JP7073467B2 - 環状オレフィン共重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ノルボルネン単量体由来の構成単位とエチレン由来の構成単位とを含む環状オレフィン共重合体の製造方法に関する。
環状オレフィン単独重合体及び環状オレフィン共重合体は、低吸湿性及び高透明性を有し、光ディスク基板、光学フィルム、光学ファイバー等の光学材料の分野をはじめ、様々な用途に使用されている。
代表的な環状オレフィン共重合体として、透明樹脂として広く使用される、環状オレフィンとエチレンとの共重合体がある。環状オレフィンとエチレンとの共重合体は、そのガラス転移温度を環状オレフィンとエチレンとの共重合組成に応じて変えることが可能なため、広い温度領域でガラス転移温度(Tg)を調整した共重合体を製造することができる(例えば、非特許文献1を参照)。
Incoronata,Trittoら、Coordination Chemistry Reviews,2006年、第250巻、p.212-241
しかしながら、非特許文献1に記載される方法によっては、環状オレフィンとエチレンとの共重合体を高収率で製造できない問題がある。この問題に対する対策としては、活性の高い触媒を用いて重合を行うことが考えられる。
しかしながら、環状オレフィン共重合体の製造効率を高める目的で、活性の高い触媒を用いて重合を行うと、ポリエチレン様の不純物が生成しやすい場合がある。環状オレフィン共重合体にポリエチレン様の不純物が含まれると、環状オレフィン共重合体を溶媒に溶解させた場合に濁りが生じる。このような現象からも理解できる通り、環状オレフィン共重合体にポリエチレン様の不純物が含まれると、環状オレフィン共重合体の透明性の低下が懸念される。さらに、ポリエチレン様の不純物が生成すると、環状オレフィン共重合体を製造する一般的な製造プロセスにおいて、不溶なポリエチレン様の不純物をろ過・除去するという製造コストの増大を招くプロセスが必要である。
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、ポリエチレン様の不純物の生成を抑制しつつ、ノルボルネン単量体と、エチレンとを含むモノマーを共重合させて環状オレフィン共重合体を効率良く製造できる、環状オレフィン共重合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ノルボルネン単量体と、エチレンとを含むモノマーを、特定の構造の含金属触媒と、ハロゲン化炭化水素を含む有機溶媒との存在下に重合させることにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1)ノルボルネン単量体由来の構成単位とエチレン由来の構成単位とを含む環状オレフィン共重合体の製造方法であって、
少なくとも、ノルボルネン単量体と、エチレンとをモノマーとして重合容器内に仕込むことと、
重合容器内のモノマーを、含金属触媒と、有機溶媒との存在下に重合させることと、を含み、
有機溶媒が、ハロゲン化炭化水素を含み、
含金属触媒が、下記式(a1):
Figure 0007073467000001
(式(a1)中、Mは、Ti、Zr、又はHfであり、Xは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又はハロゲン原子であり、Lは下記式(a1a)又は下記式(a1b):
Figure 0007073467000002
で表される基であり、
が式(a1a)で表される基である場合、Lは、式(a1b)、下記式(a1c)、又は下記式(a1d):
Figure 0007073467000003
で表される基であり、
が式(a1b)で表される基である場合、Lは、式(a1b)で表される基であり、
式(a1a)中、Ra1~Ra5は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又は無機置換基であり、Ra1~Ra5のうちの5員環上で隣接する2つの基は相互に結合して環を形成してもよく、
式(a1b)中、Ra6~Ra8は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又は無機置換基であり、Ra6~Ra8から選択される2つの基が相互に結合して環を形成してもよく、
式(a1c)中、Ra9~Ra11は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又は無機置換基であり、n1は0~3の整数であり、
式(a1d)中、Ra12、及びRa13は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又は無機置換基であり、Ra12、及びRa13の2つの基は相互に結合して環を形成してもよい。)
で表される含金属化合物である、環状オレフィン共重合体の製造方法。
(2)有機溶媒中の、ハロゲン化炭化水素の含有量が、20℃における体積比率として、0.01体積%以上5体積%以下である、(1)に記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
(3)有機溶媒が、炭化水素溶媒と、ハロゲン化炭化水素とからなる、(1)又は(2)に記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
(4)ハロゲン化炭化水素の25℃における比誘電率が6以上である、(1)~(3)のいずれか1つに記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
(5)式(a1)において、Lが式(a1a)で表される基であり、Lが式(a1b)で表される基、又は式(a1d)で表される基であるか、又はL及びLが、ともに式(a1b)で表される基である、(1)~(4)のいずれか1つに記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
(6)式(a1)において、MがTiである、(1)~(5)のいずれか1つに記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
(7)モノマーを、含金属触媒と、アルミノキサンとの存在下に重合させる、(1)~(6)のいずれか1つに記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
(8)環状オレフィン共重合体の試料を、JIS K7121に記載の方法に従って、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/分の条件で示差走査熱量計による測定を行って得られたDSC曲線が、100℃~140℃の範囲内にポリエチレン様の不純物に由来する融点のピークを有さない、(1)~(7)のいずれか1つに記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
本発明によれば、ポリエチレン様の不純物の生成を抑制しつつ、ノルボルネン単量体と、エチレンとを含むモノマーを共重合させて環状オレフィン共重合体を効率良く製造できる、環状オレフィン共重合体の製造方法を提供することができる。
≪環状オレフィン共重合体の製造方法≫
環状オレフィン共重合体の製造方法では、ノルボルネン単量体由来の構成単位とエチレン由来の構成単位とを含む環状オレフィン共重合体を製造する。
当該製造方法は、
少なくとも、ノルボルネン単量体と、エチレンとをモノマーとして重合容器内に仕込むことと、
重合容器内のモノマーを、含金属触媒と、有機溶媒との存在下に重合させることと、を含む。有機溶媒は、ハロゲン化炭化水素を含む。
以下、ノルボルネン単量体と、エチレンとをモノマーとして重合容器内に仕込むことを仕込み工程とも称する。また、重合容器内のモノマーを、含金属触媒と、有機溶媒との存在下に重合させることを重合工程とも称する。
重合容器内のモノマーは、後述する所定の構造の含金属触媒と、有機溶媒との存在下に重合される。有機溶媒は、ハロゲン化炭化水素を含む。ノルボルネン単量体と、エチレンとの共重合において、後述する所定の構造の含金属触媒と、ハロゲン化炭化水素を含む有機溶媒とを組み合わせて用いることにより、触媒の単位重量当たりの環状オレフィン共重合体の収量を高めることができる。
また、一般的に、エチレンと、ノルボルネン単量体とを、高活性な触媒の存在下に共重合させる場合、エチレン同士の重合が進行しやすく、ポリエチレン様の不純物が生成しやすい。
しかし、エチレンと、ノルボルネン単量体とを重合する際に、後述する所定の構造の含金属触媒と、ハロゲン化炭化水素を含む有機溶媒とを組み合わせて用いると、ポリエチレン様の不純物の生成を抑制しつつ環状オレフィン共重合体を良好な収率で製造しやすい。
<仕込み工程>
仕込み工程では、ノルボルネン単量体と、エチレンとをモノマーとして重合容器内に仕込む。重合容器には、本発明の目的を阻害しない範囲で、ノルボルネン単量体、及びエチレン以外の他の単量体が仕込まれてもよい。環状オレフィン共重合体における、ノルボルネン単量体に由来する構成単位の比率と、エチレンに由来する構成単位の比率との合計は、典型的には、全構成単位に対して、80質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく。98質量%以上がさらに好ましい。
ノルボルネン単量体、及びエチレン以外の他の単量体は、ノルボルネン単量体、及びエチレンと共重合可能である限り特に限定されない。かかる他の単量体の、典型的な例としては、α-オレフィンが挙げられる。α-オレフィンは、ハロゲン原子等の少なくとも1種の置換基で置換されていてもよい。
α-オレフィンとしては、C3~C12のα-オレフィンが好ましい。C3~C12のα-オレフィンは特に限定されないが、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、及び1-ドデセン等が挙げられる。中でも、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンが好ましい。
重合溶液へのエチレンの仕込み方は、所望する量のエチレンを重合容器内に仕込める限り特に限定されない。典型的には、エチレンは、重合容器内でのエチレンの仕込み圧力が、0.5MPa以上であるように重合容器に仕込まれる。エチレンの仕込み圧力は、0.55MPa以上が好ましく、0.6MPa以上がより好ましい。エチレンの仕込み圧力を高くすると、生成ポリマーあたりの触媒の使用量を少なくすることができる。上限について、エチレンの仕込み圧力は、例えば、10MPa以下が好ましく、5MPa以下がより好ましく、3MPa以下がさらに好ましい。
重合容器内には、ノルボルネン単量体、及びエチレンとともに、有機溶媒が仕込まれる。有機溶媒としては、ハロゲン化炭化水素を含む限り特に限定されない。ハロゲン化炭化水素とは、炭化水素化合物が有する水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された化合物である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子が好ましく、塩素原子、及び臭素原子がより好ましく、塩素原子が特に好ましい。
なお、ハロゲン化炭化水素は、重合溶媒、又は重合溶媒の一部として重合容器に仕込まれてもよく、後述する触媒組成物として重合容器に仕込まれてもよい。
ハロゲン化炭化水素は、大気圧下において重合温度において液体であるのが好ましく、20℃において液体であるのがより好ましい。ハロゲン化炭化水素は、20℃程度の室温付近の温度において、必ずしも液状である必要はない。
触媒の活性を高める観点から、ハロゲン化炭化水素は、分子中に水酸基等の極性基を有さないことが好ましい。
また、ハロゲン化炭化水素は、触媒の活性を高める観点から、高い比誘電率を有することが好ましい。ハロゲン化炭化水素の25℃における比誘電率は、好ましくは2以上であり、より好ましくは6以上であり、さらに好ましくは8以上である。
所定の構造の含金属触媒と、ハロゲン化炭化水素を含む有機溶媒とを組み合わせて用いることにより、触媒の単位重量当たりの環状オレフィン共重合体の収量を高めることができるメカニズムは、ハロゲン化炭化水素が、カチオン性の触媒活性種の溶解性を高め、重合系内の有効な触媒濃度が高まるためと推定される。
ハロゲン化炭化水素としては、取り扱いのしやすさや、入手の容易性等から、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、p-ジクロロベンゼン、m-ジクロロベンゼン、及びo-ジクロロベンゼンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。中でも、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、p-ジクロロベンゼン、m-ジクロロベンゼン、及びo-ジクロロベンゼンからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
上記の通り、有機溶媒は、ハロゲン化炭化水素を含む。有機溶媒は、ハロゲン化炭化水素以外に、ハロゲン化炭化水素以外の有機溶媒を含むのが好ましく、炭化水素溶媒と、ハロゲン化炭化水素とからなるのがより好ましい。
ハロゲン化炭化水素以外の好ましい溶媒の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、イソドデカン、ミネラルオイル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン(デカリン)、ベンゼン、トルエン、及びキシレン等の炭化水素溶媒が挙げられる。
重合溶媒、すなわち、重合反応に供される溶液中の、ノルボルネン単量体の濃度は、下限については、例えば0.5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。上限については、例えば、50質量%以下が好ましく、35質量%以下がさらに好ましい。
環状オレフィン共重合体を高収率で製造しやすいことから、重合反応に供される溶液における、有機溶媒中のハロゲン化炭化水素の質量の比率は、20℃における体積比率として、0.01体積%以上5体積%以下が好ましく、0.05体積%以上3体積%以下がより好ましい。
なお、重合反応に、後述する助触媒を用いる場合に、上記のように有機溶媒中のハロゲン化炭化水素の量が少量であることが有効である。特に、助触媒として、後述するアルミノキサンを用いる場合に、上記のように有機溶媒中のハロゲン化炭化水素の量が少量であることが有効である。多量のハロゲン化炭化水素中に助触媒が存在することにより、助触媒がわずかに劣化する場合があるためである。
以下、ノルボルネン単量体について説明する。
[ノルボルネン単量体]
ノルボルネン単量体としては、例えば、ノルボルネン及び置換ノルボルネンが挙げられ、ノルボルネンが好ましい。ノルボルネン単量体は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
上記置換ノルボルネンは特に限定されず、この置換ノルボルネンが有する置換基としては、例えば、ハロゲン原子、1価又は2価の炭化水素基が挙げられる。置換ノルボルネンの具体例としては、下記一般式(I)で示されるものが挙げられる。
Figure 0007073467000004
(式中、R~R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものであり、
とR10、R11とR12は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、
又はR10と、R11又はR12とは、互いに環を形成していてもよい。
また、nは、0又は正の整数を示し、
nが2以上の場合には、R~Rは、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
ただし、n=0の場合、R~R及びR~R12の少なくとも1個は、水素原子ではない。)
一般式(I)で示される置換ノルボルネンについて説明する。一般式(I)におけるR~R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものである。
~Rの具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;炭素原子数1~20のアルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
また、R~R12の具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;炭素原子数1~20のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ナフチル基、アントリル基等の置換又は無置換の芳香族炭化水素基;ベンジル基、フェネチル基、その他アルキル基にアリール基が置換したアラルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
とR10、又はR11とR12とが一体化して2価の炭化水素基を形成する場合の具体例としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等のアルキリデン基等を挙げることができる。
又はR10と、R11又はR12とが、互いに環を形成する場合には、形成される環は単環でも多環であってもよく、架橋を有する多環であってもよく、二重結合を有する環であってもよく、またこれらの環の組み合わせからなる環であってもよい。また、これらの環はメチル基等の置換基を有していてもよい。
一般式(I)で示される置換ノルボルネンの具体例としては、5-メチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5,5-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-エチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-ブチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-エチリデン-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-ヘキシル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-オクチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-オクタデシル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-メチリデン-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-ビニル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-プロペニル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン等の2環の環状オレフィン;
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ-3,7-ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ-3-エン;トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ-3,7-ジエン若しくはトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ-3,8-ジエン又はこれらの部分水素添加物(又はシクロペンタジエンとシクロヘキセンの付加物)であるトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ-3-エン;5-シクロペンチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-シクロヘキシル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-フェニル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エンといった3環の環状オレフィン;
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン(単にテトラシクロドデセンともいう)、8-メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-メチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-ビニルテトラシクロ[4,4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-プロペニル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エンといった4環の環状オレフィン;
8-シクロペンチル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-シクロヘキシル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-シクロヘキセニル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-フェニル-シクロペンチル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン;テトラシクロ[7.4.13,6.01,9.02,7]テトラデカ-4,9,11,13-テトラエン(1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[8.4.14,7.01,10.03,8]ペンタデカ-5,10,12,14-テトラエン(1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a-ヘキサヒドロアントラセンともいう);ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]-4-ヘキサデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]-4-ペンタデセン、ペンタシクロ[7.4.0.02,7.13,6.110,13]-4-ペンタデセン;ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]-5-エイコセン、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.03,8.14,7.012,17.113,l6]-14-エイコセン;シクロペンタジエンの4量体等の多環の環状オレフィンを挙げることができる。
中でも、アルキル置換ノルボルネン(例えば、1個以上のアルキル基で置換されたビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン)、アルキリデン置換ノルボルネン(例えば、1個以上のアルキリデン基で置換されたビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン)が好ましく、5-エチリデン-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン(慣用名:5-エチリデン-2-ノルボルネン、又は、単にエチリデンノルボルネン)が特に好ましい。
<重合工程>
重合工程では、重合容器内のモノマーを、下記の含金属触媒と、ハロゲン化炭化水素を含む有機溶媒との存在下に重合させる。
重合時の温度は特に限定されない。環状オレフィン共重合体の収率が良好であること等から、重合時の温度は、20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましく、60℃以上がさらにより好ましく、70℃以上が特に好ましい。重合時の温度は80℃以上であってもよい。
重合時の温度の上限は特に限定されない、重合時の温度の上限は、例えば200℃以下であってよく、140℃以下であってもよく、120℃以下であってもよい。
含金属触媒としては、下記式(a1)で表される化合物が使用される。
Figure 0007073467000005
(式(a1)中、Mは、Ti、Zr、又はHfであり、Xは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又はハロゲン原子であり、Lは下記式(a1a)又は下記式(a1b):
Figure 0007073467000006
で表される基であり、
が式(a1a)で表される基である場合、Lは、式(a1b)、下記式(a1c)、又は下記式(a1d):
Figure 0007073467000007
で表される基であり、
が式(a1b)で表される基である場合、Lは、式(a1b)で表される基であり、
式(a1a)中、Ra1~Ra5は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又は無機置換基であり、Ra1~Ra5のうちの5員環上で隣接する2つの基は相互に結合して環を形成してもよく、
式(a1b)中、Ra6~Ra8は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又は無機置換基であり、Ra6~Ra8から選択される2つの基が相互に結合して環を形成してもよく、
式(a1c)中、Ra9~Ra11は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又は無機置換基であり、n1は0~3の整数であり、
式(a1d)中、Ra12、及びRa13は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又は無機置換基であり、Ra12、及びRa13の2つの基は相互に結合して環を形成してもよい。)
式(a1)中、Mは、Ti、Zr、又はHfであり、含金属触媒の入手や製造が容易である点や、触媒の活性の点等からTiが特に好ましい。
式(a1)中、Xは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又はハロゲン原子である。
ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基については、有機置換基がヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子の種類は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。ヘテロ原子の具体例としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、セレン原子、及びハロゲン原子等が挙げられる。
有機置換基としては、上記式(a1)で表される含金属化合物の生成反応を阻害しない基であれば特に限定されない。例えば、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、炭素原子数3~20のシクロアルキル基、炭素原子数2~20の脂肪族アシル基、ベンゾイル基、α-ナフチルカルボニル基、β-ナフチルカルボニル基、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基、炭素原子数7~20のアラルキル基、炭素原子数3~20のトリアルキルシリル基、炭素原子数1~20の炭化水素基で置換されたモノ置換アミノ基、及び炭素原子数1~20の炭化水素基で置換されたジ置換アミノ基が挙げられる。
これらの有機置換基の中では、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数3~8のシクロアルキル基、炭素原子数2~6の脂肪族アシル基、ベンゾイル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、及び炭素原子数3~10のトリアルキルシリル基が好ましい。
有機置換基の中では、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、フェニル基、トリメチルシリル基、及びtert-ブチルジメチルシリル基がより好ましい。
Xとしてはハロゲン原子が好ましく、塩素原子、及び臭素原子がより好ましく、塩素原子が特に好ましい。
式(a1a)中、Ra1~Ra5は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又は無機置換基である。また、Ra1~Ra5のうちの5員環上で隣接する2つの基は相互に結合して環を形成してもよい。
a1~Ra5としての、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基の具体例及び好ましい例は、それぞれ、Xとしての、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基の具体例及び好ましい例と同様である。
無機置換基としては、上記式(a1)で表される含金属化合物の生成反応を阻害しない基であれば特に限定されない。
無機置換基の具体例としては、ハロゲン原子、ニトロ基、無置換のアミノ基、及びシアノ基等が挙げられる。
式(a1b)中、Ra6~Ra8は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又は無機置換基である。また、Ra6~Ra8から選択される2つの基が相互に結合して環を形成してもよい。
a6~Ra8としての、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基の具体例及び好ましい例は、それぞれ、Xとしての、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基の具体例及び好ましい例と同様である。
加えて、Ra6~Ra8としての、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基としては、式(a1b)で表される基であって、Ra6~Ra8が、それぞれ独立に炭素原子数1~20の炭化水素基である基も好ましい。
a6~Ra8としての、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基が、式(a1b)で表される基である場合の好ましい例としては、-N=P(Me)、-N=P(Et)、-N=P(n-Pr)、-N=P(iso-Pr)、-N=P(n-Bu)、-N=P(iso-Bu)、-N=P(sec-Bu)、-N=P(tert-Bu)、及び-N=P(Ph)が挙げられる。これらの中では、-N=P(tert-Bu)、及び-N=P(iso-Pr)が好ましく、-N=P(tert-Bu)がより好ましい。なお、Meはメチル基であり、Etはエチル基であり、n-Prはn-プロピル基であり、iso-Prはiso-プロピル基であり、n-Buはn-ブチル基であり、iso-Buはイソブチル基であり、sec-Buはsec-ブチル基であり、tert-Buはtert-ブチル基であり、Phはフェニル基である。
また、Ra6~Ra8としての、無機置換基の具体例は、Ra1~Ra5としての、無機置換基の具体例と同様である。
式(a1b)で表される基の好ましい例としては、-N=P(Me)、-N=P(Et)、-N=P(n-Pr)、-N=P(iso-Pr)、-N=P(n-Bu)、-N=P(iso-Bu)、-N=P(sec-Bu)、-N=P(tert-Bu)、-N=P(Ph)、-N=P(-N=P(tert-Bu))Ph、及び-N=P(-N=P(iso-Pr))Phが挙げられる。中でも、-N=P(tert-Bu)3、及び-N=P(iso-Pr)が好ましく、-N=P(tert-Bu)がより好ましい。
式(a1c)中、Ra9~Ra11は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又は無機置換基であり、n1は0~3の整数である。n1は0~3の整数であり、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
式(a1c)中のRa9~Ra11についての上記の基の具体例及び好ましい例は、それぞれ、Ra1~Ra5についての上記の基の具体例及び好ましい例と同様である。
式(a1c)で表される基の好ましい例としては、フェノキシ基、2,6-ジメチルフェノキシ基、及び2,6-ジイソプロピルフェノキシ基が挙げられる。
式(a1d)中、Ra12、及びRa13は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又は無機置換基である。Ra12、及びRa13の2つの基は相互に結合して環を形成してもよい。
a12、及びRa13としての、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基の具体例及び好ましい例は、それぞれ、Xとしての、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基の具体例及び好ましい例と同様である。
また、炭素原子数1~20の炭化水素基で置換されたモノ置換アミノ基、及び炭素原子数1~20の炭化水素基で置換されたジ置換アミノ基も、有機置換基として好ましい。
式(a1d)中のRa12、及びRa13としてのモノ置換アミノ基、又はジ置換アミノ基について、窒素原子に結合する炭素原子数1~20の炭化水素基の好適な例は、Xについての有機置換基の好適な例に含まれる炭化水素基が挙げられる。
Ra12、及びRa13としての、無機置換基の具体例は、Ra1~Ra5としての、無機置換基の具体例と同様である。
式(a1d)で表される基の好ましい例としては、以下の基が挙げられる。
Figure 0007073467000008
良好な収率で環状オレフィン共重合体を得やすいことから、式(a1)において、Lが式(a1a)で表される基であり、Lが式(a1b)で表される基、又は式(a1d)で表される基であるか、又はL及びLが、ともに式(a1b)で表される基であるのが好ましい。L及びLが、ともに式(a1b)で表される基である場合は、L及びLは同一の基でも異なった基でもよく、同一の基であるのが好ましい。
以上説明した式(a1)で表される含金属化合物の好ましい具体例としては、以下の含金属化合物が挙げられる。なお、下記式におけるMは、式(a1)中のMと同様である。また、下記式中、Meはメチル基であり、Etはエチル基であり、n-Prはn-プロピル基であり、iso-Prはiso-プロピル基であり、n-Buはn-ブチル基であり、iso-Buはイソブチル基であり、sec-Buはsec-ブチル基であり、tert-Buはtert-ブチル基であり、Phはフェニル基であり、Si(Me)はトリメチルシリル基であり、Si(Me)tert-ブチルは、tert-ブチルジメチルシリル基である。
Figure 0007073467000009
Figure 0007073467000010
Figure 0007073467000011
Figure 0007073467000012
Figure 0007073467000013
モノマーの重合は、上記の含金属触媒と助触媒との存在下に行われるのが好ましい。助触媒としては、一般的にオレフィンの重合において助触媒として使用されている化合物を特に限定なく用いることができる。助触媒の好適な例としては、アルミノキサン、及びイオン化合物が挙げられる。重合反応が良好に進行しやすい点から、モノマーの重合は、特に、アルミノキサン、及びイオン化合物としてのボレート化合物の少なくとも一方を助触媒として用いて行われるのが好ましく、アルミノキサンを助触媒として用いて行われるのがより好ましい。
つまり、モノマーを、含金属触媒と、アルミノキサン及びボレート化合物の少なくとも一方との存在下に重合させるのが好ましく、モノマーを、含金属触媒と、アルミノキサンとの存在下に重合させるのがより好ましい。
上記の含金属触媒は、アルミノキサン、及び/又はイオン化合物と混合して、触媒組成物とされるのが好ましい。
ここで、イオン化合物は、含金属触媒との反応によりカチオン性遷移金属化合物を生成させる化合物である。
触媒組成物は、含金属触媒の溶液を用いて調製されるのが好ましい。含金属触媒の溶液に含まれる溶媒は、特に限定されない。好ましい溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、イソドデカン、ミネラルオイル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン(デカリン)、ミネラルオイル、ベンゼン、トルエン、及びキシレン等の炭化水素溶媒や、クロロホルム、メチレンクロライド、ジクロロメタン、ジクロロエタン、及びクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒が挙げられる。
溶媒の使用量は、所望する性能の触媒組成物を製造できる限り特に限定されない。典型的には、含金属触媒、アルミノキサン、及びイオン化合物の濃度が、好ましくは0.00000001~100mol/L、より好ましくは0.00000005~50mol/L、特に好ましくは0.0000001~20mol/Lである量の溶媒が使用される。
触媒組成物の原料を含む液を混合する際、含金属触媒中の遷移金属元素のモル数をMとし、アルミノキサン中のアルミニウムのモル数をMb1とし、イオン化合物のモル数をMb2とする場合において、(Mb1+Mb2)/Mの値が、好ましくは1~200000、より好ましくは5~100000、特に好ましくは10~80000であるように、触媒組成物の原料を含む液が混合されるのが好ましい。
触媒組成物の原料を含む液を混合する温度は特に限定されないが、-100~100℃が好ましく、-50~50℃がより好ましい。
触媒組成物を調製するための含金属触媒の溶液と、アルミノキサン、及び/又はイオン化合物との混合は、重合前に、重合容器とは別の装置内で行われてもよく、重合容器において、重合前、又は重合中に行われてもよい。
以下、触媒組成物の調製に使用される材料や、触媒組成物の調製条件について説明する。
[アルミノキサン]
アルミノキサンとしては、従来より種々のオレフィンの重合において助触媒等として使用されている種々のアルミノキサンを特に制限なく用いることができる。典型的には、アルミノキサンは有機アルミノキサンである。
触媒組成物の製造に際して、アルミノキサンは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルミノキサンとしては、アルキルアルミノキサンが好ましく用いられる。アルキルアルミノキサンとしては、例えば、下記式(b1-1)又は(b1-2)で表される化合物が挙げられる。下記式(b1-1)又は(b1-2)で表されるアルキルアルミノキサンは、トリアルキルアルミニウムと水との反応により得られる生成物である。
Figure 0007073467000014
(式(b1-1)及び式(b1-2)中、Rは炭素原子数1~4のアルキル基、nは0~40、好ましくは2~30の整数を示す。)
アルキルアルミノキサンとしては、メチルアルミノキサン及びメチルアルミノキサンのメチル基の一部を他のアルキル基で置換した修飾メチルアルミノキサンが挙げられる。修飾メチルアルミノキサンとしては、例えば、置換後のアルキル基として、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等の炭素原子数2~4のアルキル基を有する修飾メチルアルミノキサンが好ましく、特に、メチル基の一部をイソブチル基で置換した修飾メチルアルミノキサンがより好ましい。アルキルアルミノキサンの具体例としては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、メチルエチルアルミノキサン、メチルブチルアルミノキサン、メチルイソブチルアルミノキサン等が挙げられ、中でも、メチルアルミノキサン及びメチルイソブチルアルミノキサンが好ましい。
アルキルアルミノキサンは、公知の方法で調製することができる。また、アルキルアルミノキサンとしては、市販品を用いてもよい。アルキルアルミノキサンの市販品としては、例えば、MMAO-3A、TMAO-200シリーズ、TMAO-340シリーズ、固体MAO(いずれも東ソー・ファインケム(株)製)やメチルアルミノキサン溶液(アルベマール社製)等が挙げられる。ポリエチレン様の不純物の生成を抑制しやすい点から、固体MAO以外のアルキルアルミノキサンを用いることがより好ましい。
[イオン化合物]
イオン化合物は、含金属触媒との反応によりカチオン性遷移金属化合物を生成する化合物である。
かかるイオン化合物としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのアニオン、ジメチルフェニルアンモニウムカチオン((CHN(C)H)のような活性プロトンを有するアミンカチオン、(Cのような三置換カルボニウムカチオン、カルボランカチオン、メタルカルボランカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオン等のイオンを含むイオン性化合物を用いることができる。
イオン化合物の好適な例としては、ボレートが挙げられる。ボレートの好ましい具体例としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)トリチルボレート、ジメチルフェニルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、及びN,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N-メチルジノルマルデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のN-メチルジアルキルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
また、良好な収率で環状オレフィン共重合体を製造しやすい点から、重合容器内には、含金属触媒、又は含金属触媒を含む触媒組成物を加える前に、アルミノキサン、1又は複数のフェノール性水酸基と1又は複数のハロゲン原子とを芳香環上に有する芳香族化合物、及びヒンダードフェノールから選択される1種以上を存在させるのが好ましい。
フェノール性水酸基とハロゲン原子とを有する上記の芳香族化合物において、フェノール性水酸基とハロゲン原子とは、単環であっても縮合環であってもよい同一の芳香環上に結合する。
ヒンダードフェノールとは、フェノール性水酸基の2つの隣接位の少なくとも一方に、かさ高い置換基を有するフェノール類である。かさ高い置換基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、及びtert-ブチル木等のメチル基以外のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環式基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、アルキルチオ基、並びにアリールチオ基等が挙げられる。
ヒンダードフェノールの具体例としては、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(BHT)、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2-tert-ブチルフェノール、2-tert-ブチル-p-クレゾール、3,3’,5,5’-テトラ-tert-ブチル-4,4’-ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’-テトラ-tert-ブチル-2,2’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、4,4’,4”-(1-メチルプロパニル-3-イリデン)トリス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、及び1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルメチル)2,4,6-トリメチルベンゼン等が挙げられる。
これらの中では、分子量が小さく、少量の使用によりヒンダードフェノールの使用による所望する効果を得やすいことから、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(BHT)、及び2,6-ジ-tert-ブチルフェノールが好ましい。
ヒンダードフェノールは、重合系内でアルキルアルミニウム化合物と反応することにより、環状オレフィン共重合体の収量増に寄与する。このため、ヒンダードフェノールは、アルキルアルミニウムとともに使用されるのが好ましい。また、ヒンダードフェノールは、重合機内でアルキルアルミニウムと混合させて用いられてもよい。重合前にアルキルアルミニウムとヒンダードフェノールとを混合して得た混合物を、重合機内に導入してもよい。
アルミノキサンについては、触媒組成物の製造方法において説明した通りである。
含金属触媒、又は含金属触媒を含む触媒組成物を加える前に、重合容器内にアルミノキサンを加える場合の使用量は、含金属触媒1モルに対するアルミノキサン中のアルミニウムのモル数として、1~1000000モルが好ましく、10~100000モルがより好ましい。
重合は、含金属触媒と、アルミノキサンと、ヒンダードフェノールとの存在下、又は含金属触媒と、イオン化合物と、ヒンダードフェノールの存在下に行われるのも好ましい。
重合容器内のモノマーが、含金属触媒と、アルキル金属化合物との存在下に重合されるのも好ましい。
アルキル金属化合物は、従来から、環状オレフィン等のオレフィンの重合反応に適用されている化合物であれば特に限定されない。好適なアルキル金属化合物としては、Al原子に結合するアルキル基を少なくとも1つ有するアルキルアルミニウム化合物、及びZn原子に結合するアルキル基を少なくとも1つ有するアルキル亜鉛化合物が挙げられる。
上記の含金属触媒と、アルキル金属化合物とを組み合わせて用いると、ポリエチレン様の不純物の生成を抑制しつつ、ノルボルネン単量体と、エチレンとを含むモノマーを共重合させて環状オレフィン共重合体を効率良く製造することが特に容易である。
アルキル金属化合物は、1種を単独で使用されてもよく、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
アルキルアルミニウム化合物としては、オレフィン類の重合等に従来より用いられているものを特に限定なく使用できる。アルキルアルミニウム化合物としては、例えば、下記一般式(II)で示される化合物が挙げられる。
(R01z1AlX3-z1 (II)
(式(II)中、R01は炭素原子数が1~15のアルキル基であり、Xはハロゲン原子又は水素原子であり、z1は1~3の整数である。)
01としてのアルキル基の炭素原子数は1~15であり、所望する効果を得やすい点から1~8がより好ましく、2~8がさらに好ましい。アルキル基の好ましい具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基等が挙げられる。
アルキルアルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn-プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリn-ペンチルアルミニウム、トリn-ヘキシルアルミニウム、トリn-ヘプチルアルミニウム、トリn-オクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド;ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジn-プロピルジメチルアルミニウムハイドライド、ジイソプロピルジメチルアルミニウムハイドライド、ジn-ブチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジsec-ブチルアルミニウムハイドライド、ジn-ペンチルアルミニウムハイドライド、ジn-ヘキシルアルミニウムハイドライド、ジn-ヘプチルアルミニウムハイドライド、ジn-オクチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド;ジメチルアルミニウムメトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシドが挙げられる。
アルキル亜鉛化合物としては、オレフィン類の重合等に従来より用いられているものを特に限定なく使用できる。アルキル亜鉛化合物としては、例えば、下記一般式(III)で示される化合物が挙げられる。
(R02z2ZnX2-z2 (III)
(式(II)中、R02は炭素原子数が1~15、好ましくは1~8のアルキル基であり、Xはハロゲン原子又は水素原子であり、z2は1~3の整数である。)
02としてのアルキル基の炭素原子数は1~15であり、所望する効果を得やすい点から1~8がより好ましく、2~8がさらに好ましい。アルキル基の好ましい具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基等が挙げられる。
アルキル亜鉛化合物の具体例としては、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジn-プロピル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛、ジn-ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ジsec-ブチル亜鉛、ジn-ペンチル亜鉛、ジn-ヘキシル亜鉛、ジn-ヘプチル亜鉛、ジn-オクチル亜鉛等のジアルキル亜鉛;メチル亜鉛クロリド、エチル亜鉛クロリド、イソブチル亜鉛クロリド等のアルキル亜鉛ハライド;メチル亜鉛ハイドライド、エチル亜鉛ハイドライド、イソブチル亜鉛ハイドライド等のアルキル亜鉛ハイドライドが挙げられる。
アルキル金属化合物の中では、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハイドライド、及びジアルキル亜鉛からなる群より選択される1種以上が好ましく、トリアルキルアルミニウム、及び/又はジアルキルアルミニウムハイドライドがより好ましい。
含金属触媒とともに使用されるアルキル金属化合物の使用量は、含金属触媒1モルに対するアルキル金属化合物のモル数として、1~500000モルが好ましく、10~50000モルがより好ましい。
重合条件は、所望する物性の環状オレフィン共重合体が得られる条件であれば、特に限定されず、公知の条件を用いることができる。
触媒組成物の使用量は、その調製に用いられる含金属化合物の使用量から導出される。触媒組成物の使用量は、その調製に用いられた含金属化合物の質量として、ノルボルネン単量体1モルに対し、0.000000001~0.005モルが好ましく、0.00000001~0.0005モルがより好ましい。
重合時間は特に限定されず、所望する収率に達するか、重合体の分子量が所望する程度に上昇するまで重合が行われる。
重合時間は、温度や、触媒の組成や、単量体組成によっても異なるが、典型的には0.01時間~120時間であり、0.1時間~80時間が好ましく、0.2時間~10時間がより好ましい。
触媒組成物の少なくとも一部、好ましくは全部は、重合容器に連続的に添加されるのが好ましい。
触媒組成物を連続的に添加することにより、環状オレフィン共重合体の連続製造が可能になり、環状オレフィン共重合体の製造コストを低減させることが可能になる。
以上説明した方法によれば、ノルボルネン単量体と、エチレンとを含むモノマーを共重合させて、ポリエチレン様の不純物の生成を抑制しつつ、環状オレフィン共重合体を効率良く製造できる。
得られる環状オレフィン共重合体のガラス転移温度は特に限定されないが、加工性の観点から、例えば185℃以下が好ましく、160℃以下がより好ましく、130℃以下がさらに好ましく、120℃以下がさらにより好ましく、100℃以下が特に好ましい。
また、上記の方法により製造される環状オレフィン共重合体の試料を、JIS K7121に記載の方法に従って、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/分の条件で示差走査熱量計(DSC)により測定した場合、得られたDSC曲線が、ポリエチレン様の不純物に由来する融点(融解エンタルピー)のピークを有さないことが好ましい。このことは、環状オレフィン共重合体中のポリエチレン様の不純物が存在しないか極めて少ないことを意味する。なお、環状オレフィン共重合体中にポリエチレン様の不純物が含まれている場合、DSC曲線上のポリエチレン様の不純物に由来する融点のピークは、一般的に100℃~140℃の範囲内に検出される。
上記の方法により製造される環状オレフィン共重合体は、ポリエチレン様の不純物の含有量が少なく透明性に優れる。このため、上記の方法により製造される環状オレフィン共重合体は、光学的な機能面や美観の点から高度な透明性が要求される、光学フィルム又は光学シートや、包装材料用のフィルム又はシートの材料等に特に好ましく使用される。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
[実施例1~6、比較例1、及び比較例2]
環状オレフィン樹脂組成物を製造するに際し、実施例、及び比較例において、含金属触媒として下記のC1、及びC2を用いた。
Figure 0007073467000015
実施例、及び比較例において、助触媒として6.5質量%(Al原子の含有量として)MMAO-3Aトルエン溶液([(CH0.7(iso-C0.3AlO]で表されるメチルイソブチルアルミノキサンの溶液、東ソー・ファインケム(株)製、なお全Alに対して6mol%のトリメチルアルミニウムを含有する)を用いた。
よく乾燥させた、撹拌子を含む150mLステンレス製オートクレーブに、表1に記載の種類の有機溶媒及び90mmolの2-ノルボルネンを加えた。次いで、上記の助触媒5000mmolをオートクレーブに加えた。
重合温度90℃になるまでオートクレーブを加熱した後、含金属触媒溶液を、含金属触媒量が0.5μmolとなるように添加した。含金属触媒溶液は表1に記載の有機溶媒を用いて調製された。次いでゲージ圧0.9MPaのエチレン圧をかけた後、30秒後を重合開始点とした。
なお、オートクレーブに仕込む有機溶媒の組成と、触媒溶液に含まれる有機溶媒の組成とは、重合反応に供される溶液における、有機溶媒中のハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン又はクロロベンゼン)の濃度(体積%、20℃)が表1に記載の濃度となるように調整された。
また、エチレン圧をかける直前のモノマー溶液の全量は、80mLとした。
重合開始から15分後、エチレン供給を停止し、注意深く圧力を常圧に戻した後、反応溶液中にイソプロピルアルコールを加えて反応を停止させた。その後、アセトン300mL、メタノールあるいはイソプロピルアルコール200mL、塩酸5mLの混合溶媒に重合溶液を投入して共重合体を沈殿化させた。共重合体を吸引濾過にて回収し、アセトン、メタノールで洗浄後、共重合体を110℃で12時間真空乾燥を行い、ノルボルネンとエチレンとの共重合体を得た。
触媒の使用量と、共重合体の取得量とから算出される、触媒1g当たりの共重合体収量(kg)を、表1に記す。
また、以下の方法に従い、ガラス転移温度の測定と、ポリエチレン様の不純物を確認するための不純物熱分析及び濁り試験とを行った。また、ガラス転移温度の測定結果と不純物熱分析の結果とを、表1に記す。
<ガラス転移温度(Tg)>
DSC法(JIS K7121記載の方法)によって、環状オレフィン共重合体のTgを測定した。
DSC装置:示差走査熱量計(TA Instrument社製 DSC-Q1000)
測定雰囲気:窒素
昇温条件:20℃/分
<不純物熱分析>
ガラス転移温度の測定により得られたDSC曲線において、100℃~140℃の範囲内に観察されるポリエチレン様の不純物に由来する融点のピーク面積から発熱量(mJ/mg)を算出した。算出された発熱量が大きいほど、ポリエチレン様の不純物の含有量が多い。
なお、表1中のNDは、DSC曲線上においてポリエチレン様の不純物に由来する融点のピークが検出されないことを示す。
<濁り試験>
得られた環状オレフィン共重合体0.1gを、トルエン10gに溶解させた後、溶液における濁りの有無を観察した。濁りが認められた場合、環状オレフィン共重合体にポリエチレン様の不純物が含まれる。濁りが認められなかった場合、環状オレフィン共重合体にポリエチレン様の不純物が含まれない。その結果、比較例1のみにおいて、濁りが認められた。比較例1で濁りが認められた結果は、不純物熱分析の結果と一致する。
Figure 0007073467000016
実施例1~6によれば、ノルボルネン単量体と、エチレンとを、所定の構造の含金属触媒と、ハロゲン化炭化水素を含む有機溶媒との存在下に重合させることにより、ポリエチレン様の不純物の生成を抑制しつつ、ノルボルネンとエチレンとの共重合体を効率良く得ることができることが分かる。
また、ハロゲン化炭化水素の種類のみを変えた、実施例4と実施例5の比較から、ハロゲン化炭化水素の25℃における比誘電率が高いほど、触媒1gあたりの環状オレフィン共重合体の収量を高めることができることが分かる。
他方、比較例1及び2によれば、所定の構造の含金属化合物を用いても、有機溶媒中にハロゲン化炭化水素が存在しない条件で重合を行う場合、ノルボルネンとエチレンとの共重合体を効率良く得ることが難しく、さらに、エチレン様の不純物が生成する場合があることが分かる。
〔参考例1〕
実施例で用いた、MMAO-3Aのトルエン溶液0.45mLと、ジクロロメタン1mLとを室温で混合した。得られた混合液を室温下に保持したところ、保持開始から60分経過した時点で、混合液の着色(褐色)と、混合液からの少量のガスの発生が確認された。メチルイソブチルアルミノキサンの分解により、着色とガス発生とが生じたと考えられる。
〔参考例2〕
実施例で用いた、MMAO-3Aのトルエン溶液0.9mLと、ジクロロメタン0.2mLとを室温で混合した。得られた混合液を室温下に保持したところ、保持開始から75分経過した時点で、混合液の着色(褐色)と、混合液からの少量のガスの発生が確認された。メチルイソブチルアルミノキサンの分解により、着色とガス発生とが生じたと考えられる。
〔参考例3〕
実施例で用いた、MMAO-3Aのトルエン溶液0.2mLと、ジクロロメタン0.44mLと、トルエン35mLとを室温で混合した。得られた混合液を室温下に保持したところ、保持開始から10時間経過した時点でも、混合液の着色や、混合液からのガスの発生は全く確認されなかった。ハロゲン化炭化水素が希薄な系では、メチルイソブチルアルミノキサンの分解が生じにくいと考えられる。

Claims (8)

  1. ノルボルネン単量体由来の構成単位とエチレン由来の構成単位とを含む環状オレフィン共重合体の製造方法であって、
    少なくとも、前記ノルボルネン単量体と、エチレンとをモノマーとして重合容器内に仕込むことと、
    前記重合容器内の前記モノマーを、含金属触媒と、有機溶媒との存在下に重合させることと、を含み、
    前記有機溶媒が、ハロゲン化炭化水素を含み、
    前記含金属触媒が、下記式(a1):
    Figure 0007073467000017
    (式(a1)中、Mは、Ti、Zr、又はHfであり、Xは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又はハロゲン原子であり、Lは下記式(a1a)又は下記式(a1b):
    Figure 0007073467000018
    で表される基であり、
    が前記式(a1a)で表される基である場合、Lは、式(a1b)、下記式(a1c)、又は下記式(a1d):
    Figure 0007073467000019
    で表される基であり、
    が前記式(a1b)で表される基である場合、Lは、前記式(a1b)で表される基であり、
    式(a1a)中、Ra1~Ra5は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又は無機置換基であり、Ra1~Ra5のうちの5員環上で隣接する2つの基は相互に結合して環を形成してもよく、
    式(a1b)中、Ra6~Ra8は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又は無機置換基であり、Ra6~Ra8から選択される2つの基が相互に結合して環を形成してもよく、
    式(a1c)中、Ra9~Ra11は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又は無機置換基であり、n1は0~3の整数であり、
    式(a1d)中、Ra12、及びRa13は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又は無機置換基であり、Ra12、及びRa13の2つの基は相互に結合して環を形成してもよい。)
    で表される含金属化合物である、環状オレフィン共重合体の製造方法。
  2. 前記有機溶媒中の、前記ハロゲン化炭化水素の含有量が、20℃における体積比率として、0.01体積%以上5体積%以下である、請求項1に記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
  3. 前記有機溶媒が、炭化水素溶媒と、前記ハロゲン化炭化水素とからなる、請求項1又は2に記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
  4. 前記ハロゲン化炭化水素の25℃における比誘電率が6以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
  5. 前記式(a1)において、前記Lが前記式(a1a)で表される基であり、前記Lが前記式(a1b)で表される基、又は前記式(a1d)で表される基であるか、又は前記L及び前記Lが、ともに前記式(a1b)で表される基である、請求項1~4のいずれか1項に記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
  6. 前記式(a1)において、前記MがTiである、請求項1~5のいずれか1項に記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
  7. 前記モノマーを、前記含金属触媒と、アルミノキサンとの存在下に重合させる、請求項1~6のいずれか1項に記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
  8. 前記環状オレフィン共重合体の試料を、JIS K7121に記載の方法に従って、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/分の条件で示差走査熱量計による測定を行って得られたDSC曲線が、100℃~140℃の範囲内にポリエチレン様の不純物に由来する融点のピークを有さない、請求項1~7のいずれか1項に記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
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