WO2023127734A1 - 樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

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Abstract

液晶ポリエステルと、中空フィラーと、フッ素樹脂とを含有する樹脂組成物であって、中空フィラーの含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、25質量部以上80質量部以下であり、フッ素樹脂の含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、10質量部以上60質量部以下である、樹脂組成物。

Description

樹脂組成物及び成形体
 本発明は、樹脂組成物及び当該樹脂組成物を用いて作製された成形体に関する。
 本願は、2021年12月28日に日本に出願された、特願2021-214817号に基づき優先権主張し、その内容をここに援用する。
 液晶ポリエステルは、化学的安定性、耐熱性及び寸法精度が高いことが知られており、電気、電子、機械、光学機器、自動車、航空機、及び医療分野等の様々な分野で利用されている。電子部品の用途としては、液晶ポリエステルは、主として、コネクターに用いられる。このようなコネクターの代表例としては、プリント配線基板同士を接合するのに使用されるボードツーボード(Board to Board)コネクターや、プリント配線基板にフレキシブルプリント基板(FPC)またはフレキシブルフラットケーブル(FFC)を接続するのに使用されるFPC用コネクター等が挙げられる。
 このようなコネクターとしては、伝送情報量の増加や高速化に伴い、高周波信号に適応可能な高性能かつ信頼性の高いコネクターが求められる。具体的には、特性インピーダンス整合の補助が可能であり、信号衰退の少なく、伝送速度がより速いコネクターが求められる。このような機能を満たすためには、低比誘電率、及び、低誘電正接を両立した樹脂組成物が求められる。
 液晶ポリエステルは、他の熱可塑性樹脂よりも化学的安定性が高いため、広い周波数帯において、比誘電率、及び、誘電正接が安定している。また、液晶ポリエステルは、耐熱性が高いことから、比誘電率、及び、誘電正接が熱的にも安定している。また、液晶ポリエステルは、低吸水率であるため、吸水による比誘電率、及び、誘電正接の変化がほぼない。また、液晶ポリエステルは、寸法精度が高いことから、液晶ポリエステルから作製される成形体をより薄く小型化しやすい。
 比誘電率、及び、誘電正接をさらに低下させるために、液晶ポリエステルに、フッ素樹脂及び中空フィラーを含有する樹脂組成物が検討されている。
 例えば、特許文献1には、粒状アラミド約5~約25重量パーセントと、粒状パーフルオロ化ポリマー約5~約40重量パーセントと、中空ガラス球または石英球0~約15重量パーセントと、液晶ポリマーである残部とを含み、ここでいう重量パーセントが、存在する前記粒状アラミド、パーフルオロ化熱可塑性樹脂、中空ガラス球または石英球、および液晶ポリマーの合計量に基づいていることを特徴とする組成物が開示されている。
 また、特許文献1の実施例には、液晶ポリマー100質量部に対して、中空ガラス球を16.7~20質量部含有する組成物が開示されている。
特表2005-533908号公報
 特許文献1に記載されたような従来の樹脂組成物では、比誘電率、及び、誘電正接の低下が十分ではなく、比誘電率、及び、誘電正接がより低い樹脂組成物が求められている。
 本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、低比誘電率、及び、低誘電正接を両立した樹脂組成物及び当該樹脂組成物を用いて作製された成形体を提供することを目的とする。
 上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を含む。
 [1]液晶ポリエステルと、中空フィラーと、フッ素樹脂とを含有する樹脂組成物であって、前記中空フィラーの含有量は、前記液晶ポリエステル100質量部に対して、25質量部以上80質量部以下であり、前記フッ素樹脂の含有量は、前記液晶ポリエステル100質量部に対して、10質量部以上60質量部以下である、樹脂組成物。
 [2]前記液晶ポリエステル、前記中空フィラー及び前記フッ素樹脂の合計の含有量は、前記樹脂組成物全量100質量%に対して、95質量%超である、[1]に記載の樹脂組成物。
 [3]前記中空フィラー及び前記フッ素樹脂の合計の含有量は、前記樹脂組成物全量100質量%に対して、30質量%以上60質量%未満である、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
 [4]前記中空フィラーが、ガラスバルーンである、[1]~[3]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
 [5]前記フッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン、及び、パーフルオロアルコキシアルカンからなる群から選択される1種以上のフッ素樹脂である、[1]~[4]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
 [6]前記フッ素樹脂の350℃、1000/secでの溶融粘度が、400Pa・s以下である、[1]~[5]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
 [7][1]~[6]のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いて作製された成形体。
 本発明によれば、低比誘電率、及び、低誘電正接を両立した樹脂組成物及び当該樹脂組成物を用いて作製された成形体を提供することができる。
 (樹脂組成物)
 本実施形態の樹脂組成物は、液晶ポリエステルと、中空フィラーと、フッ素樹脂とを含有する。
 <液晶ポリエステル>
 本実施形態の樹脂組成物が含有する液晶ポリエステルは、溶融状態で液晶性を示すポリエステルであれば、特に限定されない。本実施形態の液晶ポリエステルは、液晶ポリエステルアミド、液晶ポリエステルエーテル、液晶ポリエステルカーボネート、液晶ポリエステルイミド等であってもよい。
 本実施形態の液晶ポリエステルの流動開始温度は、250℃以上であることが好ましく、270℃以上であることがより好ましく、280℃以上であることがさらに好ましい。
 また、本実施形態の液晶ポリエステルの流動開始温度は、400℃以下であることが好ましく、360℃以下であることがより好ましく、340℃以下であることがさらに好ましい。
 例えば、本実施形態の液晶ポリエステルの流動開始温度は、250℃以上400℃以下であることが好ましく、270℃以上360℃以下であることがより好ましく、280℃以上340℃以下であることがさらに好ましい。
 本明細書において、流動開始温度は、フロー温度または流動温度とも呼ばれ、液晶ポリエステルの分子量と相関のある温度である(小出直之編、「液晶ポリマー-合成・成形・応用-」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
 本実施形態における流動開始温度は、毛細管レオメーターを用いて、液晶ポリエステルを9.8MPa(100kg/cm)の荷重下4℃/分の速度で昇温しながら溶融させ、内径1mmおよび長さ10mmのノズルから押し出すときに、上記液晶ポリエステルが4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度である。
 本実施形態の液晶ポリエステルは、原料モノマーとして芳香族化合物のみを用いてなる全芳香族液晶ポリエステルであることが好ましい。
 本実施形態の液晶ポリエステルの典型的な例としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸と、芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重合(重縮合)させてなる液晶ポリエステル樹脂;複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合させてなる液晶ポリエステル樹脂;芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重合させてなる液晶ポリエステル樹脂;ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルと芳香族ヒドロキシカルボン酸とを重合させてなる液晶ポリエステル樹脂が挙げられる。
 ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンは、それぞれ独立に、その一部または全部に代えて、重合可能なそれらの誘導体が用いられてもよい。
 芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、カルボキシル基をアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基に変換してなるエステル;カルボキシル基をハロホルミル基に変換してなる酸ハロゲン化物;カルボキシル基をアシルオキシカルボニル基に変換してなる酸無水物等が挙げられる。
 芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシアミンのようなヒドロキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシル基をアシル化してアシルオキシル基に変換してなるアシル化物等が挙げられる。
 芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンのようなアミノ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、アミノ基をアシル化してアシルアミノ基に変換してなるアシル化物等が挙げられる。
 本実施形態の液晶ポリエステルは、上記の中でも、ナフタレン骨格を有する繰返し単位を含む液晶ポリエステルであることが好ましく、2,6-ナフチレン基を有する繰返し単位を含む液晶ポリエステルであることがより好ましい。
 本実施形態の液晶ポリエステルが、ナフタレン骨格を有する繰返し単位を含む液晶ポリエステルである場合、ナフタレン骨格を有する繰返し単位の数は、液晶ポリエステルの全繰返し単位の合計数(100%)に対して、55%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、65%以上がさらに好ましく、70%以上が特に好ましい。
 また、ナフタレン骨格を有する繰返し単位の数は、液晶ポリエステルの全繰返し単位の合計数に対して、95%以下が好ましく、90%以下がより好ましく、85%以下がさらに好ましく、80%以下が特に好ましい。
 液晶ポリエステルにおけるナフタレン骨格を有する繰返し単位の数が、上記の好ましい範囲内であれば、液晶ポリエステルを含有する液晶ポリエステルペレットから作製される成形体の機械的強度をより向上させることができる。
 例えば、液晶ポリエステルにおけるナフタレン骨格を有する繰返し単位の数は、液晶ポリエステルの全繰返し単位の合計数に対して、55%以上95%以下が好ましく、60%以上90%以下がより好ましく、65%以上85%以下がさらに好ましく、70%以上80%以下が特に好ましい。
 本明細書において、繰返し単位の数(繰返し単位の重合度)は、特開2000-19168号公報に記載の分析方法によって求められる値を意味する。
 具体的には、液晶ポリエステルを超臨界状態の炭素数1~3の低級アルコールと反応させて、前記液晶ポリエステルをその繰返し単位を誘導するモノマーまで解重合し、解重合生成物として得られる各繰返し単位を誘導するモノマーを液体クロマトグラフィーによって定量することで、各繰返し単位の数を算出することができる。
 本実施形態の液晶ポリエステルは、下記式(1)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(1)」ともいう)を有する液晶ポリエステルであることが好ましく、繰返し単位(1)と、下記式(2)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(2)」ともいう)と、下記式(3)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(3)」ともいう)とを有する液晶ポリエステルであることがより好ましい。
 (1)-O-Ar-CO-
 (2)-CO-Ar-CO-
 (3)-X-Ar-Y-
[式中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表す。Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表す。X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基(-NH-)を表す。Ar、Ar又はArで表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。]
 (4)-Ar-Z-Ar
[式中、Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。]
 Ar、Ar又はArで表される前記基中の1個以上の水素原子と置換可能なハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
 Ar、Ar又はArで表される前記基中の1個以上の水素原子と置換可能なアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基等が挙げられ、その炭素数は、1~10が好ましい。
 Ar、Ar又はArで表される前記基中の1個以上の水素原子と置換可能なアリール基としては、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられ、その炭素数は、6~20が好ましい。
 Ar、Ar又はArで表される前記基中の水素原子が上述した基で置換されている場合、その置換数は、好ましくは1個又は2個であり、より好ましくは1個である。
 式(4)中のZにおけるアルキリデン基としては、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、n-ブチリデン基、2-エチルヘキシリデン基等が挙げられ、その炭素数は1~10が好ましい。
 繰返し単位(1)は、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(1)としては、Arが1,4-フェニレン基である繰返し単位(p-ヒドロキシ安息香酸に由来する繰返し単位)、及び、Arが2,6-ナフチレン基である繰返し単位(6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する繰返し単位)が好ましく、Arが2,6-ナフチレン基である繰返し単位がより好ましい。
 本明細書において「由来」とは、原料モノマーが重合するために、重合に寄与する官能基の化学構造が変化し、その他の構造変化を生じないことを意味する。
 繰返し単位(2)は、芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(2)としては、Arが1,4-フェニレン基である繰返し単位(テレフタル酸に由来する繰返し単位)、Arが1,3-フェニレン基である繰返し単位(イソフタル酸に由来する繰返し単位)、Arが2,6-ナフチレン基である繰返し単位(2,6-ナフタレンジカルボン酸に由来する繰返し単位)、及びArがジフェニルエ-テル-4,4’-ジイル基である繰返し単位(ジフェニルエ-テル-4,4’-ジカルボン酸に由来する繰返し単位)が好ましく、Arが1,4-フェニレン基である繰返し単位、Arが1,3-フェニレン基である繰返し単位がより好ましい。
 繰返し単位(3)は、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシルアミン又は芳香族ジアミンに由来する繰返し単位である。繰返し単位(3)としては、Arが1,4-フェニレン基である繰返し単位(ヒドロキノン、p-アミノフェノール又はp-フェニレンジアミンに由来する繰返し単位)、及びArが4,4’-ビフェニリレン基である繰返し単位(4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4-アミノ-4’-ヒドロキシビフェニル又は4,4’-ジアミノビフェニルに由来する繰返し単位)が好ましく、Arが4,4’-ビフェニリレン基である繰返し単位がより好ましい。
 繰返し単位(1)の数は、全繰返し単位の合計数(100%)に対して、30%以上80%以下が好ましく、40%以上70%以下がより好ましく、45%以上70%以下がさらに好ましい。
 繰返し単位(2)の数は、全繰返し単位の合計数(100%)に対して、35%以下が好ましく、10%以上35%以下がより好ましく、15%以上30%以下がさらに好ましい。
 繰返し単位(3)の数は、全繰返し単位の合計数(100%)に対して、35%以下が好ましく、10%以上35%以下がより好ましく、15%以上30%以下がさらに好ましい。
 繰返し単位(2)の数と繰返し単位(3)の数との割合は、[繰返し単位(2)の数]/[繰返し単位(3)の数]で表して、0.9/1~1/0.9が好ましく、0.95/1~1/0.95がより好ましく、0.98/1~1/0.98がさらに好ましい。
 本実施形態の液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)~(3)を、それぞれ2種以上有してもよい。また、液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)~(3)以外の繰返し単位を有してもよいが、その数は、全繰返し単位の合計数(100%)に対して、10%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。
 本実施形態の液晶ポリエステルは、繰返し単位(3)として、XおよびYがそれぞれ酸素原子である繰返し単位を有すること、すなわち、芳香族ジオールに由来する繰返し単位を有することが好ましく、繰返し単位(3)として、XおよびYがそれぞれ酸素原子である繰返し単位のみを有することがより好ましい。
 また、本実施形態の液晶ポリエステルとしては、流動性向上の観点から、Arが1,4-フェニレン基である繰返し単位(1)(p-ヒドロキシ安息香酸に由来する繰返し単位)、及び、Arが1,4-フェニレン基である繰返し単位(2)(テレフタル酸に由来する繰返し単位)を多く含む液晶ポリエステルも好適である。
 具体的には、本実施形態の液晶ポリエステルは、Arが1,4-フェニレン基である繰返し単位(1)、及び、Arが1,4-フェニレン基である繰返し単位(2)の合計の数が、全繰返し単位の合計数(100%)に対して、50%以上である液晶ポリエステルであってもよく、60%以上である液晶ポリエステルであってもよく、70%以上である液晶ポリエステルであってもよい。
 Arが1,4-フェニレン基である繰返し単位(1)、及び、Arが1,4-フェニレン基である繰返し単位(2)の合計の数が、上記の下限値以上であると、主鎖の対称性が高く剛直となり、かつ、流動性がより良好となる。
 また、Arが1,4-フェニレン基である繰返し単位(1)、及び、Arが1,4-フェニレン基である繰返し単位(2)の合計の数が、全繰返し単位の合計数(100%)に対して、90%以下である液晶ポリエステルであってもよく、80%以下である液晶ポリエステルであってもよい。
 Arが1,4-フェニレン基である繰返し単位(1)、及び、Arが1,4-フェニレン基である繰返し単位(2)の合計の数が、上記の上限値以下であると、該液晶ポリエステルの融点が適度となり、加工性がより良好となる。
 例えば、Arが1,4-フェニレン基である繰返し単位(1)、及び、Arが1,4-フェニレン基である繰返し単位(2)の合計の数が、全繰返し単位の合計数(100%)に対して、50%以上90%以下である液晶ポリエステルであってもよく、50%以上80%以下である液晶ポリエステルであってもよく、60%以上80%以下である液晶ポリエステルであってもよく、70%以上80%以下である液晶ポリエステルであってもよい。
 本実施形態の液晶ポリエステルは、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
 液晶ポリエステルの含有量は、樹脂組成物全量100質量%に対して、40質量%以上が好ましく、45質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
 また、液晶ポリエステルの含有量は、樹脂組成物全量100質量%に対して、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。
 例えば、液晶ポリエステルの含有量は、樹脂組成物全量100質量%に対して、40質量%以上90質量%以下が好ましく、45質量%以上85質量%以下がより好ましく、50質量%以上80質量%以下がさらに好ましい。
 <中空フィラー>
 本実施形態の樹脂組成物が含有する中空フィラーは、一般的にバルーンと呼ばれる粒子内部に空洞を有するフィラーである。
 中空フィラーの材料としては、例えば、アルミナ、シリカ、ガラス等の無機材料;尿素樹脂、フェノール樹脂等の有機材料が挙げられる。中空フィラーの材料としては、上記の中でも、無機材料が好ましい。
 無機中空フィラーとして具体的には、ガラスバルーン、シリカバルーン、アルミナバルーン等が挙げられ、その中でもガラスバルーンが好ましい。
 中空フィラーのメジアン径(D50)としては、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上がさらに好ましい。
 また、中空フィラーのメジアン径(D50)としては、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。
 中空フィラーのメジアン径(D50)が、上記の好ましい下限値以上であれば、本実施形態の樹脂組成物中で中空フィラーがより分散しやすくなる。
 また、中空フィラーのメジアン径(D50)が、上記の好ましい上限値以下であれば、本実施形態の樹脂組成物の比誘電率、及び、誘電正接をより低下させることができる。
 例えば、中空フィラーのメジアン径(D50)は、1μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上40μm以下がより好ましく、10μm以上30μm以下がさらに好ましい。
 本明細書において、中空フィラーのメジアン径(D50)は、中空フィラーを水に分散させた分散液を試料として用いてレーザー回折式粒度分布測定装置によりJIS R1629に準拠して体積基準の粒度分布を測定したときの、当該粒度分布における累積値50%の粒子径の値を意味する。レーザー回折式粒度分布測定装置として、具体的には、散乱式粒径分布測定装置「LA-950V2」(HORIBA社製)等が挙げられる。
 本実施形態の中空フィラーは、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
 中空フィラーの含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、25質量部以上であり、28質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましい。
 また、中空フィラーの含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、80質量部以下であり、70質量部以下が好ましく、65質量部以下がより好ましい。
 別の側面として、中空フィラーの含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、55質量部以下であってよく、50質量部以下であってもよい。
 中空フィラーの含有量が、上記の好ましい下限値以上であれば、本実施形態の樹脂組成物の比誘電率及び誘電正接がより低下する。
 中空フィラーの含有量が、上記の好ましい上限値以下であれば、本実施形態の樹脂組成物により作製される成形体の機械的強度をより向上させることができる。
 例えば、中空フィラーの含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、25質量部以上80質量部以下であり、28質量部以上70質量部以下が好ましく、30質量部以上65質量部以下がより好ましい。
 別の側面として、中空フィラーの含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、28質量部以上55質量部以下であってよく、30質量部以上50質量部以下であってもよい。
 中空フィラーの含有量は、樹脂組成物全量100質量%に対して、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、18質量%以上がさらに好ましい。
 また、中空フィラーの含有量は、樹脂組成物全量100質量%に対して、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、35質量%以下がさらに好ましい。
 中空フィラーの含有量が、上記の好ましい下限値以上であれば、本実施形態の樹脂組成物の比誘電率及び誘電正接がより低下する。
 中空フィラーの含有量が、上記の好ましい上限値以下であれば、本実施形態の樹脂組成物により作製される成形体の機械的強度をより向上させることができる。
 例えば、中空フィラーの含有量は、樹脂組成物全量100質量%に対して、10質量%以上50質量%以下が好ましく、15質量%以上40質量%以下がより好ましく、18質量%以上35質量%以下がさらに好ましい。
 <フッ素樹脂>
 本実施形態の樹脂組成物が含有するフッ素樹脂として、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(パーフルオロアルコキシアルカン,PFA)等が挙げられる。
 本実施形態の樹脂組成物が含有するフッ素樹脂としては、上記の中でも、ポリテトラフルオロエチレン、及び、パーフルオロアルコキシアルカンからなる群から選択される1種以上のフッ素樹脂であることが好ましい。
 フッ素樹脂の350℃、1000/secでの溶融粘度は、400Pa・s以下であることが好ましく、300Pa・s以下であることがより好ましく、260Pa・s以下であることがさらに好ましい。
 また、フッ素樹脂の350℃、1000/secでの溶融粘度は、5Pa・s以上であることが好ましく、10Pa・s以上であることがより好ましく、20Pa・s以上であることがさらに好ましい。
 フッ素樹脂の350℃、1000/secでの溶融粘度が、上記の好ましい範囲内であれば、本実施形態の樹脂組成物の比誘電率及び誘電正接がより低下する。
 例えば、フッ素樹脂の350℃、1000/secでの溶融粘度は、5Pa・s以上400Pa・s以下であることが好ましく、10Pa・s以上300Pa・s以下であることがより好ましく、20Pa・s以上260Pa・s以下であることがさらに好ましい。
 [フッ素樹脂の溶融粘度の測定方法]
 本明細書において、フッ素樹脂の350℃、1000/secでの溶融粘度は、キャピラリーレオメーター(東洋精機社製、「キャピログラフ1D」)を用いて測定される値を意味する。具体的に、フッ素樹脂の溶融粘度は、120℃で3時間乾燥させたフッ素樹脂20gを350℃に設定したシリンダーに入れ、ISO 11443に準拠し、せん断速度1000/secにおける溶融粘度を測定することで求めることができる。なお、キャピラリーはΦ1.0mm×10mmを用いる。
 本実施形態のフッ素樹脂は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
 フッ素樹脂の含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、10質量部以上60質量部以下であり、12質量部以上60質量部以下が好ましく、14質量部以上60質量部以下がより好ましい。
 別の側面として、フッ素樹脂の含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、20質量部以上35質量部以下であってもよい。
 フッ素樹脂の含有量が、上記の好ましい範囲内であれば、本実施形態の樹脂組成物の比誘電率及び誘電正接がより低下する。
 フッ素樹脂の含有量は、樹脂組成物全量100質量%に対して、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、8質量%以上がさらに好ましい。
 また、フッ素樹脂の含有量は、樹脂組成物全量100質量%に対して、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。
 フッ素樹脂の含有量が、上記の好ましい下限値以上であれば、本実施形態の樹脂組成物の比誘電率及び誘電正接がより低下する。
 フッ素樹脂の含有量が、上記の好ましい上限値以下であれば、本実施形態の樹脂組成物により作製される成形体の機械的強度をより向上させることができる。
 例えば、フッ素樹脂の含有量は、樹脂組成物全量100質量%に対して、3質量%以上40質量%以下が好ましく、5質量%以上35質量%以下がより好ましく、8質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。
 中空フィラー及びフッ素樹脂の合計の含有量は、樹脂組成物全量100質量%に対して、30質量%以上が好ましく、35質量%以上がより好ましく、38質量%以上がさらに好ましい。
 また、中空フィラー及びフッ素樹脂の合計の含有量は、樹脂組成物全量100質量%に対して、60質量%未満が好ましく、55質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。
 中空フィラー及びフッ素樹脂の合計の含有量が、上記の好ましい下限値以上であれば、本実施形態の樹脂組成物の比誘電率及び誘電正接がより低下する。
 中空フィラー及びフッ素樹脂の合計の含有量が、上記の好ましい上限値以下であれば、本実施形態の樹脂組成物により作製される成形体の機械的強度をより向上させることができる。
 例えば、中空フィラー及びフッ素樹脂の合計の含有量は、樹脂組成物全量100質量%に対して、30質量%以上60質量%未満が好ましく、35質量%以上55質量%以下がより好ましく、38質量%以上50質量%以下がさらに好ましい。
 中空フィラーの含有量と、フッ素樹脂の含有量との質量比(中空フィラーの含有量/フッ素樹脂の含有量)は、0.2~3.0であることが好ましく、0.4~2.8であることがより好ましく、0.5~2.6であることがさらに好ましい。
 中空フィラーの含有量と、フッ素樹脂の含有量との質量比が、上記の好ましい範囲内であれば、本実施形態の樹脂組成物の比誘電率及び誘電正接がより両立しやすくなる。
 例えば、中空フィラー及びフッ素樹脂の合計の含有量が30質量%以上60質量%未満であり、かつ、中空フィラーの含有量と、フッ素樹脂の含有量との質量比(中空フィラーの含有量/フッ素樹脂の含有量)が0.2~3.0であることが好ましく、中空フィラー及びフッ素樹脂の合計の含有量が35質量%以上55質量%以下であり、かつ、中空フィラーの含有量と、フッ素樹脂の含有量との質量比(中空フィラーの含有量/フッ素樹脂の含有量)が0.4~2.8であることがより好ましく、中空フィラー及びフッ素樹脂の合計の含有量が38質量%以上50質量%以下であり、かつ、中空フィラーの含有量と、フッ素樹脂の含有量との質量比(中空フィラーの含有量/フッ素樹脂の含有量)が0.5~2.6であることがさらに好ましい。
 上記の中でも、より誘電正接を低下させる観点からは、中空フィラーの含有量と、フッ素樹脂の含有量との質量比(中空フィラーの含有量/フッ素樹脂の含有量)は、1未満であることが好ましく、0.8以下であることがより好ましく、0.6以下であることがさらに好ましい。
 上記の中でも、より比誘電率を低下させる観点からは、中空フィラーの含有量と、フッ素樹脂の含有量との質量比(中空フィラーの含有量/フッ素樹脂の含有量)は、1超であることが好ましく、1.3以上であることがより好ましく、1.5以上であることがさらに好ましい。
 本実施形態の樹脂組成物において、液晶ポリエステル、中空フィラー及びフッ素樹脂の合計の含有量は、樹脂組成物全量100質量%に対して、95質量%超であることが好ましく、98質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがさらに好ましい。
 本実施形態の樹脂組成物の好適な態様としては、以下の樹脂組成物である。
 液晶ポリエステルと、中空フィラーと、フッ素樹脂とを含有し、
 液晶ポリエステル、中空フィラー及びフッ素樹脂の合計の含有量は、樹脂組成物全量100質量%に対して、好ましくは95質量%超であり、より好ましくは98質量%以上であり、さらに好ましくは99質量%以上であり、
 液晶ポリエステルの含有量は、樹脂組成物全量100質量%に対して、好ましくは40質量%以上90質量%以下であり、より好ましくは45質量%以上85質量%以下であり、さらに好ましくは50質量%以上80質量%以下であり、
 中空フィラーの含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、25質量部以上80質量部以下であり、好ましくは28質量部以上70質量部以下であり、より好ましくは30質量部以上65質量部以下であり、
 フッ素樹脂の含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、10質量部以上60質量部以下であり、好ましくは12質量部以上60質量部以下であり、より好ましくは14質量部以上60質量部以下である、樹脂組成物。
 さらに、該樹脂組成物において、中空フィラー及びフッ素樹脂の合計の含有量、及び、中空フィラーの含有量とフッ素樹脂の含有量との質量比が上記の好ましい範囲内であることが好ましい。
 <任意成分>
 本実施形態の樹脂組成物は、上述した液晶ポリエステル、中空フィラー、及び、フッ素樹脂以外の任意成分を含有してもよい。
 任意成分としては、液晶ポリエステル、及び、フッ素樹脂以外の樹脂;中空フィラー以外のフィラー;難燃剤;導電性付与材剤;結晶核剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;制振剤;抗菌剤;防虫剤;防臭剤;着色防止剤;熱安定剤;離型剤;帯電防止剤;可塑剤;滑剤;染料;発泡剤;制泡剤;粘度調整剤;界面活性剤等が挙げられる。
 ≪液晶ポリエステル及びフッ素樹脂以外の樹脂≫
 液晶ポリエステル及びフッ素樹脂以外の樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂;塩化ビニル、塩化ビニリデン酢酸ビニル、ポリビニルアルコール等のビニル系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS樹脂)等のポリスチレン系樹脂;ポリアミド6(ナイロン6)、ポリアミド66(ナイロン66)、ポリアミド11(ナイロン11)、ポリアミド12(ナイロン12)、ポリアミド46(ナイロン46)、ポリアミド610(ナイロン610)、ポリテトラメチレンテテフタルアミド(ナイロン4T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン10T)等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;変性ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニルスルホン等のポリスルホン系樹脂;直鎖型ポリフェニレンスルフィド、架橋型ポリフェニレンスルフィド、半架橋型ポリフェニレンスルフィドなどのポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン等のポリエーテルケトン;ポリカーボネート;ポリフェニレンエーテル;熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂などが挙げられる。
 本実施形態の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲においては、液晶ポリエステル及びフッ素樹脂以外の樹脂を有してもよい。
 液晶ポリエステル及びフッ素樹脂以外の樹脂の含有量は、樹脂組成物全量に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、本実施形態の樹脂組成物は、液晶ポリエステル及びフッ素樹脂以外の樹脂を有さないことが特に好ましい。
 ≪中空フィラー以外のフィラー≫
 中空フィラー以外のフィラーは、無機充填材でもよいし有機充填材でもよく、用途等に応じて適宜決定される。中でも、機械強度付与の点から、無機充填材が好適に用いられる。
 [無機充填材]
 無機充填材は、繊維状充填材であってもよいし、板状充填材であってもよいし、粒状充填材であってもよい。
 繊維状充填材の例としては、ガラス繊維;パン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維;シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維等のセラミック繊維;及びステンレス繊維等の金属繊維が挙げられる。また、チタン酸カリウムウイスカー、チタン酸バリウムウイスカー、ウォラストナイトウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、窒化ケイ素ウイスカー、炭化ケイ素ウイスカー等のウイスカーも挙げられる。
 板状充填材の例としては、タルク、マイカ、グラファイト、ウォラストナイト、ガラスフレーク、硫酸バリウム及び炭酸カルシウムが挙げられる。マイカは、白雲母であってもよいし、金雲母であってもよいし、フッ素金雲母であってもよいし、四ケイ素雲母であってもよい。
 粒状充填材の例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ガラスビーズ、窒化ホウ素、炭化ケイ素及び炭酸カルシウムが挙げられる。
 [有機充填材]
 有機充填材は、繊維状充填材であってもよいし、板状充填材であってもよいし、粒状充填材であってもよい。
 繊維状充填材としては、例えば、ポリエステル繊維、アラミド繊維、セルロース繊維などが挙げられる。粒状充填材としては、例えば、パラヒドロキシ安息香酸のホモポリマーなどの不溶不融の高分子が挙げられる。
 本実施形態の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲においては、中空フィラー以外のフィラーを有してもよい。
 中空フィラー以外のフィラーの含有量は、樹脂組成物全量に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、本実施形態の樹脂組成物は、比誘電率、及び、誘電正接をより低下させる観点から、中空フィラー以外のフィラーを有さないことが特に好ましい。
 以上説明した本実施形態の樹脂組成物は、液晶ポリエステルと、中空フィラーと、フッ素樹脂とを含有し、かつ、中空フィラーを25質量部以上80質量部以下、及び、フッ素樹脂を10質量部以上60質量部以下含有する。
 本実施形態の樹脂組成物は、中空フィラー及びフッ素樹脂の含有量が特定の範囲であることにより、液晶ポリエステルが有する化学的安定性、耐熱性、低吸水率、及び、寸法精度が高いという特長を維持しつつ、低い比誘電率、及び、誘電正接を有する。
 また、液晶ポリエステルとして、ナフタレン骨格を有する繰返し単位を含む液晶ポリエステルを含有する一実施形態の樹脂組成物においては、さらに機械的強度を高めつつ、比誘電率、及び、誘電正接をより低下させることができる。
 本実施形態の樹脂組成物は、以下の側面を有する。
 「1」液晶ポリエステルと、中空フィラーと、フッ素樹脂とを含有する樹脂組成物であって、
 前記中空フィラーの含有量は、前記樹脂組成物全量100質量%に対して、好ましくは10質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは15質量%以上40質量%以下であり、さらに好ましくは18質量%以上35質量%以下であり、
 前記フッ素樹脂の含有量は、前記樹脂組成物全量100質量%に対して、好ましくは3質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上35質量%以下であり、さらに好ましくは8質量%以上30質量%以下である、樹脂組成物。
 「2」前記液晶ポリエステル、前記中空フィラー及び前記フッ素樹脂の合計の含有量は、前記樹脂組成物全量100質量%に対して、好ましくは95質量%超であり、より好ましくは98質量%以上であり、さらに好ましくは99質量%以上である、「1」に記載の樹脂組成物。
 「3」前記中空フィラー及び前記フッ素樹脂の合計の含有量は、前記樹脂組成物全量100質量%に対して、好ましくは30質量%以上60質量%未満であり、より好ましくは35質量%以上55質量%以下であり、さらに好ましくは38質量%以上50質量%以下である、「1」又は「2」に記載の樹脂組成物。
 「4」中空フィラーの含有量と、フッ素樹脂の含有量との質量比(中空フィラーの含有量/フッ素樹脂の含有量)は、好ましくは0.2~3.0であり、より好ましくは0.4~2.8であり、さらに好ましくは0.5~2.6である、「1」~「3」のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
 「5」前記中空フィラーが、ガラスバルーンである、「1」~「4」のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
 「6」前記フッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン、及び、パーフルオロアルコキシアルカンからなる群から選択される1種以上のフッ素樹脂である、「1」~「5」のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
 「7」前記フッ素樹脂の350℃、1000/secでの溶融粘度は、好ましくは5Pa・s以上400Pa・s以下であり、より好ましくは10Pa・s以上300Pa・s以下であり、さらに好ましくは20Pa・s以上260Pa・s以下である、「1」~「6」のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
 「8」前記液晶ポリエステルは、ナフタレン骨格を有する繰返し単位を含む液晶ポリエステルであり、
 前記ナフタレン骨格を有する繰返し単位の数は、前記液晶ポリエステルの全繰返し単位の合計数に対して、好ましくは55%以上95%以下であり、より好ましくは60%以上90%以下であり、さらに好ましくは65%以上85%以下であり、特に好ましくは70%以上80%以下である、「1」~「7」のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
 「9」前記中空フィラーのメジアン径(D50)は、好ましくは1μm以上50μmであり、より好ましくは5μm以上40μm以下であり、さらに好ましくは10μm以上30μm以下である、「1」~「8」のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
 「10」「1」~「9」のいずれか一項に記載の樹脂組成物を射出成形機(日精樹脂工業社製、「PNX40-5A」)に投入し、シリンダー温度350℃、金型温度130℃、射出速度75mm/秒の条件で射出成形し、64mm×64mm×1.0mmtの各例の試験片を10枚作製し、前記試験片10枚に対して、下記条件にて1GHzにおける比誘電率を測定し、得られた比誘電率の平均値を算出した際に、比誘電率が、好ましくは2.59以下、より好ましくは2.55以下、さらに好ましくは2.54以下となる特定を有する、樹脂組成物。
 <測定条件>
 測定方法:容量法(装置:インピーダンスアナライザー、Agilent社製、型式:E4991A)
 電極型式:16453A
 測定環境:23℃、50%RH
 印加電圧:1V
 「1」~「9」のいずれか一項に記載の樹脂組成物を射出成形機(日精樹脂工業社製、「PNX40-5A」)に投入し、シリンダー温度350℃、金型温度130℃、射出速度75mm/秒の条件で射出成形し、64mm×64mm×1.0mmtの各例の試験片を10枚作製し、前記試験片10枚に対して、下記条件にて1GHzにおける誘電正接を測定し、得られた誘電正接の平均値を算出した際に、誘電正接が、好ましくは0.0037以下、より好ましくは0.0020以下、さらに好ましくは0.0018以下となる特定を有する、樹脂組成物。
 <測定条件>
 測定方法:容量法(装置:インピーダンスアナライザー、Agilent社製、型式:E4991A)
 電極型式:16453A
 測定環境:23℃、50%RH
 印加電圧:1V
 (成形体)
 本実施形態の成形体は、上述した樹脂組成物を用いて作製された成形体である。
 本実施形態の成形体は、樹脂組成物を用いて、公知の成形方法により得ることができる。本実施形態の樹脂組成物の成形方法としては、溶融成形法が好ましく、その例としては、射出成形法、Tダイ法やインフレーション法などの押出成形法、圧縮成形法、ブロー成形法、真空成形法およびプレス成形が挙げられる。中でも射出成形法が好ましい。
 例えば、上述した樹脂組成物を成形材料とし、射出成形法により成形する場合、公知の射出成形機を用いて、樹脂組成物を溶融させ、溶融した樹脂組成物を、金型内に射出することにより成形する。
 ここで、樹脂組成物を射出成形機に投入する際に、各成分を別々に射出成形機に投入してもよいし、予め一部又は全部の成分を混合し、混合物として射出成形機に投入してもよい。
 公知の射出成形機としては、例えば、株式会社ソディック製のTR450EH3、日精樹脂工業社製の油圧式横型成形機PS40E5ASE型などが挙げられる。
 射出成形の温度条件は、液晶性ポリマーの種類に応じて適宜決定され、射出成形機のシリンダー温度を、用いる液晶性ポリマーの流動開始温度より10~80℃高い温度に設定することが好ましい。
 金型の温度は、樹脂組成物の冷却速度と生産性の点から、室温(25℃)から180℃の範囲内に設定することが好ましい。
 その他射出条件として、スクリュー回転数、背圧、射出速度、保圧、保圧時間などを適宜調節すればよい。
 また、樹脂組成物を射出成形機に投入する前に、樹脂組成物を用いてペレットを作製してもよい。
 例えば、該ペレットは、2軸押出機(例えば、池貝社製、「PCM-30HS」)を用いて、フィーダーから液晶ポリエステルと、中空フィラーと、フッ素樹脂とを含有する樹脂組成物をフィードし、スクリューで溶融混練し、吐出されたストランドをカットすることで製造することができる。
 本実施形態の成形体は、一般に液晶性ポリマーが適用し得るあらゆる用途に適用可能である。
 本実施形態の成形体は、例えば、電気・電子部品;ICトレー、ウエハーキャリヤー、等の半導体製造プロセス関連部品;家庭電気製品部品;音響製品部品;通信機器部品;機械部品;自動車部品;調理用器具;建築資材、または土木建築用材料;宇宙機器用部品;放射線施設部材;海洋施設部材;浄用治具;光学機器部品;バルブ類;パイプ類;ノズル類;フィルター類;膜;医療用機器部品;医療用材料;センサー類部品;サニタリー備品;スポーツ用品;レジャー用品等が挙げられる。
 本実施形態の成形体は、比誘電率及び誘電正接が低いことから、上記の中でも、電気・電子部品、光学部品用途で用いることが好ましい。その具体例としては、IMM、DDR、CPUソケット、S/O、DIMM、Board to Boardコネクター、FPCコネクター、カードコネクター等のコネクター、ソケット、リレーケース、リレーベース、リレースプルー、リレーアーマチャー等のリレー部品、光ピックアップボビン、トランスボビン等のコイルボビン、発振子、プリント配線板、回路基板、半導体パッケージ、コンピュータ関連部品、カメラ鏡筒、光学センサー筐体、コンパクトカメラモジュール筐体(パッケージ、鏡筒)、プロジェクター光学エンジン構成部材、ICトレー、ウエハーキャリヤー等の半導体製造プロセス関連部品;VTR、テレビ、アイロン、エアコン、ステレオ、掃除機、冷蔵庫、炊飯器、照明器具等の家庭電気製品部品;ランプリフレクター、LEDリフレクター、ランプホルダー等の照明器具部品;コンパクトディスク、レーザーディスク(登録商標)、スピーカー等の音響製品部品;光ケーブル用フェルール、電話機部品、ファクシミリ部品、モデム等の通信機器部品等が挙げられる。
 本実施形態の成形体は、上記の中でも、コネクターであることが好ましい。
 以上説明した本実施形態の成形体は、上述した樹脂組成物が用いられているため、比誘電率及び誘電正接が低い。
 本実施形態の成形体は、特に電気・電子部品として有用である。また、電気・電子部品の中でも、コネクターとしてより有用である。
 以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
 [液晶ポリエステルの流動開始温度]
 まず、フローテスター(島津製作所社製、「CFT-500EX型」)を用いて、液晶ポリエステル約2gを、内径1mm及び長さ10mmのノズルを有するダイを取り付けたシリンダーに充填した。
 次に、9.8MPa(100kg/cm)の荷重下、4℃/minの速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、ノズルから押し出し、上記液晶ポリエステルが4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度(流動開始温度)を測定し、液晶ポリエステルの流動開始温度とした。
 [製造例1:液晶ポリエステル(LCP1)の製造]
 撹拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(1034.99g、5.5モル)、2,6-ナフタレンジカルボン酸(378.33g、1.75モル)、テレフタル酸(83.07g、0.5モル)、ヒドロキノン(272.52g、2.475モル、2,6-ナフタレンジカルボン酸及びテレフタル酸の合計量に対して0.225モル過剰)、無水酢酸(1226.87g、12モル)、及び触媒として1-メチルイミダゾール(0.17g)を入れ、反応器内のガスを窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下、撹拌しながら、反応器内温を室温から140℃まで15分間かけて昇温し、140℃で1時間還流させた。
 次いで、副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、145℃から310℃まで3.5時間かけて昇温し、310℃で3時間保持した後、内容物を取り出し、これを室温まで冷却した。得られた固形物を、粉砕機で粒径約0.1~1mmに粉砕後、窒素雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から310℃まで9時間かけて昇温し、310℃で5時間保持することにより、固相重合を行った。
 固相重合後、冷却して、粉末状の液晶ポリエステル(LCP1)を得た。
 LCP1の流動開始温度は322℃であった。
 [製造例2:液晶ポリエステル(LCP2)の製造]
 撹拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p-ヒドロキシ安息香酸994.5g(7.2モル)、テレフタル酸299.0g(1.8モル)、イソフタル酸99.7g(0.6モル)4,4’-ジヒドロキシビフェニル446.9g(2.4モル)、及び無水酢酸1347.6g(13.2モル)を仕込み、触媒として1-メチルイミダゾール0.2gを添加し、反応器内を十分に窒素ガスで置換した。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら、室温から150℃まで30分間かけて昇温し、同温度を保持して30分間還流させた。
 次いで、1-メチルイミダゾール0.9gを加え、副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、150℃から320℃まで2時間50分間かけて昇温し、320℃で30分間保持した後、内容物を取り出し、これを室温まで冷却した。
 得られた固形物を、粉砕機で粒径0.1~1mmに粉砕後、窒素雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から285℃まで5時間かけて昇温し、285℃で3時間保持することにより、固相重合を行った。
 固相重合後、冷却して、粉末状の液晶ポリエステル(LCP2)を得た。
 LCP2の流動開始温度は327℃であった。
 [中空フィラーの準備]
 中空フィラーとして以下に示すガラスバルーンを準備した。
 GB1:S60HS、スリーエム社製、メジアン径D50=26μm
 GB2:iM16K、スリーエム社製、メジアン径D50=21μm
 GB3:iM30K、スリーエム社製、メジアン径D50=15μm
 [フッ素樹脂の準備]
 フッ素樹脂として以下に示すフッ素樹脂を準備した。
 F1:パーフルオロアルコキシアルカン、EA2000、AGC社製
 F2:パーフルオロアルコキシアルカン、6525T Z、スリーエム社製
 F3:ポリテトラフルオロエチレン、TF9205、スリーエム社製
 F4:ポリテトラフルオロエチレン、XPP552R、スリーエム社製
 F5:ポリテトラフルオロエチレン、L169J、スリーエム社製
 [フッ素樹脂の溶融粘度の測定]
 フッ素樹脂の溶融粘度(350℃、1000/secでの溶融粘度)は、キャピラリーレオメーター(東洋精機社製、「キャピログラフ1D」)を用いて測定した。具体的には、120℃で3時間乾燥させたF1~F4を20gそれぞれ350℃に設定したシリンダーに入れ、ISO 11443に準拠し、せん断速度1000/secにおける溶融粘度を測定した。なお、キャピラリーはΦ1.0mm×10mmを用いた。
 その結果を「フッ素樹脂の溶融粘度[Pa・s]」として表1~3に示した。
 [樹脂組成物の製造例1]
 (実施例1~16、比較例1~7)
 下記表1~3に示す配合比にて、液晶ポリエステル、中空フィラー、及び、フッ素樹脂等の原料をドライブレンドすることで、実施例1~16、比較例1~7の樹脂組成物を得た。次いで、得られた各例の樹脂組成物を、二軸押出機(池貝社製、PCM-30)にて、スクリュー回転数150rpmの条件で溶融混練して、直径3mmの円形ノズル(吐出口)を経由してストランド状に吐出し、水温30℃の水浴に1.5秒くぐらせた後、引き取り速度40m/分で引き取りローラーを経て回転刃を60m/分に調整されたストランドカッター(田辺プラスチック機械社製)にてペレタイズし、実施例1~16、比較例1~7のペレットを得た。
 [引張強度の測定]
 各例のペレットを射出成形機(日精樹脂工業社製、「PNX40-5A」)に投入し、シリンダー温度350℃、金型温度130℃、射出速度75mm/秒の条件で射出成形することにより、各例のASTM4号ダンベル試験片を得た。次いで、得られた各例のASTM4号ダンベル試験片について、ASTM D638に従って引張試験を行い、引張強度を測定した。
 その結果を「引張強度[MPa]」として表1~3に示した。
 [比誘電率・誘電正接の測定]
 各例のペレットをそれぞれ射出成形機(日精樹脂工業社製、「PNX40-5A」)に投入し、シリンダー温度350℃、金型温度130℃、射出速度75mm/秒の条件で射出成形し、64mm×64mm×1.0mmtの各例の試験片をそれぞれ10枚得た。得られた試験片10枚に対して、下記条件にて1GHzにおける比誘電率及び誘電正接を測定した。得られた比誘電率及び誘電正接の平均値をそれぞれ「比誘電率」、「誘電正接」として表1~3に示した。
 <測定条件>
 測定方法:容量法(装置:インピーダンスアナライザー、Agilent社製、型式:E4991A)
 電極型式:16453A
 測定環境:23℃、50%RH
 印加電圧:1V
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 表1~3中、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。表中の数値は液晶ポリエステル100質量部に対する各原料の含有量(質量部)である。
 LCP1、LCP2:上述した液晶ポリエステルLCP1、LCP2
 GB1~GB3:上述したガラスバルーンGB1~GB3
 F1~F5:上述したフッ素樹脂F1~F5
 表1~3に示す通り、実施例の樹脂組成物を用いて作製した成形体は、比較例の樹脂組成物を用いて作製した成形体に比べて、比誘電率及び誘電正接が低いことが確認できた。
 [フッ素樹脂の溶融粘度について]
 液晶ポリエステル及び中空フィラーの種類及び含有量が同一であり、フッ素樹脂のみ異なる実施例4、7、8及び10を対比すると、350℃、1000/secでの溶融粘度が28~250Pa・sであるフッ素樹脂を含有する実施例4、7及び8の樹脂組成物を用いて作製された成形体の方が、350℃、1000/secでの溶融粘度が723Pa・sであるフッ素樹脂を含有する実施例10の樹脂組成物を用いて作製された成形体に比べて、比誘電率がより低いことが分かった。
 以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれら実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換などが可能である。本発明は前述した説明に限定されることはなく、添付のクレームの範囲にのみ限定される。

Claims (7)

  1.  液晶ポリエステルと、中空フィラーと、フッ素樹脂とを含有する樹脂組成物であって、
     前記中空フィラーの含有量は、前記液晶ポリエステル100質量部に対して、25質量部以上80質量部以下であり、
     前記フッ素樹脂の含有量は、前記液晶ポリエステル100質量部に対して、10質量部以上60質量部以下である、樹脂組成物。
  2.  前記液晶ポリエステル、前記中空フィラー及び前記フッ素樹脂の合計の含有量は、前記樹脂組成物全量100質量%に対して、95質量%超である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3.  前記中空フィラー及び前記フッ素樹脂の合計の含有量は、前記樹脂組成物全量100質量%に対して、30質量%以上60質量%未満である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4.  前記中空フィラーが、ガラスバルーンである、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  5.  前記フッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン、及び、パーフルオロアルコキシアルカンからなる群から選択される1種以上のフッ素樹脂である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  6.  前記フッ素樹脂の350℃、1000/secでの溶融粘度が、400Pa・s以下である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  7.  請求項1又は2に記載の樹脂組成物を用いて作製された成形体。
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