。
　上記構成によれば、覆い部の天面に作業者の指を当てがい易くなる一方、ロックアームの後端部に指が接触するのをより確実に防止できる。

　（３）前記段差部は、前記覆い部の前記天面に、前記嵌合方向に複数並んで形成されていると良い。
　上記構成によれば、複数の段差部が指の滑り止めとしてより効果的に機能することができる。

　（４）前記段差部は、前記端面の反対側から見て台形又はＵ字形に形成されていると良い。
　上記構成によれば、覆い部の天面に作業者の指を当てがう際に、台形又はＵ字形の段差部に指を沿わせることができるので、段差部に対する指の引っ掛かり代を大きくとることができる。その結果、台形又はＵ字形の段差部が指の滑り止めとしてより効果的に機能することができる。

　（５）前記段差部は、前記覆い部の前記天面に、前記嵌合方向に複数並び、且つ前記端面の反対側から見てそれぞれ台形又はＵ字形をなし、全体として波紋形状に形成されていると良い。
　上記構成によれば、台形又はＵ字形の複数の段差部が指の滑り止めとしてより一層効果的に機能することができる。また、各段差部は、全体として波紋形状に形成されているため、指を当てがう部分として認識し易くなる。

　（６）前記ロックアームの前記後端部は、前記覆い部に対向する対向面に、前記後側へ行くに従って前記覆い部から離れる向きに傾斜する溝部を有していると良い。
　上記構成によれば、ハウジングが正規の嵌合位置にあるときに、ロックアームの後端部の溝部に治具等を沿わせて、ロックアームを係止解除方向に弾性変形させることができる。よって、ロックアームの後端部が覆い部で覆われているという事情があっても、ハウジングと相手ハウジングとの嵌合を適正に解除することができる。

［本開示の実施形態の詳細］
　本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

　＜実施形態１＞
　本開示の実施形態１に係るコネクタ１０は、端子金具８０と、ハウジング２０と、リテーナ９０と、を備えている。図２に示すように、ハウジング２０は、相手ハウジング１００に嵌合可能とされている。なお、以下の説明において、前後方向については、ハウジング２０が相手ハウジング１００に嵌合する側、詳細には嵌合開始時にハウジング２０が相手ハウジング１００に対向する側を前側とする。図２の左側が前側になる。上下方向は、各図の上下方向を基準とする。この上下方向は、コネクタ１０が車両等に搭載された状態における重力方向とは必ずしも一致しない。左右方向は、図４の左右方向を基準とする。図１において、符号Ｘ，Ｙ，Ｚは、それぞれ前後方向，左右方向，上下方向を示す。また、以下の説明において、前端部は、前端を含む前側の部分を意味し、後端部は、後端を含む後側の部分を意味する。

　（端子金具）
　端子金具８０は導電性の金属板を曲げ加工等して一体に成形されている。図２に示すように、端子金具８０は、前後方向に細長い形状をなし、前端部に接続部８１を有し、後端部にバレル部８２を有している。接続部８１は、角筒状をなし、相手ハウジング１００に装着された相手端子金具１８０のタブ１８１を受容し、相手端子金具１８０に電気的に接続される。バレル部８２は、電線Ｗの端末部に圧着され、電線Ｗに電気的および機械的に接続される。

　（ハウジング）
　ハウジング２０は合成樹脂製であって、図１および図３に示すように、左右方向に長い平面視矩形のハウジング本体２１を有している。ハウジング本体２１は、図２に示すように、前後方向に延びる複数のキャビティ２２を有している。各キャビティ２２の内壁には、ランス２３が突出して形成されている。端子金具８０は、キャビティ２２に後側から挿入され、ランス２３に接続部８１を係止させることで、ハウジング本体２１に一次的に抜け止めされる。電線Ｗは、ハウジング本体２１のキャビティ２２から後側に引き出される。

　ハウジング本体２１は、前後方向の中間部に、ハウジング本体２１の左右側面と下面とに亘って開口するリテーナ装着孔２４を有している。各キャビティ２２は、ハウジング本体２１の内側において、リテーナ装着孔２４を介して前後に分断されている（図３を参照）。ハウジング本体２１は、図１に示すように、上側前端部から左右前端部にかけて形成された突壁２５を有している。ハウジング本体２１の前面２１Ａは、突壁２５の後端と対応する前後位置に控えて配置されている（図２を参照）。

　図１に示すように、ハウジング本体２１の上面は、上側を向く端面２６として構成されている。ハウジング本体２１の端面２６は、左右方向の中間部に、左右方向の両側から一段凹む凹面２７を有している。ハウジング２０は、ハウジング本体２１の凹面２７から突出するロックアーム２８を有している。ロックアーム２８は、左右方向に間隔を置いて配置された一対のアーム本体２９と、各アーム本体２９の後端につながる連結部３１と、を有している。

　各アーム本体２９は、前後方向に延びる板状をなし、互いに平行に配置されている。各アーム本体２９の前端部は、ハウジング本体２１の凹面２７の上側前端部に連結され、突壁２５の一部を構成している。ロックアーム２８は、各アーム本体２９の前端部を支点として上下方向に弾性変形可能とされている。各アーム本体２９の上面には、ロック突起３２が突出して形成されている。図２に示すように、ロック突起３２が相手ハウジング１００のフード部１１０に形成されたロック孔１１１に嵌まり込むことにより、ハウジング２０と相手ハウジング１００とが嵌合状態に保持される。図１および図４に示すように、連結部３１は、左右方向に延びるリブ状をなし、左右方向の端部をそれぞれ各アーム本体２９の後端に連結させている。

　図４に示すように、ロックアーム２８は、連結部３１から上側に突出する操作部３３を有している。操作部３３は、連結部３１における左右方向に間隔を置いた複数箇所、図示する場合は３箇所から短く起立する脚部３４と、各脚部３４の上端につながる操作本体３５と、を有して構成されている。

　各脚部３４は、左右方向に関して、各アーム本体２９に対応する位置と、各アーム本体２９間に対応する位置と、に配置されている。図２および図５に示すように、脚部３４の後面は、上側へ向けて後傾する斜面形状をなしている。図４に示すように、操作本体３５は、左右方向に延びる板状をなし、左右方向の端部と中間部とをそれぞれ連結部３１の上端に連結させている。操作本体３５の上面は、各アーム本体２９および連結部３１のそれぞれの上面よりも一段高い位置に配置され、後述する覆い部４１に対向する対向面３６になっている。

　図２および図５に示すように、操作本体３５の後端部は、操作本体３５の前端部よりも厚肉に形成されている。図４に示すように、操作本体３５の後端部は、対向面３６の左右方向の中間部に、切欠形状の溝部３７を有している。溝部３７は、操作本体３５の後端部の対向面３６に、左右方向に一定幅であって、図５に示すように、後側へ向けて下傾する斜面形状をなしている。

　ハウジング２０は、ハウジング本体２１の後端部から全周に亘って張り出すフランジ部３８を有している。図４に示すように、フランジ部３８は、背面視において四角部が面取りされた矩形の外形形状を有している。

　図１に示すように、ハウジング２０は、ロックアーム２８の操作部３３を挟んだ左右両側に、操作部３３を側方から覆う一対の側部３９を有している。各側部３９は、ハウジング本体２１の端面２６から突出し、後端部をフランジ部３８と一体化させている。各側部３９は、平面視において前側へ行くに従って互いの距離を縮めるテーパ形状をなしている。

　そして、ハウジング２０は、各側部３９の上端に連結されて各側部３９に架設される覆い部４１を有している。覆い部４１の後端部は、フランジ部３８と一体化している。覆い部４１は、平面視において前側へ行くに従って幅狭になる台形又はＵ字形の外形形状を有している。

　覆い部４１の前端および後端は、左右方向に沿って配置されている。図２に示すように、覆い部４１の前端は、前後方向に関して各アーム本体２９と重なる位置に配置されている。覆い部４１の後端は、前後方向に関してハウジング本体２１の後端と同一位置に配置されている。

　覆い部４１は、操作部３３よりも上側に位置し、操作部３３を上側から覆うように配置されている。言い換えれば、覆い部４１は、操作部３３の対向面３６の全体と間隔を置いて対向して配置されている。操作部３３の全体は、ハウジング２０の平面視において、覆い部４１によって覆い隠される。

　図２に示すように、覆い部４１の上面は、ハウジング２０と相手ハウジング１００との嵌合を行う際に作業者の指Ｆが当てがわれる天面４２になっている。覆い部４１の天面４２には、複数の段差部４３，４４が形成されている。各段差部４３，４４は、それぞれ後側を向いて配置されている。図５に示すように、各段差部４３，４４は、それぞれ上下方向に対して前方に傾斜した湾曲面になっている。また、図３に示すように、各段差部４３，４４は、平面視で台形又はＵ字形をなし、左右方向に沿って延びるストレート部４５と、後側へ行くに従って互いの距離を広げる一対の傾斜部４６と、を有している。各傾斜部４６の前端と各ストレート部４５の左右端とはそれぞれ平面視湾曲状の角部４７を介して連結されている。各傾斜部４６の後端は、覆い部４１の後端に位置している。各段差部４３，４４は、覆い部４１の外形形状と相似し、全体として平面視で波紋形状をなしている。

　本実施形態１の場合、各段差部４３，４４は、第１段差部４３と、第２段差部４４と、からなる。第１段差部４３のストレート部４５は、第２段差部４４のストレート部４５よりも前側に配置されている。第２段差部４４の角部４７は、第１段差部４３の角部４７よりも大きい曲率半径を有している。

　図１および図３に示すように、覆い部４１の天面４２には、第２段差部４４よりも後側に第３平坦面４８が形成され、第１段差部４３と第２段差部４４との間に第２平坦面４９が形成され、第１段差部４３よりも前側に第１平坦面５１が形成されている。第１平坦面５１、第２平坦面４９および第３平坦面４８は、いずれも上側を向いて配置され、前後方向および左右方向に沿って平坦に形成されている。

　第２平坦面４９は、第２段差部４４を介して第３平坦面４８よりも一段高い位置に配置されている。第１平坦面５１は、第１段差部４３を介して第２平坦面４９よりも一段高い位置に配置されている。第１段差部４３は、第２平坦面４９を介して、第２段差部４４よりも一段高い位置に配置されている。端的には、覆い部４１の天面４２は、図５に示すように、ハウジング２０の断面視において、前側に向けて上り階段状に形成されている。

　（リテーナ）
　リテーナ９０は合成樹脂製であって、図２に示すように、リテーナ本体９１と、フロントマスク部９２と、一対の側壁９３（図１で１つのみ図示）と、を有して構成されている。

　図２に示すように、リテーナ本体９１は、角ブロック状をなし、リテーナ装着孔２４の内側に挿入される。リテーナ本体９１は、各キャビティ２２に連通する複数の貫通孔９４と、各端子金具８０を二次的に抜け止めする複数の抜け止め部９５と、を有している。

　フロントマスク部９２は、板状をなし、ハウジング本体２１の前面２１Ａに対向して配置される。フロントマスク部９２は、各キャビティ２２に連通する複数のタブ挿通孔９６を有している。各タブ挿通孔９６には、前方から相手端子金具１８０のタブ１８１が挿通される。リテーナ９０は、ハウジング本体２１に対して下側から組み付けられる。フロントマスク部９２は、突壁２５に下側から当て止めされる。

　（コネクタの作用）
　ハウジング２０と相手ハウジング１００との嵌合に際し、ハウジング２０が相手ハウジング１００に向けて前側に押し込まれる。コネクタ１０の搭載環境等に起因し、作業者は、嵌合作業を行う際に、ハウジング２０を上下両側から把持せざるを得ないことがある。ここで、ハウジング本体２１の端面２６上にロックアーム２８の操作部３３が配置されているので、操作部３３に作業者の指が触れ、操作部３３が予期せず押し下げられることが懸念される。他方、本実施形態１の場合、操作部３３よりも上側に、操作部３３の全体を覆うようにして覆い部４１が配置されている。よって、嵌合作業を行う際には、図２に示すように、覆い部４１に、指Ｆを当てがう状態を確実に実現することができる。こうして作業者は、例えば、覆い部４１に親指を当てがい、フランジ部３８の下端部に人差し指を当てがって、嵌合作業を行うことができる。このため、嵌合作業時に、操作部３３が作業者の指Ｆで押し下げられるのを防止できる。

　ハウジング２０の嵌合過程において、ロック突起３２が相手ハウジング１００のフード部１１０と干渉することにより、ロックアーム２８が弾性変形させられ、操作部３３がハウジング本体２１の端面２６に近づくように下側に変位する。ここで、ハウジング２０と相手ハウジング１００との干渉および端子金具８０と相手端子金具１８０との接触に起因して嵌合抵抗が発生する。図２に示すように、作業者は、覆い部４１の天面４２に形成された各段差部４３，４４を嵌合抵抗に抗して後方から指Ｆで押圧することができる。このため、指Ｆが覆い部４１の天面４２を滑ることなく、嵌合作業を進めることができる。また、図１に示すように、各段差部４３，４４がそれぞれ平面視で台形又はＵ字形をなしているため、各段差部４３，４４に沿って指Ｆを広く当てがうことができ、各段差部４３，４４が指Ｆの滑り止めとして効果的に機能する。

　その後、ハウジング２０が正規の嵌合位置に至ると、ロックアーム２８が弾性復帰し、ロック突起３２がロック孔１１１に嵌まり込むのと同時に、ロックアーム２８の弾性反力を得た各アーム本体２９がフード部１１０の内壁（壁面）を叩いて、嵌合音を発生させる。作業者は、この嵌合音を聞くことにより、ハウジング２０が正規の嵌合位置に至ったと判断することができる。つまり、作業者は、コネクタ１０の嵌合状態を聴覚を通して知ることができる。

　メンテナンス等の事情により、ハウジング２０と相手ハウジング１００とを離脱させる場合、ロック突起３２がロック孔１１１から抜け出る係止解除方向にロックアーム２８を弾性変形させる必要がある。通常、作業者は、操作部３３の上面である対向面３６を上方から指で押圧することで、ロックアーム２８を係止解除方向に弾性変形させることができる。しかし、本実施形態１の場合、操作部３３より上側に、操作部３３の全体を覆うようにして覆い部４１が配置されているので、作業者の指を操作部３３の対向面３６に当てがうのは困難であるが、操作部３３の対向面３６に後側へ向けて下傾する溝部３７が形成されている。このため、図５に示すように、操作部３３と覆い部４１との間に後方から治具２００を差し込み、溝部３７に治具２００を沿わせることで、ロックアーム２８を係止解除方向に弾性変形させることができる。これにより、ハウジング２０を相手ハウジング１００から引き離すことが可能となる。

　以上説明したように、本実施形態１によれば、ハウジング２０と相手ハウジング１００との嵌合を行う際に、覆い部４１の天面４２に作業者の指Ｆを当てがうことで、ロックアーム２８の後端部に指Ｆが接触するのを防止できる。その結果、ロックアーム２８が不用意に弾性変形するのを回避でき、ハウジング２０が正規の嵌合位置に至る際に、ロックアーム２８が適正に弾性復帰して所定の嵌合音を発生することができる。しかも、ハウジング２０を相手ハウジング１００に押し込む際に、段差部４３，４４が指Ｆの滑り止めになるので、嵌合作業を円滑に行うことができる。

　また、本実施形態１においては、前方に突出する台形又はＵ字形の各段差部４３，４４に作業者の指Ｆを沿わせることができるので、段差部４３，４４に対する指Ｆの引っ掛かり代を大きくとることができ、指Ｆの滑り止めとして効果的に機能することができる。しかも、各段差部４３，４４は、全体として波紋形状に形成されているため、指Ｆを当てがう部分として認識し易くなる。

　さらにまた、操作部３３が覆い部４１で覆われているという事情があっても、操作部３３の溝部３７に治具２００を沿わせることで、ハウジング２０と相手ハウジング１００との嵌合を適正に解除することが可能となる。

［本開示の他の実施形態］
　今回開示された上記実施形態１はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
　上記実施形態１の場合、段差部が操作部の天面に複数形成されていた。これに対し、他の実施形態によれば、段差部が操作部の天面に１つ形成されるだけでも良い。
　上記実施形態１の場合、段差部がストレート部と一対の傾斜部とで平面視で台形又はＵ字形に形成されていた。これに対し、他の実施形態によれば、段差部の全体がストレート部になって平面視で直線状に形成されていても良い。あるいは、段差部の全体が平面視で湾曲状に形成されていても良い。
　上記実施形態１の場合、ロックアームがハウジング本体の上面に連結された前端部分を支点として弾性変形する構成であった。これに対し、他の実施形態によれば、ロックアームが前後方向の途中に張り出し形成されて各側部に連結される一対の支持アームを有し、各支持アームを支点としてシーソ状に弾性変形する構成であっても良い。
　上記実施形態１の場合、ロックアームが左右方向に間隔を置いて配置される一対のアーム本体を有していた。これに対し、他の実施形態によれば、ロックアームが左右方向の全幅に亘って連なる１つのアーム本体を有していても良い。
　上記実施形態１の場合、操作部の溝部に治具を沿わせて、ロックアームを係止解除方向に弾性変形させていた。これに対し、他の実施形態によれば、例えば、コネクタが大型のコネクタである場合、操作部の溝部に指先を沿わせて、ロックアームを係止解除方向に弾性変形させても良い。

　１０…コネクタ
　２０…ハウジング
　２１…ハウジング本体
　２１Ａ…前面
　２２…キャビティ
　２３…ランス
　２４…リテーナ装着孔
　２５…突壁
　２６…端面
　２７…凹面
　２８…ロックアーム
　２９…アーム本体
　３１…連結部
　３２…ロック突起
　３３…操作部
　３４…脚部
　３５…操作本体
　３６…対向面
　３７…溝部
　３８…フランジ部
　３９…側部
　４１…覆い部
　４２…天面
　４３…第１段差部（段差部）
　４４…第２段差部（段差部）
　４５…ストレート部
　４６…傾斜部
　４７…角部
　４８…第３平坦面
　４９…第２平坦面
　５１…第１平坦面
　８０…端子金具
　８１…接続部
　８２…バレル部
　９０…リテーナ
　９１…リテーナ本体
　９２…フロントマスク部
　９３…側壁
　９４…貫通孔
　９５…抜け止め部
　９６…タブ挿通孔
　１００…相手ハウジング
　１１０…フード部
　１１１…ロック孔
　１８０…相手端子金具
　１８１…タブ
　２００…治具
　Ｆ…指
　Ｗ…電線

Claims

　相手ハウジングに嵌合するハウジングを備え、
　前記ハウジングは、
　前記相手ハウジングとの嵌合方向の前端から後端にかけて延び、前記嵌合方向と交差する交差方向に弾性変形可能であって、前記相手ハウジングに係止されるロックアームと、
　前記ロックアームの前記後端を含む後端部に対して前記交差方向に対向して配置される端面と、
　前記端面に突設され、前記ロックアームの前記後端部を挟んだ両側に配置される一対の側部と、
　前記一対の側部に架設され、前記ロックアームの前記後端部を前記端面の反対側から覆う覆い部と、
　前記覆い部における前記ロックアームに対向する面とは反対側の天面に後側を向いて形成されている段差部と、
　を有している、コネクタ。
　前記ロックアームの前記後端部は、前記ロックアームにおける前記後端部を除く部分よりも前記端面から離れた位置に配置され、
　前記覆い部は、前記端面の反対側から見て前記ロックアームの前記後端部の全体を覆うように形成されている、請求項１に記載のコネクタ。
　前記段差部は、前記覆い部の前記天面に、前記嵌合方向に複数並んで形成されている、請求項１又は請求項２に記載のコネクタ。
　前記段差部は、前記端面の反対側から見て台形又はＵ字形に形成されている、請求項１又は請求項２に記載のコネクタ。
　前記段差部は、前記覆い部の前記天面に、前記嵌合方向に複数並び、且つ前記端面の反対側から見てそれぞれ台形又はＵ字形をなし、全体として波紋形状に形成されている、請求項１又は請求項２に記載のコネクタ。
　前記ロックアームの前記後端部は、前記覆い部に対向する対向面に、前記後側へ行くに従って前記覆い部から離れる向きに傾斜する溝部を有している、請求項１又は請求項２に記載のコネクタ。