WO2023120668A1 - 環状オレフィン共重合体の製造方法及び触媒組成物 - Google Patents

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Abstract

ノルボルネン単量体由来の構成単位とエチレン由来の構成単位とを含む環状オレフィン共重合体の製造方法であって、少なくとも、ノルボルネン単量体とエチレンとをモノマーとして重合容器内に仕込む工程と、重合容器内のモノマーを、ホスフィンイミド基を有する触媒の存在下に重合させる工程とを含み、ホスフィンイミド基を有する触媒が、特定の構造を有する化合物からなる環状オレフィン共重合体の製造方法である。

Description

環状オレフィン共重合体の製造方法及び触媒組成物
 本発明は、環状オレフィン共重合体の製造方法及び触媒組成物に関する。
 環状オレフィン単独重合体及び環状オレフィン共重合体は、低吸湿性及び高透明性を有し、光ディスク基板、光学フィルム、光学ファイバー等の光学材料の分野をはじめ、様々な用途に使用されている。代表的な環状オレフィン共重合体として、透明樹脂として広く使用される、環状オレフィンとエチレンとの共重合体が知られている。環状オレフィンとエチレンとの共重合体は、そのガラス転移温度(Tg)を環状オレフィンとエチレンとの共重合組成に応じて変えることが可能なため、広い温度領域でガラス転移温度を調整した共重合体を製造することができる(例えば、非特許文献1を参照)。
Incoronata,Trittoら、Coordination Chemistry Reviews,2006年、第250巻、p.212-241
 しかしながら、非特許文献1に記載される方法によっては、環状オレフィンとエチレンとの共重合体を高収率で製造できない問題がある。この問題に対する対策としては、活性の高い触媒を用いて重合を行うことが考えられる。ところが、活性の高い触媒を用いて重合を行うと、ポリエチレン様の不純物が生成しやすい場合がある。環状オレフィン共重合体にポリエチレン様の不純物が含まれると、環状オレフィン共重合体を溶媒に溶解させた場合に濁りが生じる。そのため、環状オレフィン共重合体の透明性の低下が懸念される。 さらに、ポリエチレン様の不純物が生成すると、環状オレフィン共重合体を製造する一般的な製造プロセスにおいて、不溶なポリエチレン様の不純物をろ過・除去するという製造コストの増大を招くプロセスが必要である。
 本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その課題は、環状オレフィン共重合体を高収率で得ることができ、かつ、ポリエチレン様の不純物の生成が少ない、環状オレフィン共重合体の製造方法を提供することにある。
 また、本発明の別の課題は、環状オレフィンとエチレンとの共重合に対して、高活性であり、かつ、ポリエチレン様の不純物の生成を抑制することができる触媒組成物を提供することにある。
 本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、環状オレフィンとエチレンとの共重合体において、ホスフィンイミド基を有する特定の構造を有する触媒を用いることで上記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
 前記課題を解決する本発明の一態様は以下の通りである。
(1)ノルボルネン単量体由来の構成単位とエチレン由来の構成単位とを含む環状オレフィン共重合体の製造方法であって、
 少なくとも、ノルボルネン単量体とエチレンとをモノマーとして重合容器内に仕込む工程と、
 前記重合容器内の前記モノマーを、ホスフィンイミド基を有する触媒の存在下に重合させる工程と、を含み、
 前記ホスフィンイミド基を有する触媒が、下記一般式(A)で表される化合物であり、かつ、下記一般式(A)中の-(CHRで表される置換基が、以下の条件Aを満たす置換基である、環状オレフィン共重合体の製造方法。
 条件A:前記-(CHRで表される置換基がベンゼン環に結合した化合物(C-(CHR)において、前記-(CHRで表される置換基中の前記ベンゼン環に直接結合している炭素原子の電荷が-0.46以下である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
[一般式(A)中、Mは周期律表第4族遷移金属を示し、Xはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基又はハロゲン原子を示し、Ra1~Ra3は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基又は無機置換基を示し、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、及びアルキルシリル基、及びアリールシリル基から選択される1種以上を示し、nは1~5の整数を示す。]
(2)前記触媒は、チタン-エチレン-エチレンに対するエチレンの挿入活性化エネルギーが7kcal/mol以下である、前記(1)に記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
(3)前記触媒は、チタン-ノルボルネン-エチレンに対するノルボルネンの挿入活性化エネルギーが31kcal/mol以下である、前記(1)又は(2)に記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
(4)前記一般式(A)におけるRa1~Ra3が、環状又は非環状の第三級アルキル基、又は、オルト位に少なくとも1つ以上のアルキル基を有する芳香環基である、前記(1)~(3)のいずれかに記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
(5)前記一般式(A)におけるRがパーフルオロフェニル基である、前記(1)~(4)のいずれかに記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
(6)ノルボルネン単量体とエチレンとの共重合に用いられる、ホスフィンイミド基を有する触媒を含有する触媒組成物であって、
 前記ホスフィンイミド基を有する触媒が、下記一般式(A)で表される化合物であり、かつ、下記一般式(A)中の-(CHRで表される置換基が、以下の条件Aを満たす置換基である、触媒組成物。
 条件A:前記-(CHRで表される置換基がベンゼン環に結合した化合物(C-(CHR)において、前記-(CHRで表される置換基中の前記ベンゼン環に直接結合している炭素原子の電荷が-0.46以下である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
[一般式(A)中、Mは周期律表第4族遷移金属を示し、Xはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基又はハロゲン原子を示し、Ra1~Ra3は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基又は無機置換基を示し、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、及びアルキルシリル基、及びアリールシリル基から選択される1種以上を示し、nは1~5の整数を示す。]
(7)前記一般式(A)におけるRa1~Ra3が、環状又は非環状の第三級アルキル基、又は、オルト位に少なくとも1つ以上のアルキル基を有する芳香環基である、前記(6)に記載の触媒組成物。
(8)前記一般式(A)におけるRがパーフルオロフェニル基である、前記(6)又は(7)に記載の触媒組成物。
 本発明によれば、環状オレフィン共重合体を高収率で得ることができ、かつ、ポリエチレン様の不純物の生成が少ない、環状オレフィン共重合体の製造方法を提供することができる。
 また、本発明によれば、環状オレフィンとエチレンとの共重合に対して、高活性であり、かつ、ポリエチレン様の不純物の生成を抑制することができる触媒組成物を提供することができる。
<環状オレフィン共重合体の製造方法>
 本実施形態の環状オレフィン共重合体の製造方法は、ノルボルネン単量体由来の構成単位とエチレン由来の構成単位とを含む環状オレフィン共重合体の製造方法であって、少なくとも、ノルボルネン単量体とエチレンとをモノマーとして重合容器内に仕込む工程(以下、「仕込み工程」とも呼ぶ。)と、重合容器内のモノマーを、ホスフィンイミド基を有する触媒の存在下に重合させる工程(以下、「重合工程」とも呼ぶ。)と、を含む。そして、ホスフィンイミド基を有する触媒が、下記一般式(A)で表される化合物であり、かつ、下記一般式(A)中の-(CHRで表される置換基が、以下の条件Aを満たす置換基である。
 条件A:-(CHRで表される置換基がベンゼン環に結合した化合物(C-(CHR)において、-(CHRで表される置換基中のベンゼン環に直接結合している炭素原子の電荷が-0.46以下である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
[一般式(A)中、Mは周期律表第4族遷移金属を示し、Xはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基又はハロゲン原子を示し、Ra1~Ra3は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基又は無機置換基を示し、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、及びアルキルシリル基、及びアリールシリル基から選択される1種以上を示し、nは1~5の整数を示す。]
 本実施形態の環状オレフィン共重合体の製造方法においては、ノルボルネンとエチレンとの共重合に使用する触媒に特徴を有する。当該触媒は触媒活性が高いため、より少ない量で多量の環状オレフィン共重合体が得られる。また、当該触媒は活性が高いにもかかわらず、ポリエチレン様の不純物が生成し難く、透明性に優れる環状オレフィン共重合体が得られる。
 以下に各工程において詳述する。
[仕込み工程]
 仕込み工程においては、少なくとも、ノルボルネン単量体とエチレンとをモノマーとして重合容器内に仕込む。重合容器には、本実施形態の製造方法に悪影響を及ぼさない範囲で、ノルボルネン単量体、及びエチレン以外の他の単量体が仕込まれてもよい。環状オレフィン共重合体における、ノルボルネン単量体に由来する構成単位の比率と、エチレンに由来する構成単位の比率との合計は、典型的には、全構成単位に対して、80質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上がさらに好ましい。
 重合溶液へのエチレンの仕込み方法は、所望する量のエチレンを重合容器内に仕込める限り特に限定されない。典型的には、エチレンは、重合容器内でのエチレンの仕込み圧力が、0.5MPa以上であるように重合容器に仕込まれる。エチレンの仕込み圧力は、0.55MPa以上が好ましく、0.6MPa以上がより好ましい。エチレンの仕込み圧力を高くすると、生成ポリマーあたりの触媒の使用量を少なくすることができる。上限について、エチレンの仕込み圧力は、例えば、10MPa以下が好ましく、5MPa以下がより好ましく、3MPa以下がさらに好ましい。
 重合容器内には、ノルボルネン単量体及びエチレンとともに、溶媒が仕込まれてもよい。溶媒としては、重合反応を阻害しない溶媒であれば特に限定されない。溶媒の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、イソドデカン、ミネラルオイル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン(デカリン)、ベンゼン、トルエン、及びキシレン等の炭化水素溶媒や、クロロホルム、メチレンクロライド、ジクロロメタン、ジクロロエタン、及びクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒が挙げられる。
 溶媒中にノルボルネン単量体を仕込む場合の、ノルボルネン単量体の濃度は、下限については、例えば0.5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。上限については、例えば50質量%以下が好ましく、35質量%以下がさらに好ましい。
 以下、ノルボルネン単量体について詳述する。
[ノルボルネン単量体]
 ノルボルネン単量体としては、例えば、ノルボルネン及び置換ノルボルネンが挙げられ、ノルボルネンが好ましい。ノルボルネン単量体は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
 上記置換ノルボルネンは特に限定されず、この置換ノルボルネンが有する置換基としては、例えば、ハロゲン原子、1価又は2価の炭化水素基が挙げられる。置換ノルボルネンの具体例としては、下記一般式(I)で示される化合物が挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
[一般式(I)中、R~R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものであり、
 RとR10、R11とR12は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、
 R又はR10と、R11又はR12とは、互いに環を形成していてもよい。
 また、nは、0又は正の整数を示し、
 nが2以上の場合には、R~Rは、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
 ただし、n=0の場合、R~R及びR~R12の少なくとも1個は、水素原子ではない。]
 一般式(I)で示される置換ノルボルネンについて説明する。一般式(I)におけるR~R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものである。
 R~Rの具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;炭素原子数1~20のアルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
 また、R~R12の具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;炭素原子数1~20のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ナフチル基、アントリル基等の置換又は無置換の芳香族炭化水素基;ベンジル基、フェネチル基、その他アルキル基にアリール基が置換したアラルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
 RとR10、又はR11とR12とが一体化して2価の炭化水素基を形成する場合の具体例としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等のアルキリデン基等を挙げることができる。
 R又はR10と、R11又はR12とが、互いに環を形成する場合には、形成される環は単環でも多環であってもよく、架橋を有する多環であってもよく、二重結合を有する環であってもよく、またこれらの環の組み合わせからなる環であってもよい。また、これらの環はメチル基等の置換基を有していてもよい。
 一般式(I)で示される置換ノルボルネンの具体例としては、5-メチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5,5-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-エチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-ブチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-エチリデン-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-ヘキシル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-オクチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-オクタデシル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-メチリデン-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-ビニル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-プロペニル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン等の2環の環状オレフィン;
 トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ-3,7-ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ-3-エン;トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ-3,7-ジエン若しくはトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ-3,8-ジエン又はこれらの部分水素添加物(又はシクロペンタジエンとシクロヘキセンの付加物)であるトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ-3-エン;5-シクロペンチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-シクロヘキシル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-フェニル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エンといった3環の環状オレフィン;
 テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン(単にテトラシクロドデセンともいう)、8-メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-メチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-ビニルテトラシクロ[4,4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-プロペニル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エンといった4環の環状オレフィン;
 8-シクロペンチル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-シクロヘキシル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-シクロヘキセニル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-フェニル-シクロペンチル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン;テトラシクロ[7.4.13,6.01,9.02,7]テトラデカ-4,9,11,13-テトラエン(1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[8.4.14,7.01,10.03,8]ペンタデカ-5,10,12,14-テトラエン(1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a-ヘキサヒドロアントラセンともいう);ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]-4-ヘキサデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]-4-ペンタデセン、ペンタシクロ[7.4.0.02,7.13,6.110,13]-4-ペンタデセン;ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]-5-エイコセン、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.03,8.14,7.012,17.113,l6]-14-エイコセン;シクロペンタジエンの4量体等の多環の環状オレフィンを挙げることができる。
 中でも、アルキル置換ノルボルネン(例えば、1個以上のアルキル基で置換されたビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン)、アルキリデン置換ノルボルネン(例えば、1個以上のアルキリデン基で置換されたビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン)が好ましく、5-エチリデン-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン(慣用名:5-エチリデン-2-ノルボルネン、又は、単にエチリデンノルボルネン)が特に好ましい。
 ノルボルネン単量体及びエチレン以外の他の単量体は、ノルボルネン単量体及びエチレンと共重合可能である限り特に限定されない。かかる他の単量体の、典型的な例としては、α-オレフィンが挙げられる。α-オレフィンは、ハロゲン原子等の少なくとも1種の置換基で置換されていてもよい。
 α-オレフィンとしては、C3~C12のα-オレフィンが好ましい。C3~C12のα-オレフィンは特に限定されないが、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、及び1-ドデセン等が挙げられる。中でも、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンが好ましい。
[重合工程]
 重合工程においては、ホスフィンイミド基を有する特定の触媒の存在下において重合容器内のモノマーを重合させる。
 重合時の温度は特に限定されない。環状オレフィン共重合体の収率が良好であることなどから、重合時の温度は、20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましく、60℃以上がさらにより好ましく、70℃以上が特に好ましい。重合時の温度は80℃以上であってもよく、85℃以上とすることもできる。
 重合時の温度の上限は特に限定されない、重合時の温度の上限は、例えば200℃以下であってよく、140℃以下であってもよく、120℃以下であってもよい。
(ホスフィンイミド基を有する触媒)
 本実施形態の製造方法において使用する、ホスフィンイミド基を有する触媒(以下、「触媒A」とも呼ぶ。)は、下記一般式(A)で表される。そして、下記一般式(A)中の-(CHRで表される置換基が、以下の条件Aを満たす置換基である。
 条件A:-(CHRで表される置換基がベンゼン環に結合した化合物(C-(CHR)において、-(CHRで表される置換基中のベンゼン環に直接結合している炭素原子の電荷が-0.46以下である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
[一般式(A)中、Mは周期律表第4族遷移金属を示し、Xはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基又はハロゲン原子を示し、Ra1~Ra3は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基又は無機置換基を示し、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、及びアルキルシリル基、及びアリールシリル基から選択される1種以上を示し、nは1~5の整数を示す。]
 一般式(A)中、Mは周期律表第4族遷移金属を示し、具体的には、Ti、Zr、又はHfを示す。MとしてはTiが好ましい。
 一般式(A)中、Xは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又はハロゲン原子である。
 ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基については、有機置換基がヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子の種類は特に限定されない。ヘテロ原子の具体例としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、セレン原子、及びハロゲン原子等が挙げられる。
 有機置換基としては、上記一般式(A)で表される化合物の生成反応を阻害しない基であれば特に限定されない。例えば、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、炭素原子数3~20のシクロアルキル基、炭素原子数2~20の脂肪族アシル基、ベンゾイル基、α-ナフチルカルボニル基、β-ナフチルカルボニル基、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基、炭素原子数7~20のアラルキル基、炭素原子数3~20のトリアルキルシリル基、炭素原子数3~20のトリアリールシリル基、炭素原子数1~20の炭化水素基で置換されたモノ置換アミノ基、及び炭素原子数1~20の炭化水素基で置換されたジ置換アミノ基が挙げられる。
 これらの有機置換基の中では、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数3~8のシクロアルキル基、炭素原子数2~6の脂肪族アシル基、ベンゾイル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、炭素原子数3~10のトリアルキルシリル基、及び炭素原子数3~10のトリアリールシリル基が好ましい。
 有機置換基の中では、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、フェニル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基が、トリフェニルシリル基、及びトリスペンタフルオロフェニルシリル基より好ましい。
 Xとしてはハロゲン原子が好ましく、塩素原子、及び臭素原子がより好ましく、塩素原子が特に好ましい。
 一般式(A)中、Ra1~Ra3は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又は無機置換基である。また、Ra1~Ra3から選択される2つの基が相互に結合して環を形成してもよい。
 Ra1~Ra3としての、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基については、有機置換基がヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子の種類は特に限定されない。ヘテロ原子の具体例としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、セレン原子、及びハロゲン原子等が挙げられる。
 有機置換基としては、上記一般式(A)で表される化合物の生成反応を阻害しない基であれば特に限定されない。例えば、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、炭素原子数3~20のシクロアルキル基、炭素原子数2~20の脂肪族アシル基、ベンゾイル基、α-ナフチルカルボニル基、β-ナフチルカルボニル基、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基、炭素原子数7~20のアラルキル基、炭素原子数3~20のトリアルキルシリル基、炭素原子数3~20のトリアリールシリル基、炭素原子数1~20の炭化水素基で置換されたモノ置換アミノ基、及び炭素原子数1~20の炭化水素基で置換されたジ置換アミノ基が挙げられる。
 これらの有機置換基の中では、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数3~8のシクロアルキル基、炭素原子数2~6の脂肪族アシル基、ベンゾイル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、炭素原子数3~10のトリアルキルシリル基、及び炭素原子数3~10のトリアリールシリル基が好ましい。
 有機置換基の中では、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、アダマンチル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、フェニル基、o-トリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、及びトリスペンタフルオロフェニルシリル基がより好ましい。
 加えて、Ra1~Ra3としての、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基としては、下記一般式(a)で表される基であって、Ra1~Ra3が、それぞれ独立に炭素原子数1~20の炭化水素基である基も好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
 Ra1~Ra3としての、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基が、一般式(a)で表される基である場合の好ましい例としては、-N=P(Me)、-N=P(Et)、-N=P(n-Pr)、-N=P(iso-Pr)、-N=P(n-Bu)、-N=P(iso-Bu)、-N=P(sec-Bu)、-N=P(tert-Bu)、-N=P(-N=P(tert-Bu)3)Ph、及び-N=P(Ph)が挙げられる。これらの中では、-N=P(tert-Bu)、及び-N=P(iso-Pr)が好ましく、-N=P(tert-Bu)がより好ましい。なお、Meはメチル基であり、Etはエチル基であり、n-Prはn-プロピル基であり、iso-Prはiso-プロピル基であり、n-Buはn-ブチル基であり、iso-Buはイソブチル基であり、sec-Buはsec-ブチル基であり、tert-Buはtert-ブチル基であり、Phはフェニル基である。
 Ra1~Ra3としての、無機置換基としては、上記一般式(A)で表される化合物の生成反応を阻害しない基であれば特に限定されない。
 無機置換基の具体例としては、ハロゲン原子、ニトロ基、無置換のアミノ基、及びシアノ基等が挙げられる。
 一般式(A)におけるRa1~Ra3としては、環状又は非環状の第三級アルキル基、又は、オルト位に少なくとも1つ以上のアルキル基を有する芳香環基であることが好ましい。環状の第三級アルキル基としてはアダマンチル基等が挙げられ、非環状の第三級アルキル基としてはtert-ブチル基等が挙げられる。オルト位に少なくとも1つ以上のアルキル基を有する芳香環基としては、o-トリル基、メシチル基等が挙げられる。Ra1~Ra3が環状又は非環状の第三級アルキル基である場合、すべてが異なる第三級アルキル基であってもよく、3つのうちのいずれか2つが同一の第三級アルキル基であることが好ましく、いずれも同一の第三級アルキル基であることがより好ましい。
 一般式(A)中、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、アルキルシリル基、及びアリールシリル基から選択される1種以上を示す。
 Rとしてのアルキル基としては、炭素原子数1~5のアルキル基が挙げられ、炭素原子数1~4のアルキル基が好ましい。Rとしてのアルキル基としての具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられ、中でも、tert-ブチル基が好ましい。
 Rとしてのシクロアルキル基としては、炭素原子数3~20のシクロアルキル基が挙げられ、炭素原子数3~10のシクロアルキル基が好ましく、炭素原子数5~8のシクロアルキル基がより好ましい。Rとしてのシクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、中でも、シクロヘキシル基が好ましい。
 Rとしてのハロゲン化アルキル基としては、置換基として少なくとも1つのハロゲン元素を有するアルキル基であって、炭素原子数1~7のアルキル基が挙げられ、炭素原子数1~5のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~3のハロゲン化アルキル基がより好ましい。また、Rとしてのハロゲン化アルキル基中のハロゲン元素としては、フッ素、塩素が好ましい。Rとしてのハロゲン化アルキル基の具体例としては、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、トリクロロメチル基等が挙げられ、中でも、トリフルオロメチル基が好ましい。
 Rとしてのアリール基としては、炭素原子数6~20のアリール基が挙げられ、炭素原子数6~10のアリール基が好ましく、炭素原子数7~8のアリール基がより好ましい。
 Rとしてのアリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、アラルキル基、ビフェニル基等が挙げられ、中でも、フェニル基が好ましい。
 Rとしてのハロゲン化アリール基としては、上記のRとしてのアリール基に、置換基として少なくとも1つのハロゲン元素を有するアリール基であって、炭素原子数6~20のアリール基が挙げられ、炭素原子数6~10のアリール基が好ましく、炭素原子数7~8のアリール基がより好ましい。また、Rとしてのハロゲン化アリール基中のハロゲン元素としては、フッ素、塩素が好ましい。Rとしてのハロゲン化アリール基の具体例としては、4-フルオロフェニル基、2,4-ジフルオロフェニル基、2,4,6-トリフルオロフェニル基、2,3,6-トリフルオロフェニル基、パーフルオロフェニル基(-C)、パーフルオロビフェニル基、パークロロフェニル基(-CCl)等が挙げられ、中でも、パーフルオロフェニル基(-C)が好ましい。
 Rとしてのアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等のトリアルキルシリル基等が挙げられ、中でも、トリメチルシリル基が好ましい。
 Rとしてのアリールシリル基としては、トリフェニルシリル基、トリスペンタフルオロフェニルシリル基等のトリアリールシリル基等が挙げられ、中でも、トリフェニルシリル基が好ましい。
 これらのRの中では、水素原子、アルキル基中の炭素原子数が多いもの(炭素原子数:3~12)、又はフッ素原子を含むものが好ましい。例えば、水素原子、tert-ブチル基、フェニル基、パーフルオロフェニル基(-C)、トリメチルシリル基が特に好ましい。
 一般式(A)中、nは1~5の整数を示し、1~3が好ましい。
 一般式(A)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本実施形態においては以下の化合物に限定されるものではない。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000010
 一方、触媒Aは、一般式(A)において、-(CHRで表される置換基は、以下の条件Aを満たす置換基である。
 条件A:-(CHRで表される置換基がベンゼン環に結合した化合物(C-(CHR)とした場合、-(CHRで表される置換基においてベンゼン環に直接結合している炭素原子の電荷が-0.46以下である。当該炭素原子の電荷が-0.46を超えると、触媒としての活性が低下する。当該電荷は、-0.47以下が好ましく、-0.48以下がより好ましく、-0.49以下がさらに好ましく、-0.50以下がさらにより好ましく、-0.60以下が特に好ましい。また、炭素原子の電荷の下限は-0.70であることが好ましい。
 なお、前記炭素原子の電荷は、次のようにして算出することができる。すなわち、-(CHRで表される置換基がベンゼン環に結合した化合物であるC-(CHRに対する量子化学計算を、自然結合軌道解析としてM11と呼ばれるDFT理論と、cc-pvdzと呼ばれる基底関数とを用いて実施する。得られた分子軌道に対して、自然結合軌道解析を実施し、ベンゼン環と結合している炭素原子(C)の原子電荷(電気素量(e))を算出する。
 一般式(A)における-(CHRで表される置換基がベンゼン環に結合した化合物(C-(CHR)において、-(CHRで表される置換基中のベンゼン環に直接結合している炭素原子の電荷、すなわち条件Aに係る炭素原子の電荷を以下に示す。
 -CH-C:-0.49
 -CHCH-C:-0.46
 -CHCH-C:-0.46
 -CHCH-C(CH:-0.47
 -CHCH-Si(CH:-0.47
 -CH-C:-0.48
 -CH:-0.68
 ただし、上記において、-Cはパーフルオロフェニル基である。
 触媒Aは、活性向上の観点から、チタン-エチレン-エチレンに対するエチレンの挿入活性化エネルギーが7kcal/mol以下であることが好ましく、0.8~6.9kcal/molであることがより好ましい。同様に、触媒Aは、チタン-ノルボルネン-エチレンに対するノルボルネンの挿入活性化エネルギーが31kcal/mol以下であることが好ましく、17~30kcal/molであることがより好ましい。
 以上の活性化エネルギーは、量子化学計算Gaussianにより、M11と呼ばれるDFT理論と、cc-pvdzと呼ばれる基底関数とを用いて、反応性に対する解析を実施し、重合反応における活性化エンタルピーを算出することにより得られる。
 触媒A(一般式(A)で表される化合物)は、未活性化状態であるとノルボルネンと接触した場合に粘稠性物質を生じることがある。粘稠性物質の生成は、触媒Aが水で分解してHClが生じ、そのHClによりノルボルネンのカチオン重合が進行することに起因すると推察される。そして、そのような粘稠性物質の生成は、一般式(A)におけるRがフッ素を1つでも含むことで抑制することができる。すなわち、一般式(A)におけるRのフッ素の数が多いほど撥水性が高く、HClの生成が抑えられ、粘稠性物質の生成が抑制されるためである。従って、一般式(A)におけるRがフッ素を1つ以上含むことが好ましい。具体的には、一般式(A)におけるRにおけるフッ素が、sp炭素に結合していること(例えば、-(CH-C)、又は同一の炭素に3つのフッ素が結合していること(例えば、-(CH-CF)が好ましい。中でも、合成の容易性から、sp炭素に結合していること(例えば、-(CH-C)が特に好ましい。ただし、フッ素が多すぎると電子吸引性が大きくなり触媒Aが不安定になることが懸念されるため、粘稠性物質の抑制と、触媒Aの安定性とのバランスを考慮することが好ましい。なお、sp炭素とはsp混成軌道を形成する炭素原子である。
 触媒Aである一般式(A)で表される化合物は、Douglas W.Stephanら Organometallics 1999, 18, 1116-1118.を参照して製造することができる。
 モノマーの重合は、触媒Aと助触媒との存在下に行われるのが好ましい。助触媒としては、一般的にオレフィンの重合において助触媒として使用されている化合物を特に限定なく用いることができる。助触媒の好適な例としては、アルミノキサン、及びイオン化合物が挙げられる。重合反応が良好に進行しやすい点から、モノマーの重合は、特に、アルミノキサン、及びイオン化合物としてのボレート化合物の少なくとも一方を助触媒として用いて行われるのが好ましい。なお、助触媒の詳細については後述する。
 本実施形態において、重合工程においては、以上の触媒A(及び、必要に応じて後述する助触媒)を用いてノルボルネン単量体とエチレンとを共重合するのであるが、詳細については、以下に説明する触媒組成物と一緒に説明する。
<触媒組成物>
 本実施形態の触媒組成物は、ノルボルネン単量体とエチレンとの共重合に用いられる、ホスフィンイミド基を有する触媒を含有する触媒組成物である。そして、ホスフィンイミド基を有する触媒が、下記一般式(A)で表される化合物であり、かつ、下記一般式(A)中の-(CHRで表される置換基が、以下の条件Aを満たす置換基である。
 条件A:-(CHRで表される置換基がベンゼン環に結合した化合物(C-(CHR)において、-(CHRで表される置換基中のベンゼン環に直接結合している炭素原子の電荷が-0.46以下である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000011
[一般式(A)中、Mは周期律表第4族遷移金属を示し、Xはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基又はハロゲン原子を示し、Ra1~Ra3は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基又は無機置換基を示し、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、アルキルシリル基、及びアリールシリル基から選択される1種以上を示し、nは1~5の整数を示す。]
 本実施形態の触媒組成物における触媒は、既述の本実施形態の製造方法において説明した触媒Aと同じである。すなわち、本実施形態の触媒組成物は触媒Aを含有する。従って、本実施形態の触媒組成物における触媒の説明は、既述の触媒Aの説明がそのまま当てはまるため、ここでは説明を省略し、以下においては触媒以外の成分を中心に説明する。
 本実施形態の触媒組成物は、触媒A以外に、助触媒を含有することが好ましい。助触媒としては、アルミノキサン及び/又はイオン化合物を用いることが好ましい。
 ここで、イオン化合物は、含金属触媒との反応によりカチオン性遷移金属化合物を生成させる化合物である。
 本実施形態の触媒組成物は、触媒Aの溶液を用いて調製されるのが好ましい。触媒Aの溶液に含まれる溶媒は、特に限定されない。好ましい溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、イソドデカン、ミネラルオイル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン(デカリン)、ミネラルオイル、ベンゼン、トルエン、及びキシレン等の炭化水素溶媒や、クロロホルム、メチレンクロライド、ジクロロメタン、ジクロロエタン、及びクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒が挙げられる。
 溶媒の使用量は、所望する性能の触媒組成物を製造できる限り特に限定されない。典型的には、触媒A、アルミノキサン、及びイオン化合物の濃度が、好ましくは0.00000001~100mol/L、より好ましくは0.00000005~50mol/L、特に好ましくは0.0000001~20mol/Lである量の溶媒が使用される。
 触媒組成物の原料を含む液を混合する際、触媒A中の遷移金属Mのモル数をMとし、アルミノキサン中のアルミニウムのモル数をMb1とし、イオン化合物のモル数をMb2とする場合において、(Mb1+Mb2)/Mの値が、好ましくは1~200000、より好ましくは5~100000、特に好ましくは10~80000であるように、触媒組成物の原料を含む液が混合されるのが好ましい。
 触媒組成物の原料を含む液を混合する温度は特に限定されないが、-100~100℃が好ましく、-50~50℃がより好ましい。
 触媒組成物を調製するための触媒Aの溶液と、アルミノキサン、及び/又はイオン化合物との混合は、重合前に、重合容器とは別の装置内で行われてもよく、重合容器において、重合前、又は重合中に行われてもよい。
 以下、触媒組成物の調製に使用される材料や、触媒組成物の調製条件について説明する。
[アルミノキサン]
 アルミノキサンとしては、従来より種々のオレフィンの重合において助触媒等として使用されている種々のアルミノキサンを特に制限なく用いることができる。典型的には、アルミノキサンは有機アルミノキサンである。
 触媒組成物の製造に際して、アルミノキサンは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 アルミノキサンとしては、アルキルアルミノキサンが好ましく用いられる。アルキルアルミノキサンとしては、例えば、下記式(b1-1)又は(b1-2)で表される化合物が挙げられる。下記式(b1-1)又は(b1-2)で表されるアルキルアルミノキサンは、トリアルキルアルミニウムと水との反応により得られる生成物である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000012
[式(b1-1)及び式(b1-2)中、Rは炭素原子数1~4のアルキル基、nは0~40、好ましくは2~30の整数を示す。]
 アルキルアルミノキサンとしては、メチルアルミノキサン及びメチルアルミノキサンのメチル基の一部を他のアルキル基で置換した修飾メチルアルミノキサンが挙げられる。修飾メチルアルミノキサンとしては、例えば、置換後のアルキル基として、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等の炭素原子数2~4のアルキル基を有する修飾メチルアルミノキサンが好ましく、特に、メチル基の一部をイソブチル基で置換した修飾メチルアルミノキサンがより好ましい。アルキルアルミノキサンの具体例としては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、メチルエチルアルミノキサン、メチルブチルアルミノキサン、メチルイソブチルアルミノキサン等が挙げられ、中でも、メチルアルミノキサン及びメチルイソブチルアルミノキサンが好ましい。
 アルキルアルミノキサンは、公知の方法で調製することができる。また、アルキルアルミノキサンとしては、市販品を用いてもよい。アルキルアルミノキサンの市販品としては、例えば、MMAO-3A、TMAO-200シリーズ、TMAO-340シリーズ、固体MAO(いずれも東ソー・ファインケム(株)製)やメチルアルミノキサン溶液(アルベマール社製)等が挙げられる。ポリエチレン様の不純物の生成を抑制しやすい点から、固体MAO以外のアルキルアルミノキサンを用いることがより好ましい。
[イオン化合物]
 イオン化合物は、触媒Aとの反応によりカチオン性遷移金属化合物を生成する化合物である。
 かかるイオン化合物としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのアニオン、ジメチルフェニルアンモニウムカチオン((CHN(C)H)のような活性プロトンを有するアミンカチオン、(Cのような三置換カルボニウムカチオン、カルボランカチオン、メタルカルボランカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオン等のイオンを含むイオン性化合物を用いることができる。
 イオン化合物の好適な例としては、ボレートが挙げられる。ボレートの好ましい具体例としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)トリチルボレート、ジメチルフェニルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、及びN,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N-メチルジノルマルデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のN-メチルジアルキルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
 次いで、本実施形態の製造方法において、触媒A又は本実施形態の触媒組成物を用いてノルボルネン単量体とエチレンとを共重合する工程について説明する。
 環状オレフィン共重合体を良好な収率で製造しやすい点から、重合容器内には、含金属触媒、又は含金属触媒を含む触媒組成物を加える前に、アルミノキサン、アルキルアルミニウム化合物から選択される1種以上を存在させるのが好ましい。
 アルミノキサンについては、上述の通りである。
 アルキルアルミニウム化合物としては、オレフィン類の重合等に従来より用いられている化合物を特に限定なく使用できる。アルキルアルミニウム化合物としては、例えば、下記一般式(II)で示される化合物が挙げられる。
(R10AlX3-z (II)
(一般式(II)中、R10は炭素原子数が1~15、好ましくは1~8のアルキル基であり、Xはハロゲン原子又は水素原子であり、zは1~3の整数である。)
 炭素原子数が1~15のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、n-オクチル基等が挙げられる。
 アルキルアルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-sec-ブチルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド;ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド;ジメチルアルミニウムメトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシドが挙げられる。
 触媒A又は触媒Aを含む触媒組成物を加える前に、重合容器内にアルミノキサンを加える場合の使用量は、遷移金属化合物1モルに対するアルミノキサン中のアルミニウムのモル数として、1~1000000モルが好ましく、10~100000モルがより好ましい。
 触媒A又は触媒Aを含む触媒組成物を加える前に、重合容器内にアルキルアルミニウム化合物を加える場合の使用量は、遷移金属化合物1モルに対するアルミニウムのモル数として、1~500000モルが好ましく、10~50000モルがより好ましい。
 重合条件は、所望する物性の環状オレフィン共重合体が得られる条件であれば、特に限定されず、公知の条件を用いることができる。
 触媒Aの使用量は、その調製に用いられる遷移金属化合物の使用量から導出される。触媒組成物の使用量は、その調製に用いられた遷移金属化合物の質量として、ノルボルネン単量体1モルに対し、0.000000001~0.005モルが好ましく、0.00000001~0.0005モルがより好ましい。
 重合時間は特に限定されず、所望する収率に達するか、重合体の分子量が所望する程度に上昇するまで重合が行われる。
 重合時間は、温度や、触媒組成物の組成や、単量体組成によっても異なるが、典型的には0.01時間~120時間であり、0.1時間~80時間が好ましく、0.2時間~10時間がより好ましい。
 触媒A又は触媒組成物の少なくとも一部、好ましくは全部は、重合容器に連続的に添加されるのが好ましい。
 触媒A又は触媒組成物を連続的に添加することにより、環状オレフィン共重合体の連続製造が可能になり、環状オレフィン共重合体の製造コストを低減させることが可能になる。
 以上説明した方法によれば、ノルボルネン単量体と、エチレンとを含むモノマーを共重合させて、ポリエチレン様の不純物の生成を抑制しつつ、環状オレフィン共重合体を効率良く製造できる。
 得られる環状オレフィン共重合体のガラス転移温度は特に限定されないが、加工性の観点から、例えば185℃以下が好ましく、160℃以下がより好ましく、130℃以下がさらに好ましく、120℃以下がさらにより好ましく、100℃以下が特に好ましい。
 また、上記の方法により製造される環状オレフィン共重合体の試料を、JIS K7121に記載の方法に従って、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/分の条件で示差走査熱量計(DSC)により測定した場合、得られたDSC曲線が、ポリエチレン様の不純物に由来する融点(融解エンタルピー)のピークを有さないことが好ましい。このことは、環状オレフィン共重合体中のポリエチレン様の不純物が存在しないか極めて少ないことを意味する。なお、環状オレフィン共重合体中にポリエチレン様の不純物が含まれている場合、DSC曲線上のポリエチレン様の不純物に由来する融点のピークは、一般的に100℃~140℃の範囲内に検出される。
 以下に、実施例により本実施形態をさらに具体的に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1~5、比較例1~2]
 よく乾燥させた、撹拌子を含む150mLステンレス製オートクレーブに、デカヒドロナフタレン(デカリン)及び表1に記載の量(75~185mmol)の2-ノルボルネンを加えた。
 次いで、トリイソブチルアルミニウム(東ソー・ファインケム(株)製)を250μmol加えた後、オートクレーブを90℃になるまで加熱した。トルエンを用いて調製した表1に記載の触媒種の触媒溶液を、触媒量が0.5μmolとなるように加えた後、デカリンを用いて調製したN-メチルジアルキルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(アルキル:C14~C18(平均:C17.5)(東ソー・ファインケム(株)製)の溶液を、N-メチルジアルキルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの量が1.5μmolになるように加えた。次いでゲージ圧0.9MPaのエチレン圧をかけた後、30秒後を重合開始点とした。
 なお、エチレン圧をかける直前のモノマー溶液の全量は、80mLとした。
 重合開始から15分後、エチレン供給を停止し、注意深く圧力を常圧に戻した後、反応溶液中にイソプロピルアルコールを加えて反応を停止させた。その後、アセトン300mL、メタノール又はイソプロピルアルコール200mL、塩酸5mLの混合溶媒に重合溶液を投入して共重合体を沈殿化させた。共重合体を吸引濾過にて回収し、アセトン、メタノールで洗浄後、共重合体を110℃で12時間真空乾燥を行い、ノルボルネンとエチレンとの共重合体を得た。
 なお、表1において、例示化合物1~5は、上述の一般式(A)で表される化合物の具体例で示した例示化合物1~5に相当する。また、比較化合物1~2の構造は以下に示す通りである。さらに、「炭素原子の電荷」とは、触媒の-(CHRで表される置換基がベンゼン環に結合した化合物(C-(CHR)に対して計算した、当該ベンゼン環に直接結合している炭素原子の電荷を示す。ただし、-(CHRで表される置換基を含まない比較化合物1及び比較化合物2については、同様に、シクロペンタジエン環に結合した置換基がベンゼン環に結合した化合物として、C-C(CH又はC-Si(CHについて、ベンゼン環に直接結合している炭素原子又はケイ素原子の電荷として計算した。表1において、Ti-E-E活性化エネルギーは、チタン-エチレン-エチレンに対するエチレンの挿入活性化エネルギーを示し、Ti-N-E活性化エネルギーは、チタン-ノルボルネン-エチレンに対するノルボルネンの挿入活性化エネルギーを示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000013
[評価]
(1)環状オレフィン共重合体の収量
 各実施例・比較例において、触媒の使用量と、共重合体の収量とから算出される、触媒1g当たりの共重合体収量(kg)を算出した。算出結果を表1に示す。
(2)ガラス転移温度(Tg)の測定
 各実施例・比較例で得られた環状オレフィン共重合体のガラス転移温度を、DSC法(JIS K7121記載の方法)によって、示差走査熱量分析装置(TA Instrument社製、示差走査熱量計(DSC-Q1000))にて、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/分の条件で測定した。測定結果を表1に示す。
(3)不純物熱分析
 ガラス転移温度の測定により得られたDSC曲線において、100~140℃の範囲内に観察されるポリエチレン様の不純物に由来する融点のピーク面積から発熱量(mJ/mg)を算出した。算出された発熱量が大きいほど、ポリエチレン様の不純物の含有量が多い。
 なお、表1中の不検出は、DSC曲線上においてポリエチレン様の不純物に由来する融点のピークが検出されないことを示す。
(4)濁り試験
 各実施例・比較例で得られた環状オレフィン共重合体0.1gを、トルエン10gに溶解させた後、溶液における濁りの有無を観察した。濁りが認められなかった場合を「良好」、濁りが認められた場合を「不良」と評価した。評価結果を表1に示す。
(5)粘稠性物質の生成
 各実施例・比較例において使用した触媒1μmolに対し、ノルボルネンのデカリン溶液(濃度:35質量%)を3mL加え、ゲル状物質(粘稠性物質)が生成するか否かを目視観察した。ゲル状物質が生成されなかった場合を「なし」、生成された場合を「あり」と評価した。評価結果を表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000014
 表1より、実施例1~5においては、比較例1~2と比較して収量が大きく、触媒の活性が高かったことが分かる。また、実施例1~5は、不純物熱分析で不純物が検出されず、また、濁り試験においてもポリマー溶液は濁りを示さず、ポリエチレン様の不純物の生成が抑制されていることが分かる。
 一方、各実施例で使用した触媒に対してノルボルネンのデカリン溶液を加えた場合、実施例1、2及び5においては粘稠性物質が生じなかったのに対し、実施例3及び4においては粘稠性物質が生じた。これらの比較から、一般式(A)におけるRがフッ素を有すると粘稠性物質の生成が抑制されることが分かる。

Claims (8)

  1.  ノルボルネン単量体由来の構成単位とエチレン由来の構成単位とを含む環状オレフィン共重合体の製造方法であって、
     少なくとも、ノルボルネン単量体とエチレンとをモノマーとして重合容器内に仕込む工程と、
     前記重合容器内の前記モノマーを、ホスフィンイミド基を有する触媒の存在下に重合させる工程と、を含み、
     前記ホスフィンイミド基を有する触媒が、下記一般式(A)で表される化合物であり、かつ、下記一般式(A)中の-(CHRで表される置換基が、以下の条件Aを満たす置換基である、環状オレフィン共重合体の製造方法。
     条件A:前記-(CHRで表される置換基がベンゼン環に結合した化合物(C-(CHR)において、前記-(CHRで表される置換基中の前記ベンゼン環に直接結合している炭素原子の電荷が-0.46以下である。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
    [一般式(A)中、Mは周期律表第4族遷移金属を示し、Xはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基又はハロゲン原子を示し、Ra1~Ra3は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基又は無機置換基を示し、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、アルキルシリル基、及びアリールシリル基から選択される1種以上を示し、nは1~5の整数を示す。]
  2.  前記触媒は、チタン-エチレン-エチレンに対するエチレンの挿入活性化エネルギーが7kcal/mol以下である、請求項1に記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
  3.  前記触媒は、チタン-ノルボルネン-エチレンに対するノルボルネンの挿入活性化エネルギーが31kcal/mol以下である、請求項1又は2に記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
  4.  前記一般式(A)におけるRa1~Ra3が、環状又は非環状の第三級アルキル基、又は、オルト位に少なくとも1つ以上のアルキル基を有する芳香環基である、請求項1~3のいずれか1項に記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
  5.  前記一般式(A)におけるRがパーフルオロフェニル基である、請求項1~4のいずれか1項に記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
  6.  ノルボルネン単量体とエチレンとの共重合に用いられる、ホスフィンイミド基を有する触媒を含有する触媒組成物であって、
     前記ホスフィンイミド基を有する触媒が、下記一般式(A)で表される化合物であり、かつ、下記一般式(A)中の-(CHRで表される置換基が、以下の条件Aを満たす置換基である、触媒組成物。
     条件A:前記-(CHRで表される置換基がベンゼン環に結合した化合物(C-(CHR)において、前記-(CHRで表される置換基中の前記ベンゼン環に直接結合している炭素原子の電荷が-0.46以下である。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
    [一般式(A)中、Mは周期律表第4族遷移金属を示し、Xはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基又はハロゲン原子を示し、Ra1~Ra3は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基又は無機置換基を示し、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、及びアルキルシリル基、及びアリールシリル基から選択される1種以上を示し、nは1~5の整数を示す。]
  7.  前記一般式(A)におけるRa1~Ra3が、環状又は非環状の第三級アルキル基、又は、オルト位に少なくとも1つ以上のアルキル基を有する芳香環基である、請求項6に記載の触媒組成物。
  8.  前記一般式(A)におけるRがパーフルオロフェニル基である、請求項6又は7に記載の触媒組成物。
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